説明

呼気アルコール測定装置

【課題】 被験者の替玉による不正を検出することができる呼気アルコール測定装置を提供する。
【解決手段】 アルコールインターロックシステムは、運転者の呼気中のアルコール濃度の測定を行うアルコール燃料電池センサと、指紋読取部によって読み取られた指紋に基づいて運転者の認証を行う指紋認証モジュールとを備え、マウスピースは、運転者の唇が接触させられる電極である唇用電極23dを備え、指紋読取部は、指が接触させられる電極である指用電極51を備え、CPU95は、唇用電極23dおよび指用電極51の電圧に基づいて運転者の心電図を取得し、マウスピースから呼気の吹込みを行った人物と、指紋読取部によって指紋の読取りが行われた人物とが同一人であるか否かの判定を心電図に基づいて行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の呼気中のアルコール濃度を測定する呼気アルコール測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者の呼気中のアルコール濃度を測定する呼気アルコール測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−271628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような呼気アルコール測定装置においては、例えば人や物の輸送業の運転者の飲酒運転を防止するために運転者の呼気中のアルコール濃度の測定が行われる際に、飲酒していない替玉が呼気中のアルコール濃度の測定を受けて飲酒状態の運転者が車両を運転するという不正が行われることがある。
【0004】
本発明は、被験者の替玉による不正を検出することができる呼気アルコール測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の呼気アルコール測定装置は、被験者の呼気中のアルコール濃度の測定を行う呼気アルコール測定部と、前記被験者が前記呼気の吹込みを行うための呼気吹込部と、前記被験者の指の指紋の読取りを行う指紋読取部と、前記指紋読取部によって読み取られた前記指紋に基づいて前記被験者の認証を行う指紋認証部と、前記吹込みを行った人物および前記読取りが行われた人物が同一人であるか否かの判定を行う同一人判定部とを備え、前記呼気吹込部は、前記被験者の唇が接触させられる電極である唇用電極を備え、前記指紋読取部は、前記指が接触させられる電極である指用電極を備え、前記同一人判定部は、前記唇用電極および前記指用電極の電圧に基づいて前記被験者の心臓の電気的活動を取得し、取得した前記電気的活動に基づいて前記判定を行うことを特徴とする。
【0006】
この構成により、本発明の呼気アルコール測定装置は、呼気の吹込みを行った人物と、指紋の読取りが行われた人物とが異なる場合に心臓の異常な電気的活動を取得するので、被験者の替玉による不正を検出することができる。
【0007】
本発明の呼気アルコール測定装置は、被験者の呼気中のアルコール濃度の測定を行う呼気アルコール測定部と、前記被験者が前記呼気の吹込みを行うための呼気吹込部が設置されたユニットである呼気吹込ユニットと、前記呼気吹込ユニットとは別のユニットに設置されて前記被験者の指の指紋の読取りを行う指紋読取部と、前記指紋読取部によって読み取られた前記指紋に基づいて前記被験者の認証を行う指紋認証部と、前記吹込みを行った人物および前記読取りが行われた人物が同一人であるか否かの判定を行う同一人判定部とを備え、前記呼気吹込ユニットは、前記被験者によって把持されるときに前記被験者の手が接触させられる位置に配置された電極である手用電極を備え、前記指紋読取部は、前記指が接触させられる電極である指用電極を備え、前記同一人判定部は、前記手用電極および前記指用電極の電圧に基づいて前記被験者の心臓の電気的活動を取得し、取得した前記電気的活動に基づいて前記判定を行うことを特徴とする。
【0008】
この構成により、本発明の呼気アルコール測定装置は、呼気の吹込みを行った人物が呼気吹込ユニットを把持しているとき、呼気の吹込みを行った人物と、指紋の読取りが行われた人物とが異なる場合に心臓の異常な電気的活動を取得するので、被験者の替玉による不正を検出することができる。
【0009】
本発明の呼気アルコール測定装置は、被験者の呼気中のアルコール濃度の測定を行う呼気アルコール測定部と、前記被験者が前記呼気の吹込みを行うための呼気吹込部と、前記被験者の指の指紋の読取りを行う指紋読取部と、前記指紋読取部によって読み取られた前記指紋に基づいて前記被験者の認証を行う指紋認証部と、前記吹込みを行った人物および前記読取りが行われた人物が同一人であるか否かの判定を行う同一人判定部とを備え、前記呼気吹込部は、前記被験者の唇が接触させられる電極である唇用電極を備え、前記指紋読取部は、前記指が接触させられる電極である指用電極を備え、前記同一人判定部は、前記唇用電極および前記指用電極の電圧に基づいて前記被験者の身体の導電率を取得し、取得した前記導電率に基づいて前記判定を行うことを特徴とする。
【0010】
この構成により、本発明の呼気アルコール測定装置は、呼気の吹込みを行った人物と、指紋の読取りが行われた人物とが異なる場合に身体の異常な導電率を取得するので、被験者の替玉による不正を検出することができる。
【0011】
本発明の呼気アルコール測定装置は、被験者の呼気中のアルコール濃度の測定を行う呼気アルコール測定部と、前記被験者が前記呼気の吹込みを行うための呼気吹込部が設置されたユニットである呼気吹込ユニットと、前記呼気吹込ユニットとは別のユニットに設置されて前記被験者の指の指紋の読取りを行う指紋読取部と、前記指紋読取部によって読み取られた前記指紋に基づいて前記被験者の認証を行う指紋認証部と、前記吹込みを行った人物および前記読取りが行われた人物が同一人であるか否かの判定を行う同一人判定部とを備え、前記呼気吹込ユニットは、前記被験者によって把持されるときに前記被験者の手が接触させられる位置に配置された電極である手用電極を備え、前記指紋読取部は、前記指が接触させられる電極である指用電極を備え、前記同一人判定部は、前記手用電極および前記指用電極の電圧に基づいて前記被験者の身体の導電率を取得し、取得した前記導電率に基づいて前記判定を行うことを特徴とする。
【0012】
この構成により、本発明の呼気アルコール測定装置は、呼気の吹込みを行った人物が呼気吹込ユニットを把持しているとき、呼気の吹込みを行った人物と、指紋の読取りが行われた人物とが異なる場合に身体の異常な導電率を取得するので、被験者の替玉による不正を検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被験者の指紋認証と、被験者の身体の電気的な性質とを利用することによって、被験者の替玉による不正を検出することができる呼気アルコール測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
まず、本実施の形態に係る呼気アルコール測定装置としてのアルコールインターロックシステムの構成について説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係るアルコールインターロックシステム10の斜視図である。図2は、アルコールインターロックシステム10の構成を示すブロック図である。
【0017】
アルコールインターロックシステム10は、被験者としての運転者が飲酒状態であるときに運転者による車両100の運転を許可しないシステムである。図1および図2に示すように、アルコールインターロックシステム10は、車両100のダッシュボード101の正面のうちハンドル102の左側の部分に着脱可能に取り付けられたハンディーユニット20と、ダッシュボード101の上面のうちハンドル102の右側の部分に設置されて各種の表示を行う表示ユニット40と、車両100のバックミラー103の上部に設置されて運転者を撮影するためのカメラユニット60と、ダッシュボード101の内部に設置されてハンディーユニット20、表示ユニット40およびカメラユニット60の制御を行うコントロールユニット80と、ハンディーユニット20およびコントロールユニット80を電気的に接続するケーブル11と、表示ユニット40およびコントロールユニット80を電気的に接続するケーブル12と、カメラユニット60およびコントロールユニット80を電気的に接続するケーブル13とを備えている。
【0018】
コントロールユニット80は、スイッチ81aと、スイッチ81aの接続状態を切り替えるための電磁石81bとを備えたインターロック用リレー81を備えている。スイッチ81aは、端子81cおよび端子81dを備えている。
【0019】
図2に示すように、車両100は、バッテリ111と、バッテリ111によって駆動されてエンジンを始動させるためのセルモータ112と、バッテリ111およびセルモータ112の電気的な接続状態を切り替えるスタータリレー113と、キーが回されることによってバッテリ111およびスタータリレー113の電気的な接続状態を切り替えるスタータキースイッチ114と、車両100の速度を表す車速パルス信号を発生させる車速パルス発生器115とを備えている。バッテリ111は、アースに電気的に接続されたマイナス端子111aと、プラス端子111bとを備えている。セルモータ112は、アースおよびバッテリ111のマイナス端子111aに電気的に接続された端子112aと、端子112bとを備えている。スタータリレー113は、スイッチ113aと、スイッチ113aの接続状態を切り替えるための電磁石113bとを備えている。スタータリレー113のスイッチ113aは、セルモータ112の端子112bに電気的に接続された端子113cと、バッテリ111のプラス端子111bに電気的に接続された端子113dとを備えている。スタータリレー113の電磁石113bは、アース、バッテリ111のマイナス端子111aおよびセルモータ112の端子112aに電気的に接続された端子113eと、インターロック用リレー81のスイッチ81aの端子81cに電気的に接続された端子113fとを備えている。スタータキースイッチ114は、バッテリ111のプラス端子111bおよびスタータリレー113の端子113dに電気的に接続された端子114aと、車両100のエンジンを切るためのOFF端子114bと、車両100のアクセサリ電源をオン状態とするためのACC端子114cと、イグニッション電源をオン状態とするためのON端子114dと、セルモータ112を始動させるためのSTART端子114eとを備えている。START端子114eは、コントロールユニット80のインターロック用リレー81の端子81dに電気的に接続されている。
【0020】
なお、バッテリ111の電力は、コントロールユニット80に供給され、コントロールユニット80からケーブル11、12、13を介してハンディーユニット20、表示ユニット40、カメラユニット60にも供給されている。以下の説明においては、電力の供給についての説明を省略する。
【0021】
図3は、ハンディーユニット20の正面図である。図4は、ハンディーユニット20の構成を示すブロック図である。
【0022】
ハンディーユニット20は、運転者が運転前に呼気中のアルコール濃度を測るための装置である。図3および図4に示すように、ハンディーユニット20は、ケース21と、ケース21の上部に設けられた交換可能なマウスピース23と、ケース21の側部に設けられて運転者がハンディーユニット20を把持するときに運転者の左手で触れられる位置に配置された手用電極24と、ケース21の正面に設けられて運転者に押されるスイッチ25と、ケース21の正面に設けられてアルコール濃度を表示する7seg表示のアルコール濃度表示部26とを備えており、ケース21の下部にケーブル11が接続されている。ハンディーユニット20は、呼気吹込部としてのマウスピース23を備えており、本発明の呼気吹込ユニットを構成している。
【0023】
図5は、マウスピース23の斜視図である。
【0024】
マウスピース23は、図5に示すように、運転者の上唇および下唇に挟まれる円筒状の唇接触部23aと、唇接触部23aより外径が小さい円筒状であってケース21(図3参照。)に挿入されるケース挿入部23bと、唇接触部23aおよびケース挿入部23bに貫通して形成されて呼気を通過させるための貫通孔23cと、唇接触部23aの表面に形成された電極である唇用電極23dとを備えている。唇用電極23dは、例えば、マウスピース23の表面に電気メッキが施されたり、マウスピース23の全体が金属で形成されたりすることによって形成されている。
【0025】
図4に示すように、ハンディーユニット20は、ケーブル11(図3参照。)を介してコントロールユニット80に電気的に接続された外部インターフェース29と、マウスピース23(図5参照。)がケース21(図3参照。)に挿入されたときに唇用電極23dに接触して唇用電極23dに電気的に接続される接点バネ30と、呼気の温度を測定するための呼気温度センサ31と、呼気の圧力を測定するための呼気圧センサ32と、呼気中の炭酸ガスの濃度を測定するための呼気CO2センサ33と、呼気中のアルコール濃度を測定するための呼気アルコール測定部としてのアルコール燃料電池センサ34と、アルコール燃料電池センサ34から出力された信号を増幅するアンプ35と、アルコール燃料電池センサ34の内部に呼気を取り込むための吸引ポンプ36と、各種のデータを記録する不揮発メモリ37と、ハンディーユニット20の各構成を制御するCPU(Central Processing Unit)38とをケース21の内部に備えている。
【0026】
図6は、図1に示す表示ユニット40の斜視図である。図7は、表示ユニット40の構成を示すブロック図である。
【0027】
表示ユニット40は、運転者の呼気中のアルコール濃度を表示したり、操作手順を音声および表示によって示したりする装置である。図6および図7に示すように、表示ユニット40は、ケース41と、ケース41の正面の左端に設けられてハンディーユニット20(図1参照。)のアルコール燃料電池センサ34(図4参照。)がウォームアップ中であることを表示するためのWarmUPランプ43と、ケース41の正面のWarmUPランプ43の右隣に設けられて運転者に呼気の吹込みを促すためのBlowランプ44と、ケース41の正面のBlowランプ44の右隣に設けられてアルコール燃料電池センサ34によるアルコール濃度の測定中であることを表示するためのWaitランプ45と、ケース41の正面のWaitランプ45の右隣に設けられて運転者が飲酒状態であると判定されなかったことを表示するOKランプ46と、ケース41の正面のOKランプ46の右隣に設けられて運転者が飲酒状態であると判定されたことを表示するNGランプ47と、ケース41の正面のNGランプ47の右隣に設けられてアルコール濃度を表示する7seg表示のアルコール濃度表示部48と、ケース41の上面に設けられて運転者の右手の指の指紋を読み取る指紋読取部50と、指紋読取部50の表面に設けられた透明電極である指用電極51と、ケース41の上面の指紋読取部50の右隣に設けられたスピーカ52とを備えており、ケース41の背面にケーブル12が接続されている。
【0028】
図7に示すように、表示ユニット40は、ケーブル12(図6参照。)を介してコントロールユニット80に電気的に接続された外部インターフェース54と、数千人の指紋の画像をID(以下「登録者ID」という。)とともに登録可能であって登録された指紋の画像に基づいて指紋読取部50によって読み取られた指紋の認証を行う指紋認証部としての指紋認証モジュール55と、指用電極51から出力された信号を増幅するアンプ56と、スピーカ52によって出力される音声を生成する音声LSI(Large Scale Integration)57と、表示ユニット40の各構成を制御するCPU58とをケース41(図6参照。)の内部に備えている。
【0029】
図8は、図1に示すカメラユニット60の正面図である。図9は、カメラユニット60の構成を示すブロック図である。
【0030】
図8および図9に示すように、カメラユニット60は、ケース61と、ケース61の正面の中央に設けられたレンズ63と、夜間でも撮影可能なようにケース61の正面の端に設けられた撮影ランプ64とを備えており、ケース61にケーブル13が接続されている。
【0031】
図9に示すように、カメラユニット60は、ケーブル13(図8参照。)を介してコントロールユニット80に電気的に接続された外部インターフェース66と、レンズ63(図8参照。)を介して運転者を撮影するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ67と、場所を特定するためのGPS(Global Positioning System)電波を受信する内蔵アンテナ68と、内蔵アンテナ68によって受信したGPS電波を復号するためのGPS受信モジュール69と、CCDイメージセンサ67によって撮影された画像データがコントロールユニット80に転送されるまで画像データを一時的に記録するメモリ70と、カメラユニット60の各構成を制御するCPU71とをケース61(図8参照。)の内部に備えている。
【0032】
図10は、図1に示すコントロールユニット80の斜視図である。図11は、コントロールユニット80の構成を示すブロック図である。
【0033】
図10および図11に示すように、コントロールユニット80は、ケース82と、ケース82の上面に立てられたアンテナ83とを備えており、ケース82の背面にケーブル11〜14が接続されている。
【0034】
図11に示すように、コントロールユニット80は、上述したインターロック用リレー81と、外部インターフェース85と、インターロック用リレー81の電磁石81bに電気的に接続されたアンプ86と、アンテナ83を介して外部と無線通信を行うための通信モジュール87と、時間を計測するための時計LSI88と、時計LSI88の電力源であるリチウム電池89と、車両100(図1参照。)の加速度を測定するための加速度センサ90と、運転者の心臓の電気的活動を測定するための心電図アンプ92と、飲酒状態の判定結果の履歴情報などの各種のデータを記録するLOGメモリ94と、コントロールユニット80の各構成を制御するCPU95とをケース82(図10参照。)の内部に備えている。インターロック用リレー81の端子81cは、ケーブル14(図10参照。)を介してスタータリレー113(図2参照。)の端子113fに電気的に接続されている。インターロック用リレー81の端子81dは、ケーブル14を介してスタータキースイッチ114(図2参照。)のSTART端子114eに電気的に接続されている。外部インターフェース85は、それぞれケーブル11、12、13(図10参照。)を介してハンディーユニット20、表示ユニット40、カメラユニット60に電気的に接続されているとともに、ケーブル14を介してバッテリ111(図2参照。)のマイナス端子111aおよびプラス端子111bと、スタータキースイッチ114のACC端子114cと、車速パルス発生器115とに電気的に接続されている。
【0035】
図12は、図11に示す心電図アンプ92の構成を示すブロック図である。
【0036】
図12に示すように、心電図アンプ92は、ハンディーユニット20の唇用電極23dおよび手用電極24の間の電圧を増幅する差動増幅器141と、ハンディーユニット20の手用電極24および表示ユニット40の指用電極51の間の電圧を増幅する差動増幅器142と、ハンディーユニット20の唇用電極23dおよび表示ユニット40の指用電極51の間の電圧を増幅する差動増幅器143と、差動増幅器141、142、143の出力信号をそれぞれアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換器144、145、146とを備えている。ここで、AD変換器144、145、146からCPU95に入力される電圧をそれぞれ電圧V1、V2、V3とする。
【0037】
図13は、コントロールユニット80のLOGメモリ94に登録済みの心電図波形を示すグラフである。図14は、LOGメモリ94に登録済みの心電図波形と、唇用電極23d、手用電極24および指用電極51から新たに入力された心電図波形とを示すグラフであって、新たに心電図波形を入力した運転者が登録されていない場合のグラフである。図15は、LOGメモリ94に登録済みの心電図波形と、唇用電極23d、手用電極24および指用電極51から新たに入力された心電図波形とを示すグラフであって、新たに心電図波形を入力した運転者が登録されている場合のグラフである。
【0038】
LOGメモリ94には、例えば、図13に示すように、電圧V1、V2、V3による心電図波形が事前に運転者毎に登録されている。CPU95は、LOGメモリ94に登録済みの心電図波形と、唇用電極23d、手用電極24および指用電極51から新たに入力された心電図波形とを比較して、新たに心電図波形を入力した運転者が登録されているか否かを判断する。CPU95は、図14に示すように、LOGメモリ94に登録済みの心電図波形と、唇用電極23d、手用電極24および指用電極51から新たに入力された心電図波形との何れかが類似していないとき、新たに心電図波形を入力した運転者が登録されていないと判断する。一方、CPU95は、図15に示すように、LOGメモリ94に登録済みの心電図波形と、唇用電極23d、手用電極24および指用電極51から新たに入力された心電図波形との何れも類似しているとき、新たに心電図波形を入力した運転者が登録されていると判断する。このように、CPU95は、心電図アンプ92の出力に基づいて、運転者に対して心電図による認証を行うことができる。
【0039】
例えば、飲酒状態の運転者が指紋認証を行って、飲酒していない替玉が呼気の吹込みを行った場合、心電図は、2人の心電図が混ざった異常なものとなる。したがって、CPU95は、唇用電極23d、手用電極24および指用電極51の電圧に基づいて運転者の心臓の電気的活動である心電図を取得し、図3に示すハンディーユニット20のマウスピース23から呼気の吹込みを行った人物と、ハンディーユニット20とは別のユニットである図6に示す表示ユニット40の指紋読取部50によって指紋の読取りが行われた人物が同一人であるか否かの判定(以下「同一人判定」という。)を心電図に基づいて行うことができる。すなわち、CPU95は、本発明の同一人判定部を構成している。
【0040】
なお、心電図による同一人判定は、以上においては、電圧V1、V2、V3の全てを用いて行われているが、ハンディーユニット20の電極と、表示ユニット40の指用電極51とが利用されていれば良いので、電圧V1、V2、V3のうち何れか2つのみを用いて行われることもできるし、電圧V2、V3のみを用いて行われることもできる。また、同一人判定は、呼気の吹込みを行った人物と、指紋の読取りが行われた人物が同一人であるか否かの判定であるので、唇用電極23dおよび指用電極51の両方を利用する判定は、電圧V2のみを用いて行われる判定よりも信頼性が高い。
【0041】
次に、アルコールインターロックシステム10の動作について説明する。
【0042】
図16は、アルコールインターロックシステム10の動作のフローチャートである。図17は、アルコールインターロックシステム10の動作のうち図16に示す動作の続きのフローチャートである。
【0043】
運転者が車両100の運転席に座ってハンディーユニット20のスイッチ25を押すと、コントロールユニット80のCPU95は、スイッチ25が押されたことを検知して、図16に示す動作を開始する。
【0044】
まず、CPU95は、スタータキースイッチ114のACC端子114cからの出力に基づいて車両100のアクセサリ電源がオン状態であるか否か、すなわちACC端子114cが端子114aに電気的に接続されているか否かを判断する(ステップS208)。CPU95は、ステップS208においてアクセサリ電源がオン状態であると判断すると、アクセサリ電源をオフ状態で操作をやり直すようにスピーカ52から音声で出力して(ステップS210)、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、アクセサリ電源がオン状態であったこととをLOGメモリ94およびハンディーユニット20の不揮発メモリ37に記録した後、一連の処理を終了する。なお、アクセサリ電源がオン状態であるときに一連の処理を終了する理由は、ハンディーユニット20の周辺の気温が低いときに後述するウォームアップの時間が長引くため、その間にアルコールインターロックシステム10を構成する機器以外の電子機器(例えばカーラジオ)によって車両100のバッテリ111が消耗することを防ぐためである。したがって、バッテリ111の容量が大きい場合や、ウォームアップの時間が短い場合には、アクセサリ電源がオン状態であったとしても一連の処理を終了する必要はない。
【0045】
CPU95は、ステップS208においてアクセサリ電源がオフ状態であると判断すると、車両100の車速パルス発生器115からの出力に基づいて車両100の速度が0より大きいか否かを判断する(ステップS212)。CPU95は、ステップS212において車両100の速度が0より大きいと判断すると、車両100を止めてから操作をやり直すようにスピーカ52から音声で出力して(ステップS214)、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、車両100の速度が0より大きかったこととをLOGメモリ94およびハンディーユニット20の不揮発メモリ37に記録した後、一連の処理を終了する。
【0046】
CPU95は、ステップS212において車両100の速度が0であると判断すると、加速度センサ90からの出力に基づいて車両100の加速度が0より大きいか否かを判断する(ステップS216)。CPU95は、ステップS216において車両100の加速度が0より大きいと判断すると、車両100を止めてから操作をやり直すようにスピーカ52から音声で出力して(ステップS214)、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、車両100の加速度が0より大きかったこととをLOGメモリ94およびハンディーユニット20の不揮発メモリ37に記録した後、一連の処理を終了する。
【0047】
なお、車両100が動いているか否かは、車両100の速度や加速度以外の情報に基づいても判断することができる。例えば、車両100が動いているときにはバッテリ111が発電および充電されて電圧が高くなることを利用して、バッテリ111の電圧が所定の電圧以上であるときに車両100が動いていると判断することもできる。また、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置の変化によっても、車両100が動いているか否かを判断することもできる。
【0048】
CPU95は、ステップS216において車両100の加速度が0であると判断すると、表示ユニット40の指紋認証モジュール55に指紋認証を行わせる。指紋認証モジュール55は、自身に事前に登録されている指紋の画像と、表示ユニット40の指紋読取部50から読み取った運転者の指紋の画像とに基づいて認証を行って、認証が成功した場合には、指紋読取部50から読み取った運転者の指紋の画像に対応する登録者IDをCPU95に送信し、認証が失敗した場合には、認証の失敗を示す登録者ID、例えばNo.9999をCPU95に送信する。CPU95は、指紋認証モジュール55から登録者IDが送信されると、指紋認証モジュール55から送信された登録者IDに基づいて、認証が成功したか否かを判断する(ステップS218)。なお、CPU95は、指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置とをLOGメモリ94およびハンディーユニット20の不揮発メモリ37に記録する。
【0049】
CPU95は、ステップS218において認証が失敗したと判断すると、認証が失敗したことをスピーカ52から音声で出力して(ステップS220)、一連の処理を終了する。
【0050】
CPU95は、ステップS218において認証が成功したと判断すると、図17に示すように、アルコール燃料電池センサ34のウォームアップを開始して、表示ユニット40のWarmUPランプ43の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって、アルコール燃料電池センサ34をウォームアップ中であることを通知する(ステップS228)。ここで、アルコール燃料電池センサ34のウォームアップとは、周囲の気温が例えば−45℃のように低温であってもアルコール燃料電池センサ34の内部のヒータ回路によってアルコール燃料電池センサ34を加熱して、アルコール燃料電池センサ34の内部の温度を一定の33℃まで引き上げることにより均一な測定性能を維持する動作である。そして、CPU95は、ウォームアップが完了するまで待機する(ステップS230)。
【0051】
CPU95は、ステップS230においてウォームアップが完了したと判断すると、時計LSI88の出力値に基づいて時間の計測を開始して、表示ユニット40のBlowランプ44の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって、運転者による呼気の吹き込みを促し(ステップS232)、カメラユニット60の撮影ランプ64を点灯させる(ステップS234)。
【0052】
次いで、CPU95は、計測中の時間が所定の時間を経過したか否かを判断する(ステップS236)。CPU95は、ステップS236において計測中の時間が所定の時間を経過したと判断すると、計測中の時間が所定の時間を経過したことをスピーカ52から音声で出力し(ステップS238)、ステップS218において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、計測中の時間が所定の時間を経過したこととをLOGメモリ94およびハンディーユニット20の不揮発メモリ37に記録した後、撮影ランプ64を消灯させて(ステップS240)、一連の処理を終了する。
【0053】
CPU95は、ステップS236において計測中の時間が所定の時間を経過していないと判断すると、心電図アンプ92からの出力に基づいて心電図による認証が成功したか否かを判断する(ステップS242)。CPU95は、ステップS242において心電図による認証が失敗したと判断すると、心電図による認証が失敗したことをスピーカ52から音声で出力し(ステップS244)、ステップS218において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、心電図による認証が失敗したこととをLOGメモリ94およびハンディーユニット20の不揮発メモリ37に記録した後、撮影ランプ64を消灯させて(ステップS240)、一連の処理を終了する。
【0054】
CPU95は、ステップS242において心電図による認証が成功したと判断すると、運転者によってハンディーユニット20のマウスピース23から吹込まれる呼気の圧力が所定の圧力、例えば0.3L/秒以上であるか否かを呼気圧センサ32の測定値に基づいて判断する(ステップS246)。呼気の圧力が判断対象となる理由は、ある程度の圧力の呼気でなければアルコール濃度の正確な測定ができないからである。CPU95は、ステップS246において呼気の圧力が所定の圧力以上ではないと判断すると、S236の処理に戻る。
【0055】
CPU95は、ステップS246において呼気の圧力が所定の圧力以上であると判断すると、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度以上であるか否かを呼気CO2センサ33の測定値に基づいて判断する(ステップS248)。呼気中の炭酸ガスの濃度が判断対象となる理由は、アルコールを含んでいない空気をマウスピース23に空気入れなどで吹込むことによって飲酒状態と判定されないようにする不正を防止するためである。人間の呼気には、空気と比較して、炭酸ガスが多く含まれている。CPU95は、ステップS248において呼気中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度以上ではないと判断すると、ステップS218において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、呼気中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度以上ではないこととをLOGメモリ94およびハンディーユニット20の不揮発メモリ37に記録した後、S236の処理に戻る。
【0056】
CPU95は、ステップS248において呼気中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度以上であると判断すると、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の温度が34℃を中心とした所定の温度の範囲内であるか否かを呼気温度センサ31の測定値に基づいて判断する(ステップS250)。
【0057】
図18は、ハンディーユニット20のマウスピース23から吹込まれる空気の種類別に呼気温度センサ31の測定値の変化を示すグラフである。
【0058】
ステップS250において呼気の温度が判断対象となる理由は、アルコールを含んでいない空気をマウスピース23に空気入れなどで吹込むことによって飲酒状態と判定されないようにする不正を防止するためである。図18に示すように、空気入れによって吹込まれた空気は、ハンディーユニット20の周囲の空気の温度に収束するのに対して、人間の呼気は、人間の体温に依存して安定しているためハンディーユニット20の周囲の空気の温度によらず常に34℃付近に収束する。
【0059】
図17に示すように、CPU95は、ステップS250において呼気の温度が34℃を中心とした所定の温度の範囲内ではないと判断すると、ステップS218において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、呼気の温度が34℃を中心とした所定の温度の範囲内ではないこととをLOGメモリ94およびハンディーユニット20の不揮発メモリ37に記録した後、S236の処理に戻る。
【0060】
CPU95は、ステップS250において呼気の温度が34℃を中心とした所定の温度の範囲内であると判断すると、運転者によってマウスピース23から吹込まれた空気の体積が所定の体積、例えば1.0L以上であるか否かを時計LSI88によって計測した時間と、呼気圧センサ32の測定値とに基づいて判断する(ステップS252)。吹込まれた空気の体積が判断対象となる理由は、吹込まれた空気の堆積が少ないときにアルコール濃度を測定してしまうと口に入ったばかりの新鮮な空気のアルコール濃度を測定してしまうおそれがあり、呼気、すなわち肺に入っていた空気のアルコール濃度を測定するためにある程度の体積の空気が吹込まれる必要があるからである。CPU95は、吹込まれた空気の体積が所定の体積以上ではないとステップS252において判断すると、S236の処理に戻る。
【0061】
図19は、ハンディーユニット20のマウスピース23に吹込まれた空気の圧力、炭酸ガス濃度、温度および体積の時間経過の例を示すグラフである。
【0062】
図19において、CPU95は、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の圧力301が時間311で所定の圧力301a以上になったので、ステップS246からステップS248に進む。次いで、CPU95は、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気中の炭酸ガスの濃度302が時間312で所定の濃度302a以上になったので、ステップS248からステップS250に進む。次いで、CPU95は、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の温度303が時間313で34℃を中心とした所定の温度の範囲303a内になったので、ステップS250からステップS252に進む。そして、CPU95は、運転者によってマウスピース23から吹込まれた空気の体積304(図19においてハッチングで示した面積)が時間314で所定の体積以上になったので、ステップS252から次のステップに進む。
【0063】
図17に示すように、CPU95は、吹込まれた空気の体積が所定の体積以上であるとステップS252において判断すると、カメラユニット60にシャッタコマンドを転送することによってCCDイメージセンサ67に運転者を撮影させる(ステップS256)。したがって、ハンディーユニット20のマウスピース23から呼気を吹込んでいる最中の運転者の画像401(図20参照。)がカメラユニット60のメモリ70に記録される。
【0064】
次いで、CPU95は、ハンディーユニット20の吸引ポンプ36を駆動させてアルコール燃料電池センサ34の内部に呼気を導入することによって、アルコール燃料電池センサ34によるアルコール濃度の測定を開始し(ステップS258)、表示ユニット40のWaitランプ45の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって、アルコール燃料電池センサ34によるアルコール濃度の測定中であることを通知する(ステップS260)。
【0065】
そして、CPU95は、ステップS258において開始した測定が終了すると、ステップS218において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、測定結果と、ステップS256において撮影されてカメラユニット60のメモリ70に記録されている画像401とをLOGメモリ94およびハンディーユニット20の不揮発メモリ37に記録し(ステップS262)、測定されたアルコール濃度が所定の基準値以下であるか否かを判断する(ステップS264)。
【0066】
CPU95は、ステップS264においてアルコール濃度が所定の基準値を超えていると判断すると、飲酒状態であると判定したためにエンジンを始動できないことを、表示ユニット40のNGランプ47の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって通知した後(ステップS266)、撮影ランプ64を消灯させて(ステップS268)、一連の処理を終了する。
【0067】
CPU95は、ステップS264においてアルコール濃度が所定の基準値以下であると判断すると、アンプ86を介してインターロック用リレー81の電磁石81bに電力を供給してスイッチ81aを閉じ(ステップS270)、飲酒状態であると判定なかったためにエンジンを始動できることを、表示ユニット40のOKランプ46の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって通知した後(ステップS272)、撮影ランプ64を消灯させて(ステップS268)、一連の処理を終了する。なお、CPU95は、ステップS270においてスイッチ81aを閉じた後、5分間が経過すると、スイッチ81aを開く。したがって、運転者は、5分以内にスタータキースイッチ114のキーを回して端子114aと、START端子114eとを電気的に接続させることによって、車両100のエンジンを始動することができる。すなわち、スタータキースイッチ114の端子114aと、START端子114eとが電気的に接続させられると、コントロールユニット80のインターロック用リレー81のスイッチ81aと、スタータキースイッチ114とを介してスタータリレー113の電磁石113bにバッテリ111の電力が供給されてスイッチ113aが閉じ、それによってスタータリレー113のスイッチ113aを介してセルモータ112にバッテリ111の電力が供給されて、車両100のエンジンが始動させられる。
【0068】
なお、LOGメモリ94に記録された各種情報は、後で様々な目的で使用されることができる。例えば、LOGメモリ94に記録された飲酒状態の判定結果は、飲酒運転の常習者の場合には定期的に所轄の警察署で監視に使用されたり、業務用の場合には定期的に管理本部で監視に使用されたりすることができる。
【0069】
また、LOGメモリ94に記録される各種情報は、コントロールユニット80のアンテナ83および通信モジュール87によって外部に送信されるようになっていても良い。例えば、飲酒状態の判定結果は、飲酒運転の常習者の場合にはリアルタイムで所轄の警察署のメールサーバに送信されたり、業務用の場合にはリアルタイムで管理本部のメールサーバに送信されたりすることができる。もちろん、LOGメモリ94に記録された各種情報は、コントロールユニット80のアンテナ83および通信モジュール87を介して外部から読み出されるようになっていても良い。
【0070】
また、アルコールインターロックシステム10は、登録者IDを指紋認証によって入力するようになっているが、他の方法によって入力するようになっていても良い。例えば、登録者IDは、磁気カードやIC(Integrated Circuit)カードによって入力されるようになっていても良い。
【0071】
なお、コントロールユニット80は、心電図アンプ92に代えて図21に示す導電率アンプ93を備えていても良い。
【0072】
アルコールインターロックシステム10の動作においては、次のように置き換えられる。CPU95は、ステップS236において計測中の時間が所定の時間を経過していないと判断すると、導電率アンプ93からの出力に基づいて導電率による認証が成功したか否かを判断する。CPU95は、導電率による認証が失敗したと判断すると、導電率による認証が失敗したことをスピーカ52から音声で出力し、ステップS218において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、導電率による認証が失敗したこととをLOGメモリ94およびハンディーユニット20の不揮発メモリ37に記録した後、ステップS240の処理を実行する。一方、CPU95は、導電率による認証が成功したと判断すると、ステップS246の処理を実行する。
【0073】
図21は、導電率アンプ93の構成を示すブロック図である。
【0074】
図21に示すように、導電率アンプ93は、身体の導電率を測定することに適した50kHzの信号をハンディーユニット20の手用電極24に出力する50kHz発振器151と、ハンディーユニット20の唇用電極23dおよび50kHz発振器151の間の電圧を増幅する差動増幅器152と、表示ユニット40の指用電極51および50kHz発振器151の間の電圧を増幅する差動増幅器153と、差動増幅器152、153の出力信号をそれぞれアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換器154、155とを備えている。
【0075】
50kHz発振器151によって出力された信号155aは、ハンディーユニット20の手用電極24から運転者の左手に入り、運転者の身体を通過して、運転者の唇からハンディーユニット20の唇用電極23dに出る。このとき、信号155aは、運転者の左手から唇までの人体抵抗156によって信号155bとなる。信号155bは、差動増幅器152によって信号155aとの電位差を増幅されて信号155cとなる。そして、信号155cは、AD変換器154によってアナログ信号からデジタル信号に変換されてCPU95によって電圧値の減衰値V4として取り込まれる。
【0076】
また、50kHz発振器151によって出力された信号155aは、ハンディーユニット20の手用電極24から運転者の左手に入り、運転者の身体を通過して、運転者の右手の指から表示ユニット40の指用電極51に出る。このとき、信号155aは、運転者の左手から右手の指までの人体抵抗157によって信号155dとなる。信号155dは、差動増幅器153によって信号155aとの電位差を増幅されて信号155eとなる。そして、信号155eは、AD変換器155によってアナログ信号からデジタル信号に変換されてCPU95によって電圧値の減衰値V5として取り込まれる。
【0077】
コントロールユニット80のLOGメモリ94には、減衰値V4、V5が事前に運転者毎に登録されている。CPU95は、LOGメモリ94に登録済みの減衰値V4、V5と、唇用電極23d、手用電極24および指用電極51から新たに入力された減衰値V4、V5とが類似している場合には、新たに導電率を入力した運転者が登録されていると判断し、LOGメモリ94に登録済みの減衰値V4、V5と、唇用電極23d、手用電極24および指用電極51から新たに入力された減衰値V4、V5とが類似してない場合には、新たに導電率を入力した運転者が登録されていないと判断する。このように、CPU95は、導電率アンプ93の出力に基づいて、運転者に対して身体の導電率による認証を行うことができる。
【0078】
例えば、飲酒状態の運転者が指紋認証を行って、飲酒していない替玉が呼気の吹込みを行った場合、唇用電極23dおよび手用電極24の間の人体抵抗156と、手用電極24および指用電極51の間の人体抵抗157とのうち、何れかの人体抵抗が異常に大きくなるため、導電率は、異常なものとなる。したがって、CPU95は、唇用電極23d、手用電極24および指用電極51の電圧に基づいて運転者の身体の導電率を取得し、同一人判定を導電率に基づいて行うことができる。すなわち、CPU95は、本発明の同一人判定部を構成している。
【0079】
なお、導電率による同一人判定は、以上においては、唇用電極23dおよび手用電極24の間の人体抵抗156と、手用電極24および指用電極51の間の人体抵抗157との2種類の人体抵抗を利用しているが、ハンディーユニット20の電極と、表示ユニット40の指用電極51とが利用されていれば良いので、唇用電極23dおよび指用電極51の間の人体抵抗のみを利用する方法、手用電極24および指用電極51の間の人体抵抗157のみを利用する方法、唇用電極23dおよび指用電極51の間の人体抵抗と、手用電極24および指用電極51の間の人体抵抗157との2種類の人体抵抗を利用する方法、唇用電極23dおよび手用電極24の間の人体抵抗156と、唇用電極23dおよび指用電極51の間の人体抵抗との2種類の人体抵抗を利用する方法、唇用電極23dおよび手用電極24の間の人体抵抗156と、唇用電極23dおよび指用電極51の間の人体抵抗と、手用電極24および指用電極51の間の人体抵抗157との3種類の人体抵抗を利用する方法などであっても良い。また、同一人判定は、呼気の吹込みを行った人物と、指紋の読取りが行われた人物が同一人であるか否かの判定であるので、唇用電極23dおよび指用電極51の両方を利用する判定は、手用電極24および指用電極51の間の人体抵抗157のみを利用する判定よりも信頼性が高い。
【0080】
また、本実施の形態においては、本発明の呼気アルコール測定装置としてアルコールインターロックシステム10について説明したが、本発明の呼気アルコール測定装置は、アルコールインターロックシステム以外の呼気アルコール測定装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアルコールインターロックシステムの斜視図である。
【図2】図1に示すアルコールインターロックシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すハンディーユニットの正面図である。
【図4】図3に示すハンディーユニットの構成を示すブロック図である。
【図5】図3に示すマウスピースの斜視図である。
【図6】図1に示す表示ユニットの斜視図である。
【図7】図6に示す表示ユニットの構成を示すブロック図である。
【図8】図1に示すカメラユニットの正面図である。
【図9】図8に示すカメラユニットの構成を示すブロック図である。
【図10】図1に示すコントロールユニットの斜視図である。
【図11】図10に示すコントロールユニットの構成を示すブロック図である。
【図12】図11に示す心電図アンプの構成を示すブロック図である。
【図13】図12に示すLOGメモリに登録済みの心電図波形を示すグラフである。
【図14】図12に示すLOGメモリに登録済みの心電図波形と、唇用電極、手用電極および指用電極から新たに入力された心電図波形とを示すグラフであって、新たに心電図波形を入力した運転者が登録されていない場合のグラフである。
【図15】図12に示すLOGメモリに登録済みの心電図波形と、唇用電極、手用電極および指用電極から新たに入力された心電図波形とを示すグラフであって、新たに心電図波形を入力した運転者が登録されている場合のグラフである。
【図16】図1に示すアルコールインターロックシステムの動作のフローチャートである。
【図17】図1に示すアルコールインターロックシステムの動作のうち図16に示す動作の続きのフローチャートである。
【図18】図3に示すハンディーユニットのマウスピースから吹込まれる空気の種類別に呼気温度センサの測定値の変化を示すグラフである。
【図19】図3に示すハンディーユニットのマウスピース23に吹込まれた空気の圧力、炭酸ガス濃度、温度および体積の時間経過の例を示すグラフである。
【図20】図3に示すハンディーユニットのマウスピースから呼気を吹込んでいる最中の運転者の画像を示す図である。
【図21】図11に示すコントロールユニットが心電図アンプに代えて備える導電率アンプの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0082】
10 アルコールインターロックシステム(呼気アルコール測定装置)
20 ハンディーユニット(呼気吹込ユニット)
23 マウスピース(呼気吹込部)
23d 唇用電極
24 手用電極
34 アルコール燃料電池センサ(呼気アルコール測定部)
40 表示ユニット(別のユニット)
50 指紋読取部
51 指用電極
55 指紋認証モジュール(指紋認証部)
95 CPU(同一人判定部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の呼気中のアルコール濃度の測定を行う呼気アルコール測定部と、前記被験者が前記呼気の吹込みを行うための呼気吹込部と、前記被験者の指の指紋の読取りを行う指紋読取部と、前記指紋読取部によって読み取られた前記指紋に基づいて前記被験者の認証を行う指紋認証部と、前記吹込みを行った人物および前記読取りが行われた人物が同一人であるか否かの判定を行う同一人判定部とを備え、
前記呼気吹込部は、前記被験者の唇が接触させられる電極である唇用電極を備え、
前記指紋読取部は、前記指が接触させられる電極である指用電極を備え、
前記同一人判定部は、前記唇用電極および前記指用電極の電圧に基づいて前記被験者の心臓の電気的活動を取得し、取得した前記電気的活動に基づいて前記判定を行うことを特徴とする呼気アルコール測定装置。
【請求項2】
被験者の呼気中のアルコール濃度の測定を行う呼気アルコール測定部と、前記被験者が前記呼気の吹込みを行うための呼気吹込部が設置されたユニットである呼気吹込ユニットと、前記呼気吹込ユニットとは別のユニットに設置されて前記被験者の指の指紋の読取りを行う指紋読取部と、前記指紋読取部によって読み取られた前記指紋に基づいて前記被験者の認証を行う指紋認証部と、前記吹込みを行った人物および前記読取りが行われた人物が同一人であるか否かの判定を行う同一人判定部とを備え、
前記呼気吹込ユニットは、前記被験者によって把持されるときに前記被験者の手が接触させられる位置に配置された電極である手用電極を備え、
前記指紋読取部は、前記指が接触させられる電極である指用電極を備え、
前記同一人判定部は、前記手用電極および前記指用電極の電圧に基づいて前記被験者の心臓の電気的活動を取得し、取得した前記電気的活動に基づいて前記判定を行うことを特徴とする呼気アルコール測定装置。
【請求項3】
被験者の呼気中のアルコール濃度の測定を行う呼気アルコール測定部と、前記被験者が前記呼気の吹込みを行うための呼気吹込部と、前記被験者の指の指紋の読取りを行う指紋読取部と、前記指紋読取部によって読み取られた前記指紋に基づいて前記被験者の認証を行う指紋認証部と、前記吹込みを行った人物および前記読取りが行われた人物が同一人であるか否かの判定を行う同一人判定部とを備え、
前記呼気吹込部は、前記被験者の唇が接触させられる電極である唇用電極を備え、
前記指紋読取部は、前記指が接触させられる電極である指用電極を備え、
前記同一人判定部は、前記唇用電極および前記指用電極の電圧に基づいて前記被験者の身体の導電率を取得し、取得した前記導電率に基づいて前記判定を行うことを特徴とする呼気アルコール測定装置。
【請求項4】
被験者の呼気中のアルコール濃度の測定を行う呼気アルコール測定部と、前記被験者が前記呼気の吹込みを行うための呼気吹込部が設置されたユニットである呼気吹込ユニットと、前記呼気吹込ユニットとは別のユニットに設置されて前記被験者の指の指紋の読取りを行う指紋読取部と、前記指紋読取部によって読み取られた前記指紋に基づいて前記被験者の認証を行う指紋認証部と、前記吹込みを行った人物および前記読取りが行われた人物が同一人であるか否かの判定を行う同一人判定部とを備え、
前記呼気吹込ユニットは、前記被験者によって把持されるときに前記被験者の手が接触させられる位置に配置された電極である手用電極を備え、
前記指紋読取部は、前記指が接触させられる電極である指用電極を備え、
前記同一人判定部は、前記手用電極および前記指用電極の電圧に基づいて前記被験者の身体の導電率を取得し、取得した前記導電率に基づいて前記判定を行うことを特徴とする呼気アルコール測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−201699(P2009−201699A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46948(P2008−46948)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(302031454)東海電子株式会社 (34)
【Fターム(参考)】