説明

回復装置及び画像形成装置

【課題】吸引キャップを液滴吐出ヘッドの液滴吐出面に確実に当接させて、液滴吐出ヘッドの吐出孔内の余剰液滴やゴミや気泡等の異物を確実に回収する。
【解決手段】吸引キャップ92の吸引管922とマニホールド101の接続管108を鉛直方向からずれた位置に設け、吸引管922と接続管108を連結する第1の吸引チューブ105と第3の吸引チューブ107を弾性部材でL字状に形成し、吸引キャップ92を記録ヘッド34のノズル面に圧接させたとき、第1の吸引チューブ105と第3の吸引チューブ107を容易に屈曲させて吸引キャップ92とキャップホルダ103の間に設けられている弾性部材104を確実に圧縮させて、吸引キャップ92の開口端部に設けたシール部材921を記録ヘッド34のノズル面に均一に圧接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液滴吐出装置の回復装置及びそれを使用した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば画像情報に基づいて記録ヘッドのインク吐出口(ノズル)からインク滴を用紙等の記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェット方式の記録装置では、記録ヘッドをインク滴の吐出に最適な状態へと回復させるため、記録ヘッドのノズル面を吸引キャップで覆い、記録ヘッド内、特にノズル孔内の余剰インクやゴミや気泡等の異物を吸引ポンプによって吸引して除去している。この吸引されたインクはキャップ内壁を伝わり吸引キャップ下方に設けられた排出口から大方排出される。
【0003】
また、複数の記録ヘッドを配列したラインヘッド記録装置では、複数の記録ヘッドに対して個別に連結される吸引キャップにそれぞれ吸引ポンプを設けることはコスト上昇となることから、このコストダウンのために、複数の吸引キャップと吸引ポンプの間を分岐用ジョイントで連結し、複数の記録ヘッドを1つの吸引ポンプで吸引するようにしている。
【0004】
また、特許文献1には、分岐用ジョイントを使用しないでマニホールドを介し吸引キャップと吸引ポンプを連結している。この特許文献1に示された回復装置は、図6に示すように、吸引キャップ92はマニホールド101上のキャップホルダ103に押付バネ等の弾性部材104を介して上下方向へ伸縮可能に保持され、吸引キャップ92の記録ヘッド34と接触する面にはゴム等のシール部材を設け、吸引キャップ92のマニホールド101と連結する吸引孔を吸引チューブ110で連結している。この吸引チューブ110を接続する吸引キャップ92の接続部とマニホールド101の接続部は鉛直方向に配置され、吸引キャップ92の接続部とマニホールド101の接続部を直線状の吸引チューブ110で連結している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示すように、吸引キャップ92の接続部とマニホールド101の接続部を鉛直方向に配置し、この吸引キャップ92の接続部とマニホールド101の接続部を直線状の吸引チューブ110で連結していると、吸引キャップ92を記録ヘッド34のノズル面に当接したときに吸引チューブ110の上下方向の変形は起こりにくく、押付バネ等の弾性部材104の圧縮が阻害されてノズル面に対する吸引キャップ92の当接が不均一となり吸引漏れが発生してしまうという問題がある。
【0006】
この問題を解消するために、吸引チューブ110が変形し易いように肉厚を薄くすると、吸引チューブ110自体の負圧に対する剛性も低下し、吸引キャップ92を記録ヘッド34のノズル面に当接して吸引ポンプ100で吸引したときに吸引チューブ110がつぶれて吸引力が低下してインク等の流れを阻害してしまう。
【0007】
また、吸引チューブ110が変形し易いように、吸引チューブ110の長さを長くすると吸引キャップ92とマニホールド101の間の距離が長くなり、回復装置が大きくなり、記録装置自体が大型化してしまう。
【0008】
この発明は、このような問題を解消し、吸引キャップを液滴吐出ヘッドの液滴吐出面に確実に当接させて、液滴吐出ヘッドの吐出孔内の余剰液滴やゴミや気泡等の異物を確実に回収するとともに小型化した回復装置及びそれを使用した画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の回復装置は、複数の液滴吐出手段の下面の液滴吐出面に対して接離可能な複数の吸引キャップと、該吸引キャップとキャップホルダとの間に設けられ、前記吸引キャップを上下方向に伸縮可能に保持する弾性部材と、負圧を発生する負圧発生手段と、該負圧発生手段に連結され、複数のチューブ接続部を有するマニホールドと、前記吸引キャップのチューブ接続部と前記マニホールドのチューブ接続部を連結する複数の吸引チューブとを有する回復装置において、前記吸引キャップのチューブ接続部と前記マニホールドのチューブ接続部は、鉛直方向からずれた位置に配置され、前記吸引チューブは、弾性を有する領域と剛性を有する領域とで構成されていることを特徴とする。
【0010】
前記吸引チューブは、第1の吸引チューブと第2の吸引チューブ及び第3の吸引チューブを有し、前記第1の吸引チューブと第3の吸引チューブは弾性部材からなりL字状に形成され、前記第2の吸引チューブは剛性部材からなり直線状に形成され、前記第1の吸引チューブの一方の端部は前記吸引キャップのチューブ接続部に連結され、前記第3の吸引チューブの一方の端部は前記マニホールドのチューブ接続部に連結され、前記第2の吸引チューブは第1の吸引チューブと第3の吸引チューブの間に連結されていることを特徴とする。
【0011】
この発明の画像形成装置は、前記回復装置を備え、前記回復装置の吸引キャップで記録ヘッドのノズル面を覆い、記録ヘッドのノズル孔内の余剰インクやゴミや気泡等の異物を吸引して除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明の回復装置は、吸引キャップのチューブ接続部と負圧発生手段に連結されたマニホールドのチューブ接続部を鉛直方向からずれた位置に配置し、吸引キャップのチューブ接続部とマニホールドのチューブ接続部を連結する吸引チューブを、弾性を有する領域と剛性を有する領域とで構成したから、吸引キャップを液滴吐出手段の下面の液滴吐出面に圧接したとき、吸引キャップとキャップホルダとの間に設けられた弾性部材を確実に圧縮させて、その圧縮力で吸引キャップを液滴吐出手段の液滴吐出面に均一に圧接させることができ、吸引不良が生じることを防ぐことができる。
【0013】
また、第1の吸引チューブと第3の吸引チューブを弾性部材でL字状に形成したから、吸引キャップを液滴吐出手段の液滴吐出面に圧接させたとき、第1の吸引チューブと第3の吸引チューブを容易に屈曲させることができ、弾性部材を確実に圧縮させて、その圧縮力で吸引キャップを液滴吐出手段の液滴吐出面に均一に圧接させることができ、吸引不良が生じることなしに液滴吐出手段の回復動作を安定して行うことができる。
【0014】
また、第1の吸引チューブと第3の吸引チューブを弾性部材でL字状に形成して容易に屈曲できるようにし、この第1の吸引チューブと第3の吸引チューブを剛性部材からなる第2の吸引チューブで連結したから、吸引キャップを液滴吐出手段の液滴吐出面に圧接させたときの弾性変形を極力抑えることができ吸引時における吸引キャップとマニホールド間の吸引圧力の損失を最小限に抑えることができ、回復装置による回復動作を効率良く行うことができる。
【0015】
さらに、回復装置の吸引キャップで画像形成装置の記録ヘッドのノズル面を覆い、記録ヘッドのノズル孔内の余剰インクやゴミや気泡等の異物を吸引して除去することにより、良質な画像を安定して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の画像形成装置を前方側から見た斜視図である。
【図2】この発明の画像形成装置の機構部の全体構成を示す概略構成図である。
【図3】この発明の画像形成装置の機構部の要部平面図である。
【図4】画像形成装置の回復装置の構成を示す側面図である。
【図5】回復装置で回復動作を行っている状態を示す側面図である。
【図6】従来の回復装置の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1〜図3は、この発明の画像形成装置の構成を示し、図1は画像形成装置を前方側から見た斜視図、図2は画像形成装置の機構部の全体構成を示す概略構成図、図3は機構部の要部平面図である。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置は、装置本体1と、装置本体1に装着された記録用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に装着され画像が記録(形成)された記録用紙を排紙してストックするための排紙トレイ3とを備えている。装置本体1の前面4の一端部側には、前面4から前方側に突き出し、上面5よりも低くなったカートリッジ装填部6を有し、このカートリッジ装填部6の上面に操作キーや表示器などの操作部7を配置している。
【0019】
このカートリッジ装填部6には、色の異なる液体(インク)、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の液体カートリッジ10k、10c、10m、10y(色を区別しないときは液体カートリッジ10という。)を、装置本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部6の前面側には、液体カートリッジ10を着脱するときに開く前カバー(カートリッジカバー)8を開閉可能に設けている。
【0020】
この画像形成装置の機構部は、図3に示すように、フレーム21を構成する左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材であるガイドロッド31とステー32とでキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによって図3で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。このキャリッジ33には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、の各色の液滴を吐出する複数のノズル列を有する記録ヘッド34を複数のノズル(吐出口)を主走査方向と交叉する方向に配列し、液滴吐出方向を下方に向けて装着している。記録ヘッド34は、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0021】
また、キャリッジ33には、各記録ヘッド34にそれぞれ各色の記録液を供給するための各色のサブタンク35k、35c、35m、35y(色を区別しない場合はサブタンク35という。)を搭載している。このサブタンク35には各色の記録液供給チューブ36を介してカートリッジ装填部6に装着された各色のインクカートリッジ10から記録液を補充供給するようにしている。このカートリッジ装填部6にはインクカートリッジ10内の記録液を送液するための供給ポンプユニット23が設けられている。また、インクカートリッジ装填部6からサブタンク35に至るまでの記録液供給チューブ36は這い回しの途中でフレーム21を構成する後板21Cに本体側ホルダ25にて固定保持されている。さらに、キャリッジ33上でも固定リブ26にて固定されている。
【0022】
また、図2に示すように、給紙トレイ2の用紙積載部(底板)41上に積載した記録用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から記録用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向して摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。そして、この給紙部から給紙された記録用紙42を記録ヘッド34の下方側で搬送するための搬送部として、記録用紙42を静電吸着して搬送するための搬送ベルト51と、給紙部からガイド45を介して送られる記録用紙42を搬送ベルト51との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ52と、略鉛直上方に送られる記録用紙42を略90度方向転換させて搬送ベルト51上に倣わせるための搬送ガイド53と、押さえ部材54で搬送ベルト51側に付勢された先端加圧コロ55とを備えている。また、搬送ベルト51表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。
【0023】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ57とテンションローラ58との間に掛け渡されて、図3のベルト搬送方向に周回するように構成している。帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に各2.5Nをかけている。また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド54による印写領域に対応してガイド部材61を配置している。このガイド部材61は、上面が搬送ベルト51を支持する搬送ローラ57とテンションローラ58の接線よりも記録ヘッド34側に突出している。これにより、搬送ベルト51は印写領域ではガイド部材61の上面にて押し上げられてガイドされるので、高精度な平面性を維持される。
【0024】
さらに、記録ヘッド34で記録された記録用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から記録用紙42を分離するための分離爪71と、排紙ローラ72及び排紙コロ73とを備え、排紙ローラ72の下方に排紙トレイ3を備えている。ここで、排紙ローラ72と排紙コロ73との間から排紙トレイ3までの高さは排紙トレイ3にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。
【0025】
また、装置本体1の背面部には両面給紙ユニット81が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット81は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される記録用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ52と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面給紙ユニット81の上面には手差し給紙部82を設けている。
【0026】
さらに、図3に示すように、キャリッジ33の走査方向の一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復装置90を配置している。この維持回復装置90には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための4個の吸引キャップ92を有する回復装置91と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード93と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しないインク滴を吐出させる空吐出を行なうときのインク滴を受ける空吐出受け94などを備えている。
【0027】
また、図3に示すように、キャリッジ33の走査方向の他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しないインクを吐出させる空吐出を行うときのインクを受ける空吐出受け98を配置し、この空吐出受け98には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部99などを備えている。
【0028】
このように構成した画像形成装置においては、給紙トレイ2から記録用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ52との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド53で案内されて先端加圧コロ55で搬送ベルト51に押し付けられ、略90度搬送方向を転換される。このとき、図示しない制御回路によって高圧電源から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラスとマイナスが交互に帯電した搬送ベルト51上に記録用紙42が給送されると、記録用紙42が搬送ベルト51に静電的に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって記録用紙42が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している記録用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、記録用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は記録用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、記録用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0029】
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ33は維持回復装置90側に移動されて、回復装置91の各吸引キャップ92で記録ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、吸引キャップ92で記録ヘッド34をキャッピングした状態でノズルからインクを吸引し、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
【0030】
この維持回復装置90の回復装置91は、図4の構成図に示すように、4個の吸引キャップ92a〜92dと、チューブポンプやダイアフラムポンプ等の負圧発生手段100に連結されたマニホールド101を有する。マニホールド101は内部に配管の役目をする通路を有し、外部に複数の接続口を有する。吸引キャップ92a〜92dはそれぞれベース部材102の上面に設けられたキャップホルダ103a〜103dに押付バネ等の弾性部材104を介して上下方向に伸縮可能に保持されている。各吸引キャップ92a〜92dはヘッドアレイ341に有する各記録ヘッド34のノズル面に圧接する開口端部にゴム等のシール部材921を有する。また、各吸引キャップ92a〜92dの底部には吸引管922が形成され、この吸引管922は第1の吸引チューブ105と第2の吸引チューブ106及び第3の吸引チューブ107を介してベース部材102に設けたマニホールド101の各接続管108に連結されている。この吸引キャップ92a〜92dの吸引管922とマニホールド101の接続管108は鉛直方向からずれた位置に設けられている。この吸引管922と接続管108を連結する第1の吸引チューブ105と第3の吸引チューブ107は弾性部材からなりL字状に形成されている。第2の吸引チューブ106は剛性部材からなり直線状に形成されている。そして吸引キャップ92a〜92dの吸引管922には第1の吸引チューブ105の一方の端部が連結され、マニホールド101の各接続管108には第3の吸引チューブ107の一方の端部が連結され、第1の吸引チューブ105と第3の吸引チューブ107を第2の吸引チューブ106で連結している。
【0031】
この回復装置91で各記録ヘッド34の回復動作を行わないときは、図4に示すように、吸引キャップ92a〜92dは記録ヘッド34のノズル面から離れて第1の吸引チューブ105と第3の吸引チューブ107は変形しない状態になっている。この状態で記録ヘッド34のノズル孔内の余剰インクやゴミや気泡等の異物を吸引して除去するため、吸引キャップ92a〜92dを記録ヘッド34のノズル面に圧接させると、図5に示すように、第1の吸引チューブ105と第3の吸引チューブ107は弾性部材で形成されているから容易に屈曲し、吸引キャップ92a〜92dとキャップホルダ103a〜103dの間に設けられている弾性部材104が圧縮されて吸引キャップ92a〜92dの開口端部に設けたシール部材921を弾性部材104の弾性力で記録ヘッド34のノズル面に均一に圧接して吸引キャップ92a〜92dの開口端部を記録ヘッド34のノズル面で密封する。この状態で負圧発生手段100を駆動して吸引キャップ92a〜92d内の空気を吸引して負圧にすることにより、記録ヘッド34のノズル孔内の余剰インクやゴミや気泡等の異物を吸引して除去する。
【0032】
このように、吸引キャップ92a〜92dの吸引管922とマニホールド101の接続管108を鉛直方向からずれた位置に設け、吸引管922と接続管108を連結する第1の吸引チューブ105と第3の吸引チューブ107を弾性部材でL字状に形成したから、吸引キャップ92a〜92dを記録ヘッド34のノズル面に圧接させたとき、第1の吸引チューブ105と第3の吸引チューブ107を容易に屈曲させることができ、吸引キャップ92a〜92dとキャップホルダ103a〜103dの間に設けられている弾性部材104を確実に圧縮させて、その圧縮力で吸引キャップ92a〜92dの開口端部に設けたシール部材921を記録ヘッド34のノズル面に均一に圧接させることができ、吸引不良が生じることなしに記録ヘッド34の回復動作を安定して行うことができる。
【0033】
また、第1の吸引チューブ105と第3の吸引チューブ107を弾性部材でL字状に形成して容易に屈曲できるようにし、この第1の吸引チューブ105と第3の吸引チューブ107を剛性部材からなる第2の吸引チューブ106で連結したから、吸引キャップ92a〜92dを記録ヘッド34のノズル面に圧接させたときの弾性変形を極力抑えることができ吸引時における吸引キャップ92a〜92dとマニホールド101間の吸引圧力の損失を最小限に抑えることができ、回復装置91による記録ヘッド34の回復動作を効率良く行うことができる。
【0034】
前記説明では回復装置91をインクジェット方式の画像形成装置の記録ヘッド34に適用した場合について示したが、インク以外の液滴、例えばパターニング用の液体レジストや分析試料等の吐出ヘッドにも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1;装置本体、2;給紙トレイ、3;排紙トレイ、6;カートリッジ装填部、
7;操作部、10;液体カートリッジ、34;記録ヘッド、90;維持回復装置、
91;回復装置、92;吸引キャップ、922;吸引管、100;負圧発生手段、
101;マニホールド、102;ベース部材、103;キャップホルダ、
104;弾性部材、105;第1の吸引チューブ、106;第2の吸引チューブ、
107;第3の吸引チューブ、108;接続管。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】実用新案登録第3135988号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液滴吐出手段の下面の液滴吐出面に対して接離可能な複数の吸引キャップと、該吸引キャップとキャップホルダとの間に設けられ、前記吸引キャップを上下方向に伸縮可能に保持する弾性部材と、負圧を発生する負圧発生手段と、該負圧発生手段に連結され、複数のチューブ接続部を有するマニホールドと、前記吸引キャップのチューブ接続部と前記マニホールドのチューブ接続部を連結する複数の吸引チューブとを有する回復装置において、
前記吸引キャップのチューブ接続部と前記マニホールドのチューブ接続部は、鉛直方向からずれた位置に配置され、
前記吸引チューブは、弾性を有する領域と剛性を有する領域とで構成されていることを特徴とする回復装置。
【請求項2】
前記吸引チューブは、第1の吸引チューブと第2の吸引チューブ及び第3の吸引チューブを有し、前記第1の吸引チューブと第3の吸引チューブは弾性部材からなりL字状に形成され、前記第2の吸引チューブは剛性部材からなり直線状に形成され、前記第1の吸引チューブの一方の端部は前記吸引キャップのチューブ接続部に連結され、前記第3の吸引チューブの一方の端部は前記マニホールドのチューブ接続部に連結され、前記第2の吸引チューブは第1の吸引チューブと第3の吸引チューブの間に連結されていることを特徴とする請求項1記載の回復装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の回復装置を備え、前記回復装置の吸引キャップで記録ヘッドのノズル面を覆い、記録ヘッドのノズル孔内の余剰インクやゴミや気泡等の異物を吸引して除去することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−241058(P2010−241058A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94455(P2009−94455)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】