説明

同期処理方法および装置

【課題】各下位ネットワーク・エレメント間の同期を保持し、システムの性能を安定化させる同期処理方法および装置を提供する。
【解決手段】同期処理方法は、所定のネットワーク・エレメントが、その上位ネットワーク・エレメントにより送信されたMBMSサービスの、データ・パケットにタイム・スタンプ情報が付けられた複数のデータ・バーストを受信するステップと、所定のネットワーク・エレメントが、タイム・スタンプ情報が現在利用可能な送信時間の前にある場合の複数のデータ・バーストに属するデータ・パケットを、現在利用可能な送信時間の開始時刻から順次送信するステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信分野に関し、特に同期処理方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの発展に伴い、マルチメディア・サービスがたくさん生まれてきている。人々の移動体通信に対するニーズは、電話とメッセージ・サービスだけではもう満足できなくなっている。現在、マルチメディア・サービスには、例えばビデオ・オン・デマンド・サービス、テレビ放送、テレビ会議、オンライン教育、対話型ゲームなど、複数のユーザが同時に同じデータを受信できるという特徴を有するアプリケーション・サービスが導入されている。
【0003】
モバイル・ネットワーク・リソースを活用するために、1つのデータ・ソースが複数のユーザにデータを送信するポイント・ツー・マルチポイント・サービス(Point To Multipoint Service)であるマルチメディア放送マルチキャスト・サービス(Multimedia Broadcast Multicast Service、以下、単に「MBMS」という。)が提案されている。このサービスにより、移動体コア・ネットワークとアクセス・ネットワークとのリソースの共有、特にエア・インターフェース・リソースの共有を含むネットワーク・リソースの共有が可能であり、3GPPのMBMSにより、プレーン・テキストでありスピードが低いメッセージ類のマルチキャストや放送だけでなく、スピードの高いマルチメディア・サービスのマルチキャストや放送も実現可能である。
【0004】
MBMSサービスは、ネットワーク全体向けのサービスであるため、同一のMBMSサービスは、異なる下位ネットワーク・エレメント・ノード(Network Element Node)に構築される可能性がある。図1は、従来の複数のネットワーク・エレメントのMBMSサービス同期処理方法の流れ図である。この方法は、ステップS102と、ステップ104と、ステップS106とを含む。
【0005】
ステップS102において、上位ネットワーク・エレメントは、サービス・データを保持しタイム・スタンプ情報、データ・パケットのシリアル番号情報、積算したサービス・データの長さ情報などを有するMBMSサービス・データ・パケットを、各下位ネットワーク・エレメントに送信する。上位ネットワーク・エレメントは、1または複数の連続するサービス・データ・パケットに同一のタイム・スタンプ情報を付け、これら同一のタイム・スタンプが付けられたデータ・パケットは、1つのデータ・バースト(data burst)を構成する、或いは同期シーケンス(synchronization Sequence)と言われる。
【0006】
ステップS104において、下位ネットワーク・エレメントは、同一データ・バーストのサービス・データ・パケットに含まれるサービス・データについてRLC(Radio Link Control、無線リンク制御)プロトコル層のカスケード接続処理を行う必要がある。
【0007】
ステップS106において、下位ネットワーク・エレメントは、同一データ・バーストのサービス・データ・パケットに備えたサービスを、その付与されたタイム・スタンプにより指示された時刻から、無線インターフェースで順次送信する。上位ネットワーク・エレメントから各下位ネットワーク・エレメントに送信された上記情報が全く一致しているため、各下位ネットワーク・エレメントは、全く同一の処理を行うことができる。これにより、各下位ネットワーク・エレメントのセル間でのMBMSサービスの同期送信が実現される。
【0008】
従来、各データ・パケットのタイム・スタンプ情報は、上位ネットワーク・エレメントでサービス・データ・パケットの受信時刻に基づいてタイム・スタンプを付与し、同期シーケンス長(synchronization sequence length)と言われるある特定長の時間間隔内に受信したサービス・データ・パケットに同一のタイム・スタンプを付与する第1の方式と、上位ネットワーク・エレメントが下位ネットワーク・エレメントによるRLCプロトコル層の処理を仮想化し、RLC処理の仮想化結果に基づいて、RLCカスケード接続処理を行うべきサービス・データ・パケットに同一のタイム・スタンプを付与する第2の方式とのいずれかにより設定することができる。
【0009】
タイム・スタンプの設定がサービス・データ・パケットの上位ネットワーク・エレメントに到達した時間に依存することが分かるため、サービス・データ・パケットのタイム・スタンプ間隔は、いずれも確定不能である。
【0010】
1つのMBMSサービスは、時分割多重化(Time Division Multiplex、以下、単に「TDM」という。)を用いて無線インターフェース・チャネルにより無線インターフェースで送信することができる。TDM方式は、TDM周期と、TDMオフセットと、TDM重複長とのパラメータを含む。具体的には、1つのMBMSサービスは、その割り当てられたTDM周期において、「TDMオフセット」番目のTTIからのTDM重複長の数の連続する送信時間間隔(TTI)内に送信される。ここで、TDM重複周期は、最大9、MBMSサービスが利用可能なTTIの長さは、40又は80msである。
【0011】
TDM方式によりデータを送信する際、1つのMBMSサービスが無線インターフェースで送信される時間が連続しないため、タイム・スタンプ情報は、無線インターフェースが当該MBMSサービスを送信可能な開始時間に直接対応させるわけにはいかない。また、隣り合うタイム・スタンプの間隔が異なるため、複数のタイム・スタンプの間隔は、無線インターフェースが利用可能な送信時間の間隔よりも短いことがある。すなわち、複数のデータ・バーストの異なるタイム・スタンプ情報が前の利用可能な送信時間および次の利用可能な送信時間内にあることがある。この結果、同一の上位ネットワーク・エレメントに属する下位ネットワーク・エレメントは、同じデータ・バーストの同期処理を行うことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、同一の上位ネットワーク・エレメントに属する下位ネットワーク・エレメントが同じデータ・バーストの同期処理を行うことができないといった関連技術の問題点に鑑みてなされたものであり、この問題点を解決するために改良した同期処理方式を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の1態様によれば、同期処理方法が提供される。
【0014】
本発明に係る同期処理方法は、所定のネットワーク・エレメントが、その上位ネットワーク・エレメントにより送信されたMBMSサービスの、データ・パケットにタイム・スタンプ情報が付けられた複数のデータ・バーストを受信するステップと、所定のネットワーク・エレメントが、タイム・スタンプ情報が現在利用可能な送信時間の前にある場合の複数のデータ・バーストに属するデータ・パケットを、現在利用可能な送信時間の開始時刻から順次送信するステップと、を含む。
【0015】
本発明の他の態様によれば、同期処理装置が提供される。
【0016】
本発明に係る同期処理装置は、上位ネットワーク・エレメントにより送信されたMBMSサービスの、データ・パケットにタイム・スタンプ情報が付けられた複数のデータ・バーストを受信する受信モジュールと、タイム・スタンプ情報が現在利用可能な送信時間の前にある場合の複数のデータ・バーストに属するデータ・パケットを、現在利用可能な送信時間の開始時刻から順次送信する処理モジュールと、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上述した少なくとも1つの技術案によれば、タイム・スタンプ情報が現在利用可能な送信時間の前にある複数のデータ・バーストを、所定の時間に送信することで、各下位ネットワーク・エレメント間の同期を保持することができ、システムの性能が安定化される。
【0018】
図面は、本発明を更に理解するためのものであり、明細書の一部を構成する。また、本発明の実施例と共に本発明を解釈(説明)するもので、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、関連技術に係る複数のネットワーク・エレメントのMBMSサービス同期処理方法の流れ図である。
【図2】図2は、本発明の実施例に係る同期処理方法の流れ図である。
【図3】図3は、本発明に係る上位ネットワーク・エレメントおよび下位ネットワーク・エレメントの論理構成ブロック図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1に係る同期処理方法を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施例2に係る同期処理方法を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施例に係る同期処理装置の構成ブロック図である。
【図7】図7は、本発明の実施例に係る同期処理装置の詳細構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(機能概略)
上述したように、従来、TDM方式によりデータを送信する際、複数のタイム・スタンプの間隔が、無線インターフェースが利用可能な送信時間の間隔よりも短いことがある。すなわち、複数のデータ・バーストの異なるタイム・スタンプ情報が前の利用可能な送信時間および次の利用可能な送信時間内にあり、同一の上位ネットワーク・エレメントに属する下位ネットワーク・エレメントが同じデータ・バーストの同期処理を行うことができない問題が生じる。本発明は、この問題に対応して、タイム・スタンプ情報が現在利用可能な送信時間の前にある複数のデータ・バーストにおけるデータ・パケットを、所定の時間内に送信することにより、各下位ネットワーク・エレメントの同期を保持する同期処理方式を提供する。
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明について詳細に説明する。なお、本出願の実施例および実施例における特徴は、相容しなくないのであれば、お互いに組み合わせが可能である。
【0022】
(方法実施例)
本発明の実施例によれば、同期処理方法が提供される。
【0023】
図2は、本発明の実施例に係る同期処理方法の流れ図である。当該方法は、図2に示すように、ステップS202とステップS204とを含む。
【0024】
ステップS202において、所定のネットワーク・エレメントは、その上位ネットワーク・エレメントにより送信されたMBMSサービスの複数のデータ・バーストを受信する。ここで、データ・バーストは、同じタイム・スタンプ情報が付与された1又は複数のデータ・パケットを含む。
【0025】
ステップS204において、所定のネットワーク・エレメントは、タイム・スタンプ情報が現在利用可能な送信時間の前にある場合の複数のデータ・バーストに属するデータ・パケットを、現在利用可能な送信時間の開始時刻から順次送信する。
【0026】
本発明の実施例に係る技術案によれば、タイム・スタンプ情報が現在利用可能な送信時間の前にある複数のデータ・バーストを、所定の時間に送信することで、各下位ネットワーク・エレメント間の同期を保持することができ、システムの性能が向上する。
【0027】
ステップS204において、所定のネットワーク・エレメントは、次の3つの方式により2つの送信時刻のうちの後の送信時刻から複数のデータ・バーストに属するデータ・パケットを送信する。
【0028】
第1の方式では、所定のネットワーク・エレメントが、異なるデータ・バーストに属するデータ・パケットを、タイム・スタンプ順にRLCカスケード接続して送信する。
【0029】
第2の方式では、所定のネットワーク・エレメントが、同一データ・バーストに属するデータ・パケットをRLCカスケード接続し、異なるデータ・バーストに属するRLC処理された複数のデータ・パケットを同一のTTIに送信できる。
【0030】
第3の方式では、所定のネットワーク・エレメントが、同一データ・バーストに属するデータ・パケットをRLCカスケード接続し、異なるデータ・バーストに属するRLC処理された複数のデータ・パケットをそれぞれ異なるTTIに送信する。
【0031】
ここで、利用可能な送信時間は、データ・パケットを送信する期間(time period)であり、例えばTDM方式によりデータ・パケットを送信する際に、当該利用可能な送信時間は、データ・パケットを送信する時間リソースであってもよい。
【0032】
現在利用可能な送信時間は、MBMSサービスを送信するための次の無線インターフェース時間リソースである。
【0033】
図3は、上位ネットワーク・エレメントおよび下位ネットワーク・エレメントの論理構成ブロック図である。同図からわかるように、1つの上位ネットワーク・エレメントは、複数の下位ネットワーク・エレメントと接続され、シグナリングのやり取りを行う。なお、上位ネットワーク・エレメントとこの上位ネットワーク・エレメントに属する1又は複数の下位ネットワーク・エレメント(すなわち、上述した「所定のネットワーク・エレメント」)とは、物理的機能において同じネットワーク・エレメントであってもよく、異なるネットワーク・エレメントであってもよい。上位ネットワーク・エレメントと下位ネットワーク・エレメントに分けるのは、論理的な区分に過ぎず、協同してサービス同期機能を達成するためである。すなわち、幾つかの同じ又は異なる物理的ネットワーク・エレメントは、論理的な機能により1つの上位ネットワーク・エレメントと幾つかの下位ネットワーク・エレメントとに分けられ、これらのネットワーク・エレメントは、互いに協同して、下位ネットワーク・エレメントのセル間で、複数のセルが組み合わせられる方式で送信されるMBMSサービスを実現する。
【0034】
上位ネットワーク・エレメントと下位ネットワーク・エレメントは、以下の組み合わせ方式であってもよいが、これらに限定されない。
【0035】
第1の組み合わせとしては、汎用地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)システムのMBMSサービス同期ネットワークにおいて、上位ネットワーク・エレメントは、上位無線ネットワーク・コントローラ(Raido Network Controller、以下、単に「RNC」という。)であり、下位ネットワーク・エレメントは、下位RNCであり、上位ネットワーク・エレメントと下位ネットワーク・エレメントとのインターフェースは、Iurインターフェースである。当該組み合わせにおいて、上位ネットワーク・エレメントと下位ネットワーク・エレメントは、物理的機能の同じネットワーク・エレメントである。
【0036】
第2の組み合わせとしては、HSPA+(High Speed Packet Access Plus)システムのMBMSサービス同期ネットワークにおいて、上位ネットワーク・エレメントは、マスタ無線ネットワーク・コントローラ(RNC)またはマスタ・ノード+(master NodeB+、即ちmaster NB+)であり、下位ネットワーク・エレメントは、スレーブノード+(slave NodeB+、即ちslave NB+)であり、下位ネットワーク・エレメントと上位ネットワーク・エレメントとのインターフェースは、Iurインターフェースである。この組み合わせにおいて、上位ネットワーク・エレメントと下位ネットワーク・エレメントは、物理的機能が同じで論理的機能が異なるネットワーク・エレメントである。
【0037】
第3の組み合わせとしては、LTE(Long−Term Evolution)システムのMBMSサービス同期ネットワークにおいて、上位ネットワーク・エレメントは、MGW(MBMS gateway)またはMCE(Multi−cell/multicast Coordination Entity)であり、下位ネットワーク・エレメントは、発展型ノードB(E−UTRAN NodeB)であり、上位ネットワーク・エレメントと下位ネットワーク・エレメントとのインターフェースは、M2インターフェースである。
【0038】
(実施例1)
MBMSサービスは、無線インターフェースにて非連続的に送信され、一定の時間間隔ごとに、利用可能な無線インターフェースの送信時間が配置されている。
【0039】
図4は、本発明の実施例1に係る同期処理方法を示す図である。図4に示すように、下位ネットワーク・エレメントは、タイム・スタンプ情報が異なりそれぞれのタイム・スタンプ情報が次の利用可能な送信時間の前且つ前の利用可能な送信時間の後にある2つのデータ・バーストである第1のデータ・バーストと第2のデータ・バーストのデータ・パケットを受信する。すなわち、下位ネットワーク・エレメントで受信された複数のデータ・パケットのタイミングは、隣り合う2つの利用可能な送信時間の間にある。
【0040】
下位ネットワーク・エレメントは、2つのデータ・バーストにおけるデータ・パケットをバッファリングし、次の2つの処理方式によりデータ・パケットのRLC処理を行う。
【0041】
第1の処理方式において、下位ネットワーク・エレメントは、これら2つのデータ・バーストにおける全てのデータ・パケットについてRLCカスケード接続を行う。
【0042】
第2の処理方式において、下位ネットワーク・エレメントは、それぞれのデータ・バースト内のデータ・パケットについてRLCカスケード接続を行い、異なるデータ・バーストに属するデータ・パケットについてはRLCカスケード接続を行わない。即ち、第1のデータ・バーストに属するデータ・パケットと、第2のデータ・バーストに属するデータ・パケットのそれぞれについてRLCカスケード接続を行う。
【0043】
下位ネットワーク・エレメントは、隣り合う2つの利用可能な送信時間のうちの後の送信時間(即ち、上述した「次の利用可能な送信時間」)から2つのデータ・バーストに含まれるサービス・データを無線インターフェースで順次送信する。また、第2の処理方式では、1つのデータ・バーストに属するRLCカスケード接続されたデータ・パケットを1つのTTIに送信しても良いし、複数のデータ・バーストに属するRLCカスケード接続されたデータ・パケットを同一TTIに送信してもよい。
【0044】
また、下位ネットワーク・エレメントは、次の利用可能な送信時間内に上記2つのデータ・バーストのサービス・データを送信できない場合に、後続の利用可能な送信時間にこれらデータ・バーストのサービス・データを送信し続ける。
【0045】
(実施例2)
MBMSサービスは、無線インターフェースにて非連続的に送信され、一定の時間間隔ごとに、利用可能な無線インターフェースの送信時間が配置されている。
【0046】
図5は、本発明の実施例2に係る同期処理方法を示す図である。図5に示すように、下位ネットワーク・エレメントは、タイム・スタンプ情報が異なる2つのデータ・バーストにおけるデータ・パケットを受信する。ここで、第1のデータ・バーストのタイム・スタンプは、前の利用可能な送信時間内にあり、第2のデータ・バーストのタイム・スタンプは、次の利用可能な送信時間の前且つ前の利用可能な送信時間の後に、すなわち、隣り合う2つの利用可能な送信時間の間隔にある。
【0047】
下位ネットワーク・エレメントは、2つのデータ・バーストのデータ・パケットをバッファリングし、次の2つの処理方式によりデータ・パケットのRLC処理を行う。
【0048】
第1の処理方式において、下位ネットワーク・エレメントは、これら2つのデータ・バーストの全てのデータ・パケットについてRLCカスケード接続を行う。
【0049】
第2の処理方式において、下位ネットワーク・エレメントは、それぞれのデータ・バースト内のデータ・パケットについてRLCカスケード接続を行い、異なるデータ・バーストに属するデータ・パケットについてはRLCカスケード接続を行わない。即ち、第1のデータ・バーストに属するデータ・パケットと、第2のデータ・バーストに属するデータ・パケットのそれぞれについてRLCカスケード接続を行う。
【0050】
下位ネットワーク・エレメントは、隣り合う2つの利用可能な送信時間のうちの後の送信時間(即ち、上述した「次の利用可能な送信時間」)から2つのデータ・バーストに含まれるサービス・データを無線インターフェースで順次送信する。
【0051】
また、下位ネットワーク・エレメントは、次の利用可能な送信時間内に上記2つのデータ・バーストのサービス・データを送信できない場合に、後続の利用可能な送信時間にこれらデータ・バーストのサービス・データを送信し続ける。
【0052】
(装置実施例)
本発明の実施例によれば、上記方法実施例に係る同期処理方法を実現するための同期処理装置が提供される。
【0053】
図6は、本発明の実施例に係る同期処理装置の構成ブロック図である。当該装置は、図6に示すように、上位ネットワーク・エレメントにより送信されるMBMSサービスの複数のデータ・バーストを受信する受信モジュール10と、受信モジュール10に接続可能であり、タイム・スタンプ情報が現在利用可能な送信時間の前にある場合の複数のデータ・バーストに属するデータ・パケットを、所定のネットワーク・エレメントにより上記現在利用可能な送信時間の送信開始時刻から送信する処理モジュール20とを備える。利用可能な送信時間は、データ・パケットを送信するための期間である。
【0054】
また、処理モジュール20は、さらに、前の利用可能な送信時間に送信されていないデータ・バーストを現在利用可能な送信時間に送信したり、前の利用可能な送信時間に送信されていないデータ・バーストを現在利用可能な送信時間に送信しなかったりする。
【0055】
図7は、図6に示す装置の詳細構成ブロック図である。上記処理モジュールは、図7に示すように、異なるデータ・バーストに属するデータ・パケットをタイム・スタンプ順にRLCカスケード接続して送信する第1の処理モジュール202と、同一データ・バーストに属するデータ・パケットをそれぞれRLCカスケード接続し、複数の異なるデータ・バーストに属するRLCカスケード接続されたデータ・パケットを同一TTIに送信する第2の処理モジュール204と、同一データ・バーストに属するデータ・パケットをそれぞれRLCカスケード接続し、1つのTTIに、同一データ・バーストに属するRLCカスケード接続されたデータ・パケットのみを送信する第3の処理モジュール206と、を含む。
【0056】
本発明の実施例に係る同期処理装置によれば、タイム・スタンプ情報が現在利用可能な送信時間の前にある複数のデータ・バーストを、所定の時間に送信することで、各下位ネットワーク・エレメント間の同期を保持することができ、システムの性能が向上する。
【0057】
上述したように、本発明の同期処理方法及び/又は装置によれば、タイム・スタンプ情報が現在利用可能な送信時間の前にある複数のデータ・バーストを、所定の時間に送信することで、各下位ネットワーク・エレメント間の同期を保持することができ、システムの性能が安定化される。これにより、上位ネットワーク・エレメントは、データ・バーストのタイム・スタンプ情報を設定する際に、無線インターフェースの配置の詳細を考慮する必要がなくなり、上位ネットワーク・エレメントにより設定されたデータ・バーストのタイム・スタンプの間隔が、無線インターフェースの利用可能な送信時間の間隔よりも短い場合にも、適切な処理が可能であり、各下位ネットワーク・エレメント間の処理の同期が保持される。
【0058】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。当業者であれば、本発明の様々な変更や変形が可能である。本発明の精神や原則を逸脱しない如何なる変更、置換、改良なども本発明の保護範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のネットワーク・エレメントが、その上位のネットワーク・エレメントにより送信されたMBMSサービスの、データ・パケットにタイム・スタンプ情報が付けられた複数のデータ・バーストを受信するステップと、
前記所定のネットワーク・エレメントが、前記タイム・スタンプ情報が現在利用可能な送信時間の前にある場合の複数のデータ・バーストに属するデータ・パケットを、前記現在利用可能な送信時間の開始時刻から順次送信するステップと、
を含むことを特徴とする同期処理方法。
【請求項2】
前記所定のネットワーク・エレメントが、異なるデータ・バーストに属するデータ・パケットをタイム・スタンプ順にRLCカスケード接続することを特徴とする請求項1に記載の同期処理方法。
【請求項3】
前記所定のネットワーク・エレメントが、同一データ・バーストに属するデータ・パケットについてRLCカスケード接続処理を行い、異なるデータ・バーストに属するRLC処理されたデータ・パケットを、同一のTTIに送信することを特徴とする請求項1に記載の同期処理方法。
【請求項4】
前記所定のネットワーク・エレメントは、同一データ・バーストに属するデータ・パケットについてRLCカスケード接続処理を行い、異なるデータ・バーストに属するRLCカスケード接続されたデータ・パケットを、異なるTTIに送信することを特徴とする請求項1に記載の同期処理方法。
【請求項5】
前記所定のネットワーク・エレメントが前記複数のデータ・バーストに属するデータ・パケットを前記現在利用可能な送信時間の開始時刻から順次送信するステップは、具体的に、
前の利用可能な送信時間内に送信されていないデータ・バーストを現在利用可能な送信時間に送信すること、或いは
前の利用可能な送信時間内に送信されていないデータ・バーストを現在利用可能な送信時間に送信しないことである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の同期処理方法。
【請求項6】
前記現在利用可能な送信時間は、データ・パケットを送信するための次の無線インターフェース・リソースの期間であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の同期処理方法。
【請求項7】
前記データ・バーストは、同じタイム・スタンプ情報が付与された1組のデータ・パケットであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の同期処理方法。
【請求項8】
所定のネットワーク・エレメント側に位置する同期処理装置であって、
上位ネットワーク・エレメントにより送信されたMBMSサービスの、データ・パケットにタイム・スタンプ情報が付けられた複数のデータ・バーストを受信する受信モジュールと、
前記タイム・スタンプ情報が現在利用可能な送信時間の前にある場合の複数のデータ・バーストに属するデータ・パケットを、前記現在利用可能な送信時間の開始時刻から順次送信する処理モジュールと、
を備えることを特徴とする同期処理装置。
【請求項9】
前記処理モジュールは、
異なるデータ・バーストに属するデータ・パケットをタイム・スタンプ順にRLCカスケード接続する第1の処理モジュールと、
同一データ・バーストに属するデータ・パケットをそれぞれRLCカスケード接続し、異なるデータ・バーストに属するRLC処理されたデータ・パケットを同一のTTIに送信する第2の処理モジュールと、
同一データ・バーストに属するデータ・パケットをそれぞれRLCカスケード接続し、異なるデータ・バーストに属するRLCカスケード接続されたデータ・パケットを異なるTTIに送信する第3の処理モジュールと、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の同期処理装置。
【請求項10】
前記処理モジュールは、さらに、前の利用可能な送信時間内に送信されていないデータ・バーストを現在利用可能な送信時間に送信したり、前の利用可能な送信時間に送信されていないデータ・バーストを現在利用可能な送信時間に送信しなかったりすることを特徴とする請求項7に記載の同期処理装置。
【請求項11】
前記現在利用可能な送信時間は、データ・パケットを送信するための次の無線インターフェース・リソースの期間であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の同期処理装置。
【請求項12】
前記データ・バーストは、同じタイム・スタンプ情報が付与された1組のデータ・パケットであることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の同期処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−503375(P2012−503375A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527186(P2011−527186)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【国際出願番号】PCT/CN2009/071109
【国際公開番号】WO2010/031257
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(507371249)ゼットティーイー コーポレイション (97)
【Fターム(参考)】