説明

吸収性整形外科インプラント

本発明は、少なくとも部分的に吸収性である整形外科インプラントを提供する。本発明のインプラントは、第2のより多孔性で吸収性材料と組み合わせて用いられ得る、リングの形態にある生体適合性材料を含み得る。この第2の材料は、連続的本体または不連続的であり得る。このインプラントはまた、第2の材料の完全くさびまたは部分的くさびに連結される第1の材料を含み得、このくさびは、より密な材料の内面に連結される。この第1の材料および第2の材料のために適切な材料は、制限されないで、吸収性ポリマーコンポジットを含む。本発明インプラントはまた、インプラントの係留のためのプレートを含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2004年2月5日に出願された、米国仮出願番号第60/542,640号の利益を主張し、この出願は、本明細書の開示と不一致でない程度まで参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
本出願は整形外科インプラント、特に、少なくとも一部が吸収性材料から作製されるインプラントの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献は、異なる組成および/またはミクロ構造の2つの領域を有する種々の組織インプラント材料およびデバイスを記載する。
【0004】
Bronsnahanらによる特許文献1および特許文献2は、各々が生体適合性の微多孔性材料から構成される2つの基礎的部分を有する人工骨移植片インプラントを記載する。このインプラントのコアは、高度に多孔性の組成物、および低間隙率の密な組成物の殻から形成される。ポアサイズの勾配を有する単一構造から形成されるインプラントもまた記載される。記述される特有のインプラント材料は、生体適合性金属、セラミック、ポリマー、およびリン酸塩からなるコンポジット材料、生理活性ガラスおよび生体吸収性ポリマーを含む。
【0005】
Harleらによる特許文献3は、強度持続第1成分および生体一体化促進第2成分を有する人工骨材料を記載する。この第1および第2の材料は、バイオセラミック材料、カーボンセラミック、酸化アルミニウムセラミック、ガラスセラミック、リン酸三カルシウムセラミック、リン酸四カルシウムセラミック、ヒドロキシアパタイト、ポリビニルメタクリレート、チタン、内移植合金、および生体適合性繊維材料を含む群から選択され得る。
【0006】
Hakamatsukaらによる特許文献4は、40〜90%の間隙率を有する多孔性部分、および50%を超えない間隙率を有する密な部分を一体の本体に成形することにより得られる2層構造を有する補綴人工骨を記載する。このインプラント材料は、カルシウムおよびリンを含むセラミックまたはガラスである。
【0007】
Athanasiouらによる特許文献5は、多相の生体腐食性ポリマーインプラント/キャリヤを記載する。Brekkeによる特許文献6は、第1の組織の組織学的パターンに近似する内部三次元構造を備えた第1の領域;および第2の組織の組織学的パターンに近似する内部三次元構造を備えた第2の領域を有する生体吸収性ポリマーデバイスを記載する。Vyakarnamらによる特許文献7は、多孔性吸収性ポリマー形態における組成物および/または微細構造における勾配を記載する。Sherwoodらによる特許文献8は、合成ポリマー材料おける、材料および/またはマクロ構造および/またはミクロ構造および/または機械的性質における勾配の使用を記載する。
【0008】
Tormalaらによる特許文献9は、支持構造の内側および/またはその下に位置する骨移植片粉末を有する骨移植片インプラントを記載する。この支持構造は、少なくとも部分的には吸収性ポリマー、コポリマーまたはポリマーブレンドから製造される。この支持構造はまた、周辺組織がこの支持構造を通って成長することを可能にするが、この支持構造の外側のポアを通る骨移植片粉末の移動を防ぐ間隙率を含む。
【0009】
さらに、特許文献は、骨成長を誘導するための材料で充填され得る腔またはスペースを含むインプラントを記載する。
【0010】
Gresserらによる特許文献10は、骨の発達および/または脊髄融合を促進するための移植材料で充填され得る抹消および/または中央空隙を取り込む脊髄くさびを記載する。このくさびは、緩衝液を含み得る、生分解性、生体適合性のポリマーから作製され得る。
【0011】
両者Foleyらによる特許文献11および特許文献12は、骨成長材料が配置される腔を有するインプラントを記載する。特許文献13は、骨のインプラント本体を記載する。特許文献14は、適切なインプラント本体材料の例として、チタン、カーボンコンポジットを含むコンポジット材料、および外科用ステンレス鋼を列挙する。脊髄インプラントについて、このインプラントを固定するための種々の方法が記載されている。Foleyらによる特許文献15、Foleyによる特許文献16、Tirbusらによる特許文献17、およびSamaniらによる特許文献18は、椎間本体およびフランジ様構造を備えたデバイスを記載する。このフランジ様構造は、椎骨に取り付けられ得る。Wagnerらによる特許文献19は、椎間本体が、横断面のほぼレベルの上に延びる1つ以上の三次元特徴を有する係合領域を有する脊髄ディスクインプラントを記載する。この係合特徴は、負荷が付与されるとき、海綿状骨に埋もれることが意図される。
【特許文献1】米国特許第6,149,688号明細書
【特許文献2】米国特許第6,607,557号明細書
【特許文献3】米国特許第5,769,897号明細書
【特許文献4】米国特許第5,152,791号明細書
【特許文献5】米国特許第5,607,474号明細書
【特許文献6】米国特許第6,264,701号明細書
【特許文献7】米国特許第6,365,149号明細書
【特許文献8】米国特許第6,454,811号明細書
【特許文献9】米国特許第4,863,472号明細書
【特許文献10】米国特許第6,548,002号明細書
【特許文献11】米国特許第6,652,073号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2003/1095632号明細書
【特許文献13】米国特許第6,652,073号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2003/1095632号明細書
【特許文献15】米国特許第6,576,017号明細書
【特許文献16】米国特許第6,562,073号明細書
【特許文献17】米国特許第6,461,359号明細書
【特許文献18】米国特許第5,645,599号明細書
【特許文献19】米国特許第5,306,309号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、吸収性の整形外科インプラントを提供する。本発明のインプラントは、制限されないで、骨切り術(osteotemies)、脊髄相互本体融合、長い骨延長、および外傷再構築を含む適用に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1つの実施形態では、本発明は、生体適合性材料のリングを備えるインプラントを提供する。このリングは、吸収性の生体適合性材料から作製され得る。このリングは、第2のより多孔性の吸収性材料と組み合わせて用いられ得る。この第2の材料は、連続的本体であり得るか、または複数の片(例えば、顆粒または厚切り)から構成され得る。このリングは、このリングの近接する骨への取り付けを可能にする1つ以上のプレートに連結され得る。例えば、脊椎インプラントでは、前面プレートが近接椎骨へのこのインプラントの取り付けを可能にする。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、リングの形態にない第1の材料を、第2のより多孔性の吸収性材料の完全または部分的くさびとの組み合わせで含む。この第1の材料は、上記インプラントを近接する骨へのこのインプラントの取り付けを可能にする1つ以上のプレートに連結され得る。
【0015】
本発明のインプラントに適切な材料は、制限されないで、吸収性ポリマーコンポジットを含む。1つの適切な吸収性材料は、吸収性材料のセラミックまたはミネラル粒子との完全に密なコンポジットである。別の適切な吸収性材料は、吸収性ポリマー、セラミックまたはミネラル粒子、繊維、および界面活性剤の多孔性コンポジットである。セラミックまたはミネラル粒子を含めることは、緩衝化効果を提供し、骨伝導性を増加し、そして上記コンポジットの機械的強度を増加する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明は、吸収性材料を含む整形外科インプラントを提供する。本発明のインプラントは、吸収性材料、そして、必要に応じて、組織への取り付けのための1つ以上のプレートを備える組織スペーサーを備える。この組織スペーサーは全体が吸収性であり得るか、またはいくつかの非吸収性成分を含み得る。この組織スペーサーの非吸収性成分は、制限されないで、この組織スペーサーの負荷支持部分、または繊維のような補強材料を含み得る。上記前面プレートは、吸収性または非吸収性であり得る。用語「生分解性」および「吸収性」は交換可能に用いられ、患者の身体の内側、または身体の外側で組織を成長するために細胞とともに用いられるときのいずれかで、経時的に分解し得ることを意味する。患者の身体の内側に配置されるとき、本発明のインプラントの吸収性部分は、経時的に分解し、そして身体の自然のプロセスによって除去される。
【0017】
1つの実施形態では、本発明は、上面および下面を有する組織スペーサーを備える整形外科インプラントを提供し、この組織スペーサーは、このスペーサーの上面の一部を形成する上面、およびこのスペーサーの下面の一部を形成する下面、内面および外面を有する第1の領域;ならびに
完全くさびまたは部分的くさびの形態にある第2の領域であって、上記スペーサーの上面の一部を形成する上面、上記スペーサーの下面の一部を形成する下面および上記第1の領域の内面に連結される前面を有する第2の領域を備え、
ここで、この第2の領域は、上記第1の領域より多孔性であり、かつ吸収性材料を備え、そして上記第1の領域は完全なリングの形態ではない。
【0018】
図1A〜1Cは、組織スペーサー(10)が、第1の領域(40)に連結された多孔性の部分的くさび(50)を備える実施形態を示す。この実施形態では、第1の領域(40)は、完全なリングを形成しない。この組織スペーサーは、上面(14)、下面(16)、後面(18)および前面(19)を有する。第1の領域(40)は、上面(44)、下面(46)、内面(48)および外面(49)を有する。図1Aでは、第1の領域(40)の外面(49)は、組織スペーサーの前面(19)を有する。部分的くさび(50)は、上面(54)、下面(56)、後面(58)および前面(59)を有する。図1Aでは、部分的くさびの後面(58)は、上記スペーサーの後面(18)を形成する。図1Aおよび1Bは、スロット(75)およびバー(77)による、第1の領域(40)の内面(48)の、部分的くさび(50)の前面(59)への連結を示す。より一般には、上記第1の領域は、上記多孔性のくさびに、スロットおよびバー連結、ダブテール連結、穴およびポスト連結、ねじ山ポスト、種々のスナップばめ、または当業者に公知の機械的連結のその他の形態によって機械的に取り付けられ得る。
【0019】
本明細書で用いられるとき、完全くさびは、エッジを形成するように併合する2つの傾いた平面によって形成される形状である。本発明との使用に適切な部分的くさび形状は、完全くさび形状の少なくともエッジまたは先端部を除外し、そして完全くさびの先端部の端部のより大きな部分を除外し得る。くさびまたは部分的くさびの角度は、このくさびまたは部分的くさびの上面および下面を形成する平面間の傾斜の角度である。傾斜のこの角度θは、約5゜と約20゜との間であり得る。異なる実施形態では、この角度θは、7.5゜、10゜、12.5゜、または15゜である。
【0020】
本明細書で用いられるとき、リングは、円、卵形、矩形、または閉鎖した曲線を形成する別の形状の形態であり得る。図1A〜1Cに示される実施形態では、第1の領域(40)は、弧の形態をとる。図1A〜1C中の第1の領域の形状は、湾曲したリングのセクションとみなされることができ、このリングセクションは、完全リングの長さより少ない弧長さを有する。異なる実施形態では、上記第1の領域は、U形状およびバーを含む、矩形リングのセクションの形態をとり得る。この第1の領域の形状は、意図される移植位置を基に選択され得る。図1A〜1Cに示される実施形態では、この第1の領域(40)は、上記多孔性くさび(50)の前部分でのみ、多孔性くさび(50)に接触し、そしてくさびの側面の「周りを覆」わない。
【0021】
一般に、第1の材料の上面および下面を形成する平面は平行ではなく、そしてそれらの間で傾き角度θを有し得る。代表的には、図1Cに示されるように、傾きの角度θは、傾きの角度θに等しい。
【0022】
完全または部分的くさび多孔性くさびに連結される第1の領域を備える組織スペーサーはまた、図2Aおよび2Bに示されるような1つ以上の前面プレート(60)に連結され得る。図2Aは、この前面プレートの骨への取り付けのための穴(62)を示す。この組織スペーサーは、上記完全または部分的くさびを上部分および下部分に分割する中央平面(52)が、図2Bに示されるように、平面(60)に対して90゜の角度θを形成するように上記前面プレートに取り付けられ得る。図3Aに示されるように、この組織スペーサーはまた、上記完全または部分的くさびの中央平面(52)が、上記平面に対して90゜以外の角度θ(上記組織スペーサーの、この組織スペーサーの下部分を通る前面プレートとの接続部で測定されたとき)を形成するように上記前面プレートに取り付けられ得る。この角度θは、約55゜と約90゜との間であり得る。1つの実施形態では、θは、約60゜と約75゜との間である。図3Aは、部分的くさび組織スペーサーの中央平面(52)が、上記前面プレートに対し、約75゜の角度θを形成する実施形態を示す。
【0023】
さらに、図3Bに示されるように、この組織スペーサーの前面は、中央平面(52)が、上記前面プレートを、左部分および右部分に分割する中央平面(66)に対して角度θを形成するように上記前面プレートに取り付けられ得る。角度θは、上記前部プレートの左部分または右部分のいずれかを通って測定され得る。図3Bは、部分的くさび中央平面(52)と前部プレート中央平面(66)との間の角度θが約60゜である実施形態を示す。1つの実施形態では、この角度θは、約30゜と約90゜との間である。
【0024】
多孔性の完全または部分的くさびに連結される第1の領域を備える組織スペーサー備えるインプラントは、脊髄適用において、および骨切り術、長い骨延長、および外傷再構築のために有用である。骨切り術は、患者の骨整列を矯正するために必要な外科的手順である。骨切り術では、骨は、骨端部を再整列するために横に切開または切断される。
【0025】
上記第1の領域は、好ましくは、約1.0GPaと約30GPaとの間の初期ヤング率、および約10MPaと約500MPaとの間の圧縮強度を有する。1つの実施形態では、初期ヤング率が約10GPaと約30GPaとの間である。移植後6〜9ヶ月の間で、上記第1の領域は、好ましくは、その初期強度の約70%〜90%の間を保持する。1つの実施形態では、この第1の領域は、好ましくは、その初期強度の約80%を保持する。上記完全または部分的くさびは、好ましくは、約0.5GPaと約5GPaとの間の初期ヤング率を有する。1つの実施形態では、この初期ヤング率は約1GPaと約5GPaとの間、そして0MPaと約30MPaとの間の圧縮強度である。1つの実施形態では、上記第1の領域および/または完全もしくは部分的くさびは、それが挿入されるべき骨組織の機械的性質に一致する機械的性質を有する。これらの機械的性質は、皮質骨について約15GPaのヤング率、および海綿質について約500MPaのヤング率を含む。
【0026】
異なる実施形態では、上記第1の領域の間隙率は、0と約30%との間、または0と約15%との間である。1つの実施形態では、上記第1の領域は、実質的に非多孔性であり、約5%より小さい間隙率を有する。
【0027】
1つの実施形態では、上記組織スペーサーの第1の領域は、吸収性ポリマー、β−リン酸三カルシウムのような随意のセラミックまたはミネラム成分、および炭酸カルシウムのような随意の緩衝性成分を含む、実質的に非多孔性の(十分に密な)吸収性材料から形成される。選択される吸収性ポリマーは、溶媒中で可溶性または少なくとも膨潤性であり、そして毒性の副産物を生成することなくインビボで分解し得る。代表的なポリマーは、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、およびそれらのコポリマーのファミリーから選択される;しかし、任意の吸収性のポリマーが用いられ得る。生分解性インプラント材料を生成するために当該技術分野で公知のポリマーは、ポリグリコリド(PGA)、グリコリド/L−ラクチドコポリマー(PGA/PLLA)、グリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー(PGA/TMC)のようなグリコリドのコポリマー;ポリラクチド(PLA)、ポリ−L−ラクチド(PLLA)、ポリ−DL−ラクチド(PDLLA)、L−ラクチド/DL−ラクチドコポリマーのようなPLAのステレオコポリマー;ラクチド/テトラメチルグリコリドコポリマー、ラクチド/トリメチレンカーボネートコポリマー、ラクチド/δ−バレロラクトンコポリマー、ラクチドε−カプロラクトンコポリマー、ポリデプシペプチド、PLA/ポリエチレンオキシドコポリマー、非対称3,6−置換ポリ−1,4−ジオキサン−2,5−ジオンのようなPLAのコポリマー;ポリ−β−ヒドロキシブチレート(PHBA)、PHBA/β−ヒドロキシバレレートコポリマー(PHBA/HVA)、およびポリ−β−ヒドロキシプロピオネート(PHPA)を含むポリヒドロキシアルカネートポリマー、ポリ−p−ジオキサノン(PDS)、ポリ−δ−バレロラクトン、ポリ−ε−カプロラクトン、メチルメタクリレート−N−ビニルピロリドンコポリマー、ポリエステルアミド、シュウ酸のポリエステル、ポリジヒドロピラン、ポリアルキル−2−シアノアクリレート、ポリウレタン(PU)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリペプチド、ポリ−β−マレイン酸(PMLA)、およびポリ−β−アルカノール酸を含む。これらポリマーは、選択された分解期間を有するために、当該技術分野で公知のように選択され得る。椎間スペーサーには、この分解期間は、好ましくは、約4年まで、または約6週と約2年との間、または約12週と約1年の間である。骨切りくさびには、この分解期間は、好ましくは、約2年まで、または約3週と約1年との間、または約6週と約9ヶ月の間である。
【0028】
上記材料のセラミックまたはミネラル成分は、この材料に機械的補強および生物学的活性を付加する。このセラミック(またはミネラル)成分は、硫酸カルシウム(ヘミ−または二水和物形態)、リン酸三カルシウムまたはヒドロキシGPアチド(HydroxyGPatide)、Bioglass(登録商標)の種々の組成物、およびこれら材料のブレンドまたは組み合わせから選択される。1つの実施形態では、1つより多いミネラル成分が上記コンポジット中に含まれる。粒子は、選択される成分の所望の役割に依存して、サブミクロン〜1mmまでのサイズ範囲であり得る。セラミック粒子の容量フラクションは、約1%〜約40%、約5%〜約30%、または約10%〜約20%の範囲であり得る。
【0029】
カルシウム含有ミネラルの取り込みは、生分解性ポリマーの分解の緩衝化を支援し得る。その他の有用な緩衝化化合物は、本明細書に参考として援用されるAgrawalらの米国特許第5,741,321号に開示されるような化合物を含む。この緩衝化化合物の容量フラクションは、約1%〜約40%、約5%〜約30%、または約10%〜約20%である。この緩衝化化合物の粒子サイズは、約2mm未満または約1mm未満である。
【0030】
吸収性または非吸収性繊維がまた、上記材料に添加され得、当業者に公知のように、さらなる補強を提供する。これら繊維は、整列され得るか、またはランダムな配向を有する。
【0031】
上記組織スペーサーの十分に密な部分は、射出成形、機械加工、または当該技術分野で公知のようなその他の方法によって製作され得る。
【0032】
上記第1の領域はまた、金属、プラスチック、またはセラミックのような非吸収性の材料から作製され得る。インプラントにおける使用のために適切な非吸収性材料は、当業者に公知である。
【0033】
1つの実施形態では、完全または部分的くさびの間隙率は、約50%と約90%との間である。異なる実施形態では、完全または部分的くさびの間隙率は、約50%より大きいか、または約70%より大きい。好ましくは、完全または部分的くさびは、骨の内成長を許容するに十分多孔性である。1つの実施形態では、この完全または部分的くさびの平均ポアサイズは、約10ミクロンと約2000ミクロンとの間、約50ミクロンと約900ミクロンとの間、および約100ミクロンと約600ミクロンとの間である。上記組織スペーサーのより多孔性の部分は、血液または骨髄のような流体を吸収し得、そしてそれ故、生理活性薬剤、薬物または医薬品が装填され得る。自系作用剤および生理活性薬剤の両方が、本発明の組織スペーサーとともに用いられ得る。自系生理活性作用剤は、制限されないで、血小板−富化血漿(PRP)および自己成長因子(AGF)、および患者自身の骨髄のような濃縮血液を含む。合成の生理活性薬剤は、制限されないで、骨形態形成タンパク質(例えば、BMP−2成長因子(VEGF、FGF、TGF−b、PDGF、IGF)またはこれらペプチドの合成もしくはアナログ版)を含む。
【0034】
上記インプラントはまた、その内成長が所望される型の細胞が接種され得る。骨芽細胞および骨細胞は、デバイスの多孔性部分に吸収され得る骨形成性細胞である。間葉幹細胞、骨髄細胞、または骨形成性細胞に分化する能力を有するその他の前駆体細胞もまた用いられ得る。
【0035】
本発明のインプラント材料はまた、自系組織または同種異系組織が予め接種され得る。この自系組織または同種異系組織は、刻まれるか、または粒子状であり得る。1つの実施形態では、この組織は、真皮組織、軟骨、靭帯、腱、または骨である。これらの同種異系組織は、それらの生物学的構造および組成を保存するために処理され得るが、免疫応答を引き起こし得る細胞は除去する。同様に、自系組織が利用され得、そして同種移植片について記載されるように処理され得る。
【0036】
1つの実施形態では、上記完全または部分的くさびは、4つまでの主要構成要素:1)吸収性ポリマー、2)セラミック、3)繊維、および4)界面活性剤を含む。このデバイスは、最初の2つの構成要素のみで調製され得る;しかし、さらなる性能性質は、第3および第4の構成要素の添加で達成され得る。これら構成要素で作製された多孔性材料は、多孔性のポリマーの足場を提供し、高レベルの生物学的に活性な、または生物学的に適合性のセラミックまたはミネラルを取り込み、そして高レベルの強靭性および強度を提供する。上記材料が界面活性剤を含むとき、この多孔性材料は、より湿潤性になり、元来、疎水性の材料のいくつかの制限を克服する。表1は、これら4つの構成要素の各々の代表的な%を列挙する。表2は、表1中の処方物の代表的な物理的性質を列挙する。
【0037】
上記吸収性ポリマーは、上記組織スペーサーの多孔性部分のコア構成要素を形成し、そしてインプラント材料の多孔性構造の形成に必要である。選択されるポリマーは、溶媒に可溶性であり、または少なくとも膨潤可能であり、そして毒性の副産物を生成することなくインビボで分解し得る。代表的なポリマーは、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、およびそれらのコポリマーのファミリーから選択される;しかし、任意の吸収性ポリマーまたは吸収性ポリマーの組み合わせが用いられ得る。このポリマーは、揮発性溶媒中に溶解されるとき粘性の溶液を形成するに十分な分子量を有し、そして理想的には、非溶媒の添加に際し、沈殿してソフトゲルを形成する。このポリマーは、当該技術分野で公知のように、所望の分解期間を有するように選択され得る。完全または部分的くさびには、この分解期間は、好ましくは、約2年まで、または約3週と約1年との間、または約6週と約9ヶ月の間である。
【0038】
上記材料のセラミック成分は、この材料に機械的補強および生物学的活性の両方を付加する。このセラミック(またはミネラル)成分は、硫酸カルシウム(ヘミ−または二水和物形態)、リン酸三カルシウムまたはヒドロキシアパタイト、Bioglass(登録商標)の種々の組成物、およびこれら材料のブレンドまたは組み合わせから選択される。粒子は、選択される成分の所望の役割に依存して、サブミクロン〜1mmまでのサイズ範囲であり得る。例えば、高度に補強されたコンポジット材料は、ヒドロキシアパタイトのナノ粒子を取り込むことにより調製され得る。あるいは、硫酸カルシウムの大粒子(>100μm)が取り込まれ得、これは、4〜6週で溶解し、上記材料の全体の間隙率を増加し、そして骨形成を刺激する。ミネラルを含むカルシウムの取り込みはまた、生分解性ポリマーの分解の緩衝化を支援し得、酸性の分解産物を避ける。このセラミック成分はまた、細長い粒子または繊維の形態をとり得、増加した機械的性質を提供する。
【0039】
上記コンポジットへの繊維の添加は、当該技術分野で周知のように、材料の強靭性および強度の両方を増加し得る。本発明との使用のために適切な繊維は、吸収性および非吸収性繊維の両方を含む。多孔性材料中の繊維の優先的整列は、米国特許第6,511,511号に記載されるように、異方性挙動を生成し得、そこでは、強度は、負荷が繊維の主要配向に平行に付与されるとき増大される。本発明では、材料の30重量%までが繊維から構成され得る。好ましいポリマー繊維材料は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、およびそれらのポリマーのファミリーから選択され得る;しかし、任意の吸収性ポリマーが用いられ得る。多糖を基礎にした繊維は、官能化または非官能化いずれかのセルロース、キトサン、デキストラン、およびその他から選択され得る。非ポリマー繊維は、スパンガラス繊維(例えば、Bioglass(登録商標)、リン酸カルシウムガラス、ソーダガラス)またはその他のセラミック材料、カーボン繊維、および金属繊維から選択され得る。
【0040】
生体適合性界面活性剤の随意の添加は、多孔性構築物の表面湿潤性を改善し得る。これは、毛細管作用を増加することにより、インプラントの中心までの長い距離を貫通する血液、体液、および細胞の能力を改善し得る。生体適合性の界面活性剤の例は、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、(BASFによるPluronic界面活性剤のような)PEOおよびPPOのブロックコポリマー、ポリアルコキサノエート、ソルビタンモノオレエートのような糖エステル、多糖類エステル、遊離アミノ酸、および脂肪酸エステルおよび塩である。当業者に公知のその他の界面活性剤もまた用いられ得る。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

上記組織スペーサーの任意の多孔性部分は、ポリマー沈殿および減圧膨張により製作され得る。沈殿したポリマーの調製のための方法は、当該技術分野で周知である。一般に、このプロセスは、乾燥ポリマーを溶媒、例えば、アセトンと混合すること、このポリマーの塊を溶媒から、非溶媒、例えば、エタノール、メタノール、エーテルまたは水で沈殿すること、塊が鋳型に圧縮され得るかまたは鋳型に押し出される得る粘着性の塊であるまでこの塊から溶媒および沈殿する物質を抽出すること、および組成物を所望の形状および型さに硬化することを包含する。必要に応じて、界面活性剤が、製造の時点で上記材料のマトリックス中に取り込まれる。繊維およびセラミックのような補強材料を取り込む方法は当該技術分野で公知である。繊維補強を取り込むための方法は、例えば、参考として本明細書に援用される米国特許第6,511,511号に記載されている。練ること、およびローリングすることは、参考として本明細書に援用される米国特許第6,511,511号および同第6,203,573号に記載のように実施され得る。多孔性インプラントを形成するための鋳型中のポリマーを硬化および発泡することが、次いで、なされ得る。
【0043】
前面プレートのための材料は、必要に応じてセラミック成分および/または緩衝化成分と組み合わせられる吸収性ポリマーであり得る。この前面プレートはまた、ポリマー、金属、またはセラミックのような非吸収性材料から作製され得る。この前面プレートは、上記第1の領域に、この第1の領域および前面プレートを単一片として作製することにより連結され得る。あるいは、この前面プレートは、ねじ、リベットまたは当該技術分野で公知のその他の手段によって、第1の領域に機械的に取り付けられ得る。この前面プレートはまた、第1の領域に化学的に結合され得る。上記プレートと上記負荷支持部分との間の連結の位置は、連結のタイプに依存し得る。
【0044】
別の実施形態では、本発明は、上面および下面を有する組織スペーサーを備える整形外科インプラントを提供し、この組織スペーサーは、
リングの形態にあり、このリングが上記スペーサーの上面の一部を形成する上面、上記スペーサーの下面の一部を形成する下面、内面および外面を有する第1の領域;および
第2の領域であって、上記スペーサーの上面の一部を形成する上面、上記スペーサーの下面の一部を形成する下面、および上記第1の領域の内面に連結される外面を有する第2の領域を備え、
ここで、上記第1の領域の間隙率が0〜約30%の間であり、上記第2の領域の間隙率が約50%〜約90%の間であり、そして上記第2の領域が吸収性材料を含む。
【0045】
図4は、より少ない多孔性の外側リング(20)、およびこの外側リングの内面に連結されたより多孔性の内側コア(30)を備える組織スペーサー(10)の斜視図を示す。この組織スペーサー(10)は、上面(14)および下面(16)を有する。リング(20)は、上面(24)および下面(26)、内面(28)および外面(29)を有する。内側コア(30)は、上面(34)、下面(図示せず)、および外面(39)を有する。リング(20)の内面は、リング(30)の内面に連結する。外側リングは、必要に応じて、前面プレートに連結される。
【0046】
図4に示される実施形態は、脊髄インプラントとして用いられ得る。脊髄インプラントとして用いられるとき、外側リングは、皮質骨の機械的性質に実質的に一致するように設計され得、その一方、内側コアは、海綿質の機械的性質に実質的に一致するように設計され得る。外側リングは、好ましくは、約1.0GPaと約30GPaとの間のヤング率、および約10MPaと約500MPaとの間の圧縮強度を有する。1つの実施形態では、初期ヤング率は、約10GPaと約30GPaとの間である。内側コアは、好ましくは、約0.5GPaと約5GPaとの間のヤング率および0MPaと約30MPaとの間の圧縮強度を有する。1つの実施形態では、初期ヤング率は、約1GPaと約5GPaとの間である。
【0047】
外側リングの主要な機能は、高圧縮負荷に耐えることである。1つの実施形態では、この負荷支持外側リングは十分に密である。1つの実施形態では、この負荷支持外側リングは、吸収性ボリマーを含む実質的に非多孔性(十分に密)の吸収性材料、β−リン酸三カルシウムのような随意のセラミック成分、および炭酸カルシウムのような随意の緩衝材から形成される。この材料は、異なる実施形態の第1の領域について適切な材料として先に論議された。ポリマー、金属、またはセラミックのようなその他の非吸収性材料が、この外側リングに適切であり得る。その他の実施形態では、この外側リングは、十分に密ではなく、そして約40%より小さい、好ましくは約35%より小さい間隙率を有する。吸収性ポリマーは、当該技術分野で公知のように、選択された分解期間を有するために選択され得る。椎間スペーサーには、この分解期間は、好ましくは、約4年まで、または約6週と約2年の間、または約12週と約1年との間である。
【0048】
1つの実施形態では、内側コアの間隙率は、約50%と約90%との間である。異なる実施形態では、上記完全または部分的くさびの間隙率は、約50%より大きいか、または約70%より大きい。好ましくは、上記内側コアは、骨内成長を可能にするに十分多孔性である。1つの実施形態では、上記完全または部分的くさびの平均ポアサイズは、約10ミクロンと約2000ミクロンとの間、約50ミクロンと約900ミクロンの間、そして約100ミクロンから約600ミクロンである。上記組織スペーサーのより多孔性の部分は、血液または骨髄のような流体を吸収し得、そしてそれ故、生理活性薬剤、薬物または薬品で充填され得る。内側コアは、先に論議された上記完全または部分的くさびにおける使用に適切であるのと同じ材料から作製され得る。内側コアには、この分解期間は、好ましくは、約2年まで、または約3週と約1年との間、または約6週と約9ヶ月との間である。
【0049】
図4に示される実施形態は、より多孔性の内側コアのための鋳型として外側リングを用いることにより製作され得る。あるいは、これら外側リングおよび内側リングは別個に製作され、そして次に連結される。溶媒が、この内側リングを外側リングに接着するために用いられ得るか、またはその他の接着剤が当該技術分野で公知のように用いられ得る。
【0050】
前面プレートが外側リングに取り付けられる場合、前面プレートのための材料は、必要に応じてセラミック成分および/または緩衝化成分と組み合わせた吸収性ポリマーであり得る。この前面プレートはまた、ポリマー、金属、またはセラミックのような非吸収性材料から作製され得る。この前面プレートは、上記プレートに、上記リングおよび前面プレートを単一片として作製することにより連結され得る。あるいは、この前面プレートは、ねじ、リベット、もしくはスナップまたは当該技術分野で公知のようなその他の手段によって上記リングに機械的に取り付けられ得る。この前面プレートはまた、上記リングに化学的に結合され得る。
【0051】
別の実施形態では、本発明は、上面および下面を有する組織スペーサーを備える吸収性整形外科インプラントを提供し、この組織スペーサーは、
リングであって、上記スペーサーの上面の一部を形成する上面、上記スペーサーの下面の一部を形成する下面、内面および外面を有するリング;および
上記リングの連結される前面プレートを備え、
ここで、このリングは、0〜約15%の間の間隙率を有する。
【0052】
図5に示されるように、上記組織スペーサー(10)は、リング(14)の上面からこのリングの下面(16)に走る空隙(12)を取り囲むリング(15)を備える。このリングの上面および下面は、歯(17)を備え得る。この空隙は、骨チップ(自系または異系移植片)のような外科医によって選択される材料によって充填されるべく空のままであり得るか、または多孔性足場で充填され得る。この多孔性足場は、先に記載の内側コアのために用いられた同じ材料からであり得る。あるいは、市販され入手可能な異なる材料の多孔性足場が用いられ得る。多孔性足場で適合することは、完全に密な材料中への生理活性薬剤の取り込みと比較したとき、生理活性薬剤のより効率的な実施を可能にする。図5はまた、ねじとの使用のために穴(62)を有する前面プレート(62)に連結される組織スペーサーを示す。
【0053】
図5に示される実施形態は、脊髄インプラントとして用いられ、この組織スペーサーは、骨切り術が先に実施された身体内スペース中に配置される。リングの上面および下面は、歯を備え得、身体内スペース中に組織スペーサーを保持する際に支援し得る。前面プレートは、隣接する椎体の前面に取り付けられるように設計され、そしてねじのための穴を含み得る。このインプラントの前面プレートは、前部錐体面の自然の湾曲に一致するように僅かに輪郭付けられ得る。頸部適用のようないくつかの適用には、前部プレートは、要求されなくても良い。
【0054】
上記リングは、好ましくは、約1.0GPaと約30GPaとの間の初期ヤング率および約10MPaと約500MPaとの間の圧縮強度を有する。1つの実施形態では、この初期ヤング率は、約10GPaと約30GPaとの間である。
【0055】
1つの実施形態では、上記リングは、吸収性ポリマー、β−リン酸三カルシウムのような随意のセラミック成分、および炭酸カルシウムのような随意の緩衝物を含む実質的に非多孔性の(完全に密な)吸収性材料から形成される。この材料は、異なる実施形態の第1の領域のための適切な材料として先に論議された。非吸収性のポリマー、金属またはセラミックがまた、上記リングのために用いられ得る。吸収性ポリマーは、当該技術分野で公知のように、選択された分解期間を有するように選択され得る。椎間スペーサーとして、この分解期間は、好ましくは、約4年まで、または約6週と約2年との間、または約12週と約1年との間である。
【0056】
上記前面プレートのための材料は、必要に応じて、セラミック成分および/または緩衝化成分と組み合わされた吸収性ポリマーであり得る。この前面プレートはまた、ポリマー、金属、またはセラミックのような非吸収性材料から作製され得る。この前面プレートは、上記リングおよび前面プレートを単一片として作製することにより連結され得る。あるいは、この前面プレートは、ねじ、リベット、もしくはスナップまたは当該技術分野で公知のようなその他の手段によってリングに機械的に取り付けられ得る。この前面プレートはまた、上記リングに化学的に結合され得る。
【0057】
本明細書によって参考として本明細書中に引用されるすべての参考文献は、本出願の開示と不一致がない程度まで援用される。
【0058】
本明細書中で用いられるとき、「包含する(comprising)」は、「含む(including)」、「含有する(containing)」または「特徴付けられる(characterized by)」と同義語であり、そして包括的または制約のない、かつさらなる引用されていない要素または方法の工程を排除しない。本明細書中で用いられるとき、「からなる」は、請求項の要素として特定されていない任意の要素、工程、または成分を排除する。本明細書中で用いられるとき、「から本質的になる」は、請求項の基礎的および新規な特徴に実質的に影響しない材料または工程は排除しない。用語「包含する」の本明細書における任意の記載は、特に、組成物の成分の記載において、またはデバイスの要素の記載において、記載された成分または要素から本質的になる、およびそれらからなる組成物および方法を包含することが理解される。本明細書中に例示して記載される本発明は、本明細書中に詳細に開示されていない任意の要素(単数または複数)、制限(単数または複数)の不在下で適切に実施され得る。
【0059】
明細書に範囲が与えられるときはいつも、例えば、時間範囲または組成物範囲、すべての中間範囲およびサブ範囲、ならびにこれら範囲内に含まれるすべての個々の値は、本開示中に含まれることが意図される。
【0060】
本明細書中の記載は、多くの詳細を含むが、これらは、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではなく、単に本発明の実施形態のいくつかの例示を提供する。従って、さらなる実施形態は本発明の範囲内および添付の請求項内である。以下の実施例は、例示目的のために提供され、そして本発明の範囲を制限する意図はない。本明細書中の発明的教示から当業者に生じ得る、本明細書中の材料、方法およびデバイスにおける任意の改変は、本発明の範囲および思想内にある。
【実施例】
【0061】
(実施例1:一体化骨切り術くさび)
図3Aおよび3Bに示されるインプラントは、高い頸骨インプラントのための骨切り術くさびとしての使用のための寸法であり得る。図6Aは、目的の寸法を示す。図6Aは、前面プレート(60)の下端部と上端部との間の距離Eを示す。この距離Eは、好ましくは、約20mmと約130mmとの間である。1つの実施形態では、この距離Eは約59mmである。図6Aはまた、上記前面プレートの左側面と右側面との間の距離Fを示す。この距離Fは、好ましくは、約20mmと約70mmとの間である。1つの実施形態では、この距離Fは約46mmである。図6Bは、距離A、B、およびCを示す。1つの実施形態では、この距離Aは、約25mmと約150mmとの間であり、距離Bは約5mmと約50mmとの間であり、そして距離Cは、約10mmと約50mmとの間である。図6Cは、距離Dを示す。1つの実施形態では、距離Dは、約20mmと約70mmとの間である。
【0062】
(実施例2:一体化頸部スペーサー)
図5に示されるインプラントは、一体化頸部スペーサーとしての使用の寸法であり得る。図7A〜7Cは、目的の寸法を示す。図7Aは、身体内スペーサー(10)の厚みtを示す。この身体内スペーサーの好ましい厚みは、約5mmと約50mmとの間である。図7Bは、長さL、幅W、および厚みtをもつ矩形リング(15)を有する体内スペーサーを示す。1つの実施形態では、Lは、約8mmと約15mmの間であり、そしてWは、約8mmと約16mmとの間である。1つの実施形態では、この長さおよび幅は、両方とも約11mmに等しい。このリングの好ましい厚みは、約0.5mmと約3mmとの間である。1つの実施形態では、リング厚みは約2.5mmである。図7Cは、前面プレート(60)中の穴(62)間の間隔Hを示す。好ましい水平間隔は、約10mmと約25mmとの間である。1つの実施形態では、この水平間隔は、約12mmである。図7Cはまた、前面プレート中の穴(62)間の垂直間隔Iを示す。好ましい垂直間隔は、約15mmと約100mmとの間である。1つの実施形態では、この垂直間隔は約22mmである。
【0063】
(実施例3:骨欠陥を充填するために有用な多孔性組成物)
成分 型 量(容量%)
ポリマー 85/15DL−PLG 54.50%
セラミック 硫酸カルシウム二水和物 35.00%
繊維 PGA刻み繊維 9.00%
界面活性剤 PluronicF127NF 1.50%
この材料は、2.4MPaの初期圧縮強度、および>100MPaの圧縮剛度を備えた、75%多孔性構築物、平均ポアサイズ200μmに形成される。硫酸カルシウムフラクションは約4〜6週で溶解し、そしてポリマーフラクションは約8ヶ月で溶解する。この材料は、プラグ、ブロック、キューブ、および顆粒に製作され得、広範な種類の欠陥を充填する。
【0064】
(実施例4:負荷支持骨欠陥を支持するために有用な多孔性組成物)
成分 型 量(容量%)
ポリマー 70/30L/DL−PLA 58.50%
セラミック ヒドロキシGPアチド 25.00%
繊維 L−PGA刻み繊維 15.00%
界面活性剤 PluronicF127NF 1.50%
この材料は、16MPaの初期圧縮強度、および>200MPaの圧縮剛度を備えた、70%多孔性構築物に形成される。ヒドロキシアパタイトフラクションは骨破壊性活性によってゆっくり吸収され、そしてポリマーフラクションは約18〜36ヶ月で溶解する。
【0065】
(実施例5:非多孔性の吸収性コンポジット組成物)
非多孔性の吸収性材料は、ポリ乳酸、β相リン酸三カルシウムおよび炭酸カルシウムを含み得る。例示の組成物は表3に要約される。非多孔性材料は、射出成形の前にポリマー樹脂をセラミック成分と乾燥ブレンドすることにより作製され得る。粒子サイズは、約10〜約70ミクロンの範囲であり得る。1つの実施形態では、粒子サイズは、約20〜約40ミクロンである。
【0066】
【表3】

(実施例6:非多孔性の吸収性コンポジットの機械的試験)
非多孔性の吸収性コンポジットのいくつかの組成物は、それらの機械的性質を決定するために試験された。3.5mm直径のロッド(長さ=70mm)を屈曲試験のために用い、そして5.5mmのロッド(長さ約5.5mmまで切断)を圧縮試験のために用いた。比較のために、適切に室温おいて、非補強ポリ(L−ラクチド)は、125.5MPaの圧縮強度および5.1GPaの圧縮係数を有している(Verheyen、CCら、「ヒドロキシアパタイト/ポリ(L−ラクチド)コンポジット:機械的挙動の評価」 J of Biomed Mat Res、26巻、1277〜1296(1992))。非補強ポリ(D,L)ラクチドは、101.6MPaの曲げ強度および2.25GPaの曲げ係数を有する(Heidemann,Wら、「リン酸カルシウムの添加の有無によるインビボでのポリ(D,L)ラクチドの分解」Biomaterials、22巻、2371〜2381(2001))。
【0067】
加速分解試験は、47℃で緩衝化された刺激体液(pH=7.4)を用いた。適切な評価時点で、サンプルを、47℃インキュベーターから取り出し、そして試験の前に少なくとも1時間37℃で予備調整した。屈曲サンプルを、ASTM D−790あたり3点の曲げで37℃において湿潤条件で試験した。圧縮して試験されたサンプルを、緩衝化溶液から取り出し、そしてバイアル中に置いた。これらサンプルを、接触試験ラボに一晩送った。試験の前に、圧縮サンプルを、脱イオン水中で少なくとも2時間予備調整した。試験温度は37℃であった。圧縮試験は、6mm/分の負荷率を用いてコンポジット2およびコンポジット3について実施した。この試験は、初期降伏点が見えた後に停止した。
【0068】
表4および5は、47℃で分解した3つのコンポジットの機械的性質を要約している。
【0069】
【表4】

【0070】
【表5】

リアルタイム分解研究は、37℃で緩衝化された刺激体液(pH=7.4)を用い、70/30PLDLAコンポジットの圧縮性質における変化を決定した。結果を表6に示す。
【0071】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1A】図1Aは、本発明のくさび形状のインプラントの斜視図である。
【図1B】図1Bは、図1Aのインプラントの分解図である。
【図1C】図1Cは、インプラントの第1の領域および第2の領域のくさび角度(θ、θ)を示す、図1Aのインプラントの側面図である。
【図2A】図2Aは、取り付けられた前面プレートを備えたくさび形状のインプラントの斜視図である。
【図2B】図2Bは、くさび角度θ、θおよびプレートとくさびの中央平面との間の角度θを示す、図2Aのインプラントの側面図である。
【図3A】図3Aは、くさびの中央平面と、プレートの平面との間の角度θが、90゜より小さい、本発明の別のインプラントの側面図である。
【図3B】図3Bは、くさびの中央平面と、プレートの中央平面との間の角度θが、90゜より小さい、本発明の別のインプラントの側面図である。
【図4】図4は、より小さな多孔性の負荷を支持する外側リングおよびより多孔性の内側コアを備える組織スペーサーの斜視図である。
【図5】図5は、前面プレートに連結された負荷支持リングを備えた組織スペーサーの斜視図である。
【図6A】図6Aは、前面プレートの端部間の距離EおよびFを示す、前面プレートに取り付けられたくさびを備えるインプラントの前面図である。
【図6B】図6Bは、距離A、B、およびCを示す、図6Aのインプラントの前面図である。
【図6C】図6Cは、距離Dを示す、図6Aおよび6B中のインプラントの側面図である。
【図7A】図7Aは、前面プレートに取り付けられた負荷支持リングを備える組織スペーサーの側面図である。スペーサーの厚みtが示される。
【図7B】図7Bは、負荷支持リングの厚み、長さ、および幅を示す、図7Aのインプラントの平面図である。
【図7C】図7Cは、距離Hを示す、図7Aの組織スペーサーの前面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科インプラントであって、上面および下面を有する組織スペーサーを備え、該組織スペーサーが、
該スペーサーの上面の一部を形成する上面、および該スペーサーの下面の一部を形成する下面、内面および外面を有する第1の領域;ならびに
完全くさびまたは部分的くさびの形態にある第2の領域であって、該スペーサーの上面の一部を形成する上面、該スペーサーの下面の一部を形成する下面および該第1の領域の内面に連結される前面を有する第2の領域を備え、
ここで、該第2の領域が、該第1の領域より多孔性であり、かつ吸収性材料を備え、そして該第1の領域が完全なリングの形態ではない、インプラント。
【請求項2】
前記第1の領域の間隙率が、0〜約30%の間である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記第1の領域の間隙率が、0〜約15%の間である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記第1の領域が、実質的に非多孔性である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
前記第2の領域の間隙率が、約50%〜約90%の間である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
前記第2の領域の間隙率が、約70%〜約90%の間である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
前記第1の領域が、吸収性ポリマーを含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項8】
前記第1の領域が、セラミック粒子をさらに含む、請求項7に記載のインプラント。
【請求項9】
前記セラミック粒子が、β−リン酸三カルシウム粒子である、請求項8に記載のインプラント。
【請求項10】
前記第1の領域が、緩衝液をさらに含む、請求項7に記載のインプラント。
【請求項11】
前記緩衝液が、炭酸カルシウムである、請求項10に記載のインプラント。
【請求項12】
前記第2の領域が、吸収性ポリマー、セラミック粒子、繊維、および界面活性剤の多孔性コンポジットを含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項13】
前記インプラントが、前記第1の領域の連結される前面プレートをさらに備える、請求項1に記載のインプラント。
【請求項14】
前記組織スペーサーの中央平面と前記前面プレートとの間の角度が、約55゜〜約90゜の間である、請求項13に記載のインプラント。
【請求項15】
前記組織スペーサーの中央平面と、前記前面プレートの中央平面との間の角度が、約30゜〜約90゜の間である、請求項13に記載のインプラント。
【請求項16】
前記前面プレートが、該プレートの骨への取り付けのために用いられ得る少なくとも1つの穴をさらに備える、請求項13に記載のインプラント。
【請求項17】
前記前面プレートが、吸収性ポリマーを含む、請求項13に記載のインプラント。
【請求項18】
前記第2の領域が、生理活性薬剤、薬物、薬学的薬剤、細胞またはそれらの組み合わせで負荷される、請求項1に記載のインプラント。
【請求項19】
整形外科インプラントであって、上面および下面を有する組織スペーサーを備え、該組織スペーサーが、
リングの形態にあり、該リングが該スペーサーの上面の一部を形成する上面、該スペーサーの下面の一部を形成する下面、内面および外面を有する第1の領域;および
第2の領域であって、該スペーサーの上面の一部を形成する上面、該スペーサーの下面の一部を形成する下面、および該第1の領域の内面に連結される外面を有する第2の領域を備え、
ここで、該第1の領域の間隙率が0〜約30%の間であり、該第2の領域の間隙率が約50%〜約90%の間であり、そして該第2の領域が吸収性材料を含む、インプラント。
【請求項20】
前記第1の領域の間隙率が、0〜約15%の間である、請求項19に記載のインプラント。
【請求項21】
前記第1の領域が、実質的に非多孔性である、請求項19に記載のインプラント。
【請求項22】
前記第2の領域の間隙率が、約70%〜約90%の間である、請求項19に記載のインプラント。
【請求項23】
前記第1の領域が、吸収性ポリマーを含む、請求項19に記載のインプラント。
【請求項24】
前記第1の領域が、セラミック粒子をさらに含む、請求項23に記載のインプラント。
【請求項25】
前記セラミック粒子が、β−リン酸三カルシウム粒子である、請求項24に記載のインプラント。
【請求項26】
前記第1の領域が、緩衝液をさらに含む、請求項23に記載のインプラント。
【請求項27】
前記緩衝液が、炭酸カルシウムである、請求項26に記載のインプラント。
【請求項28】
前記第2の領域が、吸収性ポリマー、セラミック粒子、繊維、および界面活性剤の多孔性コンポジットを含む、請求項19に記載のインプラント。
【請求項29】
前記インプラントが、前記リングに連結される前面プレートをさらに備える、請求項19に記載のインプラント。
【請求項30】
前記前面プレートが、該プレートの骨への取り付けのために用いられ得る少なくとも1つの穴をさらに備える、請求項29に記載のインプラント。
【請求項31】
前記前面プレートが、吸収性ポリマーを含む、請求項29に記載のインプラント。
【請求項32】
前記第2の領域が、生理活性薬剤、薬物、薬学的薬剤、細胞またはそれらの組み合わせで負荷される、請求項19に記載のインプラント。
【請求項33】
吸収性整形外科インプラントであって、上面および下面を有する組織スペーサーを備え、該組織スペーサーが、
リングであって、該スペーサーの上面の一部を形成する上面、該スペーサーの下面の一部を形成する下面、内面および外面を有するリング;および
該リングの連結される前面プレートを備え、
ここで、該リングが、0〜約15%の間の間隙率を有する、インプラント。
【請求項34】
前記リングが、吸収性ポリマーを含む、請求項33に記載のインプラント。
【請求項35】
前記リングが、セラミック粒子をさらに含む、請求項34に記載のインプラント。
【請求項36】
前記セラミック粒子が、β−リン酸三カルシウム粒子である、請求項35に記載のインプラント。
【請求項37】
前記リングが、緩衝液をさらに含む、請求項34に記載のインプラント。
【請求項38】
前記緩衝液が、炭酸カルシウムである、請求項37に記載のインプラント。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2007−521885(P2007−521885A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552353(P2006−552353)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/004012
【国際公開番号】WO2005/077039
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(505316358)オステオバイオロジックス, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】