説明

吐出容器

【課題】特別な操作を行うことなく内容物を容易に吐出すること。
【解決手段】内容物Wが収容され、外層4aに対して内層4bが剥離可能に積層された積層剥離型の容器体2と、容器体の口部2eに装着され、容器体の内部に連通する流出開口15が天壁部14に形成された吐出キャップ3と、流出開口を覆うように天壁部にシールされたフィルム22と、を備え、フィルムの外周縁部には、非シール部が形成されており、非シール部と天壁部とで流出開口から流出された内容物を吐出させる吐出口を画成し、容器体の肩部2cと口部との間に位置する首部2dには、内方に押圧変形可能な押圧変形部5が形成されている吐出容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を外部に吐出する吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液状の内容物が収容される容器において、容器が倒れた時に内容物が零れないようにするため、手動式の弁体による開閉機構を設けた容器が知られている(特許文献1参照)。
この容器は、吐出口(注ぎ口)と空気穴とを同じ方向に働くスプリングの付勢力により同一方向から同時に密閉し、さらに空気穴を利用した釦をスプリングの付勢に抗して押すことで、吐出口と空気穴とを同時に開口させて内容物を吐出できるようにした開閉機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3078012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記開閉機構を備えた容器では、内容物の吐出時に毎回釦を押すといった手動による開閉操作を行う必要があり、吐出操作に手間がかかるものであった。そのため、このような操作が不要な開閉構造が望まれていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、特別な操作を行うことなく内容物を容易に吐出することができる吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る吐出容器は、内容物が収容され、外層に対して内層が剥離可能に積層された積層剥離型の容器体と、該容器体の口部に装着され、容器体の内部に連通する流出開口が天壁部に形成された有頂筒状の吐出キャップと、前記流出開口を上方から覆うように前記天壁部上に重ねられ、流出開口の径方向外側に位置する外周縁部が周方向に沿って天壁部にシールされたフィルムと、を備え、前記フィルムの外周縁部には、部分的に前記シールが解かれた非シール部が形成されており、該非シール部と前記天壁部とで前記流出開口から流出された前記内容物を吐出させる吐出口を画成し、前記容器体の肩部と前記口部との間に位置する首部には、内方に押圧変形可能な押圧変形部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る吐出容器においては、容器体を傾けると内部に収容されている内容物が吐出キャップの流出開口に流れ込み、該流出開口から天壁部上にフィルムを押し上げながら流出する。すると、流出した内容物の自重によりフィルムが天壁部から離反する方向に押圧されて変形し、上側に凸となるドーム状に膨らむ。これにより、天壁部とフィルムとの間の隙間が吐出口に繋がる吐出路となる。従って、流出開口から流出した内容物をこの吐出路を通じて吐出口に導き、該吐出口から外部に吐出させることができる。
また、吐出が終了した後、フィルムに内容物の自重がかからない姿勢に容器体を戻すと、フィルムに付与されていた押圧力が解除され、ドーム状に変形していたフィルムが元の状態に戻って天壁部に密着する。そのため、流出開口が再度フィルムによって閉塞されると共に吐出口が閉止される。これにより、容器体の密閉性を確保することができる。
【0008】
このように、本発明に係る吐出容器によれば、容器体を傾け、内容物の自重によりフィルムを変形させるだけの簡単な方法で吐出を行えるので、特別な操作を行うことなく容易に吐出操作を行うことができ、使い易い。
ところで、内容物が吐出されると、これに伴って容器体の内層が外層から徐々に剥離して減容変形しはじめる。そのため、容器体の内部への外気の侵入が抑制され、内容物の品質劣化を防止することができると共に、内容物をスムーズに吐出させることができる。
【0009】
しかも、内容物の残量が少なくなった場合であっても、残りの内容物をスムーズに吐出させることができ、内容物を無駄に残すことなく使いきり易い。つまり、内容物の残量が少なくなった場合には、容器体を傾けても自重によってフィルムを押し上げ難くなる。また、首部や口部においては、内層の減容変形が起り難い。
そこで、容器体の首部に形成されている押圧変形部を指先等で押圧して、内方に凹むように押圧変形させる。これにより首部をスクイズ変形させることによる容器内圧(内層の内圧)を上昇させることができる。すると、この上昇した内圧はフィルムを外方に押し上げるように作用する。従って、少量の内容物が自重によってフィルムを押し上げようとする力をアシストすることができ、流出開口と吐出口を繋ぐ吐出路を画成させることができる。
その結果、少量の内容物であってもスムーズに吐出させることができ、内容物を残すことなく使いきり易い。
【0010】
(2)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記吐出キャップが、前記口部に装着され、前記容器体の内部に連通する第1連通路を有するキャップ本体と、該キャップ本体に対して相対移動可能に装着され、前記天壁部が形成されていると共に前記流出開口に連通する第2連通路を有する吐出ヘッドと、を備え、前記容器体の内部と前記流出開口とが、前記吐出ヘッドの相対移動に伴って、前記第1連通路及び前記第2連通路を通じて互いに連通状態又は遮断状態に切り替わることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る吐出容器においては、使用時の段階で、吐出キャップを構成するキャップ本体と吐出ヘッドとのうち、吐出ヘッドをキャップ本体に対して相対移動させる。これにより、容器体の内部と流出開口とが、第1連通路及び第2連通路を通じて連通した状態となる。従って、容器体を傾けることで、内容物を吐出させることができる。
そして、吐出が終了した後、保管等を行う場合には、吐出ヘッドをキャップ本体に対して再び相対移動させて元の状態に戻す。これにより、さきほど連通していた容器体の内部と流出開口とを遮断させることができる。従って、誤って容器体を傾けてしまったとしても、流出開口から内容物が流出してしまうことを防止することができる。
このように、使用状況に応じて流出開口への流通ルートを連通或いは遮断することができるので、意図しないときに内容物を吐出させてしまい難い。
【0012】
(3)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記容器体が離脱可能に嵌め込まれ、該容器体を支える有底筒状のスタンドを備え、前記容器体が、胴部が横断面視楕円状で、且つ、底部が凸曲面状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る吐出容器においては、容器体の胴部が横断面視楕円状に形成されているうえ、底部が下側に向けて凸曲面状に形成されている。そのため、容器体の胴部と底部との境界部分は、大きな曲率で滑らかに湾曲している。つまり、胴部と底部との境界部分に、局所的に急激に湾曲して曲率が小さい屈曲部が現れてしまうことを防止している。そのため、内容物の吐出に伴って、容器体の内層を外層から抵抗少なく剥離させることができる。よって、内層をより確実に減容変形させることができる。
また、底部が凸曲面状に形成されていたとしても、容器体をスタンドに嵌め込むことで、該容器体を直立状態で支えることができる。従って、容器体が倒れて吐出口から内容物が漏れてしまう不具合が生じ難い。
【0014】
(4)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記スタンドの周壁部には、前記容器体の胴部の一部を露出させる把持用の開口部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る吐出容器においては、スタンドに容器体を嵌め込んだままの状態であっても、開口部を介して容器体の胴部を把持することができる。従って、スタンドから容器体を取り外さなくても、スタンドごと容器体を傾けることができ、内容物の吐出操作を容易に行うことができる。
【0016】
(5)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記スタンドの周壁部には、内方に凹んだ指当て部が形成され、前記容器体の胴部には、前記指当て部に係合して、前記スタンドに対する容器体の移動を規制する係合部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る吐出容器においては、スタンドに容器体を嵌め込んだままの状態であっても、スタンドごと容器体を傾けることができる。つまり、容器体の胴部に形成された係合部が、スタンドの周壁部に形成された指当て部に係合しているので、スタンドを把持して傾けたとしても、容器体がスタンドから抜け落ち難い。従って、内容物の吐出操作を容易に行うことができる。
しかも、スタンドを把持する際に、指当て部に指先をあてながら把持できるので、指先が滑り難く、スタンド及び容器体を傾け易い。この点においても、内容物の吐出操作を行い易い。
【0018】
(6)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記天壁部のうち前記吐出口を画成している部分には、破断可能な弱化部を介して切取片が前記径方向外側に向けて突設され、前記フィルムが、前記切取片の上面を覆うように延在していると共に、その外周縁部が周方向に沿って前記切取片上にシールされて前記吐出口を密封していることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る吐出容器においては、弱化部(薄肉部)を介して切取片を天壁部から分離させる(切り離す)ことで、吐出口の密封を解くことができる。従って、これ以降、容器体を傾けることで吐出口から内容物を吐出させることができる。
一方、流通時或いは販売陳列時の段階では、切取片が天壁部のうち吐出口を画成している部分に連結されており、吐出口が密封されている。そのため、容器体を傾けたとしても、内容物が吐出されることがない。よって、使用前の段階で内容物の漏出を確実に防止することができる。
【0020】
(7)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記天壁部が、前記流出開口よりも前記吐出口の方が上方に位置するように傾斜していることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る吐出容器においては、内容物の吐出後、容器体を元の状態に戻したときに、吐出路内に残っている内容物が天壁部の傾斜を利用して自然に流出開口側に戻り、この流出開口を通じて容器体の内部に流れ易い。従って、吐出路に内容物が残留し難くなるので、変形したフィルムが天壁部に対して確実に密着した状態に戻りやすい。よって、容器体の密閉性を高めることができる。
【0022】
(8)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記天壁部が凹曲面状に形成され、前記流出開口が前記天壁部の最深部に形成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る吐出容器においては、内容物の吐出後、容器体を元の状態に戻したときに、吐出路内に残っている内容物が凹曲面状となった天壁部の湾曲を利用して自然に流出開口側に戻り、この流出開口を通じて容器体の内部に流れ易い。従って、吐出路に内容物が残留し難くなるので、変形したフィルムが天壁部に対して確実に密着した状態に戻りやすい。よって、容器体の密閉性を高めることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る吐出容器によれば、特別な操作を行うことなく内容物を容易に吐出することができ、使い易い。しかも、少量の内容物であってもスムーズに吐出させることができ、内容物を無駄に残すことなく使いきり易い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る吐出容器の実施形態を示す図であって、吐出容器の全体側面図(一部断面図)である。
【図2】図1に示す矢印A−A線に沿った断面図である。
【図3】図1に示す吐出容器のうち吐出キャップを中心に拡大した部分断面図である。
【図4】図3に示す状態から、切取片を分離させた状態を示す断面図である。
【図5】図4に示す状態から、容器体を傾けて内容物を吐出させている状態を示す断面図である。
【図6】容器体をさらに傾けながら膨出部を凹ませて、残量の少なくなった内容物を吐出させている状態を示す断面図である。
【図7】本発明に係る吐出容器の変形例を示す図であって、本体キャップに対して上下動する吐出ヘッドを備えた吐出キャップの断面図であると共に、吐出ヘッドの上方移動の前後状態を示した図である。
【図8】本発明に係る吐出容器の変形例を示す図であって、本体キャップに対して回転移動する吐出ヘッドを備えた吐出キャップの断面図であると共に、吐出ヘッドの回転移動の前後状態を示した図である。
【図9】本発明に係る吐出容器の変形例を示す図であって、周壁部に開口部が形成されたスタンドに吐出容器が嵌っている状態における全体側面図(一部断面図)である。
【図10】図9に示す矢印B−B線に沿った断面図である。
【図11】本発明に係る吐出容器の別の変形例を示す図であって、周壁部に指当て部が形成されたスタンドに吐出容器が嵌っている状態における全体側面図(一部断面図)である。
【図12】図11に示す矢印C−C線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る吐出容器の実施形態について、図1から図12を参照して説明する。本実施形態の吐出容器1は、図1及び図2に示すように、液体状の内容物W(図5参照)が収容される容器体2と、この容器体2の口部2eに装着される吐出キャップ3と、を備えている。
【0027】
なお、図1は吐出容器1の全体側面図(一部断面図)である。図2は、図1に示す矢印A−A線に沿った断面図である。また、本実施形態では、容器体2の容器軸Oに直交する方向を径方向、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向とする。また、容器軸Oに沿って容器体2から吐出キャップ3に向かう方向を上側とし、容器体2の底部2a側に向かう方向を下側とする。
【0028】
本実施形態の容器体2は、外層4aに対して内層4bが剥離可能に積層されたデラミボトル(積層剥離型容器)であり、底部2aから上方に向かって順に胴部2b、肩部2c、首部2d及び口部2eが連設されている。
底部2aは平坦に形成されており、容器体2を床面上に安定して載置することが可能とされている。胴部2bは、横断面視楕円状に形成されている。肩部2cは、胴部2bの上部に連設された部分であり、上方に向かって漸次縮径するように形成されている。首部2dは、肩部2cの上部に連設された部分であり、横断面視円形状に形成されている。特にこの首部2dには、径方向外方に向けて膨らんだ断面円弧状の膨出部(押圧変形部)5が首部2dの全周に亘って環状に形成されている。
【0029】
この膨出部5は、指先で押圧すると内方に凹むように押圧変形するようになっており、凹んだ際に首部2dに位置する部分(内層4b)を減容変形させて、この容器(内層4b)の内圧を高める役割を担っている。口部2eは、首部2dの上部に連設された部分であり、外周面には環状の係合突起2fが形成されている。
【0030】
吐出キャップ3は、図3に示すように、容器体2の口部2eを径方向外側から囲む外筒部10と、口部2eの内周面に沿って配設され、この口部2e内に嵌入される内筒部11と、外筒部10の上端と内筒部11の上端とを連設し、口部2eの開口端に接するフランジ部12と、該フランジ部12から上方に向かって突設された突出筒部13と、この突出筒部13の上端部に連設された天壁部14と、で容器軸Oを中心に有頂筒状に形成されている。なお、図3は、図1に示す吐出容器1のうち吐出キャップ3を中心に拡大した断面図である。
【0031】
外筒部10の内周面には、口部2e側の係合突起2fの下側に係合する環状の爪部10aが形成されている。これにより、吐出キャップ3は、アンダーカット嵌合によって容器体2の口部2eに装着されるようになっている。なお、爪部10aは環状でなくても良く、周方向に間隔を開けて複数形成されていても構わない。
内筒部11及び突出筒部13の内側は、吐出キャップ3の装着状態において、容器体2の内部に連通する連通路R1として機能する。
【0032】
天壁部14には、上記連通路R1に連通する流出開口15が形成されている。これにより、容器体2を傾けることで、連通路R1を介して内容物Wを流出開口15から天壁部14上に流出させることが可能とされている。
ところで、本実施形態の天壁部14は、凹曲面状に形成されているうえ容器軸Oに対して傾斜するように形成されている。具体的には、まず天壁部14は、図2及び図3に示すように、突出筒部13の上端を塞ぐように形成されていると共に、楕円状の胴部2bの長軸に沿って縦長の長方形状に形成されている。しかも、天壁部14の一方側は、長軸に沿って径方向外側に突出するように形成されている。以下、この突出している側を天壁部14の先端部14aといい、容器軸Oを挟んで先端部14aとは反対側を基端部14bという。
【0033】
天壁部14の先端部14aは、基端部14bよりも上方に位置するように傾斜している。更に、天壁部14は、先端部14aと基端部14bとを結ぶ傾斜方向L1及び容器軸Oにそれぞれ直交する直交方向L2に沿って、外側から内側に向かうにしたがって漸次深くなるように凹曲面状に形成されている。そして、流出開口15は、天壁部14の最深部に位置するように形成されている。
【0034】
また、本実施形態の吐出キャップ3には、図1から図3に示すように、天壁部14に対して破断可能な弱化部21を介して切取片20が連結されている。
具体的に、この切取片20は、弱化部21を介して天壁部14のうち後述する吐出口24を画成している部分である先端部14aに、径方向外側に突設するように連結されている。弱化部21は、下側に切り欠きが形成された薄肉部とされており、切取片20を上方や下方に向けて捩ったり、側方に引っ張ったりするように操作することで図4に示すように容易に破断できるようになっている。
なお、図4は、図3に示す状態から切取片20を取り外した状態を示す図である。
【0035】
しかも、この切取片20には摘み部(図2参照)20aが連結されている。従って、この摘み部20aを利用して切取片20に効率良く力を伝えることが可能とされ、スムーズに弱化部21を破断して切取片20を天壁部14から分離させることができるようになっている。
【0036】
このように構成された天壁部14上には、図1から図3に示すように、流出開口15を覆うようにフィルム(シート)22が重ねられている。このフィルム22は、破れ難く伸縮性がある材料から形成されたフィルムであり、天壁部14の全体を覆っている。しかも、フィルム22は、天壁部14上だけでなく、切取片20側に延在して、分離する前の切取片20の上面全体を覆うサイズとされている。
なお、前記フィルム22としては、破れ難い一般的なフィルム(伸縮性を有さない)を使用することもできるが、伸縮性を有するフィルムを用いることが好ましい。
【0037】
ところで、このフィルム22は、切取片20を天壁部14から分離する前の段階では、流出開口15の径方向外側に位置する外周縁部が周方向に沿って天壁部14及び切取片20の上面に対してそれぞれシール(固着)されている(図2で示すハッチング領域S)。このときのシールの方法としては、接着剤や熱溶着(融着、圧着等)等の各種の方法を採用して構わない。
そして、このフィルム22は、切取片20を天壁部14から分離させると共に破断する。そして、分離後の天壁部14に着目すると、図2に示すようにフィルム22の外周縁部の一部は、部分的にシールが解かれた非シール部23となっている。この非シール部23は、フィルム22の破断部分に形成される。
【0038】
本実施形態では、天壁部14の先端部14aに非シール部23が形成されている。そして、この非シール部23と天壁部14とで、流出開口15から流出された内容物Wを吐出させる吐出口24を画成している。
つまり、本実施形態では、切取片20を天壁部14から分離させる前の段階では、図2に示すように、切取片20上において周方向に沿って外周縁部がシールされたフィルム22によって、吐出口24は密封されている。そして、切取片20を天壁部14から分離させることで、この分離に伴って切取片20上にシールされたフィルム22が破断し、図4に示すように吐出口24が天壁部14の先端部14aに現れるようになっている。
また、上述したように天壁部14は、先端部14aの方が基端部14bよりも上方に位置するように傾斜しているので、吐出口24の方が流出開口15よりも上方に位置するようになっている。
【0039】
次に、このように構成された吐出容器1を利用して内容物Wを吐出する場合について説明する。
はじめに、流通時或いは販売陳列時の段階では、図1から図3に示すように、天壁部14の先端部14aには弱化部21を介して切取片20が連結されている。そのため、吐出口24はこの切取片20によって密封された状態となっている。そこで、使用するにあたって、まずこの切取片20を天壁部14から取り外す。つまり、図4に示すように、摘み部20aを引っ張り操作することで弱化部21を破断して、切取片20を天壁部14から分離させる。これにより、吐出口24の密封を解くことができる。
【0040】
この後、図5に示すように、天壁部14の先端部14aが下側になるように容器体2を傾ける。すると、容器体2に収容されている内容物Wが連通路R1を通じて流出開口15に流れ込み、この流出開口15から天壁部14上にフィルム22を押し上げながら流出する。すると、流出した内容物Wの自重によりフィルム22が天壁部14から離反する方向に押圧されて反転変形し、上側に凸となるドーム状に膨らむ。これにより、天壁部14とフィルム22との間の隙間が吐出口24に繋がる吐出路R2となる。
従って、流出開口15から流出した内容物Wをこの吐出路R2を通じて吐出口24に導き、該吐出口24から外部に吐出させることができる。
【0041】
また、吐出が終了した後、フィルム22に内容物Wの自重がかからない姿勢に容器体2を戻すと、フィルム22に付与されていた押圧力が解除され、ドーム状に変形していたフィルム22が反転変形により元の状態に戻って天壁部14に密着する。そのため、図4に示すように、流出開口15が再度フィルム22によって閉塞されると共に吐出口24が閉止される。これにより、容器体2の密閉を確保することができる。
【0042】
上述したように、本実施形態の吐出容器1によれば、容器体2を傾け、内容物Wの自重によりフィルム22を反転変形させるだけの簡単な方法で吐出を行えるので、特別な操作を行うことなく容易に吐出操作を行うことができ、使い易い。
ところで、内容物Wが吐出されると、これに伴って容器体2の内層4bが外層4aから徐々に剥離して萎むように減容変形しはじめる。なお、外層4aには、外層4aの内外を連通させる図示しない空気孔が(例えば、口部2e、首部2d又は底部2aに)形成されており、これにより内層4bは内容物Wの吐出に伴って減容変形する。
【0043】
しかも、内容物Wの残量が少なくなった場合であっても、残りの内容物Wをスムーズに吐出させることができ、内容物Wを無駄に残すことなく使い切り易い。つまり、内容物Wの残量が少なくなった場合には、図6に示すように容器体2の首部2dに形成されている膨出部5を指先等で押圧して、内方に凹むように押圧変形させる。
【0044】
これにより、首部2dに位置する容器(内層4b)部分を減容変形させて容器(内層4b)の内圧を上昇させることができる。すると、この上昇した内圧は、吐出口24を通じて外部に逃げるためにフィルム22を上側に押し上げるように作用する。従って、少量の内容物Wが自重によってフィルム22を押し上げようとする力をアシストすることができ、流出開口15と吐出口24とを繋ぐ吐出路R2を画成させることができる。
その結果、少量の内容物Wであってもスムーズに吐出させることができ、内容物Wを残すことなく使いきり易い。
【0045】
更に、本実施形態の吐出容器1によれば、以下の作用効果を奏することができる。
即ち、流通時或いは販売陳列時の段階では、切取片20が天壁部14に連結されており、吐出口24が密封されている状態であるので、容器体2を傾けたとしても内容物Wが吐出されることがない。よって、使用前の段階で、内容物Wの漏出を確実に防止することができる。
また、切取片20を天壁部14から分離する際、摘み部20aを利用して切取片20に力を効率良く伝えることができるので、スムーズに弱化部21を破断することができる。従って、切取片20を弱化部21に沿って分離し易くなる。
【0046】
更に、本実施形態の天壁部14は、基端部14bよりも先端部14aの方が上方に位置し、流出開口15よりも吐出口24の方が上方に位置するように傾斜しているので、内容物Wの吐出後、容器体2を元の状態に戻したときに、吐出路R2内に残っている内容物Wが天壁部14の傾斜を利用して自然に流出開口15側に戻り、この流出開口15を通じて容器体2の内部に流れ易い。
しかも天壁部14は、傾斜しているだけでなく凹曲面状に形成されており、最深部に流出開口15が形成されている。よって、この点においても吐出路R2内に残っている内容物Wが天壁部14の湾曲を利用して自然に流出開口15側に戻り、この流出開口15を通じて容器体2の内部に流れ易い。
【0047】
このように、内容物Wが自然に流出開口15側に戻り易いので、吐出路R2に内容物Wが残留し難くなる。従って、ドーム状に膨らむように反転変形したフィルム22が、天壁部14に対して確実に密着した状態に戻り易い。よって、容器体2の密閉性を高めることができる。
【0048】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態において、吐出キャップ3を口部2eに装着する際に、アンダーカット嵌合ではなく螺合によって装着するように構成しても構わない。なお、この場合には、吐出口24が所望する方向に向くように吐出キャップ3を口部2eに対して周方向に位置決めさせる機構を設けることが好ましい。その機構としては、一般的に知られている周方向への回転規制を行う各種の方法を採用すれば良い。
【0050】
また、上記実施形態では、容器体2を直立させた際、吐出キャップ3の天壁部14が傾斜するように形成したが、容器軸Oに直交する水平面内に沿って延在するように天壁部14を形成しても構わない。また、上記実施形態では、天壁部14が凹曲面状となるように形成したが、平坦なフラット面となるように形成しても構わない。
【0051】
いずれの場合であっても、同様の作用効果を奏することができる。なお、天壁部14を平坦に形成した場合には、伸縮性を有するフィルムを採用することになるが、上記実施形態のように凹曲面状とした場合には、フィルム22が反転変形可能となるため、伸縮性を有さない一般的なフィルムを採用することもできる。伸縮性を有するフィルム22を採用することで、容器体2を傾けた際に、内容物Wの自重によりフィルム22を天壁部14から離反するように弾性変形させることができ、フィルム22を上方に凸に膨らむドーム状にして吐出路R2を確実に形成することができる。
このように、天壁部14の形状に応じてフィルムの材料を適宜変更し、内容物Wの自重によって反転変形や弾性変形等の各種変形を起こさせて、吐出口24に繋がる吐出路R2が確実に画成されるようにすれば良い。
【0052】
また、上記実施形態では、天壁部14の先端部14aに弱化部21を介して切取片20を連結した構成としたが、この切取片20は必須なものではなく設けなくても構わない。
更に、膨出部5を首部2dの全周に亘って環状に形成したが、環状にする必要はなく、凸状に膨らむ膨出部5を1箇所形成しても構わないし、周方向に間隔を開けながら複数形成しても構わない。
【0053】
また、上記実施形態では、容器体2の内部と流出開口15とが常時連通するように吐出キャップ3を構成したが、連通状態と遮断状態とが適宜切り替わるように吐出キャップ3を構成しても構わない。以下、この場合の構成について説明する。
【0054】
図7に示すように、この場合の吐出キャップ30は、容器体2の口部2eに装着されるキャップ本体40と、このキャップ本体40に対して相対移動可能、具体的には上下動可能に装着される吐出ヘッド50と、で有頂筒状に構成されている。
なお、図7は、容器体2の口部2eに装着された吐出キャップ30の断面図であって、上方移動の前後状態を示した図である。但し、切取片20は既に取り除かれている状態を示す。
【0055】
キャップ本体40は、容器体2の口部2eを径方向外側から囲む外筒部41と、口部2eの内周面に沿って配設され、この口部2e内に嵌入される内筒部42と、外筒部41の上端と内筒部42の上端とを連設し、口部2eの開口端を塞ぐ頂壁部43と、該頂壁部43から上方に向かって突設されたガイド筒44と、このガイド筒44の径方向内方に配設され、頂壁部43から上方に向かって突設された有頂筒状の栓体45と、で構成されている。
【0056】
外筒部41の内周面には、口部2e側の係合突起2fの下側に係合する環状の爪部41aが形成されている。これにより、キャップ本体40は、アンダーカット嵌合によって容器体2の口部2eに装着されるようになっている。なお、爪部41aは環状でなくても良く、周方向に間隔を開けて複数形成されていても構わない。
ガイド筒44は、吐出ヘッド50の上下動をガイドする筒であり、天壁部14の傾斜に合わせて開口端が斜めにカットされている。ガイド筒44の内周面の一部には、容器軸Oに沿って延在する縦長のガイド溝44aが開口端から下方に向かって形成されている。
【0057】
栓体45の内部は、頂壁部43に形成された開口43aを介して内筒部42に連通している。そして、これら内筒部42及び栓体45の内側は、キャップ本体40の装着状態において、容器体2の内部に連通する第1連通路R3として機能する。
ところで、栓体45の周面の一部には、スリット状の切欠溝45aが容器軸Oに沿って形成されており、栓体45の内部と外部とを連通させている。また、頂壁部43には、この切欠溝45aに連通するように切欠孔43bが形成されている。よって、第1連通路R3は、これら切欠溝45a及び切欠孔43bを通じて開放された状態となっている。
【0058】
吐出ヘッド50は、キャップ本体40のガイド筒44を径方向外側から囲む外側スライド筒51と、ガイド筒44を径方向内側から囲む内側スライド筒52と、これら外側スライド筒51及び内側スライド筒52の上端に連設された天壁部14と、を備えている。
そして、この吐出ヘッド50は、外側スライド筒51と内側スライド筒52との間にキャップ本体40のガイド筒44が嵌り込むように、キャップ本体40に対して組み合わされており、ガイド筒44にガイドされながら上下動可能とされている。この際、内側スライド筒52の外周面には、キャップ本体40側に形成されたガイド溝44aに上下動可能に嵌る縦リブ52aが形成されている。
これにより、吐出ヘッド50は、周方向への回転が規制された状態でキャップ本体40に組み合わされ、回転することなく上下動するようになっている。
【0059】
ところで、天壁部14に形成された流出開口15は、内側スライド筒52に連通している。よって、内側スライド筒52の内側は、流出開口15に連通する第2連通路R4として機能する。この際、上述したように、第1連通路R3は切欠溝45a及び切欠孔43bを通じて開放されているので、第1連通路R3と第2連通路R4とは常に連通した状態とされている。
【0060】
また、内側スライド筒52には、キャップ本体40の栓体45が離脱可能に嵌入する嵌入孔53aが形成された隔壁53が形成されている。この隔壁53は、吐出ヘッド50が下方移動して、外側スライド筒51の下端部がキャップ本体40の頂壁部43に接しているときに栓体45が嵌入孔53aに嵌入し、吐出ヘッド50が上方移動して外側スライド筒51の下端部がキャップ本体40の頂壁部43から離間したときに、栓体45が嵌入孔53aから離脱するように形成されている。
【0061】
つまり、吐出ヘッド50を下方移動させた際に、嵌入孔53aは栓体45によって塞がれ、吐出ヘッド50を上方移動させた際に、嵌入孔53aから栓体45が離脱するようになっている。言い換えると、吐出ヘッド50を下方移動させると、第2連通路R4は栓体45によって途中で遮断され、吐出ヘッド50を上方移動させると栓体45による遮断が解かれるようになっている。
即ち、容器体2の内部と流出開口15とは、吐出ヘッド50の上下動に伴って、第1連通路R3及び第2連通路R4を通じて互いに連通状態又は遮断状態に切り替わるようになっている。
【0062】
なお、外側スライド筒51の内周面には、環状の爪部51aが内方に突出するように形成されている。一方、キャップ本体40のガイド筒44の外周面には、吐出ヘッド50が下方移動又は上方移動させられたときに、上記爪部51aがそれぞれ嵌り込む環状溝44bが形成されている。これにより、吐出ヘッド50を上方移動又は下方移動させたときに、該吐出ヘッド50をその位置で位置決めさせることが可能とされている。
【0063】
このように構成された吐出キャップ30を利用して、内容物Wを吐出する場合について簡単に説明する。
この場合には、吐出ヘッド50をキャップ本体40に対して上方移動させる。すると、この移動に伴って、キャップ本体40の栓体45の上部が嵌入孔53aから抜けて離脱した状態となる。これにより、第2連通路R4の遮断が解かれるので、容器体2の内部と流出開口15とが第1連通路R3及び第2連通路R4を通じて互いに連通した状態となる。従って、これ以降、容器体2を傾けることで内容物Wを吐出させることができる。
【0064】
なお、吐出ヘッド50を上方移動させた際、爪部51aが環状溝44bに嵌り込むので吐出ヘッド50が該位置に位置決めされる。よって、内容物Wの吐出中に吐出ヘッド50が下方移動して、容器体2の内部と流出開口15との連通が不意に遮断されてしまう恐れが少ない。
【0065】
そして、内容物Wの吐出が終了して保管等を行う場合には、吐出ヘッド50をキャップ本体40に対して下方移動させて元の状態に戻す。すると、栓体45の上部が再び嵌入孔53a内に嵌入するので、第2連通路R4が途中で遮断される。よって、先ほど連通していた容器体2の内部と流出開口15とを遮断させることができる。従って、保管中等に誤って容器体2を傾けてしまったとしても、流出開口15に内容物Wが流れてしまうことを防止することができる。
【0066】
なお、吐出ヘッド50を下方移動させた場合も同様に、爪部51aが環状溝44bに嵌り込むので吐出ヘッド50が該位置に位置決めされる。よって、保管中等に吐出ヘッド50が上方移動して、容器体2の内部と流出開口15とが不意に連通してしまう恐れが少ない。
【0067】
上述したように吐出キャップ30を構成することで、状況に応じて流出開口15への流通ルートを連通或いは遮断することができ、意図しないときに内容物Wを吐出させてしまい難い。
【0068】
なお、図7では、吐出ヘッド50をキャップ本体40に対して上下動させることで、容器体2の内部と流出開口15とが連通或いは遮断するように切り替わる構成であったが、上下動に限定されるものではなく、吐出ヘッド50をキャップ本体40に対して相対移動させることで切り替わるように構成されていれば良い。
【0069】
例えば、図8に示すように、容器体2の口部2eに装着されるキャップ本体70と、このキャップ本体70に対して相対移動可能、具体的には回転移動可能に装着される吐出ヘッド80と、で吐出キャップ60を構成しても構わない。
なお、図8は、容器体2の口部2eに装着された吐出キャップ60の断面図であって、回転前後の状態を示した図である。但し、切取片20は既に取り除かれた状態を示す。
【0070】
キャップ本体70は、容器体2の口部2eを径方向外側から囲む外筒部71と、口部2eの内周面に沿って配設され、この口部2e内に嵌入される内筒部72と、外筒部71の上端と内筒部72の上端とを連設し、口部2eの開口端を塞ぐ頂壁部73と、該頂壁部73から上方に向かって突設された外側ガイド筒74と、この外側ガイド筒74の径方向内方に配設され、頂壁部73から上方に向かって突設された内側ガイド筒75と、で構成されている。
【0071】
外筒部71の内周面には、口部2e側の係合突起2fの下側に係合する環状の爪部71aが形成されている。これにより、キャップ本体70は、アンダーカット嵌合によって容器体2の口部2eに装着されるようになっている。なお、爪部71aは環状でなくても良く、周方向に間隔を開けて複数形成されていても構わない。
内筒部72の内側は、キャップ本体70の装着状態において、容器体2の内部に連通する第1連通路R3として機能する。
【0072】
外側ガイド筒74は、吐出ヘッド80の回転をガイドする筒である。この外側ガイド筒74の外周面には、外方に突出した環状の爪部74aが形成されていると共に、容器軸Oを挟んで向かい合うように一対の縦リブ74bが形成されている。これら一対の縦リブ74bは、外側ガイド筒74の上端部付近に形成されており、容器軸Oを中心に吐出ヘッド80を半回転させた位置でそれぞれ位置決めさせるための規制部材である。
【0073】
また、内側ガイド筒75も外側ガイド筒74と同様に吐出ヘッド80の回転をガイドする筒であって、外側ガイド筒74よりも高さが低くなるように形成されている。この内側ガイド筒75の一部には、スリット状の切欠溝75aが容器軸Oに沿って形成されている。また、頂壁部73には、この切欠溝75aに連通するように切欠孔73aが形成されている。よって、第1連通路R3は、これら切欠溝75a及び切欠孔73aを通じて開放された状態となっている。
【0074】
吐出ヘッド80は、キャップ本体70の外側ガイド筒74を径方向外側から囲む外側回転筒81と、外側ガイド筒74の一部と内側ガイド筒75とを径方向内側から囲む段付き状に形成された内側回転筒82と、これら外側回転81及び内側回転筒82の上端に連設された天壁部14と、を備えている。
【0075】
そして、この吐出ヘッド80は、外側回転筒81と内側回転筒82との間にキャップ本体70の外側ガイド筒74及び内側ガイド筒75がそれぞれ嵌り込むように、キャップ本体70に対して組み合わされており、外側ガイド筒74及び内側ガイド筒75にガイドされながら、容器軸Oを中心として回転可能とされている。
【0076】
外側回転筒81の内周面には、キャップ本体70側に形成された環状の爪部74aに係合する環状の突起部81aが形成されており、吐出ヘッド80の抜け止め防止を図っている。また、外側回転筒81の内周面の一部には、キャップ本体70側に形成された縦リブ74bに当接する当接リブ81bが形成されている。この当接リブ81bは、容器軸Oを中心に吐出ヘッド80を半回転させる度に縦リブ74bに当接するようになっている。これにより、吐出ヘッド80の回転を180度に規制することができると共に、吐出口24の向きを2方向に位置決めさせることが可能とされている。
【0077】
ところで、天壁部14に形成された流出開口15は、内側回転筒82に連通している。よって、内側回転筒82の内側は、流出開口15に連通する第2連通路R4として機能する。この内側回転筒82は、キャップ本体70の内側ガイド筒75に接しており、基本的にはキャップ本体70側の切欠溝75aを塞いで第1連通路R3を遮断している。
しかしながら、内側回転筒82の一部には、スリット状の縦溝82aが容器軸Oに沿って形成されている。この縦溝82aは、当接リブ81bが縦リブ74bに当接して吐出ヘッド80の回転位置が規制され、吐出口24の向きが一方向に位置決めされたときに、キャップ本体70側の切欠溝75aに連通するようになっている。これにより、第1連通路R3と第2連通路R4とが、互いに連通するようになっている。つまり、容器体2の内部と流出開口15とが、第1連通路R3及び第2連通路R4を通じて互いに連通するようになっている。
【0078】
一方、上記位置から容器軸Oを中心として吐出ヘッド80を半回転させ、吐出口24の向きが他方向に位置決めされると、内側回転筒82はキャップ本体70側の切欠溝75aを塞ぐようになっている。これにより、第1連通路R3と第2連通路R4との連通は、再度遮断されるようになっている。
即ち、容器体2の内部と流出開口15とは、吐出ヘッド80の回転移動に伴って、第1連通路R3及び第2連通路R4を通じて互いに連通状態又は遮断状態に切り替わるようになっている。
【0079】
このように構成された吐出キャップ60を利用して、内容物Wを吐出する場合について簡単に説明する。
この場合には、容器軸Oを中心として吐出ヘッド80をキャップ本体70に対して回転させる。すると、吐出ヘッド80が半回転した時点で当接リブ81bが縦リブ74bに当接して、吐出ヘッド80の向きが一方向に位置決めされる。また、この時点で吐出ヘッド80の縦溝82aとキャップ本体70の切欠溝75aとが、連通した状態となる。これにより、容器体2の内部と流出開口15とが第1連通路R3及び第2連通路R4を通じて互いに連通した状態となる。従って、これ以降、容器体2を傾けることで内容物Wを吐出させることができる。
【0080】
そして、内容物Wの吐出が終了して保管等を行う場合には、吐出ヘッド80を逆方向に半回転させる。すると、再度当接リブ81bが縦リブ74bに当接するので吐出ヘッド80の向きが他方向に位置決めされる。また、吐出ヘッド80の内側回転筒82がキャップ本体70の切欠溝75aを遮断するので、第1連通路R3と第2連通路R4との連通が遮断される。よって、先ほど連通していた容器体2の内部と流出開口15とを遮断させることができる。従って、保管中等に誤って容器体2を傾けてしまったとしても、流出開口15に内容物Wが流れてしまうことを防止することができる。
【0081】
上述したように、回転移動する吐出ヘッド80を備えた吐出キャップ60の場合であっても、状況に応じて流出開口15への流通ルートを連通或いは遮断することができるので、意図しないときに内容物Wを吐出させてしまい難い。
【0082】
また、上記実施形態では、底部2aが平坦に形成された容器体2としたが、図9及び図10に示すように、胴部2bが横断面視楕円状に形成され、且つ、底部2aが下方に向けて凸曲面状に形成された容器体2としても構わない。なお、図9は、吐出容器90の側面図(一部断面図)である。図10は、図9に示す矢印B−B線に沿った断面図である。
また、この場合の吐出容器90は、容器体2が容器軸Oに沿って離脱可能に嵌め込まれ、該容器体2を直立状態で支持する外ケースであるスタンド91を備えている。
【0083】
このスタンド91は、横断面視楕円状に形成され、容器体2を径方向外側から囲む周壁部92と、該周壁部92の下端部に連設された底壁部93と、周壁部92と底壁部93との連設部分から下方に向けて末広がり状に形成され、底壁部93の周囲を囲む枠部94と、で有底筒状に形成されている。
周壁部92は、容器体2を嵌め込んだ際に、容器体2の胴部2bの上部部分を露出させるような高さに設計されている。また、この周壁部92には、スタンド91内に嵌め込まれた容器体2の胴部2bの一部を露出させる把持用の開口部92aが容器軸Oを挟んで向かい合うように大きく形成されている。
【0084】
このように、容器体2の胴部2bを横断面視楕円状に形成し、且つ、底部2aを凸曲面状に形成することで、容器体2の胴部2bと底部2aの境界部分(図10に示すM部分)を大きな曲率で滑らかに湾曲させることができる。つまり、容器体2の胴部2bと底部2aとの境界部分に、局所的に急激に湾曲して曲率の小さい屈曲部が現れてしまうことを防止することができる。
そのため、内容物Wの吐出に伴って、容器体2の内層4bを外層4aから抵抗少なく剥離させることができる。よって、内層4bをより確実に減容変形させることができる。
【0085】
また、容器体2を保管する場合や、使用中に一旦載置する場合等には、容器軸Oに沿ってスタンド91に嵌め込ませる。これにより、底部2aが凸曲面状に形成されている容器体2であっても、直立状態で安定に支えることができる。従って、容器体2が倒れて吐出口24から内容物Wが漏れてしまう不具合が生じ難い。
【0086】
しかも、内容物Wの吐出を行う場合には、容器体2をスタンド91に嵌め込んだままの状態であっても吐出操作を行うことが可能である。即ち、スタンド91の周壁部92に形成された開口部92aを介して容器体2の胴部2bを把持することができる。従って、スタンド91から容器体2を取り外さなくても、スタンド91ごと容器体2を傾けることができ、内容物Wの吐出操作を容易に行うことができる。
【0087】
但し、上記スタンド91において開口部92aは必須なものではなく、設けなくても構わない。この場合には、内容物Wの吐出操作を行う度に、スタンド91から容器体2を取り外せば良い。しかしながら、上記のように周壁部92に開口部92aを形成することで、スタンド91ごと容器体2を安定して傾けることができるので、吐出操作を容易に行える点でより好ましい。
【0088】
また、開口部92aに変えて以下の構成を採用しても構わない。
即ち、図11及び図12に示すように、スタンド91の周壁部92に内方に凹んだ指当て部92bを形成しても構わない。なお、図11は、吐出容器90の側面図(一部断面図)である。図12は、図11に示す矢印C−C線に沿った断面図である。
【0089】
指当て部92bは、周壁部92の上部側において周方向に延在するように形成されていると共に、容器軸Oを挟んで向かい合うように形成されている。そして、容器体2の胴部2bには、スタンド91内に嵌め込んだときに、この指当て部92bに係合する係合部95が形成されている。この係合部95は、スタンド91に対する容器軸Oに沿った容器体2の移動を規制する役割を担っている。
【0090】
このように構成した場合には、スタンド91に容器体2を嵌め込んだままの状態であっても、スタンド91ごと容器体2を傾けることができる。つまり、容器体2の胴部2bに形成された係合部95が、スタンド91の周壁部92に形成された指当て部92bに係合しているので、スタンド91を把持して傾けたとしても、容器体2がスタンド91から抜け落ち難い。従って、内容物Wの吐出操作を同様に容易に行うことができる。
【0091】
しかも、スタンド91を把持する際に、指当て部92bに指先を当てながら把持できるので、指先が滑り難く、スタンド91及び容器体2を傾け易い。従って、やはり内容物Wの吐出操作を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0092】
O…容器軸
W…内容物
R3…第1連通路
R4…第2連通路
1、90…吐出容器
2…容器体
2a…容器体の底部
2c…容器体の肩部
2d…容器体の首部
2e…容器体の口部
3、30、60…吐出キャップ
4a…容器体の外層
4b…容器体の内層
5…膨出部(押圧変形部)
14…天壁部
15…流出開口
20…切取片
21…弱化部
22…フィルム
23…非シール部
24…吐出口
40、70…キャップ本体
50、80…吐出ヘッド
91…スタンド
92…スタンドの周壁部
92a…スタンドの開口部
92b…スタンドの指当て部
95…係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容され、外層に対して内層が剥離可能に積層された積層剥離型の容器体と、
該容器体の口部に装着され、容器体の内部に連通する流出開口が天壁部に形成された有頂筒状の吐出キャップと、
前記流出開口を上方から覆うように前記天壁部上に重ねられ、流出開口の径方向外側に位置する外周縁部が周方向に沿って天壁部にシールされたフィルムと、を備え、
前記フィルムの外周縁部には、部分的に前記シールが解かれた非シール部が形成されており、該非シール部と前記天壁部とで前記流出開口から流出された前記内容物を吐出させる吐出口を画成し、
前記容器体の肩部と前記口部との間に位置する首部には、内方に押圧変形可能な押圧変形部が形成されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出容器において、
前記吐出キャップは、
前記口部に装着され、前記容器体の内部に連通する第1連通路を有するキャップ本体と、
該キャップ本体に対して相対移動可能に装着され、前記天壁部が形成されていると共に前記流出開口に連通する第2連通路を有する吐出ヘッドと、を備え、
前記容器体の内部と前記流出開口とは、前記吐出ヘッドの相対移動に伴って、前記第1連通路及び前記第2連通路を通じて互いに連通状態又は遮断状態に切り替わることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吐出容器において、
前記容器体が離脱可能に嵌め込まれ、該容器体を支える有底筒状のスタンドを備え、
前記容器体は、胴部が横断面視楕円状で、且つ、底部が凸曲面状に形成されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項4】
請求項3に記載の吐出容器において、
前記スタンドの周壁部には、前記容器体の胴部の一部を露出させる把持用の開口部が形成されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項5】
請求項3に記載の吐出容器において、
前記スタンドの周壁部には、内方に凹んだ指当て部が形成され、
前記容器体の胴部には、前記指当て部に係合して、前記スタンドに対する容器体の移動を規制する係合部が形成されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の吐出容器において、
前記天壁部のうち前記吐出口を画成している部分には、破断可能な弱化部を介して切取片が前記径方向外側に向けて突設され、
前記フィルムは、前記切取片の上面を覆うように延在していると共に、その外周縁部が周方向に沿って前記切取片上にシールされて前記吐出口を密封していることを特徴とする吐出容器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の吐出容器において、
前記天壁部は、前記流出開口よりも前記吐出口の方が上方に位置するように傾斜していることを特徴とする吐出容器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の吐出容器において、
前記天壁部は、凹曲面状に形成され、
前記流出開口は、前記天壁部の最深部に形成されていることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−152950(P2011−152950A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16936(P2010−16936)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】