周長測定装置及び周長測定方法
【課題】 プーリの真円度誤差等に影響されることなく良好な周長の測定精度を得られるようにした周長測定装置及び周長測定方法を提供する。
【解決手段】 駆動側プーリ(14)と従動側プーリ(15)は、各々所定の回転角毎にマーキングされたn個の位相指標(A〜H)を有し、前記駆動側プーリ(14)のn個の位相指標(A〜H)と前記従動側プーリ(15)のn個の位相指標(A〜H)とのn2 通りの組み合わせの中から任意の組み合わせを選択し、その組み合わせを用いてリング状ワーク(20)の周長測定を行う。
前記任意の組み合わせは、リング状ワーク(20)の周回間、駆動側プーリ(14)と従動側プーリ(15)との間の対向距離の最大値と最小値の幅が最も少なくなる組み合わせである。
【解決手段】 駆動側プーリ(14)と従動側プーリ(15)は、各々所定の回転角毎にマーキングされたn個の位相指標(A〜H)を有し、前記駆動側プーリ(14)のn個の位相指標(A〜H)と前記従動側プーリ(15)のn個の位相指標(A〜H)とのn2 通りの組み合わせの中から任意の組み合わせを選択し、その組み合わせを用いてリング状ワーク(20)の周長測定を行う。
前記任意の組み合わせは、リング状ワーク(20)の周回間、駆動側プーリ(14)と従動側プーリ(15)との間の対向距離の最大値と最小値の幅が最も少なくなる組み合わせである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、無段変速機(CVT)のベルト(以下、CVTベルト)に組み込まれている薄板状の金属リングの如きリング状ワークの周長を測定する周長測定装置及び周長測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CVTベルトは、厚さ0.2mm程度の薄い金属リングを多数枚重ねたものに、スチール製のエレメントを連続して嵌め込んで一体化したものである(たとえば、非特許文献1参照)。
【0003】
図25は、CVTベルトの外観図である。この図において、CVTベルト1は、多数枚(たとえば、12枚程度)の金属リング2aを積み重ねた二連のベルト積層体2に、多数個(たとえば、400個程度)のスチール製のエレメント3aからなるエレメント積層体3を担持させて組み立てられ、アセンブリ化されている。
【0004】
各々の金属リング2aの周長(リング一周の長さ)は、積層内周側から外周側(またはその逆)にかけて所定の周長差が付くように高精度に設定されていなければならない。これは、隣接する金属リング2aの接触面間に均一な微小間隙(オイル潤滑用の隙間)を確保する必要があることに加え、特定の金属ベルト2aに応力が集中しないようにするため、つまり、二連のベルト積層体2の全体で大きな張力を引き受けるようにするための要求である。
【0005】
このような金属リングの周長を測定する従来技術としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。この従来技術は、モータによって駆動される駆動側プーリと、回転フリーで且つ前記駆動側プーリとの相対的な離隔距離が自在に変化する従動側プーリと、前記従動側プーリに荷重をかけて前記駆動側プーリと従動側プーリとの対向距離を拡大方向に変化させることにより、それらの両プーリに掛け渡されたリング状ワーク(上記の金属リング2aに相当)に張力を与える張力付与手段と、前記従動側プーリの変位を検出する測定手段とを備える。
【0006】
【非特許文献1】宮地知巳著“理想の変速機CVTの性能を最大限に引き出す”、[online]、[平成14年8月25日検索]、インターネット<URL:http://www.idemitsu.co.jp/lube/cvt/cvtbody2.html>
【特許文献1】特開平11−281342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来技術にあっては、以下に説明するように、周長測定の精度が若干不十分であり、改善すべき余地がある。
【0008】
図26(a)は、従来技術の概念図である。この図に示すように、従来技術では、駆動側プーリ4と従動側プーリ5とにリング状ワーク6を掛け渡し、従動側プーリ5に荷重7をかけてリング状ワーク6に張力を与えた状態で、駆動側プーリ4を動かしてリング状ワーク6を周回移動させながら、従動側プーリ5の変位を測定手段8で検出し、その変位量からリング状ワーク6の周長を測定する。
【0009】
荷重7の大きさ(質量W)は、リング状ワーク6の厚みや幅及び素材等によって一概には言えないが、リング状ワーク6を便宜的に前記のCVTベルト1の金属ベルト2aとすれば、例えば、30Kgf程度といったかなりの重さになる。荷重7の役割は、従動側プーリ5を、その質量Wで重力方向(下方)に引っ張って位置を変えることにより、リング状ワーク6にあらかじめ定められた適切な張力を付与することにある。
【0010】
このような構成の周長測定装置において、リング状ワーク6の周長は、以下のようにして求めることができる。まず、駆動側プーリ4の回転中心点をPa、従動側プーリ5の回転中心点をPbとし、駆動側プーリ4の半径をDa、従動側プーリ5の半径をDbとするとともに、駆動側プーリ4の半外周長をFa、従動側プーリ5の半外周長をFbとする。
【0011】
張力付与時のリング状ワーク6の周長Xは、駆動側プーリ4の半外周長Faと、従動側プーリ5の半外周長Fbと、二つのプーリ(駆動側プーリ4と従動側プーリ5)の回転中心点間距離(PaからPbまでの間距離:以下「L寸法」という)を2倍した値との加算値で与えられる。つまり、X=Fa+Fb+2Lである(ただし、LはL寸法の値)。
【0012】
ここで、回転位置固定の駆動側プーリ4の回転中心点Paを測定基準点として、回転位置可変の従動側プーリ5の回転中心点Pbを測定手段8で測定し、PaとPb間の距離を求めることにより、上記のL寸法を得ることができる。
【0013】
しかしながら、駆動側プーリ4及び従動側プーリ5は、いずれも直径十数センチの円板状の金属加工品であり、相当な精度で加工したとしても、その真円度に所要の誤差が避けられない。また、それらのプーリの回転を支持するベアリング等の機械誤差や取り付け誤差も存在する。
【0014】
上記の従来技術は、駆動側プーリ4と従動側プーリ5が理想的な“真円”であり、且つ、駆動側プーリ4の回転中心点Paが完全な“不動”であるとみなした上で、従動側プーリ5の回転中心点Pbの位置を測定手段8で測定してL寸法を割り出し、上記の式(X=Fa+Fb+2L)に従ってリング状ワーク6の周長Xを求めているが、本件発明者等の検討によれば、従動側プーリ5の回転中心点Pbの実際の位置は、リング状ワーク6の周回運動に伴って微妙に変動し、それゆえ、上記の式(X=Fa+Fb+2L)に従って求めたリング状ワーク6の周長Xも、厳密には一定の値で推移せず、同様にある程度の変動幅を持つ不正確な値であることを見出した。
【0015】
図26(b)は、従来技術における周長Xの測定結果を示す図である。この図は、縦軸に従動側プーリ4の回転中心点Pbの位置測定値(0は正しい測定値)を示し、横軸にリング状ワーク6の周回運動位置(駆動側プーリ4の回転角)を示すグラフである。この図において、回転中心点Pbは正しい測定値を中心に上下に変動している。この変動の原因は、駆動側プーリ4や従動側プーリ5の真円度誤差、及び/又は、それらのプーリの回転を支持するベアリング等の機械誤差や取り付け誤差等であると考えられる。
【0016】
かかる変動を有する回転中心点Pbの測定値からL寸法を割り出すと、そのL寸法は、Pbの最大測定値Pb(max) から最小測定値Pb(min) までの幅を持つこととなり、その幅の大きさによっては、リング状ワーク6の正確な周長Xを測定することができなくなるという問題点を抱える。
【0017】
そこで、本発明は、プーリの真円度誤差等に影響されることなく良好な周長の測定精度を得られるようにした周長測定装置及び周長測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の発明は、一方が駆動側となり他方が従動側となる一対のプーリ(駆動側プーリ及び従動側プーリ)と、前記一対のプーリにリング状ワークを掛け渡し、前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を拡大して前記リング状ワークに所定の張力を付与する張力付与手段と、前記張力の付与方向への前記駆動側プーリの変位を検出する第1検出手段と、前記張力の付与方向への前記従動側プーリの変位を検出する第2検出手段と、前記第1及び第2検出手段の検出結果から前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を演算する第1演算手段と、前記第1演算手段の演算結果及び前記駆動側プーリと従動側プーリの各々の半外周長に基づき前記リング状ワークの周長を演算する第2演算手段とを備え、前記駆動側プーリと従動側プーリは、各々所定の回転角毎にマーキングされたn個の位相指標を有し、前記駆動側プーリのn個の位相指標と前記従動側プーリのn個の位相指標とのn2 通りの組み合わせの中から任意の組み合わせを選択し、その組み合わせを用いて前記リング状ワークの周長測定を行い得るように構成したことを特徴とする周長測定装置である。
請求項2記載の発明は、前記任意の組み合わせは、前記リング状ワークの周回間、前記第1演算手段の演算結果の最大値と最小値の幅が最も少なくなる組み合わせであることを特徴とする請求項1記載の周長測定装置である。
請求項3記載の発明は、一方が駆動側となり他方が従動側となる一対のプーリ(駆動側プーリ及び従動側プーリ)にリング状ワークを掛け渡し、前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を拡大して前記リング状ワークに所定の張力を付与する張力付与工程と、前記張力の付与方向への前記駆動側プーリの変位を検出する第1検出工程と、前記張力の付与方向への前記従動側プーリの変位を検出する第2検出工程と、前記第1及び第2検出工程の検出結果から前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を演算する第1演算工程と、前記第1演算工程の演算結果及び前記駆動側プーリと従動側プーリの各々の半外周長に基づき前記リング状ワークの周長を演算する第2演算工程とを含み、少なくとも前記第2演算工程の実行前に、前記駆動側プーリと従動側プーリの各々所定の回転角毎にマーキングされたn個の位相指標のn2 通りの組み合わせの中から任意の組み合わせを選択する選択工程を実行し、その組み合わせを用いて前記第2演算工程を実行することを特徴とする周長測定方法である。
請求項4記載の発明は、前記任意の組み合わせは、前記リング状ワークの周回間、前記第1演算手段の演算結果の最大値と最小値の幅が最も少なくなる組み合わせであることを特徴とする請求項3記載の周長測定方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、駆動側プーリと従動側プーリの各々に所定の回転角毎のn個の位相指標がマーキングされる。位相指標の数は、例えば、回転角の0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度を表す計8個(n=8)とすることができる。この場合、駆動側プーリの8個の位相指標と従動側プーリの8個の位相指標との組み合わせ数は、82 =64通りとなる。
【0020】
説明の便宜上、駆動側プーリの8個の位相指標と従動側プーリの8個の位相指標の各々にA〜Hまでの記号を割り当てることにする。つまり、駆動側プーリの回転角0度→A、45度→B、90度→C、135度→D、180度→E、225度→F、270度→G、315度→Hとするとともに、従動側プーリの回転角0度→A、45度→B、90度→C、135度→D、180度→E、225度→F、270度→G、315度→Hとする。
【0021】
この場合、64通りの位相の組み合わせは、「(駆動側プーリの位相指標)−(従動プーリの位相指標)」の書式で表せば、
(1)「A−A」、「A−B」、「A−C」、「A−D」、「A−E」、「A−F」、「A−G」、「A−H」、
(2)「B−A」、「B−B」、「B−C」、「B−D」、「B−E」、「B−F」、「B−G」、「B−H」、
(3)「C−A」、「C−B」、「C−C」、「C−D」、「C−E」、「C−F」、「C−G」、「C−H」、
(4)「D−A」、「D−B」、「D−C」、「D−D」、「D−E」、「D−F」、「D−G」、「D−H」、
(5)「E−A」、「E−B」、「E−C」、「E−D」、「E−E」、「E−F」、「E−G」、「E−H」、
(6)「F−A」、「F−B」、「F−C」、「F−D」、「F−E」、「F−F」、「F−G」、「F−H」、
(7)「G−A」、「G−B」、「G−C」、「G−D」、「G−E」、「G−F」、「G−G」、「G−H」、
(8)「H−A」、「H−B」、「H−C」、「H−D」、「H−E」、「H−F」、「H−G」、「H−H」、
と書き表すことができる。
【0022】
さて、上記の(1)〜(8)の各々について、前記リング状ワークの周回間の前記第1演算手段の演算結果を求め、その最大値と最小値の幅を検証すると、駆動側プーリや従動側プーリの真円度に誤差がある場合、又は、それらのプーリの回転を支持するベアリング等の機械誤差や取り付け誤差等がある場合、(1)〜(8)の各々の上記の“幅”は一定ではなく差が生じる。
【0023】
例えば、上記の(1)のとき、前記リング状ワークの周回間の前記第1演算手段の演算結果の最大値と最小値の幅が最も少なかったとすると、(1)の位相の組み合わせ、つまり、「A−A」、「A−B」、「A−C」、「A−D」、「A−E」、「A−F」、「A−G」、「A−H」のいずれかを使用したときに、最も、駆動側プーリや従動側プーリの真円度誤差、又は、それらのプーリの回転を支持するベアリング等の機械誤差や取り付け誤差等の影響を受けにくくなる。
【0024】
したがって、本発明によれば、駆動側プーリと従動側プーリの適正な位相合わせを行ってリング状ワークの周長測定を実行するので、プーリの真円度誤差等に影響されることなく良好な周長の測定精度を得られるようにした周長測定装置及び周長測定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
【0026】
図1は、実施形態における周長測定装置の外観図である。この図において、周長測定装置10は、床面等に載置されるベース11の上に固定された立方体状の筐体12の一側面(図では裏面)に動力源としてのモータ13を取り付けるとともに、筐体12の前記一側面の対向面に、そのモータ13によって回転駆動される駆動側プーリ14と、その駆動側プーリ14に対して昇降自在な従動側プーリ15とが取り付けられている。
【0027】
駆動側プーリ14のシャフト14aと従動側プーリ15のシャフト15aは、それぞれ円筒状のハウジング16、17を介して回転自在に筐体12に支持されている。ただし、駆動側プーリ14のシャフト14aを支持する図中上方のハウジング16(以下、駆動側ハウジング16という)が筐体12に堅固に取り付けられており、その位置が変化しないのに対して、従動側プーリ15のシャフト15aを支持する図中下方のハウジング17(以下、従動側ハウジング17という)は、駆動側ハウジング16に対する離隔距離が自在に変化するように筐体12に取り付けられている点で相違し、これによって、上記のとおり、駆動側プーリ14に対する従動側プーリ15の昇降自在性を確保している。
【0028】
駆動側ハウジング16の外周面上の所定位置には、第一のリニアゲージ18の測定子18aが当接しており、さらに、従動側ハウジング17の外周面上の所定位置にも、第二のリニアゲージ19の測定子19aが当接している。
【0029】
ここで、第一のリニアゲージ18及び第二のリニアゲージ19のそれぞれの測定子18a、19aの当接位置は、次のとおりである。
【0030】
今、図示のように、駆動側プーリ14と従動側プーリ15にリング状ワーク20(例えば、冒頭で説明した金属リング2a)を掛け渡し、従動側プーリ15に荷重27(図2参照)をかけてリング状ワーク20に所要の張力を付与した場合、その張力の方向は、駆動側プーリ14と従動側プーリ15の各々の回転中心を通る直線21に沿った方向となる。
【0031】
第一のリニアゲージ18の測定子18aの当接位置は、駆動側ハウジング16の外周面上の直線21と交差する上下二つの位置のうち従動側ハウジング17から遠い方の位置、つまり、駆動側ハウジング16の外周面上の上部位置16aである。また、第二のリニアゲージ19の測定子19aの当接位置は、従動側ハウジング17の外周面上の直線21と交差する上下二つの位置のうち駆動側ハウジング16から遠い方の位置、つまり、従動側ハウジング17の外周面上の下部位置17aである。
【0032】
第一のリニアゲージ18は、駆動側ハウジング16の変位、詳細には、駆動側ハウジング16の直線21方向の変位を検出し、第二のリニアゲージ19は、従動側ハウジング17の変位、詳細には、従動側ハウジング17の直線21方向の変位を検出し、いずれも、その検出結果をプーリ位相判定/周長測定部22に出力する。プーリ位相判定/周長測定部22は、第一のリニアゲージ18及び第二のリニアゲージ19の検出結果に基づいて、リング状ワーク20の周長を測定し、その測定結果を、例えば、数値やグラフまたはその他の態様で表示するために不図示の表示部に出力するものであるが、さらに、リング状ワーク20の周長測定に先立ち、駆動側プーリ4と従動側プーリ5の“回転位相を合わせる”ための所要の処理を実行する。“回転位相を合わせる”目的やその効果については後で詳しく説明する。
【0033】
なお、第一のリニアゲージ18及び第二のリニアゲージ19は、筐体12から延びるアーム23の先端に取り付けられている。
【0034】
図2は、周長測定装置の要部断面図である。この図において、モータ13によって回転駆動される駆動側プーリ14のシャフト14aは、ベアリング24等を介して駆動側ハウジング16に回転自在に支持されており、この駆動側ハウジング16は、筐体12に堅固に取り付けられている。一方、従動側プーリ15のシャフト15aも、ベアリング25等を介して従動側ハウジング17に回転自在に支持されているが、この従動側ハウジング17は、筐体12に形成された上下方向のガイド溝12a、12bに沿って上下に移動可能なように取り付けられている。このため、従動側ハウジング17に支持されたシャフト15aの先端の従動側プーリ15が、その位置を上下に変更できるようになっており、したがって、位置固定の駆動側プーリ14に対して従動側プーリ15の位置が自在に上下するので、駆動側プーリ14と従動側プーリ15との間の離隔距離が自由に変更されるようになっている。
【0035】
従動側ハウジング17には、模式的に示す接続部材26を介して質量Wの荷重27がつり下げられており、従動側ハウジング17は、この質量Wを受けて、ガイド溝12a、12bに沿って重力方向に垂下するようになっている。このため、駆動側プーリ14と従動側プーリ15に掛け渡されたリング状ワーク20に対して、質量Wに対応した大きさの張力が付与されるようになっている。
【0036】
図3は、駆動側プーリ4と従動側プーリ5の回転位相合わせの概念図である。この図において、駆動側プーリ14と従動側プーリ15は、各々のプーリ面にA〜Hまでの位相指標が付けられている。これらの位相指標はプーリの回転角をn等分(ここでは45度ずつの8等分)したものを表しており、図示の8等分の例では、位相指標Aは0度、位相指標Bは45度、位相指標Cは90度、位相指標Dは135度、位相指標Eは180度、位相指標Fは225度、位相指標Gは270度、位相指標Hは315度を表す。なお、位相指標の数は図示のAからHまでの8個に限定されない。測定精度の厳密さをより要求するのであれば8個以上としてもよく、あるいは、それほどの精度を求めないのであれば0以上8個以下としてもよい。
【0037】
駆動側プーリ14と従動側プーリ15の回転位相の組み合わせとは、駆動側プーリ14の位相指標と従動側プーリ15の位相指標との組み合わせのことをいい、厳密には、駆動側プーリ14の回転を停止しているときにおいて、第一のリニアゲージ18に最も近い駆動側プーリ14の位相指標と、第二のリニアゲージ19に最も近い従動側プーリ15の位相指標との組み合わせのことをいう。つまり、図示の例では、破線の丸印で囲まれた、駆動側プーリ14の位相指標Aと従動側プーリ15の位相指標Aが現在の位相の組み合わせとなる。以下、位相の組み合わせを明示する場合は「(駆動側プーリ14の位相指標)−(従動側プーリ14の位相指標)」の書式で表記することにする。すなわち、図示の例の場合、位相の組み合わせ表記は「A−A」となる。なお、位相の組み合わせの最大数は、位相指標数nの二乗、すなわち、図示の例では82 =64通りになる。
【0038】
本実施例のポイントは、前記の可能な位相の組み合わせを逐次に選択しながら全ての組み合わせのL寸法を測定し、最も変動が少ないL寸法が測定されたときの位相の組み合わせを用いて、実際の周長測定を行うことにある。このようにすることにより、駆動側プーリ14や従動側プーリ15の真円度誤差、それらのプーリの回転を支持するベアリング等の機械誤差や取り付け誤差等に影響されることなく、良好な周長の測定精度を得ることができる。
【0039】
以下、実際の位相の組み合わせ決定過程を具体的に説明する。
図4〜図20は、実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャートを示す図である。これらの図において、まず、従動側プーリ15をアンクランプする(ステップS1)。アンクランプとは、従動側プーリ15の昇降を自由にすることをいう。つまり、従動側ハウジング17に荷重27(図2参照)がかかっている場合に、その荷重27を外して従動側プーリ15の昇降を許容することをいう。
【0040】
従動側プーリ15をアンクランプすると、次に、従動側プーリ15を若干上方向(駆動側プーリ14に接近する方向)に持ち上げて、駆動側プーリ14と従動側プーリ15にリング状ワーク20を掛け渡し(ステップS2)、駆動側プーリ14の変位検出位置を初期位置(ここでは位相指標A)にセットする(ステップS3)。なお、駆動側プーリ14の変位検出位置とは、リング状ワーク20の張力方向(図1の直線21の方向)であって、且つ、第一のリニアゲージ18の接触子18aに最も近い位置のことをいう。
【0041】
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置を初期位置(ここでは位相指標A)にセットする(ステップS4)。なお、従動側プーリ15の変位検出位置とは、リング状ワーク20の張力方向(図1の直線21の方向)であって、且つ、第二のリニアゲージ19の接触子19aに最も近い位置のことをいう。
【0042】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS5)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS6)。
【0043】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS7)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を検出する(ステップS8)。
【0044】
なお、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標の“検出”は、目視で行ってもよいが、従動側プーリ15の回転速度が高く、目視確認が困難である場合には、例えば、高速度撮影カメラなどを用いた画像認識、あるいは、A〜Hの位相指標の各々にユニークな磁気マークを付けておき、その磁気マークを磁気センサで検出するなどの自動化手法を用いてもよい。以下、本実施形態では、従動側プーリ15の回転速度が低く、充分に目視確認が可能であるものとして説明する。
【0045】
(1)<位相の組み合わせがA−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)を後述のデータテーブル28(図21参照)のエリアA−Aに格納する(ステップS9)。
【0046】
図21は、データテーブル28の概念図である。この図において、プーリ位相判定/周長測定部22に設けられているデータテーブル28は、横方向に駆動側プーリ14の変位検出位置に対応する8つの位相指標A〜Hを配置すると共に、縦方向に従動側プーリ15の変位検出位置に対応する8つの位相指標A〜Hを配置し、それらの位相指標の交差点に、位相指標A〜Hの数の二乗、すなわち、全部で64個のL寸法格納エリアを備えた、例えば、メモリ上に確保された記憶要素である。
【0047】
なお、図示のデータテーブル28の情報格納エリアは、その全てにすでに情報(L寸法)が格納済みであるが、ステップS9の実行時点では、まだ、エリアA−A、すなわち、駆動側プーリ14の位相指標Aと従動側プーリ15の位相指標Aとの交差点のエリア(ハッチングを付した一つのエリアを参照)にしかL寸法は格納されていない。また、このエリアA−Aに格納されたL寸法は「0.0」になっているが、これは、64通りの位相の組み合わせを調べる際の基準のL寸法であることを示している。
【0048】
(2)<位相の組み合わせがA−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Bに格納する(ステップS10)。
【0049】
(3)<位相の組み合わせがA−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Cに格納する(ステップS11)。
【0050】
(4)<位相の組み合わせがA−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Dに格納する(ステップS12)。
【0051】
(5)<位相の組み合わせがA−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Eに格納する(ステップS13)。
【0052】
(6)<位相の組み合わせがA−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Fに格納する(ステップS14)。
【0053】
(7)<位相の組み合わせがA−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Gに格納する(ステップS15)。
【0054】
(8)<位相の組み合わせがA−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Hに格納する(ステップS16)。
【0055】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Aに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をAからBに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0056】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS17)、駆動側プーリ14の位相指標をBに変更する(ステップS18)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS19)。
【0057】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS20)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS21)。
【0058】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS22)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS23)。
【0059】
(9)<位相の組み合わせがB−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Aに格納する(ステップS24)。
【0060】
(10)<位相の組み合わせがB−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Bに格納する(ステップS25)。
【0061】
(11)<位相の組み合わせがB−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Cに格納する(ステップS26)。
【0062】
(12)<位相の組み合わせがB−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Dに格納する(ステップS27)。
【0063】
(13)<位相の組み合わせがB−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Eに格納する(ステップS28)。
【0064】
(14)<位相の組み合わせがB−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Fに格納する(ステップS29)。
【0065】
(15)<位相の組み合わせがB−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Gに格納する(ステップS30)。
【0066】
(16)<位相の組み合わせがB−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Hに格納する(ステップS31)。
【0067】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Bに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をBからCに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0068】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS32)、駆動側プーリ14の位相指標をCに変更する(ステップS33)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS34)。
【0069】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS35)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS36)。
【0070】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS37)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS38)。
【0071】
(17)<位相の組み合わせがC−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Aに格納する(ステップS39)。
【0072】
(18)<位相の組み合わせがC−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Bに格納する(ステップS40)。
【0073】
(19)<位相の組み合わせがC−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Cに格納する(ステップS41)。
【0074】
(20)<位相の組み合わせがC−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Dに格納する(ステップS42)。
【0075】
(21)<位相の組み合わせがC−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Eに格納する(ステップS43)。
【0076】
(22)<位相の組み合わせがC−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Fに格納する(ステップS44)。
【0077】
(23)<位相の組み合わせがC−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Gに格納する(ステップS45)。
【0078】
(24)<位相の組み合わせがC−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Hに格納する(ステップS46)。
【0079】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Cに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をCからDに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0080】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS47)、駆動側プーリ14の位相指標をDに変更する(ステップS48)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS49)。
【0081】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS50)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS51)。
【0082】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS52)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS53)。
【0083】
(25)<位相の組み合わせがD−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Aに格納する(ステップS54)。
【0084】
(26)<位相の組み合わせがD−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Bに格納する(ステップS55)。
【0085】
(27)<位相の組み合わせがD−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Cに格納する(ステップS56)。
【0086】
(28)<位相の組み合わせがD−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Dに格納する(ステップS57)。
【0087】
(29)<位相の組み合わせがD−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Eに格納する(ステップS58)。
【0088】
(30)<位相の組み合わせがD−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Fに格納する(ステップS59)。
【0089】
(31)<位相の組み合わせがD−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Gに格納する(ステップS60)。
【0090】
(32)<位相の組み合わせがD−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Hに格納する(ステップS61)。
【0091】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Dに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をDからEに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0092】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS62)、駆動側プーリ14の位相指標をEに変更する(ステップS63)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS64)。
【0093】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS65)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS66)。
【0094】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS67)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS68)。
【0095】
(33)<位相の組み合わせがE−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Aに格納する(ステップS69)。
【0096】
(34)<位相の組み合わせがE−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Bに格納する(ステップS70)。
【0097】
(35)<位相の組み合わせがE−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Cに格納する(ステップS71)。
【0098】
(36)<位相の組み合わせがE−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Dに格納する(ステップS72)。
【0099】
(37)<位相の組み合わせがE−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Eに格納する(ステップS73)。
【0100】
(38)<位相の組み合わせがE−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Fに格納する(ステップS74)。
【0101】
(39)<位相の組み合わせがE−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Gに格納する(ステップS75)。
【0102】
(40)<位相の組み合わせがE−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Hに格納する(ステップS76)。
【0103】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Eに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をEからFに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0104】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS77)、駆動側プーリ14の位相指標をFに変更する(ステップS78)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS79)。
【0105】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS80)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS81)。
【0106】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS82)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS83)。
【0107】
(41)<位相の組み合わせがF−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Aに格納する(ステップS84)。
【0108】
(42)<位相の組み合わせがF−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Bに格納する(ステップS85)。
【0109】
(43)<位相の組み合わせがF−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Cに格納する(ステップS86)。
【0110】
(44)<位相の組み合わせがF−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Dに格納する(ステップS87)。
【0111】
(45)<位相の組み合わせがF−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Eに格納する(ステップS88)。
【0112】
(46)<位相の組み合わせがF−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Fに格納する(ステップS89)。
【0113】
(47)<位相の組み合わせがF−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Gに格納する(ステップS90)。
【0114】
(48)<位相の組み合わせがF−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Hに格納する(ステップS91)。
【0115】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Fに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をFからGに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0116】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS92)、駆動側プーリ14の位相指標をGに変更する(ステップS93)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS94)。
【0117】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS95)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS96)。
【0118】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS97)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS98)。
【0119】
(49)<位相の組み合わせがG−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Aに格納する(ステップS99)。
【0120】
(50)<位相の組み合わせがG−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Bに格納する(ステップS100)。
【0121】
(51)<位相の組み合わせがG−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Cに格納する(ステップS101)。
【0122】
(52)<位相の組み合わせがG−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Dに格納する(ステップS102)。
【0123】
(53)<位相の組み合わせがG−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Eに格納する(ステップS103)。
【0124】
(54)<位相の組み合わせがG−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Fに格納する(ステップS104)。
【0125】
(55)<位相の組み合わせがG−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Gに格納する(ステップS105)。
【0126】
(56)<位相の組み合わせがG−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Hに格納する(ステップS106)。
【0127】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Gに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をGからHに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0128】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS107)、駆動側プーリ14の位相指標をHに変更する(ステップS108)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS109)。
【0129】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS110)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS111)。
【0130】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS112)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS113)。
【0131】
(57)<位相の組み合わせがH−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Aに格納する(ステップS114)。
【0132】
(58)<位相の組み合わせがH−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Bに格納する(ステップS115)。
【0133】
(59)<位相の組み合わせがH−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Cに格納する(ステップS116)。
【0134】
(60)<位相の組み合わせがH−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Dに格納する(ステップS117)。
【0135】
(61)<位相の組み合わせがH−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Eに格納する(ステップS118)。
【0136】
(62)<位相の組み合わせがH−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Fに格納する(ステップS119)。
【0137】
(63)<位相の組み合わせがH−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Gに格納する(ステップS120)。
【0138】
(64)<位相の組み合わせがH−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Hに格納する(ステップS121)。
【0139】
以上の過程を経ることにより、データテーブル28の全ての情報格納エリアに、駆動側プーリ14の8個の位相指標A〜Hと従動側プーリ15の8個の位相指標A〜Hの各組み合わせに対応する全部で64個のL寸法を格納することができる。図21のデータテーブル28の状態は、このときの様子を示している。
【0140】
このようにして、64個のL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の回転を停止(ステップS122)した後、データテーブル28を参照して駆動側プーリ14と従動側プーリ15の回転位相の組み合わせのうち最もL寸法の変動が少ない組み合わせ(以下「最適位相組み合わせ」という)を選択し(ステップS123)、その最適位相組み合わせを用いてリング状ワーク20の周長Xの測定を行う(ステップS124)。
【0141】
ここで、最適位相組み合わせの選択方法について、いくつかのL寸法測定結果例を挙げて具体的に説明する。
【0142】
図22は、L寸法の第一の測定結果例を示す図である。この例は、駆動側プーリ14の位相指標Aと駆動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hとを組み合わせたときのL寸法である(ハッチング部分参照)。例えば、A−A組み合わせ時のL寸法が「0.0」、A−B組み合わせ時のL寸法が「0.9」、A−C組み合わせ時のL寸法が「1.1」、A−D組み合わせ時のL寸法が「0.2」、A−E組み合わせ時のL寸法が「−0.1」、A−F組み合わせ時のL寸法が「−0.9」、A−G組み合わせ時のL寸法が「−2.2」、A−H組み合わせ時のL寸法が「−2.4」であるとすると、この場合の最大L寸法はA−C組み合わせ時の「1.1」、最小L寸法はA−H組み合わせ時の「−2.4」となり、その差は「1.1−(−2.4)=3.5μm」となる。
【0143】
図23は、L寸法の第二の測定結果例を示す図である。この例は、駆動側プーリ14の位相指標Eと駆動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hとを組み合わせたときのL寸法である(ハッチング部分参照)。例えば、E−A組み合わせ時のL寸法が「1.0」、E−B組み合わせ時のL寸法が「3.3」、E−C組み合わせ時のL寸法が「1.6」、E−D組み合わせ時のL寸法が「−0.3」、E−E組み合わせ時のL寸法が「−1.5」、E−F組み合わせ時のL寸法が「−3.2」、E−G組み合わせ時のL寸法が「−2.7」、E−H組み合わせ時のL寸法が「−1.9」であるとすると、この場合の最大L寸法はE−B組み合わせ時の「3.3」、最小L寸法はE−F組み合わせ時の「−3.2」となり、その差は「3.3−(−3.2)=6.5μm」となる。
【0144】
図22は、L寸法の第三の測定結果例を示す図である。この例は、駆動側プーリ14の位相指標Hと駆動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hとを組み合わせたときのL寸法である(ハッチング部分参照)。例えば、H−A組み合わせ時のL寸法が「−0.5」、H−B組み合わせ時のL寸法が「1.0」、H−C組み合わせ時のL寸法が「0.5」、H−D組み合わせ時のL寸法が「−0.1」、H−E組み合わせ時のL寸法が「−1.6」、H−F組み合わせ時のL寸法が「−2.0」、H−G組み合わせ時のL寸法が「−1.1」、H−H組み合わせ時のL寸法が「−1.6」であるとすると、この場合の最大L寸法はH−B組み合わせ時の「1.0」、最小L寸法はH−F組み合わせ時の「−2.0」となり、その差は「1.0−(−2.0)=3.0μm」となる。
【0145】
他の組み合わせの説明は省略するが、データテーブル28に、図示の通りのL寸法が格納されているとすれば、駆動側プーリ14と従動側プーリ15の回転位相の組み合わせのうち最もL寸法の変動が少ない組み合わせは、上記のL寸法の第三の測定結果例(図24)の「3.0μm」になるから、このL寸法の第三の測定結果例の位相組み合わせ、つまり、駆動側プーリ14の位相指標Hと駆動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hとの組み合わせ(H−A、H−B、H−C、・・・・、H−H)を「最適位相組み合わせ」として選択し、その最適位相組み合わせを用いて、リング状ワーク20の周長Xの測定を行えばよい。
【0146】
すなわち、リング状ワーク20の周長Xの測定に先立ち、駆動側プーリ14の位相指標Hを変位検出位置にセットすると共に、従動側プーリ15の位相指標A〜Hのいずれか(好ましくは駆動側プーリ14と同一の位相指標H)を変位検出位置にセットした上で、駆動側プーリ14と従動側プーリ15にリング状ワーク20を掛け渡し、従動側プーリ15をクランプしてリング状ワーク20に張力を付与してリング状ワーク20を周回させながら第一及び第二のリニアセンサ18、19で駆動側プーリ14と従動側プーリ15の変位を検出し、その検出結果に基づいてリング状ワーク20の周長Xを測定すればよい。
【0147】
このようにすると、仮に、従動側プーリ15とリング状ワーク20の間に滑り(ワークのスリップ)が発生して、駆動側プーリ14と従動側プーリ15の回転位相にズレが生じたとしても、その回転位相ズレに伴う測定誤差は、前記のL寸法の第三の測定結果例(図24)の差(3.0μm)に相当して少なく抑えられるから、結局、本実施形態によれば、駆動側プーリ14や従動側プーリ15の真円度誤差、及び/又は、それらのプーリの回転を支持するベアリング等の機械誤差や取り付け誤差等に影響されることなく良好な周長Xの測定精度を得られるようにした周長測定装置10を提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】実施形態における周長測定装置の外観図である。
【図2】周長測定装置の要部断面図である。
【図3】駆動側プーリ4と従動側プーリ5の回転位相合わせの概念図である。
【図4】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(1/17)を示す図である。
【図5】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(2/17)を示す図である。
【図6】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(3/17)を示す図である。
【図7】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(4/17)を示す図である。
【図8】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(5/17)を示す図である。
【図9】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(6/17)を示す図である。
【図10】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(7/17)を示す図である。
【図11】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(8/17)を示す図である。
【図12】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(9/17)を示す図である。
【図13】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(10/17)を示す図である。
【図14】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(11/17)を示す図である。
【図15】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(12/17)を示す図である。
【図16】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(13/17)を示す図である。
【図17】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(14/17)を示す図である。
【図18】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(15/17)を示す図である。
【図19】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(16/17)を示す図である。
【図20】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(17/17)を示す図である。
【図21】データテーブル28の概念図である。
【図22】L寸法の第一の測定結果例を示す図である。
【図23】L寸法の第二の測定結果例を示す図である。
【図24】L寸法の第三の測定結果例を示す図である。
【図25】CVTベルトの外観図である。
【図26】従来技術の概念図及び周長Xの測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0149】
A〜H 位相指標
10 周長測定装置
14 駆動側プーリ
15 従動側プーリ
18 第一のリニアゲージ(第1検出手段)
19 第二のリニアゲージ(第2検出手段)
20 リング状ワーク
27 荷重(張力付与手段)
22 プーリ位相判定/周長測定部(第1演算手段、第2演算手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、無段変速機(CVT)のベルト(以下、CVTベルト)に組み込まれている薄板状の金属リングの如きリング状ワークの周長を測定する周長測定装置及び周長測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CVTベルトは、厚さ0.2mm程度の薄い金属リングを多数枚重ねたものに、スチール製のエレメントを連続して嵌め込んで一体化したものである(たとえば、非特許文献1参照)。
【0003】
図25は、CVTベルトの外観図である。この図において、CVTベルト1は、多数枚(たとえば、12枚程度)の金属リング2aを積み重ねた二連のベルト積層体2に、多数個(たとえば、400個程度)のスチール製のエレメント3aからなるエレメント積層体3を担持させて組み立てられ、アセンブリ化されている。
【0004】
各々の金属リング2aの周長(リング一周の長さ)は、積層内周側から外周側(またはその逆)にかけて所定の周長差が付くように高精度に設定されていなければならない。これは、隣接する金属リング2aの接触面間に均一な微小間隙(オイル潤滑用の隙間)を確保する必要があることに加え、特定の金属ベルト2aに応力が集中しないようにするため、つまり、二連のベルト積層体2の全体で大きな張力を引き受けるようにするための要求である。
【0005】
このような金属リングの周長を測定する従来技術としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。この従来技術は、モータによって駆動される駆動側プーリと、回転フリーで且つ前記駆動側プーリとの相対的な離隔距離が自在に変化する従動側プーリと、前記従動側プーリに荷重をかけて前記駆動側プーリと従動側プーリとの対向距離を拡大方向に変化させることにより、それらの両プーリに掛け渡されたリング状ワーク(上記の金属リング2aに相当)に張力を与える張力付与手段と、前記従動側プーリの変位を検出する測定手段とを備える。
【0006】
【非特許文献1】宮地知巳著“理想の変速機CVTの性能を最大限に引き出す”、[online]、[平成14年8月25日検索]、インターネット<URL:http://www.idemitsu.co.jp/lube/cvt/cvtbody2.html>
【特許文献1】特開平11−281342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来技術にあっては、以下に説明するように、周長測定の精度が若干不十分であり、改善すべき余地がある。
【0008】
図26(a)は、従来技術の概念図である。この図に示すように、従来技術では、駆動側プーリ4と従動側プーリ5とにリング状ワーク6を掛け渡し、従動側プーリ5に荷重7をかけてリング状ワーク6に張力を与えた状態で、駆動側プーリ4を動かしてリング状ワーク6を周回移動させながら、従動側プーリ5の変位を測定手段8で検出し、その変位量からリング状ワーク6の周長を測定する。
【0009】
荷重7の大きさ(質量W)は、リング状ワーク6の厚みや幅及び素材等によって一概には言えないが、リング状ワーク6を便宜的に前記のCVTベルト1の金属ベルト2aとすれば、例えば、30Kgf程度といったかなりの重さになる。荷重7の役割は、従動側プーリ5を、その質量Wで重力方向(下方)に引っ張って位置を変えることにより、リング状ワーク6にあらかじめ定められた適切な張力を付与することにある。
【0010】
このような構成の周長測定装置において、リング状ワーク6の周長は、以下のようにして求めることができる。まず、駆動側プーリ4の回転中心点をPa、従動側プーリ5の回転中心点をPbとし、駆動側プーリ4の半径をDa、従動側プーリ5の半径をDbとするとともに、駆動側プーリ4の半外周長をFa、従動側プーリ5の半外周長をFbとする。
【0011】
張力付与時のリング状ワーク6の周長Xは、駆動側プーリ4の半外周長Faと、従動側プーリ5の半外周長Fbと、二つのプーリ(駆動側プーリ4と従動側プーリ5)の回転中心点間距離(PaからPbまでの間距離:以下「L寸法」という)を2倍した値との加算値で与えられる。つまり、X=Fa+Fb+2Lである(ただし、LはL寸法の値)。
【0012】
ここで、回転位置固定の駆動側プーリ4の回転中心点Paを測定基準点として、回転位置可変の従動側プーリ5の回転中心点Pbを測定手段8で測定し、PaとPb間の距離を求めることにより、上記のL寸法を得ることができる。
【0013】
しかしながら、駆動側プーリ4及び従動側プーリ5は、いずれも直径十数センチの円板状の金属加工品であり、相当な精度で加工したとしても、その真円度に所要の誤差が避けられない。また、それらのプーリの回転を支持するベアリング等の機械誤差や取り付け誤差も存在する。
【0014】
上記の従来技術は、駆動側プーリ4と従動側プーリ5が理想的な“真円”であり、且つ、駆動側プーリ4の回転中心点Paが完全な“不動”であるとみなした上で、従動側プーリ5の回転中心点Pbの位置を測定手段8で測定してL寸法を割り出し、上記の式(X=Fa+Fb+2L)に従ってリング状ワーク6の周長Xを求めているが、本件発明者等の検討によれば、従動側プーリ5の回転中心点Pbの実際の位置は、リング状ワーク6の周回運動に伴って微妙に変動し、それゆえ、上記の式(X=Fa+Fb+2L)に従って求めたリング状ワーク6の周長Xも、厳密には一定の値で推移せず、同様にある程度の変動幅を持つ不正確な値であることを見出した。
【0015】
図26(b)は、従来技術における周長Xの測定結果を示す図である。この図は、縦軸に従動側プーリ4の回転中心点Pbの位置測定値(0は正しい測定値)を示し、横軸にリング状ワーク6の周回運動位置(駆動側プーリ4の回転角)を示すグラフである。この図において、回転中心点Pbは正しい測定値を中心に上下に変動している。この変動の原因は、駆動側プーリ4や従動側プーリ5の真円度誤差、及び/又は、それらのプーリの回転を支持するベアリング等の機械誤差や取り付け誤差等であると考えられる。
【0016】
かかる変動を有する回転中心点Pbの測定値からL寸法を割り出すと、そのL寸法は、Pbの最大測定値Pb(max) から最小測定値Pb(min) までの幅を持つこととなり、その幅の大きさによっては、リング状ワーク6の正確な周長Xを測定することができなくなるという問題点を抱える。
【0017】
そこで、本発明は、プーリの真円度誤差等に影響されることなく良好な周長の測定精度を得られるようにした周長測定装置及び周長測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の発明は、一方が駆動側となり他方が従動側となる一対のプーリ(駆動側プーリ及び従動側プーリ)と、前記一対のプーリにリング状ワークを掛け渡し、前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を拡大して前記リング状ワークに所定の張力を付与する張力付与手段と、前記張力の付与方向への前記駆動側プーリの変位を検出する第1検出手段と、前記張力の付与方向への前記従動側プーリの変位を検出する第2検出手段と、前記第1及び第2検出手段の検出結果から前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を演算する第1演算手段と、前記第1演算手段の演算結果及び前記駆動側プーリと従動側プーリの各々の半外周長に基づき前記リング状ワークの周長を演算する第2演算手段とを備え、前記駆動側プーリと従動側プーリは、各々所定の回転角毎にマーキングされたn個の位相指標を有し、前記駆動側プーリのn個の位相指標と前記従動側プーリのn個の位相指標とのn2 通りの組み合わせの中から任意の組み合わせを選択し、その組み合わせを用いて前記リング状ワークの周長測定を行い得るように構成したことを特徴とする周長測定装置である。
請求項2記載の発明は、前記任意の組み合わせは、前記リング状ワークの周回間、前記第1演算手段の演算結果の最大値と最小値の幅が最も少なくなる組み合わせであることを特徴とする請求項1記載の周長測定装置である。
請求項3記載の発明は、一方が駆動側となり他方が従動側となる一対のプーリ(駆動側プーリ及び従動側プーリ)にリング状ワークを掛け渡し、前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を拡大して前記リング状ワークに所定の張力を付与する張力付与工程と、前記張力の付与方向への前記駆動側プーリの変位を検出する第1検出工程と、前記張力の付与方向への前記従動側プーリの変位を検出する第2検出工程と、前記第1及び第2検出工程の検出結果から前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を演算する第1演算工程と、前記第1演算工程の演算結果及び前記駆動側プーリと従動側プーリの各々の半外周長に基づき前記リング状ワークの周長を演算する第2演算工程とを含み、少なくとも前記第2演算工程の実行前に、前記駆動側プーリと従動側プーリの各々所定の回転角毎にマーキングされたn個の位相指標のn2 通りの組み合わせの中から任意の組み合わせを選択する選択工程を実行し、その組み合わせを用いて前記第2演算工程を実行することを特徴とする周長測定方法である。
請求項4記載の発明は、前記任意の組み合わせは、前記リング状ワークの周回間、前記第1演算手段の演算結果の最大値と最小値の幅が最も少なくなる組み合わせであることを特徴とする請求項3記載の周長測定方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、駆動側プーリと従動側プーリの各々に所定の回転角毎のn個の位相指標がマーキングされる。位相指標の数は、例えば、回転角の0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度を表す計8個(n=8)とすることができる。この場合、駆動側プーリの8個の位相指標と従動側プーリの8個の位相指標との組み合わせ数は、82 =64通りとなる。
【0020】
説明の便宜上、駆動側プーリの8個の位相指標と従動側プーリの8個の位相指標の各々にA〜Hまでの記号を割り当てることにする。つまり、駆動側プーリの回転角0度→A、45度→B、90度→C、135度→D、180度→E、225度→F、270度→G、315度→Hとするとともに、従動側プーリの回転角0度→A、45度→B、90度→C、135度→D、180度→E、225度→F、270度→G、315度→Hとする。
【0021】
この場合、64通りの位相の組み合わせは、「(駆動側プーリの位相指標)−(従動プーリの位相指標)」の書式で表せば、
(1)「A−A」、「A−B」、「A−C」、「A−D」、「A−E」、「A−F」、「A−G」、「A−H」、
(2)「B−A」、「B−B」、「B−C」、「B−D」、「B−E」、「B−F」、「B−G」、「B−H」、
(3)「C−A」、「C−B」、「C−C」、「C−D」、「C−E」、「C−F」、「C−G」、「C−H」、
(4)「D−A」、「D−B」、「D−C」、「D−D」、「D−E」、「D−F」、「D−G」、「D−H」、
(5)「E−A」、「E−B」、「E−C」、「E−D」、「E−E」、「E−F」、「E−G」、「E−H」、
(6)「F−A」、「F−B」、「F−C」、「F−D」、「F−E」、「F−F」、「F−G」、「F−H」、
(7)「G−A」、「G−B」、「G−C」、「G−D」、「G−E」、「G−F」、「G−G」、「G−H」、
(8)「H−A」、「H−B」、「H−C」、「H−D」、「H−E」、「H−F」、「H−G」、「H−H」、
と書き表すことができる。
【0022】
さて、上記の(1)〜(8)の各々について、前記リング状ワークの周回間の前記第1演算手段の演算結果を求め、その最大値と最小値の幅を検証すると、駆動側プーリや従動側プーリの真円度に誤差がある場合、又は、それらのプーリの回転を支持するベアリング等の機械誤差や取り付け誤差等がある場合、(1)〜(8)の各々の上記の“幅”は一定ではなく差が生じる。
【0023】
例えば、上記の(1)のとき、前記リング状ワークの周回間の前記第1演算手段の演算結果の最大値と最小値の幅が最も少なかったとすると、(1)の位相の組み合わせ、つまり、「A−A」、「A−B」、「A−C」、「A−D」、「A−E」、「A−F」、「A−G」、「A−H」のいずれかを使用したときに、最も、駆動側プーリや従動側プーリの真円度誤差、又は、それらのプーリの回転を支持するベアリング等の機械誤差や取り付け誤差等の影響を受けにくくなる。
【0024】
したがって、本発明によれば、駆動側プーリと従動側プーリの適正な位相合わせを行ってリング状ワークの周長測定を実行するので、プーリの真円度誤差等に影響されることなく良好な周長の測定精度を得られるようにした周長測定装置及び周長測定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
【0026】
図1は、実施形態における周長測定装置の外観図である。この図において、周長測定装置10は、床面等に載置されるベース11の上に固定された立方体状の筐体12の一側面(図では裏面)に動力源としてのモータ13を取り付けるとともに、筐体12の前記一側面の対向面に、そのモータ13によって回転駆動される駆動側プーリ14と、その駆動側プーリ14に対して昇降自在な従動側プーリ15とが取り付けられている。
【0027】
駆動側プーリ14のシャフト14aと従動側プーリ15のシャフト15aは、それぞれ円筒状のハウジング16、17を介して回転自在に筐体12に支持されている。ただし、駆動側プーリ14のシャフト14aを支持する図中上方のハウジング16(以下、駆動側ハウジング16という)が筐体12に堅固に取り付けられており、その位置が変化しないのに対して、従動側プーリ15のシャフト15aを支持する図中下方のハウジング17(以下、従動側ハウジング17という)は、駆動側ハウジング16に対する離隔距離が自在に変化するように筐体12に取り付けられている点で相違し、これによって、上記のとおり、駆動側プーリ14に対する従動側プーリ15の昇降自在性を確保している。
【0028】
駆動側ハウジング16の外周面上の所定位置には、第一のリニアゲージ18の測定子18aが当接しており、さらに、従動側ハウジング17の外周面上の所定位置にも、第二のリニアゲージ19の測定子19aが当接している。
【0029】
ここで、第一のリニアゲージ18及び第二のリニアゲージ19のそれぞれの測定子18a、19aの当接位置は、次のとおりである。
【0030】
今、図示のように、駆動側プーリ14と従動側プーリ15にリング状ワーク20(例えば、冒頭で説明した金属リング2a)を掛け渡し、従動側プーリ15に荷重27(図2参照)をかけてリング状ワーク20に所要の張力を付与した場合、その張力の方向は、駆動側プーリ14と従動側プーリ15の各々の回転中心を通る直線21に沿った方向となる。
【0031】
第一のリニアゲージ18の測定子18aの当接位置は、駆動側ハウジング16の外周面上の直線21と交差する上下二つの位置のうち従動側ハウジング17から遠い方の位置、つまり、駆動側ハウジング16の外周面上の上部位置16aである。また、第二のリニアゲージ19の測定子19aの当接位置は、従動側ハウジング17の外周面上の直線21と交差する上下二つの位置のうち駆動側ハウジング16から遠い方の位置、つまり、従動側ハウジング17の外周面上の下部位置17aである。
【0032】
第一のリニアゲージ18は、駆動側ハウジング16の変位、詳細には、駆動側ハウジング16の直線21方向の変位を検出し、第二のリニアゲージ19は、従動側ハウジング17の変位、詳細には、従動側ハウジング17の直線21方向の変位を検出し、いずれも、その検出結果をプーリ位相判定/周長測定部22に出力する。プーリ位相判定/周長測定部22は、第一のリニアゲージ18及び第二のリニアゲージ19の検出結果に基づいて、リング状ワーク20の周長を測定し、その測定結果を、例えば、数値やグラフまたはその他の態様で表示するために不図示の表示部に出力するものであるが、さらに、リング状ワーク20の周長測定に先立ち、駆動側プーリ4と従動側プーリ5の“回転位相を合わせる”ための所要の処理を実行する。“回転位相を合わせる”目的やその効果については後で詳しく説明する。
【0033】
なお、第一のリニアゲージ18及び第二のリニアゲージ19は、筐体12から延びるアーム23の先端に取り付けられている。
【0034】
図2は、周長測定装置の要部断面図である。この図において、モータ13によって回転駆動される駆動側プーリ14のシャフト14aは、ベアリング24等を介して駆動側ハウジング16に回転自在に支持されており、この駆動側ハウジング16は、筐体12に堅固に取り付けられている。一方、従動側プーリ15のシャフト15aも、ベアリング25等を介して従動側ハウジング17に回転自在に支持されているが、この従動側ハウジング17は、筐体12に形成された上下方向のガイド溝12a、12bに沿って上下に移動可能なように取り付けられている。このため、従動側ハウジング17に支持されたシャフト15aの先端の従動側プーリ15が、その位置を上下に変更できるようになっており、したがって、位置固定の駆動側プーリ14に対して従動側プーリ15の位置が自在に上下するので、駆動側プーリ14と従動側プーリ15との間の離隔距離が自由に変更されるようになっている。
【0035】
従動側ハウジング17には、模式的に示す接続部材26を介して質量Wの荷重27がつり下げられており、従動側ハウジング17は、この質量Wを受けて、ガイド溝12a、12bに沿って重力方向に垂下するようになっている。このため、駆動側プーリ14と従動側プーリ15に掛け渡されたリング状ワーク20に対して、質量Wに対応した大きさの張力が付与されるようになっている。
【0036】
図3は、駆動側プーリ4と従動側プーリ5の回転位相合わせの概念図である。この図において、駆動側プーリ14と従動側プーリ15は、各々のプーリ面にA〜Hまでの位相指標が付けられている。これらの位相指標はプーリの回転角をn等分(ここでは45度ずつの8等分)したものを表しており、図示の8等分の例では、位相指標Aは0度、位相指標Bは45度、位相指標Cは90度、位相指標Dは135度、位相指標Eは180度、位相指標Fは225度、位相指標Gは270度、位相指標Hは315度を表す。なお、位相指標の数は図示のAからHまでの8個に限定されない。測定精度の厳密さをより要求するのであれば8個以上としてもよく、あるいは、それほどの精度を求めないのであれば0以上8個以下としてもよい。
【0037】
駆動側プーリ14と従動側プーリ15の回転位相の組み合わせとは、駆動側プーリ14の位相指標と従動側プーリ15の位相指標との組み合わせのことをいい、厳密には、駆動側プーリ14の回転を停止しているときにおいて、第一のリニアゲージ18に最も近い駆動側プーリ14の位相指標と、第二のリニアゲージ19に最も近い従動側プーリ15の位相指標との組み合わせのことをいう。つまり、図示の例では、破線の丸印で囲まれた、駆動側プーリ14の位相指標Aと従動側プーリ15の位相指標Aが現在の位相の組み合わせとなる。以下、位相の組み合わせを明示する場合は「(駆動側プーリ14の位相指標)−(従動側プーリ14の位相指標)」の書式で表記することにする。すなわち、図示の例の場合、位相の組み合わせ表記は「A−A」となる。なお、位相の組み合わせの最大数は、位相指標数nの二乗、すなわち、図示の例では82 =64通りになる。
【0038】
本実施例のポイントは、前記の可能な位相の組み合わせを逐次に選択しながら全ての組み合わせのL寸法を測定し、最も変動が少ないL寸法が測定されたときの位相の組み合わせを用いて、実際の周長測定を行うことにある。このようにすることにより、駆動側プーリ14や従動側プーリ15の真円度誤差、それらのプーリの回転を支持するベアリング等の機械誤差や取り付け誤差等に影響されることなく、良好な周長の測定精度を得ることができる。
【0039】
以下、実際の位相の組み合わせ決定過程を具体的に説明する。
図4〜図20は、実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャートを示す図である。これらの図において、まず、従動側プーリ15をアンクランプする(ステップS1)。アンクランプとは、従動側プーリ15の昇降を自由にすることをいう。つまり、従動側ハウジング17に荷重27(図2参照)がかかっている場合に、その荷重27を外して従動側プーリ15の昇降を許容することをいう。
【0040】
従動側プーリ15をアンクランプすると、次に、従動側プーリ15を若干上方向(駆動側プーリ14に接近する方向)に持ち上げて、駆動側プーリ14と従動側プーリ15にリング状ワーク20を掛け渡し(ステップS2)、駆動側プーリ14の変位検出位置を初期位置(ここでは位相指標A)にセットする(ステップS3)。なお、駆動側プーリ14の変位検出位置とは、リング状ワーク20の張力方向(図1の直線21の方向)であって、且つ、第一のリニアゲージ18の接触子18aに最も近い位置のことをいう。
【0041】
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置を初期位置(ここでは位相指標A)にセットする(ステップS4)。なお、従動側プーリ15の変位検出位置とは、リング状ワーク20の張力方向(図1の直線21の方向)であって、且つ、第二のリニアゲージ19の接触子19aに最も近い位置のことをいう。
【0042】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS5)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS6)。
【0043】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS7)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を検出する(ステップS8)。
【0044】
なお、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標の“検出”は、目視で行ってもよいが、従動側プーリ15の回転速度が高く、目視確認が困難である場合には、例えば、高速度撮影カメラなどを用いた画像認識、あるいは、A〜Hの位相指標の各々にユニークな磁気マークを付けておき、その磁気マークを磁気センサで検出するなどの自動化手法を用いてもよい。以下、本実施形態では、従動側プーリ15の回転速度が低く、充分に目視確認が可能であるものとして説明する。
【0045】
(1)<位相の組み合わせがA−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)を後述のデータテーブル28(図21参照)のエリアA−Aに格納する(ステップS9)。
【0046】
図21は、データテーブル28の概念図である。この図において、プーリ位相判定/周長測定部22に設けられているデータテーブル28は、横方向に駆動側プーリ14の変位検出位置に対応する8つの位相指標A〜Hを配置すると共に、縦方向に従動側プーリ15の変位検出位置に対応する8つの位相指標A〜Hを配置し、それらの位相指標の交差点に、位相指標A〜Hの数の二乗、すなわち、全部で64個のL寸法格納エリアを備えた、例えば、メモリ上に確保された記憶要素である。
【0047】
なお、図示のデータテーブル28の情報格納エリアは、その全てにすでに情報(L寸法)が格納済みであるが、ステップS9の実行時点では、まだ、エリアA−A、すなわち、駆動側プーリ14の位相指標Aと従動側プーリ15の位相指標Aとの交差点のエリア(ハッチングを付した一つのエリアを参照)にしかL寸法は格納されていない。また、このエリアA−Aに格納されたL寸法は「0.0」になっているが、これは、64通りの位相の組み合わせを調べる際の基準のL寸法であることを示している。
【0048】
(2)<位相の組み合わせがA−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Bに格納する(ステップS10)。
【0049】
(3)<位相の組み合わせがA−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Cに格納する(ステップS11)。
【0050】
(4)<位相の組み合わせがA−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Dに格納する(ステップS12)。
【0051】
(5)<位相の組み合わせがA−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Eに格納する(ステップS13)。
【0052】
(6)<位相の組み合わせがA−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Fに格納する(ステップS14)。
【0053】
(7)<位相の組み合わせがA−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Gに格納する(ステップS15)。
【0054】
(8)<位相の組み合わせがA−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアA−Hに格納する(ステップS16)。
【0055】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Aに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をAからBに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0056】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS17)、駆動側プーリ14の位相指標をBに変更する(ステップS18)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS19)。
【0057】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS20)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS21)。
【0058】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS22)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS23)。
【0059】
(9)<位相の組み合わせがB−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Aに格納する(ステップS24)。
【0060】
(10)<位相の組み合わせがB−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Bに格納する(ステップS25)。
【0061】
(11)<位相の組み合わせがB−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Cに格納する(ステップS26)。
【0062】
(12)<位相の組み合わせがB−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Dに格納する(ステップS27)。
【0063】
(13)<位相の組み合わせがB−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Eに格納する(ステップS28)。
【0064】
(14)<位相の組み合わせがB−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Fに格納する(ステップS29)。
【0065】
(15)<位相の組み合わせがB−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Gに格納する(ステップS30)。
【0066】
(16)<位相の組み合わせがB−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアB−Hに格納する(ステップS31)。
【0067】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Bに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をBからCに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0068】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS32)、駆動側プーリ14の位相指標をCに変更する(ステップS33)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS34)。
【0069】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS35)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS36)。
【0070】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS37)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS38)。
【0071】
(17)<位相の組み合わせがC−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Aに格納する(ステップS39)。
【0072】
(18)<位相の組み合わせがC−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Bに格納する(ステップS40)。
【0073】
(19)<位相の組み合わせがC−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Cに格納する(ステップS41)。
【0074】
(20)<位相の組み合わせがC−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Dに格納する(ステップS42)。
【0075】
(21)<位相の組み合わせがC−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Eに格納する(ステップS43)。
【0076】
(22)<位相の組み合わせがC−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Fに格納する(ステップS44)。
【0077】
(23)<位相の組み合わせがC−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Gに格納する(ステップS45)。
【0078】
(24)<位相の組み合わせがC−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアC−Hに格納する(ステップS46)。
【0079】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Cに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をCからDに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0080】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS47)、駆動側プーリ14の位相指標をDに変更する(ステップS48)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS49)。
【0081】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS50)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS51)。
【0082】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS52)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS53)。
【0083】
(25)<位相の組み合わせがD−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Aに格納する(ステップS54)。
【0084】
(26)<位相の組み合わせがD−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Bに格納する(ステップS55)。
【0085】
(27)<位相の組み合わせがD−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Cに格納する(ステップS56)。
【0086】
(28)<位相の組み合わせがD−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Dに格納する(ステップS57)。
【0087】
(29)<位相の組み合わせがD−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Eに格納する(ステップS58)。
【0088】
(30)<位相の組み合わせがD−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Fに格納する(ステップS59)。
【0089】
(31)<位相の組み合わせがD−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Gに格納する(ステップS60)。
【0090】
(32)<位相の組み合わせがD−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアD−Hに格納する(ステップS61)。
【0091】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Dに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をDからEに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0092】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS62)、駆動側プーリ14の位相指標をEに変更する(ステップS63)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS64)。
【0093】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS65)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS66)。
【0094】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS67)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS68)。
【0095】
(33)<位相の組み合わせがE−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Aに格納する(ステップS69)。
【0096】
(34)<位相の組み合わせがE−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Bに格納する(ステップS70)。
【0097】
(35)<位相の組み合わせがE−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Cに格納する(ステップS71)。
【0098】
(36)<位相の組み合わせがE−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Dに格納する(ステップS72)。
【0099】
(37)<位相の組み合わせがE−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Eに格納する(ステップS73)。
【0100】
(38)<位相の組み合わせがE−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Fに格納する(ステップS74)。
【0101】
(39)<位相の組み合わせがE−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Gに格納する(ステップS75)。
【0102】
(40)<位相の組み合わせがE−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアE−Hに格納する(ステップS76)。
【0103】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Eに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をEからFに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0104】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS77)、駆動側プーリ14の位相指標をFに変更する(ステップS78)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS79)。
【0105】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS80)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS81)。
【0106】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS82)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS83)。
【0107】
(41)<位相の組み合わせがF−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Aに格納する(ステップS84)。
【0108】
(42)<位相の組み合わせがF−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Bに格納する(ステップS85)。
【0109】
(43)<位相の組み合わせがF−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Cに格納する(ステップS86)。
【0110】
(44)<位相の組み合わせがF−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Dに格納する(ステップS87)。
【0111】
(45)<位相の組み合わせがF−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Eに格納する(ステップS88)。
【0112】
(46)<位相の組み合わせがF−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Fに格納する(ステップS89)。
【0113】
(47)<位相の組み合わせがF−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Gに格納する(ステップS90)。
【0114】
(48)<位相の組み合わせがF−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアF−Hに格納する(ステップS91)。
【0115】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Fに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をFからGに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0116】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS92)、駆動側プーリ14の位相指標をGに変更する(ステップS93)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS94)。
【0117】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS95)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS96)。
【0118】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS97)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS98)。
【0119】
(49)<位相の組み合わせがG−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Aに格納する(ステップS99)。
【0120】
(50)<位相の組み合わせがG−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Bに格納する(ステップS100)。
【0121】
(51)<位相の組み合わせがG−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Cに格納する(ステップS101)。
【0122】
(52)<位相の組み合わせがG−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Dに格納する(ステップS102)。
【0123】
(53)<位相の組み合わせがG−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Eに格納する(ステップS103)。
【0124】
(54)<位相の組み合わせがG−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Fに格納する(ステップS104)。
【0125】
(55)<位相の組み合わせがG−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Gに格納する(ステップS105)。
【0126】
(56)<位相の組み合わせがG−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアG−Hに格納する(ステップS106)。
【0127】
以上のように、駆動側プーリ14の位相指標Gに対する従動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hの各組み合わせのL寸法を順次に測定して、それらのL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の位相指標をGからHに変更して、上記の動作を繰り返す。
【0128】
すなわち、まず、駆動側プーリ14の回転を停止して従動側プーリ15をアンクランプし(ステップS107)、駆動側プーリ14の位相指標をHに変更する(ステップS108)と共に、従動側プーリ15の位相指標を初期位置のAに戻す(ステップS109)。
【0129】
次いで、従動側プーリ15をクランプ(従動側ハウジング17に荷重27をかけること)してリング状ワーク20に所定の張力を付与し(ステップS110)、モータ13を動作させて駆動側プーリ14の回転を開始する(ステップS111)。
【0130】
そして、リング状ワーク20を、例えば、2〜3周させて駆動側プーリ14及び従動側プーリ15の外周面とリング状ワーク20の内周面とを充分に馴染ませた後(ステップS112)、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標を前記のステップS8と同様に検出する(ステップS113)。
【0131】
(57)<位相の組み合わせがH−Aの場合>
まず、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“A”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Aに格納する(ステップS114)。
【0132】
(58)<位相の組み合わせがH−Bの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“B”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Bに格納する(ステップS115)。
【0133】
(59)<位相の組み合わせがH−Cの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“C”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Cに格納する(ステップS116)。
【0134】
(60)<位相の組み合わせがH−Dの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“D”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Dに格納する(ステップS117)。
【0135】
(61)<位相の組み合わせがH−Eの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“E”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Eに格納する(ステップS118)。
【0136】
(62)<位相の組み合わせがH−Fの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“F”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Fに格納する(ステップS119)。
【0137】
(63)<位相の組み合わせがH−Gの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“G”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Gに格納する(ステップS120)。
【0138】
(64)<位相の組み合わせがH−Hの場合>
次いで、従動側プーリ15の変位検出位置における現在の位相指標が“H”である場合は、第一のリニアセンサ18と第二のリニアセンサ19を用いて、そのときのL寸法を測定し、その測定結果を、プーリ位相判定/周長測定部22に出力し、プーリ位相判定/周長測定部22は、その測定結果(L寸法)をデータテーブル28のエリアH−Hに格納する(ステップS121)。
【0139】
以上の過程を経ることにより、データテーブル28の全ての情報格納エリアに、駆動側プーリ14の8個の位相指標A〜Hと従動側プーリ15の8個の位相指標A〜Hの各組み合わせに対応する全部で64個のL寸法を格納することができる。図21のデータテーブル28の状態は、このときの様子を示している。
【0140】
このようにして、64個のL寸法をデータテーブル28に格納すると、次に、駆動側プーリ14の回転を停止(ステップS122)した後、データテーブル28を参照して駆動側プーリ14と従動側プーリ15の回転位相の組み合わせのうち最もL寸法の変動が少ない組み合わせ(以下「最適位相組み合わせ」という)を選択し(ステップS123)、その最適位相組み合わせを用いてリング状ワーク20の周長Xの測定を行う(ステップS124)。
【0141】
ここで、最適位相組み合わせの選択方法について、いくつかのL寸法測定結果例を挙げて具体的に説明する。
【0142】
図22は、L寸法の第一の測定結果例を示す図である。この例は、駆動側プーリ14の位相指標Aと駆動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hとを組み合わせたときのL寸法である(ハッチング部分参照)。例えば、A−A組み合わせ時のL寸法が「0.0」、A−B組み合わせ時のL寸法が「0.9」、A−C組み合わせ時のL寸法が「1.1」、A−D組み合わせ時のL寸法が「0.2」、A−E組み合わせ時のL寸法が「−0.1」、A−F組み合わせ時のL寸法が「−0.9」、A−G組み合わせ時のL寸法が「−2.2」、A−H組み合わせ時のL寸法が「−2.4」であるとすると、この場合の最大L寸法はA−C組み合わせ時の「1.1」、最小L寸法はA−H組み合わせ時の「−2.4」となり、その差は「1.1−(−2.4)=3.5μm」となる。
【0143】
図23は、L寸法の第二の測定結果例を示す図である。この例は、駆動側プーリ14の位相指標Eと駆動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hとを組み合わせたときのL寸法である(ハッチング部分参照)。例えば、E−A組み合わせ時のL寸法が「1.0」、E−B組み合わせ時のL寸法が「3.3」、E−C組み合わせ時のL寸法が「1.6」、E−D組み合わせ時のL寸法が「−0.3」、E−E組み合わせ時のL寸法が「−1.5」、E−F組み合わせ時のL寸法が「−3.2」、E−G組み合わせ時のL寸法が「−2.7」、E−H組み合わせ時のL寸法が「−1.9」であるとすると、この場合の最大L寸法はE−B組み合わせ時の「3.3」、最小L寸法はE−F組み合わせ時の「−3.2」となり、その差は「3.3−(−3.2)=6.5μm」となる。
【0144】
図22は、L寸法の第三の測定結果例を示す図である。この例は、駆動側プーリ14の位相指標Hと駆動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hとを組み合わせたときのL寸法である(ハッチング部分参照)。例えば、H−A組み合わせ時のL寸法が「−0.5」、H−B組み合わせ時のL寸法が「1.0」、H−C組み合わせ時のL寸法が「0.5」、H−D組み合わせ時のL寸法が「−0.1」、H−E組み合わせ時のL寸法が「−1.6」、H−F組み合わせ時のL寸法が「−2.0」、H−G組み合わせ時のL寸法が「−1.1」、H−H組み合わせ時のL寸法が「−1.6」であるとすると、この場合の最大L寸法はH−B組み合わせ時の「1.0」、最小L寸法はH−F組み合わせ時の「−2.0」となり、その差は「1.0−(−2.0)=3.0μm」となる。
【0145】
他の組み合わせの説明は省略するが、データテーブル28に、図示の通りのL寸法が格納されているとすれば、駆動側プーリ14と従動側プーリ15の回転位相の組み合わせのうち最もL寸法の変動が少ない組み合わせは、上記のL寸法の第三の測定結果例(図24)の「3.0μm」になるから、このL寸法の第三の測定結果例の位相組み合わせ、つまり、駆動側プーリ14の位相指標Hと駆動側プーリ15の8つの位相指標A〜Hとの組み合わせ(H−A、H−B、H−C、・・・・、H−H)を「最適位相組み合わせ」として選択し、その最適位相組み合わせを用いて、リング状ワーク20の周長Xの測定を行えばよい。
【0146】
すなわち、リング状ワーク20の周長Xの測定に先立ち、駆動側プーリ14の位相指標Hを変位検出位置にセットすると共に、従動側プーリ15の位相指標A〜Hのいずれか(好ましくは駆動側プーリ14と同一の位相指標H)を変位検出位置にセットした上で、駆動側プーリ14と従動側プーリ15にリング状ワーク20を掛け渡し、従動側プーリ15をクランプしてリング状ワーク20に張力を付与してリング状ワーク20を周回させながら第一及び第二のリニアセンサ18、19で駆動側プーリ14と従動側プーリ15の変位を検出し、その検出結果に基づいてリング状ワーク20の周長Xを測定すればよい。
【0147】
このようにすると、仮に、従動側プーリ15とリング状ワーク20の間に滑り(ワークのスリップ)が発生して、駆動側プーリ14と従動側プーリ15の回転位相にズレが生じたとしても、その回転位相ズレに伴う測定誤差は、前記のL寸法の第三の測定結果例(図24)の差(3.0μm)に相当して少なく抑えられるから、結局、本実施形態によれば、駆動側プーリ14や従動側プーリ15の真円度誤差、及び/又は、それらのプーリの回転を支持するベアリング等の機械誤差や取り付け誤差等に影響されることなく良好な周長Xの測定精度を得られるようにした周長測定装置10を提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】実施形態における周長測定装置の外観図である。
【図2】周長測定装置の要部断面図である。
【図3】駆動側プーリ4と従動側プーリ5の回転位相合わせの概念図である。
【図4】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(1/17)を示す図である。
【図5】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(2/17)を示す図である。
【図6】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(3/17)を示す図である。
【図7】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(4/17)を示す図である。
【図8】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(5/17)を示す図である。
【図9】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(6/17)を示す図である。
【図10】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(7/17)を示す図である。
【図11】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(8/17)を示す図である。
【図12】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(9/17)を示す図である。
【図13】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(10/17)を示す図である。
【図14】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(11/17)を示す図である。
【図15】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(12/17)を示す図である。
【図16】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(13/17)を示す図である。
【図17】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(14/17)を示す図である。
【図18】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(15/17)を示す図である。
【図19】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(16/17)を示す図である。
【図20】実際の位相の組み合わせ決定過程の動作フローチャート(17/17)を示す図である。
【図21】データテーブル28の概念図である。
【図22】L寸法の第一の測定結果例を示す図である。
【図23】L寸法の第二の測定結果例を示す図である。
【図24】L寸法の第三の測定結果例を示す図である。
【図25】CVTベルトの外観図である。
【図26】従来技術の概念図及び周長Xの測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0149】
A〜H 位相指標
10 周長測定装置
14 駆動側プーリ
15 従動側プーリ
18 第一のリニアゲージ(第1検出手段)
19 第二のリニアゲージ(第2検出手段)
20 リング状ワーク
27 荷重(張力付与手段)
22 プーリ位相判定/周長測定部(第1演算手段、第2演算手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方が駆動側となり他方が従動側となる一対のプーリ(駆動側プーリ及び従動側プーリ)と、
前記一対のプーリにリング状ワークを掛け渡し、前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を拡大して前記リング状ワークに所定の張力を付与する張力付与手段と、
前記張力の付与方向への前記駆動側プーリの変位を検出する第1検出手段と、
前記張力の付与方向への前記従動側プーリの変位を検出する第2検出手段と、
前記第1及び第2検出手段の検出結果から前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を演算する第1演算手段と、
前記第1演算手段の演算結果及び前記駆動側プーリと従動側プーリの各々の半外周長に基づき前記リング状ワークの周長を演算する第2演算手段とを備え、
前記駆動側プーリと従動側プーリは、各々所定の回転角毎にマーキングされたn個の位相指標を有し、
前記駆動側プーリのn個の位相指標と前記従動側プーリのn個の位相指標とのn2 通りの組み合わせの中から任意の組み合わせを選択し、
その組み合わせを用いて前記リング状ワークの周長測定を行い得るように構成したことを特徴とする周長測定装置。
【請求項2】
前記任意の組み合わせは、前記リング状ワークの周回間、前記第1演算手段の演算結果の最大値と最小値の幅が最も少なくなる組み合わせであることを特徴とする請求項1記載の周長測定装置。
【請求項3】
一方が駆動側となり他方が従動側となる一対のプーリ(駆動側プーリ及び従動側プーリ)にリング状ワークを掛け渡し、前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を拡大して前記リング状ワークに所定の張力を付与する張力付与工程と、
前記張力の付与方向への前記駆動側プーリの変位を検出する第1検出工程と、
前記張力の付与方向への前記従動側プーリの変位を検出する第2検出工程と、
前記第1及び第2検出工程の検出結果から前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を演算する第1演算工程と、
前記第1演算工程の演算結果及び前記駆動側プーリと従動側プーリの各々の半外周長に基づき前記リング状ワークの周長を演算する第2演算工程とを含み、
少なくとも前記第2演算工程の実行前に、
前記駆動側プーリと従動側プーリの各々所定の回転角毎にマーキングされたn個の位相指標のn2 通りの組み合わせの中から任意の組み合わせを選択する選択工程を実行し、
その組み合わせを用いて前記第2演算工程を実行することを特徴とする周長測定方法。
【請求項4】
前記任意の組み合わせは、前記リング状ワークの周回間、前記第1演算手段の演算結果の最大値と最小値の幅が最も少なくなる組み合わせであることを特徴とする請求項3記載の周長測定方法。
【請求項1】
一方が駆動側となり他方が従動側となる一対のプーリ(駆動側プーリ及び従動側プーリ)と、
前記一対のプーリにリング状ワークを掛け渡し、前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を拡大して前記リング状ワークに所定の張力を付与する張力付与手段と、
前記張力の付与方向への前記駆動側プーリの変位を検出する第1検出手段と、
前記張力の付与方向への前記従動側プーリの変位を検出する第2検出手段と、
前記第1及び第2検出手段の検出結果から前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を演算する第1演算手段と、
前記第1演算手段の演算結果及び前記駆動側プーリと従動側プーリの各々の半外周長に基づき前記リング状ワークの周長を演算する第2演算手段とを備え、
前記駆動側プーリと従動側プーリは、各々所定の回転角毎にマーキングされたn個の位相指標を有し、
前記駆動側プーリのn個の位相指標と前記従動側プーリのn個の位相指標とのn2 通りの組み合わせの中から任意の組み合わせを選択し、
その組み合わせを用いて前記リング状ワークの周長測定を行い得るように構成したことを特徴とする周長測定装置。
【請求項2】
前記任意の組み合わせは、前記リング状ワークの周回間、前記第1演算手段の演算結果の最大値と最小値の幅が最も少なくなる組み合わせであることを特徴とする請求項1記載の周長測定装置。
【請求項3】
一方が駆動側となり他方が従動側となる一対のプーリ(駆動側プーリ及び従動側プーリ)にリング状ワークを掛け渡し、前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を拡大して前記リング状ワークに所定の張力を付与する張力付与工程と、
前記張力の付与方向への前記駆動側プーリの変位を検出する第1検出工程と、
前記張力の付与方向への前記従動側プーリの変位を検出する第2検出工程と、
前記第1及び第2検出工程の検出結果から前記駆動側プーリと従動側プーリとの間の対向距離を演算する第1演算工程と、
前記第1演算工程の演算結果及び前記駆動側プーリと従動側プーリの各々の半外周長に基づき前記リング状ワークの周長を演算する第2演算工程とを含み、
少なくとも前記第2演算工程の実行前に、
前記駆動側プーリと従動側プーリの各々所定の回転角毎にマーキングされたn個の位相指標のn2 通りの組み合わせの中から任意の組み合わせを選択する選択工程を実行し、
その組み合わせを用いて前記第2演算工程を実行することを特徴とする周長測定方法。
【請求項4】
前記任意の組み合わせは、前記リング状ワークの周回間、前記第1演算手段の演算結果の最大値と最小値の幅が最も少なくなる組み合わせであることを特徴とする請求項3記載の周長測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2007−108113(P2007−108113A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301557(P2005−301557)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
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