説明

同軸ハイブリッド高周波イオントラップ質量分析計

二つの実質的に平面である対向する平板(22、24)を利用して、少なくとも二つの異なる種類又は形状のトラップ領域を同時に生成する収束電界を生成する同軸ハイブリッド・イオントラップ(20)であって、第一のトラップ領域は、前記対向する平板(22、24)に対して同軸に配置される四重極トラップ領域(40)であり、第二のトラップ領域は、前記四重極トラップ領域(4)の周辺に同時に作成される環状トラップ領域(43)を有する環状イオントラップである。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2007年2月23日に出願された出願第60/891,373号を有する米国仮特許出願(整理番号第3927.BYU.PR番)に含まれる全ての内容について優先権を主張し、該内容を参照により援用する。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に、荷電粒子、並びに、原子、分子、粒子、亜原子粒子及びイオンから引き出された荷電粒子の質量電荷比に従ったイオンの蓄積、分離及び分析に関する。より具体的には、本発明は、ユーザが高い空間電荷効果を犠牲にせずに増加された感度を得ること、及び、より大きな分析能力のための増加された分解能を得ることを可能とする、単一装置における二つ又はそれ以上のトラップ領域の組み合わせである。
【0003】
関連技術の説明
質量分析は、依然として、様々なサンプルにおける化学元素及び化合物を識別し定量化するための重要な方法である。質量分析は、また、最も広く用いられる分析手法の一つでもある。高い感度と高い化学的選択性と速度との組み合わせが、該手法を多くの応用において選択される手法としている。
【0004】
質量分析計は、プロテオミクス研究、臨床分析、タンパク質配列、惑星学、地質学、有機分子の識別及び構造決定、ドラッグ・デリバリ、表面特性決定、科学捜査、化学反応の研究、元素分析、製造、手荷物検査、大気監視等の分野で利用される。質量分析の高い感度及び選択性は、多くの他のアプリケーションと同様に、(例えば化学的及び生物学的エージェント、火薬の)脅威探知システム、法医学検査、環境の現場監視、及び不正薬物探知/識別アプリケーションにおいて特に有用である。
【0005】
市場に出回っている多くの質量分析計は、質量分析のためにイオントラップを用いる。イオントラップにおいて、イオンは、高周波電界を用いて封じ込められ、分析される。主に四重極電界が利用されるが、イオン処理に他の電界を利用する多数の変形が存在する。例えば、性能を高めるために、小さな二重極又は八重極電界が利用されてもよい。イオン放出には、単極、二重極又は直流バイアスが利用できる。イオン又は荷電粒子は、長期間にわたって捕捉され、様々な他の試験に利用されることができる。多数の変更は、任意の他の方法では実行できない多くの特定の応用及び試験につながる。更に、小型化された携帯可能な質量分析計を製造する努力は、主に、イオントラップ質量分析計に基づくものである。
【0006】
イオン分析のために、イオントラップ質量分析計の幾つかの変形が開発されてきた。これらの装置には、ポール・トラップ、動的ペニング・トラップ及び動的キングドン・トラップとともに、四重極構成が含まれる。これらの装置全てにおいて、イオンは振動電界によりトラップに収集され保持される。振幅、周波数、直流又は交流電界の重畳といった振動電界の特性変化及び他の方法は、イオンがその質量電荷比に従ってトラップから検知器へと選択的に放出されるようにするために利用され得る。
【0007】
本発明の特定の関連技術は、米国特許第7227138号に教示された「仮想」イオントラップの開発である。第7227138号特許は、機械加工された金属電極の代わりに、トラップ領域を通常は取り囲む収束電界を使用することを教示する。仮想イオントラップにおいては、例えば平板であって、一般に平面であり平行な対向する面に配置された電極から、収束電界が生成される。「仮想」との用語は、電極の隔壁が収束電界によって作成された「仮想」壁で置換されることに対して用いられる。電極は、フォトリソグラフィー技術を用いて二つの対向する平板上に配置されるが、該技術は、既存の機械加工技術よりも遥かに高い公差を満たすことが出来る。
【0008】
第7227138号特許は、また、従来のイオントラップにおいてトラップ領域を作成するために用いられる電極が、イオントラップに流れ込み、イオントラップから放出されるイオン、光子、電子、粒子、及び原子又は分子のガスの流れに対して、自身による実質的なバリアを作ることを教示する。
【0009】
第7227138号特許には、仮想イオントラップの実施の形態に関する幾つかの重要な特徴が記載されている。第一に、線形RF四重極及び他の従来技術におけるイオントラップの幾つかの物理的な固体電極面は、仮想電極のために取り除かれる。仮想電極は、一つ又はそれ以上の一連の電極を、該電極が置換する物理的な固体表面と同様の定電位面を生成する対向する面に配置することによって形成される。
【0010】
第二に、こう呼ばれることもある対向板又は対向面は、互いの鏡像となるように配置される。
第三に、対向面は、実質的に互いに平行である。
【0011】
第四に、対向面は、実質的に平面である。しかしながら、対向面は、幾つかの弓形形状を含むよう修正されてもよいことに注意されたい。しかしながら、所望のトラップ領域をより容易に形成できるよう、対向面を、任意の弓形形状について一般に対称となるよう形成することにより、最適な結果が維持される。
【0012】
図1は、第7227138号特許に記載された仮想イオントラップ10の実施の形態を図示するものとして提供される。内側面及び対向面12は、それらに印加される振動電界14を有する。外側面16は、この場合は共通のグラウンドである印加された共通電位を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
例えば仮想イオントラップのような上記のシステムの一部は、複数のトラップ領域を作成可能であることが観察される。しかし、上記のシステムは、いずれも、二つ以上の種類の又は形状のトラップ領域を作成するためには使用されてこなかった。そのため、単一装置においてそれぞれのトラップ領域の長所が同時に利用可能なように、少なくとも二つの異なる種類のトラップ領域を生成することができる質量分析計を提供することは、従来技術に対する長所となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
好ましい実施の形態において、本発明は、少なくとも二つの異なる種類の又は形状のトラップ領域を同時に生成する収束電界を生成するために、二つの対向する平板を利用する同軸イオントラップであり、第一のトラップ領域は、対向する平板に対して同軸状に配置された四重極トラップ領域であり、第二のトラップ領域は、環状トラップ領域の周囲に同時に生成される環状トラップ領域である。
【0015】
本発明の第一の態様において、中央に配置された四重極トラップ領域の周囲に、複数の環状トラップ領域が同時に作成されることができる。本発明の第二の態様において、トラップ領域の位置は、二つの対向する平板の中心軸に対して動的に変更される。本発明の第三の態様において、個々のトラップ領域の体積は変更可能である。本発明の第四の態様において、トラップ領域間でイオンを移動させることが可能である。本発明の第五の態様において、対向する平板に対して放射状にイオンを注入及び放出されることができる。本発明の第六の態様において、イオンは、対向する平板の一つ又は複数の開口を通して注入及び放出されることができる。本発明の第七の態様において、イオンは、移動トラップ領域内において、一つのトラップ領域からもう一つのトラップ領域へと運ばれることができる。
【0016】
本発明のこれらの及び他の目的、特徴、長所及び代替の態様は、添付の図面と組み合わせて以下の詳細な説明を考慮することにより、当業者にとって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、従来技術において教示された仮想イオントラップの二つの対向する平板の側面図である。
【図2】図2は、本発明の原則に従って作られた同軸ハイブリッド・イオントラップの透視図である。
【図3】図3は、一つの平板の透視図、及び二つの異なるトラップ領域の三次元図である。
【図4】図4は、平板間に二つの異なるトラップ領域を作成する電界線の側面断面図である。
【図5】図5は、同軸ハイブリッド・イオントラップ及び検出器の側面断面図である。
【図6】図6は、トラップ領域及び電子銃を示す、同軸ハイブリッド・イオントラップ及び検出器の上面断面図である。
【図7】図7は、電界線及びトラップ領域を示す、同軸ハイブリッド・イオントラップの側面断面図である。
【図8】図8は、追加の環状トラップ領域を示す、同軸ハイブリッド・イオントラップの側面断面図である。
【図9】図9は、イオンの注入又は放出のための平板内の追加の開口を示す、同軸ハイブリッド・イオントラップの側面断面図である。
【図10】図10は、閉じられた中央開口と、環状トラップ領域へと空けられたもう一つの開口とを示す、同軸ハイブリッド・イオントラップの側面断面図である。
【図11】図11は、電界線を強化するために平板の間に挿入された金属スペーサを示す、同軸ハイブリッド・イオントラップの側面断面図である。
【図12】図12は、同軸ハイブリッド・イオントラップからの結果を示すグラフである。
【図13】図13は、同軸ハイブリッド・イオントラップからの結果を示すグラフである。
【図14】図14は、同軸ハイブリッド・イオントラップからの結果を示すグラフである。
【図15】図15は、同軸ハイブリッド・イオントラップからの結果を示すグラフである。
【図16】図16は、同軸ハイブリッド・イオントラップからの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本発明の様々な構成要素に数字符号が付され、本発明が、当業者が作成及び利用可能となるように論じられる図面を参照する。以下の説明は、本発明の原理の例示に過ぎず、以下の特許請求の範囲を減縮するものとみなされるべきではないことが理解されるべきである。
【0019】
本発明は、一般に、荷電粒子、並びに、原子、分子、粒子、亜原子粒子及びイオンから導出された荷電粒子を含む様々な粒子の捕捉、分離及び分析を実行するために質量分析計と組み合わせて利用される、同時に存在する少なくとも二つの異なる種類のトラップ領域を備える同軸ハイブリッド・イオントラップである。簡潔にするために、本明細書全体を通じて、これらの粒子全てをイオンと呼ぶことにする。
【0020】
第一の実施の形態が図2に示される。同軸ハイブリッド・イオントラップ20は、二つのセラミック平板22、24を用いて形成され、二つの実質的に平面である対向面26、28は、複数の金属リング、ライン又は他の形状30がリソグラフィ印刷され、半導体材料の薄い層で覆われている。この第一の実施の形態において、各平板22、24を貫通する穴32、34が配置される。この実施の形態における穴32、34は、平板22、24の間へのイオンの注入、及び平板22、24の間からのイオンの放出に利用される。
【0021】
対向面26、28は実質的に平面であるが、本発明の目的及び能力から逸脱することなしに、該面から外側に向かう突起又は突出が導入されてもよいことに注意されたい。従って、突起、突出及び他の真に平坦な面からのずれは、全て、本発明の範囲内にあるものとみなされる。
【0022】
図示されたリング30の数は例示に過ぎず、限定的な要素と考えてはならない。リング、ライン及び形状30の形は、所望の形状のトラップ領域が平板22、24の間に生成されることを促進するように選択される。予備的な結果によれば、半導体材料の使用が機器の性能に有利に働くことが示唆されているが、本発明はリング30上の半導体材料なしでも機能可能である。
【0023】
金属リング、ライン又は他の形状(以下、金属リング30と呼ぶ)によって、半導体材料に電位がかけられる。金属リング30上の電位は、分圧器又は本技術分野の当業者に知られた他の制御電子回路を用いて作られる。リング30上の電位は、(例えば、高周波信号であるが、それに限定されない)一次時変(time-varying)成分を含み、また、他の時変の又は静的な成分を含み得る。イオン運動は、これらの電位によって生成された電界を用いて操作される。
【0024】
同軸ハイブリッド・イオントラップ20は、共通軸36の周りに方向付けられた、少なくとも二つの、或いはそれより多くの高周波荷電粒子トラップ領域を備える。トラップ領域には二つの種類又は形状がある。第一のトラップ領域は四重極、ポール、又は、図3に示されたように配置された四重極部40である(以下、「四重極」との用語を用いる)。
【0025】
図3は、本実施の形態によって作成された二つのトラップ領域の三次元形状を露出するために平板のうちの一つが取り除かれた、同軸ハイブリッド・イオントラップ20の透視図である。四重極トラップ領域40は、環状トラップ領域42によって囲まれるように図示されている。環状トラップ領域を生成することができる二種類以上のトラップが存在し、そのようなトラップは全て、本発明の範囲内であると考えられることに注意すべきである。
【0026】
図4は、同軸ハイブリッド・イオントラップ20における等電位線の側面断面図である。環状トラップ領域42は、この断面図において、二つの円として示される。四重極トラップ領域40も円形の領域として図示されている。中心軸36は、四重極トラップ領域36の中心を通過するように図示されている。
【0027】
図5は、同軸ハイブリッド・イオントラップ20の透視断面図である。一つの実施の形態において、分子がイオン化され、環状トラップ領域42である第一のトラップ領域に捕捉される。イオンの第一の選択的放出は、環状トラップ領域42から第二の、即ち四重極トラップ領域40に対してなされる。イオンの第二の選択的放出は、四重極トラップ領域40から穴32を通って検知器(図示せず)へ、経路50を通って矢印52の方向へとなされる。
【0028】
図6は、同軸ハイブリッド・イオントラップ20の上面図である。この図において、電子銃54が、環状トラップ領域42に対して接線方向に向けられたビーム経路56とともに図示されている。イオン化された分子は、環状トラップ領域42において、及び、環状トラップ領域42のみにおいて捕捉される。電界線の操作は、トラップ領域40、42間の、及び検知器への運動を促進する。
【0029】
図6は電子銃54を示しているが、この同軸ハイブリッド・イオントラップ20は、電気スプレイ、音波スプレイ、レーザー脱離イオン化、マトリックス支援レーザー脱離イオン化、熱分解、電子イオン化、放射イオン化、粒子ビームイオン化、光電離、脱離イオン化、及びこれらの方法の変形を含むがそれらに限定されない多くの既存のイオン化方法とともに利用可能である。本発明の現在の形態では、同軸ハイブリッド・イオントラップ20は、現場での(in situ)電子イオン化を利用する。電子がトラップ20に注入され、一つ又はそれ以上のトラップ領域40、42に存在するガス状の分子又は原子種をイオン化する。イオン化が起こるトラップ領域40、42を制御することが可能であるが、必要ではない。イオンはその場で作られるか、又は、外部のイオン源から注入されてもよい。注入は、平板22、24の間の方向から放射状になされても、平板を通るよう設けられた隙間又は他の開口を介してなされてもよい。
【0030】
平板22、24の対向面の上には、薄いゲルマニウム層が配置される。このゲルマニウム層は、幾つかの有利な特徴を有する。第一に、ゲルマニウムは、リング間の電位を平滑化し、それにより、平板間の電界を改善する。ゲルマニウムのコーティングは、また、平板22、24の面上の各点における電位が把握され、制御可能であることを保証する。
【0031】
第二に、ゲルマニウムのコーティングは、平板22、24の絶縁セラミック材料上に発生し得る電荷の集積を低減又は防止する。この電荷の集積は、イオン及び/又は電子が平板22、24に衝突することによるものである。累積電荷は、電界線に影響し、そのために、同軸ハイブリッド・イオントラップ20の性能がゆがめられる。
【0032】
第三に、ゲルマニウム層は、一組のリング30に沿った分圧に、小さな、むしろ取るに足らない程度の寄与しかしない。たいていの電流はゲルマニウムを通らないため、ゲルマニウムが過度に熱くなることはない。
【0033】
リング30上のゲルマニウム・コーティングは、他の材料で置き換えられてもよいことが理解されるべきである。コーティングにとって重要な特性には、半導体領域の、即ち10−5から10オームの電気抵抗を有することが含まれる。当該層は、50nmの厚みを有するが、1nmから数十ミクロンまでの範囲の任意の厚みが利用されてもよい。電気抵抗が実質的にこの範囲より高い場合、当該層は、電荷の集積を防止する機能を果たすことができない。電気抵抗が実質的にこの範囲より低い場合、多すぎる電流がこの層を通過するため、層が熱くなるか、又は、分圧回路を破壊することになる。
【0034】
従って、この層として、リング電極間の空間より小さいか同じである任意の合理的な厚みを有する任意の半導体材料を利用することができる。材料には、シリコン、ゲルマニウム、カーボン、化合物半導体、並びに、不純物添加された又は改質されたガラスが含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0035】
本発明の同軸ハイブリッド・イオントラップ20は、環状トラップ領域42及び四重極トラップ領域40において独立して捕捉及び質量分析を実行することができるが、イオンを一方のトラップ領域40、42からもう一方に移動させることもできる。例えば、イオンは、環状トラップ領域42で捕捉されてから、四重極トラップ領域40に放出される。このようにして、各トラップ領域の幾何学的形状の長所を利用することができる。環状トラップ領域42のより大きな容量は、高い空間電荷効果を犠牲にすることなく、感度を高めるために有用である。一方、四重極トラップ領域40のより高い分解能は、分析能力を高めるために有用である。
【0036】
一つの装置内にニつ以上のトラップ領域が存在するだけではなく、異なる種類のトラップ領域が存在することにより、或る種のタンデム質量分析、質量選択的な事前集中、或る種のイオン−イオン反応又はイオン−分子反応を含む、他のイオントラップでは不可能な能力や、分析性能の向上が可能となる。イオンは、トラップ領域40、42間を移動することができるので、ニつ以上のイオン処理プロセス(例えば、質量分析、励起)を同時に実行することができる。
【0037】
異なるトラップ領域40、42は個別のタスクに専念することができるため、同軸ハイブリッド・イオントラップ20は、更に、他のイオントラップに対し、デューティサイクル及びスループットを改善する。例えば、一つのトラップ領域が捕捉及び粗い分析に専念し、もう一つのトラップ領域が細かい分析に専念することができる。
【0038】
この同軸ハイブリッド・イオントラップ20の設計は、前記の仮想イオントラップと単一の環状トラップ領域のみを有するイオントラップとの全ての長所を保持する。具体的に、電界は、物理的電極構造を変えることによってではなく、電子的に最適化されて変形される。二つの平板22、24の配置は、開放的な構造をもたらし、イオンの注入、ガスの流れ、及びトラップ20内での光学試験を促進する。更に、平板22、24は、高精度で作成及び配置されることが可能であり、他の種類のトラップに影響するようなアライメント及び機械加工公差の問題が排除される。
【0039】
同軸ハイブリッド・イオントラップ20は、また、小型化のために理想的である。電界及び幾何学形状が容易に制御できるだけではなく、表面粗さ及び電気容量などといった他の小型化トラップに影響するような問題が、同軸トラップ20には影響しない。最後に、より大きな環状トラップ領域42と、より小さな四重極トラップ領域40との組み合わせは、小型化されたトラップにおける感度及びイオン容量に関する多くの問題を排除する。
【0040】
イオンは、注入され、一つのトラップ領域からもう一つのトラップ領域に移動されて、放出されることができるが、トラップ領域は、これらの活動に限られるものではない。イオンは、一つのトラップ領域からもう一つのトラップ領域に移動しなくてもよい。従って、トラップ領域は、所望通りに、独立に動作してもよく、又は、互いに相互作用してもよい。更に、トラップ領域は、捕捉及び質量分析のために利用されなくてもよい。加えて、トラップ領域40、42は、並列にのみ利用されることを意図してはいない。
【0041】
イオンは、イオントラップ領域40、42のいずれか又は両方で、イオントラップ質量分析のために確立された任意の方法を用いて質量分析されることができる。これには、走査電圧又は周波数、走査平面間隔(scanning plate spacing)(これは、従来技術ではなされたことが無いものであるが、本発明を用いて行うことができる)、共振放出、軸方向変調、先端分離(apex isolation)、又は、質量分析のためにイオンがマチュー(Mathieu)の安定領域の一部に移動される任意の他の操作が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0042】
現在の同軸ハイブリッド・イオントラップ20において、イオンは、環状トラップ領域42から四重極トラップ領域40へ、そして、四重極トラップ領域から検出器へと共振放出される。しかしながら、イオンは、また、四重極トラップ領域42から環状トラップ領域40へ放射状に放出されてもよい。この同軸ハイブリッド・イオントラップ20で分析されるイオンは、電子増幅、光学検出法、画像電荷及び画像電流検出、固体イオン検出器、変換ダイノード、又は極低温検出器を含むがそれらに限定されない、イオン検出のための任意の確立された手法を用いて検出される。
【0043】
同軸ハイブリッド・イオントラップ20の典型的な機能を説明したが、本発明は、幾つかの独自の機能を有する。例えば、平板22、24の間の空間において、トラップ領域を移動させることが可能である。二つのトラップ領域の間を移動する「移動」トラップ領域を用いて、イオンを一つのトラップ領域からもう一つのトラップ領域へと往復させることを考察する。
【0044】
この移動イオントラップの実践的な応用には、衝突解離試験(この試験において、イオンは、一つのトラップ領域から移動し、双極電界によって励起され、断片化されてから、もう一つのトラップ領域に入る)又は他の解離試験の可能性が含まれる。また、質量分析の期間中に、又は質量分析の合間にトラップ領域を移動させることも可能である。そのため、本発明は、イオンがその中に入っている期間にトラップ領域を収縮させることによって、より大きな環状トラップ領域42から、より小さなトラップ領域へイオンを集中させることができる。これは、質量選択的な事前集中をもたらす。
【0045】
トラップ領域は、平板22、24上に置かれたゲルマニウム層に課されたポテンシャル関数を変更することによって移動できる。言い換えれば、各金属リング30が受ける電圧を動的に変更することにより、トラップ領域の位置が変更される。
【0046】
本装置の他の可能性のある応用は、逆に帯電された化学種の反応を制御することにある。例えば、正イオンは一つのトラップ領域に含まれ、負電荷を帯びた化学種はもう一つのトラップ領域に含まれてもよい。その後、イオンは、反応のために制御された方法で一緒にされ、荷電反応の副産物が更に捕捉される。
【0047】
タンデム質量分析は、質量分析されたイオンが断片化され、断片の一部又は全部もまた質量分析されるような分析を意味する。タンデム分析は、たんぱく質配列などのための分子の肯定的識別のために特に有用である。
【0048】
同軸ハイブリッド・イオントラップ20は、幾つかの方法でタンデム質量分析に利用可能であると信じられる。第一に、該装置は、他のイオントラップで実行できる全ての種類のタンデム質量分析を実行可能である。これらは、まとめて時間的タンデム(tandem-in-time)試験と呼ばれ、該試験では、分析、断片化及び断片分析が同一のトラップ領域で実行される。これは、複数世代の断片分析(MS)を含む。
【0049】
第二に、空間的タンデム(tandem-in-space)試験は、コンスタント・ニュートラル・ロス・スキャン、及びプリカーサー・イオン・スキャンを含むがそれらに限定されない。それらの空間的タンデム試験は、本発明に係る同軸ハイブリッド・イオントラップ20よりかなり大きな三連四重極質量分析計を用いて実行可能である。同軸ハイブリッド・イオントラップ20は、より大きな三連四重極質量分析計を置換して、これらと同様の空間的タンデム測定を実行することができる。
【0050】
イオンは、同軸ハイブリッド・イオントラップ20から検出器に放出されることができる。イオンは、一つ又はそれ以上のイオントラップ領域において分析又は処理された後に放出される。イオンは、セラミック平板22、24の穴又は隙間から放出されることができる。イオンは、また、外に向かって放射状に放出されてもよい。現在の構成において、イオンは、平板22、24の中央の穴32、34を通して放出される。しかしながら、代替の実施の形態は、イオン放出のために別の構成が検討される。
【0051】
図7は、本発明の第一の実施の形態の側面図として提供されるものであり、平板22、24、ゲルマニウム層46、四重極トラップ領域40、環状トラップ領域42、平板間の電界線48、及び、同軸ハイブリッド・イオントラップ20へイオンを注入し、同軸ハイブリッド・イオントラップ20イオンを放出するための2つの穴32、34を示す。
【0052】
図8は、2つの環状トラップ領域42及び62を含む、代替の実施の形態の側面図である。この実施の形態は、平板22、24、ゲルマニウム層46及び2つの穴32、34を含む。新しい環状トラップ領域62は、元の環状トラップ領域42と四重極トラップ領域40との間に配置されるように図示されている。しかし、この配置は任意である。任意の所望の数の環状トラップ領域が四重極トラップ領域40の周囲に配置可能であることを理解することが重要である。重要な限定要因は、異なるトラップ領域を形成するために利用されるリング30の幾何学形状である。
【0053】
図9は、もう一つの代替の実施の形態の側面図であり、該実施の形態は、平板22、24、ゲルマニウム層46、2つの穴32、34、四重極トラップ領域40及び環状トラップ領域42を含む。しかし、この設計に加えて、平板22、24の追加のスリット70、72が含まれる。これらのスリット70、72は、環状トラップ領域42への、及び環状トラップ42からの、非放射的な方向からのイオンの直接注入及び放出を可能とする。イオンの注入又は放出のためのスリットを備える又は備えない、追加の環状トラップ領域が含まれても良いことを理解すべきである。
【0054】
図10は、本発明のもう一つの代替の実施の形態の側面図である。具体的に、この構成からは、中心穴32、34が取り除かれている。唯一の非放射的な注入及び放出口は、環状トラップ領域42へのスリット70、72である。
【0055】
図11は、本発明のもう一つの代替の実施の形態の側面図である。図7〜図10に図示された任意の実施の形態は、平板22、24の間であって、それらの外側端部周辺に配置された金属スペーサ74を含むことができる。金属スペーサ74は、平板22、24の間の電界を改善するという長所を有し、平板の整列を保証する手段としても機能することができる。金属スペーサ74は、平板22、24の外側端部全体を取り囲む。イオンの注入又は放出のために、それらを通る開口が設けられてもよい。
【0056】
幾つかの捕捉のシナリオにおいて、平板22、24の外側(外側直径又は外側リング)は、接地される必要がある。他のシナリオにおいて、外側にはRF電位が印加される必要がある。スペーサ、リング又は他の導電又は半導体材料は、外側近くに配置されて、この部分の電位を確立するのを助ける。例えば、金属スペーサ74は、トラップ20の外側近くの電位を確立するよう動作する。全ての場合において、トラップ20は、この金属スペーサ74なしで動作可能だが、多くの場合において、金属スペーサ74は性能を改善することができる。金属スペーサ74は、また、トラップ20への及びトラップ20からのガスの流れを制御又は制限するように設計されることができる。
【0057】
図12は、ナフタレンの四重極共振放出を示す第一のグラフである。環状トラップ領域42からの放出は、共振スキャンの前の、四重極トラップ領域40への広帯域放出である。図示されたピークは、指標525においてm/z128である。
【0058】
図13は、トルエンの四重極共振放出を示すグラフである。環状トラップ領域42からの放出は、共振スキャンの前の、四重極トラップ領域40への広帯域放出である。図示されたピークは、指標173及び178において、それぞれm/z91及び92である。
【0059】
図14は、ジクロロメタンの四重極スキャン放出を示すグラフである。環状トラップ領域42からの放出は、共振スキャンの前の、四重極トラップ領域40への広帯域放出である。予期される塩素アイソトープを示すためにビューが拡張されている。
【0060】
図15は、トルエンの四重極共振放出を示すグラフである。環状トラップ領域42からの放出は、共振スキャンの前の、四重極トラップ領域40への広帯域放出である。四重極トラップ領域42は、信号を変調しながら、四重極トラップ領域の全内容物が非選択的に放出されるように、1kHzの放出パルスに連続的にさらされる。図示されたピークは、指標290においてm/z92である。
【0061】
図16は、ナフタレンの四重極共振放出を示すグラフである。環状トラップ領域42からの放出は、共振スキャンの前の、四重極トラップ領域40への広帯域放出である。環状トラップ領域42は、信号を変調しながら、四重極トラップ領域の全内容物が非選択的に放出されるように、1kHzの放出パルスに連続的にさらされる。図示されたピークは、指標470においてm/z128である。
【0062】
先に述べた通り、本発明における環状イオントラップと四重極イオントラップとの組み合わせは、他のイオントラップに対する顕著な長所につながる。言っておくべきこととして、これらの長所のうちの一つは、同軸ハイブリッド・イオントラップ20が単一MS、IMS/MS、MS/IMS、及び/又はMS/MS系として動作可能なことである。
【0063】
IMS/MS、MS/IMS及びMS/MSのモードにおいては、従来のイオントラップ・システムのようなイオン損失がない。これは、質量における一つのイオンの選択又は運動性選択が、一つのイオントラップからもう一つへと放出することによってなされ、その際に選択されなかったイオンを捕捉されたままにされるためである。従来システムでは、全ての他のイオンを不安定化させて一つのイオンを選択するため、それらのイオンの損失がおこる。一つ又は両方のイオントラップを空にする広帯域な不安定化も依然として実行可能である。
【0064】
本発明では、トラップ領域と最終的なMS放出境域とが同一ではないため、時間の100%においてイオン化が可能である。これは、(トラップ領域の中央で捕捉されていないため、すぐに安定性を失ってしまう)擬似的に捕捉されたイオンが検出器への直接ラインなしに不安定化されるためである。そのようなイオンからの電流は、従来、イオン化期間に検出器をゲートオフし、イオン化がオフのときにのみスキャンすることによって処理されている。
【0065】
質量スキャンアウトは、100%負荷サイクルでも実行可能である。イオンの冷却を可能とするため、環状トラップ領域42から四重極トラップ領域40への放出は、所与のm/zが、環状トラップ領域42から、及び四重極トラップ領域40へ放出され、四重極トラップ領域40から検出器への放出の前に、冷却のための一定の時間が与えられるように設定され得る。例えば、トラップ領域40、42の両方は、環状トラップ領域42から四重極トラップ領域40へ、更に四重極トラップ領域40から検出器へと、連続的に質量をスキャンアウトするが、環状トラップ領域42は、四重極トラップ領域40が同じ質量を放出するよりも10ms早く、所与の質量を放出する。これは、検出器に放出される前のイオンに10msの冷却時間を与え、また、イオン間の反発を低減する。イオンの小さなサブセットのみが中央のトラップに留まるので、質量分解能の向上につながる。
【0066】
上記の構成は本発明の原則の例示に過ぎないことが理解されるべきである。様々な修正及び代替の構成が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって考案され得る。添付の特許請求の範囲は、そのような修正及び構成を含むものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二種類のイオントラップ領域を設けることにより同軸ハイブリッド・イオントラップを提供する方法であって、
(1)少なくとも二つの実質的に平面である平行な面であって、該面を通過する中心軸を有する対向面を持つように方向付けられた面を準備し、トラップ領域を作り出す電界を生成するために前記対向面上に複数の電極を配置するステップと、
(2)前記二つの実質的に平面である平行な面の間に同軸状に配置された四重極トラップ領域を作成するステップと、
(3)前記四重極トラップ領域の周囲に同軸状に配置された少なくとも一つの環状トラップ領域を作成するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記少なくとも一つの環状トラップ領域を利用して、イオンの増大された蓄積を提供し、それにより、前記同軸ハイブリッド・イオントラップから高い感度を得るステップを更に備える方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、前記四重極トラップ領域を利用して、前記同軸ハイブリッド・イオントラップから、高い分解能と改善された分析能力とを得るステップを更に備える方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、前記四重極トラップ領域について同軸状に配置された少なくとももう一つの環状トラップ領域を作成するステップを更に備える方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、前記中心軸に対する前記少なくとも一つの環状トラップ領域の位置を動的に変更するステップを更に備える方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、前記四重極トラップ領域又は前記少なくとも一つの環状トラップ領域の総体積を変更するステップを更に備える方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法であって、前記四重極トラップ領域と前記少なくとも一つの環状トラップ領域との間でイオンを移動させるステップを更に備える方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、
(1)移動トラップ領域の内側の一つのトラップ領域にイオンを閉じ込めるステップと、
(2)始点トラップ領域から目的トラップ領域へと前記移動トラップ領域を移動させるステップと、
(3)前記目的トラップ領域へと前記イオンを解放するステップと、
を更に備える方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法であって、前記少なくとも二つの実質的に平面である平行な面に、複数のリング又はラインをリソグラフィ印刷して、前記電界のための電極を作成するステップを更に備える方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって、前記少なくとも二つの対向する面を半導体材料でコーティングすることにより、前記電界の作成を促進するステップを更に備える方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、ゲルマニウムを利用して前記少なくとも二つの対向する面を被覆するステップを更に備える方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法であって、前記少なくとも二つの実質的に平面である平行な面を通して、前記同軸ハイブリッド・イオントラップへイオンを注入し、前記同軸ハイブリッド・イオントラップからイオンを放出する手段を提供するステップを更に備える方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法であって、前記対向面を通る少なくとも一つの開口を設けて、前記同軸ハイブリッド・イオントラップへのイオンの注入、及び、前記同軸ハイブリッド・イオントラップからのイオンの放出を可能とするステップを更に備える方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法であって、
(1)前記四重極トラップ領域によって実行されるべき第一のタスクを割り当てるステップと、
(2)前記少なくとも一つの環状トラップ領域によって実行されるべき別のタスクを割り当てるステップと、
(3)前記第一のタスク及び前記別のタスクを同時に実行するステップと
を更に備える方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法であって、前記第一のタスク及び前記別のタスクが、前記四重極トラップ領域及び前記少なくとも一つの環状トラップ領域に相互作用させることを可能とするステップを更に備える方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法であって、前記少なくとも二つのトラップ領域を用いて、逆に帯電した化学種の制御された反応を実行するステップを更に備える方法。
【請求項17】
請求項1記載の方法であって、空間的タンデム試験を実行するステップを更に備える方法。
【請求項18】
請求項1記載の方法であって、前記対向面の間であって該面の外側端部周辺に金属スペーサを挿入することにより、前記対向面の間の前記電界を改善するステップを更に備える方法。
【請求項19】
少なくとも二種類のイオントラップ領域を提供する同軸ハイブリッド・イオントラップであって、
少なくとも二つの実質的に平面である平行な面であって、通る共通中心軸について方向付けられた対向面を持つように方向付けられた面と、
トラップ領域を作成する電界を生成するために前記対向面に配置された複数の電極と、
前記二つの実質的に平面である平行な面の間に、該面と同軸状に配置された四重極トラップ領域と、
前記四重極トラップ領域の周囲に同軸状に配置された少なくとも一つの環状トラップ領域と、
を備える同軸ハイブリッド・イオントラップ。
【請求項20】
請求項19記載の同軸ハイブリッド・イオントラップであって、前記四重極トラップ領域について同軸状に配置された少なくとも一つの他の環状トラップ領域を更に備える同軸ハイブリッド・イオントラップ。
【請求項21】
請求項19記載の同軸ハイブリッド・イオントラップであって、前記中心軸に対する前記少なくとも一つの環状トラップ領域の位置を動的に変化させる電位手段を更に備える同軸ハイブリッド・イオントラップ。
【請求項22】
請求項19記載の同軸ハイブリッド・イオントラップであって、前記四重極トラップ領域又は前記少なくとも一つの環状トラップ領域の総体積を動的に変化させる電位手段を更に備える同軸ハイブリッド・イオントラップ。
【請求項23】
請求項19記載の同軸ハイブリッド・イオントラップであって、前記四重極トラップ領域と前記環状トラップ領域との間でイオンを移動させることができる電位手段を更に備える同軸ハイブリッド・イオントラップ。
【請求項24】
請求項19記載の同軸ハイブリッド・イオントラップであって、
(1)移動トラップ領域の内側の一つのトラップ領域にイオンを閉じ込め、
(2)始点トラップ領域から目的トラップ領域へと前記移動トラップ領域を移動させ、
(3)前記目的トラップ領域へと前記イオンを解放する、
ことを可能とする電位手段を更に備える同軸ハイブリッド・イオントラップ。
【請求項25】
請求項19記載の同軸ハイブリッド・イオントラップであって、半導体材料でリソグラフィ印刷されて前記電界の作成を促進する、前記対向面上に配置された複数のリング又はラインを更に備える同軸ハイブリッド・イオントラップ。
【請求項26】
請求項25記載の同軸ハイブリッド・イオントラップであって、前記半導体材料が、シリコン、ゲルマニウム、カーボン、化合物半導体、及び不純物添加された又は改質されたガラスを含む半導体材料のグループから選択される同軸ハイブリッド・イオントラップ。
【請求項27】
請求項19記載の同軸ハイブリッド・イオントラップであって、前記少なくとも二つの実質的に平面である平行な面を通して、前記同軸ハイブリッド・イオントラップへイオンを注入し、前記同軸ハイブリッド・イオントラップからイオンを放出する手段を更に備える同軸ハイブリッド・イオントラップ。
【請求項28】
請求項27記載の同軸ハイブリッド・イオントラップであって、前記同軸ハイブリッド・イオントラップへのイオンの注入、及び前記同軸ハイブリッド・イオントラップからのイオンの放出を可能とするために、前記対向面を通過する少なくとも一つの開口を更に備える同軸ハイブリッド・イオントラップ。
【請求項29】
請求項19記載の同軸ハイブリッド・イオントラップであって、前記対向面の間であって該面の外側端部周辺に配置される金属スペーサを備える同軸ハイブリッド・イオントラップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−519704(P2010−519704A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550943(P2009−550943)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/002509
【国際公開番号】WO2008/103492
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(592087647)ブリガム・ヤング・ユニバーシティ (34)
【氏名又は名称原語表記】BRIGHAM YOUNG UNIVERSITY
【Fターム(参考)】