説明

回動体装置及び収納装置

【課題】支軸部同士の嵌合を外れにくくしつつ、ロアパネルへの蓋体の組み付けの作業性を向上できる収納装置を提供する。
【解決手段】ロアパネルに一対の第1支軸部41,41を形成する。蓋体14に一対の第2支軸部63,63を形成する。第1支軸部41,41と第2支軸部63,63とを蓋体14の回動限位置側から互いに嵌合する。蓋体14を回動限位置でロアパネルに対して停止させる複数のストッパ74,75の後端面74a,75aの中心位置を結ぶ直線L4を第2支軸部63,63を結ぶ直線L3に対して傾斜するようにストッパ74,75を配置する。蓋体14に対して開方向に過剰な負荷が加わった際に、各支軸部41,63同士の嵌合方向に対して傾斜した方向へとストッパ74,75が蓋体14に対して停止反力を与えて、各支軸部41,63に加わる反嵌合方向の負荷を分散する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動体を回動限位置で被取付部材に対して停止させるストッパを有する回動体装置及びこれを備えた収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車などの車両の運転席及び助手席の前方の位置するインストルメントパネルの運転席側の被取付部材としてのロアパネルに配置された回動体装置としての収納装置すなわち収納ボックスである車両用小物入れは、例えばロアパネルに形成された収納部の開口部に、この開口部を開閉可能な回動体である蓋体が回動可能に軸支されて構成されている。この蓋体は、両側に突出した支軸部を有し、これら一対の支軸部が、収納部の内側の両側に形成された一対の支軸受に回動可能に保持されている。さらに、この蓋体の両側には、ロアパネル側と当接することにより蓋体の回動限位置、例えば開位置で蓋体を停止させるためのストッパ軸が突設されている。これらストッパ軸は、これらストッパ軸を結ぶ直線が一対の支軸部を結ぶ直線と平行となるように配置されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2559493号公報 (第2−3頁、図1)
【特許文献2】特開平7−81488号公報 (第3−4頁、図1−2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の各構成の場合、開位置となった蓋体にさらに開方向へと負荷が加わるなど、蓋体に過剰な負荷が加わった際に、両ストッパ軸を結ぶ直線を支点として回転方向の力が分散されることなく支軸部及び支軸受に伝わって支軸部と支軸受との嵌合が外れないように、嵌合関係寸法をよりきつく取る必要があり、このような場合、蓋体の組み付けの荷重が増加して作業性が低下するおそれがあるという問題点を有している。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、支軸部の嵌合を外れにくくしつつ、被取付部材への回動体の組み付けの作業性を向上できる回動体装置及びこれを備えた収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の回動体装置は、一対の第1支軸部を備えた被取付部材と、前記一対の第1支軸部と回動可能に嵌合する一対の第2支軸部を備えた回動体と、この回動体を回動限位置で前記被取付部材に対して停止させる複数のストッパとを具備し、前記一対の第1支軸部と前記一対の第2支軸部とは、前記回動体の前記回動限位置側から互いに嵌合され、前記ストッパは、これらストッパのいずれか2つを結ぶ直線の少なくともいずれかが前記一対の第2支軸部を結ぶ直線に対して傾斜する位置にそれぞれ配置されているものである。
【0007】
請求項2記載の収納装置は、請求項1記載の回動体装置を備え、被取付部材は、回動体の回動により開閉可能で収納物を出し入れ可能な開口部を有しているものである。
【0008】
請求項3記載の収納装置は、請求項2記載の収納装置において、一対の第1支軸部は、それぞれ開口部の内側に形成され、一対の第2支軸部は、前記一対の第1支軸部に対して開口部側からそれぞれ嵌合され、ストッパは、回動体に形成されこの回動体を前記開口部の開位置とした状態で被取付部材に対して停止させるものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の回動体装置によれば、被取付部材に形成された一対の第1支軸部と、回動体に形成された一対の第2支軸部とを、回動体の回動限位置側から互いに嵌合するとともに、回動体を回動限位置で被取付部材に対して停止させる複数のストッパのいずれか2つを結ぶ直線の少なくともいずれかが一対の第2支軸部を結ぶ直線に対して傾斜するようにストッパを配置することにより、回動体に対して回動方向に過剰な負荷が加わった際でも、第1支軸部と第2支軸部との嵌合方向に対して傾斜した方向へとストッパが回動体に対して停止反力を与え、第1支軸部と第2支軸部とに加わる反嵌合方向の負荷を分散できるので、支軸部同士を互いに外れにくくでき、かつ、これら支軸部の嵌合を緩めに設定することが可能となり、被取付部材への回動体の組み付けの作業性を向上できる。
【0010】
請求項2記載の収納装置によれば、請求項1記載の回動体装置を備えることにより、支軸部同士の嵌合が外れにくく、かつ、被取付部材への回動体の組み付けの作業性が良好な収納装置を得ることができる。
【0011】
請求項3記載の収納装置によれば、請求項2記載の収納装置の効果に加えて、回動体に形成したストッパが回動体を開口部の開位置とした状態で被取付部材に対して停止させることにより、回動体に対して開方向に過剰な荷重が加わった際でも、回動体を被取付部材から外れにくくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の収納装置の一部を示す斜視図である。
【図2】同上回動体を上方から示す平面図であり、(a)は回動体の閉位置の状態を示し、(b)は回動体の回動限位置である開位置の状態を示す。
【図3】同上収納装置の被取付部材を後方から示す斜視図である。
【図4】同上被取付部材を前方から示す斜視図である。
【図5】同上収納装置を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の収納装置の一部を示す斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態の収納装置の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成を図1ないし図5を参照して説明する。
【0014】
図5において、10は回動体装置としての収納装置で、この収納装置10は、例えば自動車などの車両の運転席及び助手席の前方の位置するインストルメントパネルの運転席側の被取付部材としてのロアパネル12に配置された車両用収納ボックスである車両用小物入れを構成している。そして、この収納装置10は、ロアパネル12と、このロアパネル12に取り付けられた回動体としての蓋体14と備えている。なお、以下、前後方向、両側方向及び上下方向などの方向は、収納装置10を車体に取り付けた状態を基準として説明する。なお、各図においては、車体の右側に運転席が位置するいわゆる右ハンドルの自動車に備えられる収納装置10を示している。
【0015】
そして、ロアパネル12は、図3ないし図5に示すように、合成樹脂などにより形成され全体としては板状をなす被取付部材本体としてのロアパネル本体21と、このロアパネル本体21の一側下部寄りの位置の背面側すなわち前側に形成された回動体取付部としての蓋体取付部22とを一体に備え、この蓋体取付部22が、ロアパネル本体21に形成された矩形状の開口部23を介して乗員側すなわち後側に臨むように構成されている。
【0016】
ロアパネル本体21は、左右幅方向に長手状に形成されており、左右幅方向の中心近傍の上部に、図示しないハンドルコラムが嵌合するハンドルコラム嵌合部25が切り欠き形成されている。また、ロアパネル本体21の背面側である前側には、周縁部近傍などの位置に、補強用のリブ27が縦横に形成されているとともに、収納装置10(ロアパネル12)を車体に取り付けるための複数のクリップ28が配置されている。
【0017】
また、蓋体取付部22は、開口部23の上側及び両側の縁部から前方へと連続する縁板部である区画板部31と、この区画板部31の前端部の上側及び両側に亘って連続する突出板部32と、この突出板部32の両側に前方へと突出して形成された一方及び他方の側板部33,33と、これら側板部33,33の前端間に亘って連続して形成された前板部34と、これら突出板部32の上側から側板部33,33及び前板部34の上側に亘って連続して形成された天板部35とを備えている。すなわち、蓋体取付部22は、側板部33,33及び前板部34の下端である底側が開口されている。
【0018】
突出板部32は、蓋体14が前方、すなわち閉位置(図2(a))へと回動した際のストッパ部となる部分であり、被取付部材側当接部材としての弾性を有する当て部37,37(図2)が左右両側寄りの位置に取り付けられている。
【0019】
また、両側板部33,33には、それぞれ支軸受としての被取付部材側支軸部である円柱状(ボス状)の第1支軸部41が、後部下端寄りの位置から蓋体取付部22の幅方向中心側に向けて突出している。これら一方及び他方の第1支軸部41,41は、例えばロアパネル本体21の左右幅方向に沿う直線L1(図1)上に沿ってそれぞれ軸方向を有している。換言すれば、これら第1支軸部41,41は同軸状に配置されている。
【0020】
また、天板部35の左右幅方向中心域には、付勢手段取付部としての中央切欠孔部44が前板部34の上部に亘って切り欠き形成されている。また、天板部35の左右両側近傍、すなわち中央切欠孔部44の両側には、一方及び他方の嵌合孔部としての一方及び他方の側部切欠孔部45,46が前板部34の上部に亘って切り欠き形成されている。
【0021】
中央切欠孔部44は、蓋体14をその回動位置に応じて付勢するための付勢部材である図2に示すねじりコイルばね48が取り付けられる孔部である。ここで、ねじりコイルばね48は、コイル状の2つのねじりコイルばね本体48a,48aのそれぞれの一方の腕部48b,48bを両端部に有し他方の腕部48c,48c同士が中央部48dで連結された、いわゆるダブルトーションばねであり、一方の腕部48b,48bが、中央切欠孔部44の両側の天板部35の上部に形成された付勢部材軸支部としてのばね軸支部49,49にそれぞれ回動可能に軸支されている。
【0022】
また、図3ないし図5に示すように、側部切欠孔部45,46は、前後方向に沿って長手状に形成されている。さらに、これら側部切欠孔部45,46は、蓋体14の乗員側、すなわち後方への回動により、この蓋体14の一部が嵌合するものであり、これら側部切欠孔部45,46の後縁部には、蓋体14の一部が当接して蓋体14を開位置(図2(b))でロアパネル12に対して停止させる一方及び他方のストッパ受部としての一方及び他方の当接面部51,52が上下方向に沿って面状に形成されている。
【0023】
ここで、これら当接面部51,52は、平面状をなしており、上下及び前後にそれぞれ異なる位置に配置されている。換言すれば、これら当接面部51,52を結ぶ直線L2(図2)が、上記直線L1(図1)に対して上下方向及び前後方向に傾斜している。なお、本実施の形態では、一方の当接面部51が、他方の当接面部52よりも上方でかつ後方に位置している。
【0024】
一方、図1及び図2に示すように、蓋体14は、全体として板状をなす回動体本体としての蓋体本体55と、この蓋体本体55の背面側である前部両側に形成された一方及び他方の回動体側板部としての一方及び他方の蓋体側板部56,56と、蓋体本体55の前部の下側から前方へと突出する回動体底板部としての蓋体底板部57と、蓋体側板部56,56間及び蓋体底板部57の前端部に連続する回動体前板部としての蓋体前板部58とを備えている。そして、蓋体14は、これら蓋体本体55、蓋体側板部56,56、蓋体底板部57及び蓋体前板部58が合成樹脂にて一体に形成され、あるいは合成樹脂にて形成された複数の部材が接合されて形成されて、全体として上側が開口した箱状となっている。
【0025】
蓋体本体55は、開口部23に嵌合してこの開口部23を覆う大きさに形成されており、乗員側すなわち後方に突出する摘み部61が上部に形成されている。また、この蓋体本体55の背面側は、蓋体14を閉位置(図2(a))としたときに上記当て部37,37に当接する当接部となっている。
【0026】
また、各蓋体側板部56は、蓋体本体55の上端よりも若干下側の位置から前方へと突出している。さらに、各蓋体側板部56の外側面56aには、被軸支部としての回動体側支軸部である第2支軸部63がそれぞれ突出して形成されているとともに、補強用の補強リブ64が形成されている。そして、各蓋体側板部56は、各第2支軸部63がロアパネル12の各第1支軸部41に嵌合されてヒンジ部を構成するように、各側板部33に対向する位置にて蓋体取付部22内に配置されている。
【0027】
各第2支軸部63は、左右幅方向に沿って軸方向を有する略円筒状に形成されており、各蓋体側板部56の下側寄りの位置にて、それぞれ上記直線L1と平行な直線L3に沿って同軸状に形成されている。また、これら各第2支軸部63には、ロアパネル12の各第1支軸部41が、前部に切り欠き形成された挿入開口部66から内部へと中心軸方向に向けて挿入されるように構成されている。この嵌合状態で、蓋体14がロアパネル12に対して相対的に回動可能に保持されている。
【0028】
ここで、各挿入開口部66は、各第1支軸部41の径寸法よりも若干小さく形成されている。したがって、各第2支軸部63に対して、各第1支軸部41は挿入開口部66から圧入されて嵌合される。また、各挿入開口部66は、蓋体14を開位置(図2(b))の姿勢とした状態で開口部23側から蓋体取付部22に挿入することにより各第2支軸部63が嵌合挿入可能となっている。換言すれば、蓋体14は、ロアパネル12に対して、回動限位置、すなわち開位置の姿勢で矢印A(図1)方向に沿って開口部23側から取り付けられるように構成されている。
【0029】
そして、蓋体前板部58の前部の左右幅方向の中央部には、上記ねじりコイルばね48の中央部48dが回転可能に軸支される回動体側付勢部材軸支部としての蓋体側ばね軸支部68が形成されている。また、この蓋体前板部58の上端部の両側には、一方及び他方の突出部71,72が上方へと突出して形成されている。
【0030】
蓋体側ばね軸支部68は、蓋体14の閉位置(図2(a))でロアパネル12の中央切欠孔部44に臨む位置で、蓋体14が開位置(図2(b))へと回動することによりばね軸支部49,49よりも後方へと移動するように構成されている。
【0031】
また、一方及び他方の突出部71,72は、ロアパネル12の側部切欠孔部45,46に嵌合する部分である。さらに、これら一方及び他方の突出部71,72には、一方及び他方のストッパ74,75が取り付けられている。
【0032】
そして、ストッパ74,75は、当て座とも呼ばれるもので、例えばゴムなどの弾性を有する部材により略円柱状に形成されており、突出部71,72から後方へと突出している。さらに、これらストッパ74,75は、蓋体14が開位置(図2(b))へと回動した状態で、先端部である円形平面状の当接面すなわち後端面74a,75aがロアパネル12の当接面部51,52に当接することで蓋体14の回動をロアパネル12に対して停止するように構成されている。したがって、これらストッパ74,75(突出部71,72)は、上下及び前後にそれぞれ異なる位置に配置されている。換言すれば、これらストッパ74,75(突出部71,72)の後端面74a,75aの中心位置を結ぶ直線L4が、上記直線L3(直線L1)に対して上下方向及び前後方向に傾斜している。すなわち、直線L4は直線L3(直線L1)と異なる方向に沿っている。なお、本実施の形態においては、一方のストッパ74(一方の突出部71)が、他方のストッパ75(他方の突出部72)よりも上方でかつ後方に位置している。また、直線L4は、蓋体14が開位置(図2(b))となった状態で実質的に上記直線L2と重なる。
【0033】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0034】
収納装置10の組み立ての際には、ロアパネル12の開口部23に対して、蓋体14を開位置の姿勢で後方から挿入し、挿入開口部66,66を第1支軸部41,41に当てた状態でさらに蓋体14を前方へと押し込んで、第1支軸部41,41を第2支軸部63,63内へと矢印A(図1)方向に圧入嵌合する。この状態で、第1支軸部41,41を結ぶ直線L1と第2支軸部63,63を結ぶ直線L3とが実質的に重なる。
【0035】
この後、ねじりコイルばね48の一方の腕部48b,48bをばね軸支部49,49に軸支するとともに、ねじりコイルばね48の他方の腕部48c,48c側である中央部48dを蓋体側ばね軸支部68に組み付けて収納装置10を完成させる。
【0036】
図2(a)に示す閉位置状態で、ねじりコイルばね48は、一方の腕部48b,48bが中央部48dよりも相対的に後方上側に位置し、蓋体14に対して閉状態に維持する方向へと付勢力を与える。また、蓋体14は、蓋体本体55の背面側すなわち前面側が突出板部32の当て部37,37に当接し、開口部23を閉塞している。
【0037】
一方、乗員が蓋体14の摘み部61を持って蓋体14を乗員側、すなわち後方へと回動させると、この蓋体14の開き始めでは、蓋体前板部58の上端近傍に位置する蓋体側ばね軸支部68が後方上側へと徐々に移動してねじりコイルばね48の各腕部48b,48c間の角度が閉じるため、ねじりコイルばね48が腕部48b,48cを開く方向に反力を与え、蓋体14を閉方向へと付勢する。
【0038】
この状態から、さらに蓋体14が開き、ねじりコイルばね48の中央部が両端部よりも後方に移動すると、ねじりコイルばね48の一方の腕部48b,48b側がばね軸支部49,49を中心として回動を始めて各ねじりコイルばね本体48a,48aが相対的に下方へと移動して中央部よりも相対的に下方となり、中央部48dから蓋体14への反力の方向が後方へと切り替わり、蓋体14が開方向へと付勢される。
【0039】
そして、図2(b)に示すように、蓋体14が回動限位置まで回動した最大開時には、蓋体14のストッパ74,75が当接面部51,52に当接し、蓋体14が回動限位置に保持される。この状態で、ねじりコイルばね48は、蓋体14を閉状態に維持する方向へと付勢力を与える。
【0040】
したがって、蓋体14は、全閉(最小開)位置と半分程度開いた位置との間の領域ではねじりコイルばね48により閉方向に付勢され、半分程度開いた位置と回動限位置(全開(最大開)位置)との間の領域ではねじりコイルばね48により開方向に付勢される。
【0041】
そして、蓋体14の開閉操作時、あるいは回動限位置での開方向への衝撃など、蓋体14に対して開方向に過剰な負荷が加わった際には、ストッパ74,75を支点として、蓋体14に停止反力が与えられる。
【0042】
このとき、ストッパ74,75の後端面74a,75aの中心位置を結ぶ直線L4が第2支軸部63,63を結ぶ直線L3(第1支軸部41,41を結ぶ直線L1)に対して傾斜している、換言すれば非平行の関係を有していることにより、上記停止反力が各支軸部41,63の嵌合方向に対して傾斜した方向へと加わるため、各支軸部41,63に加わる負荷は、いわゆる分力原理によって分散されて一定の軽減が図られ、支軸部41,63同士の抜けが防止される。
【0043】
このように、本実施の形態では、ロアパネル12に形成した一対の第1支軸部41,41と、蓋体14に形成した一対の第2支軸部63,63とを、蓋体14の回動限位置側から互いに嵌合するとともに、蓋体14を回動限位置でロアパネル12に対して停止させる複数のストッパ74,75の後端面74a,75aの中心位置を結ぶ直線L4が一対の第2支軸部63,63(一対の第1支軸部41,41)を結ぶ直線L3(直線L1)に対して傾斜するようにストッパ74,75を配置した。このため、蓋体14に対して回動方向に過剰な負荷が加わった際でも、各支軸部41,63同士の嵌合方向(嵌め方向、抜け方向)に対して傾斜した方向(ねじれ方向)へとストッパ74,75が蓋体14に対して停止反力を与え、各支軸部41,63に加わる反嵌合方向の負荷を分散でき、これら支軸部41,63の嵌合を外れにくくできる。したがって、各支軸部41,63同士の嵌合を緩めに設定することが可能になるので、従来支軸部の嵌合の外れ防止のために固くせざるを得なかった第1支軸部41,41と第2支軸部63,63との嵌合時の組み付け荷重を軽減でき、換言すれば、挿入開口部66,66の開口面積をより大きく取ることができ、ロアパネル12への蓋体14の組み付けの作業性を向上できる。
【0044】
すなわち、各支軸部41,63の嵌合力を充分に得ることができるように構成すれば、蓋体14の開閉動作時の衝撃などの過剰な負荷によって各支軸部41,63の嵌合が外れるリスクをより低下させることが可能となり、蓋体14の開閉動作時の衝撃などの過剰な負荷によって各支軸部41,63の嵌合が外れるリスクレベルを充分なレベルに低下させるように設定すれば、各支軸部41,63の嵌合力を低下させることができ、収納装置10の組み立て性をより高めに設定できる。
【0045】
そして、このような構成とすることにより、ロアパネル12への蓋体14の組み付けの作業性が良好で、かつ、各支軸部41,63の嵌合が外れにくい収納装置10を得ることができる。
【0046】
特に、蓋体14に形成したストッパ74,75が蓋体14を開口部23の開位置とした状態でロアパネル12に対して停止させることにより、蓋体14に対して開方向に過剰な荷重が加わった際でも、蓋体14をロアパネル12の開口部23から外れにくくできる。すなわち、蓋体14を開位置とした場合には、蓋体14がロアパネル12の開口部23から後方へと相対的に大きく突出し、本実施の形態では蓋体14の上側が下側に対して突出するため、この突出した蓋体14に対して乗員が誤って上側から過剰な負荷を加えるリスクが高まるものの、上記のように構成することにより、乗員が蓋体14へ誤って過剰な負荷を与えた場合でも、蓋体14の外れを抑制できる。
【0047】
なお、上記第1の実施の形態において、ストッパは、蓋体14の蓋体前板部58に配置するものに限られず、例えば図6に示す第2の実施の形態のように、蓋体側板部56の外側面56aから軸状(ボス状)に突出させた一方及び他方のストッパ77,78を形成してもよい。この場合には、これらストッパ77,78の当接面部51,52との当接位置を結ぶ直線L5が上記直線L3(直線L1)に対して傾斜するようにこれらストッパ77,78を配置することで、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0048】
また、ストッパは、2つに限られず、3つ以上配置してもよい。例えば図7に示す第3の実施の形態のように、蓋体前板部58の上端部の左右幅方向の中心域、すなわち突出部71,72間に、上方へと突出する中央突出部81を形成し、この中央突出部81に円柱状のストッパ82を配置してもよい。このようにストッパを3つ以上配置した場合には、それらのうちの任意のいずれか2つの後端面の中心位置を結ぶ直線の少なくともいずれかが上記直線L3(直線L1)に対して傾斜するように配置すれば、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0049】
なお、上記第2の実施の形態及び第3の実施の形態では、それぞれのストッパの位置に対応してこれらストッパが当接する当接面部を被取付部材側に形成することはいうまでもない。
【0050】
さらに、上記各実施の形態においては、ロアパネル12(被取付部材)側の第1支軸部を蓋体14(回動体)側の第2支軸部に圧入嵌合させたが、ロアパネル12(被取付部材)側の第1支軸部に蓋体14(回動体)側の第2支軸部を圧入嵌合させる構成としてもよい。
【0051】
そして、上記各実施の形態では、車両の車室に備えられる収納装置10について説明したが、車両用に限られず、種々の場所に取り付けられる収納装置に適用することもできる。そして、収納装置に限られず、すなわち、蓋体は、被取付部材の開口部を開閉するものに限られず、被取付部材に対して回動可能な回動体を備えた回動体装置として適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、車両の車室に備えられる小物入れなどの車両用収納ボックスに適用できる。
【符号の説明】
【0053】
10 回動体装置としての収納装置
12 被取付部材としてのロアパネル
14 回動体としての蓋体
23 開口部
41 第1支軸部
63 第2支軸部
74,75,77,78,82 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1支軸部を備えた被取付部材と、
前記一対の第1支軸部と回動可能に嵌合する一対の第2支軸部を備えた回動体と、
この回動体を回動限位置で前記被取付部材に対して停止させる複数のストッパとを具備し、
前記一対の第1支軸部と前記一対の第2支軸部とは、前記回動体の前記回動限位置側から互いに嵌合され、
前記ストッパは、これらストッパのいずれか2つを結ぶ直線の少なくともいずれかが前記一対の第2支軸部を結ぶ直線に対して傾斜する位置にそれぞれ配置されている
ことを特徴とした回動体装置。
【請求項2】
請求項1記載の回動体装置を備え、
被取付部材は、回動体の回動により開閉可能で収納物を出し入れ可能な開口部を有している
ことを特徴とした収納装置。
【請求項3】
一対の第1支軸部は、それぞれ開口部の内側に形成され、
一対の第2支軸部は、前記一対の第1支軸部に対して開口部側からそれぞれ嵌合され、
ストッパは、回動体に形成されこの回動体を前記開口部の開位置とした状態で被取付部材に対して停止させる
ことを特徴とした請求項2記載の収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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