説明

商品販売データ処理装置及びレシート

【課題】 1取引に対して還元される合計ポイントの内訳を印字内容から容易に知り得るレシートを発行できるようにする。
【解決手段】 商品毎に設定された商品コードに対応してその商品の価格に対するポイント還元率を記憶するデータファイルを設ける。販売商品の商品コードが入力されると、その商品コードが設定された商品の価格とポイント還元率とから当該商品の売買による獲得ポイントを算出する。また、1取引で売買された商品の獲得ポイントを合計する。そして、1取引で売買された商品毎の獲得ポイント及びポイント還元率の少なくとも一方と合計ポイントとをレシート90に印字させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、価格に対するポイント還元率がそれぞれ設定された商品の販売データを処理するPOS(Point Of Sales)端末等の商品販売データ処理装置及びこの装置によって印字されるレシートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば洗濯機,冷蔵庫,パソコン,ビデオカメラ等の電化製品を販売する大型家電量販店では、商品毎にその価格に対するポイント還元率をそれぞれ設定し、商品を購入した顧客に対してその商品の価格の一部をポイントとして還元するポイント還元サービスを実施している店がある。
【0003】
このようなポイント還元サービスを実施する店で使用可能な従来の商品販売データ処理装置としては、商品毎に価格とポイント還元率とが設定された商品情報ファイルを備え、1取引で売買される商品が登録される毎に、その商品の価格とポイント還元率とを商品情報ファイルから取得して獲得ポイントを計算し、その後、取引の決済が指示されると、獲得ポイントの合計ポイントを顧客の累計ポイントに加算するようにしたものが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−259792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のこの種の商品販売データ処理装置から発行されるレシートには、1取引に対して還元される合計ポイントが印字されているだけであり、その合計ポイントの内訳をレシートの印字内容からは顧客が知ることは困難であった。このため、複数の商品を買い上げた顧客に対して商品毎にそれぞれ何ポイントが付与されたのかを強くアピールしたいという販売店側の要望を満足できるものではなかった。
【0005】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、商品毎にその価格に対するポイント還元率がそれぞれ設定された運用において、1取引に対して還元される合計ポイントの内訳を印字内容から容易に知り得るレシートを発行できる商品販売データ処理装置及びこの装置によって印字されるレシートを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わる商品販売データ処理装置の一態様は、1取引で売買された商品の品名,価格や合計金額等の取引明細データが印字されたレシートを発行するレシート発行手段を備えたものにおいて、商品毎に設定された商品コードに対応してその商品の価格に対するポイント還元率を記憶するポイント還元率記憶手段と、商品コードの入力手段と、この入力手段を介して入力された商品コードが設定された商品の価格とポイント還元率とから当該商品の売買による獲得ポイントを算出するポイント算出手段と、1取引で売買された商品のポイント算出手段によって算出された獲得ポイントを合計するポイント合計手段と、1取引で売買された商品毎の獲得ポイント及びポイント還元率の少なくとも一方とポイント合計手段により算出された合計ポイントとをレシート発行手段により発行されるレシートに印字させるポイント印字制御手段とを備えたものである。
【0007】
また、本発明に係わるレシートの一態様は、1取引で売買された商品の品名,価格の印字欄に続いて当該商品の価格とその価格に対するポイント還元率とから算出される獲得ポイントの印字欄を設けるとともに、当該1取引で売買された商品の合計金額印字欄の下側に当該1取引で売買された商品の獲得ポイントを合計した合計ポイントの印字欄を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
かかる手段を講じた本発明によれば、1取引に対して還元される合計ポイントの内訳を印字内容から容易に知り得るレシートを発行することができ、例えば複数の商品を買い上げた顧客に対して商品毎にそれぞれ何ポイントが付与されたのかを強くアピールしたいという販売店側の要望を十分に満足させることができる商品販売データ処理装置を提供できる。
また、1取引に対して還元される合計ポイントの内訳を印字内容から容易に知り得るレシートを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良な形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は本実施の形態の要部構成を示すブロック図であり、本実施の形態に係わる商品販売データ処理装置は、キーボード1,スキャナ2,カードリーダ3,ディスプレイ4,客用表示器5,プリンタ6等の入出力機器を備えたPOS端末10と、商品マスタファイル21,顧客マスタファイル22等のデータファイルを管理するファイルプロセッサ20とから構成されている。POS端末10とファイルプロセッサ20とは、LAN(Local Area Network)等の通信回線30で接続されている。
【0011】
商品マスタファイル21には、図2に示すように、店で販売される各商品を識別するために商品毎に設定された固有の商品コードに対応して、その商品の名称(品名)やその商品一点あたりの価格である単価等の他、その商品の価格に対するポイント還元率と、その商品がポイント計算対象外の設定のとき“1”にセットされる対象外設定フラグとが記憶されている。本実施の形態では、ポイント還元率が“0%”の商品(図2では商品E)と、単価として通常時よりも値引された特売価格が設定された商品(図2では商品C)とがポイント計算対象外であるとして、対象外設定フラグが“1”にセットされている。ここに、商品マスタファイル21は、ポイント還元率記憶手段として機能する。
【0012】
顧客マスタファイル22には、図3に示すように、ポイント会員として登録された各顧客を識別するために顧客毎に設定された固有の顧客コードに対応して、その顧客の氏名や最新の累計ポイント等が記憶されている。各顧客には、それぞれ自己の顧客コードが記録されたポイントカードが配布されており、商品買上時に店側に提示することで、ポイントが付与される運用となっている。なお、ポイントカードにその顧客の最新の累計ポイントを記録してもよい。
【0013】
POS端末10には、制御部本体としてCPU(Central Processing Unit)11が実装されており、このCPU11に、アドレスバス,データバス等のバスライン12を介して、ROM(Read Only Memory)13及びRAM(Random Access Memory)14のメモリ部、現在の日付及び時刻を計時する時計部15、前記各入出力機器1〜6とのインターフェイス部16、前記ファイルプロセッサ20との間のデータ通信を制御する通信コントローラ17等が接続されている。
【0014】
キーボード1には、図4に示すように、数値データを置数するための「00」および「0」〜「9」の置数キー41、この置数キー41によって置数された数値データがPLU(Price Look Up)コードであることを指令するPLUキー42、数値データが乗数であることを指令する×キー43、数値データが割引率であることを指令する割引キー44、数値データが値引額であることを指令する値引キー45、数値データのクリア等を指令するクリアキー46、1取引の小計出力を指令する小計キー47、1取引の現金締めを指令する預/現計キー48等の他、除外キー49と変更キー50が配設されている。除外キー49は、販売商品がポイント計算対象外であることを宣言するキーである。変更キー50は、ポイント還元率の変更を宣言するキーである。
【0015】
スキャナ2は、各商品に付されたバーコードを読取るものである。各商品には、その商品固有の商品コードを示すバーコードが付されている。ここに、スキャナ2は、商品コードの入力手段として機能する。なお、商品コードは、PLUコードとしてキーボード1の置数キー41とPLUキー42とにより入力することも可能である。
【0016】
カードリーダ3は、前記ポイントカードに記録された顧客コードを含むカードデータを読取るものである。ディスプレイ4は、POS端末10のオペレータに対し、1取引として売買される商品の品名,価格や合計金額等を表示するものであり、客用表示器5は、当該1取引の顧客に対して同様な情報を表示するものである。
【0017】
プリンタ6は、CPU11の制御により、1取引で売買された商品の品名,価格や合計金額等の取引明細データが印字されたレシートを発行するものである。プリンタ6とCPU11とによって、本発明のレシート発行手段が構成されている。
【0018】
かかる構成のPOS端末10においては、本発明に関わる主要なメモリエリアとして、図5に示す如くRAM14に、商品登録情報バッファ51,商品登録情報件数カウンタ52,ポイントカードバッファ53及び印字バッファ54が形成されている。
【0019】
商品登録情報バッファ51には、1取引で売買される商品毎に、商品コード,品名,単価,ポイント還元率,販売点数,販売金額,獲得ポイント,売変金額及び除外フラグの各項目からなる商品登録情報レコードが蓄積される。また、蓄積された商品登録情報レコードの販売点数,販売金額,獲得ポイント,売変金額の各合計エリア55,56,57,58が形成されている。商品登録情報件数カウンタ52では、商品登録情報バッファ51に蓄積された商品登録情報レコードの件数Nが計数される。
【0020】
ポイントカードバッファ53には、ポイントカードから読取った顧客コードを含むカードデータが格納される。また、ポイントカードを提示した顧客との商取引であるか否かを識別するためのカードフラグCFのエリアが形成されている。因みに、この実施の形態では、ポイントカードを提示した顧客との商取引であるときには、カードフラグCFは“1”にセットされるようになっている。
【0021】
印字バッファ54には、プリンタ6によって一括印字される1取引分のレシート印字データが格納される。
【0022】
しかしてCPU11は、図6の流れ図に示す手順で1顧客との商取引に関する情報処理を制御するものとなっている。なお、この処理を開始するにあたり、商品登録情報バッファ51,カードバッファ53及び印字バッファ54はクリアされている。商品登録情報件数カウンタ52のカウント値Nも“0”である。
【0023】
CPU11は、先ず、ST(ステップ)1としてカードバッファ53のカードフラグCFを調べる。当初、カードフラグCFは“0”にリセットされているので、CPU11は、ST2としてカード登録有無を判断する。ここで、カードリーダ3を介してポイントカードのカードデータが読取られていることを検知した場合には、CPU11は、カード登録有りと判断する。そして、ST3としてそのカードデータをカードバッファ53に書き込む。また、カードフラグCFを“1”にセットする。しかる後、CPU11は、ST5の処理に進む。これに対し、ST2にてポイントカードのカードデータが読取られておらず、カード登録無しと判断した場合には、CPU11は、ST3,4の処理を行わずにST5の処理に進む。
【0024】
ST5では、商品登録の有無を判断する。スキャナ2またはキーボード1の商品コード入力手段を介して商品コードが入力されると、CPU11は、商品登録有りと判断する。そして、ST6の処理に進む。これに対し、商品コードが入力されておらず商品登録無しと判断した場合には、CPU11は、ST1のカードフラグ判定処理に戻る。
【0025】
ST1にてカードフラグCが“1”にセットされていた場合には、カードデータがセーブされており、ポイントカードを提示したポイント会員との商取引なので、CPU11は、ST2〜ST4の処理を飛ばしてST5の処理に進む。
【0026】
ST6では、CPU11は、入力された商品コードでファイルプロセッサ20に通信コントローラ17を介して問合せを行い、この入力商品コードに対応して商品マスタファイル21にプリセットされている商品名称,単価,ポイント還元率,対象外設定フラグ等の商品情報を読込む。そして、この商品情報に基づいて商品名称,単価,ポイント還元率,販売点数,販売金額,獲得ポイント,売変金額および除外フラグの各項目からなる商品登録情報レコードを作成し、商品登録情報バッファ51にセーブする。
【0027】
このとき、商品登録情報バッファ51に商品コードが同一の商品登録情報レコードが格納されていない場合には、商品登録情報件数カウンタ52のカウント値Nを1だけカウントアップし、今回作成した商品登録情報レコードを商品登録情報バッファ51のN番目エリアに追加する。これに対し、商品登録情報バッファ51に商品コードが同一の商品登録情報レコードが既に格納されている場合には、その既存の商品登録情報レコードの販売点数データ及び販売金額データに、今回作成した商品登録情報レコードの販売点数と販売金額を加算する。なお、販売点数は、商品コードの入力直前に置数キー41と×キー43とにより乗数が入力されていた場合にはその乗数であり、乗数が入力されていない場合には1である。販売金額は、単価に販売点数を乗算して算出した金額である。売変金額は、商品コードの入力後に価格変更指示手段としての置数キー41と割引キー44あるいは値引キー45とによって割引率あるいは値引額の売変情報が入力された場合には、その割引額(販売金額×割引率)あるいは値引額であり、売変情報が入力されていない場合には0である。
【0028】
次に、CPU11は、ST7としてポイント計算除外の条件が成立したか否かを判断する。本実施の形態において、ポイント計算除外が成立する条件は3つある。そのうちの1つは、商品マスタファイル21から読込んだ商品情報中の対象外設定フラグが設定されている、つまりは“1”にセットされている場合である。別の1つは、商品コードの入力後に除外キー49が操作された場合である。残りの1つは、価格変更指示手段によって売変情報が入力された場合である(ポイント計算判断手段)。
【0029】
ポイント計算除外の条件が成立した場合には、CPU11は、ST8として今回追加された商品登録情報レコードまたは販売点数,販売金額等が加算された商品登録情報レコード(以下、今回編集レコードと称する)の除外フラグを“1”とする。その後、ST13の処理に進む。
【0030】
ST7にてポイント計算除外の条件が成立しない場合には、CPU11は、ST9として今回編集レコードの除外フラグを“0”とする。次に、CPU11は、ST10としてポイント還元率の変更が指示されたか否かを判断する。ここで、置数キー41と変更キー50との操作によりポイント還元率の変更が指示された場合には、CPU11は、ST11として今回編集レコードのポイント還元率をキー入力された数値データに書換える。
【0031】
しかる後、CPU11は、ST12として今回編集レコードの販売金額A(円)とポイント換算率B(%)とから、下記(1)式により獲得ポイントP(小数点以下は切捨て)を算出する(ポイント算出手段)。
P=(A×B)/100 …(1)
そして、この算出された獲得ポイントPを今回編集レコードにセットする。また、商品登録情報バッファ51に格納された全ての商品登録情報レコードの獲得ポイントを合計エリア57にて合計して、今回ポイントを算出する(ポイント合計手段)。その後、CPU11は、ST13の処理に進む。
【0032】
ST13では、登録締めの有無を判断する。キーボード1の預/現計キー48が操作されると、CPU11は、登録締め有りと判断する。そして、ST14の処理に進む。これに対し、預/現計キー48が操作されておらず登録締め無しと判断した場合には、CPU11は、ST1のカードフラグ判定処理に戻る。
【0033】
ST14では、登録締め処理を実行する。この登録締め処理において、CPU11は、商品登録情報バッファ51に格納された全ての商品登録情報レコードの販売点数,販売金額及び売変金額を合計エリア55,56,58にてそれぞれ合計する。そして、預り金額から合計金額(販売金額合計−売変金額合計)を減算して釣銭額を求め、ディスプレイ4及び客用表示器5に表示させる。
【0034】
その後、CPU11は、ST15として図7に具体的に示す印字データ作成処理を実行する。すなわちCPU11は、ST21としてカードフラグCFを調べる。ここで、カードフラグCFが“1”にセットされていた場合には、ポイントカードを提示した顧客との商取引なので、CPU11は、ST22として第1及び第2の加算カウンタ(不図示)の各値m,nをそれぞれ“1”に初期化する。
【0035】
しかる後、CPU11は、ST23として商品登録情報バッファ51のNo.mの領域(mは第1の加算カウンタのカウント値)から商品登録情報レコードを取得する。そして、ST24としてこの商品登録情報レコードの除外フラグをチェックする。ここで、除外フラグが“0”にリセットされていた場合には、当該レコードはポイント計算から除外されない商品の商品登録情報レコードなので、CPU11は、ST25として当該レコードの品名,単価,販売点数及び販売金額に加えてポイント還元率と獲得ポイントの各データから登録商品明細データの印字データを作成し、印字バッファ54にセーブする。これに対し、除外フラグが“1”にセットされていた場合には、当該レコードはポイント計算から除外される商品の商品登録情報レコードなので、CPU11は、ST26として当該レコードを商品登録情報バッファ51のNo.(N+n)の領域(Nは商品登録情報件数カウンタ52のカウント値、nは第2の加算カウンタのカウント値)にシフトする。その後、CPU11は、ST27として第2の加算カウンタnを1だけカウントアップする。
【0036】
次に、CPU11は、ST28として第1の加算カウンタを1だけカウントアップする。そして、ST29としてこの第1の加算カウンタのカウント値mが商品登録情報件数カウンタ52のカウント値Nを超えたか否かを判断する。カウント値mがカウント値Nを超えていない場合には、CPU11は、ST23の処理に戻り、商品登録情報バッファ51から次の商品登録情報レコードを取得する。そして、ポイント計算から除外されない商品のレコード(除外フラグ=0)であればST25,28の処理を実行し、ポイント計算から除外される商品のレコード(除外フラグ=1)であればST26,27,28の処理を実行する。
【0037】
こうして、CPU11は、商品登録情報バッファ51から順次、商品登録情報レコードを取得して、上記処理を繰返す。そして、ST29にてカウント値mがカウント値Nを超えたことを確認した場合には、CPU11は、ST30の処理に進む。
【0038】
ST30では、商品登録情報バッファ51のNo.mの領域(mは第1の加算カウンタのカウント値)に商品登録情報レコードがシフトされているか否かを判断する。そして、商品登録情報レコードがシフトされていると判断した場合には、CPU11は、ST31としてポイント計算から除外される商品の明細印字領域であることをレシート上に明示させるテキストデータ(例えば「ポイント除外」)を印字バッファ54にセーブする。
【0039】
次に、CPU11は、ST32としてこのNo.mの領域にシフトされている商品登録情報レコードを取得し、当該レコードの品名,単価,販売点数及び販売金額の各データから登録商品明細データの印字データを作成して、印字バッファ54にセーブする。このとき、ポイント還元率と獲得ポイントの各データは印字データに組み込まない。
【0040】
しかる後、CPU11は、ST33として第1の加算カウンタを1だけカウントアップする。そして、ST34として商品登録情報バッファ51のNo.mの領域に商品登録情報レコードがシフトされているか否かを判断する。ここで、商品登録情報レコードがシフトされていると判断した場合には、CPU11は、ST32の処理に戻り、当該レコードの品名,単価,販売点数及び販売金額の各データから登録商品明細データの印字データを作成して、印字バッファ54にセーブする。
【0041】
かくして、ST34にて商品登録情報バッファ51のNo.mの領域に商品登録情報レコードがシフトされていないことを確認した場合、すなわち1取引で売買された商品の中のポイント計算除外商品の明細データをまとめて印字バッファ54にセットした場合、あるいはST30にて商品登録情報バッファ51のNo.mの領域に商品登録情報レコードがシフトされていないことを確認した場合、すなわち1取引で売買された商品の中のポイント計算除外商品が存在しない場合には、CPU11は、ST35として当該商取引の合計金額,預り金額,釣銭額及び今回ポイント等の印字データを印字バッファ54にセーブする。
【0042】
以上で印字データ作成処理が終了するので、次にCPU11は、図6中ST16としてプリンタ6の駆動を制御して、印字バッファ54にセーブされている印字データのレシート用紙への一括印字を行わせ、レシートを発行させる(ポイント印字制御手段)。
【0043】
その後、CPU11は、ST17としてカードフラグCFをチェックする。そして、カードフラグCFが“1”にセットされている場合のみ、ST18としてポイントカードバッファ53内の顧客コードを含むカードデータと商品登録情報バッファ51の合計エリア57にて合計されている今回ポイントのデータをファイルプロセッサ20に転送して、当該1顧客との商取引に関する情報処理を終了する。
【0044】
なお、ファイルプロセッサ20においては、POS端末10から転送されてきたデータから顧客コードと今回ポイントとを取得し、顧客マスタファイル22の当該顧客コードに対応する累計ポイントに今回ポイントを加算する処理を実行するものとなっている。
【0045】
このように構成された本実施の形態においては、ファイルプロセッサ20に設けられた商品マスタファイル21上で、各商品の価格と当該価格に対するポイント還元率とが商品コード別に記憶管理されている。また、ポイント還元率が“0”の商品と、単価として通常時よりも値引された特売価格が設定された商品に対しては、対象外設定フラグが“1”にセットされている。
【0046】
今、商品マスタファイル21に図2に示すデータが設定されており、商品Aを2点、商品Bを6点、商品C,D,E,Fを各1点購入した客との商取引が発生した場合の作用について具体的に説明する。
【0047】
店員(キャッシャ)は、POS端末10のキーボード1またはスキャナ2を操作して、顧客が買上げる商品の商品コード,販売点数等を入力する。仮に、商品A,B,C,D,E,Fの順に商品コード等を入力したとする。また、商品Bについては6点の買上げで300円の値引を行ったとする。さらに、商品Fについてはポイント還元率を設定値の3%から10%に変更したとする。
【0048】
そうすると、商品登録情報バッファ51には、図8に示すように、No.1のレコードとして商品コード(1),品名(商品A),単価(1000円),ポイント還元率(3%),販売点数(2点),販売金額(2000円),獲得ポイント(60ポイント),売変金額(0円),除外フラグ(0)の商品情報レコードが格納される。また、No.2のレコードとして商品コード(2),品名(商品B),単価(500円),ポイント還元率(5%),販売点数(6点),販売金額(3000),獲得ポイント(0ポイント),売変金額(300円),除外フラグ(1)の商品情報レコードが格納される。また、No.3のレコードとして商品コード(3),品名(商品C),単価(2000円),ポイント還元率(5%),販売点数(1点),販売金額(2000円),獲得ポイント(0ポイント),売変金額(0円),除外フラグ(1)の商品情報レコードが格納される。また、No.4のレコードとして商品コード(4),品名(商品D),単価(80円),ポイント還元率(1%),販売点数(1点),販売金額(80円),獲得ポイント(0ポイント),売変金額(0円),除外フラグ(0)の商品情報レコードが格納される。また、No.5のレコードとして商品コード(5),品名(商品E),単価(3000円),ポイント還元率(0%),販売点数(1点),販売金額(3000円),獲得ポイント(0ポイント),売変金額(0円),除外フラグ(1)の商品情報レコードが格納される。また、No.6のレコードとして商品コード(6),品名(商品F),単価(1500円),ポイント還元率(10%),販売点数(1点),販売金額(1500円),獲得ポイント(150ポイント),売変金額(0円),除外フラグ(0)の商品情報レコードが格納される。
【0049】
ここで、No.2の商品情報レコードは、300円の値引が行われた商品のレコードなので、除外フラグが“1”にセットされ、獲得ポイントの計算は行われない。また、No.3とNo.5の商品情報レコードは、いずれも対象外設定フラグが“1”に設定された商品のレコードなので、除外フラグが“1”にセットされ、やはり獲得ポイントの計算は行われない。これに対し、No1,No4及びNo.6の商品情報レコードは、除外フラグが“0”にリセットされており、獲得ポイントが計算される。ただし、No.4の商品情報レコードは販売金額80円に対してポイント還元率が1%であるので、獲得ポイントは0ポイントである。
【0050】
これにより、ポイント合計エリア57にて商品A,D,Fの獲得ポイントが合計されて、今回ポイント(210ポイント)が算出される。
【0051】
その後、オペレータが預かり金額(12000円)を置数して預/現計キー48を操作すると、プリンタ6により図9に示すレイアウトのレシート90が印字発行される。すなわち、レシート90は、ポイント計算から除外されなかった商品の明細印字領域91と、ポイント計算から除外された商品の明細印字領域92とに区分されている。そして、両領域91,92の境界には、それより下側の領域がポイント計算から除外された商品の明細印字領域であることを示すテキストデータ「ポイント除外」93が印刷されている。
【0052】
また、ポイント計算から除外されなかった商品の明細印字領域91には、当該商品の品名,点数,単価及び価格の印字欄94に続いて当該商品の価格に対するポイント還元率と、このポイント還元率で算出された獲得ポイントとの印字欄95が形成されている。
【0053】
さらに、1取引で売買された商品の合計金額印字欄96の下側に当該1取引で売買された商品の獲得ポイントを合計した合計ポイント(今回ポイント)の印字欄97が形成されている。
【0054】
かくして、本実施の形態によれば、レシート90の印字内容を確認することにより、買物客は1取引に対して還元される合計ポイントの内訳を容易に知ることができる。また、ポイント計算から除外された商品がある場合にそれがどれなのかも容易に知ることができる。
【0055】
また、販売店側から見れば、ポイントの計算が正確に行われていることを顧客に知らしめることができるとともに、複数の商品を買い上げた顧客に対して商品毎にそれぞれ何ポイントが付与されたのかを強くアピールできるので、販売の促進効果を大いに期待することができる。
【0056】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0057】
例えば、前記実施の形態では、レシート90の商品明細印字領域をポイント計算から除外されない商品の明細印字領域91とポイント計算から除外される商品の明細印字領域92とに区分したが、これを区分せず混在させて、例えばポイント計算から除外される商品の明細データには所定のマークを付すことでポイント計算から除外されない商品と区別してもよい。
【0058】
また、前記実施の形態では、POS端末10とオンラインで接続されたファイルプロセッサ20が商品マスタファイル21を記憶管理したが、POS端末自体がHDD(Hard Disk Drive)装置を搭載し、このHDD装置にて商品マスタファイル21を記憶管理することによって、単体のPOS端末により本発明の商品販売データ処理装置を構成することも可能である。また、商品毎に設定されるポイント還元率を記憶する記憶手段は、商品マスタファイル21に限定されず、例えば、標準のポイント還元率とは異なる還元率が設定された商品を抽出し、この商品の商品コードに対応して価格に対するポイント還元率を記憶した専用のデータファイルを用いてもよい。
【0059】
また、レシート90の印字例において、獲得ポイントが0ポイントの商品Bに対して獲得ポイントの印字を省略してもよい。また、ポイント計算から除外されない商品に対してポイント還元率と獲得ポイントの双方を印字するのでなく、いずれか一方、好ましくは獲得ポイントのみを印字してもよい。
【0060】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施の形態である商品販売データ処理装置の要部構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態において使用する商品マスタファイルの主要なデータ構造を示す模式図。
【図3】同実施の形態において使用する顧客マスタファイルの主要なデータ構造を示す模式図。
【図4】同実施の形態のPOS端末が有するキーボードの主要なキー配置を示す平面図。
【図5】同実施の形態におけるPOS端末のRAMに形成される主要なメモリエリアを示す模式図。
【図6】同実施の形態においてPOS端末のCPUが実行する1顧客との商取引に関する情報処理の制御手順を示す流れ図。
【図7】図6におけるステップ「印字データ作成処理」の手順を具体的に示す流れ図。
【図8】同実施の形態において1取引例が処理されたときの商品登録情報バッファの記憶データ例を示す模式図。
【図9】同取引例において発行されるレシートの一印字例を示す平面図。
【符号の説明】
【0062】
1…キーボード、2…スキャナ、3…カードリーダ、6…プリンタ、10…POS端末、11…CPU、17…通信コントローラ、20…ファイルプロセッサ、21…商品マスタファイル、22…顧客マスタファイル、48…預/現計キー、49…除外キー、50…変更キー、51…商品登録情報バッファ、52…商品登録情報件数カウンタ、53…ポイントカードバッファ、54…印字バッファ、90…レシート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1取引で売買された商品の品名,価格や合計金額等の取引明細データが印字されたレシートを発行するレシート発行手段を備えた商品販売データ処理装置において、
商品毎に設定された商品コードに対応してその商品の価格に対するポイント還元率を記憶するポイント還元率記憶手段と、
前記商品コードの入力手段と、
この入力手段を介して入力された商品コードが設定された商品の価格と前記ポイント還元率とから当該商品の売買による獲得ポイントを算出するポイント算出手段と、
前記1取引で売買された商品の前記ポイント算出手段によって算出された獲得ポイントを合計するポイント合計手段と、
前記1取引で売買された商品毎の前記獲得ポイント及びポイント還元率の少なくとも一方と前記ポイント合計手段により算出された合計ポイントとを前記レシート発行手段により発行されるレシートに印字させるポイント印字制御手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
1取引で売買された商品の品名,価格や合計金額等の取引明細データが印字されたレシートを発行するレシート発行手段を備えた商品販売データ処理装置において、
商品毎に設定された商品コードに対応してその商品の価格に対するポイント還元率を記憶するポイント還元率記憶手段と、
前記商品コードの入力手段と、
この入力手段を介して入力された商品コードが設定された商品がポイント計算から除外される商品であるか否かを判断するポイント計算判断手段と、
このポイント計算判断手段によりポイント計算から除外される商品でないと判断された商品の価格と前記ポイント還元率とから当該商品の売買による獲得ポイントを算出するポイント算出手段と、
前記1取引で売買された商品の前記ポイント算出手段によって算出された獲得ポイントを合計するポイント合計手段と、
前記1取引で売買された商品毎の前記獲得ポイント及びポイント還元率の少なくとも一方と前記ポイント合計手段により算出された合計ポイントとを前記レシート発行手段により発行されるレシートに印字させるとともに、前記ポイント計算判断手段によりポイント計算から除外されると判断された商品に対してはポイント計算から除外された旨をレシート上で明示させるポイント印字制御手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記ポイント印字制御手段は、前記1取引で売買された商品毎の前記獲得ポイント及びポイント還元率の少なくとも一方を当該商品の品名及び価格と対応付けてレシートに印字させ、前記合計ポイントを合計金額と対応付けてレシートに印字させることを特徴とする請求項1または2記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記ポイント印字制御手段は、前記ポイント計算判断手段によりポイント計算から除外されると判断された商品とポイント計算から除外されないと判断された商品とを区分けしてレシート上に印字させることを特徴とする請求項2記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
1取引で売買された商品の品名,価格の印字欄に続いて当該商品の価格とその価格に対するポイント還元率とから算出される獲得ポイントの印字欄を設けるとともに、当該1取引で売買された商品の合計金額印字欄の下側に当該1取引で売買された商品の獲得ポイントを合計した合計ポイントの印字欄を設けたことを特徴とするレシート。
【請求項6】
1取引で売買された商品の品名,価格等の明細印字領域をポイント計算から除外されない商品の明細印字領域とポイント計算から除外される商品の明細印字領域とに区分し、ポイント計算から除外されない商品の明細印字領域には、その1取引で売買された商品の品名,価格の印字欄に続いて当該商品の価格とその価格に対するポイント還元率とから算出される獲得ポイントの印字欄を設け、さらに、当該1取引で売買された商品の合計金額印字欄の下側に当該1取引で売買された商品の獲得ポイントを合計した合計ポイントの印字欄を設けたことを特徴とするレシート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1取引で売買された商品の品名,価格や合計金額等の取引明細データが印字されたレシートを発行するレシート発行手段を備えた商品販売データ処理装置において、
商品毎に設定された商品コードに対応してその商品の価格に対するポイント還元率を記憶するポイント還元率記憶手段と、
前記商品コードの入力手段と、
この入力手段を介して入力された商品コードが設定された商品の価格と前記ポイント還元率とから当該商品の売買による獲得ポイントを算出するポイント算出手段と、
前記1取引で売買された商品の前記ポイント算出手段によって算出された獲得ポイントを合計するポイント合計手段と、
前記1取引で売買された商品毎の前記獲得ポイント及びポイント還元率の少なくとも一方と前記ポイント合計手段により算出された合計ポイントとを前記レシート発行手段により発行されるレシートに印字させるポイント印字制御手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
1取引で売買された商品の品名,価格や合計金額等の取引明細データが印字されたレシートを発行するレシート発行手段を備えた商品販売データ処理装置において、
商品毎に設定された商品コードに対応してその商品の価格に対するポイント還元率を記憶するポイント還元率記憶手段と、
前記商品コードの入力手段と、
この入力手段を介して入力された商品コードが設定された商品がポイント計算から除外される商品であるか否かを判断するポイント計算判断手段と、
このポイント計算判断手段によりポイント計算から除外される商品でないと判断された商品の価格と前記ポイント還元率とから当該商品の売買による獲得ポイントを算出するポイント算出手段と、
前記1取引で売買された商品の前記ポイント算出手段によって算出された獲得ポイントを合計するポイント合計手段と、
前記1取引で売買された商品毎の前記獲得ポイント及びポイント還元率の少なくとも一方と前記ポイント合計手段により算出された合計ポイントとを前記レシート発行手段により発行されるレシートに印字させるとともに、前記ポイント計算判断手段によりポイント計算から除外されると判断された商品に対してはポイント計算から除外された旨をレシート上で明示させるポイント印字制御手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記ポイント印字制御手段は、前記1取引で売買された商品毎の前記獲得ポイント及びポイント還元率の少なくとも一方を当該商品の品名及び価格と対応付けてレシートに印字させ、前記合計ポイントを合計金額と対応付けてレシートに印字させることを特徴とする請求項1または2記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記ポイント印字制御手段は、前記ポイント計算判断手段によりポイント計算から除外されると判断された商品とポイント計算から除外されないと判断された商品とを区分けしてレシート上に印字させることを特徴とする請求項2記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
1取引で売買された商品の品名,価格の印字欄に続いて当該商品の価格とその価格に対するポイント還元率とから算出される獲得ポイントの印字欄を設けるとともに、当該1取引で売買された商品の合計金額印字欄の下側に当該1取引で売買された商品の獲得ポイントを合計した合計ポイントの印字欄を設けたことを特徴とするレシート。
【請求項6】
1取引で売買された商品の品名,価格等の明細印字領域をポイント計算から除外されない商品の明細印字領域とポイント計算から除外される商品の明細印字領域とに区分し、ポイント計算から除外されない商品の明細印字領域には、その1取引で売買された商品の品名,価格の印字欄に続いて当該商品の価格とその価格に対するポイント還元率とから算出される獲得ポイントの印字欄を設け、さらに、当該1取引で売買された商品の合計金額印字欄の下側に当該1取引で売買された商品の獲得ポイントを合計した合計ポイントの印字欄を設けたことを特徴とするレシート。
【請求項7】
1取引で売買された商品の品名,価格や合計金額等の取引明細データが印字されたレシートを発行するレシート発行手段を備えた商品販売データ処理装置において、
商品毎に設定された商品コードの入力手段と、
この入力手段を介して商品コードが入力された商品毎にその商品の価格と設定されたポイント還元率とに基づいて獲得ポイントを算出するポイント算出手段と、
前記1取引で売買された商品の前記ポイント算出手段によって算出された獲得ポイントを合計するポイント合計手段と、
前記1取引で売買された商品毎の前記獲得ポイントと前記ポイント合計手段により算出された合計ポイントとを前記レシート発行手段により発行されるレシートに印字させるポイント印字制御手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項8】
1取引で売買された商品の品名,価格や合計金額等の取引明細データが印字されたレシートを発行するレシート発行手段を備えた商品販売データ処理装置において、
商品毎に設定された商品コードの入力手段と、
この入力手段を介して商品コードが入力された商品がポイント計算から除外される商品であるか否かを判断するポイント計算判断手段と、
このポイント計算判断手段によりポイント計算から除外される商品でないと判断された商品の価格と設定されたポイント還元率とに基づいて獲得ポイントを算出するポイント算出手段と、
前記1取引で売買された商品の前記ポイント算出手段によって算出された獲得ポイントを合計するポイント合計手段と、
前記1取引で売買された商品毎の前記獲得ポイントと前記ポイント合計手段により算出された合計ポイントとを前記レシート発行手段により発行されるレシートに印字させるとともに、前記ポイント計算判断手段によりポイント計算から除外されると判断された商品に対してはポイント計算から除外された旨をレシート上で明示させるポイント印字制御手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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