説明

吸着剤カートリッジのリサイクル方法

【課題】より大量に適切且つ効率よく再生でき、より高いコストパーフォーマンスが期待できる吸着剤カートリッジのリサイクル方法を提供すること。
【解決手段】吸着剤カートリッジの収納容器を分解し、その収納容器の構成部材と前記吸着剤とを分別する分解分別工程1と、分別された吸着剤の一部を抽出してサンプルとして再生処理を行い、その再生処理がなされたサンプルの残留水分量を測定して評価することで、分別された吸着剤の全体にかかる再生の可否を判断する吸着剤の再生可否判断工程2と、再生が可能と判断された前記吸着剤を再生する吸着剤の再生処理工程3と、再生された前記吸着剤の検査を行う吸着剤の検査工程5と、再生された前記吸着剤を前記収納容器に充填する吸着剤カートリッジの再組立工程6とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状の吸着剤が収納された使用済みの吸着剤カートリッジを回収し、少なくとも前記吸着剤を再生する吸着剤カートリッジのリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートレスエアドライヤー等には、空気中の水分等を効率よく吸着できるゼオライト(アルミノ珪酸塩)、シリカゲル、活性アルミナなどの多孔体が、吸着剤として用いられている。
このような吸着剤にあっては、長時間の使用によって、その吸着性能が低下する。そのため、例えば吸着剤カートリッジが組み込まれたヒートレスエアドライヤー(特許文献1参照)では、その吸着剤カートリッジを定期的に交換して適切な性能を維持している。そして、その使用済みの吸着剤カートリッジは、廃棄処分になっている。
【0003】
また、その吸着剤カートリッジに充填されていた使用済みの吸着剤は、一部が路盤原料として道路に使用される他は、ほとんどが産業廃棄物として埋め立て処分されている。このように従来から、使用済みの吸着剤は、リサイクルシステムの中で大量に再生されて再利用されることがなかった。
【0004】
一方、上記のような使用済み吸着剤は、加熱等によって乾燥させることによって再生できることは周知である。そこで、吸着剤を適切且つ効率よく再生できれば、資源の有効な再利用を図ることができ、廃棄物を減量化することで環境保全の一助になる。
【0005】
これに対して、本特許出願人は、先に、使用済吸着材をマイクロ波(高周波)による加熱を利用して処理することにより、吸着物質が略完全に除去された再生吸着材を得る吸着材再生装置を提案してある(特許文献2、3参照)。
さらに、本特許出願人は、先に、吸着剤を水に浸漬した際の発熱によって生じるその水の温度上昇値と、吸着剤の残留水分量との関係から、吸着容量を算出する吸着剤の吸着容量測定装置について提案してある(特許文献4、5参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−350917号公報(要約、第1図)
【特許文献2】特開2008−188490号公報(要約、第1図)
【特許文献3】特開2008−188491号公報(要約、第1図)
【特許文献4】特開2008−185412号公報(要約、第1図)
【特許文献5】特開2008−185413号公報(要約、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
吸着剤カートリッジのリサイクル方法に関して解決しようとする問題点は、より大量に適切且つ効率よく再生でき、より高いコストパーフォーマンスが期待できる吸着剤カートリッジのリサイクルについては具体的で十分な検討がなされていなかった点にある。
そこで本発明の目的は、より大量に適切且つ効率よく再生でき、より高いコストパーフォーマンスが期待できる吸着剤カートリッジのリサイクル方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる吸着剤カートリッジのリサイクル方法の一形態によれば、粒状の吸着剤が収納された使用済みの吸着剤カートリッジを回収し、少なくとも前記吸着剤を再生する吸着剤カートリッジのリサイクル方法であって、前記吸着剤カートリッジの収納容器を分解し、該収納容器の構成部材と前記吸着剤とに分別する分解分別工程と、分別された前記吸着剤の一部を抽出してサンプルとして再生処理を行い、該再生処理がなされたサンプルの残留水分量等を測定して評価することで、分別された前記吸着剤の全体にかかる再生の可否を判断する吸着剤の再生可否判断工程と、再生が可能と判断された前記吸着剤を再生する吸着剤の再生処理工程と、再生された前記吸着剤の検査を行う吸着剤の検査工程と、再生された前記吸着剤を前記収納容器に充填する吸着剤カートリッジの再組立工程とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる吸着剤カートリッジのリサイクル方法の一形態によれば、前記吸着剤の再生が可能と判断された後の工程であって、前記吸着剤の再生処理工程の前又は後に、該吸着剤を所定の大きさに選別する吸着剤の粒度選別工程を有することを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明にかかる吸着剤カートリッジのリサイクル方法の一形態によれば、前記吸着剤が水分を吸着する水分吸着剤であることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる吸着剤カートリッジのリサイクル方法の一形態によれば、前記再生可否判断工程が、前記吸着剤を水に浸漬した際の発熱によって生じる該水の温度上昇値と、吸着剤の残留水分量との関係から、前記吸着剤の再生の可能性を判断することを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明にかかる吸着剤カートリッジのリサイクル方法の一形態によれば、前記吸着剤の再生処理工程が、使用済みの前記吸着剤が収容された筒状の再生塔に、加熱乾燥された圧縮空気を、前記再生塔の下側から上側へ通過させるように給気することによって行われることを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明にかかる吸着剤カートリッジのリサイクル方法の一形態によれば、前記加熱乾燥された圧縮空気は、給気用ヒーターによって相対湿度を低下させるように加熱されること及び/又はヒートレスエアドライヤーによって露点温度を低下させるように乾燥されることで、供給されることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる吸着剤カートリッジのリサイクル方法の一形態によれば、前記加熱乾燥された圧縮空気は、温度が200℃〜300℃であると共に露点が−30℃以下であることを特徴とすることができる。
【0013】
また、本発明にかかる吸着剤カートリッジのリサイクル方法の一形態によれば、前記吸着剤の検査工程が、再生された吸着剤の残留水分量を測定して評価する残留水分量検査工程と、再生された吸着剤の水分吸着容量を測定して評価する水分吸着容量検査工程と、再生された吸着剤の破砕強度を測定して評価する破砕強度検査工程とを有することを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる吸着剤カートリッジのリサイクル方法によれば、より大量に適切且つ効率よく再生ができ、より高いコストパーフォーマンスが期待できるという特別有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明にかかる吸着剤カートリッジのリサイクル方法について最良の形態例を添付図面(図1〜4)に基づいて詳細に説明する。図1は本発明にかかる吸着剤カートリッジのリサイクル方法の工程順を説明するフロー図である。
この吸着剤カートリッジのリサイクル方法は、粒状の吸着剤が収納された使用済みの吸着剤カートリッジを回収し、少なくとも前記吸着剤を再生するものである。この方法では、図1に示すように、吸着剤カートリッジの分解分別工程1と、吸着剤の再生可否判断工程2と、吸着剤の再生処理工程3と、吸着剤の粒度選別工程4と、吸着剤の検査工程5と、吸着剤カートリッジの再組立工程6とを有する。
【0016】
分解分別工程1では、吸着剤カートリッジの収納容器を分解し、その収納容器の構成部材と吸着剤とに分別する。
この吸着剤カートリッジの吸着剤としては、例えば、水分を吸着する水分吸着剤であって、空気中の水分等を効率よく吸着できるゼオライト(アルミノ珪酸塩)、シリカゲル、活性アルミナなどの多孔体が用いられている。
収納容器の構成部材としては、樹脂容器、中間リング、底蓋及びネット等のプラスチック部品、Oリングのゴム部品、テンションボルト、スクリーン及びビス類等の金属部品がある。
これらの構成部材のうち、金属製の部品などの消耗しないものは再利用し、ゴム製のOリングなど消耗部品は廃棄処分とする。
【0017】
吸着剤の再生可否判断工程2では、分別された吸着剤の一部を抽出してサンプルとして再生処理を行い、その再生処理がなされたサンプルの残留水分量等を測定して評価することで、分別された吸着剤の全体にかかる再生の可否を判断する。
この再生可否判断工程2としては、例えば、吸着剤を水に浸漬した際の発熱によって生じるその水の温度上昇値と、吸着剤の残留水分量との関係から、吸着剤の再生の可能性を判断する方法を採用することができる。図2は、吸着剤を、水に浸漬したときの発熱によって上昇する水温の温度差と、水に浸漬する前の残留水分量の関係を示すグラフである。
【0018】
この方法によれば、先ず、所定量の水を容器に測って入れておき、初期の水の温度(T1)を計測する。次に、前処理として再生処理がなされた吸着剤のサンプルを、計量して別の容器に入れておく。そして、そのサンプルが入っている容器に、前述の水を入れて素早く攪拌し、その水の最高温度(T2)を計測する。計測した温度差(T2−T1)を計算し、図2のグラフによって残留水分量を読み取る。残留水分量が所定の範囲内に入っている場合は、分別された吸着剤の全体にかかる再生を可とする。
この方法によれば、残留水分量を簡易的に容易に測定することができ、再生の可否を的確且つ迅速に判断できる。このため、吸着剤のリサイクルにかかる作業効率を、大幅に向上することができる。
【0019】
また、吸着剤の再生可否判断を行う装置としては、背景技術の欄で示した特許文献4及び5に記載された吸着剤の吸着容量測定装置を用いることができる。
この吸着剤の吸着容量測定装置によれば、吸着剤を収納する吸着剤容器と、その吸着剤容器へ導入させる水を貯留させておく水容器と、その水容器内の水温を測定する第1の温度センサと、前記吸着剤容器内へ水を導入させた後の吸着剤容器内の水温を測定する第2の温度センサと、前記吸着剤容器に水を導入した後の水温の上昇温度と吸着剤の水の吸着容量との関係式を予め記憶させてある記憶手段と、第1の温度センサで測定された第1の温度と第2の温度センサで測定された第2の温度との差である上昇温度を算出し、算出された上昇温度に基づいて記憶手段に記憶されている関係式から吸着容量を算出する算出手段とを具備している。
なお、詳細な構成及び作用効果については説明を省略する。
【0020】
吸着剤の再生処理工程3では、前工程で再生が可能と判断された吸着剤を再生する。
この吸着剤の再生処理工程3としては、例えば、使用済みの吸着剤が収容された筒状の再生塔10に、加熱乾燥された圧縮空気を、再生塔10の下側から上側へ通過させるように給気することによって行うことができる(図4参照)。
これによれば、圧縮空気の通過方向と、加熱によって生じる上昇気流の流れ方向とを一致させることができ、給気される圧縮空気の通気抵抗が高くなることを抑制できる。従って、吸着剤を効率よく乾燥することができる。
【0021】
また、吸着剤の再生処理工程3において、加熱乾燥された圧縮空気が、給気用ヒーター22によって相対湿度を低下させるように加熱されること及び/又はヒートレスエアドライヤー24によって露点温度を低下させるように乾燥されることで供給されるようにすることができる(図4参照)。
ヒートレスエアドライヤー24によって露点温度を低くすることができるため、圧縮空気が再生塔10を通過する際に冷却されても、吸着剤を効率よく乾燥することができる。
【0022】
一般に、ヒートレスドライヤーなどに使用される吸着剤の性能として、仕様露点が満足されているかどうかが最も重要視される。従って、吸着剤を再生するに当たっては、まず露点の良し悪しに影響する再生後の残存水分量を目標値(例えば1.5wt%)以内とすることが求められる。
また、再生後の残存水分量は、高温かつ低水分圧(低露点)とすることで変化することが一般的に知られている。そのため、本形態例では、給気用ヒーター22とヒートレスドライヤー24を組み合わせて高温かつ低露点の圧縮空気を作ることで、高温かつ低露点の再生環境を実現することに想到したものである。
そのため、給気用ヒーター22とヒートレスドライヤー24を配することによれば、例えば、加熱された圧縮空気が、温度が200℃〜300℃であると共に露点が−30℃以下であるように適切に調整することができる。
このように加熱乾燥された圧縮空気によれば、使用済み吸着剤を、所要の乾燥度まで効率よく再生することができると共に、図3に示すように残存水分量を目標値(例えば1.5wt%)以内に収めることができる。また、温度が200℃以下になると低露点が必要になるため、ヒートレスドライヤー24にかかる負荷が大きくなり過ぎる。また、温度が300℃以上になると必要とされる露点温度は高くなるが、給気用ヒーター22の負荷が大きくなり過ぎる。従って、圧縮空気の温度が200℃〜300℃であると共に露点が−30℃以下であるように調整することで消費エネルギーを抑え、無駄のないバランスの取れた状態で残存水分量を目標値以内に収めることができる。
【0023】
吸着剤の粒度選別工程4では、吸着剤の再生が可能と判断された後の工程であって、吸着剤の再生処理工程の前又は後に、吸着剤を所定の大きさに選別する。これにより、再生された吸着剤の性能を適切に維持できる。
この工程に用いられる粒度選別装置としては、既存のふるい装置を適宜選択的に用いることができる。
【0024】
吸着剤の検査工程5では、再生された前記吸着剤の検査を行う。
この吸着剤の検査工程5では、再生された吸着剤の残留水分量を測定して評価する残留水分量検査工程5aと、再生された吸着剤の水分吸着容量を測定して評価する水分吸着容量検査工程5bと、再生された吸着剤の破砕強度を測定して評価する破砕強度検査工程5cとを含めることができる。これにより、再生された吸着剤の性能を適切に確認できる。
これらの検査工程に用いられる装置としては、既存の検査装置を適宜選択的に用いることができる。
【0025】
そして、吸着剤カートリッジの再組立工程6では、再生された前記吸着剤を前記収納容器に充填する。そして、収納容器の構成部材を組み立てることによって、再生された吸着剤カートリッジが完成する。
【0026】
次に、上記の吸着剤の再生処理工程で用いられる吸着剤の再生方法及びその装置について最良の形態例を添付図面(図4)に基づいて詳細に説明する。図4は本発明にかかる吸着剤の再生装置の形態例を示すブロック図である。
この吸着剤の再生装置は、使用済みの粒状の吸着剤が収容された筒状の再生塔に、加熱乾燥された圧縮空気を導入することによって、その吸着剤を再生する吸着剤の再生方法に用いられる。
【0027】
10は再生塔であり、上下方向に長い筒状の中空に設けられている。その大きさは、ヒートレスエアドライヤーの吸着剤カートリッジの容量に対応して、例えば、100kg以上の粒状の吸着剤が一時に収容されるように形成されている。また、この再生の対象となる吸着剤は、例えば、ゼオライト(アルミノ珪酸塩)、シリカゲル、活性アルミナである。
21はエアコンプレッサーであり、再生塔10に圧縮空気を供給する。このエアコンプレッサー21としては、他の装置の圧縮空気源としても利用されるように、工場内に既に設置されているものを利用してもよい。
【0028】
20は給気路であり、エアコンプレッサー21と再生塔10の下側の給気口10aとの間に設けられて圧縮空気の通路になっている。25は入口バルブであり、給気路20を構成する給気管の中途部に接続され、これが開くことによって圧縮空気が再生塔10に給気される。
22は給気用ヒーターであり、給気路20中に配され、圧縮空気を所要の温度まで加熱させて相対湿度を低下させる。
【0029】
30は排気路であり、再生塔10の上側の排気口10bに接続されて設けられ、吸着剤を乾燥させた後の圧縮空気を排出するための通路になっている。35は出口バルブであり、排気路30を構成する排気管の中途部に接続され、これが開くことによって圧縮空気が外部へ排気される。
このような構成によれば、加熱乾燥された圧縮空気を、再生塔10の下側から上側へ通過させるように流すことができる。
これによれば、圧縮空気の通過方向と、加熱によって生じる上昇気流の流れ方向とを一致させることができ、給気される圧縮空気の通気抵抗が高くなることを抑制できる。従って、吸着剤を効率よく乾燥することができる。
【0030】
24はヒートレスエアドライヤーであり、給気路20における給気用ヒーター22よりも上流側に、圧縮空気を加熱せずに乾燥させて露点温度を低下させるように配されている。
以上の給気用ヒーター22とヒートレスエアドライヤー24とを備える構成によれば、加熱乾燥された圧縮空気は、給気用ヒーター22によって相対湿度を低下させるように加熱されること及び/又はヒートレスエアドライヤー24によって露点温度を低下させるように乾燥されることで供給される。
【0031】
ヒートレスエアドライヤー24によって露点温度を低くすることができるため、圧縮空気が再生塔10内を通過する際に蒸発潜熱によって熱を奪われて冷えても、吸着剤を効率よく乾燥させることができる。
なお、ヒートレスドライヤー24としては、吸着剤を利用するものの他に、逆浸透膜を利用したものなどを用いてもよい。また、露点温度を低下させる乾燥技術としては、水分を結露させて除去する冷凍技術を利用した除湿装置を用いることもできる。
【0032】
32は排気用ヒーターであり、排気路30中に配され、揮発性有機化合物が触媒の作用によって効率よく酸化できる所要の温度まで加熱されるように、圧縮空気の排気を加熱するように設けられている。圧縮空気が、300℃程度以上に加熱されることで、触媒の作用によって効率よく酸化されて分解され易くなる。
【0033】
34は酸化触媒フィルタであり、排気路30における排気用ヒーター32よりも下流側に配されて設けられている。
このように排気用ヒーター32と酸化触媒フィルタ34を配することで、揮発性有機化合物を効率よく酸化させて分解でき、排気を浄化できる。従って、周囲の環境が汚染されることを適切に防止できる。
また、この酸化触媒方式によれば、アフターバーナーや吸着フィルタ方式に比較して、小さなエネルギーで揮発性有機化合物を分解して清浄化できる。
【0034】
40は熱交換器であり、排気路30の酸化触媒フィルタ34の下流側における流路42と、給気路20の給気用ヒーター22の上流側における流路41とを接するように配することで構成されている。なお、43はサイレンサであり、排気音を低減するために、排気路30の末端に設けられている。
この熱交換器40によれば、再生塔10に給気される圧縮空気を、排気の熱エネルギーを利用して適切に予備加熱することができ、また排気温度も低減できる。従って、効率よく圧縮空気の加熱ができ、給気用ヒーター22による消費エネルギーを低減することができる。
【0035】
本形態例では、二つの流路41、42が実質的に直交するように交差することで熱交換器40が構成されている。また、給気路20の熱交換器40を構成する流路41は、ヒートレスエアドライヤー24の下流に位置している。
このように配置することで、給気される圧縮空気について、露点温度を低下させることによる乾燥と加熱による乾燥とを効率よく行うことができる。
【0036】
このような構成による再生装置によれば、例えば、給気用ヒーター22によって圧縮空気を400℃まで加熱し、その熱風を、再生塔10の下端に設けられた給気口10aから再生塔内へ導入することで、使用済みの吸着剤に流して加熱乾燥処理を好適に行うことができる。これにより、吸着剤に吸着された水分と揮発性有機化合物(VOC)を好適に気化させることができる。
また、その熱風は、最適な温度、流速、露点となるように、後述するような制御手段によって制御される。例えば、露点温度については、ヒートレスエアドライヤー24によって適切に所要の露点温度(例えば−30℃以下)に調整することができる。このため、使用済み吸着剤を効率よく乾燥させることができる。
【0037】
次に、吸着剤を、再生塔10に供給するための装置構成、及び再生塔10から排出するための装置構成について説明する。
吸着剤の再生塔10への投入口11が、その再生塔10の上端部に設けられている。この投入口11には、吸着剤を受けて投入口11へ案内する投入用ホッパー11bと、投入口11を開閉する投入口用バルブ11aが設けられている。
12は充填用ポンプであり、吸着剤を収納缶15から吸引によって投入口11へ移送して再生塔10内へ充填できるように、充填用チューブ12aの中途部に接続されて配置されている。
【0038】
また、吸着剤の再生塔からの回収口13が、その再生塔10の下端部に設けられている。この回収口13には、回収口13を開閉する回収口用バルブ13aが設けられている。
14は回収用ポンプであり、吸着剤を回収口13から吸引によって収納缶15へ移送することができるように、回収用チューブ14aの中途部に接続されて配置されている。なお、13bは回収用ホッパーであり、回収用ポンプ14によって移送されてきた吸着剤を受けて収納缶15にスムースに入れるように案内する。
【0039】
次に、本形態例の吸着剤の再生装置の運転状況を監視し、適切に稼動させるために配された計測器及びセンサについて説明する。
23は流量計であり、ヒートレスエアドライヤー24と入口バルブ25との間の給気路20に設けられている。また、露点センサ52、流量センサ53及び圧力センサ51が、その順に熱交換器40と給気用ヒーター22との間に設けられている。これらの計測器及びセンサによれば、再生塔10に給気される圧縮空気の状態を好適にモニタリングできる。
【0040】
また、圧縮空気が通過する流路の主要部には、温度センサ61〜66が配されている。
第1の温度センサ61は、給気用ヒーター22と再生塔10との間の給気路20に配されており、給気用ヒーター22で加熱された直後の圧縮空気の温度をチェックしている。また、第2の温度センサ62は再生塔10の下側、第3の温度センサ63は再生塔10の中途部、第4の温度センサ64は再生塔10の上側にそれぞれ配されており、再生塔10内各部の圧縮空気の温度をチェックしている。さらに、第5の温度センサ65は、再生塔10と出口バルブ35との間の排気路30に配されており、再生塔10から排出された直後の圧縮空気の温度をチェックしている。そして、第6の温度センサ66は、酸化触媒フィルタ34と熱交換器40との間の排気路30に配されており、酸化触媒の作用で浄化された直後の圧縮空気の温度をチェックしている。
【0041】
次に、以上の構成を備える吸着剤の再生装置かかる形態例の制御について説明する。
50は制御装置であり、給気路20の給気用ヒーター22の上流側に設けられた圧力センサ51と露点センサ52と流量センサ53、及び給気路20と再生塔10と排気路30に設けられた各温度センサ61〜66のうち、少なくとも一つのセンサによって出力された信号に基づいて、給気路20に設けられた入口バルブ25と排気路30に設けられた出口バルブ35の開閉操作、及び給気用ヒーター22のスイッチ操作のうち少なくとも一つの操作を行うための信号を出力するように設けられている。
【0042】
この制御装置50によれば、例えば、再生工程を開始する操作スイッチが入れられた場合、圧力センサ51によって検出される圧力が設定値以下で第1の温度センサ61及び第6の温度センサ66によって検出される温度が設定値以下であるときは、入口バルブ25及び出口バルブ35を開いて再生塔10内へ圧縮空気を給気できるように制御する。続いて、給気用ヒーター22及び排気用ヒーター32をONして加熱乾燥工程を開始する。その加熱乾燥工程が進んで、第4の温度センサ64によって検出される温度が、設定値(例えば、300℃)以上になった時点から一定の時間(例えば、10分間)を経過した後に、給気用ヒーター22及び排気用ヒーター32をOFFする。そして、先ず入口バルブ25を閉じ、次いで流量センサ53及び圧力センサ51の値がゼロになったところで、出口バルブ35を閉じて運動を停止するように制御する。なお、その後は、入口バルブ25及び出口バルブ35を閉じて外気が入らない状態で、乾燥させた吸着剤を自然に冷却させる。
【0043】
また、本形態例の制御装置50は、投入口用バルブ11a、回収口用バルブ13a、充填用ポンプ12及び回収用ポンプ14にも接続されており、各センサ51〜53、61〜66からの入力される情報や、操作スイッチの情報の少なくとも一つに基づいて、それらの開閉や運転についてのスイッチ操作を自動的に行うことができる。
【0044】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明にかかる吸着剤カートリッジのリサイクル方法の形態例を示すフロー図である。
【図2】吸着剤を、水に浸漬したときの発熱によって上昇する水温の温度差と、水に浸漬する前の残留水分量の関係を示すグラフである。
【図3】乾燥再生される吸着剤の残存水分量の目標値と、その再生条件範囲にかかる温度及び水分圧の関係を示すグラフである。
【図4】本発明にかかる吸着剤の再生装置の形態例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
1 吸着剤カートリッジの分解分別工程
2 吸着剤の再生可否判断工程
3 吸着剤の再生処理工程
4 吸着剤の粒度選別工程
5 吸着剤の検査工程
6 吸着剤カートリッジの再組立工程
10 再生塔
12 エアコンプレッサー
20 給気路
22 給気用ヒーター
24 ヒートレスエアドライヤー
30 排気路
32 排気用ヒーター
34 酸化触媒フィルタ
40 熱交換器
41 給気路の熱交換器を構成する流路
42 排気路の熱交換器を構成する流路
50 制御装置
51 圧力センサ
52 露点センサ
53 流量センサ
61 第1の温度センサ
62 第2の温度センサ
63 第3の温度センサ
64 第4の温度センサ
65 第5の温度センサ
66 第6の温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状の吸着剤が収納された使用済みの吸着剤カートリッジを回収し、少なくとも前記吸着剤を再生する吸着剤カートリッジのリサイクル方法であって、
前記吸着剤カートリッジの収納容器を分解し、該収納容器の構成部材と前記吸着剤とに分別する分解分別工程と、
分別された前記吸着剤の一部を抽出してサンプルとして再生処理を行い、該再生処理がなされたサンプルの残留水分量等を測定して評価することで、分別された前記吸着剤の全体にかかる再生の可否を判断する吸着剤の再生可否判断工程と、
再生が可能と判断された前記吸着剤を再生する吸着剤の再生処理工程と、
再生された前記吸着剤の検査を行う吸着剤の検査工程と、
再生された前記吸着剤を前記収納容器に充填する吸着剤カートリッジの再組立工程とを有することを特徴とする吸着剤カートリッジのリサイクル方法。
【請求項2】
前記吸着剤の再生が可能と判断された後の工程であって、前記吸着剤の再生処理工程の前又は後に、該吸着剤を所定の大きさに選別する吸着剤の粒度選別工程を有することを特徴とする請求項1記載の吸着剤カートリッジのリサイクル方法。
【請求項3】
前記吸着剤が水分を吸着する水分吸着剤であることを特徴とする請求項1又は2記載の吸着剤カートリッジのリサイクル方法。
【請求項4】
前記再生可否判断工程が、前記吸着剤を水に浸漬した際の発熱によって生じる該水の温度上昇値と、吸着剤の残留水分量との関係から、前記吸着剤の再生の可能性を判断することを特徴とする請求項3記載の吸着剤カートリッジのリサイクル方法。
【請求項5】
前記吸着剤の再生処理工程が、使用済みの前記吸着剤が収容された筒状の再生塔に、加熱乾燥された圧縮空気を、前記再生塔の下側から上側へ通過させるように給気することによって行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の吸着剤カートリッジのリサイクル方法。
【請求項6】
前記加熱乾燥された圧縮空気は、給気用ヒーターによって相対湿度を低下させるように加熱されること及び/又はヒートレスエアドライヤーによって露点温度を低下させるように乾燥されることで、供給されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸着剤カートリッジのリサイクル方法。
【請求項7】
前記加熱乾燥された圧縮空気は、温度が200℃〜300℃であると共に露点が−30℃以下であることを特徴とする請求項6記載の吸着剤カートリッジのリサイクル方法。
【請求項8】
前記吸着剤の検査工程が、
再生された吸着剤の残留水分量を測定して評価する残留水分量検査工程と、
再生された吸着剤の水分吸着容量を測定して評価する水分吸着容量検査工程と、
再生された吸着剤の破砕強度を測定して評価する破砕強度検査工程とを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の吸着剤カートリッジのリサイクル方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−125396(P2010−125396A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303365(P2008−303365)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】