説明

告知放送システムの受信機

【課題】ラジオ放送波を適宜切替えてラジオ放送を行うことで、災害発生時においても安定的にラジオ受信を行うことが可能となる告知放送システムの受信機を提供すること。
【解決手段】告知放送システム1の受信機20であって、伝送線路42を介して送信されたラジオ放送信号を受信する復調部21と、空中波として送信されたラジオ放送信号を受信するアンテナ31と、復調部21にて受信されたラジオ放送信号と、当該復調部21にて受信されたラジオ放送信号に対して同一放送のラジオ放送信号であってアンテナ31にて受信されたラジオ放送信号の中から、電波状態がよい方のいずれか一方のラジオ放送信号を選択し、当該選択したラジオ放送信号によるラジオ放送出力を行うための所定の制御を行うラジオ放送制御部30aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、告知放送を行うための告知放送システムの受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
センターから複数の住戸に対して各種の告知放送を行うための告知放送システムが普及している。この告知放送システムは、概略的に、センター側に配置したセンター装置と、各住戸内に設置した受信機とを、CATV等の伝送線路を介して相互に接続して構成されている。そして、地域のイベント開催等の一般放送や、火災や地震が発生した時の災害放送を行う際、センター装置は告知放送信号を伝送線路を介して送信し、この告知放送信号を受信機が受信して、告知放送をスピーカにて音声出力する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この告知放送システムでは、告知放送が行われた時に不在等の理由で利用者が放送を聴くことができない可能性を考慮して、告知放送を所定回数分だけ録音及び再生するための録音再生機能を受信機に設けることが行われている。この場合、告知放送が行われると当該告知放送が自動的に受信機の録音再生機能で録音され、利用者の操作によって再生指示を受けた場合に、録音した告知放送が再生される(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
このような告知放送システムにおいては、利用者の利便性を高めるために、告知放送以外の放送を受信する機能、例えばラジオ放送の受信機能を付加することも考えられる。すなわち、センター装置にラジオ放送の送信機能を設け、伝送線路を介して多重伝送されたラジオ放送を受信機で受信して住戸内に放送することが考えられる。特に、告知放送は、災害発生時等の緊急放送を受信できる点に大きな存在意義があることから、同様に災害発生時に重要な情報源となり得るラジオ放送を受信することには意義がある。
【0005】
【特許文献1】特開平9−8753号公報
【特許文献2】特開2006−261956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、伝送線路を介してラジオ放送を常時安定的に行うことができるとは限らず、伝送状況によっては多くのノイズが発生する等、受信機におけるラジオの受信機能の安定性が懸念されていた。特に、災害発生に伴って伝送線路が遮断される危険性もあるため、伝送線路のみに依存しないラジオ受信機能を備えることが好ましい。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、伝送線路とアンテナとの両方からラジオ放送波を受信し、これらラジオ放送波を適宜切替えてラジオ放送を行うことで、災害発生時においても安定的にラジオ受信を行うことが可能となる告知放送システムの受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、送信手段から送信された告知放送信号を伝送線路を介して受信して放送する告知放送システムの受信機であって、前記伝送線路を介して送信されたラジオ放送信号を受信する第1受信手段と、空中波として送信されたラジオ放送信号を受信する第2受信手段と、前記第1受信手段にて受信されたラジオ放送信号と、当該第1受信手段にて受信されたラジオ放送信号に対して同一放送のラジオ放送信号であって前記第2受信手段にて受信されたラジオ放送信号の中から、電波状態がよい方のいずれか一方のラジオ放送信号を選択し、当該選択したラジオ放送信号によるラジオ放送出力を行うための所定の制御を行うラジオ放送制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において、前記第1受信手段にて受信されるラジオ放送信号の第1周波数と、当該第1受信手段にて受信されるラジオ放送信号と同一放送のラジオ放送信号であって前記第2受信手段にて受信されるラジオ放送信号の第2周波数とを、相互に関連付けて格納する周波数情報格納手段を備え、前記ラジオ放送制御手段は、所定方法にて特定された第1周波数又は第2周波数に基づいて前記周波数情報格納手段を参照することにより、当該特定された第1周波数に対応する第2周波数、あるいは、当該特定された第2周波数に対応する第1周波数を特定することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の本発明において、前記周波数情報格納手段に格納された前記第1周波数と前記第2周波数とを関連付ける情報は、前記送信手段から送信された設定情報に基づいて設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の本発明によれば、第1受信手段にて受信されたラジオ放送信号と、第2受信手段にて受信されたラジオ放送信号のうち、電波状態がよい方のいずれか一方のラジオ放送信号が自動的に選択されてラジオ放送が行われるので、例えば、伝送線路経由のラジオ放送信号が災害等の理由によってレベル低下を起こした場合であっても、ラジオ放送を良好に継続することができ、利用者の利便性を高めることができる。
【0012】
請求項2に記載の本発明によれば、周波数情報格納手段を参照することで、周波数を容易かつ正確に特定することができる。
【0013】
請求項3に記載の本発明によれば、受信手段にて受信されるラジオ放送信号の切換えを、送信手段側から容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る告知放送システムの受信機の実施の形態について説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(構成)
最初に、本実施の形態に係る告知放送システムの構成を説明する。図1は本実施の形態に係る告知放送システムの構成を示すブロック図である。この図1に示すように、告知放送システム1は、センター側に配置されたセンター装置10、各住戸に配置された受信機20、及びセンター装置10から送信された信号を受信機20に送信する伝送系統40を備えて構成されている。なお、特記する構成を除き、センター装置10、受信機20、及び伝送系統40は、従来の告知放送システムと同様に構成することができる。
【0016】
(構成−センター装置10)
このうち、センター装置10は、告知放送信号を送信するものであり、特許請求の範囲における送信手段に対応する。このセンター装置10は、操作部11、表示部12、マイク13、BGM源14、メモリ15、日時回路16、送信部17、及び制御部18を備えて構成されている。
【0017】
操作部11は、当該センター装置10に対する各種の操作を行うための操作手段であり、例えば、各種の図示しないスイッチを含んで構成されている。表示部12は、所要の情報を操作者に向けて表示するための表示手段であり、例えば、図示しないモニタや表示灯を含んで構成されている。マイク13は、告知放送用の音声を入力するための音声入力手段である。BGM源14は、告知放送用の背景音楽の音源になる音源手段である。メモリ15は、当該センター装置10の各種制御に必要な情報を記録する記録手段である。日時回路16は、年月日及び時分を含んだ日時情報を出力する日時手段である。送信部17は、告知放送信号をヘッドエンド41へ送信する送信手段である。そして、制御部18は、当該センター装置10の各部を制御する制御手段であり、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)及びこのCPU上で解釈実行されるプログラムを含んで構成されている(制御部30も同じ)。
【0018】
(構成−受信機20)
次に、図1の受信機20について説明する。受信機20は、告知放送信号を受信するもので、特許請求の範囲における受信手段に対応する。この受信機20は、復調部21、音声切換え部22、音声記録部23、音量調整部24、アンプ25、スピーカ26、操作部27、表示部28、メモリ29、制御部30、及びアンテナ31を備えて構成されている。
【0019】
復調部21は、センター装置10から送信された告知放送信号及びアンテナ31にて受信されたFM放送波を復調する第1受信手段であり、音声情報を音声切換え部22に出力すると共に制御情報を制御部30に出力する。音声切換え部22は、復調部21から出力された音声情報又は復調部21から出力された音声信号を音声記録部23に出力し、あるいは、復調部21又は音声記録部23から出力された音声情報を音量調整部24に出力する音声切換え手段である。音量調整部24は、音声切換え部22から出力された音声情報の音量を調整してアンプ25に出力する。この音声情報は、アンプ25にて増幅された後、スピーカ26から出力される。操作部27は、当該受信機20に対する各種の操作を行うための操作手段である。表示部28は、所要の情報をユーザに向けて表示するための表示手段である。メモリ29は、当該受信機20の各種制御に必要な情報を記録する記録手段である。このメモリ29には、後述する周波数テーブルが記憶されている。この周波数テーブルは、特許請求の範囲における周波数情報格納手段に対応する。制御部30は、当該受信機20の各部を制御する制御手段である。この制御部30は、機能概念的に、ラジオ放送制御部30aを備える。このラジオ放送制御部30aは、特許請求の範囲におけるラジオ放送制御手段に対応する。アンテナ31は、空中波として送信されたラジオ放送信号を受信するもので、特許請求の範囲における第2受信手段に対応する。
【0020】
図2は、受信機20の正面図である。受信機20は、方形箱状の筐体の内部に、上述した当該受信機20の各部のうち、操作部27、表示部28、及びアンテナ31を除く各部を収容して構成されている。操作部27としては、具体的には、FM放送を選択するためのFM放送選択スイッチ27a、録音された告知放送の再生を指示するための告知再生スイッチ27b、及び放送音量を調節するためのボリュームスイッチ27cが設けられている。表示部28としては、具体的には、電源ON時に点灯する電源表示灯28a、緊急放送時に点灯又は点滅する緊急放送表示灯28b、及び一般放送時に点灯又は点滅する一般放送表示灯28cを備える。アンテナ31は、筐体の側方に配置されている。
【0021】
図3は、メモリ29に記憶された周波数テーブルの構成例を示す。この周波数テーブルには、伝送線路42経由で受信されるFM放送信号の周波数と、オンエア経由で受信されるFM放送信号(アンテナ31を介して受信されるFM放送信号)の周波数とが、相互に関連付けて格納されている。すなわち、同一のラジオ局によって発信される同一のFM放送であっても、伝送線路42経由での放送周波数と、オンエアでの放送周波数とは、混信防止等の理由から相互の異なる周波数となっている可能性があるため、この周波数の対応関係を周波数テーブルに予め記録しておく。なお、この受信機20における周波数テーブルの設定や変更は、センター装置10から受信機20に周波数テーブル設定コマンドを送信することで行うことができる。つまり、センター装置10の制御部18は、設定変更信号送信部(図示せず)を備えており、操作者が操作部11や表示部12を用いて周波数テーブルを作成した後、設定変更信号送信部が、この周波数テーブルと、当該周波数テーブルに基づいて周波数テーブルの設定や変更を行う旨の周波数テーブル設定コマンドとを含んだ制御信号を受信機20に送信する。受信機20は、当該制御信号に含まれる周波数テーブル及び周波数テーブル設定コマンドに基づいて周波数テーブルの設定や変更を実行する。このため、受信機20にて受信されるFM放送信号の切換えを、センター装置10側から容易に行なうことができる。
【0022】
(構成−伝送系統40)
図1に戻り、伝送系統40は、ヘッドエンド41、このヘッドエンド41から各住戸の受信機20に至る伝送線路42、さらに、この伝送線路42に配置された、アンプ43、分配増幅器44、分配器46、及び保安器48を備えて構成されている。ヘッドエンド41は、センター装置10の送信部17から送信された信号を受信し、この信号をレベル増幅した上で伝送線路42に送出する増幅送信手段である。なお、ヘッドエンド41には、FM放送用アンテナ(図示せず)が設けられており、このFM放送用アンテナにて受信されたFM放送信号を各住戸の受信機20に伝送線路42を介して送信する。伝送線路42は、告知放送信号を送信する送信線路であり、例えば、CATV信号を伝送するCATV伝送線路(同軸ケーブル)42が用いられる。アンプ43は、伝送線路42を流れる信号を増幅する増幅手段である。分配増幅器44は、信号を増幅した上で、各住戸に向けて分配する分配増幅手段である。分配器46は、分配増幅器44にて増幅された信号を各住戸に向けて分配する分配手段である。保安器48は、各住戸に設けられ、伝送線路42に乗って受信機20に至る直流成分を制御する。
【0023】
(処理−告知放送処理)
次に、このように構成された告知放送システム1における各処理について説明する。最初に、センター装置10における送信処理について説明する。センター側の操作者は、図1のセンター装置10のマイク13及びBGM源14を用いて、任意の音声情報を入力する。この時、操作者は、操作部11を用いて、告知放送が一般放送であるか緊急放送であるかを指定し、一般放送である場合にはその放送予定日時を入力する。一般放送とは、緊急性を要しない方法であり、例えば地域のイベント情報や定期放送が該当し、緊急放送とは、緊急性を要する放送であり、例えば災害情報が該当する。また、操作者は、操作部11を用いて、受信先となる受信機20を指定する。
【0024】
これら各種の入力を受けたセンター装置10の制御部18は、告知放送が一般放送であるか緊急放送であるかを操作者による指定内容に基づいて判定し、緊急放送であると判定した場合には、操作者に指定された受信機20の固有アドレスをメモリから取得し、この固有アドレスと緊急放送であることを特定する情報とを含んだ放送コマンドを生成する。そして、この放送コマンドと操作者に入力された音声情報とを、所定周波数のキャリアに乗せて変調することによって告知放送信号を生成し、この告知放送信号を送信部17を介してヘッドエンド41に送信する。
【0025】
一方、一般放送であると判定した場合、制御部18は、操作者に指定された受信機20の固有アドレスをメモリから取得し、この固有アドレスと一般放送であることを特定する情報とを含んだ放送コマンドを生成する。そして、この放送コマンドと操作者に入力された音声情報とを、メモリ15に記録させる。その後、制御部18は、操作者に指定された放送予定日時が到来したか否かを日時回路16からの日時情報に基づいて監視し、放送予定日時が到来した場合には、メモリ15から放送コマンドと音声情報を取得する。そして、制御部18は、これら放送コマンドと音声情報とを、所定周波数のキャリアに乗せて変調することによって告知放送信号を生成し、この告知放送信号を送信部17を介してヘッドエンド41に送信する。これにてセンター装置10における送信処理が終了する。
【0026】
次に、受信機20における受信処理について説明する。上述の送信処理によって送信された告知放送信号を受信したヘッドエンド41は、当該告知放送信号を伝送線路42を介して送信する。このように送信された告知放送信号は、アンプ43、分配増幅器44、あるいは、分配器46によって増幅や分配された後、各住戸の保安器48に到達し、この保安器48を通過した告知放送信号が受信機20に入力される。
【0027】
受信機20では、入力された告知放送信号が復調部21にて復調され、放送コマンドが制御部30に入力されると共に、音声情報が音声切換え部22を介して音量調整部24及び音声記録部23に出力される。制御部30は、放送コマンドに含まれるアドレスが、メモリ29に予め記録されている自己のアドレスに合致するか否かを判定し、合致しない場合には、告知放送処理を終了し、合致する場合には、音声情報が出力されるように、音声切換え部22に制御信号を出力する。この制御信号を受信した音声切換え部22は、復調された音声情報を音量調整部24に出力する。この音声情報は、音量調整部24による音量調整とアンプ25による増幅とを経て、スピーカ26から出力される。
【0028】
この時、制御部30は、放送コマンドによって当該告知放送が緊急告知放送である旨が示されているか否かを判定し、緊急告知放送である場合には、緊急放送表示灯28bを点灯又は点滅させると共に、音量調整部24を制御することで、緊急告知放送用の所定の大音量で音声情報を出力させる。一方、制御部30は、放送コマンドによって当該告知放送が一般告知放送である旨が示されている場合には、一般放送表示灯28cを点灯又は点滅させると共に、音量調整部24を制御することで、ボリュームスイッチ27cにて設定されている音量で音声情報を出力させる。このように出力制御が行われた音声情報は、音声記録部23によって記録され、ユーザが告知再生スイッチ27bを介して再生指示を行なった場合に、音声切換え部22を介して音量調整部24に出力され、スピーカ26から出力される。これにて受信機における受信処理が終了する。
【0029】
(処理−ラジオ放送処理)
次に、ラジオ放送を行うためのラジオ放送処理について説明する。最初に、センター側におけるラジオ放送処理について説明する。ヘッドエンド41は、FM放送用アンテナにて受信されたFM放送信号を所定周波数のキャリアに乗せて変調することによってFM放送信号を生成し、このFM放送信号を伝送線路42を介して各住戸の受信機20に送信する。この送信時のキャリアとしては、告知放送で使用していないキャリアを用いることが好ましく、例えば、複数の放送用RFキャリアの中で告知放送に使用していないRFキャリアを用いたり、あるいは、FM放送信号の送信専用のキャリアを設定してもよい。このようにセンター側からのFM放送信号の送信時における送信周波数は、CATV会社が任意に設定しており、混信防止等のため、一般のFM放送の周波数と意図的に異ならせて送ることがある。これにてセンター側におけるラジオ放送処理が終了する。
【0030】
次に、受信機20におけるラジオ放送処理について説明する。図4は、受信機20におけるラジオ放送処理のフローチャートである。センター装置10から送信されたFM放送信号(特許請求の範囲におけるラジオ放送信号に対応する)は、伝送線路42を介して送信され、アンプ43、分配増幅器44、あるいは、分配器46によって増幅や分配された後、各住戸の保安器48に到達し、この保安器48を通過したFM放送信号が受信機20に入力される。入力されたFM放送信号は復調部21にて復調される。ここで受信機20のラジオ放送制御部30aは、FM放送選択スイッチ27aのON/OFFを監視し(ステップSA−1)、利用者によってFM放送選択スイッチ27aがONされた場合には(ステップSA−1,Yes)、復調部21にて復調されたFM放送信号を、音声切換え部22を介して音量調整部24に出力し、この音量調整部24による音量調整とアンプ25による増幅とを経て、FM放送がスピーカ26から出力される。
【0031】
このように行われるラジオ放送の際、ラジオ放送制御部30aは、復調部21から入力されたFM放送信号の信号レベルと、当該FM放送信号に対して同一放送で異なる周波数のFM放送信号であってアンテナ31を介して受信されたFM放送信号のレベルを、相互に比較する。すなわち、ラジオ放送制御部30aは、復調部21から入力されたFM放送信号の周波数に基づいてメモリ29の周波数テーブルを参照することで、当該FM放送信号と同一内容のオンエア経由のFM放送信号の周波数を取得する(ステップSA−2)。そして、ラジオ放送制御部30aは、当該取得したオンエア経由のFM放送信号の周波数のFM放送信号をアンテナ31を介して取得し、当該取得したFM放送信号のレベルを、受信機20に入力されたFM放送信号の信号レベルと比較する(ステップSA−3)。そして、ラジオ放送制御部30aは、信号レベルが高い方のFM放送信号を選択し、当該選択したFM放送信号を音声切換え部22を介して音量調整部24に出力してFM放送を行う。すなわち、復調部21から入力されたFM放送信号の信号レベルが高い場合には(ステップSA−3,Yes)、当該FM放送信号を用いてFM放送を行い(ステップSA−4)、オンエア経由のFM放送信号の信号レベルが高い場合には(ステップSA−3,No)、当該FM放送信号を用いてFM放送を行う(ステップSA−5)。以降同様に、FM放送選択スイッチ27aがOFFとなる迄、FM放送信号の信号レベルの比較と切替が行われ、常に状態の良い方のFM放送信号を用いてFM放送が行われる。これにて受信機20におけるラジオ放送処理が終了する。
【0032】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、伝送線路42経由のFM放送信号と、オンエア経由のFM放送信号のうち、信号レベルの高い方のFM放送信号が自動的に選択されてFM放送が行われるので、伝送線路42経由のFM放送信号が災害等の理由によってレベル低下を起こした場合であっても、FM放送を良好に継続することができ、利用者の利便性を高めることができる。
【0033】
特に、周波数テーブル参照して周波数を特定することができるので、周波数を容易かつ正確に特定することができる。
【0034】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0035】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0036】
(ラジオ放送信号の選択について)
上述の実施の形態では、FM放送信号の信号レベルの高い方を選択していたが、その他の任意の基準を用いて、電波状態がよい方のいずれか一方のFM放送信号を選択することもできる。このような基準の一つとしては、例えば、S/N比の高い方を選択するようにしてもよい。また、FM放送信号の信号レベルを常時比較するのではなく、現在の出力に使用しているFM放送信号の信号レベルやS/N比を所定閾値と比較し、所定閾値以下になった場合のみ、他の経路からのFM放送信号の信号レベルやS/N比と比較するようにしてもよい。なお当然のことながら、FM放送以外にも、AM放送や短波放送にも同様に本発明を適用することができる。
【0037】
また、周波数テーブルを用いて周波数選択を行う以外にも、任意の方法で周波数選択を行うことができる。例えば、信号レベルの比較を行う際に、現在の出力に使用しているFM放送信号の周波数の近傍周波数の中で、当該使用しているFM放送信号と同一又は類似のレベル変化を起こすFM放送信号をサーチし、このようにサーチしたFM放送信号を、現在の出力に使用しているFM放送信号と同一内容のFM放送信号であるとしてもよい。この場合には、周波数テーブルを省略できると共に、新規なFM放送が開設された場合や、既存のFM放送信号に周波数変更があった場合にも対応することができる。
【0038】
また、上記実施形態に限らず、基本はヘッドエンド41側から送信されるFM放送を有線受信し、ヘッドエンド41からのFM放送信号のレベルが所定レベルまで低下したときに、受信機20のアンテナ31から受信できる同じFM放送(同一周波数のFM放送の場合を含む)の受信レベルを監視し、レベルが所定以上のレベルであれば、受信機20のアンテナ31から受信するように切換えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態1に係る告知放送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】受信機の正面図である。
【図3】周波数テーブルの構成例を示す図である。
【図4】受信機におけるラジオ放送処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 告知放送システム
10 センター装置
11、27 操作部
12、28 表示部
13 マイク
14 BGM源
15、29 メモリ
16 日時回路
17 送信部
18、30 制御部
20 受信機
21 復調部
22 音声切換え部
23 音声記録部
24 音量調整部
25、43 アンプ
26 スピーカ
27a FM放送選択スイッチ
27b 告知再生スイッチ
27c ボリュームスイッチ
28a 電源表示灯
28b 緊急放送表示灯
28c 一般放送表示灯
30a ラジオ放送制御部
31 アンテナ
40 伝送系統
41 ヘッドエンド
42 伝送線路
44 分配増幅器
46 分配器
48 保安器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信手段から送信された告知放送信号を伝送線路を介して受信して放送する告知放送システムの受信機であって、
前記伝送線路を介して送信されたラジオ放送信号を受信する第1受信手段と、
空中波として送信されたラジオ放送信号を受信する第2受信手段と、
前記第1受信手段にて受信されたラジオ放送信号と、当該第1受信手段にて受信されたラジオ放送信号に対して同一放送のラジオ放送信号であって前記第2受信手段にて受信されたラジオ放送信号の中から、電波状態がよい方のいずれか一方のラジオ放送信号を選択し、当該選択したラジオ放送信号によるラジオ放送出力を行うための所定の制御を行うラジオ放送制御手段と、
を備えたことを特徴とする告知放送システムの受信機。
【請求項2】
前記第1受信手段にて受信されるラジオ放送信号の第1周波数と、当該第1受信手段にて受信されるラジオ放送信号と同一放送のラジオ放送信号であって前記第2受信手段にて受信されるラジオ放送信号の第2周波数とを、相互に関連付けて格納する周波数情報格納手段を備え、
前記ラジオ放送制御手段は、所定方法にて特定された第1周波数又は第2周波数に基づいて前記周波数情報格納手段を参照することにより、当該特定された第1周波数に対応する第2周波数、あるいは、当該特定された第2周波数に対応する第1周波数を特定すること、
を特徴とする請求項1に記載の告知放送システムの受信機。
【請求項3】
前記周波数情報格納手段に格納された前記第1周波数と前記第2周波数とを関連付ける情報は、
前記送信手段から送信された設定情報に基づいて設定されること、
を特徴とする請求項2に記載の告知放送システムの受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−4181(P2010−4181A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159732(P2008−159732)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】