説明

合成開口レーダシステム及び局所的な測位のための方法

測位システムは、固定された位置にあるパッシブな等方性反射標識と、デバイスとを含む。前記デバイスは、ある期間に渡って、円偏波を有する電磁パルスを送信し、帰還信号を受信する。前記帰還信号は、前記反射標識から反射されたパルスを含む。前記帰還信号から前記反射パルスを隔離するため、及び前記デバイスから前記反射標識への距離を決定するために、前記帰還信号を処理する。前記反射標識は、第1のパッシブ反射体と、第2のパッシブ反射体と、前記第1のパッシブ反射体を基準にした角度で前記第2のパッシブ反射体を静止して測位するように構成される静的構造とを含む。オプションとして、前記デバイスは、前記帰還信号を受信中に、ある特定の方向に移動し、前記帰還信号の前記反射パルス部分におけるドップラーシフトを検出し、前記特定の方向と、前記デバイスと前記標識間の直線との間の角度を決定する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して測位システムに関し、さらに詳細にはコヒーレントな無線周波数位置標定技法(coherent radio-frequency ranging techniques)を介して多くのパッシブな標識(landmark)を基準にしてモバイルデバイスを測位するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
局所測位システムは、特に自律走行車及び精密建設用工具の用途において、ナビゲーション機能を必要とするモバイルデバイスにおける重要な実現要因(enabler)になってきている。GPSなどのグローバルポジショニングシステムは通常10cmにすぎない中位の精度の位置情報だけを提供し、水平線近くまでの空のはっきりした視界を必要とする。動作範囲内に配されたアクティブ機器またはパッシブ機器を用いた局所測位システムは、はるかに正確な(<1cm)の測位を可能にし、ユーザが、最も複雑な囲み込まれた外形においても操作するために(to operate in even the most complex enclose geometries)、必要に応じてシステムを拡大できるようにする。
【0003】
従来の局所測位システムは、音響位置標定システム及びレーザ位置標定システムを含む。音響システムは、通常、デバイスのネットワーク内の範囲を測定するためにトランスポンダビーコンを使用し、その内のいくつかは局所座標系を形成するために固定される。残念なことに、空気を通る音の伝搬の特性のために、音響システムは、1センチメートル以上の精度まで、及び相対的に短距離でのみ、範囲を測定できる。レーザに基づいた局所測位システムは、デバイスの位置を三角法で測る、またはトリラテラレイトする(trilateralate)ために、デバイスと、プリズムなどの1つまたは複数の反射体間との間の、角度と距離(range)の両方の測定値を活用する。しかしながら、レーザシステムは、現在のところ、システムコストを3万ドル($30K)以上に跳ね上げる高額なポインティング機構を利用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
数ミリメートルの精度まで二次元または三次元の位置を決定できる相対的に低コスト(≦$2000)の局所測位システムは、屋内及び屋外の精密建築、採鉱、精密農業、及び競技場の草刈り及び処理などの応用例の領域での多くの潜在的な製品群を可能にするであろう。本発明は従来の局所測位システムのコスト及び制度の制限を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明のシステム及び方法は低コストであるが、きわめて正確な局所測位システムを提供する。電磁パルスは、装置と多くのパッシブな等方性標識の間の距離、及び、オプションとして角度を決定するために、使用される。電磁パルスの伝搬速度は、音響信号と同程度に強力に環境条件によって変化せず、位置標定(ranging)において優れた精度を提供する。電磁パルスを送信するために使用されるアンテナの空間ビーム幅は、レーザのビーム幅よりかなり幅広く、費用のかかるポインティング機構に対するニーズを排除する。使用される標識はパッシブであるため、アクティブ機器の費用またはメンテナンス(例えば電池の交換)の費用を必要としない。
【0006】
ある実施形態では、測位システムは、固定位置にある多くの標識と、及びその位置が決定されるべきデバイスを含む。デバイスは、第1の円偏波を有する電磁パルスを送信するように構成される。更にデバイスは、ある期間にわたって帰還信号(return signal)を受信し、帰還信号に含まれる反射パルスを隔離するために帰還信号を処理するように構成される。更にデバイスは、反射パルスの飛行時間(time of flight)に基づいてデバイスから反射体までの距離を決定するように構成される。各標識は、電磁パルスを反射するための第1のパッシブ反射体と、第2のパッシブ反射体と、前記第1のパッシブ反射体を基準にして約90°の角度で前記第2のパッシブ反射体を静的に配置するように構成される静的構造とを含む。
【0007】
ある実施形態にかかる局所測位のための方法は、デバイスから第1の円偏波を有するパルスを送信するステップと、標識から反射パルスを含む帰還信号を受信することと、帰還信号から反射パルスを隔離し、デバイスから標識までの距離を決定するために、帰還信号を処理するステップとを含む。前記受信するステップは、前記第1の円偏波を有する信号を優先的に受信するステップを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記受信ステップを実行している間にある速度で、ある特定の方向に前記デバイスを移動するステップと、前記帰還信号の前記反射パルス部分でのドップラーシフトを検出するステップと、ある特定の方向と、前記デバイスと標識間の直線との間の角度を決定するステップとを含む。
本発明の追加の目的及び特徴は、図面に関して解釈されるときに、以下の詳細な説明及び添付請求項からさらに容易に明らかになるであろう。
類似する参照番号は、図面のいくつかの図全体で、対応するパーツを指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面の詳細な説明
図1を参照すると、局所測位システム100は、デバイス102と、その位置が固定されている多くの標識108を含む。標識108は、調査位置に設置されてよい。代わりに、標識は、初期システム自己校正手順の間に自動的に決定される任意の位置に設置されてよい。どちらのケースでも、デバイス102の位置は、標識の位置を基準にして距離の集合を決定することによって決定される。それぞれの距離(range)は、デバイスと標識間の距離(distance)に関係する。デバイス102は、電磁パルス110を送信するように構成される。好適実施形態では、電磁パルスは持続期間1ナノ秒(ns)であり、6ギガヘルツというキャリア周波数を有する。他の実施形態は、1nsと24GHz、5nsと6GHz、及び1nsと77GHzというパルス持続期間及びキャリア周波数のペアリングを利用してよい。より短いパルス持続期間とより高いキャリア周波数から可能になる距離推定の精度の改善は、いくつかの実施形態におけるコストの増加と関連回路網の複雑さを犠牲にして行われる。電磁パルス110は多くの方向112に送信される。デバイス102はさらに帰還信号を受信するように構成され、前記帰還信号は各標識108からの反射パルスを含む。帰還信号は多くの受信方向114からの寄与から構成されている。いくつかの受信方向は、電磁パルスを反射する標識以外の「クラッタ」オブジェクトからの反射パルスを含む。例えば、群葉104が方向112−2に沿って送信される電磁パルスによって照射されるとき、方向114−2に沿った電磁パルスを反射する。同様に、建物106は方向112−3に沿って送信される電磁パルスによって照射されるとき、方向114−3に沿って電磁パルスを反射する。
【0010】
デバイスと各標識間のそれぞれの距離を決定するために、デバイス102は、クラッタからの反射パルスも含む帰還信号から、標識からの反射パルスを隔離する。標識からの反射パルスの隔離を容易にするために、デバイス102は、第1の円偏波を有する電磁パルスを送信する。前記偏波は、電磁信号伝送の当業者によって理解されるように、右円偏波(RHCP)または左円偏波(LHCP)のどちらかであってよい。群葉104などのクラッタは、受信方向114に沿って、おもに反対の円偏波を有する電磁パルスを反射するであろう。例えば、デバイス102が方向112−3に沿ってRHCP電磁パルスを送信する場合、建物106は方向114−3に沿っておもにLHDP電磁パルスを反射する。一方、標識108は、入射パルスの円偏波と同じ円偏波を有するパルスをそのまま反射するように構成されている。したがって、デバイスは、送信される電磁パルスと同じ偏波を有するパルスを優先的に受信することによって、部分的に、標識から反射されるパルスを隔離する。アクティブでパワー供給される標識は、デバイスにより送信されるパルスと同じ偏波を有する反射パルスを生成するために使用できるであろう。この手法の不利な点は、応用例によっては電池を通してのみ標識にパワーを供給でき、測位システムに必要なメンテナンスを増大させる場合があるという点である。
【0011】
これらの問題を克服するために、本発明のいくつかの実施形態は、円偏波を有する電磁パルスで照射されるときに、同じ円偏波を有するパルスを反射するパッシブな標識108を含む。図1Bを参照すると、デバイス102は、方向112−1に沿って第1の円偏波を有する電磁パルスを送信する。標識108−1は、経路116に沿って移動する反対の円偏波を有する第1の反射パルスを生成する。標識108−1は、以後、受信方向に沿って元の円偏波を有する第2の反射パルスを生成し、それは最終的にはデバイス102で受信される。方向112−2に沿ってデバイス102によって送信される円偏波を有するパルスは、群葉104によって反射される。反射パルスはおもに反対の円偏波を有し、受信方向114−2に沿って移動し、最終的には装置102で受信される。したがって、送信された電磁パルスと同じ偏波を有するパルスを優先的に受信することによって、デバイスは標識から反射されたパルスを隔離することができる。送信するパルスと同じ偏波を有するパルスを優先的に受信するデバイスに関するさらなる詳細は、図5の説明に関して後述される。入射パルスと同じ偏波を有するパルスを反射する標識の実施形態に関するさらなる詳細は、図4の説明に関して後述される。
【0012】
いったん標識から反射されるパルスが、デバイスによって受信される帰還信号から隔離されると、デバイスと標識間の距離が決定される。パルスが直線で移動すること、及びマルチパス伝搬がないことを仮定すると、デバイス102により送信され、デバイスからある距離rだけ離れたオブジェクトによって反射されるパルスは、以下の到達時間(ToA)でデバイス102に到達する。
ToA=2r/c (式1)
ここで、cは電磁信号の伝搬速度である。電磁信号の伝搬速度cは、真空で約3.0×10m/Sであることが知られている。典型的な大気条件では、電磁信号の伝搬速度は300ppm(百万分の一)未満だけ、この値から外れる。高度及び他の環境要因についての情報を利用することによって、測位システムの環境での電磁信号の伝搬速度は100ppmの範囲内で求めることができる。このようにして、パルスの到着時間の決定は、デバイスと標識間の距離を正確に推定するために使用できる。
【0013】
図1Aでは2つの標識しかないが、他の実施形態ではさらに多くの、あるいはさらに少ないデバイスが存在する可能性がある。いくつかの実施形態では、使用される標識の数は、位置が調査された標識を基準にしてデバイスの位置の明白な決定を行うために適切である。例えば、標識の位置が(例えば、事前にそれらを調査することによって)既知であり、これらの三つの標識が同一線上にはなく、デバイスと標識が実質的に二次元平面内に位置する場合、デバイスから各標識までの距離の知識から明白にデバイスの位置を決定することができる。モバイルデバイスの位置が2つのランドマークによって画定される単一の半平面に制限されることが事前に(a priori)わかっている特別なケースでは、これら2つの標識の距離が、モバイルデバイスの位置を明白に決定するのに十分である。1つまたは複数の距離に基づいた位置の決定のためのアルゴリズムは、当業者に周知である。例えば、参照することによりその全体が本書に組み込まれる、プエルトリコ、サンファン(SanJuan、Puerto Rico)、1991年、コンピュータサイエンスの基礎に関する第32回年次シンポジウムの会議録(Proceedingsof the 32nd Annual Symposium on Foundations of Computer Science)、414−423ページ、H.Edelsbruneer及びT.S.Tanの「ミニマックス長さ三角測量のための二次時間アルゴリズム(Quadratictime algorighm forminmax length triangulation)」を参照すること。他の実施形態では、デバイス及び標識はすべて同じ二次元平面に配置されない可能性がある。これらの実施形態では、少なくとも4つの非同一平面上の標識の位置が、デバイスと各標識の間の距離に関する知識から、装置の位置の明白な決定を可能にするためには、既知でなければならない。前述のように、モバイルデバイスの考えられる位置に関する事前の制限は、いくつかの実施形態では3つの標識だけを用いた測位を可能にする。
【0014】
デバイスから標識までの距離を決定することに加えて、いくつかの実施形態では、デバイスはある特定の方向に速度vで移動し、パルスを送信し、ある期間に渡って帰還信号を受信し、デバイスの移動の方向と、デバイスと標識間のラインとの間の角度を決定する。図2Aを参照すると、デバイス102は、パルスを送信し、帰還信号を受信している間に、方向202に速度vで移動する。方向202と、デバイス102と標識108の間のライン206が角度204を形成する。標識から反射され、デバイスによって受信されるパルスは、以下に従って周波数でドップラーシフトされる。
f=f(1+v/c×cos(θ)) (式2)
ここで、fcはキャリア周波数であり、fはデバイスによって受信されるパルスの周波数であり、cはデバイス102と標識108−1の間の空間を満たす電磁信号の伝搬速度であり、θは角度204である。したがって、受信パルスの周波数から、デバイスは角度θを決定できる。しかしながら、所定の受信パルス周波数fについて、式2を満たす少なくとも2つの角度がある。これは、式2を解くすべての角度θに対して、角度−θも式2を解くためこうなる。図2Aでは、これら2つの角度は、方向202と、デバイスと標識間のライン206との間の角度204と、方向202とライン208の間の角度に相当する。したがって、帰還信号のドップラーシフトの単一の測定値から、標識108−1によって反射される反射パルスを、見せ掛けの標識位置210によって反射される反射パルスから区別することはできない。デバイスと標識の間の角度を求める上での、この曖昧さを排除するために、デバイス102は、いくつかの実施形態では、半球214、つまり図2Aの線212の右側の環境の部分だけで実質的にゼロとは異なるパワーを有するパルスを送信する。さらに一般的には、半球214は、すべての標識及びデバイスがある平面に垂直であり、方向202を含む任意の平面によって画定されてよい。他の実施形態では、デバイス102は、第1の半球に、及び第2の重複しない半球に、パルスを交互に送信し、デバイスと標識間の角度の明白な決定を可能にする。さらに他の実施形態では、デバイス102は、すべての方向で電磁パルスを送信してよいが、第1の半球に受信方向を有する反射パルスと、第2の重複しない半球の方向から受信される反射パルスを、交互に優先的に受信し、デバイスと標識間の角度の明白な決定を可能にする。
【0015】
図2Bに描かれているようなさらに他の実施形態では、デバイス102は、方向202に移動中に、第1のパルスを送信し、第1の帰還信号を受信し、直交方向216にある程度の距離移動し、方向220に移動中に、第2のパルスを送信し、第2の帰還信号を受信する。図2Bが描くように、方向202と、デバイスと標識間のラインとの間の角度204の大きさは、方向202と、デバイス202と見せ掛けの標識位置210間のラインとの間の角度218の大きさと同じであるが、標識108−1と、その第2の位置でのデバイスに関する角度222は、見せ掛けの標識位置210と、その第2の位置にあるデバイスに関する角度214と異なる。したがって、デバイスは、方向202と、デバイスと標識間のラインとの間の角度を、第1の帰還信号と第2の帰還信号をともに分析することにより、一意に求めることが可能である。
【0016】
本発明のある側面は、ある期間に渡って受信される帰還信号から、反射される反射パルスを隔離する能力である。図3を参照すると、デバイス102は電磁パルスを送信し、ある期間に渡って帰還信号を受信する。帰還信号から反射パルスを隔離するために、デバイス102は、帰還信号の到着時間に基づいて帰還信号を多くの距離ビン(range bin)に分離する。再び図3を参照すると、時間t=2r/cより遅く、t=2r/cより早くデバイスに到達する帰還信号の部分は、距離ビン306−1内のオブジェクトにより反射されたと判断される。距離ビン306−1は、デバイス102からrより大きくr未満の距離に位置するすべてのオブジェクトを含む。したがって、時間tとtの間に到達する帰還信号の部分を抽出することによって、デバイス102は、距離ビン306−1内に常駐する反射オブジェクトから反射パルスを隔離できる。このプロセスは、他の距離ビンに存在するオブジェクトからの反射パルスを隔離するために、到着時間のさまざまな範囲で繰り返すことができる。例えば、時間t=2r/cより遅く、時間t=2r/cより早くデバイスに到達する帰還信号の部分は、距離ビン360−2内のオブジェクトによって反射されたと判断される。距離ビン306−2は、デバイス102からrより大きくr未満の位置に位置するすべてのオブジェクトを含む。このようにして、時間tとtの間で到着する帰還信号の部分を抽出することによって、デバイス102は、ただ1つの反射オブジェクトだけが距離ビン306−2に存在する場合、その1つの反射パルスを隔離できる。
【0017】
いくつかの事例では、複数の反射オブジェクトが、ある特定の距離ビン306に存在することがある。これは、例えば、複数の標識がある特定の距離ビン内に存在するときに、特に厄介になることがある。本発明のいくつかの実施形態では、この問題はデバイスによって受信される帰還信号の到着時間とドップラーシフトの両方を決定することによって克服される。前記図2Aから図2Bの説明では、デバイスが移動中である方向と、デバイスと反射オブジェクト間のラインとの間の角度を求める方法が説明された。経時的な距離の変化から角度を決定することは、距離が搬送波波長の観点から表現されるとき、ドップラーシフト測定値に同等であることに留意する。図3を参照すると、いくつかの実施形態におけるデバイス102は、パルスを送信し、それぞれの帰還信号を受信しながら、線308に沿った方向で移動する。この場合、0°と、ライン308とライン310によって形成される角度との間の、到着角度に関連するドップラーシフトのなんらかの帯域がある。この帯域の外のドップラーシフトを有する帰還信号の部分を除去することによって、デバイス102は、距離ビン306−1に関連する帰還信号から、距離ビン312−1に存在するオブジェクトだけから入ってくる反射パルスをさらに隔離できる。同様に、ライン308とライン320により形成される角度と、ライン308とライン322の間の角度との間の、到着角度と関連付けられる周波数の第2の帯域がある。この帯域の外のドップラーシフトを有する周波数を有する帰還信号の部分を除去することによって、デバイス102は、さらに距離ビン306−2と関連する帰還信号から、距離−角度ビン312−2に存在するオブジェクトだけから入ってくる反射パルスを隔離できる。
【0018】
多くの距離−角度ビンにこの技法を適用すると、距離と角度の関数としての帰還信号パワーを決定できる。いくつかの実施形態では、標識のレーダ断面(radar cross-section)は、測定または理論予測のどちらかによって既知である。パルス内でどれほど多くのパワーが送信されるのかに関する知識とともに、デバイスは、標識によって反射されるパルスから予想帰還信号パワーを次に計算できる。その後、各距離−角度ビンが標識を含むか含まないかについて検査、決定できる。標識以外のオブジェクトからの予想レーダ帰還パワー(The expected radar return power)は、これらのオブジェクトから反射されるパルスが概して送信パルスの円偏波とは異なる円偏波を有し、送信パルスと同じ円偏波を有する信号の優先的な受信においてデバイスによって除去されるため、標識自体よりはるかに少ない。
【0019】
本発明に従って測位システムで使用するための標識は、それらに入射するパルスと同じ円偏波を有する反射パルスを生成する。さらに、標識は、少なくとも標識とデバイスを含む平面内で、実質的に等方性のレーダ断面を有することが望ましい。いくつかの実施形態では、デバイスは、距離−角度ビンからの帰還信号パワーを、標識からの予想される反射パルスパワーと比較することによって、所定の距離−角度ビンが標識を含むかどうかを判断する。反射パルスパワーは標識のレーダ断面に依存する。したがって、デバイスが、デバイスと標識の間のラインを基準にした標識の方向を知らない場合、レーダ断面が標識のすべての考えられる向きにとって同じである場合に標識の予想レーダ断面を計算することだけが可能である。したがって、いくつかの実施形態では、標識が実質的には等方性のレーダ断面を有し、前記断面は、標識とデバイスを含む平面のすべてのアジマス角で6dB未満変化する。
【0020】
図4を参照すると、本発明にかかる標識400は、
・電磁パルスを反射するための第1のパッシブ反射体402と、
・電磁パルスを反射するための第2のパッシブ反射体404と、
・前記第1のパッシブ反射体を基準にした角度408で第2のパッシブ反射体を静的に配置するように構成される静的構造406と、を含む。電磁パルスを反射するパッシブ反射体402と404を製造するために利用されてよい材料の例は、アルミニウム、銅、及び他の金属などの導体を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態におけるパッシブ反射体の形状は、例えば人を深く傷つける可能性が低い、あるいはプラスチック球体などの保護容器の中により容易に嵌合するように設計されるであろう、丸みを帯びた角など、図4に描かれているものの形状とは異なる。
【0021】
第1のパッシブ反射体402に入射する第1の円偏波(RHCPまたはLHCP)を有する電磁パルスは、第2の円偏波(それぞれLHCPまたはRHCP)で反射される。その結果、第1のパッシブ反射体402によって反射されるパルスは、第1の円偏波(それぞれRHCPまたはLHCP)で第2のパッシブ反射体404によって反射されるであろう。第2のパッシブ反射体404によって反射されるパルスが元の入射パルスの方向と反対の方向に移動し、最終的にもとのパルスを送信したデバイスに到達するように、角度408は約90°である。いったん標識として配備されると製作公差及び機械的外乱のために、角度408が正確に90°となることが可能ではない場合がある。また、反射体は有限長であり、搬送波波長が少ない場合があるため、好適実施形態における再放射パターンは数度にわたって強くなる。ある実施形態では、角度408が90°±3°を含むことができるように、デバイスが複数の方向でパルスを送信し、複数の方向からの帰還信号に敏感になるようにする。他の実施形態では、有効角度408が90°±10°を含んでもよい。
【0022】
第1のパッシブ反射体402または第2のパッシブ反射体404の端縁に入射する円偏波された電磁パルスは、それぞれ第2のパッシブ反射体または第1のパッシブ反射体によって一度だけ反射されるため、それが入射する円偏波とは別の円偏波で反射されるであろう。この場合、デバイスは、環境の中の他のオブジェクトによって反射されるパルスから、標識によって反射されるパルスを隔離できないであろう。この問題を矯正するために、いくつかの実施形態では、標識400は、さらに第3のパッシブ反射体410と第4のパッシブ反射体412を含む。静的構造406は、反射体412を基準にして約90°の角度で反射体410を静的に配置するようにさらに構成される。静的構造406は反射体402を基準にしてゼロと異なる角度で反射体410を静的に配置するようにさらに構成される。反射体410と402の間の角度は、1°と89°の間の角度が使用されてよい。約45°であってもよく、好ましくは30°と60°の間である。反射体402と404は第1の二面角の組(dihedral pair)を形成する。同様に、反射体410と412は、第2の二面角の組を形成する。反射体402を基準にしてゼロ以外の角度に反射体410を配置することによって、第1の二面角組の中の反射体の一方の端縁に円偏波された電磁パルスが入射するとき、前記パルスは、第2の二面角組の反射体のどちらかの端縁に入射しない。同様に、第2の二面角組の反射体の一方の端縁に入射するパルスは、第1の二面角組の反射体のどちらかの端縁に入射しない。したがって、標識400に入射する任意の円偏波されたパルスは、同じ円偏波を有する少なくとも1つの反射パルスを生成する。他の実施形態では、標識400は、三面体反射体(trihedral reflectors)、又は「コーナキューブ」反射体として知られるものを含んでよい。さらに他の実施形態では、標識400は、ルーネンバーグ(Lunenburg)レンズを含んでよい。
【0023】
図5を参照すると、本発明にかかるデバイス102は、
1)ある特定の方向にある速度でデバイスを移動するための車両運動機構524と、
2)電気機械インタフェース回路と、
3)電磁パルスを送信し、帰還信号を受信するためのアンテナ526と、
4)RFトランシーバ504と、・デジタル/アナログ(D/A)及びアナログ/デジタル(A/D)変換器510と、
5)プロセッサ512と、
6)補助及び主記憶装置514であって、
6−1)オペレーティングシステム516と、
6−2)マップデータ518と、
6−3)プロセッサ512によって実行される少なくとも1つのプログラムモジュール520と、をさらに含む前記記憶装置514と、を含む。いくつかの実施形態では、プログラムモジュール520は、デバイスの第1の位置において、及び、デバイスが静止している間ではパルス受信機及びサンプラを基準にした既知の時間においてパルスを送信するための、命令を含む。これらの命令に従って、プロセッサ512はD/A変換器510に信号を送信し、RFトランシーバ504によって搬送周波数に変調されるパルスを生成する。前記変調されたパルスは、次にアンテナ526によって送信される。アンテナ526は、ある特定の円偏波を有する電磁パルスを送信するように構成される。いくつかの実施形態では、アンテナ526は、標識とデバイスを含む平面内で等方的に放射する。平面内で実質的に等方的に放射し、ある特定の円偏波を有する電磁パルスを送信するアンテナの例は、背中合わせに配置される2本のキャビティバックスパイラルアンテナから形成されるアンテナである。例えば、参照することによりその全体が本書に組み込まれるAfsarらの「新しい広帯域キャビティバックスパイラルアンテナ(Anew wideband cavity−backedspiral antenna)」を参照すること。アンテナが、機械的な方位角アクチュエータ付き指向性ホーンアンテナである実施形態もある。他の実施形態では、アンテナ526は、例えばロスマンレンズを使用する、切り替え式ビーム構成を含む。さらに他の実施形態では、アンテナ526は電子的に操作可能なフェイズドアレイを含む。
【0024】
電磁パルスを送信するための命令に加えて、プログラムモジュール520は、ある期間に渡って帰還信号を受信するための命令も含む。アンテナ526は、1つまたは複数の反射パルスを含んでよい帰還信号を受信する。前記信号はRFトランシーバ504に渡され、そこでそれは搬送周波数を基準にしてベースバンドにダウンコンバードされる。いくつかの実施形態では、RFトランシーバ504は、ベースバンドへの直角位相保存(quadraturephase-preserving)ダウンコンバージョンを利用する。ダウンコンバージョンの同相成分、直角位相成分、あるいはその両方は、次にA/D変換器510に渡され、そこでそれらはプロセッサ512によってサンプリングされ、処理される。プロセッサ512がマイクロプロセッサまたは他の中央演算処理装置である実施形態もある。他の実施形態では、プロセッサは特定用途向け集積回路(ASIC)である。プロセッサ512は、帰還信号から反射パルスを隔離するため、及びデバイスから標識までの距離を決定するために、帰還信号を処理する。ある実施形態では、これは、主記憶及び補助記憶装置内にある期間に渡って帰還信号を記憶し、受信信号の部分を多くの距離ビンに分離し、(前記図3の説明に関連して説明されるように)標識の存在がないか各ビンを調べることによって実行される。標識を含むと判断されるビンは、次に距離候補の第1の集合に割り当てられる。他の実施形態では、これは、主記憶及び補助記憶装置にある期間に渡って帰還信号を記憶し、反射された帰還信号におけるドップラーシフトを検出し、受信した信号の部分を多くの距離−角度ビンに分離し、標識の存在がないか各ビンを調べることによって行われる。標識を含むと判断されるビンは、次に距離−角度候補の集合に割り当てられる。
【0025】
いくつかの実施形態では、プログラムモジュール520は、第2の位置にデバイス102を移動するための命令を含む。第2の位置は、第1の位置から所定の間隔を空けた距離とすることができる。中央演算処理装置512は、インタフェース522に信号で知らせることによってこの命令を実行し、インタフェース522が次に車両運動機構524を起動する。機構524が、電気モータを含む実施形態もあり、その速度は、インタフェース522によって提供されるDC電圧のレベルによって制御される。他の実施形態では、機構524は、モジュール520によって決定された位置を別の車両コンピュータ(図示せず)に送信する。前記他の車両コンピュータは、次に、車両の移動について、部分的に位置決定に基づいて、決定を下す。例えば、いくつかの実施形態では、他の車両コンピュータが、グローバルポジショニングシステム(GPS)を含む複数の測位システムからの情報を結合する。プログラムモジュール520は、デバイスの第2の位置でパルスを送信し、受信された帰還信号から距離候補の第2の集合を決定するための命令をさらに含む。最後に、プログラムモジュール520は、1つまたは複数の潜在的な標識位置と整合する距離候補の削減された集合を生じさせるために、距離候補の第1の集合と第2の集合とを処理するための命令を含む。ある実施形態では、プログラムモジュール520は、追加の位置でこれらのステップを実行するための命令を含む。追加の位置(つまり、場所)は、それぞれ所定の間隔を空けて、関連する従来の位置から離されてよい。
【0026】
帰還信号中のドップラーシフトを角度方向と関連づけるために、デバイスの速度、または少なくともデバイスの速度の大きさが既知でなければならない。いくつかの実施形態では、車両運動機構524が、インタフェース522を通してプロセッサ512に周波数情報を送る光電式センサを含む。車両運動機構524についての情報とともに、プロセッサ512は、この情報をデバイス102の速度の推定値に変換する。他の実施形態では、クラッタからの帰還信号は、プラットホーム速度を測定する方法を提供する。十分なクラッタがある場合、帰還信号パワースペクトルは最大ドップラーシフトの二倍に等しい帯域幅を有するであろう。最大ドップラーシフトは、搬送波波長で除算されるプラットホーム速度に数的に等しい。車両速度のこの種の測定は、ある状況下では、デバイス推進システムから使用可能なものより、さらに正確である。さらに他の実施形態では、ディファレンシャルベアリングとアブソリュートベアリングの両方に関する情報も、帰還信号中のドップラーシフトから入手できる。デバイスの速度の方向に小さな変更が加えられると、クラッタからと標識からの両方の反射パルスが到着角度において変わるであろう。したがって、経時的な角度の相互相関は、積分された方向変化を推定するために使用できる。
【0027】
帰還信号の中のドップラーシフトを検出するために、いくつかの実施形態では、プロセッサ512は、高速フーリエ変換(FFT)を利用する。この技法は、デバイスが、帰還信号を受信中に、一定の速度で、一定の方向に移動しているときに最も正確である。帰還信号受信中にデバイスが加速を経験する場合、事前に補正されたFFTが、帰還信号中のドップラーシフトの、より正確な決定のために使用されてよい。このような事前に補正されたFFTの係数は、いくつかの実施形態では、デバイスの速度及び方向の慣性センサから求められる。
【0028】
図6は、多くの距離ビン601、第1の受信された帰還信号600−1、第2の受信された帰還信号600−2、及び処理済み帰還信号600−3を描いている。測位システムのデバイス(図1のデバイス102)は、ある期間に渡って、第1の電磁パルスを送信し、第1の帰還信号600−1を受信する。第1の帰還信号600−1は多くの反射パルスを含む。あるパルスは、標識によって反射され、別のパルスは、クラッタオブジェクトによって反射される。他のソースからの追加の雑音もある。したがって、デバイスが、(第1の標識によって反射されるパルスのエンベロープ608と、第2の標識によって反射されるパルスのエンベロープ612によって図6に示される)標識によって反射されるパルスを隔離することは困難である。例えば、帰還信号600−1が、クラッタオブジェクトによって反射されるパルスの結果、信号のテール(signal tail)602を含む実施形態もある。他の実施形態では、信号テール602は、送信機のパルス生成または受信機のフィルタリングにおける不完全性さの結果である。どちらのケースでも、信号テール602は、デバイスに距離ビン601−2と距離ビン601−3を選択させ、距離候補の第1の集合に追加させる。同様に、信号テール614は、デバイスに距離ビン601−4を距離候補の第1の集合に入れさせる。しかしながら、標識によって反射される2つのパルスのエンベロープ608と612が示すように、距離ビン601−2と距離ビン601−5は、標識によって反射されるパルスを含む、図6の中の唯一の距離ビンである。したがって、標識によって反射されるパルスに対応するそれらの距離ビンだけを含むように、距離候補の集合を削減するための技法を有することが望ましい。
【0029】
いくつかの実施形態では、デバイスは、第2の電磁パルスを送信し、第2の帰還信号600−2を受信する。第2の帰還信号600−2は、距離ビン601−2中の信号604を含むことに加え、距離ビン601−1中の信号テール606を含む。したがって、デバイスによって第2の帰還信号600−2を処理すると、距離ビン601−1と距離ビン601−2が、距離候補の第2の集合に含まれることになる。いくつかの実施形態では、デバイスは、距離候補の削減された集合に達するために、第1の帰還信号600−1と第2の帰還信号600−2を処理する。再び図6を参照すると、いくつかの実施形態では、例えば第1の帰還信号600−1と第2の帰還信号600−2を平均することにより、第3の帰還信号600−3を生成する。その結果、信号テール610の大きさは、第2の帰還信号600−2の信号テール606を基準として、実質的に削減される。同様に、信号テール616の大きさは、第1の帰還信号600−1の信号テール614の大きさに比べて、実質的に削減される。その結果、第1の標識から反射されるパルスの真のエンベロープ608と、第2の標識から反射されるパルスの真のエンベロープ612を隔離でき、距離候補の削減された集合に追加することができる。例えば、これは、その大きさが所定の閾値以下になる距離候補、又はその大きさが少なくとも所定の乗数的(つまりパーセンテージ)因子分、他の距離候補の大きさに満たない距離候補を排除することによって、あるいは同等的に、その大きさが所定の閾値を上回る距離候補、又は選択基準に基づく適切な大きさに整合する距離候補だけを保持することによって、達成されてよい。他の実施形態では、デバイスは、第1の帰還信号を処理し、距離候補の第1の集合を生じさせ、第2の帰還信号を処理し、距離候補の第2の集合を生じさせ、距離候補の第1の集合と第2の集合の両方に存在する距離候補を決定することによって距離候補の削減された集合を選択する。
【0030】
ある実施形態では、クラッタオブジェクトにより反射されるパルスを含む帰還信号から、標識によって反射されるパルスを隔離するために、追加の技法が利用される。図7Aを参照すると、デバイスのアンテナ(図5の要素526)は、関連放射パターン(associated radiation pattern)704−1を有する。伝送アンテナの放射パターン、つまり、それに相当するものとして受信側アンテナの受信感度を特徴付ける1つの方法は、標識とデバイスを含む平面内の角度の関数として、(それぞれ送信される、または受信されるかのどちらかの)相対的な信号の大きさを図面上に表すことによる。極座標系702は、この目的のに便利な構成を提供する。図7Aに描かれているような極座標系702は、その中心にデバイスのアンテナを有する。いくつかの実施形態では、デバイスは、等方性の受信アンテナを使用する。一方、伝送アンテナは、ヌル点(a null)706を有する放射パターン704−1を有してよい。ヌル点706は、放射パターンがなんらかの閾値よりその大きさにおいて実質的に小さくなる角度の集合として特徴づけられる。例えば、ヌル点706は、放射の大きさ(radiation magnitude)が、その最大値の1/root(2)未満となる角度によって定義されてよい。その角度は、アンテナによる最大電力で送信される信号のパワーの半分未満を有する信号をアンテナが送信する角度に対応する。ヌル点706を特徴づける代替の方法は、方向708−1のような、一つの特定の方向によって特徴づけることである(An alternate way to characterize a null 706 is via one particular direction, such as direction 7098-1)。その特定の方向は、座標系702を基準にして測定して、ヌル点706と関連する角度の平均となるように選択される。ある実施形態では、ヌル点706は、15°未満の幅を有する。ある実施形態では、ヌル点の角度の範囲は、位相差を有する実質的に同一の信号によって駆動される少なくとも2本のアンテナを使用してパルスを送信することにより、制御される。位相差がヌル点の角度の範囲を制御する。
【0031】
放射パターンがこのように方向づけされた状態で、電磁パルス110はデバイスによって送信される。標識108−1はパルスを反射し、デバイスは反射パルスを含む帰還信号を受信する。放射パターン704−1が図7Aのように方向づけられた状態では、パルス110は、伝送アンテナが(他の方向に送信される信号を基準にして)大きな大きさを有する信号を送信する角度で、生成される。いくつかの実施形態では、デバイスは、同じ位置で第2の電磁パルスを送信し、第2の帰還信号を受信する。図7Bを参照すると、伝送アンテナの放射パターン704−2は、ここで極座標系702を基準にして測定される方向708−2を特徴とする、第2の方向づけされた状態にある。第2のパルス110はデバイスによって送信され、標識108−1によって反射され、デバイスによって受信される。放射パターン704−1が図7Bのように方向づけられた状態で、パルス110は、伝送アンテナが他の方向で送信される信号と比べて小さな大きさを有する信号を送信する角度で、生成される。このようにして、同じパワーで図7Aと図7Bの構成のそれぞれで伝送アンテナによって放射されると、図7Aの構成の受信信号は、図7Bの構成の受信信号より大きな大きさを有する。伝送アンテナの放射パターンは、種々の方法によって第2の方向づけされた状態に配されてよい。ある実施形態では、デバイスは車両運動機構(図5の要素524)を含み、デバイスが極座標系702を基準にしてその向きを変更する。他の実施形態では、デバイスは電動プラットホームに取り付けられた伝送アンテナを含む。さらに他の実施形態では、伝送アンテナはフェーズドアレイを含む。
【0032】
図7Cを参照すると、(例えば、ある放射パターンのヌル点によって測定されるような)放射パターンの方向づけは、複数の角度で設定され、パルスはパターンが各角度に方向づけられている間に送信され、受信信号の強度は角度ごとに記録される。その結果、角度の関数としての帰還信号強度750のグラフ740が、ある特定の距離ビンについて形成できる。グラフ740の顕著な特徴は、最大信号強度レベル742である。第2の信号レベル744を定義すると、帰還信号強度750が信号レベル744未満である角度746と748を含む、関連角度(associated angles)の集合を決定することができる。ある実施形態では、第2の信号レベル744は、最大信号レベル742の2分の1である。他の実施形態では、第2の信号レベルは、放射パターン704の関数として決定される(図7Aと図7Bを参照すること)。
【0033】
いくつかのクラッタオブジェクトは、標識によって反射されるパルスから区別することが困難であるパルスを反射する。しかしながら、クラッタオブジェクトから反射されるパルスは、帰還信号強度750が信号レベル744未満である角度746と748に基づいて、標識によって反射されるパルスから区別できる。図8Aを参照すると、壁802が、デバイスに達する電磁パルスを反射する。いくつかの実施形態では、伝送アンテナは、極座標系702を基準にして測定して、方向808によって特徴づけられるヌル点を有する放射パターン804を有する。図8Aでの受信信号の性質は、極座標系702を基準にして1つの角度または角度の集合によって空間内で局所化される、送信パルスの複数の部分を考慮することにより、さらに容易に理解される。例えば、図8Aで送信されるパルスは、第1の部分110−1と第2の部分110−2を有し、前記第1の部分は、第2の部分110−2に比べて大きな大きさを有する。これは、部分110−1が、アンテナが相対的に大きな大きさを有する信号を送信する放射パター804の角度で、生成されるためである。対照的に、部分110−2は、アンテナが相対的に小さい大きさを有する信号を送信する放射パターン804の角度で、生成される。強度が部分110の和に依存する受信信号は、部分110−1に対応する反射パルスの強度によって支配される。図8Aのジオメトリでは、壁802を含む距離ビンから受信される帰還信号は、もしあるとしたら、わずかに方向808において弱くなることが期待される。これは、方向808の大きな範囲のせいで、そこで、アンテナは相対的に大きな大きさを有する信号を送信する(This is due to the large range of directions 808 at which the antenna transmits signals having relatively large magnitudes)。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記プロセスは種々の方向808について繰り返され、デバイスと壁802の間の距離に対応する距離ビンからの受信された帰還信号が調べられる。図8Bを参照すると、結果として、方向808の角度の関数としての帰還信号強度850のグラフ840が得られる。最大信号レベル842及び閾値信号レベル844は、グラフ840の中にある。閾値信号レベル844が最大信号レベル842の値の2分の1である実施形態もある。他の実施形態では、閾値信号レベルは、最大信号レベル842より6dB少ない。角度846と角度868を含む関連角度の集合は、帰還信号強度850が閾値信号レベル844未満である角度として決定される。
【0035】
これらの角度846と848の数及び位置に基づいて、いくつかの実施形態では、デバイスは、標識または壁などのクラッタオブジェクトが距離ビンの中に存在するかどうかを判断する。壁などのクラッタオブジェクトは、標識を含む距離ビンからの関連角度(746、748(図7C)など)より実質的に多数ではない(つまりより小さな範囲を有する)、846と848(図8)などの関連角度を有することもある。これは、図8Aに描かれているように、たとえヌル点方向808が直接的に壁を照射しているときにも、壁802がパルス110−1を強く反射するためである。したがって、関連角度を調べることによって、標識を含む距離ビンは、壁などのクラッタオブジェクトを含む距離ビンから区別できる。
【0036】
範囲、及びオプションとしてデバイスと多様な標識間の角度がいったん決定されると、いくつかの実施形態は、主記憶及び補助記憶装置514(図5)に、測位アルゴリズムとナビゲーションアルゴリズムを含む。この目的のための測位アルゴリズムとナビゲーションアルゴリズムは当該分野で周知であり、加重最小二乗法、カルマンフィルタリング、及び他の逐次推定方式を含む。一般的には、各標識と関連付けられるなんらかの尤度が、適切に特定される。この場合、最大事後(maximum a posteriori)(MAP)推定フィルタは、一般的なインテグリティ監視(observable integrity)(RAIM)工程の一部として使用されるべきである。実際の実施形態では、ハードウェアの異常及びマルチパス干渉のためのものなど、誤りのある測定値が発生する可能性がある。その結果、いくつかの実施形態では、測位アルゴリズムとナビゲーションアルゴリズムは、これらの誤りのある測定値を検出し、排除するために、なんらかの形の統計的異常値検定を含む。このような検定は当業者に周知であり、外部でステューデント化された残差検定(Studentizedresidual tests)及びカルマンフィルタイノベーション検定を含む。
【0037】
クラッタ環境が距離ビンニング(range binning)だけによって標識を分離(resolve)するほど十分に良性であり、デバイスが標識を基準にしてその位置を決定するために移動する必要がない実施形態もある。他の実施形態では、クラッタがこれほど良性となることが予想されないが、クラッタから標識を分離するには、図6に関連して説明されるアルゴリズムに従って、デバイスの1m以下の小さい直線的な動きで十分である。
【0038】
いくつかの実施形態では、システム初期化時に、標識の場所及びおそらく数は、デバイスに既知ではない。デバイスは、既知の速度で、ある特定野方向に移動し、パルスを送信し、帰還信号を受信し始めることができる。代わりに、デバイスは、オペレータによって関心のある領域全体で、手動により誘導されてよい。その結果、デバイスは、正しさの関連尤度(associated likelihoods of correctness)とともに、考えられる標識のリストを構築することができる。さらに多くのパルスが送信され、さらに多くの帰還信号が受信されると、尤度を更新してもよい。デバイスは、6個の自由なパラメータを必要とする、専用の座標系を定めてよい。この座標系は、高い信頼性をもって検出される最初の3つの標識によって参照づけてよい(be referenced to the first three landmarks found with high confidence)。この後、たとえ最初の3つの標識の内の1つまたは複数が移動しても、座標系自体は好ましくは経時的に変化せず、これらの3つの標識の位置は座標系で変化する。
【0039】
他の実施形態では、建築計画、または特定の標識位置、または向きなどの情報が、例えば図5のマップデータ512を介して、デバイスに提供される。それから、デバイスは、標識の位置を記すために、この情報に関連する座標系を使用してよい。この場合、その座標系の少なくとも一部または標識マップが、任意のルート情報に加えて入力されなければならない。
【0040】
前記説明は、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために特定の用語を使用した。しかしながら、本発明を実践するために特定の詳細が必要とされないことは当業者に明らかとなるであろう。実施形態は、本発明の原理及びその実際的な応用例を最善に説明し、それによって当業者が、意図されている特定の使用に適切であるように、多様な修正で本発明及び多様な実施形態を最善に活用できるようにするために選ばれ、説明された。したがって、前記開示は、網羅的となること、あるいは開示されている詳細な態様に本発明を限定することを目的としていない。多くの修正及び変化は前記教示を鑑みて可能である。
本発明の範囲は、請求項及びその同等物により定義されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】デバイスと、多くの標識と、種々のクラッタオブジェクトとを含む、測位システムを描く図である。前記デバイスはパルスを送信し、標識からの反射パルスを含む帰還信号を受信する。
【図1B】測位システムにおける、標識による電磁パルスの反射を描く。パルスはデバイスによって受信される前に、2つの反射を受ける。その結果、第1の円偏波を有する、デバイスから送信されるパルスは、デバイスによって受信されるときに同じ第1の円偏波を有するであろう。
【図2A】帰還信号の反射パルス部分がドップラーシフトを含むように、ある特定の速度で移動するデバイスを描く。
【図2B】第1の方向に、ある特定の速度で移動し、第1の帰還信号を受信する装置を描く。前記デバイスは、次に第2の方向にある距離移動する。その後に、デバイスは前記特定の速度で前記第1の方向に再び移動し、第2の帰還信号を受信する。
【図3】帰還信号から反射パルスを隔離するために使用される、距離ビン、及び距離−角度ビンを描く。
【図4】第1のパッシブ反射面、第2のパッシブ反射面、及び前記第1の表面を基準にした角度で前記第2の表面を配置するための構造とを含む、測位システムで使用するための標識を描く。
【図5】測位システムにおいて使用するための典型的な装置の構成要素を描くブロック図である。
【図6】第1のパルスの送信後に受信された第1の帰還信号と、第2のパルスの送信後に受信された第2の帰還信号と、距離候補の削減された集合の選択を可能にする処理済みの帰還信号とを描く。
【図7A】第1のそれぞれの角度範囲のヌル点を有する伝送アンテナ放射パターン、標識、送信パルス、及び反射パルスを説明する図である。
【図7B】第2のそれぞれの角度範囲のヌル点を有する伝送アンテナ放射パターン、標識、送信パルス、及び反射パルスを説明する図である。
【図7C】複数の送信パルスの、距離ビン内の、帰還信号強度の説明図である。各送信パルスは、それぞれの異なる角度範囲でヌル点を有する伝送アンテナ放射パターンで送信された。
【図8A】第1のそれぞれの角度範囲のヌル点を有する伝送アンテナ放射パターン、壁状のクラッタオブジェクト、第1の送信パルス、第1の反射パルス、第2の送信パルス、及び第2の反射パルスを説明する図である。
【図8B】複数の送信パルスの、距離ビン内の、帰還信号強度の説明図である。各送信パルスは、それぞれの異なる角度範囲でヌル点を有する伝送アンテナ放射パターンで送信された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識を基準にしてデバイスの位置を決定する方法であって、
前記デバイスから、偏波を有するパルスを送信するステップと、
ある期間に渡って、前記標識から反射されるパルスを含む帰還信号を受信するステップであって、前記偏波を有する信号を優先的に受信することを含む前記受信するステップと、
前記帰還信号から前記反射パルスを隔離し、前記デバイスから前記標識までの距離を決定するために前記帰還信号を処理するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記偏波が円偏波である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記偏波が右円偏波(RHCP)と左円偏波(LHCP)から構成されるグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記送信するステップと、受信するステップの両方のために同じ円偏波アンテナを使用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記受信ステップを実行中に、ある速度で、ある特定の方向に前記デバイスを移動するステップと、
前記帰還信号の前記反射パルス部分でドップラーシフトを検出するステップと、
前記検出されたドップラーシフトの関数として、前記特定の方向と、前記デバイスと前記標識間の直線との間の角度を決定するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記デバイスの第1の位置で前記パルスを送信し、それぞれの距離候補が前記標識までの考えられる距離を表す距離候補の第1の集合を、前記受信された帰還信号から決定するステップと、
前記デバイスの第2の位置で前記パルスを送信し、前記受信された帰還信号から距離候補の第2の集合を決定するステップと、
1つまたは複数の潜在的な標識位置と整合している距離候補の削減された集合を生成するために距離候補の前記第1の集合と第2の集合を処理するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記デバイスの第1の位置で前記パルスを送信し、それぞれの距離候補が前記標識までの考えられる距離を表す距離候補の第1の集合を、前記受信された帰還信号から決定するステップと、
前記デバイスの複数の追加位置で前記パルスを送信し、前記受信された帰還信号から距離候補の複数の追加の集合を決定するステップと、
前記標識に対応する単一の距離候補を生成するために距離候補の前記第1の集合と追加の集合を処理するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記送信するステップが複数回前記パルスを送信するステップを含み、前記パルスの各伝送が、角度の異なるそれぞれの範囲に渡ってヌル点を有するそれぞれの伝送ビームパターンを有し、
前記処理するステップが、
それぞれの距離が前記標識までの考えられる距離を表し、各距離候補が角度の関連範囲を有する、距離候補の第1の集合を、前記複数のパルス伝送からの前記帰還信号から決定するステップと、
1つまたは複数の潜在的な標識位置と整合している距離候補の削減された集合を生じさせるために、各距離候補と関連付けられる角度の範囲を分析するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記それぞれの伝送ビームパターンの中の前記ヌル点が、幅15°未満である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記送信するステップが、位相差を有する実質的に同一の信号で駆動される少なくとも2本のアンテナを使用して送信するステップを含み、前記位相差が前記ヌル点の角度の前記範囲を制御する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記送信するステップが一連のパルスを送信するステップを含み、
前記受信するステップが(A)その間に所定の分離距離を有する複数の別々の場所で前記一連のパルスを受信し、前記受信パルスの少なくとも部分集合に対応する一連の受信パルスデータセットを生成するステップであって、各受信パルスデータセットが前記複数の別々の場所の内の各2つまたは3つ以上でそれぞれのパルスを受信することで得られた受信パルスデータを有する、ステップと、(B)角度の関連範囲内に受信パターンヌルを有する結合された帰還信号を生成するために、各パルスデータセット内で前記パルスデータを結合するステップとを含み、
前記処理するステップが、
それぞれの距離候補が前記標識までの考えられる距離を表す距離候補の第1の集合を前記結合帰還信号から決定し、それぞれの複数の角度範囲と関連付けられる複数の振幅値を含む、角度に関係する信号強度データを、距離候補ごとに決定するステップと、
1つまたは複数の潜在的な標識位置と整合している距離候補の削減された集合を生成するために、前記距離候補の少なくとも1つと関連付けられる前記角度に関係する信号強度データを分析するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記受信するステップが、
その間に所定の分離距離を有する複数の別々の場所で前記パルスを受信し、前記パルスが受信される前記複数の別々の場所の内の少なくとも2つについて受信パルスデータを生成するステップと、
それぞれが角度の関連範囲内に受信パターンヌルを有する複数の結合帰還信号を発生するために、複数の位相オフセットを使用して複数回前記受信パルスデータを結合するステップとを含み、
前記処理するステップが、
各距離候補が前記標識までの考えられる距離を表す距離候補の第1の集合を前記結合帰還信号から決定し、それぞれの複数の角度範囲と関連付けられる複数の振幅値を含む、角度に関係する信号強度データを距離候補ごとに決定するステップと、
1つまたは複数の潜在的な標識位置と整合している距離候補の削減された集合を生じさせるために、前記距離候補の少なくとも1つと関連付けられる前記角度に関係する信号強度データを分析するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記送信するステップと受信するステップとを複数回繰り返し、代表的な帰還信号を生成するために、結果として生じる帰還信号を結合するステップを含み、前記処理するステップが前記代表的な帰還信号を処理する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記デバイスが実質的に単一の位置に留まる間に、複数回前記送信するステップと受信するステップとを繰り返し、代表的な帰還信号を生成するために、結果として生じる帰還信号を結合するステップを含み、前記処理するステップが前記代表的な帰還信号を処理する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
固定位置に配される、パッシブ等方性反射標識と、
電磁パルスを送信するように構成されるデバイスであって、前記パルスが偏波を有し;ある期間に渡って前記反射体からの反射パルスを含む帰還信号を受信し、前記帰還信号から前記反射パルスを隔離し前記デバイスから前記反射体までの距離を決定するために、前記帰還信号を処理するようにさらに構成される前記デバイスとを備え、
前記反射標識が、
電磁パルスを反射するための第1のパッシブ反射体と、
電磁パルスを反射するための第2のパッシブ反射体と、
前記第1のパッシブ反射体を基準にした角度で前記第2のパッシブ反射体を静的に配置するように構成された静的構造であって、前記角度が約90°である、静的構造と、を備える測位システム。
【請求項16】
前記偏波が円偏波である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記偏波が右円偏波(RHCP)と左円偏波(LHCP)から構成されるグループから選択される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記デバイスが、前記偏波を有する信号を優先的に受信するように構成される少なくとも1本のアンテナを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記デバイスが、偏波を有する前記パルスを優先的に送信し、前記偏波を有する信号を優先的に受信するように構成される少なくとも1本のアンテナを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記デバイスが、
ある速度で、ある特定の方向に前記デバイスを移動するための車両運動機構と、
データプロセッサと、
前記データプロセッサにより実行され、
前記帰還信号の前記反射パルス部分でドップラーシフトを検出するステップ、前記特定の方向と、前記デバイスと前記標識間の直線との間の角度を検出するステップ、のための命令を含む少なくとも1つのプログラムモジュールとを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記デバイスが、
ある速度で、ある特定の方向に前記デバイスを移動するための車両運動機構と、
データプロセッサと、
前記データプロセッサにより実行され、
前記デバイスの第1の位置で前記パルスを送信し、それぞれの距離候補が前記標識までの考えられる距離を表す距離候補の第1の集合を前記受信された帰還信号から決定するステップ、
前記デバイスの第2の位置で前記パルスを送信し、前記受信された帰還信号から距離候補の第2の集合を決定するステップ、
1つまたは複数の潜在的な標識位置と整合している距離候補の削減された集合を生成するために、距離候補の前記第1の集合と第2の集合を処理するステップ、のための命令を含む少なくとも1つのプログラムモジュールとを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記デバイスが、
ある速度で、ある特定の方向で前記デバイスを移動するための車両運動機構と、
データプロセッサと、
前記データプロセッサによって実行され、
前記デバイスの第1の位置で前記パルスを送信し、それぞれの距離候補が前記標識までの考えられる距離を表す距離候補の第1の集合を前記受信された帰還信号から決定するステップ、
前記デバイスの複数の追加の位置で前記パルスを送信し、前記受信された帰還信号から距離候補の複数の追加の集合を決定するステップ、
前記標識に対応する単一の距離候補を生成するために距離候補の前記第1の集合と追加の集合を処理するステップ、のための命令を含む少なくとも1つのプログラムモジュールとを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記デバイスが、
データプロセッサと、
前記データプロセッサによって実行される、
前記パルスを複数回送信するステップであって、前記パルスの各伝送が角度の異なるそれぞれの範囲に渡ってヌル点を有するそれぞれの伝送ビームパターンを有する、ステップ、
それぞれの距離候補が前記標識までの考えられる距離を表し、各距離候補が角度の関連範囲を有する、距離候補の第1の集合を、前記複数のパルス伝送からの前記帰還信号から決定するステップ、
1つまたは複数の潜在的な標識位置と整合している距離候補の削減された集合を生じさせるために、各距離候補と関連付けられる角度の前記範囲を分析するステップ、のための命令を含む少なくとも1つのプログラムモジュールとを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
前記それぞれの伝送ビームパターンの中の前記ヌル点が、幅15°未満である、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記デバイスが、位相差を有する実質的に同一の信号によって駆動される少なくとも2本のアンテナを含み、前記位相差が前記ヌル点の角度の前記範囲を制御する、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記デバイスが、
その間に所定の分離距離を有する複数の別々の場所で電磁パルスを受信するように構成されるアンテナと、
データプロセッサと、
前記データプロセッサによって実行され、
一連のパルスを送信するステップ、
前記受信パルスの少なくとも1つの部分集合に対応する一連の受信パルスデータセットを、前記複数のパルス伝送からの前記帰還信号から生成するステップであって、それぞれの受信パルスデータセットが前記複数の別々の場所の内の各2つ以上でそれぞれのパルスを受信することから得られる受信パルスデータを有する、ステップ、
角度の関連範囲内に受信パターンヌルを有する結合帰還信号を発生するために各パルスデータセット内で前記パルスデータを結合するステップ、
それぞれの距離候補が前記標識までの考えられる距離を表す距離候補の第1の集合を前記結合帰還信号から決定し、それぞれの複数の角度範囲と関連付けられる複数の振幅値を含む、角度に関係する信号強度データを、距離候補ごとに決定するステップ、
1つまたは複数の潜在的な標識位置と整合している距離候補の削減された集合を生成するために、前記距離候補の少なくとも1つと関連付けられる前記角度に関係する信号強度データを分析するステップ、のための命令を含む少なくとも1つのプログラムモジュールとを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
前記デバイスが、
その間に所定の分離距離を有する複数の別々の場所で電磁パルスを受信するように構成されるアンテナと、
データプロセッサと、
前記データプロセッサによって実行され、
一連のパルスを送信するステップ、
前記受信パルスの少なくとも1つの部分集合に対応する一連の受信パルスデータセットを前記複数のパルス伝送からの前記帰還信号から生成するステップであって、それぞれの受信パルスデータセットが前記複数の別々の場所の内の各2つまたは3つ以上でそれぞれのパルスを受信することから得られる受信パルスデータを有する、ステップ、
それぞれが角度の関連範囲内に受信パターンヌルを有する複数の結合帰還信号を生成するために、複数の位相オフセットを使用して前記受信パルスデータを複数回結合するステップ、
それぞれの距離候補が前記標識までの考えられる距離を表す距離候補の第1の集合を、前記結合帰還信号から決定し、それぞれの複数の角度範囲と関連付けられる複数の振幅値を含む、角度に関係する信号強度データを、距離候補ごとに決定するステップ、
1つまたは複数の潜在的な標識位置と整合する距離候補の削減された集合を生じさせるために、前記距離候補の少なくとも1つと関連付けられる前記角度に関係する信号強度データを分析するステップ、のための命令を含む少なくとも1つのプログラムモジュールとを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項28】
前記デバイスが、
データプロセッサと、
前記データプロセッサによって実行される、
前記送信するステップと受信するステップとを複数回繰り返すステップ、
代表的な帰還信号を生成するために、結果として生じる帰還信号を結合するステップ、
1つまたは複数の潜在的な標識位置と整合している距離候補の集合を生じさせるために、前記代表的な帰還信号を処理するステップ、のための命令を含む少なくとも1つのプログラムモジュールと、を含む請求項15に記載のシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2007−524839(P2007−524839A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517842(P2006−517842)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/021366
【国際公開番号】WO2005/015258
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(504278123)ナヴコム テクノロジー インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】