説明

同軸ケーブルの端末構造と、この同軸ケーブルの端末の接続構造

【課題】 平板状の回路基板に配設されている端子に対して、安定且つ省スペースで接続でき、十分な接続面積を確保できる同軸ケーブルの端末構造と、この端末構造と端子との接続構造とを提供すること。
【解決手段】 同軸ケーブル10の端末構造31は、内部導体接続部33と除去部35と外部導体接続部37とを有している。内部導体接続部33において、外部絶縁層17が除去され、導通部10dが端面10bに形成されている。内部導体接続部33は、外部導体15の外周面に形成され、外部導体15と導通部10dとを介して内部導体11と接続する。除去部35は、内部導体接続部33よりも後側に配設され、外部絶縁層17から露出している外部導体15の一部分が全周に渡って除去されることで形成される。外部導体接続部37は、除去部35よりも後側に配設され、外部導体15の外周面に形成され、内部導体接続部とは除去部によって遮断され、外部導体15を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に配設されている端子と接続する同軸ケーブルの端末構造と、この同軸ケーブルの端末の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信機器や医療機器には、通信信号を伝送する同軸ケーブルが用いられている。このような同軸ケーブル110は、図3に示すように、内部導体111と、内部導体111の外周面に配設され、内部導体111を被覆する内部絶縁層113と、内部絶縁層113の外周面に配設され、内部絶縁層113を被覆する外部導体115と、外部導体115の外周面に配設され、外部導体115を被覆する外部絶縁層117とを有している。内部導体111は、通信信号を伝送する導電体である。内部絶縁層113は、誘電体である。外部導体115は、電磁ノイズ等の発生を防止する導電体である。外部絶縁層117は、誘電体である。
【0003】
同軸ケーブル110の端末は、回路基板121に配設されている端子123,125と接続する。そのため、同軸ケーブル110の端末の構造(以下、端末構造131)において、端面110b側から順に内部導体111と内部絶縁層113と外部導体115とが露出し、端末が段状に形成されるように、内部絶縁層113と外部導体115と外部絶縁層117とは除去されている。そして、内部導体111は一方の端子123と図示しないはんだによって接続し、外部導体115は他方の端子125と図示しないはんだによって接続する。
【0004】
しかし、内部導体111の外径と、内部絶縁層113を介して内部導体111を被覆する外部導体115の外径とは、図3に示すように異なっている。そのため、内部導体111と外部導体115とは、それぞれの外形のずれによって、平板状の回路基板121に配設されている端子123,125それぞれに接続することが容易ではない。よって、接続が安定しない虞が生じる。
また近年、回路基板121の小型化に伴い、内部導体111と端子123との接続部分と、外部導体115と端子125との接続部分とは、小型化(省スペース化)が要求されている。そのため、露出部分を含めた同軸ケーブル110の端末の長さは、短い傾向になっている。このように端末の長さが短いと、十分な接続面積が確保されない虞が生じる。
【0005】
よって例えば特許文献1では、内部導体と外部導体との外形のずれを埋めるために、回路基板にはずれに対応する段差が配設されており、段差にあわせて端子が配設されている。これにより接続の安定と十分な接続面積とが確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−257936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1において、回路基板には、段差が加工されており、加工のためのスペースが必要となる。また回路基板121が図3に示すように平板状の場合、内部導体111と端子123との接続と、外部導体115と端子125との接続とが安定せず、接続面積が確保されない虞が生じる。
【0008】
そのため本発明は、上記課題を鑑みて、平板状の回路基板に配設されている端子に対して、安定且つ省スペースで接続でき、十分な接続面積を確保できる同軸ケーブルの端末構造と、同軸ケーブルの端末の接続構造とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は目的を達成するために、内部導体と、前記内部導体の外周面を被覆する内部絶縁層と、前記内部絶縁層の外周面を被覆する外部導体と、前記外部導体の外周面を被覆する外部絶縁層とを有する同軸ケーブルの端末構造であって、前記外部絶縁層が除去され、前記内部導体と前記外部導体とを導通する導通部が前記同軸ケーブルの端面に形成され、前記外部導体の外周面に形成され前記導通部と前記外部導体とを介して前記内部導体と接続する内部導体接続部と、前記内部導体接続部よりも後側に配設され、前記外部絶縁層から露出している前記外部導体の一部分が全周に渡って除去される除去部と、前記除去部よりも後側に配設され、前記外部絶縁層から露出している前記外部導体の外周面に形成され、前記内部導体接続部とは前記除去部によって遮断され、前記外部導体と接続する外部導体接続部と、を具備することを特徴とする同軸ケーブルの端末構造を提供する。
【0010】
また本発明は目的を達成するために、内部導体と、前記内部導体の外周面を被覆する内部絶縁層と、前記内部絶縁層の外周面を被覆する外部導体と、前記外部導体の外周面を被覆する外部絶縁層とを有する同軸ケーブルの端末の接続構造であって、前記外部絶縁層が除去され、前記内部導体と前記外部導体とを導通する導通部が前記同軸ケーブルの端面に形成され、前記外部導体の外周面に形成され前記導通部と前記外部導体とを介して前記内部導体と接続する内部導体接続部と、前記内部導体接続部よりも後側に配設され、前記外部絶縁層から露出している前記外部導体の一部分が全周に渡って除去される除去部と、前記除去部よりも後側に配設され、前記外部絶縁層から露出している前記外部導体の外周面に形成され、前記内部導体接続部とは前記除去部によって遮断され、前記外部導体と接続する外部導体接続部と、を具備し、前記内部導体接続部と前記外部導体接続部は、回路基板の同一平面上で接続することを特徴とする同軸ケーブルの端末の接続構造を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、平板状の回路基板に配設されている端子に対して、安定且つ省スペースで接続でき、十分な接続面積を確保できる同軸ケーブルの端末構造と、この同軸ケーブルの端末の接続構造とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係る同軸ケーブルの端末構造の斜視図である。
【図2A】図2Aは、同軸ケーブルの構造を示す図である。
【図2B】図2Bは、端面側における同軸ケーブルの構造を示す図であり、端末構造の製造方法を説明する図である。
【図2C】図2Cは、外部絶縁層が除去された状態の端末構造の斜視図であり、端末構造の製造方法を説明する図である。
【図2D】図2Dは、銅メッキ層が成膜された端面の正面図であり、端末構造の製造方法を説明する図である。
【図2E】図2Eは、銅メッキ層が端面と外部導体の外周面とに成膜された状態の端末構造の斜視図であり、端末構造の製造方法を説明する図である。
【図2F】図2Fは、同軸ケーブルの軸方向における図2Eに示す端末構造の軸線方向の断面図であり、端末構造の製造方法を説明する図である。
【図2G】図2Gは、除去部が形成された端末構造の斜視図であり、端末構造の製造方法を説明する図である。
【図2H】図2Hは、同軸ケーブルの軸方向における図2Gに示す端末構造の軸線方向の断面図であり、端末構造の製造方法を説明する図である。
【図3】図3は、一般的な同軸ケーブルの端末構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2Aと図2Bと図2Cと図2Dと図2Eと図2Fと図2Gと図2Hとを参照して第1の実施形態について説明する。
図1と図2Aとに示すように、同軸ケーブル10は、内部導体11と、内部導体11の外周面に配設され、内部導体11を被覆する内部絶縁層13と、内部絶縁層13の外周面に配設され、内部絶縁層13を被覆する外部導体15と、外部導体15の外周面に配設され、外部導体15を被覆する外部絶縁層17とを有している。内部導体11と内部絶縁層13と外部導体15と外部絶縁層17とは、同心円状に配設されている。
【0014】
内部導体11は、複数の金属線、例えば複数の銅合金線がより合わることで形成された1本のより線であり、同軸ケーブル10の芯線となっている。このような内部導体11は、通信信号を伝送する導電体である。内部導体11は、一方の接続部材である例えばはんだ41によって、例えば平板状の回路基板21に配設されている一方の端子23と接続する。
【0015】
内部絶縁層13は、内部導体11と外部導体15とを絶縁する。内部絶縁層13は、内部導体11を被覆する管状体であり、誘電体である。
【0016】
外部導体15は、電磁ノイズ等の発生を防止する導電体でありバリア層である。外部導体15は、電磁ノイズ等の発生を防止するために、複数の金属線、例えば複数の錫メッキ銅合金線が横巻きにして編まれることで形成された線束である。外部導体15は、他方の接続部材である例えばはんだ43によって、例えば平板状の回路基板21に配設されている他方の端子25と接続する。
【0017】
外部絶縁層17は、外部導体15と回路基板21とを絶縁する。外部絶縁層17は、外部導体15を被覆するシース管である。
【0018】
内部絶縁層13と外部絶縁層17とは、柔軟性や展伸性を有し、耐薬品性や耐熱性に優れたフッ素系樹脂によって成型されている。
【0019】
このような同軸ケーブル10の端末は、図1に示し上述したように、例えば平板状の回路基板21に配設されている一方の端子23と他方の端子25とにはんだ41,43によって接続する。
【0020】
次に図1と図2Bと図2Cと図2Dと図2Eと図2Fと図2Gとを参照して、同軸ケーブル10の端末の構造(以下、端末構造31)について説明する。
図2Bに示すように端末構造31において、この同軸ケーブル10の端末は、切断されて、同軸ケーブル10の軸方向に対して直交する方向に配設されている端面10bを有している。
【0021】
図2Cに示すように、端末構造31において、外部絶縁層17は除去され、外部導体15の外周面は外部絶縁層17から露出している。なお露出する長さは、同軸ケーブル10の軸方向において、例えば一方の端子23から他方の端子25までの長さである。このとき端面10bにおいて、内部導体11と内部絶縁層13と外部導体15とは、同心円状に配設されている。
【0022】
また図2Dに示すように、端面10b全面には、銅メッキ層10cが成膜される。銅メッキ層10cは、端面10bにおいて、内部導体11と内部絶縁層13と端面10b側の外部導体15とを互いに固着させており、内部導体11と端面10b側の外部導体15とを導通させている(電気的に接続している)。このように端面10bにおける銅メッキ層10cは、内部導体11と端面10b側の外部導体15とを導通させる導通部10dである。
【0023】
なお図2Eと図2Fとに示すように、銅メッキ層10cは、効率よく導通させるために、端面10b近傍の外部導体15の外周面にも成膜されていることが好適である。また図2Eと図2Fとに示すように、銅メッキ層10cは、外部導体15がバラけることを防止するために、外部導体15の外周面全面に成膜されていてもよい。この場合、複数の錫メッキ銅合金線(外部導体15)は、銅メッキ層10cによって互いに固着している。
【0024】
図1に示すように、同軸ケーブル10の端末構造31は、同軸ケーブル10の軸方向において端面10b(前)側から順に、端面10b(導通部10d)を有し、外部導体15と導通部10dとを介して内部導体11と一方の端子23とを接続する内部導体接続部33と、内部導体接続部33と隣接し、外部導体15が除去されている除去部35と、除去部35と隣接し、外部導体15と他方の端子25とを接続する外部導体接続部37とを有している。内部導体接続部33と除去部35と外部導体接続部37とは、外部絶縁層17から露出している。
【0025】
内部導体接続部33は、導通部10dを端面10bに有しており、外部導体15と導通部10dとを介して内部導体11と接続しており、これにより内部導体11と一方の端子23とを電気的に接続する。内部導体接続部33は、外部絶縁層17の端末側が除去され、外部絶縁層17から露出し、銅メッキ層10cが成膜されている外部導体15において、端面10b側の外部導体15の外周面に形成されている。
【0026】
内部導体接続部33は、同軸ケーブル10の軸方向において除去部35よりも端面10b(前)側の外部導体15の外周面全面、つまり同軸ケーブル10の軸方向において除去部35と端面10bとの間の外部導体15の外周面全面に形成される。内部導体接続部33は、同軸ケーブル10の軸方向において除去部35を中心に外部導体接続部37とは対称に形成されている。
【0027】
内部導体接続部33において、内部導体11は、導通部10dと外部導体15とを介して一方の端子23と電気的に接続し、導通部10dと外部導体15とを介して一方の端子23に電気信号を伝送する。
【0028】
上述したように外部導体15の外周面が外部絶縁層17から露出しているため、内部導体接続部33において、端末構造31は内部導体11と内部絶縁層13と外部導体15とによって形成される3層構造となっており、このとき内部導体11と内部絶縁層13と外部導体15とは同心円状に配設されている。
また内部導体接続部33における外部導体15の外周には、導通層となる上述した銅メッキ層10cが形成されている。
【0029】
除去部35は、外部絶縁層17から露出している外部導体15において、外部導体15が同軸ケーブル10の軸方向において前後に分離し、内部絶縁層13が全周に渡って露出するように、外部絶縁層17から露出している外部導体15の一部分が全周に渡って除去されることで形成されている。除去部35は、同軸ケーブル10の軸方向において内部導体接続部33よりも外部絶縁層17(後)側且つ内部導体接続部33と外部導体接続部37とに隣接するように形成されている。
【0030】
除去部35を中心に、端面10b(前)側の外部導体15と、外部絶縁層17(後)側の外部導体15とは、分離されている。このように除去部35は、外部導体15を前後に分離する分離部でもある。端面10b側の外部導体15には上述した内部導体接続部33が形成され、外部絶縁層17側の外部導体15には上述した外部導体接続部37が形成される。つまり内部導体接続部33は、除去部35によって分離した外部導体15において端面10b(前)側の外部導体15の外周面全面に形成されている。また外部導体接続部37は、除去部35によって分離した外部導体15において外部絶縁層17(後)側の外部導体15の外周面全面に形成されている。このような除去部35は、端面10b側の外部導体15と、外部絶縁層17側の外部導体15とに隣接していることとなる。
【0031】
除去部35において、外部導体15は全周に渡って除去されており、内部絶縁層13が全周に渡って露出している。そのため錫メッキ銅合金線(外部導体15)は、除去部35によって、同軸ケーブル10の軸方向において端面10b側と外部絶縁層17側とに切断されている。よって端面10b側の外部導体15(内部導体接続部33)と、外部絶縁層17側の外部導体15(外部導体接続部37)とは、電気的に遮断されている。なお除去部35によって分離された端面10b側の外部導体15と外部絶縁層17側の外部導体15とにおいて、端面10b側の外部導体15(内部導体接続部33)と、外部絶縁層17側の外部導体15(外部導体接続部37)とは同形及び同径である。このように除去部35は、内部絶縁層13が全周に渡って露出する露出部であり、外部導体15を前後で電気的に遮断する遮断部でもある。
【0032】
なお除去部35において、端末構造31は内部導体11と内部絶縁層13とによって形成される2層構造となっており、内部導体11と内部絶縁層13とは同心円状に配設されている。
【0033】
外部導体接続部37は、同軸ケーブル10の軸方向において除去部35よりも外部絶縁層17(後)側に配設され、且つ外部絶縁層17から露出し銅メッキ層10cが成膜されている外部導体15の外周面全面に形成され、内部導体接続部とは除去部によって遮断されている。また外部導体接続部37は、外部導体15と接続しており、これにより外部導体15と他方の端子25とを電気的に接続する。
【0034】
外部導体接続部37は、同軸ケーブル10の軸方向において除去部35よりも外部絶縁層17(後)側の外部導体15の外周面全面、つまり同軸ケーブル10の軸方向において除去部35と外部絶縁層17との間の外部導体15の外周面全面に形成される。
【0035】
なお上述したように外部導体15の外周面が外部絶縁層17から露出しているため、外部導体接続部37において、端末構造31は内部導体11と内部絶縁層13と外部導体15とによって形成される3層構造となっており、このとき内部導体11と内部絶縁層13と外部導体15とは同心円状に配設されている。
また外部導体接続部37における外部導体15の外周には、導通層となる上述した銅メッキ層10cが形成されている。
【0036】
本実施形態における端末構造31と端子23,25との接続構造45において、図1に示すように、内部導体接続部33と外部導体接続部37とは、回路基板21の同一平面上で接続する。また接続構造45は、内部導体11と端子23とを接続するために、内部導体接続部33と端子23とを固着する一方の固着部材である例えばはんだ41と、外部導体15と端子25とを接続するために、外部導体接続部37と端子25とを固着する他方の固着部材である例えばはんだ43とを有している。はんだ41は例えば内部導体接続部33と端子23との接触面及び接触面の周辺に配設され、はんだ43は例えば外部導体接続部37と端子25との接触面及び接触面の周辺に配設される。
【0037】
次に本実施形態における同軸ケーブル10の製造方法について説明する。
図2Aに示すように、内部導体11と内部絶縁層13と外部導体15と外部絶縁層17とが同心円状に配設されるように、内部絶縁層13が内部導体11の外周面に配設されて内部導体11を被覆し、外部導体15が内部絶縁層13の外周面に配設されて内部絶縁層13を被覆し、外部絶縁層17が外部導体15の外周面に配設されて外部導体15を被覆する。同軸ケーブル10は、このように製造される。
【0038】
次に本実施形態における同軸ケーブル10の端末構造31の製造方法について説明する。
図2Bに示すように、同軸ケーブル10は、同軸ケーブル10の軸方向に直交する方向において例えば刃物などの切断部材によって切断される。この切断面は、同軸ケーブル10の軸方向に直交する方向に形成される端面10bとなる。端面10bにおいて、内部導体11と内部絶縁層13と外部導体15と外部絶縁層17とは、同心円状に配設されるように露出する。
【0039】
図2Cに示すように、端面10bから所望な距離離れた箇所における外部絶縁層17は、全周に渡って例えば刃物などの切断部材によって切り欠かれる。そして端面10bから所望な距離離れた箇所までにおける外部絶縁層17は、端面10b側に向かって引き抜かれ(剥ぎ取られ)端末構造31から除去される。これにより端末構造31において、外部導体15が露出する。露出する長さ、つまり外部絶縁層17が除去される長さは、同軸ケーブル10の軸方向において、例えば一方の端子23から他方の端子25までの長さである。
【0040】
図2Dと図2Eと図2Fとに示すように、端末構造31において、端面10b全面と外部絶縁層17から露出している外部導体15の外周面とは、銅メッキ溶液に浸漬され、銅メッキ層10cを成膜される。これにより、端面10bにおいて、内部導体11と内部絶縁層13と外部導体15とは銅メッキ層10cによって互いに固着し、内部導体11と外部導体15とは導通部10dである銅メッキ層10cによって導通する(電気的に接続する)。同時に、外部導体15は、銅メッキ層10cを成膜され、銅メッキ層10cによって互いに固着し、バラけることを防止される。
【0041】
図2Gと図2Hとに示すように外部絶縁層17から露出している外部導体15において、外部導体15が同軸ケーブル10の軸方向において前後に分離し、内部絶縁層13が全周に渡って露出するように、外部導体15の一部分が全周に渡って除去される。このとき除去作業には、外部絶縁層17から露出している外部導体15の一部分に例えばレーザを照射する図示しないシールドストリップ装置が用いられる。なおこのレーザは、例えば、内部絶縁層13へ軽微に影響し、銅メッキ層10cと錫メッキ銅合金線(外部導体15)とを切断する程度の出力を有している。またレーザの照射幅は、同軸ケーブル10の軸方向における外部導体15の一部分の長さ、つまり除去部35の長さとなる。またこの照射幅は、内部導体接続部33が一方の端子23と接続するために内部導体接続部33が回路基板21における一方の端子23の配設位置と大きさとに対応するように形成され、外部導体接続部37が他方の端子25と接続するために外部導体接続部37が回路基板21における他方の端子25の配設位置と大きさとに対応するように形成されるように、シールドストリップ装置によって調整される。シールドストリップ装置がレーザを照射すると同時に、レーザが外部導体15の一部分の全周に渡って照射されるように、端末構造31は同軸ケーブル10の軸方向の周方向に回転する。なおシールドストリップ装置が周方向に沿って回転してもよい。
【0042】
これにより外部導体15の一部分が全周に渡って除去され、この部分においてレーザによって影響を受けることなく内部絶縁層13が露出し、除去部35が形成される。そして、錫メッキ銅合金線(外部導体15)は、除去部35によって、同軸ケーブル10の軸方向において端面10b(前)側と外部絶縁層17(後)側とに切断される。
【0043】
除去部35によって分離した外部導体15において、端面10b(前)側の外部導体15の外周面全面は内部導体接続部33として形成され、外部絶縁層17(後)側の外部導体15の外周面全面は外部導体接続部37として形成される。内部導体接続部33と外部導体接続部37とは、除去部35によって、電気的に遮断される。
【0044】
なお内部導体接続部33は、一方の端子23と接続するために、一方の端子23が回路基板21に配設されている位置と大きさとに対応するように形成される。また外部導体接続部37は、他方の端子25と接続するために、他方の端子25が回路基板21に配設されている位置と大きさとに対応するように形成される。
【0045】
また外部導体接続部37(外部絶縁層17側の外部導体15)と、内部導体接続部33(端面10b側の外部導体15)とは、同形及び同径である。
【0046】
次に本実施形態における接続構造45によって、同軸ケーブル10の端末構造31を端子23,25に接続する接続方法について説明する。
端末構造31は回路基板21に配設され、内部導体接続部33における外部導体15は一方の端子23と直接接触する。また外部導体接続部37おける外部導体15は、他方の端子25と直接接触する。内部導体接続部33における外部導体15と、外部導体接続部37における外部導体15とは、図2Hに示すように同径であるため、同時に端子23,25と接触する。このとき、端末構造31は、内部導体接続部33における外部導体15と外部導体接続部37における外部導体15とが同径であるため、回路基板21の同一平面上にがたつくことなく安定して端子と接触する。
【0047】
また内部導体接続部33は除去部35によって一方の端子23が回路基板21に配設されている位置と大きさとに対応するように形成され、外部導体接続部37は除去部35によって他方の端子25が回路基板21に配設されている位置と大きさとに対応するように形成される。そのため端末構造31は、省スペースで端子23,25と接触する。
【0048】
なお内部導体接続部33における外部導体15は、除去部35によって、外部導体接続部37における外部導体15と電気的に遮断されており、導通部10dによって内部導体11とのみ導通している。また外部導体15は内部絶縁層13を介して内部導体11を被覆しているために、外部導体15の外周面は内部導体11の外周面よりも大きい。そのため内部導体11が一方の端子23と直接接触するよりも、本実施形態の内部導体11が導通部10dと外部導体15とを介して一方の端子23と接触することのほうが、本実施形態の端末構造31において、一方の端子23との接触面は十分に確保される。
【0049】
そして接続構造45において、図1に示すように、はんだ41は内部導体接続部33と端子23との接触面及び接触面の周辺に配設され、はんだ43は外部導体接続部37と端子25との接触面及び接触面の周辺に配設される。これにより内部導体接続部33は例えばはんだ41によって一方の端子23と固着し、外部導体接続部37は例えばはんだ43によって他方の端子25と固着する。そして接続構造45は、同軸ケーブル10の端末構造31を回路基板21の同一平面上における端子23,25に接続する。
【0050】
このように本実施形態では、外部絶縁層17を除去して外部導体15を露出させ、端面10bにおいて導通部10dによって内部導体11と外部導体15とを導通させ、除去部35によって外部導体15を同軸ケーブル10の軸方向において端面10b(前)側と外部絶縁層17(後)側とに切断し、同径の内部導体接続部33と外部導体接続部37とを形成することができる。
これにより、本実施形態では、端末構造31を平板状の回路基板21に配設されている一方の端子23と他方の端子25とに同時に接続することができ、端末構造31をがたつくかせることなく安定して端子23,25に接続できる。
【0051】
また本実施形態では、除去部35によって、内部導体接続部33を一方の端子23が回路基板21に配設されている位置と大きさとに対応するように形成でき、外部導体接続部37を他方の端子25が回路基板21に配設されている位置と大きさとに対応するように形成できる。そのため本実施形態では、端末構造31を省スペースで端子23,25と接続できる。
【0052】
また本実施形態では、除去部35によって内部導体接続部33における外部導体15と外部導体接続部37における外部導体15とを電気的に遮断し、内部導体接続部33において導通部10dによって内部導体11と外部導体15とを導通させている。また本実施形態では、内部導体接続部33において、外部導体15によって内部導体11を被覆することで、内部導体11の外周面が一方の端子23と接触する際の接触面よりも、外部導体15の外周面が端子23と接触する際の接触面を大きくすることができる。これにより本実施形態では、内部導体11を一方の端子23と直接接触させるよりも、内部導体11を導通部10dと外部導体15とを介して一方の端子23と接触させることで、端末構造31における一方の端子23との接続面積を十分に確保できる。また本実施形態では、内部導体11を一方の端子23と直接接触させる場合の接触面積よりも、外部導体15を介して内部導体11を一方の端子23と接触させる場合の接触面積を大きく確保できるため、端末構造31における一方の端子23との接続を安定させることができる。なお本実施形態では、内部導体接続部33と外部導体接続部37とは同径であるため、端末構造31における他方の端子25との接続面積も十分に確保できる。
【0053】
また本実施形態では、内部導体接続部33を除去部35よりも端面10b(前)側の外部導体15の外周面全面に形成し、外部導体接続部37を除去部35よりも外部絶縁層17(後)側の外部導体15の外周面全面に形成することで、端末構造31を周方向に位置合わせすることなく容易に端子23,25と接続できる。
【0054】
また本実施形態では、外部導体15の外周面を銅メッキ溶液に浸漬することで、外部導体15を銅メッキ層10cによって互いに固着でき、外部導体15がバラけることを防止できる。また本実施形態では、導通部10dを形成するために、端面10b全面を銅メッキ溶液に浸漬する際に、端面10b全面と同時に外部導体15の外周面を銅メッキ溶液に浸漬するために、作業の手間を減らすことができる。
【0055】
また本実施形態では、図1に示すように、接続構造45によって、平板状の回路基板21に配設されている端子23,25に対して、回路基板21の同一平面上に安定且つ省スペースで接続でき、十分な接続面積を確保した状態で、端末構造31を端子23,25に接続できる。
【0056】
なお本実施形態では、内部導体接続部33が端子23に直接接触し、外部導体接続部37が端子25に直接接触した状態で、これら接触面を除く接触面の周辺に、はんだ41,43が配設されていてもよい。もちろん、はんだ41,43は、接触面のみに配設されていてもよい。
また内部導体接続部33が端子23に接触し、外部導体接続部37が端子25に接触する前に、はんだ41,43は、予め端子23,25に配設されていてもよいし、または予め内部導体接続部33と外部導体接続部37とに配設されていてもよい。
【0057】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0058】
10…同軸ケーブル、10b…端面、10c…銅メッキ層、10d…導通部、11…内部導体、13…内部絶縁層、15…外部導体、17…外部絶縁層、21…回路基板、23,25…端子、31…端末構造、33…内部導体接続部、35…除去部、37…外部導体接続部、41,43…はんだ、45…接続構造。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部導体と、前記内部導体の外周面を被覆する内部絶縁層と、前記内部絶縁層の外周面を被覆する外部導体と、前記外部導体の外周面を被覆する外部絶縁層とを有する同軸ケーブルの端末構造であって、
前記外部絶縁層が除去され、前記内部導体と前記外部導体とを導通する導通部が前記同軸ケーブルの端面に形成され、前記外部導体の外周面に形成され前記導通部と前記外部導体とを介して前記内部導体と接続する内部導体接続部と、
前記内部導体接続部よりも後側に配設され、前記外部絶縁層から露出している前記外部導体の一部分が全周に渡って除去される除去部と、
前記除去部よりも後側に配設され、前記外部絶縁層から露出している前記外部導体の外周面に形成され、前記内部導体接続部とは前記除去部によって遮断され、前記外部導体と接続する外部導体接続部と、
を具備することを特徴とする同軸ケーブルの端末構造。
【請求項2】
前記内部導体接続部における前記外部導体の外周と、前記外部導体接続部における前記外部導体の外周とには、導通層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の同軸ケーブルの端末構造。
【請求項3】
内部導体と、前記内部導体の外周面を被覆する内部絶縁層と、前記内部絶縁層の外周面を被覆する外部導体と、前記外部導体の外周面を被覆する外部絶縁層とを有する同軸ケーブルの端末の接続構造であって、
前記外部絶縁層が除去され、前記内部導体と前記外部導体とを導通する導通部が前記同軸ケーブルの端面に形成され、前記外部導体の外周面に形成され前記導通部と前記外部導体とを介して前記内部導体と接続する内部導体接続部と、
前記内部導体接続部よりも後側に配設され、前記外部絶縁層から露出している前記外部導体の一部分が全周に渡って除去される除去部と、
前記除去部よりも後側に配設され、前記外部絶縁層から露出している前記外部導体の外周面に形成され、前記内部導体接続部とは前記除去部によって遮断され、前記外部導体と接続する外部導体接続部と、
を具備し、
前記内部導体接続部と前記外部導体接続部は、回路基板の同一平面上で接続することを特徴とする同軸ケーブルの端末の接続構造。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−120371(P2012−120371A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269303(P2010−269303)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】