説明

含フッ素ポリマーラテックス、その製造方法および含フッ素ポリマー

【課題】 含フッ素ポリマーラテックスの生産性に優れ、また、得られる含フッ素ポリマーラテックスの貯蔵安定性に優れる含フッ素ポリマーラテックスの製造方法およびその含フッ素ポリマーラテックスを提供する。
【解決手段】 一般式(1):F(CFO(CFCFO)CFCOOA
(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、nは3〜10の整数であり、mは0または1〜3の整数である)で表される含フッ素乳化剤を0.001〜10.0質量%含有させた水性媒体中で含フッ素モノマーを乳化重合して含フッ素ポリマーラテックスを得ることを特徴とする含フッ素ポリマーラテックスの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の含フッ素乳化剤により安定化された含フッ素ポリマーラテックスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より各種の乳化剤を用いて水性媒体中で含フッ素モノマー単独または含フッ素モノマーとその他のモノマーを共重合させる方法が広く用いられおり、各種の乳化剤が提案されてきた(特許文献1、特許文献2参照)。
これらの乳化剤の種類によって、含フッ素モノマーの重合速度や含フッ素ポリマーラテックスの貯蔵安定性、また得られる含フッ素ポリマーの分子量や各種の物性が変化することが知られている。
しかし、含フッ素モノマーの重合速度や含フッ素ポリマーラテックスの貯蔵安定性については未だ十分でなく、さらに優れたものが要望されている。
【0003】
【特許文献1】米国特許第3271341号公報
【特許文献2】特開2002−317003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特定の含フッ素乳化剤を用いた乳化重合により、含フッ素ポリマーラテックスの生産性に優れる含フッ素ポリマーラテックスの製造方法およびその含フッ素ポリマーラテックスを提供することを目的とする。また、得られる含フッ素ポリマーラテックスの貯蔵安定性に優れる含フッ素ポリマーラテックスの製造方法およびその含フッ素ポリマーラテックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、一般式(1):F(CFO(CFCFO)CFCOOA
(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、nは3〜10の整数であり、mは0または1〜3の整数である)で表される含フッ素乳化剤を含有することを特徴とする含フッ素ポリマーラテックスを提供する。
また、本発明は、上記含フッ素ポリマーラテックスにおいて、含フッ素ポリマーが、四フッ化エチレン(以下、TFEと記す)、フッ化ビニリデン(以下、VdFと記す)、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPと記す)、CF=C(OR2−n(式中、Rは炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基または分子内に1個以上のエーテル結合を含むパーフルオロオキシアルキレン基であり、nは1または2であり、いずれの炭素鎖も直鎖状でも分岐を含んでも、また環状構造を有してもよい)、クロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEと記す)からなる群より選ばれる少なくとも1種の含フッ素モノマー、必要に応じてCH=CHOR(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはエーテル結合を1個以上含むオキシアルキレン基であり、いずれの炭素鎖も直鎖状でも分岐を含んでも、また環状構造を有してもよい)、プロピレン(以下、Pと記す)、エチレン(以下、Eと記す)、よりなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー、および必要に応じて10モル%以下の架橋基含有モノマーとの共重合体である含フッ素ポリマーラテックスを提供する。
【0006】
また、本発明は、上記含フッ素ポリマーラテックスにおいて、含フッ素ポリマーがTFE重合体、TFE/CTFE共重合体、TFE/P共重合体、TFE/HFP共重合体、VdF/HFP共重合体、TFE/VdF/HFP共重合体、TFE/CF=CFOCF共重合体、TFE/CF=CFOC共重合体、TFE/CF=CFOCF/CF=CFOC共重合体、TFE/CF=C(OC共重合体、TFE/メチルビニルエーテル(以下、MVEと記す)共重合体、TFE/エチルビニルエーテル(以下、EVEと記す)共重合体、TFE/ノルマルブチルビニルエーテル(以下、BVEと記す)共重合体、TFE/EVE/BVE共重合体、VdF/CF=CFOC共重合体、E/HFP共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である含フッ素ポリマーラテックスを提供する。
【0007】
また、本発明は、上記含フッ素ポリマーラテックスにおいて、含フッ素ポリマーがTFE重合体、TFE(40〜60モル%)/P(60〜40モル%)共重合体、TFE(40〜70モル%)/CF=CFOCF(60〜30モル%)共重合体、TFE(40〜70モル%)/CF=CFOC(60〜30モル%)共重合体、TFE(40〜70モル%)/CF=C(OC(60〜30モル%)共重合体、TFE(70〜30モル%)/MVE(30〜70モル%)共重合体、TFE(70〜30モル%)/EVE(30〜70モル%)共重合体、TFE(70〜30モル%)/BVE(30〜70モル%)共重合体、TFE(60〜30モル%)/EVE(1〜69モル%)/BVE(1〜69モル%)共重合体、VdF(40〜70モル%)/CF=CFOC(60〜30モル%)共重合体、E(40〜60モル%)/HFP(60〜40モル%)共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である含フッ素ポリマーラテックスを提供する。
【0008】
また、本発明は、上記含フッ素ポリマーラテックスにおいて、含フッ素乳化剤がF(CFOCFCFOCFCOOA(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、nは3または4である)である含フッ素ポリマーラテックスを提供する。
また、本発明は、一般式(1):F(CFO(CFCFO)CFCOOA
(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、nは3〜10の整数であり、mは0または1〜3の整数である)で表される含フッ素乳化剤を0.001〜10.0質量%含有させた水性媒体中で含フッ素モノマーを乳化重合して含フッ素ポリマーラテックスを得ることを特徴とする含フッ素ポリマーラテックスの製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記含フッ素ポリマーラテックスの製造方法において、含フッ素モノマーがTFE、VdF、HFP、CF=C(OR2−n(式中、Rは炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基または分子内に1個以上のエーテル結合を含むパーフルオロオキシアルキレン基であり、nは1または2であり、いずれの炭素鎖も直鎖状でも分岐を含んでも、また環状構造を有してもよい)、CTFEからなる群より選ばれる少なくとも1種の含フッ素モノマーであり、さらにCH=CHOR(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはエーテル結合を1個以上含むオキシアルキレン基であり、いずれの炭素鎖も直鎖状でも分岐を含んでも、また環状構造を有してもよい)、プロピレン(以下、Pと記す)、エチレン(以下、Eと記す)、よりなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー、および必要に応じて10モル%以下の架橋基含有モノマーを共重合させる含フッ素ポリマーラテックスの製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記含フッ素ポリマーラテックスの製造方法において、含フッ素乳化剤がF(CFOCFCFOCFCOOA(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、nは3または4である)である含フッ素ポリマーラテックスの製造方法を提供する。
また、本発明は、上記含フッ素ポリマーラテックスの製造方法で得られた含フッ素ポリマーラテックスを含フッ素ポリマー濃度が30質量%以上に濃縮して得られる含フッ素ポリマーラテックスを提供する。
また、本発明は、上記含フッ素ポリマーラテックスの製造方法より得られた含フッ素ポリマーラテックスを凝集して得られる含フッ素ポリマーを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の含フッ素ポリマーラテックスの製造方法によると、含フッ素モノマーの重合速度が大きく、また、含フッ素ポリマーラテックスの生産性に優れている。さらに、得られた含フッ素ポリマーラテックスの貯蔵安定性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の含フッ素ポリマーラテックスの製造方法においては、一般式(1)で表される含フッ素乳化剤を含有した水性媒体中で含フッ素モノマーを乳化重合する。
乳化重合に供する含フッ素モノマーとしては、TFE、VdF、HFP、CF=C(OR2−n(Rは炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基または分子内に1個以上のエーテル結合を含むパーフルオロオキシアルキレン基であり、nは1または2であり、いずれの炭素鎖も直鎖状でも分岐を含んでも、また環状構造を有してもよい)で表されるパーフルオロ(アルキルまたはアルキレンビニルエーテル)、CTFEから選ばれる少なくとも1種の含フッ素モノマーが挙げられる。この含フッ素モノマーは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
【0013】
また、含フッ素モノマー以外に、CH=CHOR(Rは炭素数1〜8のアルキル基またはエーテル結合を1個以上含むオキシアルキレン基であり、いずれの炭素鎖も直鎖状でも分岐を含んでも、また環状構造を有してもよい)、P、E等の共重合性モノマーの1種または2種以上を共重合させてもよい。
また、乳化重合に供する重合性モノマーとしては、上記モノマーだけでなく、10モル%以下の架橋基含有モノマーを含んでもよい。該架橋基含有モノマーの例としては、1−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル(以下、BrVEと記す)、クロトン酸ビニル、メタクリル酸ビニル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、イタコン酸などを例示することができる。架橋基含有モノマーの重合割合の好ましい範囲は、0.001〜5モル%であり、0.01〜3モル%が特に好ましい。
【0014】
本発明は、一般式(1):F(CFO(CFCFO)CFCOOA
(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、nは3〜10の整数であり、mは0または1〜3の整数である)で表される含フッ素乳化剤の1種または2種以上を含有することを特徴とする。
Aにおける前記アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等を例示することができる。Aとしては、特にNH又はナトリウムがより好ましく、NHが最も好ましい。
特に好ましい含フッ素乳化剤としては、次のものが例示できるが、これらのみに限定されるものではない。
【0015】
Aが水素原子の場合の具体例としては、COCFCFOCFCOOH、COCFCFOCFCOOH、C11OCFCFOCFCOOH、C13OCFCFOCFCOOH、CO(CFCFO)CFCOOH、CO(CFCFO)CFCOOH、C11O(CFCFO)CFCOOH、C13O(CFCFO)CFCOOH、CO(CFCFO)CFCOOH、CO(CFCFO)CFCOOH、C11O(CFCFO)CFCOOH、C13O(CFCFO)CFCOOH等を例示することができる。
【0016】
Aがリチウムの場合の具体例としては、COCFCFOCFCOOLi、COCFCFOCFCOOLi、C11OCFCFOCFCOOLi、C13OCFCFOCFCOOLi、CO(CFCFO)CFCOOLi、CO(CFCFO)CFCOOLi、C11O(CFCFO)CFCOOLi、C13O(CFCFO)CFCOOLi、CO(CFCFO)CFCOOLi、CO(CFCFO)CFCOOLi、C11O(CFCFO)CFCOOLi、C13O(CFCFO)CFCOOLi等を例示することができる。
【0017】
Aがナトリウムの場合の具体例としては、COCFCFOCFCOONa、COCFCFOCFCOONa、C11OCFCFOCFCOONa、C13OCFCFOCFCOONa、CO(CFCFO)CFCOONa、CO(CFCFO)CFCOONa、C11O(CFCFO)CFCOONa、C13O(CFCFO)CFCOONa、CO(CFCFO)CFCOONa、CO(CFCFO)CFCOONa、C11O(CFCFO)CFCOONa、C13O(CFCFO)CFCOONa等を例示することができる。
【0018】
Aがカリウムの場合の具体例としては、COCFCFOCFCOOK、COCFCFOCFCOOK、C11OCFCFOCFCOOK、C13OCFCFOCFCOOK、CO(CFCFO)CFCOOK、CO(CFCFO)CFCOOK、C11O(CFCFO)CFCOOK、C13O(CFCFO)CFCOOK、CO(CFCFO)CFCOOK、CO(CFCFO)CFCOOK、C11O(CFCFO)CFCOOK、C13O(CFCFO)CFCOOK等を例示することができる。
【0019】
AがNHの場合の具体例としては、COCFCFOCFCOONH、COCFCFOCFCOONH、C11OCFCFOCFCOONH、C13OCFCFOCFCOONH、CO(CFCFO)CFCOONH、CO(CFCFO)CFCOONH、C11O(CFCFO)CFCOONH、C13O(CFCFO)CFCOONH、CO(CFCFO)CFCOONH、CO(CFCFO)CFCOONH、C11O(CFCFO)CFCOONH、C13O(CFCFO)CFCOONH等を例示することができる。
【0020】
本発明における含フッ素乳化剤としては、COCFCFOCFCOONH、COCFCFOCFCOONH、C13OCFCFOCFCOONH、CO(CFCFO)CFCOONH、CO(CFCFO)CFCOONHが特に好ましく、とりわけCOCFCFOCFCOONHおよびCOCFCFOCFCOONHが好ましい。
本発明においては、上記含フッ素乳化剤を0.001〜10.0質量%含有させた水性媒体中で含フッ素モノマーを乳化重合して含フッ素ポリマーラテックスを得る。含フッ素乳化剤の水性媒体中の含有量は、好ましくは0.001〜5質量%であり、特に好ましくは0.01〜3質量%である。
【0021】
本発明の含フッ素乳化剤は既存のパーフルオロオクタン酸アンモニウム等のエーテル性酸素を持たない乳化剤や、パーフルオロアルキル基が分岐した構造をもつ乳化剤と比較して、同濃度の水溶液の動的表面張力が低くなるため、重合時のガス状単量体の反応性が高く、また得られた含フッ素ポリマーラテックスの濡れ性および浸透性が高いという特徴を有する。
特にTFE/P共重合体やTFE/P/VdF共重合体の重合反応において、ガス状単量体の水性媒体中への溶解度がパーフルオロオクタン酸アンモニウムと比較して非常に高く、生産性の向上を図ることができる。
【0022】
乳化重合で使用される重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤を用いることができ、特に水溶性重合開始剤が好ましい。水溶性重合開始剤の具体例としては、過硫酸アンモニウム塩などの過硫酸類、過酸化水素あるいはこれらと亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどの還元剤との組合わせからなるレドックス重合開始剤、さらにこれらに少量の鉄、第一鉄塩、硫酸銀などを共存させた系の無機系重合開始剤、またはジコハク酸過酸化物、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩などの有機系重合開始剤等を例示することができる。
重合開始剤は、乳化重合の最初から添加してもよいし、乳化重合の途中から添加してもよい。
重合開始剤の添加量は、重合に用いるモノマーに対し、0.0001〜3質量%が好ましく、0.001〜1質量%が特に好ましい。
【0023】
含フッ素モノマーの重合において、分子量を制御する連鎖移動剤を使用できる。
連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール類、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等のクロロフルオロハイドロカーボン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等のハイドロカーボン、Rf2(ここで、Rf2は炭素数1〜16の飽和ポリフルオロアルキレン基である。)、Rf3IBr(ここで、Rf3は炭素数1〜16の飽和ポリフルオロアルキレン基である。)等が挙げられる。Rf2としては、1,4−ジヨードパーフルオロブタンが好ましい。また、Rf3IBrとしては、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタンが好ましい。
本発明の含フッ素ポリマーラテックス製造のための乳化重合条件は、目的とする含フッ素ポリマーの種類や含フッ素モノマーの共重合比率、重合開始剤の分解温度などによって選択される。重合圧力は0MPaG以上20MPaG以下が好ましく、特に0.3MPaG以上10MPaG以下が好ましく、とりわけ0.3MPa以上5MPa以下が好ましい。重合温度は0℃以上100℃以下が好ましく、特に10℃以上80℃以下が好ましい。
【0024】
本発明の含フッ素ポリマーラテックスの製造方法により、製造される含フッ素ポリマーの典型例の一つとしては、TFE重合体(以下、PTFEと記す)が挙げられる。
なお、PTFEは、TFEのホモポリマーだけでなく、溶融流動性を発現しない程度の少量の他のコモノマーを共重合させて変性した変性PTFEも含む。該コモノマーとしてはHFP、CTFE、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、PAVEと記す)等を例示することができる。PAVEにおけるアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましい。
また、含フッ素ポリマーの他の典型例としては、TFE/PAVE共重合体、TFE/HFP/PAVE共重合体、TFE/E共重合体、TFE/P/VdF共重合体、TFE/PAVE共重合体を例示することができる。ここで、TFE/PAVE共重合体とは、TFEとPAVEを共重合させて得られる共重合体を意味しており、他の共重合体も同様の意味である。
【0025】
本発明の含フッ素ポリマーラテックスの製造方法は、含フッ素ポリマーの製造に好適である。
含フッ素ポリマーの好適な具体例としては、例えば、PTFE、TFE/CTFE共重合体、TFE/P共重合体、TFE/HFP共重合体、VdF/HFP共重合体、TFE/VdF/HFP共重合体、TFE/CF=CFOCF共重合体、TFE/CF=CFOC共重合体、TFE/CF=CFOCF/CF=CFOC共重合体、TFE/CF=C(OC共重合体、TFE/MVE共重合体、TFE/EVE共重合体、TFE/BVE共重合体、TFE/EVE/BVE共重合体、VdF/CF=CFOC共重合体、E/HFP共重合体等が挙げられる。
特にPTFE、TFE/P共重合体、TFE/P/VdF共重合体、TFE/PAVE共重合体の製造に好適である。
【0026】
上記共重合体における各モノマーの重合単位のモル比は、特に制限なく、要求される特性に応じて適宜選定すればよい。例えば、TFE/P共重合体におけるTFEの重合単位/Pの重合単位のモル比は、40/60〜70/30が好ましく、50/50〜60/40がより好ましい。また、TFE/PAVE共重合体における、PAVEのパーフルオロアルキル基は、炭素原子数1〜8が好ましく、パーフルオロアルキル基中にはエーテル性の酸素原子を含んでもよい。該パーフルオロアルキル基は直鎖状のものでも、分岐状のものでも、またそれらの混合物でもよい。パーフルオロアルキル基としては、CF基、C基、COC基、COCOC基がより好ましい。
また、TFE/PAVE共重合体におけるTFEの重合単位/PAVEの重合単位のモル比は、85/15〜25/75が好ましく、75/25〜40/60がより好ましい。
【0027】
含フッ素ポリマーの特に好適な具体例としては、例えば、PTFE、TFE(40〜60モル%)/P(60〜40モル%)共重合体、TFE(40〜70モル%)/CF=CFOCF(60〜30モル%)共重合体、TFE(40〜70モル%)/CF=CFOC(60〜30モル%)共重合体、TFE(40〜70モル%)/CF=C(OC(60〜30モル%)共重合体、TFE(70〜30モル%)/MVE(30〜70モル%)共重合体、TFE(70〜30モル%)/EVE(30〜70モル%)共重合体、TFE(70〜30モル%)/BVE(30〜70モル%)共重合体、TFE(60〜30モル%)/EVE(1〜69モル%)/BVE(1〜69モル%)共重合体、VdF(40〜70モル%)/CF=CFOC(60〜30モル%)共重合体、E(40〜60モル%)/HFP(60〜40モル%)共重合体等が挙げられる。ここで、TFE(40〜60モル%)/P(60〜40モル%)共重合体とは、TFEとPを40〜60モル%:60〜40モル%の割合で共重合させて得られる共重合体を意味しており、他の共重合体も同様の意味である。
【0028】
本発明の含フッ素ポリマーラテックスは、他の乳化剤を用いて製造した含フッ素ポリマーラテックスに本発明の乳化剤を添加して乳化剤の置換を行ったり、乳化重合法で製造することができ、特に乳化重合法により製造するのが好ましい。
本発明の含フッ素乳化剤を含有する含フッ素ポリマーラテックスは、ふっ素樹脂ハンドブック(p32、1990年日刊興業新聞社発行、里川孝臣編集)に記載されるように、ED法(Electro−decantation法または電気濃縮法とも称される)、遠心沈降法、加熱沈降法などの種々の方法により、濃縮することができる。
【0029】
濃縮の程度は含フッ素ポリマーラテックスにおける含フッ素ポリマー濃度が30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上が特に好ましい。含フッ素ポリマー濃度の上限は、80質量%以下が好ましく、70質量%以下が特に好ましい。
含フッ素ポリマーがPTFEの場合には、得られるPTFE高濃度ラテックス組成物は、PTFE濃度が30〜70質量%であることが好ましく、50〜70質量%であることがより好ましく、55〜70質量%であることが特に好ましい。
【0030】
濃縮の際にはラテックス安定化剤として、本発明の乳化剤や他の炭化水素系乳化剤を添加することにより、ラテックスを安定化させることが好ましい。炭化水素系乳化剤としてはアニオン性乳化剤やノニオン性乳化剤が好ましく、ノニオン性乳化剤がより好ましい。
本発明で製造した含フッ素ポリマーラテックスは公知の方法で凝集させて含フッ素ポリマーを取り出すことができる。凝集には金属塩等を用いる塩析法や、塩酸などの無機酸を用いる酸凝集法、機械的剪断による方法、凍結解凍による方法など所望の方法を用いることができる。
【0031】
本発明の方法で製造した含フッ素ポリマーがエラストマー物性を有する場合には、公知の方法で架橋反応を行うことができる。架橋反応の具体例としてはパーオキサイド架橋、ポリオール架橋、アミン架橋、トリアジン架橋等を例示することができ、配合物の生産性、耐熱性、耐薬品性からパーオキサイド架橋を好ましく用いることができる。
パーオキサイド架橋における有機過酸化物は、架橋剤であり、加熱等により過酸化物ラジカルを発生するものが好ましい。具体例としては、ジtert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3等のジアルキルパーオキシド類、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシマレイン酸、tert−ブチルパーオキシソプロピルカーボネート等が挙げられる。特に、好ましいものはジアルキルパーオキシド類である。一般に、有機過酸化物の活性、分解温度等から、使用する有機過酸化物の種類及び含フッ素エラストマー組成物中の含有量が選定される。
【0032】
有機過酸化物の含有量は、含フッ素エラストマーの100質量部に対して0.3〜10質量部である。この範囲にあると強度と伸びのバランスのとれた架橋物性が得られる。好ましくは、0.3〜5質量部であり、とりわけ0.5〜3質量部が好ましい。
本発明の方法により製造した含フッ素エラストマーは、架橋助剤を含有することが好ましい。架橋助剤を含有すると、生成したラジカルが架橋剤と有効に反応し架橋効率が高くなる。架橋助剤としては、過酸化物ラジカル及び含フッ素エラストマーの分子上のラジカルに対して反応活性を有する化合物が挙げられる。
【0033】
具体例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、N,N′,N′′,N′′′−テトラアリルテレフタールアミド、ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルビニルシロキサン等のビニル基含有シロキサンオリゴマー等を例示でき、特にトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートが好ましく、とりわけトリアリルイソシアヌレートが好ましい。
【0034】
架橋助剤の含有量は、含フッ素エラストマー100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。この範囲にあると強度と伸びのバランスのとれた架橋物性が得られる。
さらに、本発明の含フッ素エラストマーを架橋させる際には、着色させるための顔料、充填剤、補強剤などを配合してもよい。通常よく用いられる充填剤または補強剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、二酸化珪素、クレー、タルク、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、四フッ化エチレン/エチレン共重合体、四フッ化エチレン/プロピレン共重合体、四フッ化エチレン/フッ化ビニリデン共重合体などを例示できる。
本発明の方法により製造した含フッ素ポリマーラテックスを凝集させた廃液中に含まれる、含フッ素乳化剤は公知の方法で回収し、再利用することができる。回収法としては、強塩基性アニオン交換樹脂または弱塩基性アニオン交換樹脂に吸着させる方法、合成吸着剤に吸着させる方法、活性炭に吸着させる方法、層状複水酸化物に内包させる方法、排水を濃縮する方法等を例示することができる。上記の方法により回収した本発明に使用される含フッ素乳化剤は公知の方法で再生することができる。
【実施例】
【0035】
以下に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。なお、本発明は、これらの例によって、何ら制限されるものではない。
【0036】
(実施例1)
攪拌翼を備えた内容積3200ccのステンレス製耐圧容器に1500gのイオン交換水、40gのリン酸水素二ナトリウム12水和物、0.5gの水酸化ナトリウム、198gの第三級ブタノール、8gのCOCFCFOCFCOONH(以下、BEAという)、2.5gの過硫酸アンモニウムを加えた。さらに予め200gのイオン交換水に0.4gのEDTA(エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム塩・2水和物、以下同じ)および0.3gの硫酸第一鉄7水和物を溶解させた水溶液を投入した。これにTFEとPをTFE/Pのモル比が85/15かつ25℃における反応器内圧が2.5MPaGになるように圧入した。攪拌機を300rpmで回転させ、2.5質量%のロンガリット水溶液を添加し、重合反応を開始させた。
【0037】
重合反応の開始に伴い、反応器内圧が0.01MPa分降下した時点で予め調整しておいた56/44(モル比)のTFE/P混合ガスを圧入し、反応器内圧を2.51MPaGに昇圧させた。これを繰り返し、反応器内圧を2.49〜2.51MPaGになるようにTFE/P混合ガスを逐次添加させ、重合反応を続けた。混合ガスの添加量の総量が800gとなった時点で、ロンガリット水溶液の添加を停止し、反応器内温を10℃に冷却させ、重合反応を停止させた。重合により消費したロンガリット水溶液は30.0gであった。重合時間は約5.5時間であった。以上の操作によってBEAを含むTFE/P共重合体ラテックスを得た。乳化重合中に発生した凝集物を採取し、オーブンにて120℃で12時間乾燥後の質量を測定したところ、4.8gであった。
【0038】
該ラテックスを5質量%塩化カルシウム水溶液に添加して、塩析によりラテックスを凝集させ、TFE/P共重合体を得た。該共重合体を濾過およびイオン交換水により洗浄し、オーブンで乾燥させ、白色の795gのTFE/P共重合体を得た。
得られた含フッ素ポリマーのフッ素含有量は58.2質量%であり、これを元に計算したTFE/P共重合比率は56.3/43.7(モル比)であった。
【0039】
(実施例2)
攪拌翼を備えた内容積2100ccのステンレス製耐圧容器に1500gのイオン交換水、17gのBEA、300gのパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(以下、PPVEという)を仕込んだ。アンカー翼を用いて300rpmの速度で攪拌しながら、内温を60℃に昇温させた。内温が60℃になってからTFEを反応器内圧が1.0MPaGになるように圧入した。2.5質量%の過硫酸アンモニウム水溶液を5mL添加し、重合反応を開始させた。重合の進行に伴い、反応器内圧が0.01MPa分降下した時点でTFEを圧入し、反応器内圧を1.01MPaGに昇圧させた。これを繰り返し、反応器内圧を0.99〜1.01MPaGになるようにTFEガスを逐次添加させ、重合反応を続けた。
【0040】
TFEガスの添加量15gごとに予め調整しておいたPPVE/BrVEの98/2(モル比)混合液の15mLを反応器に圧入した。該混合液の添加はTFE消費量が105gまで続けた。該混合液の添加回数は計7回105mLであった。TFEガス添加量の総量が120gとなった時点で、TFE添加を停止し、反応器内温を10℃に冷却させ、重合反応を停止させた。重合時間は約4.5時間であった。以上の操作によってBEAを含むTFE/PPVE共重合体ラテックスを得た。乳化重合中に発生した凝集物を採取し、オーブンにて120℃で12時間乾燥後の質量を測定したところ、2.5gであった。
該ラテックスを3.6N塩酸水溶液に添加して、pH調整によりラテックスを凝集させ、TFE/PPVE/BrVE共重合体を得た。該共重合体を濾過および超純水により洗浄し、オーブンで乾燥させ、白色透明の380gのTFE/PPVE/BrVE共重合体を得た。
得られたTFE/PPVE/BrVE共重合体中のモノマー共重合比率はTFE/PPVE/BrVE=54/44/2(モル比)であった。
【0041】
(実施例3)
100Lの重合槽に、パラフィンワックスの736g、超純水の59L、BEAの33gを仕込んだ。70℃に昇温し、窒素パージ、脱気を行った後、TFEを導入し、1.9MPaの圧力とした。撹拌下に、ジコハク酸パーオキサイドの0.5質量%水溶液1Lを圧入して重合を開始した。重合の進行に伴いTFEが消費されて重合槽内の圧力が低下したので、圧力を一定に保つように重合中はTFEを連続的に供給した。重合開始から45分後から6℃/時で90℃まで昇温した。また、TFEの供給量が6.6kgとなった時点で、BEAの5.6質量%水溶液1Lを添加した。重合開始から140分経過した時点で、撹拌およびTFEの供給を停止し、重合槽内のTFEをパージして重合を停止した。得られた固形分24.3質量%のPTFEラテックスを凝集し、湿潤状態のPTFEを分離した。得られた湿潤状態のPTFEを205℃で乾燥して、6530gのPTFEファインパウダーを得た。乳化重合中に発生した凝集物を採取し、オーブンにて120℃で12時間乾燥後の質量を測定したところ、63.2gであった。
【0042】
(実施例4)
実施例1において、BEAの代わりにn−C13OCFCFOCFCOONHを用いた以外は同様の操作によって793gのTFE/P共重合体を得た。凝集物は5.1gだった。データを表1に示す。
【0043】
(実施例5)
実施例2において、BEAの代わりにn−C13OCFCFOCFCOONHを用いた以外は同様の操作によって374gのTFE/PPVE/BrVE共重合体を得た。凝集物は3.2gだった。データを表1に示す。
【0044】
(実施例6)
実施例3において、BEAの代わりにn−C13OCFCFOCFCOONHを用いた以外は同様の操作によって固形分24.0質量%のPTFEラテックスを得た。実施例3と同様の方法で6523gのPTFEファインパウダーを得た。凝集物は68.6gだった。データを表1に示す。
【0045】
(実施例7)
実施例1において、BEAの代わりにCO(CFCFO)CFCOONHを用いた以外は同様の操作によって796gのTFE/P共重合体を得た。凝集物は4.6gだった。データを表1に示す。
【0046】
(実施例8)
実施例2において、BEAの代わりにCO(CFCFO)CFCOONHを用いた以外は同様の操作によって378gのTFE/PPVE/BrVE共重合体を得た。凝集物は2.8gだった。データを表1に示す。
【0047】
(実施例9)
実施例3において、BEAの代わりにCO(CFCFO)CFCOONHを用いた以外は同様の操作によって固形分24.1質量%のPTFEラテックスを得た。実施例3と同様の方法で6532gのPTFEファインパウダーを得た。凝集物は63.7gだった。データを表1に示す。
【0048】
(実施例10)
実施例1と同様の方法で得たPTFE濃度25.3質量%の本発明の乳化剤を含むPTFEラテックスにポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルをPTFEに対して5質量%添加した後に、電気濃縮法により濃縮し、10.9kgの60質量%のPTFEラテックスを得た。この濃縮により発生した凝集物の乾燥質量は53gであり、得られた60質量%のPTFEラテックスに対して4.9質量%だった。
【0049】
(比較例1)
実施例1において、乳化剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウム(以下、APFOという)を用いた以外は同様の方法でTFE/P共重合体ラテックスを得た。この重合により消費したロンガリット水溶液は51.1gであった。重合時間は約6.5時間だった。凝集物は8.9gだった。該ラテックスを実施例1と同様の方法で凝集・乾燥させ、786gのTFE/P共重合体を得た。該含フッ素ポリマーのフッ素含有量は57.9質量%であり、これを元に計算したTFE/P共重合比率は55.8/44.2(モル比)であった。
【0050】
(比較例2)
実施例3において、BEAの代わりに乳化剤としてAPFOを用いた以外は同様の操作によって369gのTFE/PPVE/BrVE共重合体を得た。重合時間は約5.5時間であった。凝集物は4.7gだった。また、共重合比率はTFE/PPVE/BrVE=59/39/2(モル比)であった。
【0051】
(比較例3)
実施例3において、BEAの代わりに乳化剤としてAPFOを用いた以外は同様の操作によって固形分23.5質量%のPTFEラテックスを得た。実施例3と同様の方法で6519gのPTFEファインパウダーを得た。凝集物は98.3gだった。データを表1に示す。
【0052】
(比較例4)
比較例3と同様の方法で得たPTFE濃度24.8質量%のAPFOを含むPTFEラテックスにポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルをPTFEに対して5質量%添加した後に、電気濃縮法により濃縮し、10.8kgの60質量%のPTFEラテックスを得た。この濃縮により発生した凝集物の乾燥質量は83gであり、得られた60質量%のPTFEラテックスに対して7.7質量%だった。
【0053】
実施例及び比較例における含フッ素ポリマーラテックスの生産性および含フッ素ポリマーラテックスの貯蔵安定性は、以下に示す方法により評価した。
(1)含フッ素ポリマーラテックスの生産性
含フッ素ポリマーラテックスの生産性は、下記の基準で評価した。
高:従来の乳化剤より重合速度が速い。
中:従来の乳化剤と重合速度が同等である。
低:従来の乳化剤より重合速度が遅い。
(2)含フッ素ポリマーラテックスの貯蔵安定性
得られた含フッ素ポリマーラテックスをポリマー濃度が30質量%になるように、イオン交換水で希釈し、高さ10cm内容積100mLの円柱状のガラス製容器に該ラテックスを入れ、密栓して冷暗所に1ヶ月静置後、静置により発生したラテックス液上部の透明相の割合を百分率で求めた。この数値が小さいほど、貯蔵安定性が高いことを示す。
【表1】

【0054】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の含フッ素ポリマーラテックスは、含フッ素ゴムや含フッ素樹脂などの含フッ素ポリマーのラテックスの製造に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):F(CFO(CFCFO)CFCOOA
(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、nは3〜10の整数であり、mは0または1〜3の整数である)で表される含フッ素乳化剤を含有することを特徴とする含フッ素ポリマーラテックス。
【請求項2】
含フッ素ポリマーが四フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、CF=C(OR2−n(式中、Rは炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基または分子内に1個以上のエーテル結合を含むパーフルオロオキシアルキレン基であり、nは1または2であり、いずれの炭素鎖も直鎖状でも分岐を含んでも、また環状構造を有してもよい)、クロロトリフルオロエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種の含フッ素モノマー、必要に応じてCH=CHOR(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはエーテル結合を1個以上含むオキシアルキレン基であり、いずれの炭素鎖も直鎖状でも分岐を含んでも、また環状構造を有してもよい)、プロピレン、エチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー、および必要に応じて10モル%以下の架橋基含有モノマーとの重合体である請求項1に記載の含フッ素ポリマーラテックス。
【請求項3】
含フッ素ポリマーが四フッ化エチレン重合体、四フッ化エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、四フッ化エチレン/プロピレン共重合体、四フッ化エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、四フッ化エチレン/フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、四フッ化エチレン/CF=CFOCF共重合体、四フッ化エチレン/CF=CFOC共重合体、四フッ化エチレン/CF=CFOCF/CF=CFOC共重合体、四フッ化エチレン/CF=C(OC共重合体、四フッ化エチレン/メチルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン/エチルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン/ノルマルブチルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン/エチルビニルエーテル/ノルマルブチルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン/CF=CFOC共重合体、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の含フッ素ポリマーラテックス。
【請求項4】
含フッ素ポリマーが四フッ化エチレン重合体、四フッ化エチレン(40〜60モル%)/プロピレン(60〜40モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF=CFOCF(60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF=CFOC(60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF=C(OC(60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/メチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/エチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/ノルマルブチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(60〜30モル%)/エチルビニルエーテル(1〜69モル%)/ノルマルブチルビニルエーテル(1〜69モル%)共重合体、フッ化ビニリデン(40〜70モル%)/CF=CFOC(60〜30モル%)共重合体、エチレン(40〜60モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(60〜40モル%)共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の含フッ素ポリマーラテックス。
【請求項5】
含フッ素乳化剤がF(CFOCFCFOCFCOOA(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、nは3または4である)である請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素ポリマーラテックス。
【請求項6】
一般式(1):F(CFO(CFCFO)CFCOOA
(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、nは3〜10の整数であり、mは0または1〜3の整数である)で表される含フッ素乳化剤を0.001〜10.0質量%含有させた水性媒体中で含フッ素モノマーを乳化重合して含フッ素ポリマーラテックスを得ることを特徴とする含フッ素ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項7】
含フッ素モノマーが四フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、CF=C(OR2−n(式中、Rは炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基または分子内に1個以上のエーテル結合を含むパーフルオロオキシアルキレン基であり、nは1または2であり、いずれの炭素鎖も直鎖状でも分岐を含んでも、また環状構造を有してもよい)、クロロトリフルオロエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種の含フッ素モノマーであり、さらにCH=CHOR(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはエーテル結合を1個以上含むオキシアルキレン基であり、いずれの炭素鎖も直鎖状でも分岐を含んでも、また環状構造を有してもよい)、プロピレン、エチレン、よりなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーおよび10モル%以下の架橋基含有モノマーを共重合させる請求項6に記載の含フッ素ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項8】
含フッ素乳化剤がF(CFOCFCFOCFCOOA(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、nは3または4である)である請求項6または7に記載の含フッ素ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の含フッ素ポリマーラテックスの製造方法で得られた含フッ素ポリマーラテックスを含フッ素ポリマー濃度が30質量%以上に濃縮して得られる含フッ素ポリマーラテックス。
【請求項10】
請求項6〜8のいずれかに記載の含フッ素ポリマーラテックスの製造方法により得られた含フッ素ポリマーラテックスを凝集して得られる含フッ素ポリマー。

【公開番号】特開2006−36986(P2006−36986A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220860(P2004−220860)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】