説明

台所用液体洗浄剤組成物

【課題】高い洗浄性能を保持したまま、皮膚にしっとり、柔らかな仕上がり感を付与する台所用液体洗浄剤組成物及び手肌へのしっとり感付与方法を提供する。
【解決手段】(a)アニオン界面活性剤、(b)半極性界面活性剤及び又は両性界面活性剤、(c)非イオン界面活性剤、(d)下記一般式(1)で示される単量体、又は、アンモニウム基を有する単量体のいずれかと、ポリオキシエチレン基を含有する単量体と、上記以外の重合性単量体との共重合体を含有する台所用液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所で食器類、調理具などをスポンジ等で洗浄する際に用いる台所用液体洗浄剤組成物に関し、更に詳しくは、洗浄成分の高い洗浄性能を保持したまま、皮膚にしっとり、柔らかな仕上がり感を付与する台所用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の食器、調理具に用いられているガラス・陶器などの硬表面を洗浄するための洗浄剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤などが適宜組み合わされて使用されている。
【0003】
これらの洗浄剤は、充分な洗浄性能を有するものとして市販されている一方、消費者は、実感性能として洗浄力だけでなく、手肌マイルド性についても強く望んでいる。
しかしながら、消費者は、洗浄力とマイルド性とは相反する性能ととらえており、洗浄剤のもつ手肌のやさしさを消費者にうまく伝える手段、あるいは、洗浄剤使用後のマイルド性実感が強く望まれているのが現状である。
【0004】
このような課題に対して、1)非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤と、4級アンモニウム基または3級アミノ基を有するモノマー単位を含む重合体とを、特定の重量比で含有する硬質表面用洗浄剤組成物(例えば、特許文献1参照)、2)特定条件となる泡性能を有し、ポリマー及び界面活性剤を含有し、組成物中のポリマーの粒径が0.1〜300μmである洗浄剤組成物(例えば、特許文献2参照)、3)分子中にカチオン性基と架橋構造とを有する特定の共重合体と、非イオン性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物(例えば、特許文献3参照)、4)分子中にカチオン性基と架橋構造とを有する特定の共重合体と、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる界面活性剤とポリオールを含有する洗浄剤組成物(例えば、特許文献4参照)、5)特定のカチオン性基含有共重合体からなる増粘剤と特定のアミドアルコールを含有する洗浄剤組成物(例えば、特許文献5参照)が知られている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び2の液体洗浄剤組成物は、マイルド性や手肌感触については何等記載も示唆もないものであり、本発明とは技術思想が相違するものである。また、上記特許文献3〜5の液体洗浄剤組成物では、未だ充分な皮膚感触改善効果が得られていない点に課題があり、更に、上記特許文献3〜5の液体洗浄剤組成物中に配合する共重合体は、本発明の共重合体とその構造、物性が異なるものである。
【特許文献1】特開2002−146395号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特開2002−201123号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】特開2000−144183号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献4】特開2000−178592号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献5】特開2004−307700号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、洗浄成分の高い洗浄性能を保持したまま、皮膚にしっとり、柔らかな仕上がり感を付与する台所用液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記従来の課題等を解決するために、鋭意検討した結果、界面活性剤の中で特定の3種の界面活性剤と特定の共重合体からなる高分子化合物を含有せしめることにより、上記目的の台所用液体洗浄剤組成物及び手肌へのしっとり感付与方法が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)に存する。
(1) 下記(a)、(b)、(c)、(d)の成分を含有することを特徴とする台所用液体洗浄剤組成物。
(a)アニオン界面活性剤
(b)半極性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤
(c)非イオン界面活性剤
(d)(d−1)下記一般式(1)(2)(3)のいずれかで示される単量体と、(d−2)下記一般式(4)で示されるポリオキシエチレン基を含有する単量体と、(d−3)上記(d−1)、(d−2)以外の重合性単量体との共重合体であり、上記単量体全量に対して(d−1)単量体1〜99質量%、(d−2)単量体1〜99質量%、(d−3)単量体0〜90%を共重合してなる高分子化合物
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

〔上記式(1)〜(4)中、Xは酸素原子又はNHを示し、Yは炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐状アルキレン基を示し、水酸基を1つ以上含んでも良い。R1は水素原子又はメチル基であり、R2、R3は炭素数1〜12のアルキル基を表す。R4は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R5〜R9は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、Z、Z1及びZ2はそれぞれ炭素数2〜4のアルキレン基、Mは陰イオンを表す。R10は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R11は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基である。nは2〜4の整数であり、mは2〜50の整数である。〕
(2) 上記(1)記載の台所用液体洗浄剤組成物を用いて被洗物を手洗いすることを特徴とする手肌へのしっとり感付与方法。
【0009】
なお、本発明で規定する「しっとり感」とは、かさつき、ごわつき、つっぱり、きしみといった違和感の少ない、あるいは、うるおいのある、みずみずしい、なめらか、すべすべといった感触をいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、洗浄成分の高い洗浄性能を保持したまま、皮膚にしっとり、柔らかな仕上がり感を付与する台所用液体洗浄剤組成物及び手肌へのしっとり感付与方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を発明毎に詳しく説明する。
本第1発明の台所用液体洗浄剤組成物は、(a)アニオン界面活性剤、(b)半極性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤、(c)非イオン界面活性剤、(d)(d−1)下記一般式(1)(2)(3)のいずれかで示される単量体と、(d−2)下記一般式(4)で示されるポリオキシエチレン基を含有する単量体と、(d−3)上記(d−1)、(d−2)以外の重合性単量体との共重合体であり、上記単量体全量に対して(d−1)単量体1〜99質量%、(d−2)単量体1〜99質量%、(d−3)単量体0〜90%を共重合してなる高分子化合物を含有することを特徴とするものである。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

〔上記式(1)〜(4)中、Xは酸素原子又はNHを示し、Yは炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐状アルキレン基を示し、水酸基を1つ以上含んでも良い。R1は水素原子又はメチル基であり、R2、R3は炭素数1〜12のアルキル基を表す。R4は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R5〜R9は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、Z、Z1及びZ2はそれぞれ炭素数2〜4のアルキレン基、Mは陰イオンを表す。R10は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R11は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基である。nは2〜4の整数であり、mは2〜50の整数である。〕
また、本発明方法である手肌へのしっとり感付与方法は、上記構成の台所用液体洗浄剤組成物を用いて被洗物を手洗いすることを特徴とするものである。
【0012】
本第1発明及び本発明方法(以下、「本第1発明等」という)に用いる(a)成分のアニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、スルホコハク酸塩、アミノ酸系アニオン性界面活性剤等が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上組み合わせて含有することができる。
好ましくは、洗浄力の観点から、サルフェート型、スルホネート型アニオン界面活性剤、更に好ましくは、泡質の点からポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩が望ましい。
これらのアニオン界面活性剤の構造、製造法および対イオンなどは特に限定されるものではない。
【0013】
これらの(a)成分のアニオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物全量に対して、3〜30質量%(以下、単に「%」という)とすることが好ましく、更に好ましくは、5〜25%とすることが望ましい。
この(a)成分の含有量が3%未満であると、泡の持続力に劣り、一方、30%を超えると、高粘度化してしまい、流動性がなくなることとなり、好ましくない。
【0014】
本第1発明等に用いる(b)成分は、半極性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤である。
用いる半極性界面活性剤としては、例えば、下記一般式(5)で示される半極性界面活性剤を挙げることができ、具体的には、アルキルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシドの少なくとも1種(これらの単独、或いは2種以上組み合わせ、以下同様)が挙げられる。
【化9】

【0015】
また、用いる(b)成分の両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、イミダゾリウムベタイン、N−アルキルアミノ酸などの少なくとも1種が挙げられる・
これらの(b)成分は、半極性界面活性剤単独で、または、両性界面活性剤と併用等2種以上を組み合わせて含有することができる。
これらの(b)成分の中で、好ましくは、洗浄力及び使用後の手肌のしっとり感の点から、半極性界面活性剤を用いることが望ましく、更に好ましくは、アルキルジメチルアミンオキシドが望ましい。
【0016】
これらの(b)成分の半極性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物全量に対して、1〜10%とすることが好ましく、更に好ましくは、2〜9%とすることが望ましい。
この(b)成分の含有量が1%未満であると、洗浄力が低下し、一方、10%を超えると、高粘度化してしまい、流動性がなくなることとなり、好ましくない。
【0017】
本第1発明等において、皮膚にしっとり、柔らかな仕上がり感を更に付与する観点から、好ましくは、上記(b)成分の半極性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤に対する(a)成分のアニオン界面活性剤の質量比〔(a)/(b)〕を、0.2〜3とすることが好ましく、更に好ましくは、1〜3とすることが望ましい。
【0018】
本第1発明等に用いる(c)成分の非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルポリグリコシド、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド、アルキルメチルグルカミド等の脂肪酸アミド誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、脂肪酸グリコシドエステル、脂肪酸メチルグリコシドエステル等の長鎖脂肪酸エステル系化合物等の少なくとも1種が挙げられ、泡立ち及び泡質の点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシドが好適である。
【0019】
これらの(c)成分の非イオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物全量に対して、3〜60%とすることが好ましく、更に好ましくは、5〜30%とすることが望ましい。
この(c)成分の含有量が3%未満であると、低温安定性の悪化や洗浄力の低下をひきおこすこととなり、一方、60%を超えると、粘性が大幅に上がるため、製品として好ましくない。
【0020】
本発明に用いる共重合体は、上記(a)〜(c)成分の機能を損なうことなく、手肌にしっとり、柔らかな仕上がり感を付与せしめる作用を有するものであり、(d−1)下記一般式(1)(2)(3)のいずれかで示される単量体と、(d−2)下記一般式(4)で示されるポリオキシエチレン基を含有する単量体と、(d−3)上記(d−1)、(d−2)以外の重合性単量体との共重合体であり、上記単量体全量に対して(d−1)単量体1〜99質量%、(d−2)単量体1〜99質量%、(d−3)単量体0〜90%を共重合してなる高分子化合物から構成される。好ましくは、上記(d−1)〜(d−3)の単量体の合計配合量(100質量%)に対して特定割合になるように各単量体を含有したものである。なお、本発明の高分子化合物(共重合体)における各単量体からなる構成単位の含有量は、共重合する際の各単量体の含有量と同様である。
【0021】
【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【0022】
本発明の台所用液体洗浄剤組成物において、上記(d)成分の重合体の含有量は、特に限定されないが、洗浄剤組成物全量に対して、0.001〜10%が好ましく、特に、0.01〜2%が好ましい。
この重合体の含有量が0.001%未満より少なすぎると、その含有効果が充分に発揮されない場合があり、一方、10%を超えて多すぎると、洗浄力の低下を引き起こしたり、べたつき等の不快な皮膚感触を引き起こすことがあり、好ましくない。
【0023】
本発明の共重合体を構成する単量体(d−1)は、上記一般式(1)、(2)、(3)のいずれかで示される。上記式(1)〜(3)中、Xは酸素原子又はNHを示し、Yは炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐状アルキレン基を示し、水酸基を1つ以上含んでも良い。R1は水素原子又はメチル基であり、R2、R3は炭素数1〜12のアルキル基を表す。R4は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R5〜R9は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、Z、Z1及びZ2はそれぞれ炭素数2〜4のアルキレン基、Mは陰イオンを表す。
【0024】
上記式(1)として、より具体的には、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジプロピルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル等の(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらのうち、好ましくは、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドであり、より好ましくは(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルである。
【0025】
上記式(2)、(3)において、アルキル基としては、ヒドロキシル基、ハロゲン基などの置換基を有してもよい。R4は、水素原子又は炭素数1又は2のアルキル基であるのが好ましく、R5〜R9は、それぞれ独立に炭素数1又は2のアルキル基であるのが好ましい。式(3)中の2つのR4は、同一でも異なっていてもよい。さらに、式(2)中のR4は、水素原子又はメチル基であるのが特に好ましく、Zは、炭素数2又は3のアルキレン基、R5〜R7は炭素数1〜3、特にメチル及びエチルが好ましい。Mは、ハロゲンイオンが好ましく、より好ましくは、クロライド、ブロマイドなどである。
【0026】
上記式(2)として、より具体的には、(メタ)アクリル酸エチルトリメチルアンモニウム、(メタ)アクリル酸プロピルトリトリメチルアンモニウム、(メタ)アクリル酸ブチルトリメチルアンモニウム、(メタ)アクリル酸エチルトリエチルアンモニウム、(メタ)アクリル酸プロピルトリエチルアンモニウム、(メタ)アクリル酸ブチルトリエチルアンモニウムなどが用いられ、特に(メタ)アクリル酸エチルトリメチルアンモニウム、(メタ)アクリル酸プロピルトリメチルアンモニウム等が好ましい。本発明では、式(2)のような4級カチオン基を含有する重合性モノマーの代わりに、分子内に3級アミノ基を有する少なくとも1つ、好ましくは1つ有するビニルモノマーを用いて、式(1)(3)で示されるモノマーまたはモノマー(d−2)(d−3)と共重合させた後、モノマー単位中の3級アミノ窒素をカチオン化剤と反応させて4級化してもよい。このような分子内に3級アミノ基を有するモノマーとしては、上記式(2)中の―N+567基が、―NR56基となっているものが挙げられる。
【0027】
上記式(3)中の、Z1及びZ2はそれぞれ炭素数2又は3のアルキレン基が好ましく、より好ましくは、エチレン基であり、R8とR9は、炭素数1〜3、特にメチル及びエチルが好ましい。Mは、ハロゲンイオンが好ましく、より好ましくは、クロライド、ブロマイドなどである。
【0028】
上記式(3)として、より具体的には、ジメチルジアリルアンモニウムハライド、ジエチルジアリルアンモニウムハライド、ジプロピルジアリルアンモニウムハライド、ジブチルジアリルアンモニウムハライドなどが挙げられ、特に、ジメチルジアリルアンモニウムハライドが好ましい。
【0029】
上記単量体(d−1)は、本発明の共重合体中に、1〜99%、好ましくは、5〜99%含有される。この単量体(d−1)が1%未満、または、99%を超える含有量においては、手肌にしっとり感を付与、柔らかな仕上がり感を付与せしめる効果が十分発揮されない。
【0030】
本発明の重合体を構成する単量体(d−2)は、上記一般式(4)で示される。
式(4)中、R10は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R11は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基である。nは2〜4の整数であり、mは2〜50の整数である。
【0031】
上記式(4)中、アルキル基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン基などの置換基を有してもよい。R10は、水素原子又は炭素数1又は2のアルキル基であるのが好ましく、R11は、炭素数1又は2のアルキル基又はフェニル基が好ましく、mは、2〜30が好ましい。式中、R10は、水素原子又はメチル基であるのが好ましく、R11は、水素原子、メチル、エチル、プロピル、ベンジルなどが好ましい。オキシエチレン基の数mは2〜50の整数を表わすが、単独の値であっても、分布を持ったものの平均値でも良い。
【0032】
式(4)として、より具体的には、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜3のアルキル基でアルコキシ化されたアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらのうち、好ましくは、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートであり、より好ましくは(C24O)の平均繰り返し数が2〜9のメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートである。
【0033】
上記単量体(d−2)は、本発明の共重合体中に、1〜99%、好ましくは、10〜80%含有される。この単量体(d−2)の含有量が1%未満、または99%を超えて多すぎると、洗浄後の皮膚への残留性が低下し、十分な皮膚摩擦改善効果が更に発揮されないこととなる。
【0034】
本発明において用いられる単量体(d−3)は、上記単量体(d−1)、(d−2)以外の重合性単量体であり、このような単量体としては、例えば、疎水性ビニル単量体及びアニオン性ビニル単量体などが挙げられる。
【0035】
より具体的には、疎水性ビニル単量体として、例えば、エチルアクリレートやメチルメタクリレートに代表される各種アルキル(メタ)アクリレート、プロピルアクリルアミドに代表される各種アルキル(メタ)アクリルアミド、及びビニルピロリドン等が挙げられる。また、アニオン性ビニル単量体としては、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸類、(メタ)アクリル酸等のビニル基を有するカルボン酸類、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート等のリン酸類などが挙げられる。
【0036】
本発明の単量体(d−3)としては、これらの中でも、好ましくは、(メタ)アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メチルメタクリレート(以下MMAと略す)、ビニルピロリドン(以下VPと略す)が挙げられる。上記疎水性ビニル単量体、アニオン性ビニル単量体は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、本発明で用いられているアニオン性ビニル単量体は、その塩又は酸との混合物の形で用いることもできる。これらの塩には、アルカリ金属塩の他、アンモニアやトリエチルアミン、トリエタノールアミン等の塩基性化合物との塩を挙げることができる。なお、本発明において、上記単量体(d−3)は、上記化合物に限定されるものではない。
【0037】
上記単量体(d−3)は、本発明の共重合体中に、0〜90%、好ましくは、0〜80%含有される。この単量体(d−3)の含有量が90%を超える含有量においては、手肌にしっとり感を付与、柔らかな仕上がり感を付与せしめる効果が十分発揮されない。
なお、この単量体(d−3)は、その含有量が0%も含むので、本発明の共重合体は、i)上記単量体(d−1)及び(d−2)からなる共重合体と、ii)単量体(d−3)が0%超過のものでは、上記単量体(d−1)、(d−2)及び(d−3)からなる共重合体とに分けられる。
【0038】
本発明の高分子重合体(共重合体)は、その重量平均分子量が特に制限されるものではないが、重量平均分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜1,000,000、より好ましくは10,000〜500,000であると、好適である。この重量平均分子量が1,000〜1,000,000範囲のものを用いると、界面活性剤との複合体が形成しやすくなり、優れたコンデイショニング性が発現し、また、配合時や使用時のハンドリング性が向上する。特に、最終組成物を調製すると、良好な粘度とすすぎ時のコンデイショニング性が得られ、乾燥後、皮膚上に高柔軟な複合体皮膜を形成することができるので、かさつき感を抑制し、しっとり感が向上するものとなる。更に詳述すると、組成物中では、高分子化合物(共重合体であるカチオンポリマー)と洗浄剤成分であるアニオン性界面活性剤の複合体が可溶化されているが、水での希釈により皮膚表面で高柔軟なゲルとして析出し、表面を被覆することにより、本発明の特に優れた効果が発揮されることとなる。また、アニオン性界面活性剤が少量である系でも、非イオン界面活性剤等に、組成物中で可溶化され、すすぎ時に同様に析出し、効果を発揮する。なお、重量平均分子量が上記最大値を超えて大きすぎると、高分子化合物溶液の粘度が高すぎて、製剤設計上の制限が生じる場合がある。
【0039】
本発明の(d)成分の共重合体の製造方法は、本発明の構造単位を有する高分子化合物を作製できれば、特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合により重合することができるが、工業的には、溶液重合、乳化、懸濁重合によるラジカル重合が好ましく、中でも溶液重合による方法が好ましい。なお、本発明の共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
【0040】
また、溶液重合によって重合する場合、溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン等の芳香族・脂肪族又は複素環式化合物、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンなどの各種有機溶剤が使用できる。重合濃度は特に規制されないが、通常20〜50%で重合するのが良い。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等のパーオキシド、クメンハイドロパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤濃度は、通常、使用する各単量体の合計量に対して0.1〜10モル%が好ましい。
更に、分子量を規制するためにアルキルメルカプタンのような連鎖移動剤、ルイス酸化合物などの重合促進剤、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸などのpH調整剤を使用してもよい。重合温度は、用いられる溶媒、重合開始剤により適宜定められるが、通常、室温〜150℃が良い。
【0041】
本発明において、好ましくは、液体洗浄剤組成物の原液pHは、使用性、安全性の点などから、3.0〜9.0とすることが望ましい。
この原液pHが3.0未満及び9.0超過であると、手肌マイルド性に悪い影響を与えると共に、安全性の点などより好ましくない。
【0042】
本第1発明等の台所用液体洗浄剤組成物の溶媒としては、好ましくは水(上水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等)であり、更に、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等の1価アルコール、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、安息香酸とその塩等のハイドロトロープ、グリコール酸、クエン酸、EDTA等の金属キレート剤、マグネシウム塩やカルシウム塩等の無機塩、硫酸亜鉛、ポリリジン、グルタルアルデヒド、塩化ベンザルコニウム、ゲラニオール等の殺菌剤、植物抽出液、色素、酸化防止剤、酵素、香料、香料可溶化剤などの任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。
【0043】
このように構成される本第1発明の台所用液体洗浄剤組成物及び本発明方法では、(a)アニオン界面活性剤と、(b)半極性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤と、(c)非イオン界面活性剤と、(d)(d−1)下記一般式(1)(2)(3)のいずれかで示される単量体と、(d−2)下記一般式(4)で示されるポリオキシエチレン基を含有する単量体と、(d−3)上記(d−1)、(d−2)以外の重合性単量体との共重合体であり、上記単量体全量に対して(d−1)単量体1〜99質量%、(d−2)単量体1〜99質量%、(d−3)単量体0〜90%を共重合してなる高分子化合物とを含有することにより、洗浄成分の高い洗浄性能を保持したまま、皮膚にしっとり、柔らかな仕上がり感を付与する台所用液体洗浄剤組成物及び手肌へのしっとり感付与方法が得られることとなる。
【実施例】
【0044】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、下記実施例等に限定されるものではない。
【0045】
〔高分子化合物の調製〕
高分子化合物(共重合体)は、下記調製例1〜4により得た高分子化合物を用いた。
(調製例1)
冷却還流管、滴下ロート、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにエタノール120gを仕込み、撹拌しながら窒素ガスを導入して内温を78℃に加熱し、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(以下DMAPAA−Qと略す)7.2g、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(平均付加モル数m=9)(以下M−90Gと略す)15.3g、VP45.0g、MMA22.5g(全単量体中のDMAPAA−Q分=8質量%、全単量体中のM−90G=17質量%、全単量体中のVP分=50質量%、全単量体中のMMA分=25質量%)、エタノール41gの混合溶液と、2,2−(アゾビス(2−メチルブチロニトリル))0.71g、エタノール49.1gの混合溶液とを連続的に2時間かけて加え、さらに4時間加熱し続けて重合反応後、共重合体の固形分が2質量%になるようにイオン交換水を加えると同時に1mol/Lの塩酸水溶液を加えてpHを6に調整し、再生セルロース製透析チューブに入れ、イオン交換水を取り替えながら1週間透析を行なった。得られた水溶液を凍結乾燥機を使って乾燥し、表2に示す組成の調製例1の高分子化合物(精製共重合体)を得た。この凍結乾燥したポリマーを、10mM臭化リチウムを含むN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、同溶媒を溶離液としたゲル浸透クロマトグラフィー(カラム:TSK−GEL α−M(東ソー社製)を2本直列につないだもの、流速:1ml/分、温度:40℃)で、既知
分子量のポリスチレンを標準として、ポリマーの分子量を決定した。
【0046】
(調製例2〜4)
上記調製例1において、単量体(A)(B)(C)のモノマー比(質量%)が表2のようになるように単量体の種類、配合割合を代えた以外は、上記調製例1と同様の方法によって、調製例2〜4の高分子化合物を得た。ただし、分子量の決定においては、条件を以下のように代えて、ゲル浸透クロマトグラフィーを行った。溶解液および溶離液:0.3モル/リットル‐トリエチルアミンをリン酸にてpHを2.9に調整したもの。使用カラム:TSK−GEL α5000およびα3000およびα2500を直列につないだもの(東ソー社製)。流速:1ml/分。温度:40℃。標準物質:プルラン。
【0047】
〔実施例1〜6及び比較例1〜2〕
下記表2に示す各組成の台所用液体洗浄剤組成物を調製した。
得られた台所用液体洗浄剤組成物について、原液pH(25℃)をpHメーター(東亜電波工業社製、HM−30G)にて測定すると共に、下記評価方法により、洗浄力、使用後の手肌のしっとり感について評価した。
これらの結果を下記表2に併記する。
【0048】
(洗浄力の評価法)
牛脂1gを10cm×15cmのタッパ容器に均一になるように塗布し、激しく汚れた疎水表面汚垢とした。11.5cm×7.5cm×3cmの食器洗い用スポンジに38gの水と2gの各液体洗浄剤組成物をとり、数回手で揉んだ後、この汚染させたタッパを25℃で通常家庭で行われるのと同様にして洗浄した。洗浄後、水でよくすすぎ、その時のタッパ容器の汚染されていた表面を手で触った時の触感で、洗浄力を下記評価基準に基づき評価した。
評価基準:
◎:タッパ容器のいずれの部位を触っても、キュッキュッと音がするような摩擦感があ
り、油の残留によるぬるつきは全く感じられない。
○:タッパ容器の平滑な表面を触ると、摩擦感があり、油の残留は認められないが、端
や角の部位には僅かにぬるつきが感じられる。
△:タッパ容器の底面を触ると、摩擦感があり、油の残留は認められないが、側面や角
の部位にぬるつきが残っている。
×:タッパ容器全体にぬるつきが感じられ、明らかに油が残留していることがわかる。
【0049】
(使用後の手肌のしっとり感の評価方法)
各液体洗浄剤組成物を家庭にて3週間使用し、その使用後の手肌感触を下記の判定基準に従い評価してもらった。10家庭の平均をスコアとした。
評価基準:
5:非常に手肌のしっとり感を感じた。
4:かなり手肌のしっとり感を感じた。
3:やや手肌のしっとり感を感じた。
2:ほとんど手肌のしっとり感を感じなかった。
1:まったく手肌のしっとり感を感じなかった。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
上記表2中の略号等は、下記のとおりである。
LAS :C10〜14直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
AOS :C14αオレフィンスルホン酸ナトリウム
AES(2) :直鎖率80質量%のC12−13アルキルエトキシ硫酸エステルナトリウム
(平均EO付加モル数2モル)
EO付加モル数1〜3モルの分子種の占める割合が65質量%
AX :C12アルキルジメチルアミンオキシド
LPB :C12アルキルアミドプロピルベタイン
AE(15):ポリオキシエチレンラウリルエーテル(平均EO付加モル数15モル)
APG :C12〜14アルキルポリグリコシド(平均重合度1.2)
LME(2):ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド(平均EO付加モル数2モル)
香料 :特開2002―327194号公報、表4〜11に記載の香料組成物A
水 :東京都江戸川区平井の水道水
カチオン化セルロース:ライオン化学製XM−503LN、またはレオガードGP
【0053】
上記表2の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜6は、本発明の範囲外となる比較例1〜2に較べて、洗浄力に優れると共に、使用後の手肌へのしっとり感を実現することができる台所用手洗い液体洗浄剤組成物及び手肌へのしっとり感付与方法が得られることが判明した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)、(b)、(c)、(d)の成分を含有することを特徴とする台所用液体洗浄剤組成物。
(a)アニオン界面活性剤
(b)半極性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤
(c)非イオン界面活性剤
(d)(d−1)下記一般式(1)(2)(3)のいずれかで示される単量体と、(d−2)下記一般式(4)で示されるポリオキシエチレン基を含有する単量体と、(d−3)上記(d−1)、(d−2)以外の重合性単量体との共重合体であり、上記単量体全量に対して(d−1)単量体1〜99質量%、(d−2)単量体1〜99質量%、(d−3)単量体0〜90%を共重合してなる高分子化合物
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

〔上記式(1)〜(4)中、Xは酸素原子又はNHを示し、Yは炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐状アルキレン基を示し、水酸基を1つ以上含んでも良い。R1は水素原子又はメチル基であり、R2、R3は炭素数1〜12のアルキル基を表す。R4は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R5〜R9は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、Z、Z1及びZ2はそれぞれ炭素数2〜4のアルキレン基、Mは陰イオンを表す。R10は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R11は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基である。nは2〜4の整数であり、mは2〜50の整数である。〕
【請求項2】
請求項1記載の台所用液体洗浄剤組成物を用いて被洗物を手洗いすることを特徴とする手肌へのしっとり感付与方法。


【公開番号】特開2007−161901(P2007−161901A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360796(P2005−360796)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】