説明

含フッ素硬化性組成物

【課題】優れた引張強度及び破断時伸びを示す硬化物を与える含フッ素硬化性組成物を提供する。
【解決手段】(A)式(3)の含フッ素アミノ化合物と


(式中、Rfは2価パーフルオロポリエーテル残基であり、XはN含有の特定の2価の基である)(B)含フッ素2価アルコールとエポキシ化合物との重付加物との硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素硬化性組成物に関し、詳細には、パーフロロエーテル残基を有するエポキシ化合物を含み、弾性で軟質の硬化物を与える組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、成型品、封止剤、接着剤などに広く利用されている。しかし、その硬化物は、概して硬くて強靱であり、可撓性に欠ける。例えば接着剤として使用された場合に、該接着剤が付与された基材との熱膨張率の差によって、温度変化により、反り又はクラック又は剥がれなどの問題を生じる場合がある。また、エポキシ樹脂は、耐薬品性が劣る。
【0003】
上記エポキシ樹脂の問題を改良するものとして、下記エポキシ化合物と、
【化6】

アミノシラン化合物とを含み、フッ素ゴムの接着剤として有用な組成物が知られている(特許文献1)。又、末端にビニル基を有するフロロポリエーテルと、エポキシ基を有するシラン化合物を反応させて得られる含フッ素エポキシ化合物が知られている(特許文献2)。
【0004】
他方、フロロポリエーテルの末端にジアミン類を反応させて得られる含フッ素アミン化合物が知られ(特許文献3)、該アミン化合物と多官能性エポキシ化合物とを含む硬化性組成物が開示されている(特許文献4)。該組成物は、比較的容易に硬化し得、耐溶剤性及び耐薬品性に優れる。
【特許文献1】特開昭56−79150号公報
【特許文献2】特開平11−80315号公報
【特許文献3】特開平11−92557号公報
【特許文献4】特開平11−92547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記アミン化合物と多官能性エポキシを含む硬化性組成物は、引張強度および破断時伸びで改良の余地がある。また、多官能性エポキシ化合物は保存安定性があまり良く無く取り扱いにくいという問題点もあった。そこで、本発明は、これらの点で改良された含フッ素硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、所定のパーフロロポリエーテル残基を有するエポキシ化合物を用いることによって、上記課題を達成することができることを見出した。
即ち本発明は、下記のものである。
(A)下記式(3)で示される含フッ素アミノ化合物と、
【化7】

(式中、Rfは2価パーフルオロポリエーテル残基であり、mは0〜5の整数であり、Xは下記式のいずれかにて示される2価の基である)
【化8】

(R2及びR3は夫々、互いに独立に、置換されていてよい、炭素数1〜10の2価炭化水素基であり、R4は互いに独立に、水素原子または炭素数1から6の1価炭化水素基である)
(B)下記式(1)にて示される含フッ素2価アルコールと下記式(2)にて示されるエポキシ化合物との重付加によって得られ、及び、エポキシ当量が500〜2500である含フッ素エポキシ化合物と、
【化9】

(Rf”は2価のパーフロロポリエーテル残基であり、Rは炭素数6〜15の2価の炭化水素基である。)
を(A)成分中に含まれる2級アミノ基1モルに対して、エポキシ基の比率が1.0〜4.0モルとなる量比で含み、但し(A)成分と(B)成分とは個別に包装された形態で含まれていてよい、硬化性組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の組成物は、エポキシ化合物成分及びその硬化剤成分の双方に、耐溶剤性及び可撓性部分を含み、該組成物から得られる硬化物は、従来の硬化物とほぼ同等の硬度でありながら、従来の硬化物に比べて引張強度及び破断時伸びが顕著に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の組成物において、成分(A)は下記式(3)で示される、1分子中に少なくとも2個の2級アミノ基を有し且つ主鎖中に2価パーフルオロポリエーテル残基を有する含フッ素アミノ化合物である。
【化10】

(式中、Rfは2価パーフルオロポリエーテル残基であり、mは0〜5の整数であり、Xは下記式のいずれかにて示される2価の基である。)
【化11】

(R2及びR3は夫々、互いに独立に、置換されていてよい、炭素数1〜10の2価炭化水素基であり、R4は互いに独立に、水素原子または炭素数1から6の1価炭化水素基である。)
【0009】
式(3)において、Rfは2価パーフルオロポリエーテル残基である。該ポリエーテル残基の例には、エーテル結合(−O−)をもつ2価のポリマー残基が広く包含され、例えばポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコールポリアルキルエーテル、及びポリエチレングリコールポリフェニルエーテルの2価の残基の水素原子が総てフッ素原子に置換されたものが包含される。
【0010】
好ましくは、Rfは組成式Ch2hO(ここでhは1〜6、好ましくは1〜3の整数である)で表される2価の飽和パーフルオロポリエーテル残基を含む。該飽和パーフルオロポリエーテル残基は、分岐構造を含んでいてよい。
【0011】
好ましくは、前記2価の飽和パーフルオロポリエーテル残基は、下記式(i)または(ii)で表される。
【化12】

(YはF原子又はCF3基である)
【0012】
好ましくは、Rfは、上記式(i)で表される基と上記式(ii)で表される基とを合計で2〜200個、より好ましくは2〜100個含み、例えば、下記式で表される。
【化13】

(Yは上で定義したとおりであり、m、nはそれぞれm≧1、n≧1の整数、但し、2≦m+n≦200、好ましくは2≦m+n≦100、である。)
上式は、下記のように表すこともできる。
【化14】

ここで、kはn−1であり、及びlはm−1である。
【0013】
Rfは、他の構成単位を含んでよく、例えば、下記(A)〜(D)で示される基であってよい。
【化15】

(Yは上で定義したとおりであり、p、q、rはそれぞれp≧1、q≧1、2≦p+q≦200、好ましくは2≦p+q≦100の整数、及び0≦r≦6の整数である。)
【化16】

(rは上述のとおり、s、tは、それぞれs≧0、t≧0、0≦s+t≦200、好ましくは2≦s+t≦100の整数である)

【化17】

(Yは上述のとおり、u、vはそれぞれ1≦u≦100、1≦v≦100の整数である)
【化18】

(wは1≦w≦100の整数である)
【0014】
上記(A)〜(D)のいずれかで表されるRfとして、以下のものが例示される。

【化19】

Rfは、上記各基の組合わせであってよく、また、上式における各数値パラメータ、例えばn、が所定の範囲内で異なる基の組合わせであってよい。実際上、Rfは、各パラメータの平均値で特定される。
【0015】
式(3)において、R2及びR3は夫々、互いに独立に、置換されていてよい、2価炭化水素基であり、炭素数1〜10、特に2〜6のものが好適である。例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基、シクロへキシレン基等のシクロアルキレン基、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等のアリール基、あるいはこれらの水素原子の一部をフッ素等のハロゲン原子で置換した基等を挙げることができる。
【0016】
式(3)において、R2とN原子とは単結合により直接結合され、上記R2の炭素数1〜10に応じて、4〜22員環、好ましくは5〜8員環、を形成している。
【0017】
Xとしては、以下の基が例示される。
【化20】

(ここで、Meはメチル基であり、Phはフェニル基である。)
【0018】
該アミド化合物は、粘度(25℃、以下同様)が100cs程度の低粘度ポリマーから、100,000cs以上のガム状乃至固形状のポリマーであってよい。粘度が上記下限値未満では、得られる硬化物の伸びが小さくなり過ぎる場合があり、一方、上記上限値超では、取り扱いが困難となる。好ましい粘度は、用途に応じて異なる。例えば熱加硫ゴム用としては、粘度100,000以上の生ゴム状のポリマーが、また、液状ゴム用には粘度が100〜100,000cs程度のポリマーが好適に使用される。該粘度は、上記Rfの各パラメータを適宜選択することによって調整することができる。
【0019】
上記アミド化合物は、特許文献3に記載された方法により製造することができる。即ち、下記一般式(a)で示される両末端に酸フロライド基を有する化合物と下記一般式(b)で示される二級ジアミン化合物とを、必要によりトリメチルアミン等の受酸剤の存在下で、反応させることにより合成することができる。
【化21】

(X、Rf、mは上記と同様の意味を示す。)

上記式化合物(a)と化合物(b)の反応比率は、モル数の比率 (a)/(b) で0.01〜0.5 ,特に0.05〜0.5とすることが好適である。また、式(3)中の繰り返し単位数mは、(a)/(b)を調整することにより目的に応じた値にすることが可能であり、例えば(a)/(b)を小さくすればmの小さなポリマーを合成することができ、(a)/(b)の値を大きくすればmの大きなポリマーを合成することができる。
【0020】
上記反応の条件は、通常、20〜120℃で1〜8時間であり、40〜100℃で2〜5時間反応させる。また、反応に影響を与えない範囲内で有機溶剤を用いてもよい。有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、n−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等のケトン系溶剤、メチレンクロライド、クロルベンゼン、クロロホルム等の塩化炭化水素系溶剤、アセトニトリル等のニトリル系溶剤、トリフルオロベンゼン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン、パーフルオロオクタン等のフッ素系溶剤などを挙げることができ、これらを必要に応じて1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
本発明の組成物は、(B)下記式(1)で示される含フッ素2価のアルコールと下記式(2)で示されるエポキシ基を少なくとも2つ含む化合物との重付加によって得られる生成物であって、エポキシ基をエポキシ当量が500〜2500の範囲で有する含フッ素エポキシ化合物を含むことを特徴とする。(2)のエポキシ基が、(1)のアルコール性水酸基と付加反応すると、2級アルコール性水酸基が生成する。また、(2)を(1)に対して過剰当量反応させることによって、未反応のエポキシ基が残留する。即ち、(B)含フッ素エポキシ化合物は、2級アルコール性水酸基とエポキシ基とを含む。これが、(A)のアミノ基及び/又は(B)のエポキシ基と反応することによって、可撓性の硬化物を生成するものと考えられる。
【化22】

(Rf”は2価のパーフロロポリエーテル残基であり、Rは炭素数6〜15の2価の炭化水素基である。)
【0022】
付加生成物のエポキシ当量の範囲は500〜2500、好ましくは500〜2000である。エポキシ当量が前記上限値を越えると、硬化物の硬度が不足し、前記下限値未満では硬化物の可撓性が不足する傾向がある。
【0023】
Rf”は、付加生成物のエポキシ当量が500〜2500となる範囲内において、上述のRfと同様の基であってよい。好ましくは、Rf”は上記式(i)で表される基と、上記式(ii)で表される基とを合計で2〜25、より好ましくは2〜15個含み、例えば、下記式で表される。
【化23】

(YはRfに関し上で定義したとおりであり、m´、n´はそれぞれm´≧1、n´≧1の整数、但し、2≦m´+n´≦25、好ましくは2≦m´+n´≦15、である。)
【0024】
Rf”は、他の構成単位を含んでよく、例えば、下記(A)〜(D)のいずれかで示される基であってよい。
【化24】

(Yは上述のとおりであり、p、q、rはそれぞれp≧1、q≧1、2≦p+q≦25、好ましくは2≦p+q≦15の整数、及び0≦r≦6の整数である。)
【化25】

(rは上述のとおり、s、tは、それぞれs≧0、t≧0、0≦s+t≦25、好ましくは2≦s+t≦15の整数である)
【化26】

(Yは上述のとおり、u、vはそれぞれ1≦u≦25、1≦v≦15の整数である)
【化27】

(wは1≦w≦25の整数である)
【0025】
式(1)で表される含フッ素2価アルコールの好適な例としては、下記のもの
【化28】

が例示され、n及びmの範囲は付加生成物のエポキシ当量が500〜2500となる範囲であり、分子量が約400〜約4000程度である。
【0026】
式(2)で表されるエポキシ化合物において、エポキシ基は好ましくは末端に2つ存在する。また、そのエポキシ当量は50〜500、好ましくは70〜300である。Rは炭素数6〜15の2価の炭化水素基、例えばアルキル基、アリール基、アルカリール基等が挙げられる。好ましくは、下記のビスフェノールA又はFタイプのエポキシ基化合物である。
【化29】

【0027】
(1)含フッ素2価アルコールと(2)エポキシ化合物との重付加は、次のようにして行うことができる。(1)含フッ素2価アルコール1モル、(2)エポキシ化合物1.5〜6モル、溶媒および触媒を反応器に仕込み、70〜100℃に加熱し、3〜24時間攪拌する。反応終了後、溶媒を蒸留して取り除くことにより、(B)を得ることができる。このとき使用する(1)含フッ素2価アルコールの分子量、および(2)エポキシ化合物のエポキシ当量および(2)/(1)の仕込み倍率によって、生成する含フッ素エポキシ化合物のエポキシ当量を調整することが可能である。得られる(B)含フッ素エポキシ化合物は、反応生成物の混合物である。
【0028】
触媒としては、トリフェニルホスフィン、テトラブチルアンモニウムブロミド等が好ましく、溶媒としては、トルエン、キシレン、1,3-ビストリフロロメチルベンゼンなどが好ましい。
【0029】
本発明の組成物は、(A)成分と(B)成分とが混合されている1剤型又は(A)成分と(B)成分とが別個に包装されている2剤型である。(A)成分と(B)成分の量比は、(A)成分中に含まれる2級アミノ基1モルに対する(B)成分中のエポキシ基の比率が1.0〜4.0モルとなる量、好ましくは1.0〜3.0モルとなる量である。該量比が前記下限値未満では、硬化物の架橋度合いが不十分になる場合があり、前記上限値を超えると、得られる硬化物の可撓性が低下する傾向がある。
【0030】
本発明の組成物には、上記(A)及び(B)成分に加えて、本発明の目的を損なわない量で、種々の添加剤を配合することができる。2剤型の場合には、各成分に添加剤が配合されてよい。該添加剤としては、例えば、イミダゾール類、ルイス酸等の硬化促進剤、アセチレンブラック等のカーボンブラック、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、二酸化チタン、酸化アルミニウム、石英粉末、炭素粉末、タルク、ベントナイト等の補強剤、アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質充填剤、顔料、染料等の着色剤、ベンガラ、酸化セリウム等の耐熱性向上剤、防錆剤、シランカップリング剤等の接着性向上剤などが挙げられる。また、用途、使用目的に応じて、フッ素系溶剤、例えば1,3−ビストリフロロメチルベンゼン、パーフロロオクタン等を配合してもよい。
【0031】
本発明の組成物は、1剤型の場合、上記(A)及び(B)成分、所望により上記添加剤、を混合することによって調製することができる。2剤型の場合には、夫々の成分に、所望により添加剤を混合して、別個に包装して、使用直前に両成分を混合する。なお添加剤は、両成分を混合する際に、加えてもよい。該混合の方法としては、公知の方法を使用することができ、例えば、プラネタリーミキサー、ゲートミキサー、ニーダー等の混合装置が用いられる。(A)、(B)を混合した後、室温に放置または50〜100℃に加熱することにより、弾性体となる。硬化時間は、室温の場合概ね5〜96時間、80℃では2時間〜10時間である。
【0032】
本発明の組成物から得られるエラストマーは、自動車関連部品、各種電気・電子部品などの接着剤として、各種ガス、温水、薬品などに曝されるセンサーのシール剤、コーティング剤として、有用である。例えば、自動車の制御系に使用される圧力センサー、ガス濃度検知器、温度センサーの接着剤、シール剤、又はコーティング剤;インクジェットプリンターヘッド用の接着剤・封止剤;レーザープリンターや複写装置のロールやベルトのコーティング剤、回路基板のコーティング剤、半導体製造装置のステッパーレンズ固定用の接着剤などに好適に用いることができる。
【0033】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下において、Meはメチル基を示す。
1.含フッ素エポキシ化合物(B-1)の合成
反応容器に、下記構造の含フッ素2価アルコール(平均分子量 1000) 147g
【化30】

ビスフェノールAジグリシジルエーテル 100g
トリフェニルホスフィン 1g及び、
ベンゾトリフロリド 147g
を仕込み、90℃にて21時間攪拌した。次いで、溶媒のベンゾトリフロライドをストリップにより取り除き、淡褐色のオイル状生成物245g(含フッ素エポキシ化合物(B-1)とする)を得た。B-1のエポキシ当量は617g/molであった。
【0034】
2.含フッ素エポキシ化合物(B-2)の合成
ビスフェノールAジグリシジルエーテル100gに代えて、ビスフェノールFジグリシジルエーテル92gを用いた以外は、B-1の合成と同様の操作を行い、含フッ素エポキシ化合物(B-2)243gを得た。B-2のエポキシ当量は610g/molであった。
【実施例1】
【0035】
含フッ素エポキシ化合物B-1 10g および
下記の構造の含フッ素アミノ化合物 30g
【化31】

を混合し、混合物を80℃のオーブン中にて24時間加熱したところ、淡褐色のエラストマー状の硬化物が得られた。
硬化物の物性は以下のとおりであった。
硬度(Duro-A) 60
引張り強度(MP) 5.8
破断時伸び(%) 310

なお、引張強度及び破断時伸びは、JIS K6251に従い測定した。
【実施例2】
【0036】
含フッ素エポキシ化合物B-1 10g および
下記の構造の含フッ素アミノ化合物 25g
【化32】

を混合した。混合物を25℃にて48時間放置したところ、淡褐色のエラストマ-状の硬化物が得られた。硬化物の物性は次の通りであった。
硬度(Duro-A) 62
引張り強度(MP) 6.3
破断時伸び(%) 420
【実施例3】
【0037】
含フッ素エポキシ化合物B-2 10g および
下記の構造の含フッ素アミノ化合物 25g
【化33】

を混合した。混合物を25℃にて48時間放置したところ、淡褐色のエラストマ-状の硬化物が得られた。硬化物の物性は次の通りであった。

硬度(Duro-A) 58
引張り強度(MP) 4.8
破断時伸び(%) 530
【0038】
参考例1
含フッ素エポキシ化合物B-1を30gおよび両末端アミノ変性シリコーンオイル(アミノ基当量 750)18.4gを混合して25℃にて48時間放置した。淡褐色の樹脂状の硬化物が得られた。硬化物の物性は次の通りであった。

硬度(Duro-A) 75
引張り強度(MP) 6.8
破断時伸び(%) 70
【0039】
比較例1
含フッ素エポキシ化合物B-1の替わりに下記式のエポキシ化合物1.1gを用いた以外は実施例1と同様にして硬化物を得た。
【化34】

硬度(Duro-A) 58
引張り強度(MP) 2.5
破断時伸び(%) 180
【0040】
溶剤膨潤試験
実施例1〜3、参考例1及び比較例1にて調製した硬化物を、下表に示す溶媒に25℃で48時間浸漬した後、浸漬前の体積からの体積増加率により、該溶媒による膨潤率を求めた。結果を下表に示す。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の組成物から得られるエラストマーは、自動車関連部品、各種電気・電子部品などの接着剤として、各種ガス、温水、薬品などに曝されるセンサーのシール剤、コーティング剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(3)で示される含フッ素アミノ化合物と、
【化1】

(式中、Rfは2価パーフルオロポリエーテル残基であり、mは0〜5の整数であり、Xは下記式のいずれかにて示される2価の基である)
【化2】

(R2及びR3は夫々、互いに独立に、置換されていてよい、炭素数1〜10の2価炭化水素基であり、R4は互いに独立に、水素原子または炭素数1から6の1価炭化水素基である)
(B)下記式(1)にて示される含フッ素2価アルコールと下記式(2)にて示されるエポキシ化合物との重付加によって得られ、及び、エポキシ当量が500〜2500である含フッ素エポキシ化合物と、
【化3】

(Rf”は2価のパーフロロポリエーテル残基であり、Rは炭素数6〜15の2価の炭化水素基である。)
を(A)成分中に含まれる2級アミノ基1モルに対して、エポキシ基の比率が1.0〜4.0モルとなる量比で含み、但し(A)成分と(B)成分とは個別に包装された形態で含まれていてよい、硬化性組成物。
【請求項2】
(A)成分中に含まれる2級アミノ基1モルに対して、エポキシ基の比率が1.0〜3.0モルとなる量の(B)成分を含むことを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】
式(1)で示される含フッ素2価アルコールが下記式のいずれかで表されるものである請求項1または2記載の硬化性組成物。
【化4】

(n及びmは、各化合物の分子量が400〜4000となる範囲の任意の整数である)
【請求項4】
式(2)で示されるエポキシ化合物が下記式のいずれかで表されるものである請求項1〜3のいずれか1項記載の硬化性組成物。
【化5】

【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の硬化性組成物を含むコーティング剤。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項記載の硬化性組成物を含む接着剤。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項記載の硬化性組成物から得られる硬化物が施与された物品。
【請求項8】
前記物品がレンズである請求項7記載の物品。

【公開番号】特開2007−119688(P2007−119688A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316771(P2005−316771)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】