説明

合成樹脂製床タイル

【課題】 防汚性や耐擦傷性が大幅に向上した清掃性及び耐久性に優れた合成樹脂製床タイルの提供
【解決手段】 合成樹脂製基材の表面に化粧層を積層し、該化粧層の上に透明もしくは半透明の表面保護層を設けてなる合成樹脂製床タイルにおいて、該透明もしくは半透明の表面保護層が複層の塗膜からなることを特徴とする、防汚性及び耐擦傷性に優れた合成樹脂製床タイル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に土足で使用される施設の床に敷設する合成樹脂製床タイルに関するものであり、詳細には施設内に持ち込まれた土・砂などの踏みつけや物品の引き摺りなどによる傷付きが防止でき、即ち、防汚性及び耐擦傷性に優れ、光沢度が高く、またそれらの効果が持続的で耐久性に優れるため、ワックスを使用したメンテナンス作業等を必要としない合成樹脂製床タイルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種店舗や事務所、病院、老建施設、学校、その他の各種公共施設などの床には清掃を容易にしたり、清潔感や高級感を出す為に合成樹脂製の床仕上げ材が敷設され、その表面には床仕上げ材の保護と床面の光沢維持の目的でワックスを使用したメンテナンスが使用場所の歩行量に応じて行われている。
【0003】
前記の施設は通常土足で使用される為、履物の底に付着して施設内に持ち込まれる土・砂などを歩行時に踏みつける事により、ワックス層はもとより床仕上げ材の表面に達する擦り傷やワックス層の摩滅により短期間の内に光沢が低下する為、損傷したワックス層をポリッシングなどにより修復したり、ワックス層が摩耗した場合はワックスを塗布するなど、かなり頻繁にメンテナンスを行い床面の光沢を一定の範囲に維持する必要があった。
【0004】
又、古くなって汚れの付着などで変色したワックス層は、強アルカリ性の剥離剤を使用しワックス層を破壊し床面より剥離・除去した後、新たなワックスを塗布する必要があった。
【0005】
以上の様な床のメンテナンスは、それぞれの施設を訪れる人の歩行量や土・砂持込などの使用環境などによる床面の損耗状態に対応して行われており、例えばコンビニエンスストアの様に道路に面し来客数の多い店舗ではかなりの頻度で行わなければならなかった。
【0006】
しかも、メンテナンス作業は、クリーナーを使用した床面洗浄、乾燥、ワックス塗布(損耗の状態によって数回重ね塗り)、ワックスの乾燥、ポリッシングなど一連の作業を行う必要があり、店舗を一時閉鎖するか、店舗内を区画して作業を行わなければならなかった。又、作業自体もかなりの労力を要し、作業の過程で発生する汚れを含んだ汚水や、剥離を行う場合は強アルカリ性の廃液などの処理が必要であった。
【0007】
以上の様なワックスを使用した床メンテナンス作業を改善する目的で、表面に耐擦傷性や防汚性を向上する目的で表面保護塗膜を設けた床仕上げ材も開発されているが、初期段階での効果は認められるものの、表面保護塗膜の耐久性がなく該塗膜が損耗した後は、ワックスによるメンテナンスを行う必要があった。
【0008】
以上の様な問題を改善する目的で、合成樹脂製床仕上げ材の表面に塗装などの手段で高硬度の表面保護層を設けたり、耐摩耗性を向上するために減摩剤を添加した表面保護層を設けて、ワックスを塗布する必要のない床仕上げ材の開発が行われている。
【0009】
しかしながら、合成樹脂製床仕上げ材の表面に高硬度の表面保護層を設けた場合は、通常のワックスの場合よりは耐久性が優れているものの、施設内に持ち込まれた土・砂などの踏みつけや物品の引き摺りなどによる傷付きを防止するには不充分であり、又、減摩剤を添加した表面保護層を設けた場合は、耐久性や傷付き防止に効果が認められるものの、減摩剤の影響で光沢度の高い表面保護層が得られず意匠性に制約があるばかりでなく、耐
久性や傷つき防止効果のより高い、粒径の大きな減摩剤を使用した場合、減摩剤による表面の凹凸に汚れが堆積して容易に除去出来ないとか、歩行時に靴裏が突っ掛かり歩行し難いなどの床仕上げ材として基本的な問題があった。
【0010】
もちろん、粒度の小さい減摩剤を使用し表面保護層を平滑にする事で、汚れが堆積し難い表面状態にする事は可能であるが、合成樹脂層の摩耗に伴い減摩剤も脱落し減摩剤の効果が持続せず、耐久性や傷付き防止効果が持続しない問題があった。
【0011】
一方、基材の表面上に減摩剤を含む塗膜層を含む複数の塗膜層を形成させることにより耐摩耗性を向上させる方法が開示されている。
【0012】
特許文献1には、床、階段、縁側などの屋内用途において高い耐摩耗性が得られる木質材を製造する方法として、木質材の表面に形成された下地塗料層上に第1の塗料を塗布し、該塗料が未硬化のうちに減摩剤を散布し、第1の塗料が硬化した後、第2の塗料を塗布・硬化することによる耐摩耗性木質材の製造方法が開示されている。
【0013】
特許文献2には、層間強度が高く、耐摩耗性や耐スクラッチ性にも優れ、耐水性も向上した、建具や家具、什器、床材等の建装材用途の化粧板として、木質基材の表面に、化粧紙を貼着し、その表面に、無機材料からなる減摩剤が添加された合成樹脂による保護層を設け、その上に更に減摩剤が添加されていない合成樹脂層を設けた化粧板が開示されている。
【0014】
特許文献3には、浴室脱衣所や洗面所、厨房等にも使用可能な耐水性を備えると共に、耐キャスター性等の耐凹み傷性にも優れており、しかも従来の木質系フローリング材に匹敵する意匠感をも付与可能な床用化粧シートとして、十分な強度と耐水性を有する硬質シート層の表面に熱可塑性樹脂層を主体として構成されており、該熱可塑性樹脂の表面には、2液硬化型ウレタン系リコート性樹脂層を介して、電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層が設けられており、該表面保護層には減摩剤が添加されていると共に、該表面保護層の表面には、該減摩剤の突出による微細凸部を有する化粧シートよりなる床用化粧シートが開示されている。
【特許文献1】特開2001−1315号公報
【特許文献2】特開2001−315259号公報
【特許文献3】特開2003−34011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、主に土足で使用される施設の床に敷設する合成樹脂製床タイルであって、施設内に持ち込まれた土・砂などの踏みつけや物品の引き摺りなどによる傷付きが防止でき、即ち、防汚性及び耐擦傷性に優れ、光沢度が高く、またそれらの効果が持続的で耐久性に優れるため、ワックスを使用したメンテナンス作業等を必要としない合成樹脂製床タイルの提供を課題とする。
【0016】
本発明のタイルは、主に土足で使用される施設の床に敷設されるが、それは、通常、比較的広い面積を有する、コンクリート等の床下地材上に接着剤を使用して施工するか又は接着剤を使用しない置き敷きにより施工される。
【0017】
特許文献1に記載の耐摩耗性木質材を上記の用途で施工した場合、木質材の厚みのために段差を生じ易く、該木質材1枚でカバーしうる床面積には限度があるため木質材間に継ぎ目が生じ、ここに汚れが溜まったり、土・砂などの踏みつけや物品の引き摺りなどによる塗料の剥離等が懸念される。また、木質材は柔軟性に欠けるため、局部苛重や動荷重な
どで凹みが生じたり変形することが考えられ、耐久性や美観の低下も懸念される。また、木質材は、かさばるため、施工の際の運搬や作業性にも問題があり、更にコスト的にも問題がある。
【0018】
特許文献2に記載の化粧板は、特許文献1に記載の耐摩耗性木質材に比して、薄くできること及び比較的広い面積をカバーしうるものであるが、敷地全体を1枚の化粧板でカバーすることは事実上不可能であり、また、表面積の大きな化粧板では運搬や作業性を悪化させる。そのため複数の化粧板が使用され、これにより継ぎ目が生じることとなり、結果として上記と同じ問題を生じる。更に木質基材を用いているため、局部苛重や動荷重などで凹みが生じたり変形することを回避することができないのは上記と同様である。
【0019】
特許文献3に記載の床用化粧シートは、基材として合成樹脂等の硬質シートを用いるため、薄くでき、且つ敷地全体をカバーすることができる点で優れたものといえる。しかし該床用化粧シートは、浴室脱衣所や洗面所、厨房等の主に水を使う場所で、且つ、素足及びそれに類する態様で使用することが想定されているため、土・砂などの踏みつけや物品の引き摺りなどによる傷付きが防止でき、且つ耐久性に優れる構成になっておらず、また、滑り止めのために、表面に微細凸部が設けられているため光沢性を有しておらず、上記の要求される特性を満たしうるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、合成樹脂製床タイルの表面に、最上層が減摩剤を添加しない鉛筆硬度2H以上の塗膜で、該最上層の下面側の少なくとも1層が減摩剤を添加した、最上層よりも鉛筆硬度で1ランク以上低い塗膜である複層の表面保護層を設ける事により、土・砂などの踏みつけや物品の引き摺りなどによる傷付きが防止でき、即ち、防汚性及び耐擦傷性に優れ、光沢度が高く、またそれらの効果が持続的で耐久性に優れるため、ワックスを使用したメンテナンス作業等を必要としない合成樹脂製床タイルとなることを見い出し本発明を完成させた。
【0021】
即ち、本発明は、
1.合成樹脂製基材の表面に化粧層を積層し、該化粧層の上に透明もしくは半透明の複層の塗膜からなる表面保護層を設けてなる合成樹脂製床タイルであって、該複層の塗膜のうち最上層が減摩剤を添加しない鉛筆硬度2H以上の塗膜からなり、該最上層の下面側の少なくとも1層が減摩剤を添加した、最上層よりも鉛筆硬度で1ランク以上低い塗膜からなることを特徴とする、防汚性及び耐擦傷性に優れた合成樹脂製床タイル、
2.前記表面保護層が減摩剤を添加しない上層と減摩剤を添加した下層との2層からなる前記1.に記載の合成樹脂製床タイル、
3.前記減摩剤を添加した塗膜の上面及び/または下面側にプライマー層を設けたことを
特徴とする前記1.に記載の合成樹脂製床タイル、
4.前記化粧層と表面保護層の間にプライマー層を設けたことを特徴とする前記1.又は2.に記載の合成樹脂製床タイル、
5.前記減摩剤の平均粒径が5〜100μmであり、該減摩剤の平均粒径が減摩剤を添加した塗膜厚より大きく、結果として減摩剤が減摩剤を添加した塗膜より突出している前記1.ないし4.の何れか1つに記載の合成樹脂製床タイル、
6.塗膜より突出した減摩剤を研磨し、減摩剤の突出の程度を平均化した前記5.に記載の合成樹脂製タイル、
7.最上層の表面から減摩剤の突出部の頂点までの垂直距離(減摩剤の被覆厚)が1ないし30μmの範囲である前記6.に記載の合成樹脂製タイル、
に関するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、従来のワックスによる床メンテナンス作業の問題を改善する目的でなされたもので、合成樹脂製床タイルの表面に、最上層が減摩剤を添加しない鉛筆硬度2H以上の塗膜で、該最上層の下面側の少なくとも1層が減摩剤を添加した、最上層よりも鉛筆硬度で1ランク以上低い塗膜である複層の表面保護層を設ける事により、防汚性及び耐擦傷性を大幅に向上させると共に表面保護層の耐久性を大幅に向上させ、ワックスを使用しないメンテナンスが可能な合成樹脂製床タイルを提供するものである。
【0023】
本発明の合成樹脂製床タイルは、高い防汚性及び耐擦傷性を得るために、表面保護層の最上層に鉛筆硬度2H以上の塗膜を使用する。しかしこのような、高強度で強靭な塗膜は硬化の際に収縮が大きく、また、未塗装床タイルとの表面硬度の差が大きくなるため、硬化の際に塗膜に亀裂が発生したり、床として使用する際に局部荷重(静止荷重や移動荷重)により塗膜に亀裂が入りやすくなる。
【0024】
最上層の下面側の少なくとも1層を、減摩剤を添加した、最上層よりも鉛筆硬度で1ランク以上低い塗膜とすることにより、該塗膜は、減摩剤を塗膜中にしっかりと保持する接着層の役割だけでなく、最上層と未塗装床タイル間の緩衝層としての役割をも果たすと考えられ、これにより上記の問題を解決し、結果として高い防汚性及び耐擦傷性を示すものと考えられる。
【0025】
本発明の好ましい合成樹脂製床タイルは、表面保護層の下面側の塗膜に、該塗膜から突出し且つ、その表面に塗布する塗膜の厚さを超えない粒径の減摩剤層を形成し、その表面に減摩剤が露出しない程度の厚さで上面側の塗膜を形成する。
【0026】
これにより、当該床タイル上で土・砂などが踏み付けられた場合、複層の塗膜に内包された減摩剤により土・砂の塗膜への侵入が防止され傷を抑制すると同時に、傷が付いた場合でも傷の深さを浅くし、表面保護層の耐久性を著しく高めると共に、表面の平滑化が図れることで汚れが付き難く汚れを除去し易いという、メンテナンスに対する優れた特性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に使用する合成樹脂製基材は、単層又は複層の合成樹脂組成物からなり、寸法安定性を確保する目的で、繊維質シートの単層乃至複層を該合成樹脂組成物層間に介在させることができる。
【0028】
本発明の合成樹脂製床タイルを接着剤を使用し床下地材上に施工する場合は、前記繊維質シートを介在させない単層又は複層からなる通常の合成樹脂製床タイルが本発明の合成樹脂製基材として使用できるが、粘着性の感圧接着剤による全面接着や、該感圧接着剤、両面粘着テープ、ホットメルト接着剤等による部分接着、或いは接着剤を使用しない置き敷きにより施工する場合は、寸法安定性を確保する為に繊維質シートの単層乃至は複層を、該合成樹脂基材を構成する合成樹脂組成物シート間に介在させる事が必要である。
【0029】
また、前記繊維質シートは、本発明の合成樹脂製床タイルの上反りを防止するため、単層を介在させる場合は、該床タイルの厚さの中心より表面側に、また複層を介在させる場合は、最上層の繊維質シートの表面側の合成樹脂層の厚さよりも、最下層の繊維質シートの裏面側の合成樹脂層の厚さが厚くなるように積層する必要があるが、使用する合成樹脂層の硬さや該合成樹脂層を成形する際の内部歪の程度などにより変化するため、繊維質シートを介在させる正確な位置は実際の製品で反りの状態を確認し設定する必要がある。
【0030】
更に、本発明の合成樹脂製床タイルを、粘着性の感圧接着剤による全面接着や、該感圧接着剤、両面粘着テープ、ホットメルト接着剤等による部分接着、或いは接着剤を使用し
ない置き敷きにより施工する場合、繊維質シートは、該床タイルの厚さ方向の上反りや逆反り、水平方向の寸法変化を抑制すると共に、該床タイルの施工時のカッティング性や敷設性の確保、更に使用中の移動荷重による捲れ等の防止のために剛性を調整する事が重要であり、単層よりも複層使用する事が好ましい。即ち、繊維質シートが単層の場合、構造的に厚さ方向に柔軟性があるため床下地になじみ易く下地の不陸がそのまま出てしまうばかりでなく、繊維質シートの介在位置を正確に設定しないと厚さ方向の反り(上反り、逆反り)が出やすい欠点があるが、2層以上介在させる事で構造的に厚さ方向で剛性が高く
なり前述の下地の不陸をカバーすると共に、厚さ方向の反りも出難くなる。更に、繊維質シートを増やす事で本発明の合成樹脂製床タイルの合成や寸法安定性が向上するが、余りに剛性が高くなり下地の不陸の影響で該床タイルの目地段差が発生したり、コスト高となるため、使用する繊維質シートの数は床としての機能面とコスト面より設定する必要がある。
【0031】
また、合成樹脂基材は、表面にかかる局部荷重や動荷重などで凹み難く、凹み量を極力小さくする事が好ましく、特に、柔軟性のある合成樹脂組成物を使用した場合は、該合成樹脂製基材の表面及び/または該合成樹脂製基材に積層した化粧層の表面に、剛性が高く強靭な合成樹脂層を積層する事が望ましい。特に、表面保護層の最上層の塗膜硬度が高い場合は、より剛性が高く強靭な合成樹脂層を積層する事が望ましい。
【0032】
本発明の合成樹脂製基材に使用する合成樹脂組成物としては、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂、エチレン−アクリル共重合樹脂、その他の共重合樹脂等の単独または複数混合した熱可塑性合成樹脂組成物の他、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の単独または複数混合した熱硬化性合成樹脂組成物等通常床材として使用されるものが使用できる。
【0033】
また、柔軟性のある合成樹脂組成物を使用した場合にその表面に積層する剛性が高く強靭な合成樹脂層としては、硬質塩化ビニル樹脂組成物、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−アクリル共重合樹脂等の熱可塑性合成樹脂組成物の他、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性合成樹脂組成物等の透明乃至不透明なフィルムやシートを、柔軟性のある合成樹脂組成物層の表面に、加熱貼り合せ、接着剤を介して貼り合せ、被接着面が化学的に不活性な合成樹脂組成物はコロナ処理、プラズマ処理等通常の手段で表面を活性化して必要に応じてプライマー処理した後加熱貼り合せ及び/又は接着剤を介して貼り合せ等、通常の手段で積層することができる。
【0034】
本発明の合成樹脂製基材に使用する繊維質シートとしては、ガラス繊維、ロックウール、金属繊維、その他の無機繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリプロビレン繊維、パルプ、コットン、レーヨンその他の有機繊維の少なくとも1種以上からなる、無機質及び/又は有機質の織布、不織布、編布等や、該無機質及
び/又は有機質の織布、不織布、編布等に液状合成樹脂組成物を含浸したもの、該無機質及び/又は有機質の織布、不織布、編布等に合成樹脂フィルムやシートを通常の手段で貼り合せたもの等が使用できる。
【0035】
本発明の合成樹脂製基材の表面に積層する化粧層は、合成樹脂フィルムやシートに、グラビア印刷、オフセット印刷、オフセットグラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、スパッタ塗装、インクジェット印刷等通常の方法で
印刷したもの、合成樹脂製着色粒状物及び/又はチップの単色や多色混合・焼結により形成したもの、合成樹脂製着色粒状物を圧延する事により流れ模様を形成したもの、無地又は任意の模様に合成樹脂製及び/又は無機質着色粒状物やチップ、箔状物等を散布する事により形成したもの等、通常の化粧方法により形成したものが使用できる。
【0036】
又、積層方法については、加熱ラミネート、接着剤を使用したウエットラミネートやドライラミネートなど通常の方法が使用できる。
【0037】
本発明の合成樹脂製床タイルの最上層に形成する表面保護層は、2層以上の複層の塗膜で構成され、該塗膜の少なくとも1層に減摩剤が添加されたものであり、その構成は、該
複層の塗膜の最上層が減摩剤を添加しない塗膜からなり該最上層の下面側の少なくとも1
層が減摩剤を添加した塗膜からなることを特徴とし、また他の構成としては、前記表面保護層が減摩剤を添加しない上層と減摩剤を添加した下層との2層からなることを特徴としている。
【0038】
そして、前記複層の塗膜の最上層が鉛筆硬度2H以上の塗膜であり、下面側の層の硬度は表面層と同じかそれ以下であり、更に減摩剤を添加した塗膜の硬度は表面層より鉛筆硬度で1ランク以上低くされる。これは、本発明の目的である防汚性及び耐擦傷性を改善するために、表面保護層の最上層に鉛筆硬度2H以上の非常に硬く強靭な塗膜を設ける事が必要であるが、該高強度・強靭な塗膜は硬化の際に収縮が大きい事、及び該高強度・強靭な塗膜の硬度と未塗装床タイルの表面硬度との差が大きい事等により、硬化の際に塗膜に亀裂が発生したり、床として使用する際に局部荷重(静止荷重や移動荷重)により塗膜に亀裂が入る問題があるため、これらの問題を改良するための緩衝層としての役割と、減摩剤を塗膜中にしっかりと保持する接着層としての役割を持たせるために、表面保護層の最上層と未塗装床タイル表面との間に、両者の中間の硬さを持った層を導入する事が必要なためである。もちろん、この緩衝層と減摩剤の接着層の機能を夫々に持たせた層を別々に形成する事もできるが、その場合は緩衝層を、必要に応じプライマー層を設けた未塗装床タイルの表面に形成し、その上部に減摩剤の接着層(減摩剤を添加した塗膜層)、更にその上部に高強度・強靭な最上層塗膜を設けることが出来る。
【0039】
前記減摩剤を添加した塗膜の硬度は、鉛筆硬度で3B〜6Hの範囲が望ましい。該塗膜の硬度が3B未満の場合、塗膜が軟らかすぎて減摩剤の保持力が低下し床として使用中に減摩剤が脱落する等の問題があり、一方該塗膜の硬度が6Hを超えると、塗膜が硬くなり過ぎて減摩剤の保有力が低下し、脆くて亀裂が入り易くなる等の問題がある。
又、前記の化粧層と表面保護層の間、前記減摩剤を添加した塗膜の上面及び/または下面側に必要に応じてプライマー層を設けることができる。
【0040】
本発明の表面保護層を形成する塗膜の厚さは、総厚で5〜100μmが好ましく、更に好ましくは10〜70μmの範囲とするのが好ましい。塗膜の総厚が5μm未満の場合、使用できる減摩剤の粒径が小さくなり耐擦傷性が低下するばかりでなく、該表面保護層の耐久性が低下し本発明の目的を達成できないものである。又、塗膜の総厚が100μmを超えると、塗膜の硬化時の収縮により上反りを生じ床材として好ましくないばかりかコスト高となる等の問題がある。
【0041】
減摩剤を添加する塗膜厚さは、2〜50μmが好ましく、更に好ましくは5〜40μmの範囲とするのが好ましい。そして、最上層に形成される表面塗膜の厚さは、前記減摩剤を添加した塗膜から突出する減摩剤からの厚さ、即ち、最上層の表面から減摩剤の突出部の頂点までの垂直距離(減摩剤の被覆厚)が1〜30μmの範囲とするのが好ましい。減摩剤を添加する塗膜厚さが2μm未満の場合、上述の通り使用する減摩剤の粒径が小さくなり耐擦傷性が低下するばかりでなく、該表面保護層の耐久性が低下し本発明の目的を達
成できないものである。又、減摩剤を添加する塗膜厚さが50μmを越えると、上述の通り塗膜の硬化時の収縮により上反りを生じ床材として好ましくないばかりかコスト高となる等の問題がある。
【0042】
最上層に形成される表面塗膜の厚さが、前記減摩剤を添加した塗膜から突出する減摩剤からの厚さ、即ち、最上層の表面から減摩剤の突出部の頂点までの垂直距離(減摩剤の被覆厚)が1μm未満の場合、減摩剤を被覆する厚さが極めて薄くなり減摩剤が表面に露出し、汚れが付着し易くなると共に付着した汚れが除去し難くなり、本発明の目的を達成できないものである。又、該表面塗膜の減摩剤からの厚さ、即ち、最上層の表面から減摩剤の突出部の頂点までの垂直距離が30μmを超えると、踏み付けられた土・砂等の鉱物質による傷の深さが深くなり、傷へ汚れが溜まって容易に除去できなくなると共に、汚れと傷が目立ち本発明の目的が達成できない事となる。
【0043】
本発明の表面保護層を形成する方法としては、一般的な塗装方法が適用されるが、例えば、ロールコーター(ナチュラルロールコーター、リバースロールコーター)、ナイフコーター、カーテンフローコーター、ダイコーター、ディップコーター、リップコーター、コンマコーター、スプレー塗装等から任意に選択する事ができる。
【0044】
塗装方法によっては、塗料の硬化後も塗布ムラ(例えば、ロールコーターの場合のローピング現象やスプレー塗装の場合の小凹凸等)が凹凸として残り、商品として問題があるばかりか、使用時に、凹部に土ホコリが堆積し汚れが目立つだけでなく容易に除去出来なくなる等の問題がある。この問題を改善するためには、塗料の塗布直前に未塗装の床タイルを加熱するか及び/または塗料の塗布直後に該塗料の塗布面を加熱し、該床タイルに塗布した塗料の粘度を大幅に低下させる事により、塗料のレベリングを促進し塗膜の平滑化を図る事が好ましい。この場合の温度は、両方共20〜100℃の範囲が好ましい。20℃未満の場合は、塗料の粘度低下によるレベリングが充分でなく、100℃を超えると床タイル自体が軟化し変形や反り、寸法変化等を起こし床タイルとして使用できなくなる等の問題がある。
【0045】
本発明の表面保護層を形成する塗膜は、常温硬化型や加熱硬化型、紫外線や電子線などの活性エネルギー線の照射により硬化する塗料により形成されるが、設備費用や硬化速度、高架橋密度により本発明の目的とする防汚性や耐擦傷性に優れた塗膜が得られる点で、活性エネルギー線の照射により硬化する塗料を使用するのが好ましい。
【0046】
前記、常温硬化型或いは加熱硬化型塗料としては、1液或いは2液型ウレタン塗料、1液或いは2液型アクリル・ウレタン塗料、メラミン樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、アクリル・シリコン系ハイブリット塗料、パーヒドロポリシラザン系無機塗料などの有機系、有機・無機系、無機系の無溶剤型、溶剤型、水性エマルジョン型塗料が使用できる。
【0047】
又、紫外線や電子線などの活性エネルギー線の照射により硬化する塗料としては、該活性エネルギー線に照射により架橋硬化する二重結合を分子中に少なくとも1以上を有するオリゴマー及び/またはモノマーと、必要に応じて光開始剤、各種添加剤、溶剤などを適宜配合してなる。
【0048】
係るオリゴマーとしては、例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、メラミンアクリレートオリゴマー、ポリブタジエンアクリレートオリゴマー、シリコンアクリレートオリゴマー、アルキドアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、ポリオールアクリレートオリゴマー等のアクリレート系オリゴマー、ウレタンメタクリレートオリゴマー、ポリエステルメタクリレートオリゴマー、エポキシメタクリレートオリゴマー、メラミン
メタクリレートオリゴマー、ポリブタジエンメタクリレートオリゴマー、シリコンメタクリレートオリゴマー、アルキドメタクリレートオリゴマー、ポリエーテルメタクリレートオリゴマー、ポリオールメタクリレートオリゴマー等のメタクリレート系オリゴマー、不飽和ポリエステル樹脂及び不飽和(メタ)アクリル樹脂等の1種または2種以上を使用することができる。
【0049】
モノマーとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とから得られるアクリル又はメタクリル系単官能乃至多官能化合物、トリアリルイソシアヌレート、トリス−(2−メタクリロイルオキシエチル)−イソシアヌレート等のイソシアヌレート化合物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の1分子中に2個
以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と不飽和一塩基酸とから得られるアクリル変成エポキシ樹脂、多価シクロアセタール化合物とグリコール不飽和モノカルボン酸エステルモノオールとの反応性生物である不飽和シクロアセタール化合物、ジアリルフタレート等のほか、スチレン系単量体、メタクリル酸エステル単量体、アクリル酸エステル単量体等の単官能化合物の1種または2種以上を使用することができる。
【0050】
又、前記塗料を紫外線照射により硬化させる場合は光開始剤を添加する必要がある。光開始剤としては、ベンゾイン、α−メチルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、P−ブロムベンゾフェノン、4,4‘−テトラメチルジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、チオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、P−ブロムベンゾフェノン、4,4’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルメチルケタール等のケタール類、ジフェニルジスルフィド、ベンジル等通常使用されるものの1以上が使用できる。
【0051】
前記各種添加剤としては、増感剤、艶消し剤、マット剤、充填剤、消泡剤、湿潤剤、レベリング剤、接着改良剤、分散剤、粘度調整剤、難燃剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、貯蔵安定剤等通常使用されるものが適宜使用される。
【0052】
又、溶剤としては、通常使用される有機溶剤のほか、環境面から水に前記オリゴマー及び/またはモノマー、光開始剤や各種添加剤等を分散したエマルジョンの形で使用される。該溶剤は塗料を塗布した後加熱により揮発除去した後、活性エネルギー線を照射し塗料を硬化させる事が望ましい。
【0053】
活性エネルギー線としては特に限定されないが、前記オリゴマー及び/またはモノマーや必要に応じ添加される光開始剤に作用して、硬化反応を開始せしめるに充分なエネルギーを有するものであれば良く、可視光線、紫外線、γ線、電子線、α線、β線等が利用できるが、照射装置の簡易性、基材に支障を与えない選択的硬化能力、処理コスト等の面から、最も実用性の高いものは紫外線又は電子線である。
【0054】
活性エネルギー線として紫外線を照射する場合、その光源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、マイクロ波のエネルギーにより水銀等の発光物質を励起する事で発生するプラズマの光エネルギーを利用する無
電極UVランプ等の光源が使用できる。
【0055】
照射量は、塗料の処方により適性条件を設定し照射する必要があるが、概ね、20〜2000mj/cmの範囲が好ましい。20mj/cm
未満の場合は、硬化不充分の恐れがあり、2000mj/cmを超える
と合成樹脂製基材を軟化させ、製品の変形や寸法変化を起こしたり該基材を劣化させる等の問題がある。
【0056】
本発明に使用する減摩剤は、平均粒径が3〜60μmの範囲のものが好ましいが、その中にある割合で含まれる平均粒径を大幅に上回る減摩剤については、活性エネルギー線を照射し塗料を硬化した後、減摩剤を添加した塗膜から突出している減摩剤の上部を軽く研磨する事により、減摩剤の突出の程度を平均粒径に合せて平均化するのが好ましい。
【0057】
減摩剤の平均粒径が3μm未満の場合、減摩剤の粒径が小さくなり耐擦傷性が低下するばかりでなく、本発明の表面保護層の耐久性が低下し本発明の目的を達成できないものである。又、減摩剤の平均粒径が60μmを超えると、塗膜が不透明になり意匠性が低下するばかりでなく、コスト高となる等の問題がある。
【0058】
前記減摩剤の種類としては、アルミナ、珪砂、シリカ、カーボランダムアランダムの他セラミック、ガラス等が使用できるが、本発明の目的とする耐擦傷性や前記の研磨加工性、意匠性、本発明の床タイルを施工する際のカッティング性等の面からアルミナや珪砂が望ましい。
【0059】
減摩剤の添加量は、塗料の固形分100質量部に対し、5〜50質量部の範囲が好ましい。該減摩剤の添加量が5質量部未満の場合は、目的とする耐擦傷性が充分でなく、また添加量が50質量部を超えると、塗膜が不透明となり意匠性が低下するばかりでなく、塗料の粘度が大幅に上がり塗布適性が低下すると共に、塗膜自体が脆くなったり床タイルを施工する際のカッティング性が著しく低下する等の問題がある。
以上のようにして得られる、本発明の合成樹脂製床タイルは、例えば、ロール状に巻かれた状態で敷設される場所まで運搬することができ、その場で必要な大きさにカットすることができ、そのまま置き敷きにするか、又は接着剤等で接着する等により容易に設置することができ、作業効率的に、また経済的にも優れている。
【実施例】
【0060】
次に本発明の実施例を揚げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
(実施例−1、2、3)
図3に示す如く、合成樹脂製基材5に70μm厚の塩化ビニル樹脂印刷フィルムの化粧層30及び125μm厚の両面易接着処理ポリエステルフィルム6を積層し未塗装の合成樹脂製床タイルを作成する。
そして、該未塗装の合成樹脂製床タイルを約40℃に加熱した後、硬度約50°の塗布ロールを装着したナチュラルロールコーターを使用し、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型塗料(塗膜の鉛筆硬度:HB)100質量部に粒度#400のアルミナ粉末20質量部添加・混合し、液温約20℃に温調した塗料組成物を、8μm、12μm、16μmの厚さになるよう塗布した後、塗布面を約70℃の熱風で加熱し(塗布面の表面温度:約40℃)80W/cmのオゾンレスタイプ紫外線ランプ2灯で約7m/分の速度にて該塗料を硬化させ室温に放置し、室温まで冷却した。そして、該減摩剤を添加した塗料を塗布した床タイルの表面を#320のサンドペーパーで軽く研磨し、減摩剤の突出の程度を平均粒径に合せて平均化した。
その後、該減摩剤を添加した塗料を塗布し表面を研磨した床タイルを約40℃に加熱し
た後、前記と同じロールコーターを使用し、液温を約40℃に温調したウレタンアクリレート系紫外線硬化型塗料(塗膜の鉛筆硬度:4H)を、12μm、15μmの厚さになるよう塗布した後、塗布面を約70℃の熱風で加熱し(塗布面の表面温度:約40℃)80W/cmのオゾンレスタイプ紫外線ランプ2灯で約5m/分の速度にて該塗料を硬化させ室温に放置し、室温まで冷却する事により本発明
の合成樹脂製床タイルを得た。
【0062】
(比較例1)
実施例−1、2、3、4と同様の方法で未塗装の合成樹脂製床タイルを作成する。
そして、減摩剤を添加した塗料を塗布せず未塗装合成樹脂製床タイルの表面に直接、実施例−1、2、3、4で使用したものと同じウレタンアクリレート系紫外線硬化型塗料(
塗膜の鉛筆硬度:4H)を10μmの厚さで塗布する以外は実施例−1、2、3、4と同様の方法・条件で合成樹脂製床タイルを得た。
【0063】
(比較例2)
鉛筆硬度Hのウレタンアクリレート系紫外線硬化型塗料を3μmの厚さに塗布する以外は、比較例1と同じ方法・条件で合成樹脂製床タイルを得た。
【0064】
(評価結果)
以上の方法で得られた床タイルの防汚性と耐擦傷性を次の方法で試験し、下表の結果を得た。
・防汚性:汚染物質を試料の表面にスポット状に付着させ、常温で24時間放置した後、アルコールを湿らせた布で拭き取り、汚染の状態を次により評価する。
〇:表面の変化、汚染は認められない。
△:表面の変化や汚染が僅かに認められる。
×:表面の変化や汚染が認められる。
・耐擦傷性:4号珪砂を付着した摩耗布を作成し、これをテーバー式摩耗試験機の摩耗輪に取り付け、回転数100、300回の、表面の傷の状態を次により評価する。
〇:傷が認められない。
△:僅かに傷が認められる。
×:多数の傷が認められる。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の合成樹脂床タイルの実施態様を示す断面図である。
【図2】本発明の合成樹脂床タイルの実施態様を示す断面図である。
【図3】実施例に記載の、合成樹脂製基材に化粧層と剛性が高く強靭な合成樹脂層を積層した未塗装床タイルを示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 合成樹脂製床タイル
2 表面保護層
3 化粧層
4 合成樹脂製基材
21 表面保護層(最上層)
22 表面保護層(下面側の層)
23 減摩剤
24 艶消し剤・マット剤
5 合成樹脂製基材:4.9mm
6 両面易接着処理ポリエステルフィルム:125μm
30 塩化ビニル樹脂印刷フィルム:70μm
31 塩化ビニル着色シート:0.16mm
32 秤量30g/m2のガラス繊維不織布に塩化ビニルペーストを含浸した繊維質シ
ート
33 塩化ビニル樹脂系産業廃棄物・再生シート:1.9mm
34 塩化ビニル樹脂系産業廃棄物・再生シート:2.85mm


【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製基材の表面に化粧層を積層し、該化粧層の上に透明もしくは半透明の複層の塗膜からなる表面保護層を設けてなる合成樹脂製床タイルであって、該複層の塗膜のうち最上層が減摩剤を添加しない鉛筆硬度2H以上の塗膜からなり、該最上層の下面側の少なくとも1層が減摩剤を添加した、最上層よりも鉛筆硬度で1ランク以上低い塗膜からなることを特徴とする、防汚性及び耐擦傷性に優れた合成樹脂製床タイル。
【請求項2】
前記表面保護層が減摩剤を添加しない上層と減摩剤を添加した下層との2層からなる請求項1に記載の合成樹脂製床タイル。
【請求項3】
前記減摩剤を添加した塗膜の上面及び/または下面側にプライマー層を設けたことを特徴
とする請求項1に記載の合成樹脂製床タイル。
【請求項4】
前記化粧層と表面保護層の間にプライマー層を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂製床タイル。
【請求項5】
前記減摩剤の平均粒径が5〜100μmであり、該減摩剤の平均粒径が減摩剤を添加した塗膜厚より大きく、結果として減摩剤が減摩剤を添加した塗膜から突出している請求項1ないし4の何れか1項に記載の合成樹脂製床タイル。
【請求項6】
減摩剤を添加した塗膜より突出した減摩剤の突出部を研磨し、減摩剤の突出の程度を平均化した請求項5に記載の合成樹脂製床タイル。
【請求項7】
最上層の表面から減摩剤の突出部の頂点までの垂直距離(減摩剤の被覆厚)が1ないし30μmの範囲である請求項6に記載の合成樹脂製床タイル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−46302(P2007−46302A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230885(P2005−230885)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】