説明

吐水装置

【課題】誤検知を防止して、確実に止水しまたは吐水を継続することができる吐水装置を
提供する。
【解決手段】 吐水部と、放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、前記センサ部からの検知信号に基づいて前記吐水部からの吐水を制御する制御部と、記憶手段と、を備え、前記センサ部から放射される電波の少なくとも一部は、前記吐水部から吐水される吐水流に当たるように配置され、前記制御部は、前記センサ部からの検知信号の所定の周波数帯における強度と、所定の閾値と、の関係を調べることにより、前記吐水流の状態を判定し、前記吐水部からの吐止水を制御することを特徴とする吐水装置。が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水装置に関し、より具体的には、手洗い場やトイレ、キッチンなどに設け
られ、マイクロ波などの電波センサを用いて吐水流の止水を制御する吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体を検知して自動的に吐水を制御する吐水装置としては、人体や人の手を被検知体と
して、その被検知体からの反射電波の強度をもとに被検知体の有無を検知し、被検知体を
検知しなくなったら、止水をする吐水装置がある。
【0003】
マイクロ波などの送信波が被検知体に当たると反射波あるいは透過波を生じる。この反
射波あるいは透過波を受信することにより、人体などの被検知体を検知することができ、
水栓装置などに使用できる。
【0004】
放射したマイクロ波の人体からの反射波を受信して、そのドップラー周波数信号のパワ
ースペクトルを求め、そのピーク値と所定の閾値とを比較することにより、人体を検知す
る人体検知装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−80150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、被検知体(人体や人の手)からの反射波に基づいて判断する場合、手を吐水流
から抜き、人体が水栓装置から離れても、吐水流のみを被検知体として誤検知して、吐水
が止まらないことがありうる。また、吐水の使用中に、人の手などからの反射強度が弱く
なると止水してしまうこともありうる。
【0006】
本発明は、誤検知を防止して、確実に止水しまたは吐水を継続することができる吐水装
置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】

【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、 吐水部と、放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、前記センサ部からの検知信号に基づいて前記吐水部からの吐水を制御する制御部と、記憶手段と、を備え、前記センサ部から放射される電波の少なくとも一部は、前記吐水部から吐水される吐水流に当たるように配置され、
前記制御部は、前記センサ部からの検知信号の所定の周波数帯における強度と、所定の閾値と、の関係を調べることにより、前記吐水流の状態を判定し、前記吐水部からの吐止水を制御することを特徴とする吐水装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、誤検知を防止して、確実に止水しまたは吐水を継続することができる
吐水装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の吐水装置の構成を表す図であり、(a)は上面図
、(b)は側断面図である。この吐水装置は、センサ部100と、制御部200と、を備
えている。図1に表した具体例の場合、センサ部100と制御部200は、給水ホース1
0、吐水口(スパウト)30、陶器製の受水部40などとともに、水栓装置を構成してい
る。なお、以降の各図面については、既出の図面に関して説明したものと同様の要素には
同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0011】
センサ部100は、マイクロ波あるいはミリ波などの高周波の電波を放射(送信)し、
放射した電波の被検知体からの反射波を受信して、被検知体の有無や状態を検知し、その
検知信号を出力する高周波センサである。
【0012】
図2及び図3は、センサ部100と制御部200の2つの具体例のブロック図である。
センサ部100には、アンテナ112、送信部114、受信部116、ミキサ部118
が設けられている。送信部114に接続されたアンテナ112からは、高周波、マイクロ
波あるはミリ波などの10kHz〜100GHzの周波数帯の電波が放射される。具体的
には、アンテナ112からは、例えば10.525GHzの周波数を有する送信波T1が
放射される。人体などの被検知体からの反射波または透過波T2は、アンテナ112を経
由して受信部116に入力される。ここで、アンテナは、図2に表したように送信側と受
信側とを共通としてもよく、または、図3に表したように、送信部114にはアンテナ1
12aを接続し、受信部116にはアンテナ112bを接続してもよい。
送信波の一部と受信波とは、ミキサ部118にそれぞれ入力されて合成され、例えばド
ップラー効果が反映された出力信号が出力される。ミキサ部118から出力された検出信
号は、制御部200に出力される。制御部200には、フィルタ210、周波数検出部2
20、判定部230、記憶手段240、バルブ250が設けられている。ミキサ部118
から出力された検出信号は、まずフィルタ210において高周波数成分が取り除かれる。
この際のフィルタリング周波数は、例えば200Hzとすることができる。なお、後に詳
述するように、本実施形態においては、フィルタ210は設けなくてもよい。
【0013】
ミキサ部118から出力された検出信号は、周波数の低いベースラインに周波数の高い
信号が重畳した波形を有する。高周波数成分には、ドップラー効果に関する情報が含まれ
る。すなわち、人体や水などの被検知体が移動すると、ドップラー効果によって反射波の
波長がシフトする。ドップラー周波数ΔF(Hz)は、下記の式(1)により表すことが
できる。

ΔF=Fs−Fb=2×Fs×v/c 式(1)

但し、Fs:送信周波数(Hz)
Fb:反射周波数(Hz)
v:物体の移動速度(m/s)
c:光速(=300×106m/s)

センサ部100に対して被検知体が相対的に移動すると、式(1)で表されるように、
その速度vに比例した周波数ΔFを含む出力信号が得られる。出力信号は周波数スペクト
ラムを有し、スペクトラムのピークに対応するピーク周波数と移動体の速度vとの間には
相関関係がある。従って、ドップラー周波数ΔFを測定することにより速度vを求めるこ
とができる。なお、日本においては、人体を検知する目的には10.50〜10.55G
Hzまたは24.05〜24.25GHzの周波数が使用できる。
【0014】
本実施形態においては、センサ部100は、放射される電波の少なくとも一部が、吐水
口30からの吐水流に当たるように受水部40に設置されている。つまり、センサ部10
0は、吐水口30からの吐水流に電波を照射し、吐水流により反射された電波を受信可能
とされている。
【0015】
一方、制御部200は、吐水口30から吐水される吐水流の乱れ(または状態)をセン
サ部100からの検知信号に基づいて検知し、吐水流の乱れ(または状態)が所定の範囲
内になると、吐水口30からの吐水を停止させる。すなわち、判定部230は、記憶手段
240に格納された所定の閾値と、検知信号と、を比較し、その結果に基づいてバルブ2
50を開閉する。なお、吐水流の流量は、図示しない定量弁によって一定流量とされてい
る。
【0016】
図4は、センサ部100の電波の最大指向方向と吐水流の接線方向とのなす角θを説明
する模式図である。
また、図5は、吐水流の接線とセンサ部100の最大指向方向とのなす角θに対する検
知信号の中域の周波数側成分の電圧特性を例示するグラフ図である。
【0017】
吐水口30からの吐水流については、検知信号の全周波数帯域を0〜100Hzとした
場合、50Hz以上の中域の周波数側の成分も多く含まれる。この検知信号においての中
域の周波数側成分の電圧値は、図5に表したように、吐水流の流れ(接線方向)に対して
、電波の最大指向方向が略直交するときに小さくなる。より具体的には、θが約80°〜
約120°であるときに小さくなる。これは、吐水の流れ方向に対して電波の進行方向が
直交する方向に近づくために、ドップラー効果が表れにくくなるからである。
従って、センサ部100から放射される電波の最大指向方向と、吐水部から吐水される
吐水流と、が略直交をなすようにセンサ部100を配置することによって、吐水流が乱さ
れていない時(吐水しているだけの時)の検知信号においての中域の周波数側成分を極力
小さくして検知することができる。なお、センサ部100の指向方向範囲は、例えば、上
記最大指向方向に対して上下左右にそれぞれ35°〜40°の範囲内とすることができる

【0018】
一方、吐水流が乱された場合、例えば、吐水流が人の手に当たって飛散した水は色々な
方向に飛散し、センサ部100に対して、接近または離遠する方向にも飛散する。この場
合には、上記のように最大指向方向が吐水流と略直交をなすようにセンサ部100を配置
しても、低周波側成分のみならず、吐水流の乱れに対応して中域の周波数側成分の検知信
号が得られる。
【0019】
吐水流の方向と電波の最大放射方向とが略直交でない場合には、吐水流のみの検知信号
と、吐水流が人の手などにあたっている状態の検知信号と、の差異は小さくなる傾向があ
る。これに対して、吐水流の方向と電波の最大放射方向とを略直交とすることにより、吐
水流のみの検知信号においては中域の周波数側成分が表れず、吐水流に手などがあたって
乱れが生じている場合には検知信号に中域の周波数側成分が表れる。つまり、吐水流のみ
の検知信号と、吐水流が手などにより乱されている時の検知信号と、に明確な差異が生ず
る。このため、吐水流に手などがあたっている時には吐水を継続し、吐水流のみの検知信
号が得られたら止水する、というような制御が可能となる。
【0020】
図6は、吐水中のみの場合と吐水を使用中の場合の水栓装置を表す模式図であり、(a
)は吐水が使用されていない場合(吐水しているだけの時)、(b)は吐水が使用されて
いる例として人が手を洗っている場合(吐水流が乱されている場合)、(c)はコップ5
00に水溜めしている場合、をそれぞれ表す。
【0021】
図7は、図6(a)〜(c)に表したそれぞれの場合において、センサ部100から得
られる検知信号のレベルを例示するグラフ図である。すなわち、同図の縦軸は、センサ部
100から得られる検知信号の電圧値を表し、横軸は時間を表す。
図7に表したように、吐水流に手が当たった状態では基準値を中心とした検知信号の振
幅は大きく、これに対して、吐水部から吐水しているだけの時の水流状態(吐水流のみ)
の検知信号の振幅は小さい。そして、吐水をコップなどに水溜めしている状態での検知信
号の振幅は、さらに小さくなる。
後に詳述するように、吐水流のみの検知信号のパワースペクトルでは、例えば、20H
z〜30Hzの周波数帯域に振幅の最大のピークを有する。これに対して、手洗い時(吐
水が人の手に当たっている場合)の検知信号のパワースペクトルでは、例えば0〜30H
zの周波数帯域に非常に大きな振幅のピークが複数あり、40Hz〜50Hzの周波数帯
域にも振幅のピークができる。これは、吐水流が手などに当たって流れが乱れたり、周囲
に飛散することにより生じたものである。また、図6(c)に表したように水溜め時(コ
ップに水溜めをした場合)の検知信号のパワースペクトルでは、0〜10Hzの周波数帯
域に振幅の最大のピークを有し、30Hz以上の周波数帯域にはパワースペクトルがほと
んど現れない。これは、コップ内で水が落ち着き、その水がゆっくり揺れるような動きを
するため、ピークが消滅したように見えるのである。
【0022】
そして、図7に表したように、検知信号を特定の周波数に限定しなくとも、吐水流に手
が当たった状態では検知信号のレベルは大きく、これに対して、吐水部から吐水している
だけの時の水流状態(吐水流のみ)の検知信号のレベルは小さい。そして、吐水をコップ
などに水溜めしている状態での検知信号のレベルは、さらに小さくなる。
従って、図7に例示した如く、これらの検知信号のレベル(振幅)の間に、第1の閾値
と第2閾値とを適宜決定することにより、吐止水の制御が可能である。つまり、第1の閾
値として、吐水しているだけの時の水流状態における検知信号の振幅よりも大きい値を設
定し、第2の閾値として、吐水しているだけの時の水流状態における検知信号の振幅より
も小さい値を設定する。なお、図7においては、基準値を中心に振動する検知信号の基準
値からみた片側のみを表し、また振幅として設定される第1の閾値と第2の閾値について
も、これらの上限値のみを表した。
【0023】
図8は、第1の閾値に基づいて止水制御するフローチャートである。
センサ部100から検知信号を取得し(ステップS1)、その振幅を記憶手段240に
格納された第1の閾値と比較する(ステップS30)。本実施形態においては、検知信号
は必ずしも特定の周波数帯にフィルタリングされたものである必要はない。そして、検知
信号の振幅が第1の閾値よりも大きい場合(ステップS32:YES)には、吐水流が手
などに当たっている状態であるので、吐水を継続し、検知信号の取得と比較とを繰り返す

一方、検知信号の振幅が第1の閾値以下となった場合(ステップS32:NO)は、吐
水流が手などに当たった状態ではないので、止水する(ステップS4)。このように、セ
ンサ部100から得られる検知信号を特定の周波数帯にフィルタリングしなくても、吐止
水の制御が可能である。
【0024】
図9は、第2の閾値に基づいて吐水制御するフローチャートである。
本具体例においても、検知信号を取得し(ステップS1)、その振幅を記憶手段240
に格納された第2の閾値と比較する(ステップS40)。本具体例においても、検知信号
は必ずしも特定の周波数帯にフィルタリングされたものである必要はない。そして、検知
信号の振幅が第2の閾値よりも小さい場合(ステップS42:YES)には、コップなど
による水溜めが実行されている状態であるので、吐水を継続し、検知信号の取得と比較と
を繰り返す。
一方、検知信号の振幅が第2の閾値以上となった場合(ステップS42:NO)は、コ
ップなどが取り払われ、吐水流のみの状態であるので、吐水する(ステップS4)。本具
体例においても、検知信号を特定の周波数帯にフィルタリングしなくても、吐止水の制御
が可能である。
【0025】
図10は、第1の閾値と第2の閾値の両方を考慮した吐止水の制御を説明するためのグ
ラフ図である。なお、図10においても、基準値を中心として振動する検知信号について
、基準値の片側のみを表し、また基準値を中心とした振幅として設定される第1の閾値及
び第2の閾値についても、それらの上端値のみを表した。
例えば、吐水流に手などが当たった状態から、手などが取り払われて吐水流のみの状態
に遷移した場合には、図10に太実線で表したように、検知信号の振幅は第1の閾値より
も大きなレベルから、第1の閾値と第2の閾値との間のレベルへ、と変化する。なお、こ
の場合の検知信号も、特定の周波数帯にフィルタリングしたものである必要は必ずしもな
い。一方、吐水流をコップなどに水溜めしている状態から、コップなどを取り払って吐水
流のみの状態に遷移した場合には、図10に細実線で表したように、検知信号の振幅は、
第2の閾値よりも小さいレベルから、第1の閾値と第2の閾値との間のレベルへ、と変化
する。
なお、検知信号の振幅は時間の経過に対して離散的に生ずるが、図10および図11に
おいては、振幅の時間変化を便宜的に連続的な曲線により表す。
【0026】
従って、これらいずれの場合も、検知信号の振幅が第1の閾値と第2の閾値との間のレ
ベルに変化してから所定時間E(第5の所定時間)が経過したら、止水を実行すればよい
。このようにすれば、吐水装置で手洗いする場合も、コップなどに水溜めする場合も、こ
れら動作が終了すると、確実に止水させることができる。
【0027】
図11は、第1の閾値と第2の閾値の両方を考慮した吐止水の制御のもうひとつの具体
例を説明するためのグラフ図である。
吐水装置の使用態様によっては、例えば、吐水流に手などが当たった状態から、コップ
などにより水溜めする状態に遷移することもあり得る。この場合、検知信号の振幅は、図
11に太実線で表したように、第1の閾値よりも大きいレベルから第2の閾値よりも小さ
なレベルへと変化する。
一方、吐水流をコップなどにより水溜めしている状態から、吐水流が手などに当たって
いる状態に遷移することもあり得る。この場合、検知信号の振幅は、図11に細実線で表
したように、第2の閾値よりも小さなレベルから第1の閾値よりも大きなレベルへと変化
する。これらいずれの場合も、止水せずに、吐水を継続させることが望ましい。このため
には、検知信号の振幅が第1の閾値と第2の閾値との間のレベルにある状態が所定時間E
だけ継続しない場合には、吐水をそのまま継続するようにすればよい。このようにすれば
、検知信号のレベルが第1及び第2の閾値を順次跨いだような場合に、不必要な止水をせ
ず、吐水を継続させて快適な使用感を与えることができる。
【0028】
これらの閾値は、制御部200の記憶手段240に適宜格納されている。判定部230
は、センサ部100から取得した検知信号と、記憶手段240に格納されている閾値と、
を比較して止水をするか否かを判定し、バルブ250の開閉を制御する。
【0029】
また、これらの閾値は、予め決定して記憶手段240に格納しておいてもよく、または
、吐水装置が設置されて使用される環境において、学習により閾値を適宜決定して記憶手
段240に格納してもよい。
【0030】
閾値を予め決定する場合、例えば、吐水装置を設計する際に予め実験などにより閾値を
決定して、記憶手段240に格納することができる。または、吐水装置を工場で製造し出
荷する前、あるいは吐水装置を現場に設置した際に、吐水させて閾値を決定し、記憶手段
240に格納してもよい。
【0031】
一方、学習により閾値を決定する場合は、例えば、吐水装置を現場に設置して稼働を開
始した後に、制御部200(図2、図3参照)が、所定の時間毎に吐水部に吐水させ、そ
の状態での検知信号に基づいて閾値を決定し、記憶手段240に格納することができる。
この場合、このような閾値の決定と格納は、吐水装置の使用頻度が低い時間帯(例えば、
夜間)などに実行するとよい。また、吐水装置の使用頻度が低い時間帯を制御部200(
図2、図3参照)が学習し、このようにして決定された使用頻度が低い時間帯に閾値の決
定と格納を実行してもよい。または、吐水や止水のいずれか一方または両方を所定の回数
だけ実行した場合に、閾値を新たに決定し格納するようしてもよい。
【0032】
吐水装置の稼働開始後に、閾値を適宜学習するようにすれば、例えば、供給水圧が変動
し、吐水流から得られる検知信号のレベルが変動したような場合でも、常に最適の閾値に
基づいて動作させることができる。
【0033】
図12は、検知信号と閾値との関係を説明するための模式図である。
図12(a)に例示したように、検知信号は、所定の基準値を中心に振動するAC信号
として検知される。この基準値(DC成分)は、検知条件に応じて変動する場合がある。
従って、本実施形態においては、基準値を中心として振動する検知信号の振幅(プラス側
のピークとマイナス側のピークとの間隔)と、振幅の閾値と、の関係を調べることにより
、吐水流の状態を判定する。または、図12(a)に表したように、基準値を中心として
プラス側及びマイナス側の少なくともいずれかに所定の閾値を設定し、検知信号の基準値
を中心とした振動の振幅がこの閾値を超えるか否か、により吐水流の状態を判定すること
ができる。
【0034】
あるいは、図12(b)に例示したように、基準値を中心として検知信号を反転させる
ことにより、検知信号の絶対値を求めてもよい。これはすなわち、検知信号の基準値を中
心とした振動の振幅と、所定の閾値と、を比較することと同等である。この場合にも、検
知信号の基準値を中心とした振動の振幅が所定の閾値を超えるか否か、により吐水流の状
態を判定することができる。
【0035】
図13は、検知信号の具体例を例示する模式図である。
図13(a)は吐水流のみの状態(図6(a)に相当)場合、図13(b)はコップに
水溜めしている状態(図6(c)に相当)、図13(c)は吐水流が手にあたっている状
態(図6(b)に相当)をそれぞれ表す。
【0036】
吐水流のみの状態における検知信号(図13(a))に比べて、コップに水溜めしてい
る状態における検知信号(図13(b))の振幅は小さく、吐水流が手にあたっている状
態(図13(c))の振幅は大きいことが分かる。従って、図13(a)〜(c)に表し
たように、第1の閾値と第2の閾値とを設定し、検知信号の振幅と、これら閾値と、の関
係を調べることにより、吐水流の状態を判定できる。すなわち、検知信号の振幅が第1の
閾値を超えず、第2の閾値を超えている場合は、吐水流のみの状態(図13(a))と判
定できる。また、検知信号の振幅が第2の閾値を超えない場合は、コップに水溜めしてい
る状態と判定できる(図13(b))。一方、検知信号の振幅が第1の閾値を超えている
場合は、吐水流が手にあたっている状態と判定できる(図13(c))。
【0037】
図14(a)〜(c)は、図13(a)〜(c)に表した具体例において、基準値を中
心として検知信号をそれぞれ折り返して、さらに基準値を0近傍に補正して表したグラフ
である。
基準値を中心として折り返すことにより、検知信号の絶対値が得られる。すなわち、検
知信号の振幅が得られる。従って、その振幅と、第1及び第2の閾値と、の関係を調べる
ことにより、吐水流の状態を検知することができる。
【0038】
すなわち、図14(a)〜(c)に表したように、第1の閾値と第2の閾値とを設定し
、検知信号の振幅が第1の閾値を超えず、第2の閾値を超えている場合は、吐水流のみの
状態(図14(a))と判定できる。また、検知信号の振幅が第2の閾値を超えない場合
は、コップに水溜めしている状態と判定できる(図14(b))。一方、検知信号の振幅
が第1の閾値を超えている場合は、吐水流が手にあたっている状態と判定できる(図13
(c))。
【0039】
なおここで、図13や図14に関して前述した判定に際して、例えば、検知信号のピー
クが閾値を超える頻度を考慮してもよい。すなわち、ノイズなどにより検知信号のピーク
が大きくなる場合もあり得る。このようなノイズによる誤検知を防止するために、検知信
号のピークが所定の閾値を超える頻度を調べて、その頻度が所定の値を上回った場合に、
検知信号のピークが閾値を超えたと判断してもよい。また、ノイズによる誤検知を防止す
るために、検知信号の時間平均を計算して、上記と同様に、振幅と所定の閾値とを比較し
てもよい。
【0040】
以下、検知信号に基づく吐止水の制御の具体例について説明する。
図15は、検知信号に基づく吐止水の制御の第1の具体例を説明するためのグラフ図で
あり、横軸は時間、縦軸は検知信号の振幅、をそれぞれ表す。つまり、図15は、検知信
号の振幅の時間変化を表す。なおここで、検知信号の振幅は、例えば図14に例示したよ
うに、基準値を中心として検知信号を折り返して得られる絶対値におけるピーク値と同等
である。また、検知信号の振幅は時間の経過に対して離散的に生ずるが、図15及び以降
の図面では、振幅の時間変化を便宜的に連続的な曲線により表す。
【0041】
図15に表した具体例においては、吐水しているだけの状態(図6(a)に相当)にお
ける検知信号の振幅よりも大きい第1の閾値を設定する。ここで、第1の閾値は、図13
及び図14などに関して前述したように、吐水流に手などがあたって乱れた状態(図6(
b)に相当)における検知信号の振幅よりも小さい値に設定する。
【0042】
そして、検知信号の振幅が第1の閾値を下回る状態が所定の時間A(第1の所定時間)
だけ継続したら、バルブ250(図1参照)を閉じて吐水口30からの吐水を停止する(
止水)。つまり、所定時間Aの間、検知信号の振幅が第1の閾値を下回る状態が続いたら
、吐水は使用されていないと判断して止水することができる。このようにすれば、使用し
ていない場合に確実に止水することができる。
【0043】
例えば、吐水はスイッチにより実行し、止水をセンサ部100の検知信号により実行す
る場合、スイッチにより吐水を開始した瞬間aから所定時間Aの間、使用されないような
場合に、確実に止水することができる。
【0044】
図16は、検知信号に基づく吐止水の制御の第2の具体例を説明するためのグラフ図で
あり、横軸は時間、縦軸は検知信号の振幅、をそれぞれ表す。
本具体例においても、吐水しているだけの状態(図6(a)に相当)における検知信号
の振幅よりも大きい第1の閾値を設定する。そして、検知信号の振幅が第1の閾値を超え
た状態から第1の閾値を下回ったら、バルブ250(図1参照)を閉じて吐水口30から
の吐水を停止する(止水)。これは、典型的には、吐水流が手などにあたって乱れている
状態(図6(b)に相当)から吐水流だけの状態(図6(a)に相当)に遷移した場合に
対応する。
このようにすれば、使用者が吐水流から手などを抜いて、吐水流のみの状態に変化する
前に止水することも可能となる。つまり、早いタイミングで止水でき、使用感が優れると
ともに、節水効果も得られる。
【0045】
図17は、検知信号に基づく吐止水の制御の第3の具体例を説明するためのグラフ図で
あり、横軸は時間、縦軸は検知信号の振幅、をそれぞれ表す。
本具体例においても、吐水しているだけの状態(図6(a)に相当)における検知信号
の振幅よりも大きい第1の閾値を設定する。そして、検知信号の振幅が第1の閾値を超え
た状態から第1の閾値を下回り、第1の閾値よりも小さい状態が所定時間B(第2の所定
時間)だけ継続したら、バルブ250(図1参照)を閉じて吐水口30からの吐水を停止
する(止水)。これは、典型的には、吐水流が手などにあたって乱れている状態(図6(
b)に相当)から吐水流だけの状態(図6(a)に相当)に遷移して所定時間Bが経過し
た時に止水する場合に対応する。
このようにすれば、使用者が吐水流から手などを抜いた後に、所定時間Bにより決定さ
れるタイミングで止水することができる。つまり、使用する現場や、水栓の種類、使用者
の好みなどに応じて止水のタイミングを調節できる。
【0046】
図18は、検知信号に基づく吐止水の制御の第4の具体例を説明するためのグラフ図で
あり、横軸は時間、縦軸は検知信号の振幅、をそれぞれ表す。
本具体例は、図17に関して前述した第3具体例と類似する。すなわち、本具体例にお
いても、吐水しているだけの状態(図6(a)に相当)における検知信号の振幅よりも大
きい第1の閾値を設定する。そして、検知信号の振幅が第1の閾値を超えた状態から第1
の閾値を下回り、第1の閾値よりも小さい状態が所定時間B(第2の所定時間)だけ継続
したら、バルブ250(図1参照)を閉じて吐水口30からの吐水を停止する(止水)。
ただし、この所定時間Bの経過の前に、検知信号の振幅が第1の閾値を超えた場合は、そ
の後振幅が再び第1の閾値を下回り、第1の閾値よりも小さい状態が所定時間Bだけ継続
したら、止水する。つまり、所定時間Bのカウント中に検知信号の振幅が第1の閾値を再
び超えた場合には、所定時間Bのカウントを停止し、リセットして再度カウントを最初か
ら開始する。
【0047】
このようにすれば、例えば、使用者が吐水流から手などを抜いた後に、すぐに再び吐水
流に手を入れたいような場合に、吐水流が直ちに停止せず、使用者の使用が終了した後に
、確実に止水できる。すなわち、吐水流を断続的に繰り返し使用する場合などに、いちい
ち止水せず、使用感に優れる。
【0048】
図19は、検知信号に基づく吐止水の制御の第5の具体例を説明するためのグラフ図で
あり、横軸は時間、縦軸は検知信号の振幅、をそれぞれ表す。
本具体例においても、吐水しているだけの状態(図6(a)に相当)における検知信号
の振幅よりも大きい第1の閾値を設定する。またさらに、本具体例においては、吐水して
いるだけの状態(図6(a)に相当)における検知信号の振幅よりも小さい第2の閾値を
設定する。ここでも、第1の閾値は、図13及び図14などに関して前述したように、吐
水流に手などがあたって乱れた状態(図6(b)に相当)における検知信号の振幅よりも
小さい値に設定する。一方、第2の閾値は、図13及び図14などに関して前述したよう
に、コップなどに水溜めしている状態(図6(c)に相当)における検知信号の振幅より
も大きい値に設定する。
そして、検知信号の振幅が第1の閾値よりも小さく、第2の閾値よりも大きい状態が所
定時間C(第3の所定時間)だけ継続したら、止水する。すなわち、コップなどに水溜め
している状態ではなく、また吐水流が手などにあたって乱れた状態でもない状態が所定時
間Cだけ継続したら、止水する。
【0049】
このようにすれば、図15に関して前述した第1具体例と同様に、所定時間Cの間、使
用されないような場合に、確実に止水することができる。
【0050】
図20は、検知信号に基づく吐止水の制御の第6の具体例を説明するためのグラフ図で
あり、横軸は時間、縦軸は検知信号の振幅、をそれぞれ表す。
本具体例においても、第5具体例と同様に、吐水しているだけの状態(図6(a)に相
当)における検知信号の振幅よりも大きい第1の閾値を設定する。またさらに、吐水して
いるだけの状態(図6(a)に相当)における検知信号の振幅よりも小さい第2の閾値を
設定する。ここでも、第1の閾値は、図13及び図14などに関して前述したように、吐
水流に手などがあたって乱れた状態(図6(b)に相当)における検知信号の振幅よりも
小さい値に設定する。一方、第2の閾値は、図13及び図14などに関して前述したよう
に、コップなどに水溜めしている状態(図6(c)に相当)における検知信号の振幅より
も大きい値に設定する。
そして、検知信号の振幅が第2の閾値よりも小さい状態から、第2の閾値を超えたら、
止水する。すなわち、コップなどに水溜めしている状態からコップなどを取り除いたら、
止水する。
【0051】
このようにすれば、図16に関して前述した第2具体例と同様に、使用者が吐水流から
コップなどを抜いて、吐水流のみの状態に変化する前に止水することも可能となる。つま
り、早いタイミングで止水でき、使用感が優れるとともに、節水効果も得られる。
【0052】
図21は、検知信号に基づく吐止水の制御の第7の具体例を説明するためのグラフ図で
あり、横軸は時間、縦軸は検知信号の振幅、をそれぞれ表す。
本具体例においても、第5具体例と同様に、吐水しているだけの状態(図6(a)に相
当)における検知信号の振幅よりも大きい第1の閾値を設定する。またさらに、吐水して
いるだけの状態(図6(a)に相当)における検知信号の振幅よりも小さい第2の閾値を
設定する。
【0053】
そして、検知信号の振幅が第2の閾値よりも小さい状態から第2の閾値を上回り、且つ
第1の閾値よりも小さい状態が所定時間D(第4の所定時間)だけ継続したら、止水する
。これは、コップなどにより水溜めしている状態(図6(c)に相当)から吐水流だけの
状態(図6(a)に相当)に遷移して所定時間Dが経過した時に止水する場合に対応する

このようにすれば、使用者が吐水流からコップなどを抜いた後に、所定時間Dにより決
定されるタイミングで止水することができる。つまり、使用する現場や、水栓の種類、使
用者の好みなどに応じて止水のタイミングを調節できる。
【0054】
図22は、検知信号に基づく吐止水の制御の第8の具体例を説明するためのグラフ図で
あり、横軸は時間、縦軸は検知信号の振幅、をそれぞれ表す。
本具体例は、図20に関して前述した第7具体例と類似する。すなわち、本具体例にお
いても、第5具体例と同様に、吐水しているだけの状態(図6(a)に相当)における検
知信号の振幅よりも大きい第1の閾値を設定する。またさらに、吐水しているだけの状態
(図6(a)に相当)における検知信号の振幅よりも小さい第2の閾値を設定する。
【0055】
そして、検知信号の振幅が第2の閾値よりも小さい状態から第2の閾値を上回り、且つ
第1の閾値よりも小さい状態から所定時間D(第4の所定時間)が経過する前に、検知信
号の振幅が再び第2の閾値よりも小さくなったら、その後振幅が再び第2の閾値を上回り
、且つ第1の閾値よりも小さい状態が所定時間Dだけ継続したら、止水する。つまり、所
定時間Dのカウント中に検知信号の振幅が第2の閾値を再び下回った場合には、所定時間
Dのカウントを停止し、リセットして再度カウントを最初から開始する。
【0056】
このようにすれば、例えば、使用者が吐水流からコップなどを抜いた後に、すぐに再び
吐水流にコップなどを入れたいような場合に、吐水流が直ちに停止せず、使用者の使用が
終了した後に、確実に止水できる。すなわち、吐水流を断続的に繰り返し使用する場合な
どに、いちいち止水せず、使用感に優れる。
【0057】
またこのように、所定時間Dをカウントして止水する場合、例えば、コップに水溜めし
た使用者がコップを吐水流から取り除き、引き続いて手を洗うような時に、所定時間Dの
間に手を吐水流の中に入れれば、吐水が中断せず、使用感に優れる。
【0058】
以上、図15〜図22を参照しつつ、検知信号に基づく吐止水の制御の具体例について
説明した。なお、本実施形態において、検知信号は、所定のフィルタを介して得られるも
のであってもよく、またはフィルタを介さずに得られる信号であってもよい。フィルタを
介する場合、例えば、200Hz以下の信号のみを検知信号とすることができ、または、
数Hz以上の信号のみを検知信号とすることもできる。または、これらのフィルタを併用
してもよい。
【0059】
一方、本実施形態においては、特定の周波数帯における検知信号の振幅に基づいて判定
することもできる。
図23は、検知信号のパワースペクトルを例示するグラフ図であり、(a)は吐水流が
乱されていない状態(図6(a)の場合に相当)、(b)は人が吐水を手に当てている状
態(吐水流が乱されている状態:図6(b)の場合に相当)、(c)はコップに水溜めを
している状態(吐水流が乱されている状態:図6(c)の場合に相当)をそれぞれ表す。
【0060】
吐水流の流れ(接線方向)に対して、センサ部100の電波の最大指向方向が略直交す
るように配置した場合、図23に表したように、検知信号のパワースペクトルにおいて、
乱されていない吐水流(吐水部から吐水しているだけの時の水流状態)のみの検知信号(
図23(a))と、手洗いや水溜めで使用されて乱された吐水流の検知信号(図23(b
)および(c))と、を明確に区別できる。
【0061】
すなわち、図23(a)、(b)、(c)のパワースペクトルにおいて、ピークが表れ
る周波数帯はそれぞれ異なる。例えば、図23(a)に示す吐水流のみの検知信号のパワ
ースペクトルでは、20Hz〜30Hzの周波数帯域に最大のピークを有する。これに対
し、図23(b)に示す、手洗い時(吐水が人の手に当たっている場合)の検知信号のパ
ワースペクトルでは、0〜30Hzの周波数帯域に非常に大きなピークが複数あり、40
Hz〜50Hzの周波数帯域にもピークができる。これは、吐水流が手などに当たって流
れが乱れたり、周囲に飛散することにより生じたものである。また、図23(c)に表し
たように水溜め時(コップに水溜めをした場合)の検知信号のパワースペクトルでは、0
〜10Hzの周波数帯域に最大のピークを有し、30Hz以上の周波数帯域にはパワース
ペクトルがほとんど現れない。これは、コップ内で水が落ち着き、その水がゆっくり揺れ
るような動きをするため、ピークが消滅したように見えるのである。
【0062】
以上説明した各状態のパワースペクトルの差異を利用して、吐水の継続や止水を制御で
きる。すなわち、所定の周波数帯において、吐水しているだけの時の検知信号の振幅より
も大きい第1の閾値と、吐水しているだけの時の検知信号の振幅よりも小さい第2の閾値
と、を設定する。例えば、40〜50Hzの周波数帯における検知信号の振幅が所定の閾
値(第1の閾値)を超えている場合には、図23(b)に表したように、吐水流に手など
があたっていると判断し、吐水を継続することができる。また、20〜30Hzの周波数
帯における検知信号の振幅が所定の閾値(第2の閾値)を下回る場合には、図23(c)
に表したように、コップなどにより水溜めが実行されていると判断し、吐水を継続するこ
とができる。
【0063】
そして、20〜30Hzの周波数帯における検知信号の振幅が所定の閾値(第2の閾値
)を上回り、40〜50Hzの周波数帯における検知信号の振幅が所定の閾値(第1の閾
値)を下回る場合には、図23(a)に表したように、吐水流のみの検知信号が得られて
いると判断して止水することができる。
【0064】
なお、図23(a)、(b)、(c)に表したパワースペクトルは一例に過ぎず、吐水
流のみ、あるいは吐水流に人の手などがあたったり、コップなどに水溜めをしている時の
パワースペクトルは、本発明を適用する際に適宜設定することができる。また、吐水の継
続や止水のために検知信号の閾値を設ける周波数帯の数についても、1つまたは2つのみ
には限定されず、3つ以上の周波数帯についてそれぞれ閾値を設け、これら閾値を基準に
して吐水の継続または止水の判断をしてもよい。
【0065】
またさらに、後に詳述するように、例えば、数Hz〜100Hzの周波数帯における検
知信号の振幅に基づいて判断することもできる。例えば、図7(a)〜(c)に表した具
体例においては、10Hz〜200Hzの周波数帯の検知信号の振幅は、吐水流に手があ
たっている状態(図23(b))において最も大きく、吐水しているだけの時(図23(
a))はそれよりも小さく、コップに水溜めしている状態(図23(c))においては、
最も小さくなる。従って、検知信号の振幅と所定の閾値との関係に基づいて、吐止水を制
御することも可能である。
【0066】
本実施形態では、検知信号と所定の閾値とを比較して吐水のみであるか否かを判定する
手順として、検知信号の全周波数帯域の内の特定の1つの周波数帯域(分割周波数帯域)
の信号成分と所定の閾値とを比較することにより、吐水流のみの検知信号であるか否かを
判定することもできる。この比較をする周波数帯域としては、吐水流のみの場合と吐水を
使用中の場合の違いが顕著となる帯域を設定する。
【0067】
図24は、本実施形態においての検知信号の比較および止水判定の手順を説明するため
の検知信号のパワースペクトルを示すグラフ図であり、(a)は吐水流のみの場合の検知
信号、(b)は吐水が手に当たっている場合(吐水を使用中の場合)の検知信号のパワー
スペクトルをそれぞれ表す。
【0068】
図24では、比較する特定の周波数帯域として、60Hz〜70Hzの周波数帯域を設
定している。つまり、制御部200は、検知信号の振幅と所定の閾値との比較手順におい
て、取得した検知信号の60Hz〜70Hzの周波数帯域成分のみを比較することとなる
。この60Hz〜70Hzの周波数帯域では、吐水流のみの場合には、パワースペクトル
がほとんど現れないが、吐水流が手に当たっているときには、比較的大きなパワースペク
トルが現れ、その違いが顕著である。
【0069】
この60Hz〜70Hzの周波数帯域では、吐水流のみの場合よりも、吐水が手に当た
っているときの検知信号のパワースペクトルが大きくなることが判っている。このため、
制御部200による止水判定の手順は、例えば、以下のようにする。
【0070】
吐水流のみの場合の検知信号について1つの閾値(第1の閾値)をあらかじめ設定して
おき、取得した検知信号の60Hz〜70Hzの周波数帯域成分の検知信号の振幅を上記
の閾値と比較し、上記の閾値を超えていれば、吐水を使用中の検知信号である(吐水流の
みの検知信号ではない)と判定し、上記の閾値以下であれば、吐水流のみの検知信号であ
ると判定する。
【0071】
または、取得した検知信号の60Hz〜70Hzの周波数帯域成分のパワースペクトル
(あるいは電圧)の積算値を算出し、この積算値を、あらかじめ設定してある閾値と比較
してもよい。
【0072】
あるいは、取得した検知信号の60Hz〜70Hzの周波数帯域成分のパワースペクト
ル(あるいは電圧)の複数の極大点の値を加算し、この加算値を、あらかじめ設定してあ
る閾値と比較してもよい。
【0073】
さらに、上記の閾値については、固定値を用いることの他、必要に応じて補正できるよ
うにしてもよい。閾値補正の手順としては、例えば、制御部200に閾値補正動作モード
を設け、吐水流のみの検知信号を複数回取得して、それらの60Hz〜70Hzの周波数
帯域成分の実測値に応じて、適正な値に閾値を補正する。
【0074】
図25は、本実施形態においての検知信号の比較および止水判定の手順を説明するため
の検知信号のパワースペクトルを示すグラフ図であり、(a)は吐水流のみの場合の検知
信号、(b)はコップに水溜めをしている場合(吐水を使用中の場合)の検知信号のパワ
ースペクトルを表す。
【0075】
図25では、比較する特定の周波数帯域として、20Hz〜30Hzの周波数帯域を設
定している。この20Hz〜30Hzでは、吐水流のみの場合には、パワースペクトルが
現れるが、コップに水溜めをしているときには、パワースペクトルがほとんど現れず、そ
の違いが顕著である。
【0076】
従って、この20Hz〜30Hzの周波数帯域についての制御部200による止水判定
の手順は、例えば、図24の場合と同様に以下のようにする。
吐水流のみの場合の検知信号について1つの閾値(第2の閾値)を設定しておき、取得
した検知信号の20Hz〜30Hzの周波数帯域成分の検知信号の振幅(あるいは積算値
または複数の極大点の値の加算値)を上記の閾値と比較し、上記の閾値を超えていれば、
吐水流のみの検知信号であると判定し、上記の閾値以下であれば、吐水を使用中の検知信
号である(吐水流のみの検知信号でない)と判定する。
【0077】
このようにすれば、吐水流のみの場合と吐水を使用中の場合の違いが顕著となる1つの
周波数帯域(分割周波数帯域)のみで検知信号と上記の閾値との比較をすることにより、
検知信号の全周波数帯域について比較をする必要がないので、制御部200での演算処理
時間を短くでき、メモリの負荷を軽減できる。なお、比較をする周波数帯域幅は、上記の
10Hzに限らず、所望の幅に設定することが可能である。
【0078】
一方、本実施形態では、検知信号と所定の閾値とを比較して吐水のみであるか否かを判
定する手順として、検知信号の全周波数帯域の内の特定の2つの周波数帯域の信号成分と
所定の閾値とを比較することにより、吐水のみの検知信号であるか否かを判定することも
できる。この比較をする2つの周波数帯域には、例えば図24及び図25に関して前述し
た具体例と同様に、吐水流のみの場合と吐水を使用中の場合の違いが顕著となる帯域を設
定する。
【0079】
図26は、本具体例における検知信号の比較および止水判定の手順を説明するための検
知信号のパワースペクトルを示す図であり、(a)は吐水流のみの場合の検知信号、(b
)は吐水が手に当たっている場合(吐水を使用中の場合)の検知信号のパワースペクトル
を表す。
【0080】
図26では、比較する特定の周波数帯域として、60Hz〜70Hzの周波数帯域と、
20Hz〜30Hzの周波数帯域の2つを設定している。つまり、制御部200は、検知
信号の比較手順(図8のステップS1)において、取得した検知信号の60Hz〜70H
zの周波数帯域成分と20Hz〜30Hzの周波数帯域成分のみを比較することとなる。
60Hz〜70Hzの周波数帯域では、吐水流のみの場合には、パワースペクトルがほと
んど現れないが、吐水流が手に当たるとパワースペクトルが現れる。また、20Hz〜3
0Hzの周波数帯域では、吐水流のみの場合にもパワースペクトルが現れるが、吐水流が
手に当たると極めて大きなパワースペクトルが現れ、両検知信号の差分値として大きな値
が得られる。
【0081】
制御部200による比較判定手順としては、例えば、吐水流のみの場合の検知信号につ
いて2つの閾値(60Hz〜70Hzの周波数帯域についての第1の閾値、および20H
z〜30Hzの周波数帯域についての第1の閾値)をあらかじめ設定しておき、取得した
検知信号の60Hz〜70Hzの周波数帯域成分の検知信号の振幅を第1の閾値と比較す
るとともに、取得した検知信号の20Hz〜30Hzの周波数帯域成分の検知信号の振幅
を第1の閾値と比較する。
【0082】
そして、例えば、60Hz〜70Hzの周波数帯域において、振幅が第1の閾値を超え
、且つ20〜30Hzの周波数帯域において、振幅が第1の閾値を超えていれば、吐水を
使用中の検知信号である(吐水流のみの検知信号ではない)と判定する。一方、60Hz
〜70Hzの周波数帯域において、振幅が第1の閾値以下、且つ20〜30Hzの周波数
帯域において、振幅が第1の閾値以下であれば、吐水流のみの検知信号であると判定する
。これにより、60Hz〜70Hzの周波数帯域および20Hz〜30Hzの周波数帯域
において、第1の閾値に基づいて判断しているが、1つの周波数帯域で判断するよりも2
つの周波数帯域で判断する方がより正確となる。なお、取得した検知信号のそれぞれの周
波数帯域成分について、パワースペクトル(あるいは電圧)の積算値または複数の極大点
の値を加算値を用いてもよい。
【0083】
図27は、本実施形態においての検知信号の比較および止水判定の手順を説明するため
の検知信号のパワースペクトルを示すグラフ図であり、(a)は吐水流のみの場合の検知
信号、(b)はコップに水溜めをしている場合(吐水を使用中の場合)の検知信号のパワ
ースペクトルを表す。
【0084】
図27では、比較する特定の周波数帯域として、20Hz〜30Hzの周波数帯域と、
0〜10Hzの周波数帯域の2つを設定している。20Hz〜30Hzでは、吐水流のみ
の場合には、パワースペクトルが現れるが、コップに水溜めをしているときには、パワー
スペクトルがほとんど現れない。また、0〜10Hzの周波数帯域では、吐水流のみの場
合にもパワースペクトルが現れるが、コップに水溜めをしているときには極めて大きなパ
ワースペクトルが現れ、両検知信号(あるいは両積分値)の差分値として大きな値が得ら
れる。
【0085】
制御部200による比較判定手順は、例えば、図26の場合と同様とする。吐水流のみ
の場合の検知信号について2つの閾値(20Hz〜30Hzの周波数帯域についての第2
の閾値、および0〜10Hzの周波数帯域についての第1の閾値)をあらかじめ設定して
おき、取得した検知信号の20Hz〜30Hzの周波数帯域成分の検知信号を第2の閾値
と比較するとともに、取得した検知信号の0〜10Hzの周波数帯域成分の検知信号を第
1の閾値と比較する。
【0086】
そして、例えば、20Hz〜30Hzの周波数帯域において検知信号の振幅が第2の閾
値に満たないか、または0〜10Hzの周波数帯域において検知信号の振幅が第1の閾値
を超えていれば、吐水を使用中の検知信号である(吐水流のみの検知信号ではない)と判
定する。また、20Hz〜30Hzの周波数帯域において検知信号の振幅が第2の閾値以
上であり、かつ0〜10Hzの周波数帯域において検知信号の振幅が第1の閾値以下であ
れば、吐水流のみの検知信号であると判定する。
【0087】
このように、周波数帯域によっては、コップに水溜めをしているときの検知信号の振幅
の方が、吐水流のみの検知信号の振幅よりも大きくなる場合がある。すなわち、特定の周
波数帯域に限定しない場合(図7参照)には、周波数全体として見れば、吐水流のみの検
知信号の振幅の方が、コップに水溜めをしているときの検知信号の振幅よりも大きいが、
フィルタを介して特定の周波数帯域に限定した場合には、コップに水溜めをしているとき
の検知信号の振幅の方が、吐水流のみの検知信号の振幅よりも大きくなる場合がある。こ
のことを、図28を参照しつつ説明する。
【0088】
図28は、0Hz〜10Hzの周波数帯域におけるセンサ部100から得られる検知信
号のレベルを例示するグラフ図である。すなわち、同図の縦軸は、センサ部100から得
られる検知信号の電圧値を表し、横軸は時間を表す。
フィルタを介して0Hz〜10Hzの周波数帯域に限定した場合、図23(a)に表し
たように、吐水流のみの検知信号のパワースペクトルのピークは、約0.2程度である。
一方、コップに水溜めしているときの検知信号のパワースペクトルのピークは、図23(
c)に表したように、0.35を超えている。これは、図7を参照しつつ説明したように
、コップ内で水が落ち着いて、その水がゆっくり揺れるような動きをするため、コップに
水溜をしているときの方が、吐水流のみのときよりも低い周波数帯域の成分を多く含み、
ピークが大きく出ているように見えるのである。
【0089】
これにより、0Hz〜10Hzの周波数帯域に限定して見れば、図28に表したように
、吐水流のみの検知信号の振幅は第1の閾値を超えないが、コップに水溜めをしていると
きの検知信号の振幅は第1の閾値を超える場合がある。すなわち、図7に表した吐水流の
みの検知信号の振幅と、図7に表したコップ水溜めの検知信号の振幅と、の大小関係が逆
転する場合がある。
【0090】
しかしながら、フィルタを介さずに特定の周波数帯域に限定しない場合、およびフィル
タを介した場合であっても例えば0Hz〜100Hzの周波数帯域全体を見た場合には、
吐水流のみの検知信号の振幅の方が、コップに水溜めをしているときの検知信号の振幅よ
りも大きくなる。
【0091】
このようにすれば、吐水流のみの場合と吐水を使用中の場合の違いが顕著となる2つの
周波数帯域で比較することにより、吐水を使用しているときと使用していないときの違い
がより明確となり、より正確な判定ができる。なお、比較をする周波数帯域の個数は2つ
に限らず、3つ以上の複数の周波数帯域を設定することも可能である。
【0092】
また、本実施形態においては、例えば、センサ部100から取得した検知信号からフィ
ルタを介して特定の周波数帯の信号を取り出し、その信号に基づいて吐水流の状態を判定
する方法と、センサ部100から取得した検知信号をフィルタを介さずに所定の閾値と比
較して吐水流の状態を判定する方法と、を組み合わせることもできる。より具体的には、
センサ部100から取得した検知信号の差異が大きく現れる高周波帯域においては、フィ
ルタを介さずに所定の閾値と比較して吐水流の状態を判定し、一方、センサ部100から
取得した検知信号の差異が小さく現れる低周波帯域においては、フィルタを介して特定の
周波数帯の信号を取り出し、その信号に基づいて吐水流の状態を判定する方法が挙げられ
る。
【0093】
このように、フィルタを介して判定する方法と、フィルタを介さずに判定する方法と、
を組み合わせることで、早く止水制御したい状態と、検知信号に明確な差異を出したい状
態と、を組み合わせることができる。すなわち、検知信号の差異が大きく現れる高周波帯
域においては、フィルタを介さずに判定するため、フィルタを介する(計算する)時間は
かからず、早い信号処理が可能となり、止水制御を早く行うことができる。一方、検知信
号の差異が小さく現れる低周波帯域においては、フィルタを介して判定するため、より精
度良く吐水流の状態を判定することができる。
【0094】
図29は、本実施形態においての制御部200による止水制御の手順を例示するフロー
チャートである。
すなわち、本具体例では、吐水流のみの検知信号が所定の時間継続したら、止水をする
。制御部200は、センサ部100から検知信号を取得し(ステップS1)、上記取得し
た検知信号を、吐水のみの場合の検知信号に基づき設定した閾値(図13(a)参照)と
比較する(ステップS2)。この際に、図1〜図28に関して前述したように、検知信号
の振幅と、第1及び第2の閾値と、の比較により判定する。
【0095】
その結果、検知信号が吐水のみの検知信号であると判定した場合には(ステップS3で
YES)、吐水のみの検知信号であると判定してから所定の時間を経過しているか否かを
、例えばタイマーを参照して判定する。
【0096】
そして、所定の時間を経過していなければ(ステップS10でNO)、ステップS1に
戻って再び検知信号を取得する。一方、所定の時間を経過していれば(ステップS10で
YES)、バルブ250を閉じて止水をする(ステップS4)。なお、取得検知信号が吐
水のみの検知信号とは異なると判定した場合には(ステップS3でNO)、タイマーをリ
セットした上で、ステップS1に戻る。
【0097】
以上のように、吐水流のみの検知信号が、所定時間継続した場合に止水をすることによ
り、吐水の使用途中で止水してしまうことをより確実に防止できる。その一方で、吐水流
のみの検知信号が所定の時間継続するということは、実際には使用後であって使用者がい
ないのに吐水したままになっている場合などが考えられ、このような場合に止水をするこ
とにより、使用中でないときに無駄な吐水を継続することを防止できる。
【0098】
次に、本実施形態においての制御部200による止水制御の手順の他の具体例について
説明する。
コップの水溜め時においてコップを放置したままにした場合や、洗面ボウルが詰まって
水が溢れだしている状態、あるいは吐水部の故障や破損などにより吐水流が乱れた状態が
継続する場合などには、吐水流のみの場合の検知信号とは異なるものであるが、同じパタ
ーンの検知信号が継続してセンサ部100から出力されることがある。このような場合に
は、コップを放置したときなどの検出信号が吐水流のみの検知信号とは異なるために、止
水をせずに吐水を継続してしまうことがある。そこで、本具体例では、吐水のみの検知信
号と異なる検知信号であっても、同じパターンの検知信号が所定の時間継続したら、止水
をする。
【0099】
図30は、本具体例における制御部200による止水制御の手順を説明するフローチャ
ートである。制御部200は、センサ部100から検知信号を取得し(ステップS1)、
上記取得した検知信号を、吐水のみの場合の検知信号に基づき設定した閾値と比較する(
ステップS2)。この際に、図1〜図28に関して前述したように、検知信号の振幅と、
第1及び第2の閾値と、の比較により判定する。
【0100】
検知信号が吐水のみの検知信号であると判定した場合には(ステップS3でYES)、
バルブ250を閉じて止水をする(ステップS4)。
一方、検知信号が前回の検知信号のパターンと同じか否かを判定し(ステップS20)
、同じであると判定した場合には(ステップS20でYES)、所定の時間を経過したか
否かを、例えばタイマーにより判定する(ステップS21)。
【0101】
そして、所定の時間を経過していれば(ステップS21でYES)、バルブ250を閉
じて止水をし(ステップS4)、所定の時間を経過していなければ(ステップS21でN
O)、上記ステップS1に戻って、再び検知信号を取得する。なお上記ステップS21で
、今回の取得検知信号が前回の取得検知信号のパターンとは異なると判定した場合には(
ステップS21でNO)、上記のタイマーをリセットした上で、上記ステップS1に戻る

以上のように本具体例によれば、吐水流のみの検知信号とは異なる検知信号が、同じパ
ターンで所定の時間継続したら、止水をすることにより、無駄な吐水の継続を防止できる

【0102】
図31は、本実施形態の吐水装置の他の具体例を表す模式図である。
本実施形態の水栓装置も、センサ部100と、制御部200と、吐水部30と、受水部
40と、を備えている。
受水部40は、吐水流34が着水する受水面41を有する。また、受水部40は、受水
面41の周囲に設けられた左側面42と、後面43と、右側面44と、前面45と、をさ
らに有する。吐水口32から吐水された吐水流34は、矢印(流れ方向)302のように
受水面41に対して斜め方向に着水する。但し、これだけに限られるわけではなく、例え
ば、受水面41に対して略垂直方向に着水してもよい。
【0103】
センサ部100は、受水部40の左側面42の裏側に設けられている。このセンサ部1
00は、矢印(最大指向方向)300のように、吐水流34の流れ方向302に対して略
直交する方向から吐水流34に対して電波を放射する。放射された電波は吐水流34に反
射され、センサ部100は、この反射された電波(反射波)を受信する。さらに、センサ
部100は、この反射波を被検知体の情報として制御部200に送信する。
【0104】
なお、センサ部100は左側面42の裏側に設けられているため、センサ部100から
の電波が吐水流34の方向へ放射されやすいように、受水部40の材質は、例えば樹脂製
からなることが好ましい。また、受水部の材質が金属製および陶器製であっても、少なく
ともセンサ部100の前面を覆う部分に図示しない窓部などを設けることが好ましい。
【0105】
本具体例によれば、吐水流34に対して、センサ部100からの電波を直交する方向に
放射することが容易である。例えば、吐水口30から放出される吐水流34の水勢が変化
したような場合でも、側方から電波を放射することにより、吐水流に対して直交方向に電
波を放射させることができる。その結果として、図4及び図5に関して前述したように、
吐水流のみの状態(図6(a)に相当)における検知信号のレベルを抑制でき、吐水流が
手などにあたって乱れた状態における検知信号との差異を大きくして、より安定して確実
な検知が可能となる。
【0106】
以上、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれ
らの実施の形態に限定されない。センサ部の構成および配置、制御部での検知信号の比較
手順および止水判定手順などに関して当業者が設計変更をしたものであっても本発明の主
旨を逸脱しない限り、本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第1の実施の形態の吐水装置の構成を表す模式図である。
【図2】センサ部100と制御部200の具体例のブロック図である。
【図3】センサ部100と制御部200の具体例のブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態においてのセンサ部100の電波の最大指向方向と吐水流の接線方向とのなす角θを説明する模式図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態においての吐水流の接線とセンサ部100の最大指向方向とのなす角θに対する検知信号の中域の周波数側成分の電圧特性を示すグラフ図である。
【図6】本発明の実施の形態においての吐水中のみの場合と吐水を使用中の場合の水栓装置を表す模式図である。
【図7】図6(a)〜(c)に表したそれぞれの場合において、センサ部100から得られる検知信号のレベルを例示するグラフ図である。
【図8】第1の閾値に基づいて止水制御するフローチャートである。
【図9】第2の閾値に基づいて吐水制御するフローチャートである。
【図10】第1の閾値と第2の閾値の両方を考慮した吐止水の制御を説明するためのグラフ図である。
【図11】第1の閾値と第2の閾値の両方を考慮した吐止水の制御のもうひとつの具体例を説明するためのグラフ図である。
【図12】検知信号と閾値との関係を説明するための模式図である。
【図13】検知信号の具体例を例示する模式図である。
【図14】図13(a)〜(c)に表した具体例において、基準値を中心として検知信号をそれぞれ折り返して、さらに基準値を0近傍に補正して表したグラフである。
【図15】検知信号に基づく吐止水の制御の第1の具体例を説明するためのグラフ図である。
【図16】検知信号に基づく吐止水の制御の第2の具体例を説明するためのグラフ図である。
【図17】検知信号に基づく吐止水の制御の第3の具体例を説明するためのグラフ図である。
【図18】検知信号に基づく吐止水の制御の第4の具体例を説明するためのグラフ図である。
【図19】検知信号に基づく吐止水の制御の第5の具体例を説明するためのグラフ図である。
【図20】検知信号に基づく吐止水の制御の第6の具体例を説明するためのグラフ図である。
【図21】検知信号に基づく吐止水の制御の第7の具体例を説明するためのグラフ図である。
【図22】検知信号に基づく吐止水の制御の第8の具体例を説明するためのグラフ図である。
【図23】本実施形態においての検知信号のパワースペクトルを表すグラフ図である。
【図24】本実施形態においての検知信号の比較および止水判定の手順を説明するための検知信号のパワースペクトルを示すグラフ図である。
【図25】本実施形態においての検知信号の比較および止水判定の手順を説明するための検知信号のパワースペクトルを示すグラフ図である。
【図26】本実施形態においての検知信号の比較および止水判定の手順を説明するための検知信号のパワースペクトルを示すグラフ図である。
【図27】本実施形態においての検知信号の比較および止水判定の手順を説明するための検知信号のパワースペクトルを示す図である。
【図28】0Hz〜10Hzの周波数帯域におけるセンサ部100から得られる検知信号のレベルを例示するグラフ図である。
【図29】本実施形態においての制御部200による止水制御の手順を説明するフローチャートである。
【図30】本実施形態においての制御部200による止水制御の手順を説明するフローチャートである。
【図31】本実施形態の吐水装置の他の具体例を表す模式図である。
【符号の説明】
【0108】
10 給水ホース、 30 吐水口、 40 受水部、100 センサ部、112、112a
、112b アンテナ、114 送信部、116 受信部、118 ミキサ部、200 制御
部、210 フィルタ、220 周波数検出部、230 判定部、240 記憶手段、25
0 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水部と、
放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、
前記センサ部からの検知信号に基づいて前記吐水部からの吐水を制御する制御部と、
記憶手段と、
を備え、
前記センサ部から放射される電波の少なくとも一部は、前記吐水部から吐水される吐水流に当たるように配置され、
前記制御部は、前記センサ部からの検知信号の所定の周波数帯における強度と、所定の閾値と、の関係を調べることにより、前記吐水流の状態を判定し、前記吐水部からの吐止水を制御することを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
前記閾値は、所定の周波数帯と、前記所定の周波数帯とは異なる少なくとも1つ以上の周波数帯域と、においてそれぞれ設定され、前記制御部は、前記第1及び第2の周波数帯域において前記判定することを特徴とする請求項1記載の吐水装置。
【請求項3】
前記制御部は、1つの周波数帯域において前記閾値と前記センサ部が受信した前記検知信号の前記振幅との関係を調べる場合と、周波数帯域を限定せずに前記閾値と前記センサ部が受信した前記検知信号の前記振幅との関係を調べる場合と、を組み合わせて前記判定することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1つに記載の吐水装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記吐水部からの吐水を継続させている状態が所定の時間を超えたら前記吐水部からの吐水を停止させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の吐水装置。
【請求項5】
前記検知信号は、被検知体の移動速度を反映したドップラー成分を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2009−150209(P2009−150209A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139271(P2008−139271)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【分割の表示】特願2007−331078(P2007−331078)の分割
【原出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】