説明

吐出装置、パターン形成装置

【課題】移動自在な垂直ベース53に吐出ユニット3を取り付けた構成において、塗布液の吐出時に発生する反力に起因した吐出ユニット3の振動を抑制可能とする。
【解決手段】垂直ベース53を、梁513により支持するのみならず、梁513の反対側から第2支持機構6によっても支持する。こうして、両側に配置された梁513と第2支持機構6で垂直ベース53を強固に支持することが可能となり、その結果、垂直ベース53に取り付けられた吐出ユニット3を吐出時に発生する反力に抗してしっかりと支持することができる。よって、塗布液の吐出時に発生する反力に起因した吐出ユニット3の振動を抑制することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パターンを形成するための材料を含む塗布液を吐出する吐出ヘッドを、移動自在な可動部材により支持する構成を備えた吐出装置、および当該吐出装置を備えたパターン形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、吐出ヘッド(塗布ヘッド)をX軸方向に移動自在に支持したパターン塗布装置(ペースト塗布装置)が記載されている。具体的には、門型フレームが有する梁部材の側面にX軸移動テーブルが支持されており、このX軸移動テーブルに吐出ヘッドが取り付けられている。こうして、吐出ヘッドがX軸移動テーブルと一緒に移動自在となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−290972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような構成では、塗布液の吐出時に発生する反力によって吐出ヘッドが振動して、塗布液の吐出対象である基板上で塗布液の塗布位置がずれてしまうといった問題が引き起こされる場合があった。これに対して、特許文献1の構成では、可動部材を支持するものは、可動部材の片側に配置された(門型フレームの)梁部材のみである。しかしながら、このように、片側に配置された梁部材でのみ支持された可動部材によって、吐出時に発生する反力に抗して吐出ヘッドをしっかりと支持することは困難であり、その結果、吐出時の反力によって吐出ヘッドが振動してしまう場合があった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、移動自在な可動部材に吐出ヘッドを取り付けた構成において、塗布液の吐出時に発生する反力に起因した吐出ヘッドの振動を抑制可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる吐出装置は、上記目的を達成するために、第1支持部材と、第1支持部材の片側に配置されて第1支持部材に対して移動自在な状態で第1支持部材に支持される第1可動部材とを有する第1支持機構と、第1可動部材に取り付けられて、パターンを形成するための材料を含む塗布液を吐出する吐出ヘッドと、第1支持部材の反対側から第1可動部材に接続された接続部材と、第1可動部材に対して第1支持部材の反対側に配置されており、第1可動部材の移動に伴って移動自在に接続部材を支持することで、接続部材を介して第1支持部材の反対側から第1可動部材を支持する第2支持機構とを備えたことを特徴としている。
【0007】
このように構成された発明(吐出装置)では、第1可動部材は、第1支持部材の片側に配置されて、第1支持部材に対して移動自在な状態で第1支持部材に支持されており、この第1可動部材に吐出ヘッドが取り付けられている。こうして、吐出ヘッドが取り付けられた第1可動部材を第1支持部材により支持した上で、この発明は、第1可動部材に対して第1支持部材の反対側に配置された第2支持機構により、第1可動部材をさらに支持する構成を備える。つまり、第1可動部材には第1支持部材の反対側から接続部材が接続されており、第2支持機構はこの接続部材を支持することで、接続部材を介して第1支持部材の反対側から第1可動部材を支持している。しかも、第2支持機構は、第1可動部材の移動に伴って移動自在に接続部材を支持している。したがって、第1可動部材は、その移動を妨げられること無く接続部材を介して第2支持機構により支持される。
【0008】
このように、第1可動部材は、第1支持部材により支持されるのみならず、第1支持部材の反対側から第2支持機構によっても支持されている。こうして、両側に配置された第1支持部材と第2支持機構で第1可動部材を強固に支持することが可能となり、その結果、第1可動部材に取り付けられた吐出ヘッドを吐出時に発生する反力に抗してしっかりと支持することができる。よって、塗布液の吐出時に発生する反力に起因した吐出ヘッドの振動を抑制することが可能となる。
【0009】
なお、第2支持機構の具体的な構成としては、例えば次のようなものを採用できる。すなわち、第2支持機構は、第2支持部材、および第2支持部材に対して移動自在な状態で第2支持部材により支持された第2可動部材を有し、接続部材は、第2可動部材に取り付けられて、第1可動部材の移動に伴って第2可動部材と一緒に移動自在となっているように、吐出装置を構成しても良い。
【0010】
また、吐出ヘッドが塗布液を吐出する吐出方向は、第1可動部材から第1支持部材側に向かう水平方向へ傾いているように、塗布装置を構成しても良い。このような構成では、吐出液の吐出時には、第1支持部材の反対側へ向く反力が第1可動部材に働く。これに対して、この発明では、第1支持部材の反対側から第1可動部材を支持する構成(第2支持機構や接続部材)が設けられているため、この第1可動部材への反力に抗する抗力を第1可動部材に効率的に加えることができ、吐出ヘッドの振動を効果的に抑制することが可能となる。
【0011】
このとき、接続部材は棒状の部材であり、第2支持機構は、吐出ヘッドの吐出方向に対して平行に接続部材を支持するように、吐出装置を構成しても良い。このように棒状の接続部材を吐出ヘッドの吐出方向へ平行に支持することで、吐出液の吐出時に第1可動部材に働く反力に抗する抗力をより効率的に第1可動部材へ加えることができ、吐出ヘッドの振動をより効果的に抑制することが可能となる。
【0012】
ちなみに、第1可動部材の移動方向や、第1可動部材を移動自在に支持する具体的構成としては次のようなものが一例として挙げられる。つまり、第1可動部材が移動する方向は、吐出方向に直交する水平方向であるように、吐出装置を構成しても良い。また、第1支持機構は、第1支持部材に取り付けられて第1可動部材の移動を案内するガイド部材を有し、第1可動部材は、ガイド部材を介して第1支持部材に移動自在に支持されているように、吐出装置を構成しても良い。
【0013】
なお、吐出ヘッドは、ガイド部材の下側で塗布液を吐出する吐出装置では、第1可動部材がガイド部材に対して移動することで巻き起こる塵等が落下して、吐出ヘッドが塗布液を吐出する対象物(基板)に付着するおそれがある。そこで、ガイド部材は、第1支持部材の上面に配置されているように吐出装置を構成しても良い。これによって、吐出対象物への塵等の付着を抑制することができる。
【0014】
また、この発明にかかるパターン形成装置は、上記目的を達成するために、基板を支持する支持手段と、上記吐出装置とを備え、吐出装置が備える吐出ヘッドを支持手段に対して相対的に移動させながら、吐出ヘッドから基板に塗布液を吐出して、基板にパターンを形成することを特徴としている。このような発明(パターン形成装置)では、上記吐出装置を備えているため、塗布液の吐出時に発生する反力に起因した吐出ヘッドの振動を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
移動自在な可動部材に吐出ヘッドを取り付けた構成において、塗布液の吐出時に発生する反力に起因した吐出ヘッドの振動を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用可能なパターン形成装置の一実施形態を示す図である。
【図2】吐出装置の全体構成を部分的に示す斜視図である。
【図3】吐出装置の全体構成を部分的に示す側面図である。
【図4】吐出装置の全体構成を部分的に示す平面図である。
【図5】フィンガー用の吐出ユニットとその周りの構成を部分的に示す斜視図である。
【図6】フィンガー用の吐出ユニットとその周りの構成を部分的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明を適用可能なパターン形成装置の一例を示す図である。図1および以下に説明する図では、XYZ直交座標軸を適宜示すとともに、鉛直方向であるZ軸の周りにθ回転座標軸を適宜示す。また、以下では、各座標軸の矢印方向を正方向と適宜称するとともに、各座標軸の矢印と逆方向を負方向と適宜称する。
【0018】
このパターン形成装置1は、例えば表面に光電変換層が形成された単結晶シリコンウエハーなどの基板Wに導電性を有する電極配線パターンを形成し、例えば太陽電池として利用される光電変換デバイスを製造する装置である。この装置1は、例えば光電変換デバイスの光入射面に集電電極パターンを形成するという用途に好適に使用することができる。そこで、以下では、特開2011−71156号公報に記載のようなフィンガー電極およびバス電極(集電電極パターン)を、光電変換層が形成された基板Wに形成する場合に本発明を適用した例について説明する。
【0019】
このパターン形成装置1では、基台12が設けられるとともに、上面に基板Wを支持するステージ14が基台12の上に配置されている。このステージ14は、図示を省略するステージ移動機構によって、Y軸方向へ移動自在であるとともにθ軸方向に回転自在になっている。さらに、パターン形成装置1では、吐出装置16が基台12の上に支持されている。
【0020】
この吐出装置16は、パターンを形成するための材料を含む塗布液を吐出して、ステージ14に支持される基板Wにパターンを形成するものあである。具体的には、吐出装置16は、X軸方向に並ぶ2つの吐出ユニット3、4を備えている。後述するように、これら吐出ユニット3、4はX軸方向へ移動自在に構成されている。そして、吐出ユニット3、4の一方がステージ14のY軸方向への移動経路の上側に選択的に位置して塗布液を吐出すると、その下側を通過する基板Wの表面にY軸方向に延びる直線状のパターン(フィンガー電極・バス電極)が形成される。
【0021】
塗布液としては、導電性ペースト、すなわち導電性および光硬化性を有し、例えば導電性粒子、有機ビヒクル(溶剤、樹脂、増粘剤等の混合物)および光重合開始剤を含むペースト状の混合液を用いることができる。導電性粒子は電極の材料たる例えば銀粉末であり、有機ビヒクルは樹脂材料としてのエチルセルロースと有機溶剤を含む。なお、光硬化性の塗布液を用いる理由は、基板Wに塗布液を吐出してパターンを形成した後に、このパターンに光を照射することで、パターンの形状を固定させるためである。
【0022】
また、吐出装置16は、ステージ12上の基板Wの上側で、上述の吐出ユニット3、4を支持する第1支持機構5を備える。なお、後述するように吐出装置16は第1支持機構5の他に第2支持機構6(図2、図3)を備えているが、図1では第2支持機構6の記載は省略されている。
【0023】
第1支持機構5は、ガントリ51と、ガントリ51の上側に取り付けられた直動ガイド52と、直動ガイド52のスライドテーブル521に取り付けられた2つの屈曲部材522、523とを有する。ガントリ51は、ステージ14のY軸方向への移動経路をX軸方向から挟みつつX軸方向に平行に並ぶ2本の柱511、512と、これらの柱511、512に上側から架設されたX軸方向に平行な梁513とで構成されている(つまり、ガントリ51は、ステージ14のY軸方向への移動経路をX軸方向から跨いで配置されている)。そして、ガントリ51の梁513の上面に直動ガイド52が取り付けられている。この直動ガイド52のスライドテーブル521は、直動ガイド52のX軸方向の端に設けられたモーターM52から図示しないボールネジ機構を介して駆動力を受けて、直動ガイド52の上側でX軸方向に移動自在となっている。
【0024】
スライドテーブル521の上面には、平板を90度に屈曲させた同一構成の2つの屈曲部材522、523(図3)がX軸方向に並んで、取り付けられている。そして、屈曲部材522を介して垂直ベース53がスライドテーブル521に取り付けられるとともに、屈曲部材523を介して垂直ベース54がスライドテーブル521取り付けられる。これら垂直ベース53、54はいずれも、鉛直方向に延びる平板形状を有するとともに、ZX平面に平行に(換言すればY軸方向に直交して)に配置されている。そして、垂直ベース53、54それぞれは、その上部で屈曲部材523、523にねじ止めされるとともに、梁513のY軸負方向の側面側を通過して、梁513の下側まで延設されている。こうして、垂直ベース53、54は、梁513の片側(Y軸負方向側)に配置されるとともに、X軸方向へ移動自在な状態で梁513によって支持されている。
【0025】
そして、梁513の下側に突出した垂直ベース53の下部に吐出ユニット3が取り付けられるとともに、同様にして垂直ベース54の下部に吐出ユニット4が取り付けられる。したがって、吐出ユニット3、4は、垂直ベース53、54と一体的にX軸方向に移動自在となっている。
【0026】
吐出ユニット3は、フィンガー電極を形成するために塗布液を基板Wに吐出するものであり、Z軸方向に対してY軸方向に傾いて支持されている。したがって、吐出ユニット3の吐出方向は、Z軸方向に対してY軸方向に傾いている。一方、吐出ユニット4は、バス電極を形成するために塗布液を基板Wに吐出するものであり、Z軸方向に対して平行に支持されている。したがって、吐出ユニット4の吐出方向は、Z軸負方向に平行である。なお、吐出ユニット4の支持態様については、吐出ユニット3と同様にZ軸方向に対してY軸方向に傾けて支持するように適宜変更可能である。
【0027】
なお、吐出ユニット3、4のそれぞれは、その下端に備えた吐出ノズル31、41から基板Wへ塗布液を吐出する。より詳しくは、各吐出ノズル31、41はその先端部分で開口する吐出孔から塗布液を吐出する。この際、吐出ユニット3、4は吐出ノズル31、41を着脱自在に具備しており、それぞれの目的に応じて必要な個数の吐出孔を具備する吐出ノズル31、41を取り付けてパターン形成に用いることができる。したがって、形成すべきフィンガー電極の本数と同数の吐出孔がX軸方向に並ぶ吐出ノズル31を取り付けておけば、吐出ノズル31の各吐出孔から塗布液を同時に吐出させつつ、ステージ14をY軸方向に移動させることで、全てのフィンガー電極を基板Wに同時に形成できる。また、バス電極についても同様にして形成することができる。
【0028】
より詳しくは、次のようにして各電極が基板Wに対して形成される。まず、吐出ユニット3、4に対してY軸負方向側の移動開始位置にステージ14が位置するとともに、ステージ14のY軸方向への移動経路の上側にバス用の吐出ユニット4が移動する。この状態から、ステージ14がY軸正方向へ移動を開始すると、バス用の吐出ユニット4が下側を通過する基板Wに対して塗布液を吐出して、基板Wに所定数のバス電極が形成される。このバス電極の形成が完了すると、ステージ14はY軸負方向へ移動して先程の移動開始位置に戻りながら、θ軸方向に90度回転する。また、ステージ14のこれらの動作と並行して、フィンガー用の吐出ユニット3がステージ14のY軸方向への移動経路の上側に移動する。これらの動作の完了に続いて、ステージ14がY軸正方向へ移動を開始すると、フィンガー用の吐出ユニット3が下側を通過する基板Wに対して塗布液を吐出して、基板Wに所定数のフィンガー電極が形成される。こうして、基板Wには、所定数のバス電極とこれらに直交する所定数のフィンガー電極が形成される。このように、この実施形態では、ステージ14を移動させることで、吐出ユニット3、4をステージ4に対して相対的に移動させて、基板Wにパターンを形成する。
【0029】
以上が図1に示したパターン形成装置1の構成および動作の概略である。ところで、上述のパターン形成装置1に用いられる吐出装置16は、第1支持機構5の他に第2支持機構6を備える。この第2支持機構6は主として、フィンガー用の吐出ユニット3が取り付けられた垂直ベース53を支持する機能を果たす。続いては、このような吐出装置16の構成の詳細について、フィンガー用の吐出ユニット3とこれを支持するための構成を中心に説明する。
【0030】
図2は、吐出装置の全体構成を部分的に示す斜視図である。図3は、吐出装置の全体構成を部分的に示す側面図である。図4は、吐出装置の全体構成を部分的に示す平面図である。これらの図では、バス用の吐出ユニット4が垂直ベース54と一緒に屈曲部材523から取り外された状態が示されている。また、図3、図4では、他の部材に隠れる部分が破線で適宜示されている。
【0031】
上述のとおり、吐出装置16では、ガントリ51の梁513の上側に直動ガイド52が配置されており、フィンガー用の吐出ユニット3を支持する垂直ベース53は、この直動ガイド52のスライドテーブル521に屈曲部材522を介して取り付けられている。この屈曲部材522は、直角に屈曲された形状を具備しており、スライドテーブル521の上面にねじ止めされた水平部分522aと、この水平部分のY軸負方向の端から鉛直下方に延設された垂直部分522bとで構成されている。この垂直部分522bのY軸負方向の側面は、梁513のY軸負方向の側面に対して面一もしくはY軸負方向側にやや突出している。
【0032】
そして、屈曲部材522が有する垂直部分522bのY軸負方向の側面に、垂直ベース53のY軸正方向の側面が取り付けられる。こうして、垂直ベース53は、屈曲部材522および直動ガイド52を介してY軸正方向側からガントリ51(の梁513)によって支持される。上述の通り、この垂直ベース53は、鉛直方向に延びる平板形状を有しており、その上部で屈曲部材522にねじ止めされるとともに、梁513のY軸負方向の側面側を通過して、梁513の下側まで延設されている。これによって、垂直ベース53は、梁513の片側(Y軸負方向側)に配置されるとともに、X軸方向へ移動自在な状態で梁513によって支持されている。
【0033】
そして、垂直ベース53の下部に吐出ユニット3が取り付けられている。この吐出ユニット3は、Z軸方向に対してY軸正方向へその下端が傾いて取り付けられている。したがって、吐出ユニット3が塗布液を吐出する吐出方向D3は、X軸方向に直交するとともに、Z軸方向に対してY軸正方向に角度α(0°<α<90°)だけ傾いている(換言すれば、吐出方向D3はY軸正方向側を向いている)。
【0034】
また、垂直ベース53の中央部には、突出部材531が取り付けられている。この突出部材531は平板を直角に屈曲させたものであり、突出部材531の屈曲部分から一方が垂直ベース53のY軸負方向の側面にねじ止めされるとともに、突出部材531の屈曲部分から他方が垂直ベース53のY軸負方向の側面から突出している。このようにして、垂直ベース53の側面からY軸負方向に突出した突出部材531には、棒状の相対固定部材55の一端が取り付けられている。そして、この相対固定部材55を介して垂直ベース53が第2支持機構6により支持される。
【0035】
第2支持機構6は、Y軸方向において垂直ベース53に対して第1支持機構5の反対側に設けられている。第2支持機構6は、ガントリ61と、ガントリ61の側面に取り付けられた直動ガイド62と、直動ガイド62のスライドテーブル621に取り付けられた突出部材631とを有する。ガントリ61は、X軸方向に平行に並ぶ2本の柱611、612と、これらの柱611、612に上側から架設されたX軸方向に平行な梁613と、柱611、612の間で梁613を支える柱614で構成されている。なお、ガントリ61はガントリ51よりも背が高く、梁613は梁513よりも高い位置に支持されている。そして、梁613のY軸正方向の側面に直動ガイド62が取り付けられている。この直動ガイド62のスライドテーブル621の移動方向は、直動ガイド52のスライドテーブル521の移動方向と平行であり、スライドテーブル621はX軸方向に移動自在である。
【0036】
スライドテーブル621の表面(Y軸正方向を向く面)には、突出部材631が取り付けられている。この突出部材631は平板を直角に屈曲させたものであり、突出部材631の屈曲部分から一方がスライドテーブル621の表面にねじ止めされるとともに、突出部材631の屈曲部分から他方がスライドテーブル621の表面から突出している。このようにして、スライドテーブル621の表面からY軸正方向に突出した突出部材631に、上述の相対固定部材55の他端が取り付けられている。こうして、第2支持機構6は、垂直ベース53を支持する梁513の反対側から、相対固定部材55を介して垂直ベース53を支持する。しかも、第2支持機構6は、直動ガイド62を介して相対固定部材55を支持しており、すなわち、垂直ベース53の移動に伴ってX軸方向に移動自在に相対固定部材55を支持している。
【0037】
この際、上述のとおり、梁613は梁513よりも高い位置に支持されているため、相対固定部材55は、Z軸方向に対してY軸方向にその下端が傾いて支持されている(すなわち、相対固定部材55は、その下端がその上端よりY軸正方向に位置するように傾いて支持されている。これによって、相対固定部材55は、吐出ユニット3の吐出方向D3と平行となっている。なお、相対固定部材55は、X軸方向に対しては直交している。
【0038】
このように、垂直ベース53および相対固定部材55をX軸方向に移動自在に支持した構成では、これらのスムーズな移動を実現するために、梁513、613を平行に保った状態で、ガントリ51、61を互いに位置決めすることが好適となる。そこで、X軸方向の両端それぞれには、Y軸方向に平行な棒状の連結部材71、72が設けられており、各連結部材71、72によってガントリ51、61が相互に連結されて位置決めされる。具体的には、連結部材71、72の一端がガントリ51の梁513にねじ止めされるとともに、連結部材71、72の他端がガントリ61の柱611、612にねじ止めされる。また、連結部材71、72を梁513、柱611、612にねじ止めする位置はY軸方向に調整可能である。したがって、このねじ止めの位置を調整することで、梁513、613を平行に調整することが可能となっている。
【0039】
以上が吐出装置16の全体構成の概略である。続いて、吐出装置16が備える吐出ユニット3とその周囲の構成の詳細について説明する。図5は、フィンガー用の吐出ユニットとその周りの構成を部分的に示す斜視図である。図6は、フィンガー用の吐出ユニットとその周りの構成を部分的に示す側面図である。
【0040】
垂直ベース53の下部には、Y軸方向に貫通する略長方形状の貫通孔532が設けられている。また、垂直ベース53のY軸正方向の側面において、貫通孔532のX軸方向の両側(両横)それぞれには、サイドプレート81が設けられている。これらサイドプレート81は、Z軸方向に平行な平板形状を有しており、垂直ベース53のY軸正方向の側面からY軸正方向に延設されている。そして、Y軸正方向側から貫通孔532に対向する平板状の微調ステージベース82が、これら2つのサイドプレート81に架設されて取り付けられている。こうして、微調ステージベース82が、垂直ベース53に対してY軸正方向に間隔を空けて、垂直ベース53の貫通孔532に対向する。
【0041】
そして、微調ステージ9が、貫通孔532を介してこの垂直ベース53と微調ステージベース82の間に挿入されて、微調ステージベース82に取り付けられている。この微調ステージ9は、テーブル91と、このテーブル91をZ軸方向に昇降させるとともにY軸方向を中心に回転させる駆動機構92とを有する。そして、駆動機構92が微調ステージベース82に取り付けられる一方、テーブル91は、垂直ベース53のY軸負方向の側面よりY軸負方向に表面を若干突出させて配置されている。そして、貫通孔532を介してY軸負方向に突出するテーブル91のこの表面にL字プレート83が取り付けられている。
【0042】
このL字プレート83は、テーブル91の表面に取り付けられる取付部分83aと、取付部分83aのX軸負方向の端からY軸負方向へと延設された延設部分83bとを有している。そして、この延設部分83bのX軸正方向の側面には、直方体形状の吐出ユニットベース84が取り付けられている。さらに、この吐出ユニットベース84の上面にモーターM3が取り付けられるとともに、吐出ユニットベース84のX軸正方向の側面に吐出ユニット3が取り付けられている。
【0043】
吐出ユニット3はシリンジポンプ型のものであり、円筒形状のシリンジ32の下端部分に吐出ノズル31を取り付けるとともに、シリンジ32内にピストン33を挿入した概略構成を具備する。さらに、吐出ユニット3は、シリンジ32を吐出ユニットベース84に固定するための固定部材34と、吐出ユニットベース84に内蔵されるボールねじ機構を介してモーターM3からの駆動力を受けてピストン33をシリンジ32に押し込む可動部材35とを備える。したがって、モーターM3を動作させることで、シリンジ32内の塗布液を吐出ノズル31から吐出することができる。そして、既に上述したとおりであるが、吐出ユニット3は、Z軸方向に対してY軸方向へ傾いて取り付けられており、吐出ユニット3が塗布液を吐出する吐出方向D3は、Z軸方向に対してY軸正方向に角度αだけ傾いている(換言すれば、吐出方向D3はY軸正方向側を向いている)。
【0044】
以上説明したように、この実施形態にかかるパターン形成装置1は、吐出ユニット3、4を移動自在に支持する吐出装置16を用いてパターンを形成するものであった。ところで、この吐出装置16のように、移動自在である垂直ベース53、54に吐出ユニット3、4を支持した構成では、塗布液の吐出時に発生する反力に抗して垂直ベース53、54が吐出ユニット3、4を強固に支持できず、その結果、吐出ユニット3、4が振動して、塗布液の吐出対象である基板W上で塗布液の塗布位置がずれてしまう場合があった。このような位置ずれは、要求される位置精度の低いバス電極を形成する際には問題にならずとも、高い位置精度が要求されるフィンガー電極を形成する際には問題となる場合があった。そこで、この吐出装置16は、次に説明するような構成を備えている。
【0045】
つまり、上記吐出装置16では、垂直ベース53は、梁513の片側に配置されて、梁513に対して移動自在な状態で梁513により支持されており、この垂直ベース53に吐出ユニット3が取り付けられている。こうして、吐出ユニット3が取り付けられた垂直ベース53を梁513により支持した上で、上記吐出装置16は、垂直ベース53に対して梁513の反対側に配置された第2支持機構6により、垂直ベース53をさらに支持する構成を備える。つまり、垂直ベース53には梁513の反対側から相対固定部材55が接続されており、第2支持機構6はこの相対固定部材55を支持することで、相対固定部材55を介して梁513の反対側から垂直ベース53を支持している。しかも、第2支持機構6は、垂直ベース53の移動に伴って移動自在に相対固定部材55を支持している。したがって、垂直ベース53は、その移動を妨げられること無く相対固定部材55を介して第2支持機構6により支持される。
【0046】
このように、垂直ベース53は、梁513により支持されるのみならず、梁513の反対側から第2支持機構6によっても支持されている。こうして、両側に配置された梁513と第2支持機構6で垂直ベース53を強固に支持することが可能となり、その結果、垂直ベース53に取り付けられた吐出ユニット3を吐出時に発生する反力に抗してしっかりと支持することができる。よって、塗布液の吐出時に発生する反力に起因した吐出ユニット3の振動を抑制することが可能となる。
【0047】
また、この実施形態では、吐出ユニット3が塗布液を吐出する吐出方向D3は、垂直ベース53から梁513側に向かう水平方向(Y軸正方向)へ傾いている。このような構成では、吐出液の吐出時には、梁513の反対側へ向く反力(つまり、Y軸負方向へ向く反力)が垂直ベース53に働く。これに対して、この実施形態では、梁513の反対側から垂直ベース53を支持する構成(第2支持機構6や相対固定部材55)が設けられているため、この垂直ベース53への反力に抗する抗力を垂直ベース53に効率的に加えることができ、吐出ユニット3の振動を効果的に抑制することが可能となる。
【0048】
しかも、この実施形態では、相対固定部材55は棒状の部材であり、第2支持機構6は、吐出ユニット3の吐出方向D3に対して平行に相対固定部材55を支持している。このように棒状の相対固定部材55を吐出ユニット3の吐出方向D3へ平行に支持することで、吐出液の吐出時に垂直ベース53に働く反力に抗する抗力をより効率的に垂直ベース53へ加えることができ、吐出ユニット3の振動をより効果的に抑制することが可能となる。
【0049】
なお、上述のように、直動ガイド52の下側で吐出ユニット3が塗布液を吐出する構成では、垂直ベース53が直動ガイド52に対して移動することで巻き起こる塵等が落下して、吐出ユニット3が塗布液を吐出する対象物(基板W)に付着するおそれがある。これに対して、この実施形態では、直動ガイド52は、梁513の上面に配置されているため、吐出対象物(基板W)への塵等の付着を抑制することができる。
【0050】
このように、この実施形態では、吐出装置16が本発明の「吐出装置」に相当し、パターン形成装置1が本発明の「パターン形成装置」に相当し、梁513が本発明の「第1支持部材」に相当し、垂直ベース53が本発明の「第1可動部材」に相当し、第1支持機構5が本発明の「第1支持機構」に相当し、吐出ユニット3が本発明の「吐出ヘッド」に相当し、相対固定部材55が本発明の「接続部材」に相当し、第2支持機構6が本発明の「第2支持機構」に相当し、梁613が本発明の「第2支持部材」に相当し、突出部材631が本発明の「第2可動部材」に相当し、直動ガイド52が本発明の「ガイド部材」に相当し、ステージ14が本発明の「支持手段」に相当している。
【0051】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、形成すべきフィンガー電極の本数と同数の吐出孔を備えた吐出ノズル31を取り付けておき、全てのフィンガー電極を基板Wに同時形成していた。しかしながら、例えば、形成すべきフィンガー電極の本数に対して1/n個の吐出孔をX軸方向に並べた吐出ノズル31を取り付けておき、ステージ14を移動させつつ吐出ノズル31から塗布液を吐出する動作をn回繰り返して、フィンガー電極を基板Wに形成しても良い。
【0052】
具体的には、m本のフィンガー電極を形成する場合には、次のようにすれば良い。まず、ステージ14を移動開始位置からY軸正方向に移動をさせつつフィンガー用の吐出ユニット3の各吐出孔から塗布液を吐出して、(m/n)本のフィンガー電極を基板Wに形成する。続いて、ステージ14を移動開始位置に戻すとともに、フィンガー用の吐出ユニット3をX軸方向に移動させる。そして、再び、ステージ14を移動開始位置からY軸正方向に移動をさせつつフィンガー用の吐出ユニット3の各吐出孔から塗布液を吐出して、(m/n)本のフィンガー電極を基板Wに形成する。こうして、先に形成された(m/n)本のフィンガー電極に対してX軸方向に隣接して、新たに(m/n)本のフィンガー電極を形成することができる。そして、(m/n)本ずつフィンガー電極を形成するこのような動作をn回繰り返すことで、m本のフィンガー電極を基板Wに形成することができる。なお、バス電極についても同様にして形成方法の変更が可能である。
【0053】
ところで、上記実施形態では、複数(フィンガー電極の個数mと同数あるいは1/n個)の吐出孔を備える吐出ノズル31の各吐出孔から同時に吐出液を吐出することで、ステージ14をY軸正方向に1回移動させる毎に、複数のフィンガー電極を基板Wに形成していた。しかしながら、例えば、吐出孔を1個のみ具備する吐出ノズル31をX軸方向に複数並べて吐出ユニット3に取り付けておいて、各吐出ノズル31から塗布液を吐出するように構成しても良い。この構成によっても、ステージ14をY軸正方向に1回移動させる毎に、複数のフィンガー電極を基板Wに形成することができる。なお、同様の変形は、バス用の吐出ユニット4に対しても適用可能である。
【0054】
また、当然のことながら、吐出孔を1個のみ具備する吐出ノズル31を1つだけ吐出ユニット3に取り付けた構成によっても、必要な本数のフィンガー電極を基板Wに形成することが可能である。この場合、ステージ14をY軸正方向に移動させながら吐出ノズル31の吐出孔から塗布液を吐出する動作を、形成すべきフィンガー電極の個数だけ実行すれば良い。これについても、同様の変形をバス用の吐出ユニット4に対しても適用可能である。
【0055】
また、垂直ベース53に、Z軸方向への基板までの距離を検出するレーザーセンサーを取り付けておき、この検出結果に基づいて微調ステージ9によって吐出ユニット3を昇降させて、吐出ユニット3の高さを調整するような構成を備えても良い。この際、基板Wの複数点からの距離を検出することが好適である。そこで、基板Wを支持するステージ14をY軸方向に移動させつつ、垂直ベース53に取り付けられたレーザーセンサーをX軸方向に移動させて、基板Wの複数点からの距離を検出しても良い。
【0056】
また、梁513による垂直ベース53の具体的な支持態様、垂直ベース53への吐出ユニット3の取付態様等についても種々の変更が適宜可能である。さらには、直動ガイド52、62の梁513、613への取付位置、相対固定部材55の形状、あるいは相対固定部材55の支持態様等についても種々の変更が適宜可能である。
【0057】
また、上記実施形態では、ステージ14をY軸方向に移動させつつ吐出ユニット3、4から塗布液を吐出して、基板Wにパターンを形成していた。しかしながら、ステージ14を固定した状態で、吐出ユニット3、4をY軸方向に移動させつつ吐出ユニット3、4から塗布液を吐出することで、基板Wにパターンを形成するように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
この発明は、基板上のパターン、例えば太陽電池基板上の電極配線パターンを形成する装置に適用可能であり、特に、吐出ユニットから塗布液と吐出して配線パターンを形成する場合に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…パターン形成装置
12…基台
14…ステージ
16…吐出装置
3…吐出ユニット
31…吐出ノズル
4…吐出ユニット
5…第1支持機構
51…ガントリ
513…梁
52…直動ガイド
53…垂直ベース
532…貫通孔
54…垂直ベース
55…相対固定部材
61…ガントリ
613…梁
81…サイドプレート
82…微調ステージベース
83…L字プレート
9…微調ステージ
D3…吐出方向
W…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支持部材と、前記第1支持部材の片側に配置されて前記第1支持部材に対して移動自在な状態で前記第1支持部材に支持される第1可動部材とを有する第1支持機構と、
前記第1可動部材に取り付けられて、パターンを形成するための材料を含む塗布液を吐出する吐出ヘッドと、
前記第1支持部材の反対側から前記第1可動部材に接続された接続部材と、
前記第1可動部材に対して前記第1支持部材の反対側に配置されており、前記第1可動部材の移動に伴って移動自在に前記接続部材を支持することで、前記接続部材を介して前記第1支持部材の反対側から前記第1可動部材を支持する第2支持機構と
を備えたことを特徴とする吐出装置。
【請求項2】
前記第2支持機構は、第2支持部材、および前記第2支持部材に対して移動自在な状態で前記第2支持部材により支持された第2可動部材を有し、前記接続部材は、前記第2可動部材に取り付けられて、前記第1可動部材の移動に伴って前記第2可動部材と一緒に移動自在となっている請求項1に記載の吐出装置。
【請求項3】
前記吐出ヘッドが前記塗布液を吐出する吐出方向は、前記第1可動部材から前記第1支持部材側に向かう水平方向へ傾いている請求項1または2に記載の吐出装置。
【請求項4】
前記接続部材は棒状の部材であり、前記第2支持機構は、前記吐出ヘッドの前記吐出方向に対して平行に前記接続部材を支持する請求項3に記載の吐出装置。
【請求項5】
前記第1可動部材が移動する方向は、前記吐出方向に直交する水平方向である請求項3または4に記載の吐出装置。
【請求項6】
前記第1支持機構は、前記第1支持部材に取り付けられて前記第1可動部材の移動を案内するガイド部材を有し、前記第1可動部材は、前記ガイド部材を介して前記第1支持部材に移動自在に支持されている請求項1ないし5のいずれか一項に記載の吐出装置。
【請求項7】
前記吐出ヘッドは、前記ガイド部材の下側で前記塗布液を吐出する請求項6に記載の吐出装置において、前記ガイド部材は、前記第1支持部材の上面に配置されている吐出装置。
【請求項8】
基板を支持する支持手段と、
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の吐出装置と
を備え、
前記吐出装置が備える前記吐出ヘッドを前記支持手段に対して相対的に移動させながら、前記吐出ヘッドから前記基板に塗布液を吐出して、前記基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−27829(P2013−27829A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166722(P2011−166722)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】