説明

台車

【課題】 従来の台車は形態が確定しており、目的や用途に応じてその形態を変更することができ得ず、この形態を変更することによって一台で多様な目的、用途に対応することができるという台車は存在していなかったという点である。
【解決手段】 一対の平行で長尺な杆材を有し、その各杆材の一端にグリップを備え、他端の一方側にキャスターを、他方側に荷受プレートを備え、前記杆材のグリップ側と、中程には連絡補強杆材をそれぞれ設け、その中程の連結補強杆材に枢支され、前記グリップ側へ枢動する一対の平行な第二杆材を備え、その第二杆材の上端には各々第二グリップを備え、下端には小径キャスターを備えていることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は台車に関し、運搬する荷物の形態や重量に合わせ、3つのパターンに使用状態を変更することを可能とした台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の荷物の運搬に際して台車が使用されることが多いが、この台車は一般的に荷台を平板状とした四輪タイプのものが多く、その他、トラックの荷台からの移載等を考慮した縦長の二輪タイプのものや、土砂用の三輪もしくは一輪タイプのものが知られている。
【0003】
しかしながら、この従来の台車は形態が固定されているもので、目的によっては、使い勝手が悪くなり、効を奏しないこととなってしまうこともあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
出願人は、本願発明について、先行する技術文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似すると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明が解決しようとする問題点は、従来の台車は形態が確定しており、目的や用途に応じてその形態を変更することができ得ず、この形態を変更することによって一台で多様な目的、用途に対応することができるという台車は存在していなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した問題点を解決するために、本願発明に係る台車は、一対の平行で長尺な杆材を有し、その各杆材の一端にグリップを備え、他端の一方側にキャスターを、他方側に荷受プレートを備え、前記杆材のグリップ側と、中程には連絡補強杆材をそれぞれ設け、その中程の連結補強杆材に枢支され、前記グリップ側へ枢動する一対の平行な第二杆材を備え、その第二杆材の上端には各々第二グリップを備え、下端には小径キャスターを備えていることを特徴としている。
【0007】
また、本願発明に係る台車は、前記した第二杆材は前記した中程の連結補強杆材にロックされ、そのロックを解除して枢動された時は、前記した連結補強杆材間に架設された架渡杆材に設けられた係合爪と掛合され、固定金具でロック位置決めされることを特徴としている。
【0008】
さらに、本願発明に係る台車は、前記した第二杆材の枢動状態からロックを解除して、さらに枢動された時、前記した杆材は作業場表面と略平行となり、荷載部分が水平状態とされることを特徴としている。
【0009】
そして、本願発明に係る台車は、前記したロックとその解除作業は第二杆材間のグリップ側に設けられたレバーと、そのレバーにより摺動されるロックバーとより構成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る台車は、上記のように構成されている。そのため、目的、用途に応じて、縦型、四輪斜め型、水平型の三種類の形態に変化させることができ、非常に使い勝手が良くなり、複数種の台車を用意する必要性もなくなり、その作業も単独人で行ない得ることとなり、あらゆる荷物の運搬を要する業界で使用することが可能なものとなる。
【0011】
さらには、この台車にバッグやあおり板(囲い板)等の別途要素を加えることで、より一層の至便性と使用の応用範囲を広げることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る台車の初期状態で直立させた状態を示す図である。
【図2】搬送時の使用状態を示す図である。
【図3】四輪斜め型に変形させた使用状態を示す図である。
【図4】水平型に変形させた使用状態を示す図である。
【図5】レバーとロックバーの位置を示す図である。
【図6】レバーの使用状態を示す図である。
【図7】四輪斜め型とした時の固定状態を示す図である。
【図8】水平型に変更する際の操作部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。これらの図にあって1、1は一対の平行に配置された長尺な杆材を示しており、この杆材1、1はスチールパイプによって成形されている。なお、本実施例にあって用いられる杆材は全てが同様のスチールパイプによって成形されている。
【0015】
この一対の杆材1、1の一端は各々手前側に鈍角に屈曲されてグリップ2、2を一体に形成している。また、この杆材1、1の他端にはグリップ2、2と同方向側に各々キャスター3、3が一体的に備えられており、逆側には断面略L字状に形成された鋼板製の荷受プレート4が固着されて備えられている。
【0016】
前記した杆材1、1間には、グリップ2、2側と中程位置で連結補強杆材5、6が溶着によって一体に架設されている。この連結補強杆材5、6間には、縦方向に二本の補強杆7、7が設けられ、この補強杆7、7の同一高さ位置には各々下向きに略L字状とした係合爪(フック)8、8が一体に形成されている。また、中程の連結補強杆材6と荷受プレート4間には三本の補強杆15、15‥が平行して縦方向に設けられている。
【0017】
さらに、図中9、9は第二杆材を示している。この第二杆材9、9は一端に、前記した杆材1、1のグリップ2、2と同一方向に、鈍角に屈曲形成したグリップ10、10を形成しており、他方側には、前記したキャスター3よりも小径とした小径キャスター11、11を備えている。
【0018】
この第二杆材9、9間には、グリップ10、10側で平行な二本の補強横杆12、12が架設され、キャスター11、11の近傍でも一本の補強横杆13が架設されている。第二杆材9、9の補強横杆13との連結部分近くでは各々が平行となっている一対の枢動杆14、14の一端が枢支されている。この枢支は枢動杆14、14の先端にパイプ材を設け、そのパイプ材で補強横杆13を包み込む形態でなされる。そして、この枢動杆14、14の他端は連結補強杆材6にやはり、同様に枢支されているもので、この枢動杆14、14と第二杆材9、9は、あたかもパンタグラフのように所定の角度をもって枢動する。尚、図中16は第二杆材9、9が、一気に作業者に対して倒れるのを防止するためのチェーンで、このチェーン16はベルト等でも代替ができる。
【0019】
また、前記した補強横杆12、12の略中央には、ロックバー(ストッパー)17が設けられているもので、このロックバー17は補強横杆12、12に板材を用いて一体に形成された矩形の透孔に挿通されているもので、その上端にはグリップ10と同方向に設けられたレバー18を一体に備えている。
【0020】
前記したロックバー17は初期状態で、その下端が、連結補強杆材6と係合して、枢動杆14、14や第二杆材9、9が枢動することを抑止している。そして、縦型である初期状態から四輪斜め型に変更する際には、レバー18を引き上げて、前記したロック状態を解除する事により、枢動杆14、14及び第二杆材9、9の枢動を可能とすることによりなされる。
【0021】
ロックバー17が外されて、枢動可能とされた枢動杆14、14と第二杆材9、9は、四輪斜め型のパターンとなる角度位置で、上方の補強横杆12を補強杆7、7に設けられた係合爪8、8に係合され、位置決めされ、ロックバー17はレバー18によって再び下降される。そして、上方の補強横杆12に対してはフック状をした固定金具19が掛けられ、形成された形態がずれないようにロックされる。この固定金具19は補強杆7、7の一部に連結しておくと良い。
【0022】
さらに、この四輪斜め型から水平型にパターン変更する時は、前記した固定金具19を外し、レバー18によってロックバー17を上昇させ、ロックを解除して、杆材1、1を下降させる事によりなされる。この杆材1、1が作業場表面と水平位置とされると、連結補強杆材5が、第二杆材9、9の下方に設けられている受フック20、20に嵌まり、位置決めされる。この際に荷受プレート4の遊端は垂直に上方に向けられ、積載される荷物の滑り止めとされる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本実施例における台車は上記のように構成されている。この構成に加え、オプションとしてバッグを装着することも可能で、このバッグを装着すると、必要書類、工具類等も荷物と同時に搬送することができ、作業が行ない易くなる。又、水平型とした場合、側面に囲い板を取り付けると、全体が箱型となり、複数のこまごまとした荷を載せても滑り落ちてしまう事態が避けられる。
【符号の説明】
【0024】
1 杆材
2 グリップ
3 キャスター
4 荷受プレート
5 連結補強杆材
6 連結補強杆材
7 補強杆
8 係合爪
9 第二杆材
10 グリップ
11 小径キャスター
12 補強横杆
13 補強横杆
14 枢動杆
15 補強杆
16 チェーン
17 ロックバー
18 レバー
19 固定金具
20 受フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の平行で長尺な杆材を有し、その各杆材の一端にグリップを備え、他端の一方側にキャスターを、他方側に荷受プレートを備え、前記杆材のグリップ側と、中程には連絡補強杆材をそれぞれ設け、その中程の連結補強杆材に枢支され、前記グリップ側へ枢動する一対の平行な第二杆材を備え、その第二杆材の上端には各々第二グリップを備え、下端には小径キャスターを備えていることを特徴とする台車。
【請求項2】
前記した第二杆材は前記した中程の連結補強杆材にロックされ、そのロックを解除して枢動された時は、前記した連結補強杆材間に架設された架渡杆材に設けられた係合爪と掛合され、固定金具でロック位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記した第二杆材の枢動状態からロックを解除して、さらに枢動された時、前記した杆材は作業場表面と略平行となり、荷載部分が水平状態とされることを特徴とする請求項2に記載の台車。
【請求項4】
前記したロックとその解除作業は第二杆材間のグリップ側に設けられたレバーと、そのレバーにより摺動されるロックバーとより構成されることを特徴とする請求項2から3に記載のうち1項に記載の台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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