説明

合わせガラス用中間膜および合わせガラス

【課題】 本発明の目的は、優れた透明性及び耐可塑剤性を持ち、また耐湿性、耐候性、耐衝撃性など合わせガラスに必要な基本特性を損なうことなく、常温で保管が可能であり、製造工程では調湿および140〜150℃の合わせ加工温度を必要とせずに、比較的低温でポリカーボネート等の合成樹脂板とガラス板の両方に合わせ加工が可能な合わせガラス用中間膜およびそれを用いた合わせガラスを提供することにある。
【解決手段】 (A)エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対し、(B)水素化ジシクロペンタジエン系石油樹脂5〜40重量部と(C)モノアミノ系シランカップリング剤0.01〜4重量部とを含有する樹脂組成物により目的が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体を主成分とする中間膜およびこの中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、合わせガラスは、自動車用安全ガラス板、車両サイド窓用の合わせガラス、公共施設や運動施設などのグレージング材料、間仕切り、防犯用ドアなどに広く用いられており、その構造は、複数枚のガラス板(ガラス板同士又はガラス板と合成樹脂板を少なくとも2枚を接合する場合を含む)を中間膜を介して合わせ加工したものである。
【0003】
合わせガラス用中間膜としては、可塑剤により可塑化されたポリビニルブチラール樹脂によるものが、ガラス板との優れた接着性、強靭な引っ張り特性、高度の透明性を兼ね備えているため、最も一般的に用いられている。しかしながら、上記ポリビニルブチラール樹脂よりなる中間膜で実際に合わせガラスを製造する場合は、ガラス板との合わせ加工の前に中間膜の調湿加工を必要とし、しかも合わせ加工はオートクレーブによる高温高圧下で行う必要があるため、合わせ加工の作業を煩雑なものにしている。
【0004】
また、透明な合成樹脂板を合わせ加工する場合には、可塑剤が中間膜と合成樹脂板との界面にブリードアウトし、接着性を低下させると共に、合成樹脂板を浸食し、白化させるという欠点があった。
【0005】
上記の欠点の解決策として、(イ)エチレン−酢酸ビニル共重合体に有機過酸化物とシランカップリング剤を配合してなる樹脂組成物から成形した熱架橋性の中間膜が開示されている。(特許文献1)さらに、(ロ)エチレン−酢酸ビニル共重合体またはエチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体に5〜12価の多価アルコールおよびその誘導体と2倍当量のベンズアルデヒドおよびその誘導体の縮合反応生成物やカリックスアレン化合物を透明性改質剤として添加してなる樹脂組成物から成形した合わせガラス用中間膜が開示されている。(特許文献2)また、(ハ)エチレン−酢酸ビニル共重合体またはエチレンーアルキル(メタ)アクリレート共重合体に透明性改良剤、有機官能基と加水分解性基を有するシランカップリング剤、ロジン系樹脂または炭化水素系樹脂などを添加してなる樹脂組成物より形成されていることを特徴とする、合わせガラス用中間膜が開示されている。(特許文献3)
【0006】
(イ)の中間膜は、熱変成時に結晶性が低下するため透明性が向上し、且つ常温保管が可能で合わせ加工前の調湿が不要であり、さらにオートクレーブなしに合わせ加工ができるという利点がある。しかしながら、有機過酸化物の分解により生じたラジカルを熱硬化反応に利用するので、140〜150℃の合わせ加工温度を必要とし、着色した装飾合わせガラスを製造する場合には耐熱色素が必要となり、加工作業性の悪化、コストアップを招くという欠点があった。また、この中間膜を合成樹脂板と合わせ加工する場合には、高温で合成樹脂板が熱変形を起こすという問題点もあった。
【0007】
さらに、(ロ)の中間膜では、透明性、耐湿性、耐衝撃性、合成樹脂板との接着性などの合わせガラスに必要な基本特性を損なうこと無く、膜の自着が無く、調湿を必要とせず、オートクレーブなしに低い加工温度、加工圧力で合わせ加工が可能であるが、ガラス板を金属製の窓サッシに組み込む際に緩衝材として軟質プラスチック製のビード(グレージングチャンネルと呼ばれる)を使用する方法で施工すると、ビード中の可塑剤が合わせガラス端部より中間膜中に移行、拡散し、中間膜/ガラス板界面に剥離が発生するという問題があった。
【0008】
この剥離を生じないような耐久性を耐可塑剤性(または、耐グレージングチャンネル性)と呼んでいる。上記の(イ)及び(ロ)の中間膜はいずれもこの耐可塑剤性の点で問題があった。 また、(ハ)の中間膜では、耐可塑剤性の問題は解決されている。しかしながら、防犯性が高く、より高い透明性が要求されるポリカーボネート等の合成樹脂板を挟んだ合わせガラスに用いた場合、透明性が十分ではなかった。
【0009】
【特許文献1】特公平2−53381号公報
【0010】
【特許文献2】特開平7−2551号公報
【0011】
【特許文献3】特開平9−188548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明の第1の目的は、優れた透明性及び耐可塑剤性を持ち、また耐湿性、耐候性、耐衝撃性など合わせガラスに必要な基本特性を損なうことなく、常温で保管が可能であり、製造工程では調湿および140〜150℃の合わせ加工温度を必要とせずに、比較的低温でポリカーボネート等の合成樹脂板とガラス板の両方に合わせ加工が可能な合わせガラス用中間膜およびそれを用いた合わせガラスを提供することにある。
【0013】
本願発明の第2の目的は、長期間の使用中に中間膜の着色などによる外観不良が生じない合わせガラス用中間膜およびそれを用いた合わせガラスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題に鑑みて本発明者は、上記課題を解決するためにエチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体を主成分とした種々の樹脂組成物について検討した結果、(A)エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対し、(B)水素化ジシクロペンタジエン系石油樹脂5〜40重量部と(C)モノアミノ系シランカップリング剤0.01〜4重量部とを含有する樹脂組成物が、優れた透明性及び耐可塑剤性を持ち、また耐湿性、耐候性、耐衝撃性など合わせガラスに必要な基本特性を損なうことなく、常温で保管が可能であり、製造工程では調湿および140〜150℃の合わせ加工温度を必要とせずに、比較的低温でポリカーボネート等の合成樹脂板とガラス板の両方に合わせ加工が可能であり、さらに(A)エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対し、(B)水素化ジシクロペンタジエン系石油樹脂5〜40重量部と(C)モノアミノ系シランカップリング剤0.01〜4重量部と(D)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.05〜1.5重量部とを含有する樹脂組成物を合わせガラス用中間膜を用いた場合には、得られた合わせガラスを長期間の使用中に中間膜の着色などによる外観不良を防止して長期保存性が向上することを見い出し、本発明を完成させた。
【0015】
本発明の樹脂組成物で用いられるエチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体のアルキル(メタ)アクリレート成分含量は通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは18〜35重量%である。ここで、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体を構成するアルキル(メタ)アクリレートは、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等である。
【0016】
本発明の樹脂組成物で用いられるエチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート成分の含量が50重量%より高すぎると、引張り強度などの機械的強度が低下する傾向がある。逆に、アルキル(メタ)アクリレート成分の含量が5重量%より低すぎると、得られる中間膜の透明性および合わせ加工性が悪くなる傾向がある。
【0017】
本発明の樹脂組成物で用いられるエチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体のメルトインデックス(ASTM D1238に準拠して測定された値、以下「MI」と記す)は、通常は0.1〜500g/10分、好ましくは1〜200g/10分である。MIが0.1g/10分より小さすぎると、得られる中間膜の流動性が低下して合わせ加工性(脱気性、加工時間)が低下する傾向がある。逆に、MIが500g/10分より大きすぎると、得られる合わせガラスの耐衝撃性が低下する傾向がある。
【0018】
本発明の樹脂組成物で用いられるエチレン−(メタ)アクリレート共重合体は、市販されているものを用いることができ、その平均重量分子量は、通常、3,000〜500,000、好ましくは5,000〜300,000、より好ましくは10,000〜250,000である。
【0019】
本発明の樹脂組成物に用いられる水素化ジシクロペンタジエン系石油樹脂とは、ナフサの熱分解により得たC5留分などを原料とするジシクロペンタジエン樹脂を水素化したものである。 本発明に用いられる水素化ジシクロペンタジエン系石油樹脂における水素添加率は通常、80%以上、好ましくは90%以上である。また、水素化石油樹脂の軟化点は70〜130℃であるのが好ましい。 また、上記水素化石油樹脂は、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対して、5〜40重量部、好ましくは10〜20重量部の範囲で配合される。水素化石油樹脂の配合量が5重量部より低すぎると、得られる合わせガラス中間膜の透明性改善効果が不充分となり、40重量部より高すぎると、得られる中間膜の粘着性が高くなり加工性が悪くなる。また、水素化ジシクロペンタジエン系石油樹脂以外の石油樹脂を配合した場合は、本発明の樹脂組成物よりも合わせガラス用中間膜として成形した場合の透明性が劣る。
【0020】
本発明の樹脂組成物に用いられるモノアミノ系シランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。また、モノアミノ系シランカップリング剤以外の石油樹脂を配合した場合は、本発明の樹脂組成物よりも合わせガラス用中間膜として成形した場合、ポリカーボネートとガラスとを接着することができなかったり、接着できても長期間の使用中に中間膜の着色などによる外観不良が発生する。
【0021】
本発明の樹脂組成物に用いられるモノアミノ系シランカップリング剤は、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対して、0.01〜4重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部の範囲で配合される。上記樹脂組成物中、シランカップリング剤の含有量が0.01重量部より低すぎると得られる中間膜の接着性の向上効果が認められず、また4重量部より高すぎると得られる中間膜や合わせガラスの透明性が低下する。
【0022】
本発明の樹脂組成物に必要に応じて用いられるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(共同薬品社製「バイオソーブ550」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’, 5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(共同薬品社製「バイオソーブ580」)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(共同薬品社製「バイオソーブ583」)などが挙げられる。 その中でも特に、塩素原子を含まない化合物である2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤を配合した場合は、本発明の樹脂組成物よりも透明性の低下や、長期間の使用中に中間膜の着色などによる外観不良を抑制する効果において、充分な効果が得られない。
【0023】
本発明の樹脂組成物に必要に応じて用いられるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対して、通常、0.05〜1.5重量部、好ましくは0.1〜0.8重量部である。
【0024】
さらに本発明の樹脂組成物には、紫外線吸収剤に相乗効果を持たせる目的で、必要に応じてヒンダードアミン系安定剤を添加してもよい。
【0025】
本発明の樹脂組成物に必要に応じて用いられるヒンダードアミン系安定剤しては、一般に市販されているものが用いられ、例えば、三共ライフテック社製 のSanol LS−770、共同薬品社製のバイオソーブ04、チバガイギー社製のChimassorb944LD、Tinuvin622LD、Tinuvin144、旭電化社製のアデカスタブLA−57、LA−62、LA−82等が挙げられる。
【0026】
本発明の樹脂組成物に必要に応じて用いるヒンダードアミン系安定剤は、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対して、通常、0.05〜1.5重量部、好ましくは0.1〜0.8重量部である。
【0027】
さらに本発明の樹脂組成物には、樹脂の劣化を防止する目的で、必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤などを添加してもよい。
【0028】
上記熱安定剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム石鹸、ジアルカノール脂肪族第三級アミンなどが挙げられ、上記酸化防止剤としては、t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](共同薬品社製「SONGNOX1010」)などが挙げられる。

【発明の効果】
【0029】
本発明により、優れた透明性を持ち、また耐湿性、耐候性、耐衝撃性、耐可塑剤性など合わせガラスに必要な基本特性を損なうことなく、ポリカーボネート等の合成樹脂板とガラス板との両方に良好な接着性能を有し、常温で保管が可能であり、製造工程では調湿および140〜150℃の合わせ加工温度を必要とせずに、比較的低温でポリカーボネート等の合成樹脂板とガラス板との合わせ加工が可能な合わせガラス用中間膜およびそれを用いた合わせガラスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
アクリフトCG4002(エチレン−アクリル酸メチル共重合体 重量平均分子量 10万;住友化学製)90重量%、水素化ジシクロペンタジエン樹脂(エスコレッツ5380;トーネックス製)10重量%からなる樹脂組成物100重量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー製)0.1重量部加えたものについてブラベンダー社製プラスチコーダーを用いて150℃、50回転/分、10分間、溶融混練し、樹脂組成物Aを得た。
【実施例2】
【0032】
アクリフトCG4002;80重量%、水素化ジシクロペンタジエン樹脂(エスコレッツ5380;トーネックス製)20重量%からなる樹脂組成物100重量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1重量部加えたものについて実施例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Bを得た。
【実施例3】
【0033】
アクリフトCG4002;70重量%、水素化ジシクロペンタジエン樹脂(エスコレッツ5380;トーネックス製)30重量%からなる樹脂組成物100重量部に、3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1重量部加えたものについて実施例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Cを得た。
【0034】
(比較例1)
アクリフトCG4002;100重量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1部重量部加えたものについてブラベンダー社製プラスチコーダーを用いて150℃、50回転/分、10分間、溶融混練し、樹脂組成物Dを得た。
【0035】
(比較例2)
アクリフトCG4002;90重量%、水素化C9系石油樹脂(アルコンP125;荒川化学製)10重量%からなる樹脂組成物100重量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1重量部加えたものについて比較例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Eを得た。
【0036】
(比較例3)
アクリフトCG4002;90重量%、水素化テルペン樹脂(クリアロンP125;ヤスハラケミカル)10重量%からなる樹脂組成物100重量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1部重量部加えたものについて比較例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Fを得た。
【0037】
(比較例4)
アクリフトCG4002;90重量%、未水添スチレン系オリゴマー(FTR6100;三井化学社製)10重量%からなる樹脂組成物100重量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1部重量部加えたものについて比較例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Gを得た。
【実施例4】
【0038】
アクリフトWK307(エチレン−メタクリル酸メチル共重合体 重量平均分子量 10万;住友化学製);90重量%、水素化ジシクロペンタジエン樹脂(エスコレッツ5300;トーネックス製)10重量%からなる樹脂組成物100重量部に3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1部重量部加えたものについて実施例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Hを得た。
【実施例5】
【0039】
アクリフトWK307;90重量%、水素化ジシクロペンタジエン樹脂(エスコレッツ5300;トーネックス製)10重量%からなる樹脂組成物100重量部に3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.1部重量部加えたものについて実施例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Iを得た。
【0040】
(比較例5)
アクリフトWK307;90重量%、水素化ジシクロペンタジエン樹脂(エスコレッツ5300;トーネックス製)10重量%からなる樹脂組成物100重量部にN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1部重量部加えたものについて比較例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Jを得た。
【0041】
(比較例6)
アクリフトWK307;90重量%、水素化ジシクロペンタジエン樹脂(エスコレッツ5300;トーネックス製)10重量%からなる樹脂組成物100重量部に3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン0.1部重量部加えたものについて比較例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Kを得た。
【0042】
(比較例7)
アクリフトWK307;90重量%、水素化ジシクロペンタジエン樹脂(エスコレッツ5300;トーネックス製)10重量%からなる樹脂組成物100重量部に3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン0.1部重量部加えたものについて比較例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Lを得た。
【実施例6】
【0043】
アクリフトCG4002;90重量%、水素化ジシクロペンタジエン樹脂(エスコレッツ5400;トーネックス製)10重量%からなる樹脂組成物100重量部に、3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1部重量部、バイオソーブ580(紫外線吸収剤;共同薬品社製)を0.2重量部、バイオソーブ04(ヒンダードアミン系安定剤;共同薬品社製)を0.2重量部加えたものについて、実施例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Mを得た。
【実施例7】
【0044】
アクリフトCG4002;90重量%、水素化ジシクロペンタジエン樹脂(エスコレッツ5400;トーネックス製)10重量%からなる樹脂組成物100重量部に、3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1部重量部、バイオソーブ583(紫外線吸収剤;共同薬品社製)を0.2重量部、バイオソーブ04(ヒンダードアミン系安定剤;共同薬品社製)を0.2重量部加えたものについて、実施例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Nを得た。
【実施例8】
【0045】
アクリフトCG4002;90重量%、水素化ジシクロペンタジエン樹脂(エスコレッツ5400;トーネックス製)10重量%からなる樹脂組成物100重量部に、3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1部重量部を加えたものについて、実施例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Oを得た。
【実施例9】
【0046】
アクリフトCG4002;90重量%、水素化ジシクロペンタジエン樹脂(エスコレッツ5400;トーネックス製)10重量%からなる樹脂組成物100重量部に、3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1部重量部、バイオソーブ04(ヒンダードアミン系安定剤;共同薬品社製)を0.2重量部を加えたものについて、実施例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Pを得た。
【0047】
[接着性試験]
実施例1〜9および比較例1〜7によって得られたホットメルト接着剤組成物を、下記の被着体での接着を行い、剥離試験によりその剥離強度を測定した。
被着体 ポリカーボネート(PC)/強化ガラス
ポリカーボネート・・・エンジニアリングテストサービス製 0.1×25×150mm
強化ガラス・・・エンジニアリングテストサービス製 3×25×100mm
(接着条件)
各被着体に前記中間膜を挟み、さらに両端をクリップで挟んで約0.03MPaで圧締し、熱風循環式オーブン内120℃、15分間維持後、自然冷却した。
(剥離試験)
上記の方法により接着した被着体の180°剥離強度を測定した。(単位 N/25mm)剥離試験での引張速度及び測定温度は次の通りである。
引張速度=50mm/min
測定温度=25℃
【0048】
[透明性試験]
(合わせガラスの作成)
実施例1〜9および比較例1〜7によって得られたホットメルト接着剤組成物を、それぞれ熱プレスで厚さ約200μmのシートに成形した。次に得られたシートをガラス板(JISR3202 日本エンジニアリングテストサービス製 2mm×90mm×90mm)に挟み、このサンドイッチ体をシリコンシートで挟んでヒートプレス(120℃、5分)にてホットメルトフィルムを溶融圧着させ貼り合せた。
その後、オーブン中で4時間かけて室温まで冷却し、合わせガラスを製作した。
上記の方法で得られた合わせガラスについて、直読ヘイズメーター(スガ試験機製)を用い、全光線透過率(%)及びヘイズ(曇価)(%)を測定した。
【0049】
[着色促進試験]
実施例1〜9および比較例1〜9によって得られたホットメルト接着剤組成物を、それぞれ熱プレスで厚さ約1.5mmのシートに成形した。このシートを裁断して複数の試験片とし、これを熱風循環式オーブン内200℃、1時間養生した後、自然冷却した。
(判定)
上記試験片の着色促進試験前後での試験片の色相を目視により比較し判定を行った。
◎変化無し、○やや着色、×濃い着色
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対し、(B)水素化ジシクロペンタジエン系石油樹脂5〜40重量部と(C)モノアミノ系シランカップリング剤0.01〜4重量部とを含有する樹脂組成物を用いることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
(A)エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対し、(B)水素化ジシクロペンタジエン系石油樹脂5〜40重量部と(C)モノアミノ系シランカップリング剤0.01〜4重量部と(D)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.05〜1.5重量部とを含有する樹脂組成物を用いることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の合わせガラス用中間膜を用いてガラス板同士又はガラス板と合成樹脂板を少なくとも2枚接合してなる合わせガラス。

【公開番号】特開2006−137613(P2006−137613A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325764(P2004−325764)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000216243)田岡化学工業株式会社 (115)
【Fターム(参考)】