説明

吸水性ポリマー発泡体の製造方法

少なくとも部分的に中和されていてよい、酸基を含有するエチレン性不飽和モノマー、架橋剤、光開始剤、及び界面活性剤を含有する、発泡された水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させることによる、吸水性ポリマー発泡体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に中和されていてよい、酸基を含有するエチレン性不飽和モノマー、架橋剤、光開始剤、及び界面活性剤を含有する、発泡された水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させることによる、吸水性ポリマー発泡体の製造方法に関する。
【0002】
吸水性ポリマーは、おむつ、タンポン、生理帯、パンティライナー、キズ用包帯、及びその他の衛生用品を製造するための、水溶液を吸収する製品として使用されているが、農業園芸における保水剤としても使用されている。吸水性ポリマーは、超吸収体とも呼ばれる。
【0003】
吸水性ポリマーの製造は、モノグラフィー"Modern Superabsorbent Polymer Technology",F.L.Buchholz及びA.T.Graham,Wiley−VCH,1998,第71頁〜第103頁に記載されている。
【0004】
酸基を含有する架橋されたモノマーをベースとする吸水性ポリマー発泡体は、例えばEP 0 858 478 B1、WO 97/31971 A1、WO 99/44648 A1、及びWO 00/52087 A1から公知である。このような発泡体は例えば、重合可能な水性混合物(少なくとも50mol%が中和されている酸基含有エチレン性不飽和モノマー、架橋剤、及び少なくとも1種の界面活性剤を含有するもの)を発泡させ、引き続き発泡された混合物を重合させることにより、製造される。重合可能な混合物の発泡は、ラジカルに対して不活性なガスを微細に吹き込んで分散させることにより、又はこのようなガスを高圧下で重合可能な混合物に溶解させ、当該混合物を放圧することにより、行われる。これらの発泡体は例えば衛生用品において、体液を取得、分散、及び貯蔵するために用いられる。
【0005】
本発明の課題は、遠心保持容量(CRC)が高く、洗浄損失(AWV)が低いといった改善された特性プロフィールを有する吸水性ポリマー発泡体を提供することであった。さらにこの吸水性発泡体は、残留モノマーと残留架橋剤をほとんど含まないべきであり、またできる限り白色であるべきであり、何ら匂いを放出しないべきであった。
【0006】
この課題は、以下のa)〜d)、任意でe)〜g):
a)酸基を含有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、当該モノマーは少なくとも部分的に中和されていてよく、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の光開始剤、
d)少なくとも1種の界面活性剤
e)任意で、前記a)で挙げたモノマーと共重合可能な1種又は複数種のエチレン性不飽和モノマー、
f)任意で、溶解促進剤(Loesevermittler)、及び
g)任意で、粘稠剤、発泡安定剤、重合制御剤、充填材、繊維、及び/又はセル核形成剤、
を含有する、発泡された水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させることによる、吸水性ポリマー発泡体の製造方法であって、前記モノマー溶液又は前記モノマー懸濁液を重合させてポリマー発泡体にする、前記製造方法によって解決され、当該製造方法は、
前記少なくとも1種の光開始剤が、以下の一般式Iの化合物
【化1】

であり、
当該式中、
1、R2、R3、R4、及びR5は、
相互に独立して水素、又はC1〜C8アルキルであり、
好適には相互に独立して水素、又はC1〜C4アルキルであり、
特に好ましくは相互に独立して水素、又はC1〜C2アルキルであり、
ここでC3〜C8アルキルは、分枝状であるか、又は非分枝状であってよく、
Xは、
水素、OR6、又はC1〜C8アルキルであり、
好適にはOR6、又はC1〜C4アルキルであり、
特に好ましくはOR6、又はC1〜C2アルキルであり、
ここでC3〜C8アルキルは、分枝鎖状であるか、又は非分枝鎖状であってよく、
6は、
1〜C8アルキル、又はC1〜C8ヒドロキシアルキルであり、
好適にはC1〜C4アルキル、又はC1〜C4ヒドロキシアルキルであり、
特に好ましくはC1〜C2アルキル、又はC1〜C2ヒドロキシアルキルであり、
ここでC3〜C8アルキル、又はC3〜C8ヒドロキシアルキルは、分枝鎖状であるか、又は非分枝鎖状であってよく、
Yは、C4〜C8シクロアルキル、C(R7)R8、又はP(=O)R7であり、
7及びR8は、
相互に独立して、C1〜C8アルキル、又はC6〜C12アリールであり、
好適には相互に独立して、C1〜C4アルキル、又はC6〜C10アリールであり、
特に好ましくは相互に独立して、C1〜C2アルキル、又はC6〜C8アリールであり、
ここでC3〜C8アルキル、又はC9〜C12アリールは、分枝鎖状であるか、又は非分枝鎖状であってよい、
ことを特徴とする。
【0007】
極めて特に好ましい一般式Iの光開始剤c)では、
前記式中、R1、R2、R3、R4、及びR5がそれぞれ水素であり、XがOR6であり、R6がヒドロキシエチルであり、YがC(R7)R8であり、かつR7とR8がそれぞれメチルであり(Irgacure(登録商標)2959)、
前記式中、R1、R2、R3、R4、及びR5がそれぞれ水素であり、Xが水素であり、YがC(R7)R8であり、かつR7とR8がそれぞれメチルであり(Darocure(登録商標)1173)、
前記式中、R1、R2、R3、R4、及びR5がそれぞれ水素であり、Xが水素であり、Yがシクロヘキシルであり(Irgacure(登録商標)184)、
前記式中、R1、とR3がそれぞれ水素であり、R2とR4がそれぞれメチルであり、R5がエチルであり、Xがメチルであり、YがP(=O)R7であり、かつR7がフェニルである(Lucerin(登録商標)TPO-L)。
【0008】
光開始剤c)の量は、それぞれ中和されていないモノマーa)に対して、好適には0.001〜2質量%、特に好適には0.01〜1質量%、極めて特に好適には0.05〜0.2質量%である。
【0009】
モノマーa)は、好ましくは水溶性である。すなわち、23℃での水への溶解度は通常、水100gあたり少なくとも1g、好ましくは水100gあたり少なくとも5g、特に好適には水100gあたり少なくとも25g、極めて好適には水100gあたり少なくとも35gである。
【0010】
適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸である。特に有利なモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。さらにアクリル酸が特に有利である。
【0011】
更なる適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0012】
不純物は、重合に重大な影響を与えかねない。それゆえ、使用される原料は、可能な限り高い純度を有していることが望ましい。それゆえ、多くの場合、モノマーa)を特別に精製することが好ましい。適した精製法は、例えばWO2002/055469A1、WO2003/078378A1及びWO2004/035514A1に記載される。適したモノマーa)は、例えばWO 2004/035514 A1によれば、精製されたアクリル酸であって、99.8460質量%アクリル酸、0.0950質量%酢酸、0.0332質量%水、0.0203質量%プロピオン酸、0.0001質量%フルフラール、0.0001質量%無水マレイン酸、0.0003質量%ジアクリル酸及び0.0050質量%ヒドロキノンモノメチルエーテルを有する。
【0013】
モノマーa)の量はそれぞれ、中和されていないモノマーa)に対して、及びモノマー溶液若しくはモノマー懸濁液に対して、好適には20〜90質量%、特に好適には30〜85質量%、極めて特に好適には35〜75質量%である。本発明の意味合いにおいて、「中和されていないモノマーa)に対して」とは、中和前のモノマーa)の割合を計算するために用いられることを意味する。つまり、中和の貢献は、考慮されていないままである。
【0014】
モノマーa)の酸基は通常、25〜95mol%、好適には40〜85mol%、好ましくは50〜80mol%、とりわけ好ましくは55〜75mol%が中和されており、ここで慣用の中和剤が使用でき、それは例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩、又はアルカリ金属炭酸水素塩、並びにこれらの混合物である。しかしながらこの中和はまた、アンモニア、アミン、又はアルカノールアミン(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、若しくはトリエタノールアミン)で行うこともできる。
【0015】
本発明の好ましい実施態様では、中和された前記モノマーa)の10〜90mol%、好適には20〜80mol%、特に好ましくは30〜70mol%、極めて特に好ましくは40〜60mol%が、アルカノールアミンによって中和されたものである。
【0016】
アルカノールアミンの割合が増えるにつれて、ポリマー発泡体の可撓性と、洗浄損失(AVW)が増大する。
【0017】
モノマーa)の全量におけるアクリル酸及び/又はその塩の割合は、有利に少なくとも50mol%、特に有利に少なくとも90mol%、とりわけ有利に少なくとも95mol%である。
【0018】
モノマーa)は、通常は重合禁止剤、好ましくはヒドロキノン半エーテルを、貯蔵安定剤として含有する。
【0019】
モノマー溶液はヒドロキノン半エーテルを、それぞれ中和されていないモノマーa)に対して、好ましくは最大250質量ppm、有利には最大130質量ppm、特に有利には最大70質量ppm、有利には少なくとも10質量ppm、特に有利には少なくとも30質量ppm、殊に約50質量ppm含有する。例えば、モノマー溶液の製造のために、相応するヒドロキノン半エーテル含量を有するエチレン性不飽和の酸基含有モノマーを使用してよい。
【0020】
有利なヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はα−トコフェロール(ビタミンE)である。
【0021】
適した架橋剤b)は、架橋に適した基を少なくとも2つ有する化合物である。このような基は例えば、ポリマー鎖中にラジカル重合導入可能なエチレン性不飽和基、及びモノマーa)の酸基と共有結合を形成可能な官能基である。さらに、モノマーa)の少なくとも2個の酸基と配位結合を形成可能な多価金属塩も架橋剤b)として適している。
【0022】
架橋剤b)は、有利には、ポリマー網目にラジカル重合導入できる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン(例えばEP0530438A1に記載)、ジアクリレート及びトリアクリレート(例えばEP0547847A1、EP0559476A1、EP0632068A1、WO93/21237A1、WO2003/104299A1、WO2003/104300A1、WO2003/104301A1及びDE10331450A1に記載)、アクリレート基の他に更なるエチレン性不飽和基を有する混合アクリレート(例えばDE10331456A1及びDE10355401A1に記載)、又は架橋剤混合物(例えばDE19543368A1、DE19646484A1、WO90/15830A1及びWO2002/032962A2に記載)である。
【0023】
有利な架橋剤b)は、ペンタエリトリトリアリルエーテル、テトラアルコキシエタン、メチレンビス−メタクリルアミド、15箇所エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリアリルアミンである。
【0024】
極めて有利な架橋剤b)は、例えばWO2003/104301A1に記載されているような、アクリル酸又はメタクリル酸でジアクリレート又はトリアクリレートへとエステル化された多重エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンである。3〜10箇所エトキシル化されたグリセリンのジアクリラート及び/又はトリアクリラートが特に有利である。さらに、1〜5箇所エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのジアクリラート又はトリアクリラートが特に有利である。最も有利なのは、3〜5箇所エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのトリアクリレート、殊に3箇所エトキシ化されたグリセリンのトリアクリレートである。
【0025】
架橋剤b)の量は、中和されていないモノマーa)に対して、好適には0.5〜15質量%、特に好ましくは2〜10質量%、極めて特に好ましくは3〜8質量%である。架橋剤含量が増えるにつれて、遠心保持容量(CRC)は低下し、21.0g/cm2(AUL0.3psi)の加圧下での吸収量は最大値を通過する。
【0026】
モノマー溶液又はモノマー懸濁液は、光開始剤c)に加えてさらに、別の開始剤を含有することができる。これには、重合条件下でラジカルを生じる化合物全体が使用でき、これは例えば熱開始剤、レドックス開始剤である。
【0027】
熱開始剤は例えば、過酸化物、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過硫酸塩、及びアゾ開始剤である。適切な重合開始剤は例えば、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス−(N,N−ジメチレン)イソブチルアミジンジヒドロクロリド、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−[2−(2’−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、及び4,4’−アゾビス−(4−シアノバレリアン酸)である。
【0028】
本発明の好ましい実施態様では、光開始剤c)とアゾ開始剤との組み合わせを用いる。これによって、残留モノマーが特に少なく、非常に白い吸水性ポリマー発泡体が得られる。
【0029】
界面活性剤d)は、発泡したモノマー溶液又はモノマー懸濁液の製造及び安定化にとって、非常に重要である。相互に相容性のアニオン性、カチオン性、若しくは非イオン性の界面活性剤、又は界面活性剤混合物が使用できる。低分子量又はポリマー性の界面活性剤が使用でき、ここで別種の、若しくは同種の界面活性剤の組合わせが有利であると実証されている。使用可能な非イオン性界面活性剤は例えば、アルキレンオキシドの付加生成物であり、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシドが、アルコール、アミン、フェノール、ナフトール、又はカルボン酸に付加したものである。界面活性剤として有利には、エチレンオキシド、及び/又はプロピレンオキシドが、炭素数が少なくとも10のアルコールに付加した付加生成物を使用し、ここでこの付加生成物には、アルコール1molあたり3〜200molのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドが付加されている。この付加生成物は、アルキレンオキシド単位を、ブロックで、又は統計的な分布で含有する。使用可能な非イオン性界面活性剤の例は、7molのエチレンオキシドが1molの獣脂アルコールに付加した付加生成物、9molのエチレンオキシドと1molの獣脂アルコールとの反応生成物、及び80molのエチレンオキシドが1molの獣脂アルコールに付加した付加生成物である。さらなる使用可能な市販の非イオン性界面活性剤は、オキソアルコール若しくはチーグラーアルコールと、アルコール1molあたり5〜12molのエチレンオキシド(特に7molのエチレンオキシド)との反応生成物である。使用可能なさらなる市販の非イオン性界面活性剤は、ひまし油のエトキシ化によって得られる。ひまし油1molあたり、例えばエチレンオキシドを12〜80mol付加させる。使用可能なさらなる市販の製品は例えば、18molのエチレンオキシドと1molの獣脂アルコールとの反応生成物、10molのエチレンオキシドが1molのC13/C15オキソアルコールに付加した付加生成物、又は7〜8molのエチレンオキシドと1molのC13/C15オキソアルコールとの反応生成物である。さらなる適切な非イオン性界面活性剤は、フェノールアルコキシレートであり、例えば9molのエチレンオキシドと反応させたp−t−ブチルフェノール、又は1molのC12〜C18アルコールと、7.5molのエチレンオキシドとから得られる反応生成物のメチルエーテルである。
【0030】
上述の非イオン性界面活性剤は例えば、硫酸によるエステル化によって、相応する硫酸半エステルにすることができる。硫酸半エステルは、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩の形で、アニオン性界面活性剤として使用する。アニオン性界面活性剤として適しているのは例えば、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドが脂肪アルコールに付加した付加生成物の硫酸半エステルのアルカリ金属塩若しくはアンモニウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩若しくはアンモニウム塩、又はアルキルフェノールエーテルスルフェートのアルカリ金属塩若しくはアンモニウム塩である。このような製品は、市販で手に入る。使用可能な市販のアニオン性界面活性剤の例は、硫酸半エステルのナトリウム塩、106molのエチレンオキシドと反応させたC13/C15オキソアルコールの硫酸半エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸のトリエタノールアミン塩、アルキルフェノールエーテルスルフェートのナトリウム塩、及び106molのエチレンオキシドと、1molの獣脂アルコールとの反応生成物の硫酸半エステルのナトリウム塩である。さらなる適切な界面活性剤は、C13/C15オキソアルコールの硫酸半エステル、パラフィンスルホン酸、例えばC15アルキルスルホネート、アルキル置換されたベンゼンスルホン酸、及びアルキル置換されたナフタリンスルホン酸、例えばドデシルベンゼンスルホン酸、及びジ−n−ブチルナフタリンスルホン酸、並びに脂肪アルコールホスフェート、例えばC15/C18脂肪アルコールホスフェートである。重合可能な水性混合物は、非イオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤との組み合わせ、又は非イオン性界面活性剤の組み合わせ、又はアニオン性界面活性剤の組み合わせを含有ことができる。カチオン性界面活性剤も適している。その例は、ジメチルスルフェートで四級化された、6.5molのエチレンオキシドと1molのオレイルアミンとの反応生成物、ジステアリルメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、及びジメチルスルフェートで四級化されたステアリン酸トリエタノールアミンエステルであり、好ましくはカチオン性界面活性剤として用いられる。
【0031】
界面活性剤の量は、中和されていないモノマーa)に対して、好適には0.01〜10質量%、特に好ましくは0.1〜6質量%、極めて特に好ましくは0.8〜3質量%である。
【0032】
エチレン性不飽和の酸基含有モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーe)は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0033】
溶解促進剤f)は水と混合可能な有機溶剤、例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、一価アルコール、グリコール、ポリエチレングリコール、又はこれらから誘導されるモノエーテルであり、ここでこのモノエーテルは、分子中に二重結合を含有しないものである。適切なエーテルは、メチルグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、メチルジグリコール、ブチルトリグリコール、3−エトキシ−1−プロパノール、及びグリセリンモノメチルエーテルである。
【0034】
溶解促進剤f)を用いる場合、その含分はモノマー溶液又はモノマー懸濁液中で、好適には最大50質量%、特に好適には1〜25質量%、極めて特に好適には5〜10質量%である。
【0035】
モノマー溶液又はモノマー懸濁液は、g)粘稠剤、発泡安定剤、充填材、繊維、及び/又はセル核形成剤を含有することができる。粘稠剤は例えば、発泡構造を最適化するため、また発泡安定性を改善させるために使用する。これにより、発泡体は重合の間、非常に僅かしか収縮しない。粘稠剤としては、水性系の粘度を著しく向上させる天然及び合成のあらゆる公知のポリマーが考慮される。これは、水膨潤性又は水溶性の天然及び合成のポリマーである。粘稠剤の概略的な説明は例えば、R.Y. Lochhead及びW.R. Fron著, Cosmetics & Toiletries, 108, 95-135 (Mai 1993)、及びM.T. Clarke著, "Rheological Additives" D. Laba (ed.) "Rheological Properties of Cosmetics and Toiletries", Cosmetic Science and Technology Series, Vol. 13, Marcel Dekker lnc, New York 1993に開示されている。
【0036】
粘稠剤として考慮される水膨潤性又は水溶性の合成ポリマーは例えば、高分子量のポリエチレングリコール、又はエチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー、また高分子量の多糖類、例えばデンプン、グアールガム、イナゴマメ粉末、又は天然物質の誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びセルロース混合エーテルである。粘稠剤のさらなる群は、水溶性生成物、例えば微粒子状二酸化ケイ素、ゼオライト、ベントナイト、セルロース粉末、又はこれらとは別の架橋されたポリマーの微粒子状粉末である。モノマー溶液又はモノマー懸濁液は、粘稠剤を最大30質量%含有することができる。このような粘稠剤を用いる場合、これらはモノマー溶液又は懸濁液中には、0.1〜10質量%、好適には0.5〜20質量%の量で含有されている。
【0037】
発泡構造を最適化するため、選択的に、分子中に炭素原子を少なくとも5個有する炭化水素を、水性反応混合物に添加することができる。適切な炭化水素は例えば、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、及びドデカンである。考慮される脂肪族炭化水素は、直鎖状、分枝鎖状、又は環状であってよいが、発泡の間の水性混合物の温度を上回る沸点を有するものである。脂肪族炭化水素は、まだ重合していない発泡された水性反応混合物の耐用時間(Standzeit)を、向上させることができる。これによって、まだ重合していない発泡体の取り扱い性が容易になり、工程の安全性が高まる。これらの炭化水素は例えばセル核形成剤として作用し、同時に既に形成された発泡体を安定化させる。加えて、これらはモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させる際に、さらなる発泡作用をもたらすことができる。これらはその後、発泡剤の機能も有する。炭化水素の代わり、又は炭化水素との混合物の代わりに選択的に、塩素化若しくはフッ化された炭化水素を、セル形成剤及び/又は発泡安定剤として使用することができ、それは例えばジクロロメタン、トリクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロフルオロメタン、又は1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンである。炭化水素を用いる場合、モノマー溶液又はモノマー懸濁液に対して、例えば0.1〜20質量%、好適には0.1〜10質量%の量で使用する。
【0038】
発泡物質の特性を変性するため、1種又は複数種の充填材を添加することができ、それは例えば白亜、タルク、粘土(クレー)、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、親水性若しくは疎水性に変性された沈降ケイ酸、ドロマイト、及び/又は硫酸カルシウムである。充填材は最大30質量%の量で、モノマー溶液又はモノマー懸濁液中に含まれていてよい。
【0039】
上述の水性モノマー溶液又はモノマー懸濁液を、まず発泡させる。例えば、不活性ガス(例えば窒素、二酸化炭素、又は空気)を、例えば2〜400barの圧力下で、水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液中に溶解させることができ、これを引き続き、大気圧に放圧することができる。放圧の際に少なくとも1つのノズルから、流動性のモノマー発泡体が生じる。気体溶解性は温度が下がると増加するため、ガス飽和と引き続いた発泡は、可能な限り低い温度で行い、不所望の沈殿を避けるのが望ましい。水性モノマー混合物又はモノマー懸濁液を別の方法で、不活性ガスを微細に吹き込んで分散させることにより、発泡させることもできる。水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液の発泡は実験室では、例えば水性のモノマー又はモノマー懸濁液を、泡立て器付き調理機で発泡させることによって行うことができる。さらに、中和のために炭酸塩又は炭酸水素塩を用いることによって、水性モノマー溶液又はモノマー懸濁液を二酸化炭素で発泡させることもできる。
【0040】
この発泡生成は好適には、不活性ガス雰囲気中で、不活性雰囲気によって行い、例えば窒素又は希ガスを常圧下、又は高圧下、例えば最大25barで混合し、引き続き放圧することによって行うことができる。モノマー発泡体の粘稠度、気泡の大きさ、及びモノマー発泡体中の気泡の分布は、例えばd)界面活性剤、f)溶解促進剤、g)発泡安定剤、セル核形成剤、粘稠剤、及び充填材の選択によって、幅広い範囲で変わり得る。これによって、モノマー発泡体の密度、開孔性の度合い、及び壁厚を容易に調節できる。水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液は好適には、その成分の沸点を下回る温度で、例えば最大100℃の周辺温度、好適には0〜50℃、特に好適には5〜20℃で発泡させる。しかしながらまた、水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液を気密に閉鎖された容器で発泡させることにより、沸点が最も低い成分の沸点を超える温度で作業することもできる。流動性があり、比較的長い時間にわたって安定的なモノマー発泡体が得られる。モノマー発泡体の密度は、20℃の温度で、例えば0.01〜0.9g/cm3である。
【0041】
得られたモノマー発泡体は、適切な下地で重合させることができる。この重合は、光開始剤c)の存在下で行う。これらのラジカルは例えば、加熱により(熱重合)、又は適切な波長の光を照射することにより(紫外線重合)、発生させることができる。
【0042】
層厚が最大約5mmのポリマー性発泡体は例えば、モノマー発泡体を、片面若しくは両面で加熱することにより、又は特に片面若しくは両面で照射することによって、製造する。より厚いポリマー性発泡体、例えば厚さ数センチメートルのポリマー性発泡体を製造したい場合には、モノマー発泡体をマイクロ波で加熱するのが特に有利である。というのもこの方法では、比較的均一な加熱が可能だからである。しかしながら、層厚が厚くなるにつれて、未反応のモノマーa)の割合、及び架橋剤b)の割合が、得られるポリマー性発泡体中で増加する。この際、熱による重合は例えば、20〜180℃の温度、好適には40〜160℃の範囲の温度、特に65〜140℃の温度で行う。比較的厚いポリマー発泡体の場合、モノマー発泡体を両面で加熱及び/又は照射でき、例えば接触加熱で、又は照射により、又は乾燥機中で行うことができる。得られるポリマー性発泡体は、開孔性である。開孔性セルの割合は、例えば少なくとも80%、好適には90%超である。ポリマー性発泡体は特に好ましくは、開孔性セルの割合が、100%である。ポリマー性発泡体中の開孔性セルの割合は、例えば走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy)で測定できる。
【0043】
モノマー発泡体の重合後、又は重合の間に、ポリマー性発泡体を乾燥させる。この際に、水及び他の揮発性成分を除去する。適切な乾燥法の例は、熱による対流乾燥、例えば空気式乾燥、熱による接触乾燥、例えばローラ乾燥、照射乾燥、例えば赤外線乾燥、誘電性乾燥、例えばマイクロ波乾燥、及び凍結乾燥である。
【0044】
乾燥温度は通常、50〜200℃、好適には60〜150℃、特に有利には80〜120℃、極めて有利には90〜110℃の範囲にある。反応ミキサー又は乾燥機中でのこの温度における有利な滞留時間は、好ましくは少なくとも1分、特に有利には少なくとも2分、極めて有利には少なくとも5分であり、通常は最大20分である。
【0045】
不所望な分解反応及び架橋反応を避けるため、減圧下、保護ガス雰囲気下、及び/又は穏やかな熱条件(生成物の温度が120℃、好適には100℃を越えない温度)で乾燥を行うことが、有利であり得る。特に適切な乾燥法は、(真空)ベルト乾燥機である。
【0046】
乾燥工程後にポリマー発泡体は、水を15質量%未満含有する。しかしながら、ポリマー性発泡体の水含分は水で湿らせることにより、又は水を蒸発させることにより、任意で調整できる。
【0047】
この吸水性ポリマー発泡体は、特性をさらに改善させるために後架橋することができる。適した表面後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシレート基と共有結合を形成可能な基を含有する化合物である。適した化合物は、例えば多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド(例えばEP0083022A2、EP0543303A1及びEP0937736A2に記載)、二官能性又は多官能性のアルコール(例えばDE3314019A1、DE3523617A1及びEP0450922A2に記載)、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えばDE10204938A1及びUS6,239,230に記載)である。
【0048】
加えて、DE4020780C1の中で環状カーボネートが、DE19807502A1の中で2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、DE19807992C1の中でビス−及びポリ−2−オキサゾリジノンが、DE19854573A1の中で2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、DE19854574A1の中でN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE10204937A1の中で環状尿素が、DE10334584A1の中で二環式アミドアセタールが、EP1199327A2の中でオキセタン及び環状尿素が、またWO2003/31482A1の中でモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が適した後架橋剤として記載されている。
【0049】
好ましい表面後架橋剤は、エチレンカーボネート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物及びプロピレングリコールと1,4−ブタンジオールとからの混合物である。
【0050】
極めて好ましい表面後架橋剤は、2−ヒドロキシエチルオキサゾリジン−2−オン、オキサゾリジン−2−オン及び1,3−プロパンジオールである。
【0051】
さらに、DE3713601A1に記載されているように、付加的な重合可能なエチレン性不飽和基を有する表面後架橋剤も使用することができる。
【0052】
表面後架橋剤の量は、それぞれ吸水性ポリマー発泡体に対して、好適には0.001〜2質量%、特に好適には0.02〜1質量%、極めて特に好適には0.05〜0.2質量%である。
【0053】
本発明の有利な一実施態様において、表面後架橋の前、その間、又は後に、表面後架橋剤に加えて多価カチオンが吸水性ポリマー発泡体に施与される。
【0054】
本発明による方法において使用することができる多価カチオンは例えば二価のカチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、三価のカチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類及びマンガンのカチオン、四価のカチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウムが有利である。金属塩以外に、ポリアミンも多価カチオンとして使用することができる。
【0055】
多価カチオンの使用量は、吸水性ポリマー発泡体に対してそれぞれ、例えば0.001〜1.5質量%、好ましくは0.005〜1質量%、特に好ましくは0.02〜0.8質量%である。
【0056】
表面後架橋は通常、表面後架橋剤の溶液を、吸水性ポリマー発泡体に吹き付けて行われる。この吹き付けに引き続き、表面後架橋剤でコーティングされた吸水性ポリマー発泡体を熱乾燥し、その際、表面後架橋反応は、乾燥前でも乾燥中でも行うことができる。
【0057】
好ましい乾燥温度は、50〜250℃、好適には70〜150℃、特に有利には85〜120℃、極めて有利には90〜110℃の範囲にある。反応ミキサー又は乾燥機中でのこの温度における有利な滞留時間は、好ましくは少なくとも1分、特に有利には少なくとも2分、極めて有利には少なくとも5分であり、通常は最大20分である。
【0058】
ポリマー発泡体は、特性のさらなる改善のために被覆するか、又は後に湿らせることができる。
【0059】
膨潤速度(FSR)と液体通過性(SFC)を改善するための適したコーティングは、例えば無機不活性物質、例えば水不溶性の金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマー、ならびに二価又は多価の金属カチオン、例えば硫酸アルミニウム、及び乳酸アルミニウムである。不所望な凝結傾向に対する適切な被覆は、例えば熱分解シリカ、例えばAerosil(R)200、及び界面活性剤、例えばSpan(R)20である。未反応のモノマー(モノマー残分)の含有量を下げるための適切な被覆は、例えば還元剤、例えば亜硫酸塩、次亜リン酸塩、及び/又はスルフィン酸塩である。しかし還元剤として、好ましくは、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩及び重亜硫酸ナトリウムからの混合物も使用される。このような混合物は、Brueggolite(R)FF6及びBrueggolite(R)FF7(Brueggeman Chemicals;Heilbronn;Germany)として入手可能である。
【0060】
本発明の方法によれば、遠心保持容量(CRC)が高く、洗浄損失(AWV)が低い吸水性ポリマー発泡体が製造できる。
【0061】
本発明のさらなる対象は、本発明の方法により得られる吸水性ポリマー発泡体、及び遠心保持容量(CRC)が少なくとも5g/gであり、かつ残留モノマー含分が0.15質量%未満の吸水性ポリマー発泡体である。
【0062】
本発明による吸水性ポリマー発泡体は、典型的には少なくとも5g/g、好ましくは少なくとも6g/g、有利には少なくとも7g/g、とりわけ有利には少なくとも8g/g、極めて有利には少なくとも9g/gの遠心保持容量(CRC)を有する。吸水性ポリマー発泡体の遠心保持容量(CRC)は、通常は20g/g未満である。
【0063】
本発明による吸水性ポリマー発泡体は、残留モノマー含分が、通常0.15質量%未満、好ましくは0.12質量%未満、特に有利には0.1質量%未満、殊に有利には0.075質量%未満、極めて特に好適には0.05質量%未満である。
【0064】
本発明による吸水性ポリマー発泡体は、残留架橋剤含分が、通常0.002質量%未満、好ましくは0.001質量%未満、特に有利には0.0005質量%未満、殊に有利には0.0002質量%未満、極めて特に好適には0.0001質量%未満である。
【0065】
本発明のさらなる対象は、本発明による吸水性ポリマー発泡体を含有する衛生用品である。この衛生用品は、特に使い捨ておむつ、タンポン、生理帯、パンティライナー、及びキズ用包帯である。
【0066】
方法:
この測定は、別に記載がない限り、23±2℃の環境温度及び50±10%の相対空気湿度で実施する。吸水性ポリマー粒子は、測定前に十分に混合する。
【0067】
残留モノマー(Residual Monomers)
吸水性ポリマー発泡体の残留モノマーは、EDANA推奨の試験法No.WSP 210.2-05 "Residual Monomers"により測定する。
【0068】
残留架橋剤
吸水性ポリマー発泡体の残留架橋剤含分は、HPLCによって、逆相カラム(ZORBAX(登録商標)Eclipse XDB C18、(米国、Agilent Technologies)を用いて、引き続きUV/VIS検出、及び外部標準による較正で測定した。移動相としては、勾配を有するアセトニトリル/水を用いた。
【0069】
遠心保持容量(Centrifuge Retention Capacity)
吸水性ポリマー発泡体の遠心保持容量(CRC)は、EDANAにより推奨される試験法No.WSP 241.2−05 "Centrifuge Retention Capacity"に従って測定する。
【0070】
洗浄損失(Extractables)
吸水性ポリマー発泡体の洗浄損失(AWV)は、EDANA推奨の試験法No.WSP 270.2-05 "Extractables"に従って測定し、ここで分子質量Macrには、場合により中和されているモノマーa)の平均分子質量を用いる。
【0071】
EDANA試験法は例えば、EDANA(ベルギー国、ブリュッセル在、Eugene Plasky通り157、B-1030)で得られる。
【0072】
実施例
実施例1
アクリル酸209.1g、37.3質量%のアクリル酸ナトリウム水溶液81.3g、Sartomer(登録商標)SR-344(分子量が約400g/molのポリエチレングリコールのジアクリレート)16.8g、15質量%のLutensol(登録商標)AT80水溶液(80molのエチレンオキシドが、1molの直鎖状飽和C16〜C18脂肪アルコールに付加した付加生成物、ドイツ国Ludwigshafen在、BASF SE)25.6g、及び水26.6gを、ガラスビーカー内で混合した。引き続き、冷却下でトリエタノールアミン240.5gを滴下し、ここで温度は15℃未満のままであった。
【0073】
得られた均質な溶液を圧力容器に移し、そこで25分間、12barの圧力で、二酸化炭素で飽和させた。圧力下、Wako(登録商標)V-50(2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)−ジヒドロクロリド)の3質量%水溶液8.0g、及びIrgacure(登録商標)2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン)0.24gを添加し、強力な二酸化炭素流で混合した。引き続きさらに5分間、二酸化炭素を反応混合物に通した。その後、二酸化炭素で飽和された反応混合物を、12barの圧力で、直径1.0mmのノズルにより押出し、この際に微細なセルを有し、流動性が良好な発泡体が形成された。
【0074】
DIN A3の大きなガラス板(縁の高さ3mm)の底面を、透明なポリエステルシートで覆った。得られたモノマー発泡体をガラス板に施与し、第二の透明なポリエステルシート、及び第二のガラス板で覆った。この発泡体試料に、両面で同時に4分間、紫外線を照射した。上側からは1機のUVA/IS-Strahler UVASPOT 1000/T(ドイツ国Graefelfing在、Dr. Hoenle AG)で、下側からは2機の UVA/IS-Strahlern UVASPOT 400/T(ドイツ国Graefelfing在、Dr. Hoenle AG)で照射した。上のランプの距離は、モノマー発泡体から39cmであり、下のランプの距離は、モノマー発泡体から13cmであった。
【0075】
得られたポリマー発泡体を10分間、空気式乾燥機で100℃で乾燥させて、分析した。この発泡体は、残留モノマー含分が0.13質量%であり、残留架橋剤含分が0.0003質量%であり、遠心保持容量(CRC)が8.4g/gであり、洗浄損失(AWV)が、55質量%であった。
【0076】
例2(比較例)
実施例1と同様に実施した。開始剤として、Wako(登録商標)V-50(2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)−ジヒドロクロリド)の3質量%水溶液を16.0g用いた。この発泡体は、残留モノマー含分が0.72質量%であり、残留架橋剤含分が0.014質量%であり、遠心保持容量(CRC)が9.6g/gであり、洗浄損失(AWV)が、42質量%であった。
【0077】
実施例3
実施例1と同様に実施した。開始剤として、Irgacure(登録商標)2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン)を0.48g用いた。得られたポリマー発泡体は、下部のポリエステルシートから剥がすのが、非常に困難であった。この発泡体は、残留モノマー含分が0.068質量%であり、残留架橋剤含分が0.0001質量%未満であり、遠心保持容量(CRC)が8.8g/gであり、洗浄損失(AWV)が、52質量%であった。
【0078】
実施例4
実施例1と同様に実施した。開始剤として、Lucirin(登録商標)TPO-L(2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチルエステル)を0.48g用いた。得られたポリマー発泡体は、下部のポリエステルシートから剥がすのが、非常に困難であった。この発泡体は、残留モノマー含分が0.37質量%であり、残留架橋剤含分が0.0001質量%未満であり、遠心保持容量(CRC)が10.1g/gであり、洗浄損失(AWV)が、59質量%であった。
【0079】
実施例5
実施例1と同様に実施した。開始剤としては、Irgacure(登録商標)184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)を0.48g用いた。この発泡体は、残留モノマー含分が0.094質量%であり、残留架橋剤含分が0.0002質量%であり、遠心保持容量(CRC)が9.2g/gであり、洗浄損失(AWV)が、53質量%であった。
【0080】
例6(比較例)
実施例1と同様に実施した。開始剤として、Irgacure(登録商標)250((4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム−ヘキサフルオロホスフェート)を0.48g用いた。得られたポリマー発泡体は不快な匂いがし、ポリエステルシートから剥がれなかった。この発泡体は、残留モノマー含分が1.6質量%であり、残留架橋剤含分が0.074質量%であり、遠心保持容量(CRC)が7.7g/gであり、洗浄損失(AWV)が、62質量%であった。
【0081】
例7(比較例)
実施例1と同様に実施した。開始剤としては、2−アミノ−9−フルオレノンを0.48g用いた。この発泡体は、残留モノマー含分が3.1質量%であり、残留架橋剤含分が1.1質量%であり、遠心保持容量(CRC)が8.8g/gであり、洗浄損失(AWV)が、80質量%であった。
【0082】
実施例8
実施例1と同様に実施した。開始剤として、Darocur(登録商標)1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)を0.48g用いた。この発泡体は、残留モノマー含分が0.045質量%であり、残留架橋剤含分が0.0001質量%未満であり、遠心保持容量(CRC)が9.0g/gであり、洗浄損失(AWV)が、63質量%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のa)〜d):
a)酸基を含有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、当該モノマーは少なくとも部分的に中和されていてよく、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の光開始剤、及び
d)少なくとも1種の界面活性剤
を含有する、発泡された水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させることによる、吸水性ポリマー発泡体の製造方法であって、
前記モノマー溶液又は前記モノマー懸濁液を重合させてポリマー発泡体にする、前記製造方法において、
前記少なくとも1種の光開始剤が、以下の一般式Iの化合物
【化1】

であり、
当該式中、
1、R2、R3、R4、及びR5は、相互に独立して水素、又はC1〜C8アルキルであり、ここでC3〜C8アルキルは、分枝状であるか、又は非分枝状であってよく、
Xは、水素、OR6、又はC1〜C8アルキルであり、ここでC3〜C8アルキルは、分枝鎖状であるか、又は非分枝鎖状であってよく、
6は、C1〜C8アルキル、又はC1〜C8ヒドロキシアルキルであり、ここでC3〜C8アルキル、又はC3〜C8ヒドロキシアルキルは、分枝鎖状であるか、又は非分枝鎖状であってよく、
Yは、C4〜C8シクロアルキル、C(R7)R8、又はP(=O)R7であり、
7及びR8は、相互に独立して、C1〜C8アルキル、又はC6〜C12アリールであり、ここでC3〜C8アルキル、又はC9〜C12アリールは、分枝鎖状であるか、又は非分枝鎖状であってよいことを特徴とする、前記製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種の光開始剤c)が、前記一般式Iの化合物であり、
前記式中、R1、R2、R3、R4、及びR5がそれぞれ水素であり、XがOR6であり、R6がヒドロキシエチルであり、YがC(R7)R8であり、かつR7とR8がそれぞれメチルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種の光開始剤c)が、前記一般式Iの化合物であり、
前記式中、R1、R2、R3、R4、及びR5がそれぞれ水素であり、Xが水素であり、YがC(R7)R8であり、かつR7とR8がそれぞれメチルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種の光開始剤c)が、前記一般式Iの化合物であり、
前記式中、R1、とR3がそれぞれ水素であり、R2とR4がそれぞれメチルであり、R5がエチルであり、Xがメチルであり、YがP(=O)R7であり、かつR7がフェニルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種の光開始剤c)が、前記一般式Iの化合物であり、
前記式中、R1、R2、R3、R4、及びR5がそれぞれ水素であり、Xが水素であり、Yがシクロヘキシルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらにアゾ開始剤を使用することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記モノマーa)の酸基が、25〜95mol%中和されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記モノマーa)の中和された酸基が10〜95mol%、アルカノールアミンで中和されたものであることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記モノマー溶液又は前記モノマー懸濁液が、中和されていないモノマーa)に対して、架橋剤b)を1〜4質量%含有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記モノマー溶液又は前記モノマー懸濁液が、中和されていないモノマーa)に対して、光開始剤c)を0.05〜0.2質量%含有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記モノマー溶液又は前記モノマー懸濁液が、中和されていないモノマーa)に対して、界面活性剤d)を0.05〜0.1質量%含有することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記モノマー溶液又は前記モノマー懸濁液を、圧力下で不活性ガスを溶解させ、引き続き放圧することによって発泡させることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法により得られる、吸水性ポリマー発泡体。
【請求項14】
遠心保持容量が少なくとも5g/gであり、かつ残留モノマー含分が、0.15質量%未満である、吸水性ポリマー発泡体。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の吸水性発泡体を含有する、衛生用品。

【公表番号】特表2013−511610(P2013−511610A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540371(P2012−540371)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067812
【国際公開番号】WO2011/061282
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】