説明

含フッ素アクリレート及びUV硬化性組成物

【課題】 極少量の添加で優れた耐汚染性および汚染拭取り性を発現し、且つ塗膜硬度などの塗膜物性を損なうことのないUV反応性改質剤、およびこれを含有してなるUV硬化型樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 炭素数4−20のエーテル型酸素原子を有していても良いパーフルオロアルキル基および/又は炭素数2−10のパーフルオロアルキル基とポリジメチルシロキサン鎖が下記一般式(I)で表される連結基により結合した(メタ)アクリレート化合物、これを含有するUV硬化型樹脂組成物。(式中、Rは炭素数1−4のアルキレン鎖、Rはアクリロイル基、Rは、炭素数1−4のアルキレン鎖、Xは酸素原子、硫黄原子を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐汚染性、耐指紋付着防止性の向上を目的とした新規の含フッ素アクリレート、これを含有するUV硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック用ハードコート等に用いられる紫外線硬化型樹脂は、プラスチック表面に塗布・硬化するだけで、容易に硬度、耐擦傷性を付与できるものとして、今後さらに需要が高まるものと期待される。これに伴って、単に塗膜硬度或いは耐擦傷性の向上に留まらず、汚染物質の汚れ付着に対する耐汚染性、取扱時の皮脂、指紋等の付着防止を目的とした意匠性向上などの機能が求められている。
【0003】
これまでにも、プラスチック塗料等の耐汚染性向上を目的として、様々な表面改質剤が報告されている。例えば、紫外線硬化型樹脂に予めパーフルオロ基含有重合性化合物とポリジメチルシロキサン鎖含有重合性化合物をおのおの単独、或いは併用することで硬化塗膜表面に防汚性を付与する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、パーフルオロ基含有モノマーとポリジメチルシロキサン鎖含有重合性モノマーを各々単独、或いは併用する場合において、塗工プロセス中の溶剤乾燥工程で一部モノマーが揮散するため、所望の防汚性を得ようとする場合、多量に添加せねばならず、結果として塗膜硬度が低下する問題があった。
【0004】
一方、パーフロロアルキル基及びポリシロキサン鎖を同一分子中に含有する反応性オリゴマーを添加することによって摩擦抵抗低減性、表面平滑性、撥水撥油性を付与し、指紋付着性などの耐汚染性を向上させる方法が提案されているも(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、これとてますます高まる耐汚染性への要求に対し、満足されるものではなく、更なる向上が求められている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−335984
【特許文献2】特開平8−176504
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、極少量の添加で優れた耐汚染性および汚染拭取り性を発現し、且つ塗膜硬度などの塗膜物性を損なうことのないUV反応性改質剤、およびこれを含有してなるUV硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、下記の知見を得た。
(I)一分子内にポリジメチルシロキサン鎖とパーフルオロアルキル基を導入することで、高い撥水撥油性と拭取り性向上に関与するスベリ性を両立することが可能である。
(II)分子内のフッ素・ケイ素含有量を効率的に高めることができるため、表面偏析能を高めることで極少量の添加で優れた防汚性が得られる。
【0008】
本発明は、このような知見に基づくものである。
【0009】
すなわち、本発明は、
炭素数4−20のエーテル型酸素原子を有していても良いパーフルオロアルキル基および/又は炭素数2−10のパーフルオロアルキル基とポリジメチルシロキサン鎖が下記一般式(I)で表される連結基により結合した(メタ)アクリレート化合物を提供する。(式中、Rは炭素数1−4のアルキレン鎖、Rは−OCOCH=CH、−OCO(CH)C=CH、−OCONHCHCHOCOCH=CH、−OCONHCHCHOCOC(CH)=CHで表される基であり、Rは、炭素数1−4のアルキレン鎖であり、Xは酸素原子、硫黄原子、−NR−、[ここで、Rは、−COCH=CH、−COC(CH)C=CH、−CONHCHCHOCOCH=CH、−CONHCHCHOCOC(CH)=CH、下記一般式(II){式中、Rは前記と同様であり、Rは炭素数1−4のアルキレン鎖である}である。])
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

【0012】
また、本発明は、前記含フッ素アクリレートを含有するUV硬化性組成物をも提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高い撥水撥油性と拭取り性向上に関与するスベリ性を両立させることが可能で、且つ、極少量の添加でも優れた防汚性が得られる含フッ素アクリレートを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の含フッ素アクリレートは、前記一般式(I)で表される連結基により結合したパーフルオロアルキル基およびポリジメチルシロキサン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物である。
【0015】
これらの中でも、炭素数4−20のエーテル型酸素原子を有するパーフルオロアルキル基および/又は炭素数2−10のパーフルオロアルキル基と、下記一般式(III)又は(IV)で表されるポリジメチルシロキサン鎖とが、前記一般式(I)あるいは(II)(式中R、R、R、Rは前記と同様である。]で表される連結基により結合した(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0016】
【化3】

【0017】
【化4】

【0018】
前記一般式(III)、(IV)中のmは5〜20の整数であり、前記一般式(IV)中のYは、水素原子、−NHCOCH=CH、−NHCOC(CH)=CH、−SCOCH=CH、−SCOC(CH)=CH、−NHCONHCOCOCH=CH、−NHCONHCOCOC(CH)=CH2、−SCONHCOCOCH=CH、又は−SCONHCOCOC(CH)=CHである。)
【0019】
ここで、フッ素原子とケイ素原子のそれぞれの含有量は、パーフルオロアルキル基およびポリジメチルシロキサン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物(固形分)中に、フッ素原子含有量は5〜30重量%、ケイ素原子含有量は5〜30重量%を有するものが好ましい。さらに耐汚染性で重要となる撥水撥油性、汚染拭取り性の観点からフッ素原子含有量は10〜20重量%、ケイ素原子含有量は15〜25重量%含有するものが特に好ましい。また、この中でも、Xは硫黄原子、または、前記−NR−であることが好ましい。これらの例としては、下記の構造式で表される化合物が挙げられる。
【0020】
【化5】

【0021】
【化6】

【0022】
前記構造式(1)〜(15)中の繰り返し単位数m、nは、それぞれ独立に3〜30が好ましく、特に5〜20であることが好ましい。
【0023】
これらの中でも、構造式(5),(6),(7),(9),(12)、(13)、(14)で表される化合物は樹脂および溶剤等への溶解性、撥水撥油性とスベリ性とのバランス等が本発明の効果が顕著になる点から好ましい。
【0024】
前記含フッ素アクリレートは、例えば、下記の方法で得られる。
1.フッ素化アルキル基含有エポキシ化合物に、1級又は2級アミン変性ポリジメチルシロキサンを反応させる。次いで、生成したエポキシ基由来の水酸基をアクリル酸又はその誘導体、或いはアクリロイル基含有イソシアネート化合物と反応させることでアクリロイル基を導入し、本発明の含フッ素アクリレートを得る。
2.フッ素化アルキル基含有エポキシ化合物と1級アミン変性ポリジメチルシロキサンとを、エポキシ化合物のエポキシ基とポリジメチルシロキサンのアミノ基の当量比〔(エポキシ基の当量)/(アミノ基の活性水素当量)〕が1未満の範囲で反応させ、生成したたエポキシ基由来の水酸基と、エポキシ基との反応に供しなかったアミノ基中の活性水素について、上記1と同様の手法でアクリロイル基を導入し、本発明の含フッ素アクリレートを得る。
【0025】
3−1.フッ素化アルキル基含有エポキシ化合物にメルカプト変性ポリジメチルシロキサンを反応させる。次いで、生成したエポキシ基由来の水酸基を上記1と同様の手法でアクリロイル基を導入し、本発明の含フッ素アクリレートを得る。
3−2.フッ素化アルキル基含有チオール化合物にエポキシ変性ポリジメチルシロキサンを反応させる。次いで、生成したエポキシ基由来の水酸基を上記1と同様の手法でアクリロイル基を導入し、本発明の含フッ素アクリレートを得る。
【0026】
前記フッ素化アルキル基含有エポキシ化合物としては、例えば、下記の化合物が挙げられる(下記構造式中のGは、グリシジル基を表す。)。
C4F9SO2N(Bu)CH2CH2OG
C4F9CH2CH2OG
C6F13CH2CH2OG
GOCH2CH2C6F13CH2CH2OG
C8F17CH2CH2OG
C3F7OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CH2OG
C3F7OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CH2OG
GOCF(CF3)OCF2CF2OCF(CF3)CH2OG
【0027】
前記フッ素化アルキル基含有チオール化合物としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。
C4F9CH2CH2SH
C6F13CH2CH2SH
HSCH2CH2C6F13CH2CH2SH
C8F17CH2CH2SH
C3F7OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CH2CH2SH
C3F7OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CH2CH2SH
HSCH2CH2CF(CF3)OCF2CF2OCF(CF3)CH2CH2SH
【0028】
また、前記アミン変性ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、下記一般式(IIIa)で表される化合物が挙げられる。
【0029】
【化7】

【0030】
ここで、Rはメチル基を示し、R’はアミノ基含有有機基であり、aは0〜3の整数であり、mは1以上の整数であり、m+nは3以上の整数である。
【0031】
なお、変性ポリシロキサンの繰り返し数mは3〜80であることが好ましく、特に、10〜50が好ましい。また繰返し数nは0〜3で、且つ、aが3の場合、1〜3の整数を表す。mが3未満であると、防汚性および汚染拭取り性が不十分である傾向があり、50を超えると樹脂との相溶性が低下したり、また親油性汚染に対する耐汚染性が低下したりする傾向がある。
【0032】
また、使用される変性ポリジメチルシロキサンの粘度は10mm/sから5000mm/sであり、樹脂との相溶性および耐汚染性、スベリ性付与の観点から10mm/sから2000mm/sが好ましく、特に10mm/から200mm/sが好ましい。
【0033】
アミン変性ポリシロキサン一般式(III)において、R’で表されるアミノ基含有有機基としては、例えば、一般式(IV)(式中、R”は、炭素原子数1〜10の二価の炭化水素基である)で表されるアミノ基含有有機基、
−R”−NH(IV)
【0034】
及び一般式(V)(式中、R'''は、炭素原子数1〜10の二価の炭化水素基であり、R”は、前記と同義である)で表されるアミノ基含有有機基等が挙げられる。
−R”−NH−R'''−NH(V)
【0035】
前記一般式(IV)のR”で示される二価の炭化水素基としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン、オクチレン等のアルキレン基;シクロヘキシレン、シクロオクチレン、メチルシクロヘキシレン、ジメチルシクロヘキシレン等のシクロアルキレン基;フェニレン、トルイレン、キシリレン等の芳香族炭化水素基などが挙げられ、中でも好ましいのは、アルキレン基であり、さらに好ましくはプロピレン基である。前記一般式(IV)で表されるアミノ基含有有機基の具体例としては、例えば、γ−アミノプロピル基、β−アミノエチル基、4−アミノシクロヘキシル基、p−アミノフェニル基等が挙げられ、中でも好ましいのは、γ−アミノプロピル基である。
【0036】
また、前記メルカプト変性ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、下記一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。
【0037】
【化8】

【0038】
ここで、Aで表されるメルカプト基含有有機基としては、一般式(VII)で表されるメルカプト基含有有機基等が挙げらる。尚、式中、a、R、R”、m、nは前記一般式(III)と同様である。
−R”−SH (VII)
【0039】
また、前記エポキシ変性ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、下記一般式(VIII)で表される化合物が挙げられる。
【0040】
【化9】

【0041】
ここで、一般式(VIII)中のBで表されるメルカプト基含有有機基としては、で表されるエポキシ基含有有機基等が挙げらる。尚、式中、a、R、R”、m、nは前記一般式(III)と同様である。
【0042】
【化10】

【0043】
前記アクリル酸としては、アクリル酸、メタアクリル酸が挙げられる。又はその誘導体としては、アクリル酸、メタアクリル酸のそれぞれの酸ハロゲン化物、それぞれのアルキルエステル等が挙げられる。またアクリロイル基含有イソシアネート化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシネート、1,1−ビス(アクリロイルメチル)エチルイソシアネートが挙げられる。
【0044】
前記の製造方法において、エポキシ化合物とアミノ基、メルカプト基等の活性水素含有化合物との反応条件は、下記の条件が好ましい。反応溶媒は、メタノール等のアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒類、MEK、MIBK等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、DMF、DMSO等の極性溶媒などが挙げられる。なお、無溶媒で反応を行ってもよい。反応温度は40−160℃が好ましく、より好ましくは80−120℃である。反応をより促進させるために、触媒を用いることもできる。このとき用いることができる触媒としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等のアミン類、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリブチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルフェニルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムヨーダイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヨーダイド等の第4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−m−トルイルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィナスクロライド、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン等の有機ホスフィン化合物を挙げることができる。上記触媒の添加量は、反応混合物全体に対して0.001〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜3.0重量%である。反応時間は0.5〜10時間が好ましく、より好ましくは2〜4時間である。
【0045】
前記の製造方法において、アクリロイル基を導入する際の反応条件は、下記の条件が好ましい。アクリル酸、メタアクリル酸を使用する場合には好ましくは触媒が用いられる。用いられる触媒としては、種々の例えば塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。触媒の添加量は反応混合物に対して0.001〜10.0重量%が好ましく、特に0.01〜5.0重量%が好ましい。
【0046】
反応時の重合防止のために重合禁止剤、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン等を添加するのが好ましい。添加量は、反応混合物に対して0.001〜5.0重量%が好ましく、特に0.01〜0.5重量%が好ましい。本発明における反応温度は60〜180℃が好ましく、特に80〜120℃が好ましい。また、反応時間は1〜48時間が好ましく、特に3〜10時間が好ましい。
【0047】
また、アクリル酸誘導体、例えばアクリル酸クロライドなどの酸ハロゲン化物を使用する場合、発生するハロゲン化水素を捕捉する目的で3級アミンなどの塩基が用いられ、種々の例えば、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアミノピリジンが挙げられる。上記、塩基の使用量は、反応に関与する官能基モル数に対し、1.0等量以上用いればよい。また反応溶媒は調製した含フッ素ポリシロキサン中の活性水素および酸ハロゲン化物に対して不活性であれば良く、例えばジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられ、反応物、生成物の溶解性および反応終了後の脱溶剤などの容易さから特にエステル系溶媒、エーテル系溶媒が好ましい。
【0048】
本発明のUV硬化性組成物は、本発明の含フッ素アクリレートが、必須成分として、含有していれば、特に制限なく、種々の成分を添加して使用できる。
【0049】
本発明のUV硬化性組成物に含有する本発明の含フッ素アクリレート以外の成分としては、UV硬化性樹脂、重合性モノマー、例えば、前記以外の含フッ素アクリレート類、非フッ素系アクリレート類、アクリレート以外の重合性モノマー、例えば、ビニルモノマー類等が挙げられる。
【0050】
本発明の含フッ素アクリレート以外の成分中のアクリレートとしては、例えば、分子内に少なくとも一個の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化型(メタ)アクリレート類を用いることが出来る。前記の紫外線硬化型(メタ)アクリレート類具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロベンジルアクリレート、ジシクロペンテニルエチレングリコール付加物(メタ)アクリレートフェニルグリシジルエーテルエポキシアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ(ポリ)エチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールエトキシ化アクリレート、アクリロイルオキシエチルフタル酸、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェノールエトキシ化(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、メタクリロイルオキシエチル酸、メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、メタクリロイルオキシエチルフタル酸、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、N−メチロールアクリルアマイド、N−メトキシメチルアクリルアマイド、N−エトキシメチルアクリルアマイド、N−n−ブトキシメチルアクリルアマイド、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、N−メチルアクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、グリシジル(メタ)アクリレート、n−ブチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、メタクリル酸アリル、セチルメタクリレート、ペンタデシルメタアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシエチル琥珀酸、イミド(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、グリコールジアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリロイルフォスフェート、ビスフェノールAエチレングリコール付加物アクリレート、ビスフェノールFエチレングリコール付加物アクリレート、トリシクロデカンメタノールジアクリレート、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートジアクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレングリコール付加物トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレングリコール付加物トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリアクリレート、変性ε−カプロラクトントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、グリセリンプロピレングリコール付加物トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエチレングリコール付加物テトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、フッ素化(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、イミド化(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
前記の本発明の含フッ素アクリレート以外の(メタ)アクリレート類は、単独もしくは任意に混合して使用することができる。これらの中でも、分子内に(メタ)アクリロイル基を2個以上含有する多官能(メタ)アクリレートモノマーもしくはオリゴマーが重合後の皮膜が硬く、耐擦傷性が良好であることから、好ましい。
【0052】
また、前記アクリレート以外の重合性モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチラート、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和カルボン酸のニトリル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、α−ハロスチレン、ビニルナフタリン、ジビニルスチレン等の芳香族環を有するビニル化合物;イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、エチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
【0053】
また、本発明のUV硬化性組成物中には、必要に応じて、スリップ剤、酸化防止剤、硬化促進剤、チキソトロピー付与剤、レベリング剤、消泡剤、pH調整剤などの添加剤を加えることができ、またテープやフィルムやシートなどの基材との密着性を向上する目的で、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂などの前記以外のポリマーも添加することができる。
【0054】
また、本発明のUV硬化性組成物中には、必要に応じて、スリップ剤、酸化防止剤、硬化促進剤、チキソトロピー付与剤、レベリング剤、消泡剤、pH調整剤などの添加剤を加えることができ、またテープやフィルムやシートなどの基材との密着性を向上する目的で、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂などのポリマーも添加することができる。
【0055】
本発明のUV硬化性組成物の用途としては、CRT、LCD、プロジェクター、PDP、ELパネル、さらにはFEDなどをはじめとする防汚性が要求される各種のディスプレイ、或いは表面汚染が機能障害に直結する光ディスクなどの防汚コーティング層として好適である。
【0056】
上記コーティング層は、透明フィルム表面に一層コーティングし、乾燥して溶媒を揮発させた後、紫外線を照射して、瞬時に硬化させることによって得ることができる。フィルムなどの表面にコーティングする方法としては、例えば、浸漬法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、噴霧法、スピンコート法などの従来種々の方法を適用できる。フィルム上に形成される場合、コーティング層の厚さとしては、0.01μm以上であることが、硬化性およびハードコート性が良好であり、特に0.01〜50μmが好ましく、0.1〜10μmの厚さが一層好ましい。
【0057】
本発明のUV硬化性組成物に含まれる、本発明の含フッ素アクリレートの配合比率としては、UV硬化性組成物全量の0.01重量%以上であることが、UV硬化性組成物を硬化した際に、その硬化物が強固な防汚性(撥水撥油性)を有することから好ましく、また、5重量%以下であることが、樹脂との相溶性が良好であり、その結果、塗膜透明性が良好であったり、高い塗膜硬度の塗膜が得られることから好ましい。これらのなかでも、0.1〜1重量%の添加量であることが塗膜物性と防汚性をよりバランスよく両立できる点から、特に好ましい。
【実施例】
【0058】
(実施例1・・・化合物番号3)
50ml反応容器に下記構造式*2で表されるパーフルオロアルキルグリシジルエーテル8.4gと、アミン変性ポリシロキサン X22−161A(信越シリコーン社製、官能基当量800g/mol)15.8gを加え、150℃で5時間加熱攪拌した。反応進行とともに、懸濁状から均一透明となる。室温に冷却した後、酢酸エチル100gを加え溶解したのち、10℃以下に冷却した。このものにトリエチルアミン5.0g加えた後、アクリル酸クロライド8.0gを20分かけて滴下した。滴下終了後、室温で更に3時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を水、飽和食塩水で洗浄し、有機層を分取した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下、酢酸エチルを留去、乾燥させることで橙色透明オイル状の目的化合物(前記化合物番号3で表される含フッ素アクリレート)24.2gを得た。
【0059】
【化11】

【0060】
(実施例2・・・化合物番号5)
50ml反応容器に下記構造式*1で表されるパーフルオロポリエーテルグリシジルエーテル*13.7gとアミン変性シリコーンオイルKF−8010(信越シリコーン社製、官能基当量450g/mol) 22.9gを加え、150℃で5時間加熱攪拌した。反応進行とともに、懸濁状から均一透明となる。室温に冷却した後、酢酸エチル100gを加え溶解したのち、10℃以下に冷却した。このものにトリエチルアミン5.0g加えた後、アクリル酸クロライド8.0gを20分かけて滴下した。滴下終了後、室温で更に3時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を水、飽和食塩水で洗浄し、有機層を分取した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下、酢酸エチルを留去、乾燥させることで橙色透明オイル状の目的化合物(前記化合物番号5で表される含フッ素アクリレート)23.0gを得た。
【0061】
【化12】

【0062】
(実施例3・・・化合物番号11)
200ml反応容器にエポキシ変性シリコーンオイルX22−163B(信越シリコーン社製、官能基当量 1750g/mol) 17.5g、2−ヘプタデカフルオロヘキシルエチルメルカプタン 4.8g、メチルエチルケトン22.3gを加え、溶解均一とした。この溶液に窒素ガスを15分間通気し、溶存酸素を十分除去した後、トリフェニルホスフィン0.1gを加えた。このものを還流温度で10時間加熱攪拌した。次に減圧下で溶媒を留去することで含フッ素シリコーンオイルを得た。このものを酢酸エチル100ml、トリエチルアミン5.0g加え溶解させた後、10℃以下に冷却した。このものにアクリル酸クロライド4.0gを20分かけて滴下した。滴下終了後、室温で更に3時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を水、飽和食塩水で洗浄し、有機層を分取した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下、酢酸エチルを留去、乾燥させることで橙色透明オイル状の目的化合物(前記化合物番号11で表される含フッ素アクリレート)17.0gを得た。
【0063】
(実施例4・・・化合物番号12)
200ml反応容器にメルカプト変性シリコーンオイルKF−2001(信越シリコーン社製、官能基当量 1900g/mol) 19.0g、合成例2で使用したパーフルオロポリエーテルグリシジルエーテル 5.4g、メチルエチルケトン22.3gを加え、溶解均一とした。この溶液に窒素ガスを15分間通気し、溶存酸素を十分除去した後、トリフェニルホスフィン0.1gを加えた。このものを還流温度で10時間加熱攪拌した。次に減圧下で溶媒を留去することで含フッ素シリコーンオイルを得た。このものを酢酸エチル100ml、トリエチルアミン3.0g加え溶解させた後、10℃以下に冷却した。このものにアクリル酸クロライド2.0gを20分かけて滴下した。滴下終了後、室温で更に3時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を水、飽和食塩水で洗浄し、有機層を分取した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下、酢酸エチルを留去、乾燥させることで橙色透明オイル状の目的化合物(前記化合物番号12で表される含フッ素アクリレート)18.0gを得た。
【0064】
(実施例5・・・化合物番号13)
実施例1と同様の手法により調整した、パーフルオロアルキルグリシジルエーテルとアミン変性ポリシロキサンの反応生成物を酢酸ブチル100gに溶解させた。このものにジブチル錫ジラウレート0.15gを加えた後、内温50−60℃を維持したままアクリロイルエチルイソシアネート5.75gを20分で滴下した。同温度で2時間加熱攪拌した後、さら80℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、減圧下で酢酸ブチルを留去、濃縮することで目的の淡黄色液体の目的化合物(前記化合物番号13で表される含フッ素アクリレート)30.0gを得た。
【0065】
(実施例6・・・化合物番号14)
実施例2と同様の手法により調整した、パーフルオロポリエーテルグリシジルエーテルとアミン変性シリコーンオイルの反応生成物36.6を酢酸ブチル50gに溶解させた。このものにジブチル錫ジラウレート0.18gを加えた後、内温50−60℃を維持したままアクリロイルエチルイソシアネート11.1gを20分で滴下した。同温度で2時間加熱攪拌した後、さら80℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、減圧下で酢酸ブチルを留去、濃縮することで目的の淡黄色液体の目的化合物(前記化合物番号13で表される含フッ素アクリレート)47.8gを得た。
【0066】
実施例7〜18
実施例1〜6で得られた含フッ素アクリレートを、紫外線硬化型樹脂(大日本インキ化学工業 ユニディック17−806)100重量部(樹脂固形分)に対して、下記表1の添加量*1に記載された添加量(重量部)で添加し、このものをメチルエチルケトンで不揮発分50重量%にして配合組成物とした。100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、バーコーターで塗布、60℃で5分間乾燥した(乾燥膜厚10μm)。次いで紫外線照射装置でUV硬化を行い、硬化塗膜を得た(高圧水銀ランプ、120W、500mJ、空気下)。
【0067】
比較合成例1
含フッ素アルキル基とポリシロキサン基を含有する反応性共重合体の合成
前記特許文献2記載の方法に従った。温度計、攪拌器、コンデンサーを備えた丸底フラスコに、単量体として、パーフルオロオクチルエチルアクリレート20部、スチレン32.5部、メチルメタクリレート10部、β−ヒドロキシメタクリレート20部、ポリジメチルシロキサン鎖含有アクリレート(チッソ(株)社製FM−0721、Mn=〜5,000)3部、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン0.3部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.5部、溶剤としてメチルイソブチルケトン198.5部を秤取し、100℃で10時間反応し、共重合体を得た。GPC:Mn=〜7,700。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.5部、下記の化合物45.5部を加え、
【0068】
【化13】

80℃にて8時間反応した。未反応NCO基の滴定による定量の結果、一段目の反応で得られた共重合体中への二重結合の導入率は94.6%であった。GPC:Mn=8,000。さらに減圧下、メチルイソブチルケトンを留去することで目的の比較化合物を得た。
【0069】
比較例1〜3
比較合成例1で得られた含フッ素アルキル・ポリシロキサン重合性化合物を、紫外線硬化型樹脂(大日本インキ化学工業 ユニディック17−806)100重量部(樹脂固形分)に対して、下記表1の添加量*1に記載された添加量(重量部)で添加し、このものをメチルエチルケトンで不揮発分50重量%にして配合組成物とした。100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、バーコーターで塗布、60℃で5分間乾燥した(乾燥膜厚10μm)。次いで紫外線照射装置でUV硬化を行い、硬化塗膜を得た(高圧水銀ランプ、120W、500mJ、空気下)。
【0070】
〔評価サンプルの評価〕
スベリ性・・・動摩擦係数測定器にて動摩擦係数(μ)を測定。
マジック付着性・・・寺西化学工業社製青マジックインキの付着性を目視にて確認した。
×:はじきなし、△:若干はじきあり、○:はじきあり、◎:強くはじく
指紋付着性・・・右手親指を押し付け、指紋の付着状態を顕微鏡観察(倍率40倍)し、優劣を目視にて観察した。
×:未添加品と同様(べっとりと付着)、○:耐指紋付着良好
指紋拭取り性・・・指紋付着性試験で用いた試料を、JKワイパー(クレシア社製)で指紋汚れが目視において取れるまでの拭取り回数。
【0071】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数4−20のエーテル型酸素原子を有するパーフルオロアルキル基および/又は炭素数2−10のパーフルオロアルキル基と、ポリジメチルシロキサン鎖が下記一般式(I)で表される連結基により結合した(メタ)アクリレート化合物。(式中、Rは炭素数1−4のアルキレン鎖、Rは−OCOCH=CH、−OCO(CH)C=CH、−OCONHCHCHOCOCH=CH、−OCONHCHCHOCOC(CH)=CHで表される基であり、Rは、炭素数1−4のアルキレン鎖であり、Xは酸素原子、硫黄原子、−NR−、[ここで、Rは、−COCH=CH、−COC(CH)C=CH、−CONHCHCHOCOCH=CH、−CONHCHCHOCOC(CH)=CH、下記一般式(II){式中、Rは前記と同様であり、Rは炭素数1−4のアルキレン鎖である}である。])
【化1】

【化2】

【請求項2】
炭素数4−20のエーテル型酸素原子を有するパーフルオロアルキル基および/又は炭素数2−10のパーフルオロアルキル基と、下記一般式(III)又は(IV)で表されるポリジメチルシロキサン鎖とが、前記一般式(I)あるいは(II)(式中R、R、R、Rは前記と同様である。]で表される連結基により結合した請求項1記載の(メタ)アクリレート化合物。
【化3】

(式中mは5〜20の整数であり、Yは、水素原子、−NHCOCH=CH、−NHCOC(CH)=CH、−SCOCH=CH、−SCOC(CH)=CH、−NHCONHCOCOCH=CH、−NHCONHCOCOC(CH)=CH2、−SCONHCOCOCH=CH、又は−SCONHCOCOC(CH)=CHである。)
【請求項3】
珪素原子含有量が、(メタ)アクリレート化合物(固形分)中の5〜30重量%である請求項1記載の(メタ)アクリレート化合物。
【請求項4】
フッ素原子含有量が、前記(メタ)アクリレート化合物(固形分)中の5〜30重量%である請求項1記載の(メタ)アクリレート化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の(メタ)アクリレート化合物を含有するUV硬化性組成物。

【公開番号】特開2009−249558(P2009−249558A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101335(P2008−101335)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】