説明

噴霧装置

【課題】 給水した水分中に含有されるバクテリア等が野菜等に噴霧されないようにし、殺菌の効果を十分に得ることができる噴霧装置を提供する。
【解決手段】 噴霧装置1は、浄水部10、殺菌溶液生成部20、噴霧制御部40及び噴霧部50から構成される。浄水部10において、水道水を逆浸透膜フィルタ16によって純度95〜99%の水に浄化することができ、さらに殺菌溶液生成部20において、インジェクションバルブ30から殺菌溶液を浄水に注入し、殺菌溶液用圧力タンク26に貯える。殺菌溶液用圧力タンク26に貯えられた適切な濃度の殺菌溶液を噴霧することによって、十分な殺菌効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜等の鮮度維持、植物の成長促進、室内の加湿、空気の殺菌・消臭を効率的に行う噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食料販売店等の店舗において、野菜等の商品の鮮度を保つためには野菜等に水分を補給する必要がある。しかし、単に水に浸すのみでは野菜等に余分な水が付着し、顧客が野菜等を手に取る際にその余分な水が顧客の衣服等に飛び跳ねるおそれがある。また、その余分な水が店内の床にこぼれ落ち、店内が滑りやすくなるおそれもある。そこで、野菜等にとって適度な水分であって、余分な水分が付着しない程度の水分を噴きかける噴霧装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
図11は、野菜等に噴霧する特許文献1に示される従来の噴霧装置である。図11において、101はショーケース、102は噴霧ノズル、103はポール管、104は配管、105は冷気吐出口である。これによって、野菜等が適度な水分を補給できるため、野菜等の鮮度を保つことができ、さらに顧客の衣服等に飛び跳ねることや店内の床にこぼれ落ちることを防止することができる。
【0004】
他方、倉庫や病院等の施設において、空気中には多数のバクテリアやウィルス等が浮遊している。このバクテリアやウィルスによって施設内に悪臭が漂うこともあり、場合によっては、このバクテリアやウィルスを人が体内に吸い込むと病気が発生するおそれもある。そこで、噴霧する水分の中に殺菌剤を混入させ噴霧することで、施設内の空気を殺菌し、また、悪臭を取り除く噴霧装置が提案されている(特許文献2)。
【0005】
図12は、バクテリア等が浮遊している施設内の空気の殺菌、消臭をする特許文献2に示される従来の噴霧装置である。図12において、201は次亜塩素酸含有水の生成手段、202、203は薬液タンク、204は第1の噴霧手段、205はタンク、206は第2の噴霧手段である。これによって、施設内の空気を殺菌、消臭することができ、また、有害なバクテリアやウィルスを人が体内に吸い込むことを防止することができる。
【特許文献1】特開平11−148773
【特許文献2】特開2006−81802
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されている噴霧装置では、給水した水分中に含有している粉塵やバクテリア、ウィルス等の水以外の物質も、水と一緒に野菜等に噴霧されるため、この水以外の物質が野菜等を汚染し、枯れや腐りの原因となるおそれがある。したがって、特許文献1に示されている噴霧装置では、野菜等の鮮度を保つことは困難である。また、人がその野菜等を口にすると病気の原因となるおそれもある。
【0007】
また、特許文献2に示されている噴霧装置では、水道水に殺菌剤を混入するため、殺菌剤が、水分中に含まれる粉塵やバクテリア、ウィルス等の水以外の物質と反応して殺菌効果のない物質を生成するおそれがある。したがって、その殺菌効果のない物質を含む殺菌溶液を噴霧しても、本来の殺菌剤の効果が十分に得られず、空気中の多数のバクテリアやウィルス等を効率的に殺菌することや、消臭することは困難である。
【0008】
さらに、特許文献1や特許文献2に示されている噴霧装置では、水分中に含有している粉塵やバクテリア、ウィルス等の水以外の物質、または、この水以外の物質と反応して生成された物質によって、噴霧ノズルの孔が目詰まりするおそれがある。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑み、水分中に含有している粉塵やバクテリア、ウィルス等の水以外の物質を取り除いた浄水に殺菌溶液を注入し、その殺菌溶液を噴霧することによって、殺菌溶液の本来の効果を十分に得ることができる噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明は、水道水を浄水する浄水部と、浄水部から供給された浄水に殺菌溶液を混合希釈し、希釈された殺菌溶液を殺菌溶液用圧力タンクに蓄積する殺菌溶液生成部と、から構成され、殺菌溶液用圧力タンクに蓄積された希釈殺菌溶液を噴霧部に供給することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、浄水部は、第1のフィルタ、第1の電磁弁、第1のブースターポンプ、第2のフィルタ、逆浸透膜フィルタ、浄水用圧力タンクの順に配管されて構成され、浄水部は、さらに、浄水用圧力タンクの内圧に応じて第1の電磁弁の開閉と第1のブースターポンプの動作を制御する第1のスイッチを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、殺菌溶液生成部は、第2のブースターポンプ、混合部、第2の電磁弁、殺菌溶液用圧力タンクの順に配管されて構成され、殺菌溶液生成部は、さらに、殺菌溶液用圧力タンクの内圧に応じて第2の電磁弁の開閉と第2のブースターポンプの動作を制御する第2のスイッチを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、第3の電磁弁、噴霧ノズル接続弁、第3の電磁弁と噴霧ノズルとの間に接続される第4の電磁弁及び第3の電磁弁と第4の電磁弁の開閉を制御するタイマーを備え、噴霧部に供給される希釈殺菌溶液の噴霧を制御する噴霧制御部、を備えたことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、第1のフィルタが、ポリプロピレン製の濾過フィルタであることを特徴とする。
【0015】
好ましくは、第2のフィルタが、カーボンフィルタであることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、第1のフィルタと第1の電磁弁との間に、第1のスイッチと第2のスイッチと、タイマーの動作を制御する断水警報装置が設けられることを特徴とする。
【0017】
好ましくは、第1の電磁弁と第1のブースターポンプとの間に、第2のフィルタに送水される水の総量を検出し、第2のフィルタの交換時期を示す警告表示装置が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、水道水を浄水する浄水部と、浄水部から供給された浄水に殺菌溶液を混合希釈し、希釈された殺菌溶液を殺菌溶液用圧力タンクに蓄積する殺菌溶液生成部と、から構成され、殺菌溶液用圧力タンクに蓄積された希釈殺菌溶液を噴霧部に供給する。このため、水分中に含有している粉塵やバクテリア、ウィルス等の物質が、水と一緒に野菜等の食物や花等の植物に噴霧されることが防止でき、さらに野菜等の食物や花等の植物の鮮度を保つことができる。また、殺菌溶液が水分中に含有している粉塵やバクテリア、ウィルス等の物質と反応することを防ぐことができる。
【0019】
また、本発明によれば、浄水部は、第1のフィルタ、第1の電磁弁、第1のブースターポンプ、第2のフィルタ、逆浸透膜フィルタ、浄水用圧力タンクの順に配管されて構成され、浄水部は、さらに、浄水用圧力タンクの内圧に応じて第1の電磁弁の開閉と第1のブースターポンプの動作を制御する第1のスイッチを備えている。このため、浄水部において水道水を逆浸透膜フィルタによって純度95〜99%の水に浄化することができる。
【0020】
また、本発明によれば、殺菌溶液生成部は、第2のブースターポンプ、混合部、第2の電磁弁、殺菌溶液用圧力タンクの順に配管されて構成され、殺菌溶液生成部は、さらに、殺菌溶液用圧力タンクの内圧に応じて第2の電磁弁の開閉と第2のブースターポンプの動作を制御する第2のスイッチを備えている。このため、純度95〜99%に浄化された浄水に殺菌溶液を注入し、適度な濃度の溶液を生成することできる。
【0021】
また、本発明によれば、第3の電磁弁、噴霧ノズル接続弁、第3の電磁弁と噴霧ノズルとの間に接続される第4の電磁弁及び第3の電磁弁と第4の電磁弁の開閉を制御するタイマーを備え、噴霧部に供給される希釈殺菌溶液の噴霧を制御する噴霧制御部、を備えている。これによって、噴霧対象に対して過剰に溶液を噴霧することを防止でき、また、第3の電磁弁が閉じている噴霧休止時に第3の電磁弁と噴霧ノズルとの間に残留した溶液が、噴霧ノズルから垂れて流れることを防止することができる。
【0022】
また、本発明によれば、第1のフィルタが、ポリプロピレン製の濾過フィルタであるので、第2のフィルタに有害の物質を除去することができる。したがって、有害物質による第2のフィルタの性能の低下を防止することができる。
【0023】
また、本発明によれば、第2のフィルタが、カーボンフィルタであるので、塩素等の逆浸透膜フィルタに有害な物質を除去することができる。したがって、塩素による逆浸透膜フィルタの性能の低下を防止することができる。
【0024】
また、本発明によれば、第1のフィルタと第1の電磁弁との間に、第1のスイッチと第2のスイッチと、タイマーの動作を制御する断水警報装置がさらに設けられている。このため、万が一、水道水を給水できない場合は、断水警報装置が第1のスイッチと第2のスイッチとタイマーに休止信号を送信し、第1のスイッチが第1の電磁弁と第1のブースターポンプの動作を休止させ、第2のスイッチが第2の電磁弁と第2のブースターポンプを休止させ、また、タイマーが第3の電磁弁と第4の電磁弁を休止させ、噴霧装置全体の動作が停止し、断水時における空転を防ぐことができる。
【0025】
また、本発明によれば、第1の電磁弁と第1のブースターポンプとの間に、第2のフィルタに送水される水の総量を検出し、第2のフィルタの交換時期を示す警告表示装置がさらに設けられている。このため、第2のフィルタの性能が低下する前に、第2のフィルタを交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
第1実施形態.
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態の噴霧装置の構成を示す図である。図1に示すように、本発明の第1実施形態の噴霧装置1は、浄水部10と殺菌溶液生成部20と噴霧制御部40と噴霧部50から構成されている。
【0027】
浄水部10は、給水弁11、濾過フィルタ12、第1の電磁弁13、第1のブースターポンプ14、カーボンフィルタ15、逆浸透膜フィルタ16、第1の逆止弁17、浄水用圧力タンク18、の順に配管されている。また、浄水用圧力タンク18の内圧に応じて、第1の電磁弁13の開閉と第1のブースターポンプ14の動作を制御する第1のスイッチ19が設けられている。
【0028】
水道水は、給水弁11から流入し、濾過フィルタ12を通過する際に、砂や大きなゴミ等の汚濁物質が取り除かれる。これによって、カーボンフィルタ15において効率的に遊離塩素を除去することができる。なお、濾過フィルタ12は、水道水中に含有する砂や大きなゴミ等の汚濁物質を取り除くことができるフィルタであればどのようなものでも良く、ポリプロピレン製のフィルタが好ましい。
【0029】
濾過フィルタ12で濾過された浄水は、第1の電磁弁13を通過し、第1のブースターポンプ14で加圧され、カーボンフィルタ15に送水される。カーボンフィルタ15は、逆浸透膜フィルタ16の性能を低下させる遊離塩素を除去する。これによって、遊離塩素による逆浸透膜フィルタ16の性能の低下を防止することができる。
【0030】
カーボンフィルタ15で濾過された浄水は、逆浸透膜フィルタ16に送水され、逆浸透膜フィルタ16でさらに濾過される。逆浸透膜フィルタ16で排除された除去水は排水管44に送水され、排水管44から噴霧装置1の外部に排水される。
【0031】
図2は、水に含有する物質の大きさとその分離方法の対応を示した図である。図2に示すように、逆浸透膜フィルタは、バクテリア(0.2〜50ミクロン)やウィルス(0.004〜0.1ミクロン)のみではなく、農薬や、無機塩類、有害金属、放射性物質等を除去することができる。これによって、水道水は95〜99%の浄水に濾過することができる。つまり、本第1の実施形態1の噴霧装置1において、逆浸透膜フィルタ16で濾過された浄水は95〜99%の浄水となる。
【0032】
逆浸透膜フィルタ16で濾過された浄水は、第1の逆止弁17を通過し、浄水用圧力タンク18に貯水される。第1の逆止弁17は、貯水された浄水が逆浸透膜フィルタ16へ逆流することを防ぐ。
【0033】
図3は、浄水用圧力タンク18の内圧変化と第1のスイッチ19の動作の対応を示したグラフである。図3に示すように、第1のスイッチ19は、浄水用圧力タンク18の内圧が、例えば、1.0〜2.8BARの間、ON信号を送信し、第1の電磁弁13を開くと共に、第1のブースターポンプ14を動作させる。そして、浄水用圧力タンク18の内圧が2.8BARになると、OFF信号を送信し、第1の電磁弁13を閉じると共に、第1のブースターポンプ14の動作を休止させる。これによって、浄水用圧力タンク18に浄水が過剰に送水されるおそれがなく、浄水用圧力タンク18の故障を防ぐことができる。
【0034】
次に、殺菌溶液生成部20は、第2のブースターポンプ21、第2の逆止弁22、混合部23、第2の電磁弁24、第3の逆止弁25、殺菌溶液用圧力タンク26、の順に配管されている。また、殺菌溶液用圧力タンク26の内圧に応じて、第2のブースターポンプ21と第2の電磁弁24を制御する第2のスイッチ27が設けられている。
【0035】
浄水用圧力タンク18に貯水された浄水は、第2のブースターポンプ21で加圧され、第2の逆止弁22を通過し混合部23に送水される。
【0036】
図4は、混合部の構造を示す図である。図4において、混合部23は、浄水が流れるパイプ31と、先端32がパイプ31中に突出した開口32を有するインジェクションバルブ30とから構成されている。以下に、混合部23の内部で殺菌溶液が浄水に希釈される原理を説明する。図4に示すように、第3のブースターポンプ29は殺菌溶液用タンク28から殺菌溶液を汲み上げ、その殺菌溶液を第2のブースターポンプ21によって加圧された浄水の水圧より高い圧力でインジェクションバルブ30に供給する。そして、混合部23において、インジェクションバルブ30の先端の開口32から殺菌溶液が浄水に注入され希釈される。
【0037】
希釈された殺菌溶液は第2の電磁弁24、第3の逆止弁25を通過し、殺菌溶液用圧力タンク26に貯えられる。なお、殺菌溶液用圧力タンク26に貯えられる殺菌溶液の濃度は、例えば、2〜100ppm程度であるが、噴霧対象に応じて、また、目的に応じて変更可能である。
【0038】
第2の逆止弁22は、混合部23において希釈された殺菌溶液が第2のブースターポンプ21に逆流することを防止し、また、第3の逆止弁25は、殺菌溶液用圧力タンク26に貯えられた殺菌溶液が第2の電磁弁24へ逆流することを防止する。
【0039】
殺菌溶液用タンク26には、例えば、1000ppmの安定化二酸化塩素溶液が貯えられている。本実施形態1の噴霧装置1においては、殺菌溶液に安定化二酸化塩素溶液を使用しているが、噴霧対象に応じて、また、目的に応じて、殺菌、消臭効果を有する他の溶液を使用することができる。
【0040】
図5は、殺菌溶液用圧力タンク26の内圧変化と第2のスイッチ27の動作の対応を示したグラフである。図5に示すように、第2のスイッチ27は、殺菌溶液用圧力タンク26の内圧が、例えば、6.2〜7.0BARの間、ON信号を送信し、第2の電磁弁24を開くと共に、第2のブースターポンプ21を動作させる。そして、殺菌溶液用圧力タンク26の内圧が7.0BARになると、OFF信号を送信し、第2の電磁弁24を閉じると共に、第2のブースターポンプ21の動作を休止させる。これによって、殺菌溶液用圧力タンク26に溶液が過剰に送水されるおそれがなく、殺菌溶液用圧力タンク26の故障を防ぐことができる。
【0041】
また、第3のブースターポンプ29は、浄水を殺菌溶液用圧力タンク26へ送水するための第2のブースターポンプ21と連動して、殺菌溶液の注入の動作、休止の制御がされる。これによって、第2のブースターポンプ21が休止すると共に第3のブースターポンプ29も殺菌溶液の注入を休止するため、滞った浄水に過剰に殺菌溶液を注入することを防止でき、殺菌溶液の濃度を一定に保つことができる。
【0042】
次に、噴霧制御部40は、第3の電磁弁41、噴霧ノズル接続弁42の順に配管されている。また、第3の電磁弁41と噴霧ノズル接続弁42との間に、パイプ中に残留した溶液を排水する第4の電磁弁43と、第4の電磁弁43からの排水と逆浸透膜フィルタ16からの除去水とを排水する排水管44が設けられている。
【0043】
殺菌溶液用圧力タンク26に貯えられた殺菌溶液は、第3の電磁弁41が開くと、殺菌溶液用圧力タンク26の内圧によって、噴霧ノズル接続弁42を通過して噴霧部50に送水され、噴霧ノズル52から噴霧対象に対して、または、空気中に対して噴霧される。
【0044】
図6は、第3の電磁弁41の開閉動作と第4の電磁弁43の開閉動作の対応を示したグラフである。図6(A)は第3の電磁弁41の開閉動作を示し、図6(B)は第4の電磁弁43の開閉動作を示している。図6(A)の第3の電磁弁41が開く時間帯に殺菌溶液が、噴霧ノズル52から噴霧される。
【0045】
図6に示すように、タイマー46は、第3の電磁弁41が閉じると同時に第4の電磁弁43を一定時間開き、また、第3の電磁弁41が開く以前に第4の電磁弁43を閉じるように制御する。そして、第4の電磁弁43が開いた時、第3の電磁弁41と噴霧ノズル52の間に残留した溶液は排水管44に送水され、排水管44から噴霧装置1の外部へ排水される。
【0046】
このタイマー46の制御によって、噴霧対象に対して過剰に溶液を噴霧することを防止でき、また、第3の電磁弁41が閉じられる噴霧休止時に第3の電磁弁41と噴霧ノズル52との間に残留した溶液が、噴霧ノズル52から垂れて流れることを防止することができる。なお、タイマー46が制御する噴霧時間は目的や対象に応じて任意に設定できるが、その時間は、0.2〜10秒が好ましい。また、第3の電磁弁41の開閉動作の開始から終了までの時間(噴霧サイクル時間)も目的や対象に応じて任意に設定できるが、0.2〜100分が好ましい。
【0047】
なお、例えば、排水管44の排水容量は、逆浸透膜フィルタ16からの除去水の最大流量と、第4の電磁弁43からの排水の最大流量の和より大きくする。これによって、逆浸透膜フィルタ16からの除去水と第4の電磁弁43からの排水が同時に送水された場合でもスムーズに排水することができる。
【0048】
殺菌溶液が噴霧ノズル52から噴霧され続けると、殺菌溶液用圧力タンク26の内圧が低下する。そして、殺菌溶液用圧力タンク26の内圧が低下すると、第2のスイッチ27の制御により、第2のブースターポンプ21が動作し、また、第2の電磁弁24が開き、浄水が浄水用圧力タンク18から送水され、混合部23で殺菌溶液となり殺菌溶液用圧力タンク26へ送水される。さらに、浄水用圧力タンク18の内圧が低下すると、第1のスイッチ19の制御により、第1の電磁弁13が開き、第1のブースターポンプ14が動作し、給水弁11から浄水用圧力タンク18へ水道水を給水する。第1の実施形態における噴霧装置1は、この一連の動作を繰り返し行う。
【0049】
噴霧装置を長い間停止させるときには、第3のブースターポンプ29の動作のみを休止させたまま一定時間噴霧させた後噴霧ノズル接続弁42を閉じ停止する。これによって、殺菌溶液生成部20と噴霧制御部40と噴霧部50の各部及び導管に残留する殺菌溶液を浄水で洗浄することができる。
【0050】
第2実施形態.
図7は、本発明の第2実施形態の噴霧装置の構成を示す図である。図7に示すように、本発明の第2実施形態の噴霧装置2は、浄水部10に断水警報装置61が設けられている。
【0051】
断水警報装置61は、第1のフィルタ12と第1の電磁弁13の間に設けられ、第1のスイッチ19と、第2のスイッチ27と、タイマー46を制御する。
【0052】
図8は、給水弁11から流入する水道水の水圧の変化と断水警報装置61の動作の対応を示したグラフである。図8に示すように、断水警報装置61は、給水弁11から流入する水道水の水圧が、例えば、2.0BARの場合には、第1のスイッチ19と、第2のスイッチ27と、タイマー46に動作信号を送信し、給水弁11から流入する水道水の水圧が、例えば、2.0BAR以下に低下すると第1のスイッチ19と、第2のスイッチ27と、タイマー46に休止信号を送信する。
【0053】
断水警報装置61からの休止信号を受けると、第1のスイッチ19は、第1の電磁弁13と第1のブースターポンプ14の動作を休止させ、また、第2のスイッチ27は、第2のブースターポンプ21と第2の電磁弁24の動作を休止させ、また、タイマー46は、第3の電磁弁41と第4の電磁弁43の動作を休止させる。これによって、万が一、水道水を給水できない場合には、噴霧装置全体の動作が停止し、断水時における空転を防ぐことができる。
【0054】
第3実施形態.
図9は、本発明の第3実施形態の噴霧装置の構成を示す図である。図9に示すように、本発明の第3実施形態の噴霧装置3は、浄水部10に警告表示装置62が設けられている。
【0055】
警告表示装置62は、第1の電磁弁13と第1のブースターポンプ14の間に配管され、カーボンフィルタ15に送水される浄水の水量を常に監視する。
【0056】
カーボンフィルタ15は、逆浸透膜フィルタ16の性能を低下させる遊離塩素を除去するフィルタである。遊離塩素は、カーボンフィルタ15を通過する水の累積値に比例してカーボンフィルタ15中に残留していく。したがって、時間の経過と共に、カーボンフィルタ15の性能は低下して行き、逆浸透膜フィルタ16の性能も低下する。
【0057】
図10は、カーボンフィルタ15に送水される水の総量と警告表示装置62の警告表示の動作の対応を示したグラフである。図10に示すように、警告表示装置62はカーボンフィルタ15に送水される水道水の総量を検知し、カーボンフィルタ15を通過する水道水の総量によって、安全期から交換期までを青、黄、赤の順で表示させ、カーボンフィルタ15の交換時期を表示する。警告表示装置62の表示が赤になったときにカーボンフィルタ15を交換することによって、逆浸透膜フィルタ16の性能を低下させないようにすることができる。
【0058】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、野菜等の食物や花等の植物の鮮度維持、室内の加湿、空気の殺菌・消臭を効率的に行うための噴霧装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態の噴霧装置の構成を示す図である。
【図2】水に含有される物質の大きさとその分離方法の対応を示す図である。
【図3】浄水用圧力タンクの内圧変化と第1のスイッチの動作の対応を示したグラフである。
【図4】混合部の構造を示す図である。
【図5】浄水用圧力タンクの内圧変化と第2のスイッチの動作の対応を示すグラフである。
【図6】第3の電磁弁の開閉動作と第4の電磁弁の開閉動作の対応を示すグラフである。
【図7】本発明の第2実施形態の噴霧装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態の噴霧装置において、給水弁から流入する水道水の水圧の変化と断水警報装置の動作の対応を示したグラフである。
【図9】本発明の第3実施形態の噴霧装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の噴霧装置に設けられたカーボンフィルタに送水される水道水の総量と警告表示装置の警告表示の動作の対応を示したグラフである。
【図11】野菜等に噴霧する従来の噴霧装置の説明図である。
【図12】バクテリア等が浮遊している施設内の空気の殺菌、消臭をする従来の噴霧装置の説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 第1の実施形態における噴霧装置
2 第2の実施形態における噴霧装置
3 第3の実施形態における噴霧装置
10 浄水部
11 給水弁
12 濾過フィルタ
13 第1の電磁弁
14 第1のブースターポンプ
15 カーボンフィルタ
16 逆浸透膜フィルタ
17 第1の逆止弁
18 浄水用圧力タンク
19 第1のスイッチ
20 殺菌溶液生成部
21 第2のブースターポンプ
22 第2の逆止弁
23 混合部
24 第2の電磁弁
25 第3の逆止弁
26 殺菌溶液用圧力タンク
27 第2のスイッチ
28 殺菌溶液用タンク
29 第3のブースターポンプ
30 インジェクションバルブ
31 パイプ
40 噴霧制御部
41 第3の電磁弁
42 噴霧ノズル接続弁
43 第4の電磁弁
44 排水管
46 タイマー
50 噴霧部
52 噴霧ノズル
61 断水警報装置
62 警告表示装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水を浄水する浄水部と、
前記浄水部から供給された浄水に殺菌溶液を混合希釈し、希釈された殺菌溶液を殺菌溶液用圧力タンクに蓄積する殺菌溶液生成部と
から構成され、
前記殺菌溶液用圧力タンクに蓄積された希釈殺菌溶液を噴霧部に供給することを特徴とする噴霧装置。
【請求項2】
前記浄水部は、第1のフィルタ、第1の電磁弁、第1のブースターポンプ、第2のフィルタ、逆浸透膜フィルタ、浄水用圧力タンクの順に配管されて構成され、
前記浄水部は、さらに、前記浄水用圧力タンクの内圧に応じて前記第1の電磁弁の開閉と前記第1のブースターポンプの動作を制御する第1のスイッチ
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項3】
前記殺菌溶液生成部は、第2のブースターポンプ、混合部、第2の電磁弁、殺菌溶液用圧力タンクの順に配管されて構成され、
前記殺菌溶液生成部は、さらに、前記殺菌溶液用圧力タンクの内圧に応じて前記第2の電磁弁の開閉と前記第2のブースターポンプの動作を制御する第2のスイッチ
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の噴霧装置。
【請求項4】
さらに、第3の電磁弁、噴霧ノズル接続弁、前記第3の電磁弁と噴霧ノズルとの間に接続される第4の電磁弁及び前記第3の電磁弁と前記第4の電磁弁の開閉を制御するタイマーを備え、前記噴霧部に供給される希釈殺菌溶液の噴霧を制御する噴霧制御部、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の噴霧装置。
【請求項5】
前記第1のフィルタが、ポリプロピレン製の濾過フィルタであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の噴霧装置。
【請求項6】
前記第2のフィルタが、カーボンフィルタであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の噴霧装置。
【請求項7】
さらに、前記第1のフィルタと前記第1の電磁弁との間に、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチと、前記タイマーの動作を制御する断水警報装置が設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の噴霧装置。
【請求項8】
さらに、前記第1の電磁弁と前記第1のブースターポンプとの間に、前記第2のフィルタに送水される水の総量を検出し、前記第2のフィルタの交換時期を示す警告表示装置が設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の噴霧装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−149301(P2008−149301A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343010(P2006−343010)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(503391072)
【出願人】(506422744)
【Fターム(参考)】