説明

吸気側にガイド板を持つ換気装置

【課題】
吸気口の前面に化粧板等の障害物がある場合、吸気口の流れの変流(流れ方向は急に90°変わる気流)により発生する流れの剥離現象を抑制し、圧損と渦損を減少させ、また羽根車により誘引される旋回流を緩和した風量−圧力特性性能のよい換気装置を提供する。
【解決手段】
発明される換気装置は、回転させるモ−タ1と羽根車2から構成する軸流ファン7と、本体部3の前面に開口された円形状吸気口4と、本体部3の前面を覆うと共に、本体部3の前面とスペ−スを持ち設置される化粧板5と、上記スペ−ス空間に一様な間隔で羽根車の回転方向と逆向きの放射状配列されるガイト板6と、本体部3の前面の外縁と化粧板5の外縁により形成した吸込口8を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の室内に設置し、室内の空気を吸気し屋外へ排出する換気装置、又は電子機器筐体内に設置し、筐体内の空気を排出する電子冷却ファンにおいて、吸込み口側に近接して空気抵抗となる平板状物体が配置された換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来の換気装置の一例を示す構成図であり、まず参照しながら簡要にその構成を説明する。本体部3の外部にモ−タ1が固定され、モ−タ1の回転軸端に羽根車2が取り付けられる。モ−タ1と羽根車2から軸流ファン7が形成される。本体部3の前面に円形状吸気口4が開口される。本体部3の前面側には、近接して化粧板5が設置される。
従来、化粧板5は、気流を通過させるため、スリット状等の開口が設けられていたが、外観の向上及び羽根車を直接視認できないことを目的として、化粧板5を非通気構造とし、新たに、通気路として本体部3前面の縁と化粧板5の縁により、四面オ−プン状の吸込口8を形成した構造を採用する。換気装置は運転する時に、気流が吸込口8より前記のスペ−スを通じて、吸気口4へ吸い込まされ、羽根車2の軸方向に通過し、排気パイプに流れていく室内の換気を実現する装置である。
電子冷却ファンの例では、筐体内のスペ−スが限られていることから、吸い込み側に近接して、化粧板5の代わりに、障害物が取り付けられる場合に相当する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しがしながら、上記のような従来の換気装置においては、本体部前面の表面に沿って羽根車の奥への気流は円形状吸気口を通過する時、流れの方向は急に90°に変化する。そのため、羽根車と本体の間で流れが大きな剥離を起こし、圧力損失と渦損失を生じることになる。また化粧板と円形状吸気口で構成する空間が狭いため低風量範囲ではかなりの旋回流が生じ、羽根の中心部が負圧になり、羽根を出入りする二次流れが発生し、風圧が減少する。以上の原因によって、換気装置の風量−圧力特性に係わる送風性能が低下するという問題があった。
図3は換気装置の風量−圧力特性の例を示す特性図である。軸流ファン7の単体での性能曲線9は、化粧板5の存在により、性能曲線10に移る。化粧板5の存在により発生する気流の通気抵抗は、風量の減少と共に少なくなると推定されてきたが、実験では低風量域において大幅に圧力が減少する。また、大風量域でも大幅に風量が減少する。
本発明は、軸流ファン7の前面に化粧板5が取り付けられたときに低下する風量−圧力特性の性能低下を極力低減する手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来技術上の問題点を解決するため、請求項1に記載される本発明の換気装置では、本体部の前面と化粧板5との間のスペ−ス空間に旋回流を減少させることにより、低流量域での圧力低下を改善し、流れ方向を導く機能を持つガイト板の配列により大流量域での風量増大を特徴とするものである。本発明の効果については、放射状配列される多数のガイト板により流れの案内が実現できることで、従来の装置における境界層の剥離現象が抑えられ、圧損と渦損を効果的に減少させると同時に、旋回流が確実に緩和される。更に、ガイド板が軸方向に対し角度を有し、羽根車に入射する風向に気流を導くことにより、換気装置の風量−圧力特性に係わる送風性能の向上が実現される。
【発明の効果】
【0005】
以上の説明で明らかなように、本発明の換気装置によれば、従来の換気装置の特徴である正面から気流を通さない化粧板が設置される構造を保持しつつ、本体部前面と化粧板との間の空間に設置するガイト板の配列で気流流れの案内が実現できることにより、送風性能のよい換気装置が提供でき、低風量域における圧力上昇と大風量域における風量増大を実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して本発明の換気装置の実施形態について説明する。図2は本発明の実施形態に関するガイト板を放射状配列した換気装置の構成を示す概略図である。
ガイド板は、直線状又は必要に応じて円弧状にしても良い。
本発明において、本体部3の前面と化粧板5との間の空間に、ガイト板6が、一様な間隔で羽根車の回転方向と逆向きの放射状配列される構造に最大の特徴を持つ。ガイト板6の配置で、空間にはいくつかの小部分に分かれる流路が形成される。換気装置が稼働する時には、吸込口8から吸込まれた気流はガイト板6により分流された各流路に沿う吸気口4に流れていくため、大流量域において換気流の主流は変流(流れ方向は急に90°変わる気流)するのではなく、ガイト板6の間で遠心流になり、遠心力により吸気口円筒断面の外周方向に押し付けられ、軸流ファン7を通過し排出する。従って、従来は吸込口8の付近に大きな剥離発生していたものが抑制され、圧損と渦損を効果的に減らさせることができる。またガイト板6で分流された各流路なかの気流の流れは羽根車の回転方向と逆向きの遠心流が形成されるため小流量域において羽根車に誘引される旋回流が確実に緩和され、軸流ファンの送風性能が向上されることが試験結果により分かった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】従来の換気装置の例
【図2】本発明による分流案内板を設ける換気扇
【図3】本発明による風量−圧力特性の改善
【符号の説明】
【0008】
1 モ−タ
2 羽根車
3 本体
4 吸気口
5 化粧板
6 ガイト板
7 軸流ファン
8 吸込口
9 化粧板の無い場合の風量−圧力特性
10 化粧板の有る場合の風量−圧力特性
11 化粧板が有り、本発明によるガイド板を設ける場合の風量−圧力特性

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モ−タと羽根車及び本体で構成する軸流ファンと、本体部の前面に開口された吸気口と本体部前面を覆い、近接して平行に設置される化粧板があるか又は吸込み口側に近接して空気抵抗となる平板状物体が配置されたとき、上記の空間に一様な間隔で羽根車の回転方向と逆向きの放射状配列されるガイト板と、本体部前面の外縁と化粧板の外縁により形成した吸込口を備えたことを特徴とする換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−332818(P2007−332818A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163296(P2006−163296)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(306005871)
【Fターム(参考)】