説明

吸排気フィルタの清掃機構及び画像形成装置

【課題】 画像形成装置の吸排気フィルタに付着した塵埃の清掃を自動で行うことができ、且つ、吸排気フィルタから回収した塵埃等を通常のメンテナンスと同様に回収・廃棄することができる吸排気フィルタの清掃機構及びそれを備えた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 画像形成装置1の吸気口10c又は排気口10dに設けられた吸排気フィルタ12,14の清掃機構において、吸排気フィルタ12,14に付着した塵埃を掻き取る清掃部材18と、無端ベルト(用紙搬送ベルト40)と、この無端ベルトの外周面をクリーニングするクリーニング手段(クリーニングユニット5)と、を有し、清掃部材18で掻き取った塵埃を無端ベルトの外周面に付着させてクリーニング手段まで搬送し、無端ベルトの外周面から塵埃をクリーニング手段で回収するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等の電子写真方式の画像形成装置に関し、詳しくは、電子写真方式の画像形成装置に搭載された吸排気フィルタの清掃機構及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には、定着装置、駆動モータ、電源などの数多くの熱源が存在するため、装置内の暖まった空気と外気とを入れ換えて装置内を冷却することが一般的である。また、吸気口には装置内部へのホコリや異物侵入防止のために、排気口には装置内部で発生するトナーなどの飛散物を外部に排出しないために、フィルタが設置されている。
【0003】
しかし、このような吸排気口に設けられた吸排気フィルタ(以下、吸排気フィルタという場合は、吸気フィルタ又は排気フィルタのいずれかを指すものとする)は、外気や装置内の空気中に浮遊する紙粉や異物等の塵埃の付着による目詰まりを起こし易く、定期的に清掃作業が必要となっており、この定期的な清掃作業を怠ると装置内の冷却が不完全となり装置の稼動が不安定になるという問題があった。
【0004】
特許文献1には、ファン電流値を検出する入力電流検出手段を設け、フィルタ目詰まりにより電流値が上昇した場合は表示部に清掃を促す旨を表示する画像形成装置が開示されている(特許文献1の図1等参照)。しかし、特許文献1に記載の画像形成装置では、清掃を促す旨を表示するだけであり、結局、ユーザ自身が清掃しなければならなかった。
【0005】
ユーザ自身が清掃しなくてもすむように、特許文献2には、吸気ファンを逆回転することにより排気させ、かつフィルタを振動素子により振動させることで、吸気口にフィルタ表面に付着した塵埃を振るい落として装置外へ排出する電子機器(プロジェクタ)が開示されている(特許文献2の図2等参照)。しかし、この電子機器(プロジェクタ)では、確かにユーザが清掃しなくてもフィルタ表面に付着した塵埃を清掃可能であるが、装置外へ塵埃を排出することになり、装置周辺に汚れが付着するという問題があった。
【0006】
また、特許文献3には、開閉カバーに連動させて刷毛で吸気ファンのフィルタの清掃を行い、刷毛で掃き落とされた塵埃を専用の回収皿に回収する電子機器装置が開示されている(特許文献3の図1等参照)。しかし、特許文献3に記載の電子機器装置では、刷毛で掃き落とされた塵埃は専用の回収箱に回収されるため、ユーザによる定期的な回収箱の交換作業が必要となるという問題があり、そのうえ、専用の回収箱に回収されない場合には、掃き落とされた塵埃が吸気ファンにより巻き上げられて装置内外に飛散し、吸気ファン周辺を汚してしまうという問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、電子写真方式の画像形成装置において、吸排気フィルタに付着した塵埃の清掃を自動で行うことができ、且つ、吸排気フィルタから回収した塵埃等を通常のメンテナンスと同様に回収・廃棄することができる吸排気フィルタの清掃機構及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像形成装置の吸気口又は排気口に設けられた吸排気フィルタの清掃機構であって、前記吸排気フィルタに付着した塵埃を掻き取る清掃部材と、無端ベルトと、この無端ベルトの外周面をクリーニングするクリーニング手段と、を有し、前記清掃部材で掻き取った塵埃を前記無端ベルトの外周面に付着させて前記クリーニング手段まで搬送し、前記塵埃を前記クリーニング手段で回収することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記清掃部材で掻き取った塵埃を前記無端ベルトにガイドするガイド部材を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記清掃部材は、前記無端ベルトの上方に配設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記無端ベルトは、帯電可能となっており、前記無端ベルトを帯電させることにより前記塵埃を静電引力で前記無端ベルトに吸着して搬送することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記無端ベルトは、画像形成領域外となる縁部に前記塵埃を付着させて搬送することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記吸排気フィルタは、円盤状に形成されて回転可能に軸支され、この吸排気フィルタが回転することにより、前記吸排気フィルタに付着した塵埃が前記清掃部材で掻き取られることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記吸排気フィルタは、画像形成装置の装置本体のカバー開閉動作と連動して回転することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記吸排気フィルタは、前記カバーの軸周りに設けられた円弧ラックと噛合する単数又は複数のアイドルギアを介して前記カバー開閉動作と連動していることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項6ないし8のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記吸排気フィルタは、回転方向が一方向のみに限定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記アイドルギアには、ワンウェイクラッチバネが介装されており、このワンウェイクラッチバネにより、吸排気フィルタの回転方向が一方向のみに限定されていることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構を備えた画像形成装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、前記のようであって、請求項1の発明によれば、画像形成装置の吸気口又は排気口に設けられた吸排気フィルタの清掃機構であって、前記吸排気フィルタに付着した塵埃を掻き取る清掃部材と、無端ベルトと、この無端ベルトの外周面をクリーニングするクリーニング手段と、を有し、前記清掃部材で掻き取った塵埃を前記無端ベルトの外周面に付着させて前記クリーニング手段まで搬送し、前記塵埃を前記クリーニング手段で回収するので、清掃部材で吸排気フィルタに付着した塵埃を掻き取ることにより吸排気フィルタに付着した塵埃の清掃を自動で行うことができるとともに、無端ベルトの外周面をクリーニングするクリーニング手段で吸排気フィルタに付着した塵埃を回収することができる。そのため、メンテナンススタッフ等が、無端ベルト用のクリーニング手段の回収容器と一緒に吸排気フィルタから掻き取った塵埃を通常のメンテナンスと同様に回収・廃棄することができ、吸排気フィルタから回収した塵埃を廃棄するユーザの別途の手間が掛からない。
【0020】
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記清掃部材で掻き取った塵埃を前記無端ベルトにガイドするガイド部材を有するので、前記作用効果に加え、ガイド部材でガイドしているため清掃部材で掻き取った塵埃が再び飛散するおそれが少なく、吸気口や排気口の周りが汚れることもない。
【0021】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2に記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記清掃部材は、前記無端ベルトの上方に配設されているので、清掃部材で掻き取った塵埃を重力により落下させて無端ベルト上に付着させて搬送し、無端ベルトの外周面をクリーニングするクリーニング手段で回収することができる。このため、電力や動力等が不要であり、省エネルギー化を図ることができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記無端ベルトは、帯電可能となっており、前記無端ベルトを帯電させることにより前記塵埃を静電引力で前記無端ベルトに吸着して搬送するので、前記作用効果に加え、無端ベルトに付着した塵埃が支持ローラを通過して無端ベルトの下面にさし掛かってもそのまま搬送することができ、クリーニング手段のレイアウトの自由度が増すとともに、清掃部材で掻き取った塵埃が再び飛散するおそれをさらに少なくすることができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記無端ベルトは、画像形成領域外となる縁部に前記塵埃を付着させて搬送するので、前記作用効果に加え、無端ベルトの外周面に付着した塵埃をクリーニング手段で全部回収しきれなかった場合でも、画像形成に悪影響を与えるおそれが少ない。
【0024】
請求項6の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記吸排気フィルタは、円盤状に形成されて回転可能に軸支され、この吸排気フィルタが回転することにより、前記吸排気フィルタに付着した塵埃が前記清掃部材で掻き取られるので、前記作用効果に加え、特許文献3の電子機器装置のような吸排気フィルタを直線往復動させる機構が必要なく、省スペース化を図ることができるとともに、部品点数を少なくしてコストダウンを図ることができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、請求項6に記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記吸排気フィルタは、画像形成装置の装置本体のカバー開閉動作と連動して回転するので、前記作用効果に加え、消耗品を交換する際の画像形成装置本体のカバー開閉動作を動力として、周期的に吸排気フィルタに付着した塵埃を清掃部材で掻き取ることができ、吸排気フィルタや清掃部材を動かす別途の動力源を必要とせず、省エネルギー化とコストダウンを図ることができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、請求項7に記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記吸排気フィルタは、前記カバーの軸周りに設けられた円弧ラックと噛合する単数又は複数のアイドルギアを介して前記カバー開閉動作と連動しているので、前記作用効果に加え、吸排気フィルタの回転量(回転スピード)の設定をアイドルギアのギア数等で調整することが容易であり、吸排気フィルタに付着した塵埃を飛散させることなく確実に回収することができる。
【0027】
請求項9の発明によれば、請求項6ないし8のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記吸排気フィルタは、回転方向が一方向のみに限定されているので、前記作用効果に加え、吸排気フィルタから清掃部材で掻き取った塵埃が、吸排気フィルタの逆回転により吸排気フィルタに再付着することがなく、清掃効率が向上する。
【0028】
請求項10の発明によれば、請求項9に記載の吸排気フィルタの清掃機構において、前記アイドルギアには、ワンウェイクラッチバネが介装されており、このワンウェイクラッチバネにより、吸排気フィルタの回転方向が一方向のみに限定されているので、前記作用効果に加え、低コストで簡単な構成のワンウェイクラッチバネで吸排気フィルタの回転方向の規制を実現することができ、コストダウンを図るとともに、耐久性を向上させることができる。
【0029】
請求項11の発明によれば、請求項1ないし10のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構を備える画像形成装置であるので、前記作用効果を画像形成装置において発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を正面視で示す構成説明図である。
【図2】同上の画像形成装置の概略構成を右側面視で示す構成説明図である。
【図3】同上の画像形成装置の排気フィルタの清掃機構を主に示す正面視の構成説明図である。
【図4】同上の排気フィルタの清掃機構を主に示す平面図である。
【図5】(a)は、フィルタを直線往復動作することで清掃する従来の吸排気フィルタの清掃機構を示す平面図、(b)は、同正面図である。
【図6】(a)は、同上の清掃機構の往路状態を示す平面図、(b)は、同正面図である。
【図7】(a)は、同上の清掃機構の復路状態を示す平面図、(b)は、同正面図である。
【図8】本発明を適用可能な画像形成装置の別例を正面視で示す構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。
【0032】
[画像形成装置の全体構成]
先ず、図1を用いて、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図中の符号1は、本発明の実施の形態に係る直接転写方式のカラープリンタであり、このカラープリンタ1は、主に、画像形成装置全体の筐体である装置本体10と、その装置本体10内の上部に配置された光学ユニット2と、この光学ユニット2の下方に配置された複数の感光体ユニット3と、これらの感光体ユニット3の直下に配置された転写搬送ユニット4と、転写搬送ユニット4の側方に配置されたクリーニングユニット5と、このクリーニングユニット5の上方であって装置本体10上部の一側面寄りに配置された定着ユニット6と、装置本体10の最下部に配置された給紙カセット7と、装置本体10の上面に形成された排紙トレイ8と、給紙カセット7から排紙トレイ8に亘る用紙搬送路9などから構成されている。
【0033】
光学ユニット2は、ポリゴンミラーやfθレンズなどを備え、パソコンや外部スキャナなどから入力された画像情報を基にレーザ発光装置からレーザ光を照射しながら走査し、一様に帯電された後述の感光体ドラムの外周面を選択的に露光させて、照射した部分の表面電位を低下させ、感光体ドラム上に静電潜像を形成する書込装置としての機能を有する。
【0034】
複数の感光体ユニット3は、色材三原色であるイエロー、シアン、マゼンダと、無彩色であるブラックの計4色のトナーに対応する略同構成の4つの感光体ユニット3Y,3C,3M,3Kとなっており、後述の用紙搬送ベルト40の外周面の移動方向(図中の矢印方向)に沿って上流側からイエロー、シアン、マゼンダ、ブラックの順に配列されている。
【0035】
各感光体ユニット3Y,3C,3M,3Kは、図中時計回りに回転駆動する潜像担持体である感光体ドラムY,C,M,Kを中心として、各感光体ドラムY,C,M,Kの外周面に帯電処理を施して一様に帯電させる帯電手段(図示せず)、各感光体ドラムY,C,M,K上に光学ユニット2で形成した静電潜像を対応する各色のトナーで単色のトナー像に可視像化する現像手段、感光体ドラムY,C,M,Kの外周面に転写後も残留する転写残トナーをクリーニングして回収するクリーニング手段(図示せず)などから構成された作像装置である。
【0036】
また、これらの各感光体ユニット3Y,3C,3M,3Kは、図1中の架空線(一点鎖線)で示すように、光学ユニット2と一緒に装置本体10の上面カバー10aを開放することにより、上方から装置本体10に対して脱着可能な構成となっている。
【0037】
転写搬送ユニット4は、弾性樹脂を基体とする無端ベルトからなる用紙搬送ベルト40と、この用紙搬送ベルト40を支持・張架する2つの支持ローラ41,42と、感光体ドラムY,C,M,Kとそれぞれ用紙搬送ベルト40を挟んで対向する4つの転写ローラ4Y,4C,4M,4Kなどから主に構成されている。
【0038】
また、支持ローラ41は、図示しない駆動手段に接続され、図の矢印方向に用紙搬送ベルト40を回転駆動する駆動ローラとなっており、支持ローラ42は、高圧電源43と電気的に接続され、用紙搬送ベルト40を後述の塵埃と逆極性に帯電することにより塵埃を用紙搬送ベルト40の外周面に吸着する機能を有している。
【0039】
各転写ローラ4Y,4C,4M,4Kは、空隙放電による画像劣化を考慮し、各感光体ドラムY,C,M,Kと用紙搬送ベルト40を挟んで中心間距離が最短距離で当接する正対位置から用紙搬送ベルト40の搬送方向下流側(図中の矢印方向)に少しずらした位置に配設された接触印加方式の転写バイアス(転写電圧)印加手段であり、図示しないバイアス電源に接続され、転写バイアスを用紙搬送ベルト40の裏面(内周面)から印加可能となっている。
【0040】
クリーニングユニット5は、転写搬送ユニット4の用紙搬送ベルト40の外周面に当接して用紙搬送ベルト40に付着したトナーや紙粉などを掻き取るクリーニングブレード50を有し、このクリーニングブレード50で掻き取られたトナー等は、落下して廃トナー収容部51に収容される。また、クリーニングユニット5は、図1中の架空線(一点鎖線)で示すように、側面カバー10bを開放することにより、側方から装置本体10に対して脱着可能となっており、廃トナー等を容易に廃棄することができる。
【0041】
定着ユニット6は、内部にハロゲンヒータなどの発熱手段を有する定着ローラ60と、この定着ローラ60に図示しない付勢手段により付勢されて圧接する加圧ローラ61などから構成され、定着ローラ60に加圧ローラ61が圧接することで定着ニップが形成され、この定着ニップにおいて、搬送されてきた用紙に熱と圧力が加えられ、各転写ローラ4Y,4C,4M,4Kで各色のトナー像が転写され、用紙搬送ベルト40上で重畳されたカラートナー像が用紙に溶融浸透して定着されるようになっている。
【0042】
給紙カセット7は、用紙(紙に限られず、コピー用紙、OHP用の樹脂シート、厚紙、葉書などを含むトナーが定着可能なシート状の部材を指す)を収容・ストックする機能を有し、装置本体から引き出し可能となっており、このカセット内にストックされた用紙に上方から所定圧で弾接する給紙ローラ70などが備えられている。この給紙ローラ70は、制御手段(図示せず)の制御信号に基づいて回転駆動し、一枚ずつ後述の用紙搬送路9に用紙を送り出す機能を有している。
【0043】
排紙トレイ8は、装置本体10の上面である上面カバー10aの上に形成されており、この排紙トレイ8上に、定着ユニット6を通過した用紙が排紙ローラ対により排出されて集積される。
【0044】
(画像形成動作)
次に、図1を参照しつつプリンタ1の画像形成動作について説明する。
カラー画像を形成する場合で説明すると、先ず、カラープリンタ1において画像形成動作が開始されると、各感光体ユニット3Y,3C,3M,3Kにおいて、各感光体ドラムY,C,M,Kが、カラープリンタ1の正面(図1参照)から見た状態で時計回りの方向に回転駆動し、このとき各帯電手段によって各感光体ドラムY,C,M,Kの外周面が所定の極性(例えば、マイナス)に一様に帯電される。次いで、それぞれの帯電面に、光学ユニット2からトナー色に対応するよう色分解された画像情報に基づいてレーザ光が照射され、各感光体ドラムY,C,M,Kの外周面上に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像は、各現像手段によって単色のトナー像として可視像化され、各色のトナー像はそれぞれ対応する転写ローラ4Y,4C,4M,4Kによって転写バイアスが印加され用紙搬送ベルト40上の用紙に順次重ねて転写されていき、フルカラーのトナー像が形成される。なお、単色の画像を形成する場合には、ブラックの感光体ユニット3Kのみで前記動作が行われる。
【0045】
一方、給紙カセット7にストックされている用紙が、給紙ローラ70により1枚ずつ用紙搬送路9に送り出されて、用紙搬送路9を上昇していき、用紙搬送ベルト40に到達する。そして、用紙搬送ベルト40で各感光体ユニット3Y,3C,3M,3Kのトナー像の位置と用紙搬送のタイミングを合わせて、各転写ローラ4Y,4C,4M,4Kで転写バイアスが印加され、用紙上に各色のトナー像が重畳されていき、フルカラーのトナー像が形成される。
【0046】
このフルカラーのトナー像を担持した用紙が、定着ユニット6の定着ニップに送られて、定着ローラ60と加圧ローラ61によって熱と圧力が加えられ、用紙に担持された未定着のトナー像が用紙に溶融浸透して定着される。このように、用紙にトナー像が定着された後、排紙ローラ対が回転して排紙トレイ8に排紙される。
【0047】
(吸排気ファン及び吸排気フィルタ)
次に、図2を用いて、吸排気ファン及び吸排気フィルタについて簡単に説明する。図2は、図1のカラープリンタ1を右側面から見て内部構成を透視状態で示す構成説明図であり、図2に示すように、装置本体10の背面側に吸気口10cが形成され、前面側に排気口10dが形成されている。
【0048】
(吸気ファン、吸気フィルタ)
吸気口10cの内側には、吸気ファン11が設置され、この吸気ファン11により吸気口10cから装置内の空気より冷たい外気が吸気フィルタ12を通じて装置本体10内に導入され、各ユニットの冷却の用に供される。この吸気フィルタ12は、外気中に浮遊するホコリなどの塵埃を濾しとって装置内部へ塵埃透が侵入することを防止する機能を有し、外部からの塵埃を侵入させないことで画像形成時に塵埃による画像欠陥の発生を抑えている。
【0049】
(排気ファン、排気フィルタ)
また、排気口10dの内側には、排気ファン13が設置され、この排気ファン13により排気フィルタ14を通じて排気口10dから装置内の暖まった空気が外気に放出されることにより、装置本体10内の各ユニットで発生する熱を排熱している。この排気フィルタ14には、活性炭フィルタが採用されており、装置本体10の内部に浮遊する紙粉、トナーなどの塵埃等を堰き止め、装置本体10の外部へ放出する空気をクリーンに保つ機能を有し、各感光体ユニット(3Y)の帯電手段にコロナ放電式等の高圧線による非接触帯電が用いられた場合であっても、悪臭の原因となるオゾンを活性炭で吸着して排気をクリーンに保つことができるようになっている。
【0050】
[吸排気フィルタの清掃機構]
次に、図2〜図4を用いて、本発明の特徴部分である吸排気フィルタの清掃機構の実施の形態について説明する。図3は、排気フィルタの清掃機構とそれと関連するユニットを示す構成説明図であり、図4は、それらの平面図である。なお、排気フィルタの清掃機構と吸気フィルタの清掃機構は、略同一構成であるため、図3、図4には、排気フィルタ14の清掃機構のみを図示し、吸気フィルタ12の清掃機構の図示及び説明は省略する。また、吸気フィルタ及び排気フィルタ両方を指す場合は、吸排気フィルタという。
【0051】
図3、図4に示すように、排気フィルタ14は、前述のように、活性炭フィルタであって、円盤状に形成されて軸14aを中心に回転可能に軸支された円形のフィルタであり、この排気フィルタ14の外周には、図示しない歯車が形成されている。この排気フィルタ14の歯車は、アイドルギア15の外周に形成された歯車(図示せず)と噛合しており、排気フィルタ14の回転は、アイドルギア15,16を介して上面カバー10aの軸周りに設けられた円弧ラック17の回動と連動している。
【0052】
つまり、上面カバー10aを開く開動作により、円弧ラック17が回転し、円弧ラック17の歯車(図示せず)と噛合するアイドルギア16、及びアイドルギア15がそれぞれ図示矢印方向に回転することにより、アイドルギア15の歯車と噛合する排気フィルタ14が図3の矢印方向に回転する仕組みとなっている。
【0053】
また、この排気フィルタ14の内側には、排気フィルタ14の軸14aから半径方向に沿って下方に延びる清掃部材18が排気フィルタ14の内側盤面(以下、内面という)に当接するよう固設されているので、前述の上面カバー10aの開動作を動力とする排気フィルタ14の回転に伴って、排気フィルタ14の内面が清掃部材18で摺接されることとなり、図3、図4に示すように、排気フィルタ14の内面に付着した塵埃が清掃部材18で掻き(払い)落とされ、前述の用紙搬送ベルト40の印刷領域(プリンタ1で印刷可能な最大の用紙を用紙搬送ベルト40で搬送する際にその用紙が用紙搬送ベルト40に担持される範囲)外の縁部へ落下するようになっている。
つまり、排気フィルタ14及び清掃部材18は、図3、図4に示すように、用紙搬送ベルト40の印刷領域外の縁部上方に配設されている。
【0054】
塵埃が落下する搬送ベルト40は、前述のように、支持ローラ42を介して高圧電源43と電気的に接続されて帯電可能となっているので、排気フィルタ14の内面から掻き落とされ用紙搬送ベルト40の印刷領域外へ落下した塵埃も、用紙搬送ベルト40にもともと付着していたトナーや紙粉などと一緒に用紙搬送ベルト40に付着したまま前述のクリーニングユニット5まで搬送されていき、そこで付着トナーや紙粉などと一緒にクリーニングブレード50で掻き取られて回収される。このため、ダストボックス等の吸排気フィルタ用の塵埃回収手段を別途設けなくても済み、コストダウンを図ることができる。
【0055】
そして、図2に示すように、清掃部材18の背面側及び前面側となる両側には、清掃部材18で掻き取った塵埃を無端ベルトである用紙搬送ベルト40にガイドするガイド部材19が設置されており、このガイド部材19で、清掃部材18により吸排気フィルタ12,14から掻き落とした塵埃が飛散するのを防ぐことができるようになっている。
【0056】
さらに、アイドルギア16には、図2に示すように、ワンウェイクラッチバネ16aが介装されているので、上面カバー10aを閉じる閉動作時には、ワンウェイクラッチバネ16aの機能により、アイドルギア16の回転が、アイドルギア15及びそれと噛合する吸排気フィルタ12,14には伝達されない構成となっている。このため、上面カバー10aを閉めるときには、吸排気フィルタ12,14は回転せず、吸排気フィルタ12,14が図3に示す矢印方向の一方向にしか回らないので、清掃部材18で掻き取った塵埃が、吸排気フィルタ12,14が逆回転することにより吸排気フィルタ12,14に再付着するおそれがない。
【0057】
勿論、この吸排気フィルタ12,14の回転と上面カバー10aの開閉動作との連動は、上面カバー10aを閉じる閉動作時にのみ吸排気フィルタ12,14が回転するように構成しても構わないし、前述の側面カバー10bの開閉動作と連動させても構わない。また、吸排気フィルタ12,14の回転制限を前述のワンウェイクラッチバネを吸排気フィルタ12,14に装着することで実現してもよい。要するに、吸排気フィルタ12,14が一方向にしか回転しない構成であれば、前記作用効果を奏することができる。
【0058】
つまり、図5〜7は、フィルタを直線往復動作することで清掃する従来の吸排気フィルタの清掃機構の往路から復路までを示す平面図及び同正面図であるが、図5〜7に示すように、背景技術で述べた特許文献3の電子機器装置の技術を応用して、清掃部材に対するフィルタの直線往復動作により塵埃の除去を行う清掃機構とした場合は、図7で示すフィルタの復路である戻り動作において、往路で清掃部材に掻き落とされて溜まった塵埃が、フィルタに再度付着してしまい清掃効率が悪くなるという問題が発生する。しかし、本実施の形態に係る吸排気フィルタの清掃機構のように一方向にしか回転しない構成にすることにより、往路で掻き落とされた塵埃が再度フィルタに付着してしまうという問題を解決することができ、吸排気フィルタが往路で戻る際や逆回転する際に、清掃部材で掻き取って溜まった塵埃が吸排気フィルタに再付着することを防ぐことができる。
【0059】
なお、この発明の実施の形態に係る画像形成装置として、4連タンデム型の直接転写方式のカラープリンタを例に挙げて説明したが、必ずしもこのようなものに限られず、図8に示すような中間転写方式のプリンタにも適用することができる。要するに、用紙搬送ベルトや中間転写ベルトなどの用紙又はトナー像を担持・搬送する無端ベルトと、この無端ベルトの外周面をクリーニングするクリーニング手段と、を有した画像形成装置には、本発明を適用することができる。
【0060】
そして、実施の形態に係る画像形成装置の説明における光学ユニット2、感光体ユニット3、転写搬送ユニット4、定着ユニット6、給紙カセット7、排紙トレイ8、用紙搬送路9などは、あくまでも一例を示したものであって、他の公知の装置・手段などの構成を採用することができる。その場合でも、前記課題に対して同様の作用効果を奏することは明らかである。
【0061】
また、図面で示した各構成部材の形状や構造等も、あくまでも好ましい一例を示すものであり、特許請求の範囲内で適宜設計変更可能であることは云うまでもない。特に、上面カバー等の開閉動作と連動させて吸排気フィルタが回転することで清掃部材が塵埃を掻き落とす構成で説明したが、吸排気フィルタに駆動手段の駆動力を伝達して回転させたり、清掃部材自身を回転駆動させたりする構成でも、清掃部材で塵埃を掻き落として、その掻き落とした塵埃を無端ベルトでクリーニング手段まで搬送し、クリーニング手段で搬送した塵埃を回収・廃棄することができる。但し、動力が不要となる観点からは、上面カバー等の開閉動作と連動させて吸排気フィルタが回転する構成の方が好ましい。
【符号の説明】
【0062】
1 カラープリンタ(画像形成装置)
10 装置本体
10a 上面カバー(カバー)
10b 側面カバー(カバー)
10c 吸気口(吸排気口)
10d 排気口(吸排気口)
12 吸気フィルタ(吸排気フィルタ)
14 排気フィルタ(吸排気フィルタ)
15、16 アイドルギア
16a ワンウェイクラッチバネ
17 円弧ラック
18 清掃部材
19 ガイド部材
4 転写搬送ユニット
40 用紙搬送ベルト(無端ベルト)
5 クリーニングユニット(クリーニング手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開平04−358512号公報
【特許文献2】特開2008−60108号公報
【特許文献3】特開2000−49481号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の吸気口又は排気口に設けられた吸排気フィルタの清掃機構であって、
前記吸排気フィルタに付着した塵埃を掻き取る清掃部材と、無端ベルトと、この無端ベルトの外周面をクリーニングするクリーニング手段と、を有し、
前記清掃部材で掻き取った塵埃を前記無端ベルトの外周面に付着させて前記クリーニング手段まで搬送し、前記塵埃を前記クリーニング手段で回収することを特徴とする吸排気フィルタの清掃機構。
【請求項2】
前記清掃部材で掻き取った塵埃を前記無端ベルトにガイドするガイド部材を有することを特徴とする請求項1に記載の吸排気フィルタの清掃機構。
【請求項3】
前記清掃部材は、前記無端ベルトの上方に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸排気フィルタの清掃機構。
【請求項4】
前記無端ベルトは、帯電可能となっており、前記無端ベルトを帯電させることにより前記塵埃を静電引力で前記無端ベルトに吸着して搬送することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構。
【請求項5】
前記無端ベルトは、画像形成領域外となる縁部に前記塵埃を付着させて搬送することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構。
【請求項6】
前記吸排気フィルタは、円盤状に形成されて回転可能に軸支され、この吸排気フィルタが回転することにより、前記吸排気フィルタに付着した塵埃が前記清掃部材で掻き取られることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構。
【請求項7】
前記吸排気フィルタは、画像形成装置の装置本体のカバー開閉動作と連動して回転することを特徴とする請求項6に記載の吸排気フィルタの清掃機構。
【請求項8】
前記吸排気フィルタは、前記カバーの軸周りに設けられた円弧ラックと噛合する単数又は複数のアイドルギアを介して前記カバー開閉動作と連動していることを特徴とする請求項7に記載の吸排気フィルタの清掃機構。
【請求項9】
前記吸排気フィルタは、回転方向が一方向のみに限定されていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構。
【請求項10】
前記アイドルギアには、ワンウェイクラッチバネが介装されており、このワンウェイクラッチバネにより、吸排気フィルタの回転方向が一方向のみに限定されていることを特徴とする請求項9に記載の吸排気フィルタの清掃機構。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の吸排気フィルタの清掃機構を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−181302(P2012−181302A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43521(P2011−43521)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】