説明

合成繊維の表面を改質する方法

本発明は、少なくともいくらかの部分が合成繊維を含有する布を少なくとも一つのシリコーン添加剤と接するように配置して、堅牢な親水性コートを持つ合成繊維をもたらすことにより、固体の合成繊維の表面を改質する方法を志向する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりここへ組み入れる2007年9月25日出願の米国仮出願連続番号60/995,213号への優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ポリマーを固体の合成繊維の親水性の性質を維持する少なくとも一つのシリコーン添加剤と接触させることによって、合成繊維を改質することに関する。本方法に用いるシリコーン添加剤は、pHの変化に対して安定であり、家庭用洗濯機の洗浄および/もしくはすすぎのサイクルにおけるシリコーン添加剤と接触させて配置される繊維の残留湿気含量(RMC)のレベルを減ずる。シリコーン添加剤を洗剤および/もしくは柔軟剤の一部分として添加できる。
【背景技術】
【0003】
こんにちの繊維産業は、木および綿のような天然繊維を用いることから合成繊維および/もしくは合成繊維と天然繊維との混合を用いるものへと変化し続けている。綿のような天然繊維が、一般に親水性であり、洗浄後に一定レベルの親水性を維持することはよく知られているが、これは合成繊維が必ずしも共有しない性質である。すなわち、天然繊維と異なり合成繊維の大部分が疎水性もしくは1〜2回の洗浄後すぐに疎水性となる。疎水性繊維は水を吸収せず、乾燥機において乾燥したとき、静電荷を蓄積する傾向にあるため、望ましくない。さらに、多くの合成繊維は簡単に湿気を帯びず、それゆえに油性の染みを除去するのが困難である。実際、こんにちの衣料産業において用いられる最も豊富にある合成繊維であるポリエステルは、親水性添加剤によって処理される前には疎水性である。
【0004】
親水性である合成繊維は、物理的および化学的特性が綿のような天然繊維のそれとより近いため疎水性繊維よりも好ましい。多くの合成繊維は自然状態で疎水性であるため、親水性と関連した肯定的な性質を持つためには、ポリエステルのような合成繊維は繊維を親水性にする化合物によってコートされるべきである。しかしながら、こんにちの市場において入手可能な、合成繊維を処理してそれらを親水性にするために用いられる化合物は、通常、第一もしくは第二の洗浄において洗い流される。すなわち、親水性の特性は最初に数回の洗浄において消散する。一度親水性の性能が失われると、合成繊維は再び高い静電荷を持ち、染みの除去を減じ、疎水性繊維と関連する他の好ましくない性質を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
必要なものは、合成繊維を処理してより堅牢な親水性コートをもたらすのに用いることができる化合物および/もしくは組成物である。また必要なものは、それらの化合物/組成物を物質へと適用して、少なくともいくらかの比率の合成繊維を含有する繊維に堅牢な親水性をもたらす簡単な方法である。
【0006】
本発明は、合成繊維を処理するために化合物および組成物を用いる、従来技術の欠点を克服する方法を提供する。本発明の方法および方法において用いる組成物/化合物は直下のセクションにおいてより詳細に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、合成繊維の固体表面を、活性なシリコーン化合物もしくは少なくとも一つの活性なシリコーン化合物を含有する組成物によって改質するための方法を志向する。方法は、合成繊維を少なくとも一つの活性なシリコーン化合物を含有する組成物によって洗浄することおよび/もしくはすすぎをすることで広い範囲のpHの変動に対して感受性で無く、1〜2回の洗浄で洗い流されない親水性表面を持つ合成繊維を産生することを含有する。本発明の方法において用いられる活性なシリコーン化合物は、一般式(I):
(R)(R)(R)Si−R−Si(R)(R)(R
〔式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、1から6の一価の炭化水素ラジカル、アリール、およびアリール基を含有する7から10個の炭素の炭化水素基からなる群より選択され;Rは1から3個の炭素原子の炭化水素基であり;Rは一般式:
(CO)(CO)(CO)
のアルキレンオキシド基であり、ここでRは構造:−CH−CH(R10)(R11O−を持つ二価の直鎖もしくは分岐の炭化水素ラジカルであり、ここでR10はHもしくはメチルであり;R11は1から6個の炭素の二価のアルキルラジカルであり、ここで下付文字dは0もしくは1であり;RはH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカルおよびアセチルからなる群より選択され、下付文字d、eおよびfはゼロもしくは正であり、以下の関係をみたす:
2≦a+b+c≦20でかつa≧2〕を持つ界面活性剤、一般式(II):
MM’
〔式中、M=R121314SiO1/2;M’=R151617SiO1/2;そしてR12は3から6個の炭素原子の分岐の一価の炭化水素ラジカルおよびR18からなる群より選択され、ここでR18は、R19、R20、R21、SiR22および(R151617)SiR22(Si(R1314)SiO1/2)からなる群より選択され、そしてR19、R20およびR21はそれぞれ独立して1から6個の炭素原子を持つ一価の炭化水素ラジカルならびに6から13個の炭素原子を持つ一価のアリールもしくはアルカリール炭化水素ラジカルの群より選択され、そしてR22は1から3個の炭素原子を持つ二価の炭化水素ラジカルであり、R13およびR14はそれぞれ独立して、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカルもしくはR12の群より選択され;R15は一般式:R23(CO)(CO)(CO)24のアルキルポリアルキレンオキシドであり、ここでR23は二価の直鎖もしくは分岐の炭化水素ラジカルであり、構造:
−−CH−−CH(R25)(R26O−
を持ち、
25はHもしくはメチルであり;R26は1から6個の炭素の二価のアルキルラジカルであり、ここでhは0もしくは1であって良く;R24はH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカルおよびアセチルからなる群より選択され、ここで下付文字a、bおよびcはゼロもしくは正であり、そして以下の関係をみたし:2≦e+f+g≦20でかつe≧2、そしてR16およびR17はそれぞれ独立して、1から6個の炭素原子を持つ一価の炭化水素ラジカルまたはR15の群より選択される〕
を持つ界面活性剤、一般式(III):

〔ここでM=(R27)(R28)(R29)SiO1/2
=(R30)(R31)(R32)SiO1/2;および
=(R33)(Z)SiO2/2であり、
ここで、R27、R28、R29、R30、R31、R32およびR33はそれぞれ独立して、1から4個の炭素の一価の炭化水素ラジカル、アリール、およびアリール基を含有する4から9個の炭素の炭化水素基からなる群より選択され;Zは一般式:R34(CO)(CO)(CO)35のアルキレンオキシド基であり、ここでR34は2、3、5、6、7、8もしくは9個の炭素原子の直鎖もしくは分岐の二価の炭化水素ラジカルであり;R35はH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカルおよびアセチルからなる群より選択され、そして下付文字a、bおよびcはゼロもしくは正でありそして、以下の関係を充たす:2≦i+j+k≦20でかつa≧2〕を持つ界面活性剤ならびにそれらの混合物、または、式(IV):
【化1】


〔式中、Rは互いの有機基より独立していることを表わし、第四級アンモニウム基もしくはアミンオキシド基から選択される部分を含有し、
Vは基Vもしくは基Vより選択され、
ここでVは、1000個までの炭素原子(以下に定義されるポリシロキサン部分Zの炭素原子はここでは数えられていない)の二価のもしくは三価の、直鎖の、環状のもしくは分岐の、飽和の、不飽和のもしくは芳香族の炭化水素部分であって、任意選択で、−O−、−NR−、−N−〔ここでRは、水素、100個の炭素原子までの、二価もしくは三価の、直鎖の、環状のもしくは分岐の、飽和の、不飽和のもしくは芳香族の炭化水素部分であって、任意選択で、−O−、−NH−、−C(O)−および−C(S)−より選択される一つもしくはそれ以上の基を含有し、そして任意選択でヒドロキシル、任意選択で置換された、好ましくは一つもしくはそれ以上のN原子を含有するヘテロ環状基、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ポリエーテル、ポリエーテルエステルからなる群より選択される一つもしくはそれ以上の置換基によって置換され、1以上の−NR−基が存在するならそれらは同一のもしくは異なるという条件である〕、−C(O)−、−C(S)−より選択される一つもしくはそれ以上の基を含有し、
任意選択で、V部分は一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基によって置換され、そしてV部分は少なくとも一つの式:
【化2】


の基−Z−を含有し、式中、Rは同一もしくは異なり、CからC22のアルキル、フルオロ(C〜C10)アルキルおよびC〜C10アリールからなる群より選択され、そしてn=20から1000であり、
は、1000個までの炭素原子の二価もしくは三価、直鎖の、環状のもしくは分岐の、不飽和のもしくは芳香族の炭化水素部分から選択され、それは一つもしくはそれ以上の−O−、−NR−、−N−〔Rは上のように定義され、VおよびV中の基Rは同一かもしくは異なる〕、−C(O)−、−C(S)−および−Z−〔Zは式:
【化3】


の部分であり、ここでRは上のように定義され、VおよびV中の基Rは同一かもしくは異なり、そしてn=0ビス19である〕より選択される基によって置換され、そして任意選択で、V部分は一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基によって置換され、ここでポリアンモニウム−ポリシロキサンコポリマー中のVおよびV部分は同一かもしくは異なっており、ZもしくはZの少なくとも一つの基が存在し、ここでアンモニウム基の正の電荷が有機もしくは無機酸アニオンによって中和されているという条件である〕の繰り返し単位を含有するポリアンモニウム−ポリシロキサンコポリマー界面活性剤からなる群より選択される。
【0008】
本発明の方法は、家庭用洗濯機の洗浄もしくはすすぎのサイクルにおいて親水性の性質をもたらすために合成ポリマーを含有する繊維と共に用いられ得る。本発明の他の実施態様において、方法は繊維を衣類にする前もしくは後において工業環境において用いられ得る。本発明の他の実施態様において、上で議論される活性なシリコーン化合物は、家庭用洗濯機の洗浄もしくはすすぎサイクルにおいて繊維に適用できる洗濯用洗剤組成物もしくは衣類柔軟剤組成物へと添加され得る。本発明は直下にある発明を実施するための形態セクションにおいてより詳細に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで用いられるとき科学量論の下付文字の整数値は分子種を指し、化学量論の下付文字の非整数値は分子重量平均ベース、数平均ベースもしくはモル分率ベースの分子種の混合を指す。
【0010】
ここで用いられるとき、本発明の合成ポリマーはポリエステル、アクリル、ナイロンおよびそれらの混合物を含む。これらの合成ポリマーを、綿および/もしくは木のような天然繊維と混合して、本発明の方法によって処理できるような合成/天然混合物を産生できる。
【0011】
ここで用いられるとき、繊維は、機織り、編み、クローシェ編みを通じて作製される繊維を含むインターレースされる繊維から作製される任意の物質を指し、または結合されて仕上げられた繊維の断片もまた衣類と呼ぶ。
【0012】
本発明は、少なくとも一つの活性なシリコーン化合物を含有する組成物によって、合成繊維の固体の表面を改質する方法を提供する。特に本発明は、広いpHの範囲にわたり分解に耐性であり、それゆえに従来利用可能で存在する処理よりもより堅牢である親水性の表面をもたらすことによって、繊維の固体の表面を改質する方法を提供する。上に議論されるように、親水性の表面を持つように処理されるか、自然に親水性を持つ合成の繊維は、1回の洗浄の後、その親水性をしばしば失う。本発明の方法はpH分解に耐性であり、水性のシステムの表面張力を減じ、そして、急速に広まり湿気を持つ性質を与え、それによりこんにち市場で利用可能なものよりもより堅牢な親水性コートをもたらすような、活性なシリコーン化合物もしくは組成物を用いる。本発明の方法の親水性処理は、家庭での洗濯のサイクルもしくは工業レベルにおいて適用され得る。
【0013】
親水性の性質を持つ繊維は、それが乾燥機で乾燥されたあとの静電荷を低くし、向上した染み除去の性質を持ち、すべてのスポーツ繊維において向上した蒸発を持つために、疎水性の繊維よりも望ましい。
【0014】
本発明の特に重要なことは衣類の静電荷を減ずることである。静電荷は、過剰の電子(負電荷)もしくは少なすぎる電子(正電荷)を持つ領域または表面の結果であり、そして電気は動かない(「静止する」)。スパーク(すなわち静電放電)のように静電荷が突然に動くとき、それはもはや静止していない。電気の導体でなく、そして良く電気を遮断する能力を持つ物質は、誘電体として知られる。誘電は、実際に電気の流れを許さない。もし、誘電体を横切るのに十分大きな電圧があれば、遮断は破壊され、電気は突然に流れ、スパークが起こる。破壊に必要な電圧は物質と物質の厚さとによる。ほとんど多くの繊維ポリマーは誘電体と分類され得る。これは特に例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリルなどの合成繊維に当てはまる。これらの物質は、他の物質でこすると簡単に電荷を持つ。本発明は、繊維/物質をここに記載されるシリコーン含有組成物の少なくとも一つによってコートすることによって静電荷の性質を減ずるかおよび/もしくは改質することを目的とする。
【0015】
本発明の方法において用いられる活性なシリコーン化合物は、一般式(I):
(R)(R)(R)Si−R−Si(R)(R)(R
〔式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、1から6の一価の炭化水素ラジカル、アリール、およびアリール基を含有する7から10個の炭素の炭化水素基からなる群より選択され;Rは1から3個の炭素原子の炭化水素基であり;Rは一般式:
(CO)(CO)(CO)
のアルキレンオキシド基であり、ここでRは構造:−CH−CH(R10)(R11O−を持つ二価の直鎖もしくは分岐の炭化水素ラジカルであり、ここでR10はHもしくはメチルであり;R11は1から6個の炭素の二価のアルキルラジカルであり、ここで下付文字dは0もしくは1であり;RはH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカルおよびアセチルからなる群より選択され、下付文字d、eおよびfはゼロもしくは正であり、以下の関係をみたす:
2≦a+b+c≦20でかつa≧2〕を持つ界面活性剤、一般式(II):
MM’
〔式中、M=R121314SiO1/2;M’=R151617SiO1/2;そしてR12は3から6個の炭素原子の分岐の一価の炭化水素ラジカルおよびR18からなる群より選択され、ここでR18は、R19、R20、R21、SiR22および(R151617)SiR22(Si(R1314)SiO1/2)からなる群より選択され、そしてR19、R20およびR21はそれぞれ独立して1から6個の炭素原子を持つ一価の炭化水素ラジカルならびに6から13個の炭素原子を持つ一価のアリールもしくはアルカリール炭化水素ラジカルの群より選択され、そしてR22は1から3個の炭素原子を持つ二価の炭化水素ラジカルであり、R13およびR14はそれぞれ独立して、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカルもしくはR12の群より選択され;R15は一般式:R23(CO)(CO)(CO)24のアルキルポリアルキレンオキシドであり、ここでR23は二価の直鎖もしくは分岐の炭化水素ラジカルであり、構造:
−−CH−−CH(R25)(R26O−
を持ち、
25はHもしくはメチルであり;R26は1から6個の炭素の二価のアルキルラジカルであり、ここでhは0から1であって良く;R24はH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカルおよびアセチルからなる群より選択され、ここで下付文字a、bおよびcはゼロもしくは正であり、そして以下の関係をみたし:2≦e+f+g≦20でかつe≧2、そしてR16およびR17はそれぞれ独立して、1から6個の炭素原子を持つ一価の炭化水素ラジカルまたはR15の群より選択される〕
を持つ界面活性剤、一般式(III):

〔ここでM=(R27)(R28)(R29)SiO1/2
=(R30)(R31)(R32)SiO1/2;および
=(R33)(Z)SiO2/2であり、
ここで、R27、R28、R29、R30、R31、R32およびR33はそれぞれ独立して、1から4個の炭素の一価の炭化水素ラジカル、アリール、およびアリール基を含有する4から9個の炭素の炭化水素基からなる群より選択され;Zは一般式:R34(CO)(CO)(CO)35のアルキレンオキシド基であり、ここでR34は2、3、5、6、7、8もしくは9個の炭素原子の直鎖もしくは分岐の二価の炭化水素ラジカルであり;R35はH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカルおよびアセチルからなる群より選択され、そして下付文字a、bおよびcはゼロもしくは正でありそして、以下の関係を充たす:2≦i+j+k≦20でかつa≧2〕を持つ界面活性剤ならびにそれらの混合物からなる群より選択される。
【0016】
さらに活性なシリコーン組成物は、式(IV):
【化4】


〔式中、Rは互いの有機基より独立していることを表わし、第四級アンモニウム基もしくはアミンオキシド基から選択される部分を含有し、
Vは基Vもしくは基Vより選択され、
ここでVは、1000個までの炭素原子(以下に定義されるポリシロキサン部分Zの炭素原子はここでは数えられていない)の二価のもしくは三価の、直鎖の、環状のもしくは分岐の、飽和の、不飽和のもしくは芳香族の炭化水素部分であって、任意選択で、−O−、−NR−、−N−〔ここでRは、水素、100個の炭素原子までの、二価もしくは三価の、直鎖の、環状のもしくは分岐の、飽和の、不飽和のもしくは芳香族の炭化水素部分であって、任意選択で、−O−、−NH−、−C(O)−および−C(S)−より選択される一つもしくはそれ以上の基を含有し、そして任意選択でヒドロキシル、任意選択で置換された、好ましくは一つもしくはそれ以上のN原子を含有するヘテロ環状基、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ポリエーテル、ポリエーテルエステルからなる群より選択される一つもしくはそれ以上の置換基によって置換され、1以上の−NR−基が存在するならそれらは同一のもしくは異なるという条件である〕、−C(O)−、−C(S)−より選択される一つもしくはそれ以上の基を含有し、任意選択で、V部分は一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基によって置換され、そしてV部分は少なくとも一つの式:
【化5】


の基−Z−を含有し、式中、Rは同一もしくは異なり、CからC22のアルキル、フルオロ(C〜C10)アルキルおよびC〜C10アリールからなる群より選択され、そしてn=20から1000であり、
は、1000個までの炭素原子の二価もしくは三価、直鎖の、環状のもしくは分岐の、不飽和のもしくは芳香族の炭化水素部分から選択され、それは一つもしくはそれ以上の−O−、−NR−、−N−〔Rは上のように定義され、VおよびV中の基Rは同一かもしくは異なる〕、−C(O)−、−C(S)−および−Z−〔Zは式:
【化6】


の部分であり、ここでRは上のように定義され、VおよびV中の基Rは同一かもしくは異なり、そしてn=0ビス19である〕より選択される基によって置換され、そして任意選択で、V部分は一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基によって置換され、ここでポリアンモニウム−ポリシロキサンコポリマー中のVおよびV部分は同一かもしくは異なっており、ZもしくはZの少なくとも一つの基が存在し、ここでアンモニウム基の正の電荷が有機もしくは無機酸アニオンによって中和されているという条件である〕の繰り返し単位を含有するポリアンモニウム−ポリシロキサンコポリマー界面活性剤を含んでよい。
【0017】
広いpH範囲、すなわち約2から約12のpHにわたって分解に耐性であり、繊維に対して親水性の性質をそれへと曝されるときにもたらす、他のシリコーン含有界面活性剤もまた、本発明の方法の部分として用いられることを意図されている。
【0018】
上の式(I)に記載されるシリコーン化合物は、2006年4月21日に出願された、加水分解耐性オルガノ修飾シリル化界面活性剤と題する同時継続中の米国連続番号11/379592号を持つ出願に詳細に記載され、参照によりその全ての内容を完全にここに組み入れる。同様に、上の式(II)に記載されるシリコーン化合物は、2005年12月13日に出願された、加水分解耐性オルガノ修飾ジシロキサン界面活性剤と題する同時継続中の米国特許公開US2007/0088091を持つ出願に詳細に記載され、参照によりその全ての内容を完全にここに組み入れる。最後に、上の式(III)に記載されるシリコーン化合物は、2006年2月9日に出願された、加水分解耐性オルガノ修飾トリシロキサン界面活性剤と題する同時継続中の米国特許公開US2007/0184005を持つ出願に詳細に記載され、参照によりその全ての内容を完全にここに組み入れる。
【0019】
本発明の方法に用いる上に引用されるシリコーン化合物の製造は、上に列挙される対応する特許出願に記載される物質と方法によって製造され得るそれらの化合物の少なくとも一つによって繊維を洗浄することで堅牢な親水性繊維をもたらす。それらの特許出願にもたらされる情報ならびに本発明は、当業者に本発明の方法において用いるシリコーン化合物を作らせることができ、そしてそれによって請求される発明のすべての範囲を可能にする。
【0020】
本発明の方法により作製される繊維の親水性コートの堅牢性は、非常に多くの洗浄と乾燥のサイクルの間、親水性をもたらす他の方法によって処理される合成繊維よりも、親水性を保つ。本発明の方法を用いて製造された繊維の親水性の性質の効果と予想以上の堅牢性は、実施例の中に示され、以下にさらに説明される。
【0021】
繊維への本プロセスの適用の効果をテストする手順
本発明のプロセスの効果を調べるために、以下の非限定的な実施例が実施された。2つの100%ポリエステルTシャツが「繊維モニター」(もしくはコントロール)として実施例において用いられ、そしてコットンTシャツおよびコットンテリー織タオルがバラストとして洗濯機の中に一緒に入れられた。すべての洗濯物は、すすぎサイクルにおいて、シリコーン添加剤が添加された繊維柔軟剤と共にもしくは繊維柔軟剤なしで洗剤によって洗浄された。洗浄サイクルの終わりにポリエステルのTシャツは乾燥機で乾燥された。
【0022】
実施例における本発明の効果を測定するのに用いられる方法は、滴下テストであった。滴下テストは、ポリエステルの繊維を介する20マイクロリットルの蒸留水の吸収時間を測定するよう設計される。
【0023】
本発明の方法を用いて作製される繊維の親水性の性質の堅牢性をテストsるために、堅牢な親水性テストが実施された。このテストにおいて、親水性のポリエステル繊維は洗濯用洗剤によって4回洗浄され、そしてポリエステルが疎水性になるまで水ですすがれた。用いられたポリエステルはそれぞれの洗浄サイクルの後乾燥され、滴下テストが親水性/疎水性を確かめるために実施された。100%疎水性に達する洗浄/乾燥サイクルの数が多くなればなるほど、本発明の方法を用いて繊維にもたらされる親水性コートの堅牢性がより高くなることを示す。
【0024】
静電荷の量と本発明の方法に使われる繊維上に静電荷が残る期間とをテストするために、静止テストが実施された。このテストは、本発明の方法に使われた後の繊維上の静電荷の量を測るのみでなく、処理された繊維の残った電荷の期間の影響をも測られた。
【実施例】
【0025】
実施例1〜4ならびに比較例AおよびBが以下に記載され、そのすぐ後に表およびグラフで提供される結果が続く。
【0026】
実施例のそれぞれに対し、4つの(40×60センチメートル)100%コットンテリー織タオル、2つの(240×310センチメートル、270×310センチメートル)100%コットンシーツ、2つの100%ポリエステルTシャツを含む2.7kgの洗濯物が、Indesit W53T前入れ洗濯機へと配置された。洗濯物はその後、40℃のコットンサイクルで、50グラムの洗剤(Persil Color−商標名)を用いて洗浄され、600rpmで回転された。
【0027】
比較例Aは上述のように実施されたが、繊維柔軟剤およびシリコーン添加剤が洗濯機のすすぎサイクルに対して添加されなかった。
【0028】
比較例Bは上述のように実施され、繊維柔軟剤が洗濯機のすすぎサイクルへと添加されたが、シリコーン添加剤は含まなかった。
【0029】
実施例1は、上述の一般式(II)のシリコーン添加剤が洗濯機のすすぎサイクルへと添加されたことを除いて比較例Aに記載されるように実施された。
【0030】
実施例2は、上述の一般式(III)のシリコーン添加剤が洗濯機のすすぎサイクルの繊維柔軟剤へと添加されたことを除いて比較例Bに記載されるように実施された。
【0031】
実施例3は、一般式(IV)の第四級アミノシリコーンポリエーテルコポリマーが洗濯機のすすぎサイクルへと添加されたことを除いて比較例Aのように実施された。
【0032】
実施例4は、上述の一般式(IV)の第二の第四級アミノシリコーンポリエーテルコポリマーが洗濯機のすすぎサイクルへと添加されたことを除いて比較例Aのように実施された。
【0033】
滴下テストを用いる実施例の親水性/疎水性の結果は以下の通りである。
ポリエステルTシャツのドロップテスト結果。

【0034】
洗剤(比較例A)によって洗浄されるポリエステルTシャツおよびすすぎサイクルで繊維柔軟剤(比較例B)で洗浄されるTシャツが疎水性である一方で、すすぎ添加剤として(実施例1、3および4)もしくは繊維柔軟剤として(実施例2)本発明のシリコーン添加剤を添加することはポリエステル繊維を親水性にすることを比較例AおよびBのドロップテストの結果は示す。
【0035】
堅牢性テスト
ポリエステルTシャツの堅牢な親水性を測定するために、Indesit W63T前入れ洗濯機へとそのシャツが配置され、40℃コットンサイクルで50グラムのPersil Color(登録商標)洗剤を用いて洗浄された。洗濯物は600rpmで4分間回転された。洗濯物はその後、ポリエステルが疎水性となるまで、水のみによって洗浄された。洗濯物はそれぞれの洗浄サイクルの後、乾燥され、滴下テストはポリエステルTシャツにおいて実施された。kのステージにおける疎水性は以下の式:疎水性指数=100×t/tを用いて計算され、ここでt=それぞれの洗浄および乾燥サイクルの後に測定されるポリエステルTシャツの滴下時間であり、t=前処理されたポリエステルTシャツの滴下時間である。



【0036】
親水性ポリエステル繊維の堅牢性テストと題される三次元グラフに示されるように、16回の繰り返し洗浄および乾燥サイクルの後でさえ実施例4は100%親水性へとたどり着かなかった。このように、少なくとも一つの上述のシリコーン化合物によって洗浄される繊維の親水性の性質の堅牢性は、100%疎水性にたどり着くために達成される非常に多くの洗浄及び乾燥サイクルより明確である。上述の堅牢性グラフに示されるように実施例3の場合、100%疎水性にはたどり着かなかったが、このテストの目的のために上の表においては16回以上において100%疎水性へと達したとして列挙された。
【0037】
実施例5ならびに比較例CおよびDは、本発明の方法に用いられる繊維上の静電荷の残存量を測定するために意図された。物質の電荷の残留性能を調査する方法は、「電荷減衰時間」を測定するものであり、どれだけ早く物質上に置かれた電荷が物質を通じてアースへと消散するかというものである[1]。物質の電荷残留性能をテストするもっとも単純な方法は、物質上に電荷を置き、どれだけ早くこの電荷が消散するかを見ることである。
【0038】
JCI 155v5電荷減衰テストユニットはテストされるべき物質表面上に電荷のパッチを沈着させるための高電圧のコロナ放電を用いる装置である。高速応答静電界メーターは物質上のこの電荷によって発生する電圧を観測し、どれだけ早く電荷が移動することでこの電圧が低くなるかを測定する。コロナ放電沈着は、実際の帯電事象を疑似体験する簡単な方法である。それは、最初の表面電圧と電荷の極との制御をし、単一であれ局地的に導電性の性質のものであれどんなタイプの表面にも利用可能である。コロナ放電減衰は、互いに表面を摩擦することによって発生する電荷減衰の実際の状況と良く一致し、コロナへの暴露によって影響されない一定で再現可能な結果をもたらす。
【0039】
以下の実施例は、帯電残留能力を調べるために、洗浄の後に、シリコーンと共にもしくは用いずに処理されたポリエステル繊維上およびエラスタン/ポリアミド繊維上の電荷減衰時間測定を記述する。一般に、エラスタン/ポリアミド繊維は非常に疎水性であり、一方でポリエステルは繊維加工中に前処理されるので親水性である。合成繊維を処理する本発明の組成物は、ポリエステル繊維を親水性にするので選択された。
【0040】
以下の表1は、本発明の方法に用いられる製品と投入されるパーセンテージとを提供する。それらの製品は洗浄サイクルにおいて添加され、投入される量はポリエステルを親水性にする最低限の量である。サンプルEだけは例外であり、それはポリエステルを親水性にするために柔軟剤サイクル(柔軟剤とともにおよび柔軟剤無しで)において添加された。洗浄サイクルにおいてそれらを添加しすると、たとえ投下量を増加したとしても機能しなかった。
【表1】


サンプルAは上の一般式(I)のシリコーン添加剤である。
サンプルBは上の一般式(I)の第二のシリコーン添加剤である。
サンプルCは上の一般式(II)のシリコーン添加剤である。
サンプルDは上の一般式(II)の第二のシリコーン添加剤である。
サンプルEは上の一般式(IV)のシリコーン添加剤である。
サンプルFは上の一般式(IV)のシリコーン添加剤である。
【0041】
洗濯物のタイプ、洗浄条件および物理的/化学的測定は以下に記載される。
【0042】
以下の洗濯物のタイプがテストに用いられた:5つの100%ポリエステルTシャツ、1つのナイロン/エラスタンアンダーウェアおよびバラスト。
【0043】
シリコーン製品は洗浄サイクル中に洗剤と共に添加され(上述のようにサンプルEは例外である)、そして柔軟剤サイクル中に繊維柔軟剤と共に添加された。すべての洗濯物は繊維前処理のためのASTM Methodに従って予め洗浄された。すべての洗濯物は以下のように処理された:
1. 50gのアニオン性洗剤(すなわちPersil color粉)を添加して、T=40℃、回転=600rpmで4回洗われた。
2. 40℃の温度で約600rpmの回転サイクルで洗剤無しで3回洗われた。
3. 繊維を乾燥した。
【0044】
本実施例において用いられる柔軟材を用いるものおよび用いないものの洗浄条件は以下の通りである:
用いられる洗濯機:MIELE NOVOTRONIC
洗濯物のタイプ:5つのTシャツ、100%ポリエステル、1つのナイロン/エラスタンおよびバラスト
洗剤の投入量:25gのアニオン洗剤(すなわちPersil Color、製造者の推奨の通り)
温度:40℃、回転=600rpm
繊維柔軟剤投与量:20mlComfort(製造者の推奨の通り)
シリコーン製品投与量:ポリエステルを親水性にする最低限のレベル。
シリコーンは柔軟剤なしに洗浄サイクルにおいて添加された。一方で、柔軟剤が添加されたときは、シリコーンは柔軟剤と共に添加された。サンプルEに対してのみは例外で、それはどちらの場合も柔軟剤サイクルにおいて添加された。繊維は集積を測定するため5回洗浄された。サンプルは1回、3回および5回の洗浄後取られた。一方でナイロン/エラスタン繊維サンプルは5回の洗浄の後とられた。それぞれの洗浄の後、洗濯物は乾燥機で乾燥され、全てのサンプルは、直接の接触によってあるサンプルから他のサンプルへと正電荷が移動するのを避けるためにそれぞれのサンプルの間に紙をはさんで保存された。
【0045】
物理的および化学的測定、すなわち静電荷測定および集積試験は、それぞれのサンプルにおいて実施された。
【0046】
静電荷測定
上述のように、静電荷の残留は、JCI 155v5 電荷減衰テストユニットを用いて物質上にいくらかの電荷を配置し、経時的な減衰を測定することによって測定された。この減衰テストユニットは高電圧のコロナ放電を用いてテストされる物質表面に電荷のパッチを配置し、高速応答電界メーターを用いて物質上のこの電荷によって発生する電圧を測定する。測定は、どれだけ早く電荷が移動することによって電圧が下がるかに基づいて行われる。JCI155テストユニットは、45×54ミリメートルのテスト開口部を装置の基底部に持ち、それがテスト表面に直接的に静止する。テスト開口部の周りの表面との接触は外に向かって移動する電荷の帰還路とそのような電荷を捉えるための高い局地のキャパシタンスとをもたらす。装置のソフトウェアは、それぞれのテストの直前に自動的な自動ゼロ調整を提供する。
【0047】
JCI155テストユニットは、最初のピーク電圧と関連する減衰時間を測定し、二つのポイントを計算する(簡単な受け入れられているテスト基準):最初のピーク電圧の37%および10%の電圧。これらの二つのポイントは物質間のすばやい比較を得るために測定される。電荷の減衰の性質は一般に表面の大気からの湿気の吸収に感受性があり、それゆえに測定は湿度に依存しやすい。JCI 155v5は、装置のテスト領域に温度と湿度の両方を測定するように設計されたコンポーネントを含む。この理由から、繊維は密閉されたカーボンの箱の中に保存され、測定は研究室内の温度と湿度を制御しながらなされた。以下のテストからの結果は集積テストのすぐ後ろに続くグラフに報告される。
【0048】
集積
それぞれの繊維は5回洗浄され、繊維は1回、3回および5回の時にサンプリングされた。繊維のいくつかの化学的/物理的性質は製品の集積のためにサンプリングされた。
【0049】
3回の減衰時間測定が、一連のテスト条件における物質のテストにおいて得られた。これらの測定は繊維の異なる場所においてなされた。注目された全ての相違が極性のせいではないことを調べるために、いくつかのテストは正および負のコロナ極性によってなされた。さらに上述のデータに対し、以下の情報もまた報告された:
a) 温度及び相対湿度
b) コロナ帯電、時間、極性のテスト条件
c) サンプル表面電圧の最初のピークの個々の値およびピーク電圧のその電圧の37%および10%への時間
d) 受け取った電荷
e) キャパシタンス負荷:最初のピーク表面電圧の単位当たりの電荷の量。どれだけ長くそれがそこにいるかということと発生する関連する表面電圧の両方に依存する物質に対する静電荷の影響。
【0050】
柔軟剤無しの洗濯用粉洗剤
最初の一連の結果は、洗濯用粉洗剤(Persil Color)+柔軟剤(Confort)なしのシリコーン製品によって洗浄される、すべてのポリエステルTシャツおよびナイロン/エラスタンアンダーウェアに関する。
【0051】
2つのコントロールが考えられた:コントロール1は前処理されたポリエステルTシャツおよびナイロン/エラスタンアンダーウェアで得られた電荷減衰のようすを示し、コントロール2はPersil Colorによって洗浄されたポリエステルTシャツおよびナイロン/エラスタンアンダーウェアで得られた電荷減衰のようすを示す。

【0052】
両方の繊維は疎水性であるが、ナイロン/エラスタンは電荷を消散した一方で、ポリエステルは電荷を完全に消散しない傾向にあった。すなわち最初の電荷の37%以上がテストされたポリエステル繊維においては900秒以降も残留した一方で、ナイロン/エラスタンは392秒後に最初の電圧の37%に達した。それは時間としては非常に長いが、電荷が消散する傾向は高かった。

【0053】
上に見られる結果に示されるように、ポリエステルシャツは洗剤によって洗浄され、親水性になり始めるとしても、静電荷を消散させるにはまだ十分ではない。逆に、ナイロン/エラスタン繊維は疎水性であり続けるが、電荷は素早く消散する:最初の電荷の37%の消散は約23秒後に達成され、10%は約100秒であった。
【0054】
次の一連のデータは、コントロールとシリコーンで処理された繊維との間の比較を示す。
【0055】
最初の結果は以下の洗濯物に関する:
a) コントロール2:Persil Colorによって洗浄されたポリエステルTシャツおよびナイロン/エラスタンアンダーウェア
b) 洗剤+サンプルA:Persil Color+サンプルAによって洗浄されたポリエステルTシャツおよびナイロン/エラスタンアンダーウェア
c) 洗剤+サンプルB:Persil Color+サンプルBによって洗浄されたポリエステルTシャツおよびナイロン/エラスタンアンダーウェア
【0056】
1回、3回および5回の洗浄(1W、3W、5W)の後のサンプルA及びサンプルBによって洗浄されたポリエステルおよびナイロン/エラスタンの電荷の減衰データ。



【0057】
上の表は電荷減衰測定を報告する。サンプルAを洗濯物に含むことは、シリコーン添加剤を含まないコントロールと比べ、ポリエステル上の静電荷の消散の速度を速める。上の方は電荷減衰測定を報告する。サンプルBを洗濯物に含むことは、シリコーン添加剤を含まないコントロールと比べ、ポリエステルおよびナイロン/エラスタン上の静電荷の消散の速度を速める。データはまた、5回洗浄されたサンプルが1回もしくは3回のみ洗浄されたものよりもより速い消散速度を示すため、静電荷消散の集積効果があることを示す。
【0058】
以下の例は、洗濯物にサンプルDを含むことの利点を示す:
d) コントロール2:Persil Colorによって洗浄されたポリエステルTシャツおよびナイロン/エラスタンアンダーウェア
e) 洗剤+サンプルD:Persil 洗剤およびサンプルDによって洗浄されたポリエステルTシャツおよびナイロン/エラスタンアンダーウェア
【0059】
1回、3回および5回の洗浄(1W、3W、5W)の後のサンプルDで洗浄されたポリエステルおよびナイロン/エラスタンの電荷減衰データ

【0060】
上の表は電荷減衰の測定を報告する。サンプルDを洗濯物に含めることは、シリコーン添加剤を含まないコントロールと比べて、電荷消散の速度の増加を引き起こす。データはまた、5回洗浄されたサンプルは1回もしくは3回のみ洗浄されたものよりも早い消散速度を示すため、電荷消散の集積効果があることを示す。
【0061】
柔軟材を含む洗濯用粉洗剤
以下の実施例は、洗濯用粉洗剤(Persil Color)および繊維柔軟剤(Comfort)によって洗浄される、ポリエステルTシャツおよびナイロン/エラスタンアンダーウェアに添加されるときのシリコーンサンプルの性能を示す。コントロール3はPersil Color洗剤+Comfort繊維柔軟剤によって洗浄されるポリエステルTシャツおよびナイロン/エラスタンアンダーウェアを表わす。
【0062】
コントロール3、Persil ColorおよびComfortによって洗浄されるポリエステルならびにナイロン/エラスタンの電荷減衰の結果。

【0063】
柔軟剤の添加は、繊維柔軟剤は静電気防止としても作用することから予想されるように電荷消散速度の増加を助けるように見える。これは親水性の繊維の時には当てはまるが、ここでは両方のタイプの合成繊維は疎水性である。
【0064】
以下の表は、シリコーン製品を柔軟剤と共に添加した繊維の様子を報告する。
f) コントロール3:Persil Color+Comfortによって洗浄されるポリエステルTシャツおよびナイロン/エラスタンアンダーウェア
g) Persil Color+Comfort+サンプルAによって洗浄されるポリエステルおよびナイロン/エラスタン
f) Persil Color+Comfort+サンプルBによって洗浄されるポリエステルおよびナイロン/エラスタン



【0065】
以下の実施例はサンプルCによって処理された洗濯物の電荷減衰測定を報告する。
i) コントロール3:Persil Color+Comfortによって洗浄されるポリエステルTシャツおよびナイロン/エラスタンアンダーウェア
j) Det.+Comfort+サンプルC:Persil Color+Comfort+サンプルCによって洗浄されるポリエステルおよびナイロン/エラスタン

【0066】
上の表は繊維柔軟剤の存在するときの電荷減衰測定を報告する。洗濯物にサンプルCを含めることは、シリコーン添加剤を含まないコントロールと比較してポリエステル上の静電荷消散速度の増加をもたらす。この静電荷消散速度の増加は、これまで繊維柔軟剤単独で注目されてきた効果に追加的なものである。データはまた、5回洗浄されたサンプルが1回もしくは3回のみ洗浄されたものよりもより早い消散速度を示すため、静電荷消失の集積効果があることを示す。
【0067】
上の記載は多くの明細を含んでいるが、これらの明細あ本発明の限定と解釈されるべきではなく、それらの好ましい実施態様の例示としてのみ解釈されるべきである。当業者は、添付される請求項によって定義される本発明の範囲および精神に含まれる多くの他の実施態様を想到し得るであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体の合成繊維の表面を改質する方法であって、
(i)前記固体の合成繊維を少なくとも一つのシリコン添加剤を含有する組成物と接触させ、改質された表面を持つ固体の合成繊維を産生するステップを含有する、方法。
【請求項2】
前記シリコーン添加剤が、
一般式(I):
(R)(R)(R)Si−R−Si(R)(R)(R
〔式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、1から6の一価の炭化水素ラジカル、アリール、およびアリール基を含有する7から10個の炭素の炭化水素基からなる群より選択され;Rは1から3個の炭素原子の炭化水素基であり;Rは一般式:
(CO)(CO)(CO)
のアルキレンオキシド基であり、ここでRは構造:−CH−CH(R10)(R11O−を持つ二価の直鎖もしくは分岐の炭化水素ラジカルであり、ここでR10はHもしくはメチルであり;R11は1から6個の炭素の二価のアルキルラジカルであり、ここで下付文字dは0もしくは1であってよく;RはH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカルおよびアセチルからなる群より選択され、下付文字d、eおよびfはゼロもしくは正であり、以下の関係をみたす:
2≦a+b+c≦20でかつa≧2〕を持つ界面活性剤、一般式(II):
MM’
〔式中、M=R121314SiO1/2;M’=R151617SiO1/2;そしてR12は3から6個の炭素原子の分岐の一価の炭化水素ラジカルおよびR18からなる群より選択され、ここでR18は、R19、R20、R21、SiR22および(R151617)SiR22(Si(R1314)SiO1/2)からなる群より選択され、そしてR19、R20およびR21はそれぞれ独立して1から6個の炭素原子を持つ一価の炭化水素ラジカルならびに6から13個の炭素原子を持つ一価のアリールもしくはアルカリール炭化水素ラジカルの群より選択され、そしてR22は1から3個の炭素原子を持つ二価の炭化水素ラジカルであり、R13およびR14はそれぞれ独立して、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカルもしくはR12の群より選択され;R15は一般式:R23(CO)(CO)(CO)24のアルキルポリアルキレンオキシドであり、ここでR23は二価の直鎖もしくは分岐の炭化水素ラジカルであり、構造:
−−CH−−CH(R25)(R26O−
を持ち、
25はHもしくはメチルであり;R26は1から6個の炭素の二価のアルキルラジカルであり、ここでhは0もしくは1であって良く;R24はH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカルおよびアセチルからなる群より選択され、ここで下付文字a、bおよびcはゼロもしくは正であり、そして以下の関係をみたし:2≦e+f+g≦20でかつe≧2、そしてR16およびR17はそれぞれ独立して、1から6個の炭素原子を持つ一価の炭化水素ラジカルまたはR15の群より選択される〕
を持つ界面活性剤、一般式(III):

〔ここでM=(R27)(R28)(R29)SiO1/2
=(R30)(R31)(R32)SiO1/2;および
=(R33)(Z)SiO2/2であり、
ここで、R27、R28、R29、R30、R31、R32およびR33はそれぞれ独立して、1から4個の炭素の一価の炭化水素ラジカル、アリール、およびアリール基を含有する4から9個の炭素の炭化水素基からなる群より選択され;Zは一般式:R34(CO)(CO)(CO)35のアルキレンオキシド基であり、ここでR34は2、3、5、6、7、8もしくは9個の炭素原子の直鎖もしくは分岐の二価の炭化水素ラジカルであり;R35はH、1から6個の炭素原子の一価の炭化水素ラジカルおよびアセチルからなる群より選択され、そして下付文字a、bおよびcはゼロもしくは正でありそして、以下の関係を充たす:2≦i+j+k≦20でかつa≧2〕を持つ界面活性剤ならびにそれらの混合物からなる群より選択され、さらに、活性なシリコーン組成物が式(IV):
【化7】


〔式中、Rは互いの有機基より独立していることを表わし、第四級アンモニウム基もしくはアミンオキシド基から選択される部分を含有し、
Vは基Vもしくは基Vより選択され、
ここでVは、1000個までの炭素原子(以下に定義されるポリシロキサン部分Zの炭素原子はここでは数えられていない)の二価のもしくは三価の、直鎖の、環状のもしくは分岐の、飽和の、不飽和のもしくは芳香族の炭化水素部分であって、任意選択で、−O−、−NR−、−N−〔ここでRは、水素、100個の炭素原子までの、二価もしくは三価の、直鎖の、環状のもしくは分岐の、飽和の、不飽和のもしくは芳香族の炭化水素部分であって、任意選択で、−O−、−NH−、−C(O)−および−C(S)−より選択される一つもしくはそれ以上の基を含有し、そして任意選択でヒドロキシル、任意選択で置換された、好ましくは一つもしくはそれ以上のN原子を含有するヘテロ環状基、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ポリエーテル、ポリエーテルエステルからなる群より選択される一つもしくはそれ以上の置換基によって置換され、1以上の−NR−基が存在するならそれらは同一のもしくは異なるという条件である〕、−C(O)−、−C(S)−より選択される一つもしくはそれ以上の基を含有し、
任意選択で、V部分は一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基によって置換され、そしてV部分は少なくとも一つの式:
【化8】


の基−Z−を含有し、式中、Rは同一もしくは異なり、CからC22のアルキル、フルオロ(C〜C10)アルキルおよびC〜C10アリールからなる群より選択され、そしてn=20から1000であり、
は、1000個までの炭素原子の二価もしくは三価、直鎖の、環状のもしくは分岐の、不飽和のもしくは芳香族の炭化水素部分から選択され、それは一つもしくはそれ以上の−O−、−NR−、−N−〔Rは上のように定義され、VおよびV中の基Rは同一かもしくは異なる〕、−C(O)−、−C(S)−および−Z−〔Zは式:
【化9】


の部分であり、ここでRは上のように定義され、VおよびV中の基Rは同一かもしくは異なり、そしてn=0ビス19である〕より選択される基によって置換され、そして任意選択で、V部分は一つもしくはそれ以上のヒドロキシル基によって置換され、ここでポリアンモニウム−ポリシロキサンコポリマー中のVおよびV部分は同一かもしくは異なっており、ZもしくはZの少なくとも一つの基が存在し、ここでアンモニウム基の正の電荷が有機もしくは無機酸アニオンによって中和されているという条件である〕の繰り返し単位を含有するポリアンモニウム−ポリシロキサンコポリマー界面活性剤を含んでよい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固体の合成繊維がポリエステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記固体の合成繊維がナイロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記固体の合成繊維が完成した衣類の形である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維が少なくとも部分のポリエステル、ナイロンもしくはアクリル繊維、またはそれらの混合物ならびに/または上述の任意のものとコットンおよび/もしくはウールとの混合物を含有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコーン添加剤が、洗濯のサイクルの洗浄サイクルもしくはすすぎサイクルにおいて導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも一つのシリコーン添加剤を含有する組成物がさらに、洗濯用および/もしくは前記繊維の柔軟性を向上させる、洗濯用洗剤もしくは繊維柔軟剤を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記固体の合成繊維の前記改質された表面が、洗濯機の複数回の洗浄及び乾燥サイクルの後に親水性を残す親水性のコートを持つ、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記固体の合成繊維の前記改質された表面が、洗濯機の3回もしくはそれ以上の洗浄及び乾燥サイクルの後に親水性を残す親水性のコートを持つ、請求項9に記載の方法。


【公表番号】特表2010−540789(P2010−540789A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526910(P2010−526910)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/010942
【国際公開番号】WO2009/042083
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(508229301)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】