説明

同調型アンテナ

【課題】アンテナ素子に接続するケーブル本数を減らし、ケーブルコストと組み立てコストの低減を図った同調型アンテナを提供する。
【解決手段】アンテナ素子2と、アンテナ素子2と電気的に接続される同調回路3とを備えた同調型アンテナ1において、アンテナ素子2の第1端子と一端側で電気的に接続され、アンテナ素子2で受信した受信信号を出力するRF出力用信号線5と、RF出力用信号線5の他端側と電気的に接続され、同調回路3を制御する周波数制御電源8の制御電圧を重畳するための制御電圧重畳回路9と、一端側はアンテナ素子2の第2端子と電気的に接続され、他端側は接地される第1DCカット用キャパシタ10aとを備え、RF出力用信号線5と制御電圧重畳回路9との接続点jから出力された受信信号はDCカット手段10bに入力されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ素子と同調回路を備えた同調型アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
地上波ディジタルテレビジョン放送は、地上(陸上)のディジタル方式の無線局を用いて行われるテレビジョン放送である。日本においては、1953年に放送が開始されたアナログ方式のテレビジョン放送(VHF1〜12ch)を、2011年7月にUHFチャンネル(470〜770MHz帯で13〜62ch)のみを使用したディジタル方式に置き換える予定である。
【0003】
地上波ディジタルテレビジョン放送では、マルチチャンネルのOFDM(直交周波数変調)方式を用いており、キャリアを13のセグメントに分割し、セグメントごとに異なるディジタル変調を行うこともできる。
【0004】
通常のテレビや、デスクトップ型やノート型パソコンなどのコンピュータは3セグメントで4チャンネルを収納でき、ハイビジョンでは12セグメントを用い、残りの1セグメントをデータ伝送用として、ワンセグ(携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス)の放送に用いる。ワンセグの受信は、携帯電話、カーナビ、PDA(携帯型情報通信端末)、ゲーム機などの移動・携帯機器での受信を目的としている。
【0005】
このような地上波ディジタルテレビジョン放送を受信するアンテナとして、モノポールアンテナや図4に示すような従来の同調型アンテナ41がある。
【0006】
同調型アンテナ41では、受波素子42の一端に可変容量ダイオード(VCD)43が電気的に接続される。VCDはバリキャップダイオード、バリコンともいう。VCD43にはDC(直流)カット用キャパシタ44が電気的に接続され、VCD43とDCカット用キャパシタ44間にはRF(高周波)カット用抵抗45の一端が電気的に接続され、RFカット用抵抗45の他端側である電源側端子には、制御電圧用ケーブル46を介して周波数制御電源47の一端が電気的に接続され、周波数制御電源47の他端側は接地される。受波素子42の他端には、RF出力用(受信RF信号出力用)ケーブル48を介してアンプを備えた受信回路49が電気的に接続される。
【0007】
同調型アンテナ41では、より詳細には図5に示すように、プリント回路基板(PCB)51に受波素子42や各素子が搭載され、RFカット用抵抗45と接続する制御電圧端子52に制御電圧用ケーブル46が電気的に接続され、受波素子42のRF出力端子53にRF出力用ケーブル48が電気的に接続される。
【0008】
この同調型アンテナ41では、VCD43の容量を周波数制御電源46の制御電圧で変化させ、受波素子42で受信する電波の周波数に応じて同調周波数を変化させ、所望のチャンネルの放送を受信する。
【0009】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【0010】
【特許文献1】特開平10−173426号公報(同調タイプ、特に図2参照)
【特許文献2】特開2000−151448号公報(同調タイプ)
【特許文献3】特開2003−298341号公報(同調タイプ、特に図3参照)
【特許文献4】特開2006−345042号公報(マイコン制御タイプ)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の同調型アンテナ41では、受信信号を受信するために、制御電圧端子52とRF出力端子53の合計2個の入出力端子や、制御電圧用ケーブル46とRF出力用ケーブル48の合計2本のケーブルが必要になる。
【0012】
また、同調型アンテナ41では、受波素子42と受信回路49が離れている場合、2本同時にケーブルをルーティングしなければならないため、ケーブルコストと組み立てコストの両面で割高になる。
【0013】
そこで、本発明の目的は、アンテナ素子に接続するケーブル本数を減らし、ケーブルコストと組み立てコストの低減を図った同調型アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、アンテナ素子と、該アンテナ素子と電気的に接続される同調回路とを備えた同調型アンテナにおいて、
上記アンテナ素子の第1端子と一端側で電気的に接続され、該アンテナ素子で受信した受信信号を出力するRF出力用信号線と、
該RF出力用信号線の他端側と電気的に接続され、上記同調回路を制御する周波数制御電源の制御電圧を重畳するための制御電圧重畳回路と、
一端側は上記アンテナ素子の第2端子と電気的に接続され、他端側は接地される第1DCカット用キャパシタとを備え、
上記RF出力用信号線と上記制御電圧重畳回路との接続点から出力された上記受信信号はDCカット手段に入力される同調型アンテナである。
【0015】
請求項2の発明は、上記DCカット手段は、第2DCカット用キャパシタまたはアンプに内蔵されたDCカット素子である請求項1記載の同調型アンテナである。
【0016】
請求項3の発明は、上記同調回路は、
上記アンテナ素子の第3端子と電気的に接続される可変容量手段と、
一端側は該可変容量手段の他端と電気的に接続され、他端側は接地される第3DCカット用キャパシタと、
一端側は上記可変容量手段と上記第3DCカット用キャパシタとの接続点に電気的に接続され、他端側は接地される接地用素子と
を備えた請求項1又は2記載の同調型アンテナである。
【0017】
請求項4の発明は、上記接地用素子は、抵抗あるいはインダクタである請求項3記載の同調型アンテナである。
【0018】
請求項5の発明は、上記可変容量手段は、可変容量ダイオードあるいはMEMS可変容量である請求項1〜4いずれかに記載の同調型アンテナである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、アンテナ素子に接続するケーブル本数を減らし、ケーブルコストと組み立てコストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面にしたがって説明する。
【0021】
図1は、本発明の好適な実施形態を示す同調型アンテナの回路図、図2はその平面概略図である。
【0022】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る同調型アンテナ1は、主に地上波ディジタルテレビジョン放送を受信するため、例えば、デスクトップ型やノート型パソコンなどのコンピュータや、携帯電話、カーナビ、PDA、ゲーム機などの移動・携帯機器に搭載(内蔵)されて使用される。その他、同調型アンテナ1をチューナブル受信用アンテナとして用いてもよい。
【0023】
地上波ディジタルテレビジョン放送で使用する同調型アンテナには、図6(一般的なモノポールアンテナの例)に示すように広帯域な470〜770MHzもの全帯域で受信特性を維持する必要もある。このため、所望のチャンネルの放送を受信する際、同調周波数のバラツキを減らして受信特性の低下を防止することが重要である。
【0024】
本発明者らは、上記の点を考慮して鋭意研究した結果、本発明を完成した。
【0025】
さて、本実施形態に係る同調型アンテナ1は、アンテナ素子としての受波素子2と、同調回路3とを備える。受波素子2は、Cu、Alなどの導電性を有する金属板や、プリント回路基板上に設けられるマイクロストリップラインで形成される。受波素子2には、可変容量手段4が電気的に接続される。本実施形態では、可変容量手段4としてVCDを用いた。
【0026】
本実施形態では、平面視で金属板をほぼF型に形成したアンテナ素子を受波素子2として用いた。受波素子2は、細長い第3端子(受信部)2rと、その第3端子2rの一端から側方に突出し先端が接地される第2端子(接地部)2eと、第3端子2rの側端から第2端子2eに沿って突出し電波を受信する第1端子(給電部)2dとからなる。第1端子2dの先端には、受信信号を出力するRF出力用(受信RF信号出力用)信号線5を介して、アンプを備えた受信回路49が電気的に接続される。RF出力用信号線5としては、細径の同軸ケーブルやプリント回路基板21に設けた配線パターンを用いる。
【0027】
受波素子2の第3端子2rの他端には、可変容量手段4のカソードが電気的に直列接続される。可変容量手段4のアノードには、容量調整用キャパシタ(第1DCカット用キャパシタ)6の一端が電気的に直列接続され、その容量調整用キャパシタ6の他端が接地(グランド(GND)接続)される。
【0028】
このように可変容量手段4に容量調整用キャパシタ6を直列接続することで、可変容量手段4の容量値(可変幅)を調整することができる。
【0029】
本実施形態においては、可変容量手段4(容量値1〜4.5pF)に対して、容量値5pFの容量調整用キャパシタ6を直列接続した。これにより、可変容量手段4の容量値(可変幅)を0.8〜2.4pFに調整することができた。このように、可変容量手段4の容量値を低減することによりアンテナ素子のインダクタンスを上げ、利得を大きくしてアンテナの受信感度を向上させることができる。
【0030】
可変容量手段4と容量調整用キャパシタ6間には、接地用素子7の受波素子側端子rが電気的に並列接続され、その反対側の端子が接地される。接地には、プリント回路基板21に設けたグランド配線パターンやグランド層などのグランド部を用いる。
【0031】
本実施形態では、容量調整用キャパシタ6としてチップコンデンサを用い、その容量値を5pFとした。また、接地用素子7としては、高周波数帯域で同調型アンテナ1を安定して動作させるため、抵抗を用いた。この抵抗としては、チップ抵抗を使用し、その抵抗値を100kΩにした。
【0032】
これら可変容量手段4と、容量調整用キャパシタ6と、接地用素子7とで、受波素子2で受信する電波の周波数に応じて同調周波数を変化させる同調回路3を構成する。
【0033】
RF出力用信号線5と受信回路49間には、同調回路3を制御する可変直流電源としての周波数制御電源8が電気的に並列接続される。この周波数制御電源8は、可変容量手段4に周波数制御電圧を正電圧で印加するためのものである。
【0034】
周波数制御電源8の周波数制御電圧の範囲は、地上波ディジタルテレビジョン放送の場合、約0〜6Vである。また、この周波数制御電圧により、可変容量手段4の静電容量は約1.0〜4.5pFの範囲で変化する。
【0035】
さらに、周波数制御電源8とRF出力用信号線5間には、インダクタ(インダクタンス270nH)からなる制御電圧重畳回路9が電気的に直列接続される。RF出力用信号線5と受信回路49間で、制御電圧重畳回路9との接続点jよりも受信回路49側には、DCカット手段としての受信側DCカット用キャパシタ(第2DCカット用キャパシタ)10bが電気的に直列接続される。この受信側DCカット用キャパシタ10bの容量値は1000pFとした。
【0036】
本実施形態に係る同調型アンテナ1は、受信信号を出力するRF出力用信号線5に、同調回路3を制御する周波数制御電源8の周波数制御電圧を重畳する点に特徴がある。
【0037】
また、受波素子2の接地部2eには、周波数制御電圧を同調回路3に印加するためのDCカット用キャパシタ(第1DCカット用キャパシタ)10aの一端が電気的に接続され、そのDCカット用キャパシタ10aの他端が接地される。DCカット用キャパシタ10aにも、チップコンデンサを用い、その容量値は1000pFとした。
【0038】
本実施形態の作用を説明する。
【0039】
同調型アンテナ1では、RF出力用信号線5に、周波数制御電源8の周波数制御電圧を重畳することで、可変容量手段4の容量を変化させ、受波素子2で受信する電波の周波数に応じて同調周波数を変化させ、所望のチャンネルの放送を受信する。受波素子2で受信した電波の周波数は、受信信号として第1端子2dから受信回路49に伝送される。
【0040】
このように、同調型アンテナ1では、受波素子2に電気的に接続したRF出力用信号線5から信号を出力する一方で、RF出力用信号線5を介して可変容量手段4に周波数制御電圧を印加している。
【0041】
このため、同調型アンテナ1では、RF出力用信号線5を受信用かつ制御電圧重畳用として使用でき、従来必要であった制御電圧端子や制御電圧用ケーブルが不要になる。
【0042】
また、同調型アンテナ1は、受波素子2と受信回路が離れている場合にも、RF出力用信号線5の1本だけをルーティングすればよい。
【0043】
したがって、同調型アンテナ1によれば、受波素子2に接続するケーブル本数や接続のための端子が減り、配線パターン長も短くでき、ケーブルコストと組み立てコストの両方を低減できる。
【0044】
また、同調型アンテナ1は、周波数制御電源8とRF出力用信号線5間に、インダクタからなる制御電圧重畳回路9を電気的に接続しているため、RF出力用信号線5に周波数制御電圧を簡単に重畳できる。
【0045】
さらに、同調型アンテナ1は、同調回路3が可変容量手段4と、容量調整用キャパシタ6と、接地用素子7とで構成され、容量調整用キャパシタ6の一端と接地用素子7の一端が共にグランド接続されている。
【0046】
このため、同調型アンテナ1では、可変容量手段4と容量調整用キャパシタ6間に蓄積されやすくて同調周波数の制御を不安定にさせる電荷を、接地用素子7でグランドに逃がすことで、安定的に同調周波数を制御することが可能となる。従来の同調型アンテナのように接地用素子7がない場合には、可変容量手段4と容量調整用キャパシタ6間に蓄積される電荷を外部に逃がす線路がない。そのため、この電荷に影響を受けて、可変容量手段4に印加される周波数制御電圧が不安定になるので、同調周波数の制御も不安定となる。
【0047】
また、同調型アンテナ1は、受波素子2の第2端子2eにDCカット用キャパシタ10aを電気的に接続しているため、第2端子2eではなく、可変容量手段4に周波数制御電圧を確実に印加できる。
【0048】
周波数制御電源8から第1端子2dを介して印加される周波数制御電圧は、DCカット用キャパシタ10aによって第2端子2e側に印加されることが防止され、可変容量手段4に所定の周波数制御電圧が印加されるようになるからである。
【0049】
また、図1に示すように、RF出力用信号線5と受信回路49間で、制御電圧重畳回路9との接続点jよりも受信回路49側に、さらに受信側DCカット用キャパシタ10bを電気的に直列接続すれば、受信回路49側ではなく、可変容量手段4に周波数制御電圧をより確実に印加できる。
【0050】
周波数制御電源8からの周波数制御電圧は、受信回路49側に印加されることが受信側DCカット用キャパシタ10bによって防止され、第1端子2dに所定の周波数制御電圧が印加されるようになるからである。さらに上記と同様の理由により、DCカット用キャパシタ10aによって、可変容量手段4に所定の周波数制御電圧が印加されるようになるからである。
【0051】
なお、DCカット手段としては、受信側DCカット用キャパシタ10bの代わりに、受DCカット素子(例えば、キャパシタ、ハイパスフィルタなど)を内蔵したアンプを用いても、上記の効果を得ることができる。図1の例で言えば、このDCカット素子を内蔵したアンプを受信回路49として使用できる。
【0052】
同調型アンテナ1を上述したコンピュータや移動・携帯機器に実装するには、例えば図2に示すように、ケース(筐体)23内に、その一端部から所定の距離だけ隔ててプリント基板21を実装すると共に、一端部に同調型アンテナ1を実装すればよい。
【0053】
さらに、RF出力用信号線5として細径の同軸ケーブルを使用する場合には、受波素子2の第1端子2dにRF出力端子(受信RF信号出力端子)22を形成し、そのRF出力端子22に同軸ケーブルの中心導体を電気的に接続し、グランド部に外部導体を電気的に接続する。
【0054】
上記実施形態では、可変容量手段4としてVCDを用いた例で説明したが、可変容量手段4としてMEMS(Micro Electro Mechanical System)可変容量を用いてもよい。
【0055】
特に、MEMS可変容量はVCDとは異なり、MEMS可変容量を用いて本実施形態に係る同調型アンテナ1を構成することで、受信アンテナだけでなく、送信アンテナとしても利用できる。
【0056】
なぜなら、半導体材料からなるVCDは、非線形デバイスであるため、比較的大きな電力(0dBm=1mW)以上で使うと、波形歪みを起こす。受信用のアンテナであれば、大きな電力が入力されることは無いが、送信用のアンテナの場合、パワーアンプで増幅された大きな電力が入力されるので、使用が困難である。しかし、MEMS可変容量であれば、半導体材料を使用せず、平行平板の機械的変動によって容量を変化させる線形デバイスなので、波形歪みを起こさない。よって、送信用のアンテナとしても使用可能である。
【0057】
また、接地用素子7としては、同調周波数が比較的高く(400MHz以上)、周波数制御が不安定にならなければ、インダクタ(例えば、インダクタンス270nH)を用いてもよい。
【0058】
制御電圧重畳回路9としては、インダクタ単体からなるものの他に、インダクタと抵抗の直列回路や並列回路などを使用してもよい。
【0059】
次に、同調型アンテナ1を携帯電話に用いた例を説明する。ここでは、同調型アンテナ1を送受信用アンテナとして使用するため、可変容量手段4としてMEMS可変容量を用いた。
【0060】
図3(a)および図3(b)に示すように、携帯電話31は、ヒンジなどの回動手段で2つ折りに開閉自在に設けられるケース32を備える。
【0061】
ケース32は、周波数制御電源8(図1参照)としても使用されるバッテリーを内蔵したバッテリー側ケース32aと、そのバッテリー側ケース32a側に液晶ディスプレイ(LCD)が収納され、バッテリー側ケース32aとは反対側に、図2と同様にしてプリント回路基板21、同調型アンテナが収納されたLCD側ケース32bと、収納したプリント回路基板21、同調型アンテナを覆ってLCD側ケース32bに取り付けられるバックカバー32cとからなる。同調型アンテナ受波素子2は、送信の場合、アンテナ素子としての放射素子の動作も行う。
【0062】
プリント回路基板21には、バッテリーと電気的に接続されるCPU33、CPU33にそれぞれ独立に接続されるチューナ34、送信回路35、受波素子2の受信部(放射素子の場合は送信部)にそれぞれ独立に電気的に接続され、CPU33からの切替信号でチューナ34と送信回路35を切り替える送受信切替スイッチ(SW)36が搭載される。
【0063】
チューナ34は、同調回路を除き、電波を受信するために一般的に必要な受信用増幅器、高周波回路、復調器などを備える。送信回路35は、電波を送信するために一般的に必要な周波数発生器、送信用増幅器、変調器、電力増幅器などを備える。
【0064】
携帯電話31では、ワンセグの放送を受信する場合、ボタンを操作して所望のチャンネルを選択すると、CPU33は、切替信号をチューナ34を介してSW36に出力し、SW36が受信側回路に切り替える。
【0065】
他方、CPU33は、選択したチャンネルの同調周波数に応じた制御信号を、チューナ34を介して同調型アンテナ1の周波数制御電源8(図1参照)に出力し、周波数制御電源8が選択したチャンネルに応じた一定の周波数制御電圧を、RF出力用信号線5を介して可変容量手段4(図1参照)に印加する。
【0066】
受波素子2で受信した電波は、受信信号として第1端子2dからSW36を介してチューナ34に入力された後、LCDに画像が表示される。電波を送信する場合、送信信号は送信回路35とSW36と給電部として動作する第1端子2dとを順次介して、受波素子2から電波として放射される。
【0067】
このように、同調型アンテナ1を用いれば、従来とは異なり、アンテナモジュール側のハードウェアに変更が必要なく、低コストな携帯電話31を実現できる。
【0068】
また、同調型アンテナ1をスペースの制約が厳しいノート型パソコンなどの電気機器に実装すれば、使用するケーブル全長を従来よりも大幅に短くできるので、特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の好適な実施形態を示す同調型アンテナの回路図である。
【図2】図1に示した同調型アンテナの平面概略図である。
【図3】図3(a)は図1に示した同調型アンテナの実装例を示す平面図、図3(b)はそのプリント回路基板裏面の斜視図である。
【図4】従来の同調型アンテナの回路図である。
【図5】従来の同調型アンテナの平面概略図である。
【図6】日本の地上波ディジタルテレビジョン放送において、一般的なモノポールアンテナのアンテナ利得特性を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 同調型アンテナ
2 受波素子(アンテナ素子)
2d 第1端子
2e 第2端子
2r 第3端子
3 同調回路
4 可変容量手段(VCDの例)
5 RF出力用信号線
6 容量調整用キャパシタ
8 周波数制御電源
9 制御電圧重畳回路
10a DCカット用キャパシタ(第1DCカット用キャパシタ)
10b 受信側DCカット用キャパシタ(DCカット手段:第2DCカット用キャパシタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子と、該アンテナ素子と電気的に接続される同調回路とを備えた同調型アンテナにおいて、
上記アンテナ素子の第1端子と一端側で電気的に接続され、該アンテナ素子で受信した受信信号を出力するRF出力用信号線と、
該RF出力用信号線の他端側と電気的に接続され、上記同調回路を制御する周波数制御電源の制御電圧を重畳するための制御電圧重畳回路と、
一端側は上記アンテナ素子の第2端子と電気的に接続され、他端側は接地される第1DCカット用キャパシタとを備え、
上記RF出力用信号線と上記制御電圧重畳回路との接続点から出力された上記受信信号はDCカット手段に入力されることを特徴とする同調型アンテナ。
【請求項2】
上記DCカット手段は、第2DCカット用キャパシタまたはアンプに内蔵されたDCカット素子である請求項1記載の同調型アンテナ。
【請求項3】
上記同調回路は、
上記アンテナ素子の第3端子と電気的に接続される可変容量手段と、
一端側は該可変容量手段の他端と電気的に接続され、他端側は接地される第3DCカット用キャパシタと、
一端側は上記可変容量手段と上記第3DCカット用キャパシタとの接続点に電気的に接続され、他端側は接地される接地用素子と
を備えた請求項1又は2記載の同調型アンテナ。
【請求項4】
上記接地用素子は、抵抗あるいはインダクタである請求項3記載の同調型アンテナ。
【請求項5】
上記可変容量手段は、可変容量ダイオードあるいはMEMS可変容量である請求項1〜4いずれかに記載の同調型アンテナ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−100156(P2009−100156A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268713(P2007−268713)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】