説明

商品管理装置

【課題】商品陳列棚から商品が取り出された際に報知を行うことで、万引きを事前に止めさせる。
【解決手段】商品陳列棚に陳列されている各商品にそれぞれ付されたRFIDタグを非接触で検出するためのアンテナ及びRFIDタグリーダとそれを制御するコントローラを備える。コントローラは、RFIDタグリーダによるタグ検出動作を繰り返し行わせる。また、RFIDタグリーダによりタグ検出動作が行なわれる毎に、検出されたRFIDタグの数を計数する。そして、RFIDタグの数が計数される毎に、その計数値と前回のタグ検出動作に応じて計数された値とを比較し、今回の計数値が前回の計数値よりも少ないと判定されると、報知器を報知動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売店等で利用される商品管理装置に関し、特に、店舗から商品が不正に持ち出されるのを、RFID(Radio Frequency Identification)タグを用いて防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タグ識別子として固有のIDを設定記憶したICチップとアンテナを有し、専用のリーダ・ライタとの間で無線を利用して非接触で通信を行うことにより、IDの読出しや任意の情報の書込み及び読出しができる小型の無線データキャリア、いわゆるRFIDタグが注目されており、このRFIDタグを用いた様々なシステムが提案されている。
【0003】
例えば、小売店向けのシステムとして、RFIDタグを用いて商品の販売登録処理と万引き防止とを図れるようにした商品管理システムがある。このシステムにおいては、各商品は、各々にRFIDタグが付されて販売される。各RFIDタグのメモリには、当該タグが付されている商品の商品コード等の商品情報が記憶されている。また、商品販売登録装置としてのPOS(Point Of Sales)端末に、RFIDタグリーダ・ライタが接続されている。さらに店の出入口部に、RFIDタグ交信用のゲート式アンテナと警報機とからなる防犯ゲートが設置されている。POS端末では、RFIDタグリーダ・ライタを介してRFIDタグから読取った商品情報に基づいて、当該RFIDタグが付された商品の販売データが登録処理される。また、登録処理を終えた商品に付されているRFIDタグの商品情報が商品情報以外の情報に書き換えられる。防犯ゲートでは、ゲート式アンテナを介して交信したRFIDタグのメモリに商品情報が記憶されているか否かが判断される。そして、商品情報が記憶されている場合には警報機が作動する。このような構成により、レジで販売登録されていない商品が出入口部から不正に持ち出されようとすると警報機が作動して警報が発せられるので、万引きを防止することができる。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、商品陳列棚に陳列されている商品の移動とこれに関わる人物の特定を可能にした商品管理システムがある。このシステムにおいても、各商品は、各々に該当する商品情報が記憶されたRFIDタグが付されて販売される。各商品が陳列される商品陳列棚には、陳列棚から取り出された商品に付されているRFIDタグから商品情報を読取る手段と、読取った商品情報を送信する手段が設けられている。また、商品陳列棚の近傍に撮影装置が設けられている。POS端末では、商品販売時に料金支払い済であることが登録される。店の出入口部には、RFIDタグの商品情報を検知して警報を発する防犯ゲートが設けられている。しかして、商品陳列棚から取り出された商品の商品情報が送信されると、これに連動して撮影装置が撮影動作する。そして、商品情報とともに撮影画像データが記憶される。また、POS端末で料金支払い済であることが登録されていない商品の商品情報が防犯ゲートで検知されると、警報が発せられる。かかる構成により、店外に商品が不正に持ち出されるのを防止できるとともに、不正に持ち出されようとした商品を商品陳列棚から取り出した人物を特定することができる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−030150号公報
【特許文献2】特開2005−135313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のRFIDタグを用いた商品管理システムにおいては、POS端末で未登録の商品が防犯ゲートの設置場所まで持ち出されないと万引きの警告が発せられなかった。
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされもので、その目的とするところは、商品陳列棚から商品が取り出された際に報知を行うことで、万引きを事前に止めさせることができる商品管理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の商品管理装置は、商品陳列棚に陳列されている各商品にそれぞれ付されたRFIDタグを非接触で検出するタグ検出手段と制御手段を備えている。制御手段は、タグ検出手段によるタグ検出動作を繰り返し行わせる。また、タグ検出手段によりタグ検出動作が行なわれる毎に、検出されたRFIDタグの数を計数するタグ数計数手段、及び計数されたRFIDタグの数を記憶するタグ数記憶手段と、タグ数比較手段及び報知手段を備えている。タグ数比較手段は、タグ数計数手段によりRFIDタグの数が計数される毎に、その計数値と前回のタグ検出動作に応じて計数されタグ数記憶手段により記憶されている記憶値とを比較する。報知手段は、タグ数比較手段により計数値が記憶値よりも少ないと判定されると報知する。
【発明の効果】
【0009】
かかる手段を講じた本発明によれば、商品陳列棚から商品が取り出された際に報知されるので、万引きを事前に止めさせることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る商品管理装置の一実施の形態を示す模式図。
【図2】同実施の形態において商品陳列棚に陳列される商品の一例を示す模式図。
【図3】同実施の形態において各商品に付されるRFIDタグの要部構成を示すブロック図。
【図4】同実施の形態におけるコントローラの要部構成を示すブロック図。
【図5】同実施の形態においてコントローラのRAMに形成される主要なメモリエリアを示す模式図。
【図6】同実施の形態においてコントローラのCPUが実行するメイン処理の要部手順を示す流れ図。
【図7】コントローラのCPUが実行するメイン処理の他の実施形態を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の商品管理装置の一実施形態を示す模式図である。同図において、符号1は店舗の売場に設置される商品陳列棚である。この商品陳列棚1には、RFIDタグ交信用のアンテナ2が設けられている。また、ランプ3とスピーカ4を備えた報知器5が取り付けられている。
【0012】
アンテナ2は、商品陳列棚1の全域をRFIDタグとの交信可能領域とするように電波放射強度及び指向性の向きが定められている。なお、図1では商品陳列棚1の天板にアンテナ2が埋設されているが、アンテナ2の取付部位はこれに限定されるものではなく、背板,底板等、商品陳列棚1の全域がRFIDタグとの交信可能領域となり得る部位であればよい。あるいは、棚段毎にアンテナ2を設けてもよい。また、図1では商品陳列棚1の正面に向けてランプ3及びスピーカ4が取り付けられているが、ランプ3及びスピーカ4の向きはこれに限定されるものではなく、商品陳列棚1の近くにいる人に対してランプ3の点灯,点滅やスピーカ4の鳴動による報知動作が伝達される場所であればよい。
【0013】
アンテナ2には、RFIDタグリーダ6が接続されている。RFIDタグリーダ6は、アンテナ2の交信可能領域内に存在するRFIDタグを検出し、そのRFIDタグのメモリに記憶されたデータを上記アンテナ2を介して非接触により読取るものである。ここで、RFIDタグリーダ6とRFIDタグとの交信制御にアンチコリジョン(衝突防止)という方式が用いられている。これにより、アンテナ2の交信可能領域内に複数のRFIDタグが存在していた場合には、RFIDタグリーダ6によって各RFIDタグのデータが一括して読取られることとなる。
【0014】
RFIDタグリーダ6と報知器5は、コントローラ7に接続されている。コントローラ7については、後述する。
【0015】
かかる構成の商品陳列棚1は、図2に示すように、それぞれRFIDタグ8が付された商品9を陳列することによって、万引き防止の機能を発揮し得るものとなる。以下、この万引き防止の機能について具体的に説明する。
【0016】
図3はRFIDタグ8の要部構成を示すブロック図である。RFIDタグ8は、アンテナ81と、該アンテナ81に接続されたICチップ82とからなる。ICチップ82は、アンテナ81で受信した変調電波の整流と安定化を行なうことによりICチップ82の各部に電源を供給する電源生成部83、上記変調電波を復調して制御部86へ送出する復調部84、制御部86から送出されたデータを変調してアンテナ81に送出する変調部85、復調部84で復調されたデータのメモリ87への書込みや、メモリ87から送信データを読み出して変調部85へ送出する制御部86及び不揮発性のメモリ87で構成されている。メモリ87には、当該RFIDタグ8の製造段階で製造業者により割当て設定された固有のIDを記憶するIDエリア87aと、ユーザが任意のデータを書込むことができるユーザエリア87bとが形成されている。
【0017】
本実施の形態において、各商品9にそれぞれ付されているRFIDタグ8のユーザエリア87bには、当該RFIDタグ8が付された商品9に関する情報として、商品コード,商品名,単価等の商品情報が書き込まれている。かくして、客が買上げる商品9に付されたRFIDタグ8からそのユーザエリア87bに記憶された商品情報をPOS端末で非接触により読取ることによって、買上げ商品9の販売データを登録処理できるようになっいている。
【0018】
図4はコントローラ7の要部構成を示すブロック図である。コントローラ7は、制御部本体を構成するCPU(Central Processing Unit)71、プログラム等の固定的データが予め格納されたROM(Read Only Memory)72、各種データを書換え自在に記憶するRAM(Random Access Memory)73、現在の日付及び時刻を計時する計時手段としての時計部74、大容量の補助記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)装置75、前記RFIDタグリーダ6が電気的に接続されるタグリーダインターフェイス77及び前記報知器5が電気的に接続される報知器インターフェイス78等で構成されている。CPU71と、ROM72,RAM73,時計部74,HDD装置75,通信コントローラ76,タグリーダインターフェイス77及び報知器インターフェイス78とは、アドレスバス,データバス等のバスライン79で接続されている。
【0019】
RAM73には、図5に示すように、複数のRFIDタグ8のIDとそれぞれ関連付けて商品名データを記憶可能な一対のバッファ731,732と、一対のカウンタ733,734が形成されている。ここで、説明の便宜上、一方のバッファ731を今回読取りバッファ731と称し、他方のバッファ732を前回読取りバッファ732と称する。また、一方のカウンタ733を今回商品点数カウンタ733と称し、他方のカウンタ734を前回商品点数カウンタ734と称する。また、今回商品点数カウンタ733のカウント値をAとし、前回商品点数カウンタ734のカウント値をBとして、以下の説明を続ける。
【0020】
図6はコントローラ7のCPU71が実行するメイン処理の手順の要部を示す流れ図である。CPU71は、遅くとも店舗の開店時刻までに当該メイン処理を開始する。先ず、ST(ステップ)1としてRAM73の初期化を行なう。これにより、今回読取りバッファ731及び前回読取りバッファ732がクリアされる。また、今回商品点数カウンタ733と前回商品点数カウンタ734の各カウント値A,Bがいずれも“0”にリセットされる。
【0021】
次に、CPU71は、ST2としてタグリーダインターフェイス77を介して接続されたRFIDタグリーダ6に対して、RFIDタグの読取りコマンドを送信する。これにより、RFIDタグリーダ6においては、該読取りコマンドが変調され、その変調電波がアンテナ2から放射される。このとき、該変調電波の到達範囲内にRFIDタグ8が1つでも存在した場合には、その存在する全てのRFIDタグ8が起電し、メモリ87内のIDとユーザエリア87bのデータつまりは商品情報が変調されて、その変調電波がアンテナ81から放射される。RFIDタグ8のアンテナ81から放射された変調電波は、アンテナ2で受信され,RFIDタグリーダ6に取込まれる。そして、RFIDタグ8毎にIDと商品情報とからなるRFIDタグデータに復調された後、コントローラ7に伝送される。
【0022】
そこで、CPU71においては、ST3としてRFIDタグリーダ6からRFIDタグデータが送られてくるのを待機している。そして、1つのRFIDタグ8に対応したRFIDタグデータを受信する毎に、CPU71は、ST4及びST5の処理を実行する。すなわちST4では、今回商品点数カウンタ733のカウント値Aを“1”だけ増加させる。ST5では、受信したRFIDタグデータのIDと商品名データとを、今回読取りバッファ731に書き込む。
【0023】
CPU71は、ST6として次のRFIDタグデータがない、つまりRFIDタグリーダ6で一括読取りされた全てのRFIDタグデータを受信し、ST4,ST5の処理を実行したと判断すると、次に、ST7として今回読取りバッファ731に記憶されたIDとそれに関連する商品名データとを、IDの昇順に並べ替える。なお、並べ替えの方向は昇順に限定されるものではなく、例えば降順であってもよい。
【0024】
次に、CPU71は、ST8として今回商品点数カウンタ733のカウント値Aと前回商品点数カウンタ734のカウント値Bとの大小比較を行なう。ここで、カウント値Aとカウント値Bが等しい、若しくはカウント値Aの方がカウント値Bよりも大きい場合には、前回のRFIDタグ一括読取り動作により読取られたRFIDタグ8の数と比較して、今回のRFIDタグ一括読取り動作により読取られたRFIDタグ8の数が減っていない、すなわち商品陳列棚1に陳列されている商品9が棚から取り出されていないので、CPU71は、ST9として前回読取りバッファ732のデータをクリアした後、今回読取りバッファ731のデータを前回読取りバッファ732へ転送して格納する。また、ST10として前回商品点数カウンタ734のカウント値Bを今回商品点数カウンタ733のカウント値Aに更新し、今回商品点数カウンタ733のカウント値Aを“0”にリセットする。その後、ST2に戻り、RFIDタグリーダ6に対してRFIDタグの読取りコマンドを再度送信したならば、ST3以降の処理を再び実行する。
【0025】
ST8にてカウント値Aの方がカウント値Bよりも小さい場合には、前回のRFIDタグ一括読取り動作により読取られたRFIDタグ8の数と比較して、今回のRFIDタグ一括読取り動作により読取られたRFIDタグ8の数が減っている、すなわち商品陳列棚1に陳列されている商品9が棚から取り出されたので、CPU71は、ST11として報知器5のランプ3を点灯動作させる。
【0026】
次に、CPU71は、ST12として前回商品点数カウンタ734のカウント値Bから今回商品点数カウンタ733のカウント値Aを減算した値Nを算出する。しかる後、CPU71は、ST13として前回読取りバッファ732に記憶されているデータと今回読取りバッファ731に記憶されているデータを順番に照合して、前回読取りバッファ732には記憶されているが今回読取りバッファ731には記憶されていないIDとそれに関連した商品名データを検索する。そして、該当するIDと商品名データとを検出したならば、CPU71は、ST14として例えば『商品「商品名」を手にとって頂きありがとうございます』というように商品名データを含む音声メッセージを作成し、このメッセージをスピーカ4から音声出力させる。
【0027】
次に、CPU71は、ST15として上記値Nを“1”だけ減算する。そして、ST16としてこの値Nが“0”になったか否かを判断する。ここで、値Nが“0”より大きい場合には、前回読取りバッファ732には記憶されているが今回読取りバッファ731には記憶されていないIDが他にも存在するので、CPU71は、ST13の処理に戻り、ST13〜ST16の処理を再度実行する。
【0028】
ST16にて値Nが“0”になったことを確認した場合には、CPU71は、ST17としてランプ3を消灯させる。しかる後、カウント値Aとカウント値Bが等しい、若しくはカウント値Aの方がカウント値Bよりも大きい場合と同様に、前回読取りバッファ732のデータをクリアした後、今回読取りバッファ731のデータを前回読取りバッファ732へ転送して格納する(ST9)。また、前回商品点数カウンタ734のカウント値Bを今回商品点数カウンタ733のカウント値Aに更新し、今回商品点数カウンタ733のカウント値Aを“0”にリセットする(ST10)。その後、ST2に戻り、RFIDタグリーダ6に対してRFIDタグの読取りコマンドを再度送信したならば、ST3以降の処理を再度実行する。以後、CPU71は、閉店になるまで、ST2〜ST17の処理を繰り返し実行するものとなっている。
【0029】
ここに、商品陳列棚1に設けられたアンテナ2とRFIDタグリーダ6は、商品陳列棚1に陳列されている各商品9にそれぞれ付されたRFIDタグ8を非接触で検出するタグ検出手段を構成している。
コントローラ7は、上記タグ検出手段(アンテナ2,RFIDタグリーダ6)によるタグ検出動作を繰り返し行わせる制御手段を構成している。
【0030】
今回商品点数カウンタ733は、上記タグ検出手段(アンテナ2,RFIDタグリーダ6)によりタグ検出動作が行なわれる毎に、検出されたRFIDタグ8の数を計数するタグ数計数手段を構成している。
前回商品点数カウンタ734は、タグ数計数手段(今回商品点数カウンタ733)により計数されたRFIDタグ8の数を記憶するタグ数記憶手段を構成している。
CPU71は、タグ数計数手段(今回商品点数カウンタ733)によりRFIDタグ8の数が計数される毎に、その計数値Aと前回のタグ検出動作に応じて計数されタグ数記憶手段(前回商品点数カウンタ734)により記憶されている記憶値Bとを比較するタグ数比較手段を構成している。
報知器5は、タグ数比較手段(CPU71)により計数値Aが記憶値Bよりも少ないと判定されると報知する報知手段を構成している。
【0031】
このように構成された本実施の形態においては、それぞれRFIDタグ8が付された各商品9が商品陳列棚1に陳列されている状態において、コントローラ7の制御によりRFIDタグリーダ6がRFIDタグ8の一括読取り動作を繰り返し行なっている。これにより、アンテナ2の更新可能領域内に存在する全てのRFIDタグ8、つまりは商品陳列棚1に陳列されている各商品9にそれぞれ付されているRFIDタグ8のメモリデータがRFIDタグリーダ6によって繰り返し読取られ、コントローラ7に送信される。
【0032】
コントローラ7においては、RFIDタグリーダ6においてRFIDタグ8のデータが一括して読取られる毎に、そのRFIDタグデータの件数が今回商品点数カウンタ733によって計数される。また、各RFIDタグデータ中のIDと商品名データとが対応付けられて今回読取りバッファ731に書き込まれる。このとき、前回商品点数カウンタ734では、直前のRFIDタグ読取り動作により一括読取りされたRFIDタグデータの件数が記憶されている。また、前回読取りバッファ732には、その直前のRFIDタグ読取り動作により一括読取りされたRFIDタグデータ中のIDと商品名データとが対応付けられて記憶されている。
【0033】
そこでコントローラ7においては、今回商品点数カウンタ733のカウント値Aと前回商品点数カウンタ734のカウント値Bとの大小が比較される。その結果、カウント値Aとカウント値Bが等しい、若しくはカウント値Aの方がカウント値Bよりも大きい場合には、今回読取りバッファ731のデータが前回読取りバッファ732へコピーされる。また、前回商品点数カウンタ734のカウント値Bが今回商品点数カウンタ733のカウント値Aに更新される。
【0034】
一方、カウント値Aの方がカウント値Bよりも小さい場合には、ランプ3が点灯して商品陳列棚1から商品9が取り出されたことが報知されるとともに、前回読取りバッファ732には記憶されているが今回読取りバッファ731には記憶されていないIDとそれに関連した商品名データが検出される。そして、この商品名を含む音声メッセージがスピーカ4から音声出力されて、商品陳列棚1から取り出された商品世の品目が報知される。その後、今回読取りバッファ731のデータが前回読取りバッファ732へコピーされる。また、前回商品点数カウンタ734のカウント値Bが今回商品点数カウンタ733のカウント値Aに更新される。
【0035】
したがって、本実施の形態によれば、客が商品陳列棚1に陳列されている商品9を手に取ると、即座にその商品陳列棚1に設けられているランプ3が点灯するとともに、スピーカ4からその商品の商品名を含むメッセージが音声出力されるので、客が商品陳列棚1からいかなる商品を手にしたかということを、店員やその周囲の他の客が容易に知り得ることとなる。このことは、万引きをするために商品を手にした客に対して、その行為が店員やその周囲の他の客に知られているという認識を持たせることとなり、心理的に万引きし辛くなる。かくして、万引きを事前に止めさせることができる。
【0036】
また、客が商品陳列棚1からいかなる商品を手にしたかということを、店員のみならずその周囲の他の客も知り得るので、周囲の客が、他の客が手にした商品に興味を持つようになる。その結果、他の客が手にした商品を購入する客が増える傾向が高まることも期待できる。
【0037】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0038】
例えば前記実施の形態では、商品陳列棚1から商品9を取り出すと、その商品名を含む音声メッセージをスピーカ4から出力するようにしたが、メッセージの内容はこれに限定されるものではない。例えば、商品の特徴を説明するデータをRFIDタグ8のメモリに記憶させ、客が商品陳列棚1から商品9を取り出す毎に、その商品の特徴が音声で説明されるようにしてもよい。こうすることにより、商品9を手にした客がその特徴を聞いて購入を決める場合があり、販売の促進を図ることができる。
【0039】
また、客が商品陳列棚1から商品9を手に持ったという行為を報知するだけの固定のメッセージ、例えば「商品を手にとって頂きありがとうございます」を報知することによって、万引き防止を図るようにしてもよい。
【0040】
この場合におけるコントローラ7のCPU71が実行するメイン処理の要部手順を図7に示す。なお、図6に示す流れ図の処理と同一処理を行なうステップには同一符号を付している。
【0041】
すなわちCPU71は、ST1としてRAM73の初期化を行なう。次に、CPU71は、ST2としてRFIDタグリーダ6に対してRFIDタグの読取りコマンドを送信すし、ST3としてRFIDタグリーダ6からRFIDタグデータが送られてくるのを待機する。そして、1つのRFIDタグ8に対応したRFIDタグデータを受信する毎に、CPU71は、ST4として今回商品点数カウンタ733のカウント値Aを“1”だけ増加させる。
【0042】
そして、ST6として次のRFIDタグデータがないと判断すると、CPU31は、ST8として今回商品点数カウンタ733のカウント値Aと前回商品点数カウンタ734のカウント値Bとの大小比較を行なう。ここで、カウント値Aとカウント値Bが等しい、若しくはカウント値Aの方がカウント値Bよりも大きい場合には、CPU71は、ST10として前回商品点数カウンタ734のカウント値Bを今回商品点数カウンタ733のカウント値Aに更新し、今回商品点数カウンタ733のカウント値Aを“0”にリセットする。その後、ST2に戻り、RFIDタグリーダ6に対してRFIDタグの読取りコマンドを再度送信したならば、ST3以降の処理を再び実行する。
【0043】
一方、ST8にてカウント値Aの方がカウント値Bよりも小さい場合には、CPU71は、ST11として報知器5のランプ3を点灯動作させる。また、CPU71は、ST14′として例えば「商品を手にとって頂きありがとうございます」というような固定のメッセージをスピーカ4から音声出力させる。
【0044】
次に、CPU71は、ST17としてランプ3を消灯させる。しかる後、カウント値Aとカウント値Bが等しい、若しくはカウント値Aの方がカウント値Bよりも大きい場合と同様に、前回商品点数カウンタ734のカウント値Bを今回商品点数カウンタ733のカウント値Aに更新し、今回商品点数カウンタ733のカウント値Aを“0”にリセットする(ST10)。その後、ST2に戻り、RFIDタグリーダ6に対してRFIDタグの読取りコマンドを再度送信したならば、ST3以降の処理を再び実行する。以後、CPU71は、閉店になるまで、ST2〜ST17の処理を繰り返し実行する。
【0045】
このような構成の他の実施形態においても、客が商品陳列棚1に陳列されている商品9を手に取ると、即座にその商品陳列棚1に設けられているランプ3が点灯するとともに、スピーカ4からメッセージが音声出力されるので、客が商品陳列棚1から商品を手にしたかということを、店員やその周囲の他の客が容易に知り得ることとなり、万引き防止の効果を奏し得る。
【0046】
また、この他の実施の形態においては、各商品9にそれぞれ付されるRFIDタグ8のメモリに商品情報が記憶されていなくても対応できるので、一般的なRFIDタグを各商品に貼付するだけで万引き防止の効果を得られる利点もある。
【0047】
なお、商品名を含む音声メッセージを出力する実施の形態においても、以下の如く構成することによって、RFIDタグ8のメモリ87で商品名データを記憶しなくてもよい。すなわち、各商品の商品コードに対応して少なくとも商品名データを設定記憶した商品情報テーブルをコントローラ7のHDD装置75などに保管する。そして、RFIDタグ8から読取ったRFIDタグデータ中の商品コードで上記商品情報テーブルを検索して該当する商品名データを取得するようにする。こうすることにより、RFIDタグ8のメモリ87で商品名データが記憶されていなくても、商品情報テーブルから取得した商品名データの商品名を含む音声メッセージをスピーカ4から出力することができ、前記実施の形態と同様な効果を奏することができる。
【0048】
また、前記各実施の形態では、スピーカ4からメッセージの音声出力することで報知動作する場合を示したが、メッセージでなく単なるブザー音を出力するだけの報知動作であってもよい。また、ランプ3とスピーカ4の双方を必ずしも必要とするものではなく、ランプ3のみあるいはスピーカ4のみによって報知手段を構成していてもよい。あるいは、ランプ3若しくはスピーカ4以外の報知器を使用して本発明を構成してもよいのは言うまでもないことである。
【0049】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態にそれぞれ示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…商品陳列棚、2…アンテナ、3…ランプ、4…スピーカ、5…報知器、6…RFIDタグリーダ、7…コントローラ、8…RFIDタグ、9…商品、71…CPU、731…今回読取りバッファ、732…前回読取りバッファ、733…今回商品カウンタ、734…前回商品カウンタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品陳列棚に陳列されている各商品にそれぞれ付されたRFID(Radio Frequency Identification)タグを非接触で検出するタグ検出手段と、
このタグ検出手段によるタグ検出動作を繰り返し行わせる制御手段と、
前記タグ検出手段によりタグ検出動作が行なわれる毎に、検出された前記RFIDタグの数を計数するタグ数計数手段と、
このタグ数計数手段により計数された前記RFIDタグの数を記憶するタグ数記憶手段と、
前記タグ数計数手段により前記RFIDタグの数が計数される毎に、その計数値と前回のタグ検出動作に応じて計数され前記タグ数記憶手段により記憶されている記憶値とを比較するタグ数比較手段と、
このタグ数比較手段により前記計数値が前記記憶値よりも少ないと判定されると報知する報知手段と、
を具備したことを特徴とする商品管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−138543(P2011−138543A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55324(P2011−55324)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【分割の表示】特願2005−262623(P2005−262623)の分割
【原出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】