説明

回線切替装置及びプラント制御システム

【課題】回線故障の被害を最小限に食い止め、可用性を向上させると共に、システム全体の費用対効果を向上させる、新規な回線切替装置、及びこれを用いるプラント制御システムを提供する。
【解決手段】複数の入出力装置を単一のCPU装置で制御するために、一つの入出力装置に対応する回線切替装置を設け、回線切替装置にIDを付与した。そして、CPU装置から送出するデータフレームには、回線切替装置を一意に識別するためのIDを埋め込む。回線切替装置が、IDが一致しているデータフレームのみを通過させることで、制御回線上にデータフレームが不用意に回り込んで生じるデータフレームの衝突を回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回線切替装置及びプラント制御システムに適用して好適な技術に関する。
より詳細には、可用性を確保する二重化制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼プラントや原子力発電所等の、安全確保が最優先される現場に用いられる制御システムは、可用性(availability:その対象が障害に対してどれだけ強いかを示す観点。稼働率。)に対する要求が厳しい。もし、システムが何らかの障害によって止まってしまうと、大事故に繋がる虞が大きいからである。
なお、本発明に関係すると思われる先行技術を、特許文献1に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−323190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くのネットワーク機器や制御システムでは、可用性を向上させるために、二重化という手法が採用される。常時稼動する「主系」と、主系が何らかの原因で止まってしまったとき、すなわち非常時に主系に代わって稼動する「従系」とが用意される。
プラント制御システムでは、従系は主系とスヌープ回線を通じて接続されており、通常状態では、従系は主系の制御回線上に流れるデータフレームを取り込んでいる(スヌープ:snoop:盗み聞きするという意味から、転じてネットワーク等のモニタを意図する。)。そして、主系が故障したら、それまでのスヌープの結果を踏まえて制御動作を継続することで、制御動作の破綻を防ぐ。
【0005】
ところが、スヌープ回線は主系と従系を接続する単一の回線であることから、スヌープ回線上で故障が発生してしまうと、主系と従系の両方が故障してしまう。いわば、スヌープ回線は制御システムのアキレス腱であるともいえる。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、回線故障の被害を最小限に食い止め、可用性を向上させると共に、システム全体の費用対効果を向上させる、新規な回線切替装置、及びこれを用いるプラント制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の回線切替装置は、入力されるデータを一時的に記憶するリングバッファと、リングバッファ内に記憶されているデータからデータフレームの位置を示すマーカービット列を識別するヘッダ識別部と、IDを記憶するID記憶部と、ヘッダ識別部がヘッダを識別した旨の信号を出力したらリングバッファ内に記憶されているデータからIDを読み出してID記憶部内のIDと照合するID照合部と、ID照合部がIDが一致した旨の信号を出力したらリングバッファ内のデータを順次読み出す読み出し制御部とを備える。
【0008】
更に、上記課題を解決するために、本発明のプラント制御システムは、データフレームの位置を示すマーカービット列と、経路を特定するIDとを備える要求データフレームを生成して、第一制御回線及び第二制御回線に出力する主系CPU装置と、IDを記憶するID記憶部と、第一制御回線に接続され、データフレーム中のIDとID記憶部のIDが一致した時にデータフレームを通過させる第一スイッチ部と、第二制御回線に接続され、データフレーム中のIDとID記憶部のIDが一致した時にデータフレームを通過させる第二スイッチ部とよりなる主系第一回線切替装置と、主系第一回線切替装置の第一スイッチ部又は主系第一回線切替装置の第二スイッチ部からデータフレームを受信すると共に、データフレームから読み取ったIDを含む応答データフレームを第一スイッチ部及び第二スイッチ部に出力する主系第一入出力装置とを備える。
【0009】
複数の入出力装置を単一のCPU装置で制御するために、一つの入出力装置に対応する回線切替装置を設け、回線切替装置にIDを付与した。そして、CPU装置から送出するデータフレームには、回線切替装置を一意に識別するためのIDを埋め込む。回線切替装置が、IDが一致しているデータフレームのみを通過させることで、制御回線上にデータフレームが不用意に回り込んで生じるデータフレームの衝突を回避できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、回線故障の被害を最小限に食い止め、可用性を向上させると共に、システム全体の費用対効果を向上させる、新規な回線切替装置、及びこれを用いるプラント制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の例である、プラント制御システムの全体像を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の例であるプラント制御システムの、詳細な内部構成を示すブロック図である。
【図3】シリアルID対応表を示す図である。
【図4】データフレームの構成を示す図である。
【図5】回線切替装置の全体ブロック図である。
【図6】スイッチ部のブロック図である。
【図7】スイッチ部の全体動作を示すフローチャートである。
【図8】スイッチ部のID識別処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】プラント制御システム上のデータフレームの流れを示すブロック図である。
【図10】プラント制御システム上のデータフレームの流れを示すタイムチャート図である。
【図11】回線切替装置がない場合を想定した、プラント制御システム上のデータフレームの流れを示すブロック図である。
【図12】回線切替装置がない場合を想定した、プラント制御システム上のデータフレームの流れを示すタイムチャート図である。
【図13】回線切替装置の初期動作及び異常検出動作を示すタイムチャート図である。
【図14】回線切替装置の初期動作及び異常検出動作を示すタイムチャート図である。
【図15】プラント制御システムの異常状態における動作を示すタイムチャート図である。
【図16】プラント制御システムの異常状態における動作を示すタイムチャート図である。
【図17】プラント制御システムの異常状態における動作を示すタイムチャート図である。
【図18】プラント制御システムの異常状態における動作を示すタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図1乃至図18を参照して説明する。
【0013】
本実施形態は、以下の図面を用いて説明する。
《システム全体像》
図1:プラント制御システムの全体像
図2:プラント制御システムのより詳細な構成
図3:シリアルID対応表
図4:データフレームの構成
《回線切替装置》
図5:回線切替装置の全体ブロック図
図6:スイッチ部のブロック図
《回線切替装置の動作》
図7:スイッチ部の動作のフローチャート(メインルーチン)
図8:スイッチ部の動作のフローチャート(サブルーチン)
図9:プラント制御システム上のデータフレームの流れを示すブロック図
図10:プラント制御システム上のデータフレームの流れを示すタイムチャート図
図11:回線切替装置がない場合を想定した、プラント制御システム上のデータフレームの流れを示すブロック図
図12:回線切替装置がない場合を想定した、プラント制御システム上のデータフレームの流れを示すタイムチャート図
《プラント制御システムの異常状態の動作》
図13:回線切替装置の初期動作及び異常検出動作を示すタイムチャート図
図14:回線切替装置の初期動作及び異常検出動作を示すタイムチャート図
図15:プラント制御システムの異常状態における動作を示すタイムチャート図(片系回線故障)
図16:プラント制御システムの異常状態における動作を示すタイムチャート図(片系回線故障)
図17:プラント制御システムの異常状態における動作を示すタイムチャート図(両系回線故障)
図18:プラント制御システムの異常状態における動作を示すタイムチャート図(両系回線故障)
【0014】
《システム全体像》
図1乃至図4を用いて、本発明の実施形態の例である、プラント制御システムの全体像を説明する。
図1は、本発明の実施形態の例である、プラント制御システムの全体像を示すブロック図である。
【0015】
プラント制御システム101は、制御対象102に適切な制御を実行するためのシステムである。
制御対象102は、主系CPU装置103から送信されるデータフレームによって制御されると共に、制御対象102に設けられている複数のセンサ104a、104b、104c及び104dが発する信号を、主系CPU装置103が受信して、操作子105a、105b、105c及び105dを制御するための、次の制御サイクルに反映させる。
主系CPU装置103と制御対象102との間には、データフレームを伝送するための制御回線106及び107と、主系第一回線切替装置108、主系第二回線切替装置109、主系第一回線中継装置110、主系第二回線中継装置111、そして主系第一入出力装置112、主系第二入出力装置113が接続されている。
主系CPU装置103は、主系第一入出力装置112及び主系第二入出力装置113を通じて、制御対象102にシーケンス制御やフィードバック制御を実行する。
一例として、図1では、制御対象102が原子炉であるものと仮定している。勿論、制御対象102は原子炉に限られない。鉄鋼プラントの溶鉱炉等のような、安全に対する要求が厳しい現場に、本実施形態のプラント制御システム101は用いられる。
【0016】
前述の通り、制御対象102には、複数のセンサ104a、104b、104c及び104dと操作子105a、105b、105c及び105dが設けられている。
センサ104a、104b、104c及び104dと操作子105a、105b、105c及び105dは、主系第一入出力装置112、主系第二入出力装置113、従系第一入出力装置114、従系第二入出力装置115に接続される。これら入出力装置は、センサと操作子に対し、電気信号の入出力を実行する。
主系第一入出力装置112及び従系第一入出力装置114は、主系第一回線中継装置110及び従系第一回線中継装置116とスヌープ回線118で接続されている。
主系第二入出力装置113及び従系第二入出力装置115は、主系第二回線中継装置111及び従系第二回線中継装置117とスヌープ回線119で接続されている。
【0017】
主系第一回線中継装置110及び従系第一回線中継装置116と、主系第二回線中継装置111及び従系第二回線中継装置117の、四つの回線中継装置は、制御回線を構成する伝送媒体を変換する。
回線中継装置と回線切替装置の間にある、制御回線107、131、132及び133の、四本の制御回線は、例えば光ケーブルである。一方、制御回線106及び124と、スヌープ回線118及び119は、例えば周知のツイストペアケーブルである。これは、回線切替装置と回線中継装置との間の距離が長くなること考慮した設計である。したがって、回線切替装置と回線中継装置との間の距離が短い場合は、必ずしも回線中継装置を必要とはしない。
なお、制御回線107、131、132及び133と、制御回線106及び124と、スヌープ回線118及び119を構成する伝送媒体は、上述の光ケーブル及びツイストペアケーブルには限られない。周知の同軸ケーブル等の、種々の伝送媒体が利用可能である。
【0018】
前述の説明からわかるように、主系第一回線中継装置110と従系第一回線中継装置116は対を成している。同様に、主系第二回線中継装置111と従系第二回線中継装置117は対を成している。主系第一入出力装置112と従系第一入出力装置114は対を成している。主系第二入出力装置113と従系第二入出力装置115は対を成している。
これら回線中継装置及び入出力装置は、二重化のために全く同一の回線中継装置及び入出力装置が設けられている。そして、その間には制御回線の一種であるスヌープ回線118及び119が接続されている。
【0019】
主系CPU装置103には、データフレームを伝送するために、制御回線106を通じて二つの回線切替装置が接続されている。主系第一回線切替装置108は、第一制御対象部120を制御するために設けられている。主系第二回線切替装置109は、第二制御対象部121を制御するために設けられている。
【0020】
主系CPU装置103と主系第一回線切替装置108及び主系第二回線切替装置109との間には、制御回線106の他に、主系通信路122が接続されている。主系通信路122は、主系CPU装置103から主系第一回線切替装置108及び主系第二回線切替装置109に対して種々の命令を送信したり、主系第一回線切替装置108及び主系第二回線切替装置109から主系CPU装置103に対して制御回線の状態等を報告するために用いられる。
【0021】
プラント制御システム101は、できるだけ動作を中断されずに継続運転を実行する必要があるため、CPU装置も二重化の対象となっている。
従系CPU装置123は、主系CPU装置103と全く同じ装置構成である。
従系CPU装置123には、主系CPU装置103と同様に、制御回線124及び従系通信路125を介して、従系第一回線切替装置126及び従系第二回線切替装置127の、二つの回線切替装置が接続されている。従系第一回線切替装置126には、従系第一回線中継装置116が接続されている。従系第二回線切替装置127には、従系第二回線中継装置117が接続されている。
【0022】
従系CPU装置123と従系第一回線切替装置126及び従系第二回線切替装置127との間にも、主系CPU装置103と主系第一回線切替装置108及び主系第二回線切替装置109と同様に、制御回線124の他に、従系通信路125が接続されている。従系通信路125は、前述の主系通信路122と同様の目的で用いられる。
【0023】
主系CPU装置103と従系CPU装置123との間には、指令通信路128で接続されている。指令通信路128には、指令装置129が接続されている。指令装置129はディスプレイやキーボード等を備える周知のコンピュータであり、不揮発性ストレージ130を備える。そして、指令装置129は主系CPU装置103及び従系CPU装置123に対してプログラム等のデータや各種命令を送信する。
また、指令通信路128は、主系CPU装置103と従系CPU装置123同士の通信にも用いられる。
なお、指令通信路128は、前述の主系通信路122及び従系通信路125と同じ伝送媒体であり、また同じ通信プロトコルを用いる。例えば、周知のツイストペアケーブル等を用いるTCP/IPネットワークである。
【0024】
図2は、本発明の実施形態の例である、プラント制御システム101の、図1よりも詳細な内部構成を示すブロック図である。
図1で説明したように、プラント制御システム101は、CPU装置、回線切替装置、回線中継装置及び入出力装置が二重化されている。そして、図1では紙面の都合上書けなかったが、制御回線も二重化されている。図2は、この、制御回線が二重化されている様子を詳述するための図である。
【0025】
主系CPU装置103の中は、周知のコンピュータよりなる演算処理部202が内蔵されている。演算処理部202には、制御回線の末端である送信端子202aと、受信端子202bが設けられている。
送信端子202aから発されるデータフレームは、主に入出力装置に対する命令である。
受信端子202bに送られるデータフレームは、主に入出力装置から発される応答である。
【0026】
送信端子202aには、二つのバッファアンプ203a及び203bが接続されている。
一方のバッファアンプ203aは、制御回線106を構成する第一制御回線204aに接続される。
もう一方のバッファアンプ203bは、制御回線106を構成する第二制御回線204bに接続される。
受信端子202bには、受信切替スイッチ205を介して、二つのバッファアンプ206a及び206bが接続されている。
一方のバッファアンプ206aは、第一制御回線204aに接続される。
もう一方のバッファアンプ206bは、第二制御回線204bに接続される。
つまり、送信端子202aから発されるデータフレームは、第一制御回線204a及び第二制御回線204bに同時に送信されるが、受信端子202bが受け取るデータフレームは、受信切替スイッチ205によって、第一制御回線204aと第二制御回線204bのうちのどちらか片方だけが選択される。
【0027】
主系第一回線切替装置108の中には、第一制御回線204aに接続される第一系統スイッチ部207aと、第二制御回線204bに接続される第二系統スイッチ部207bの、二つのスイッチ部が設けられている。
そして、この二つのスイッチ部は、上流回線制御部208と、下流回線制御部209によってオン・オフ制御される。
上流回線制御部208は、主系通信路122を通じて、主系CPU装置103の命令を受けて、二つのスイッチ部のオン・オフ制御を実行すると共に、下流回線制御部209が制御回線の異常を検出すると、その旨の報告も行う。
【0028】
主系第一入出力装置112の中は、信号処理部210が内蔵されている。信号処理部210は、センサ104a及び操作子105aが接続され、アナログ信号とデジタルデータとの相互変換を行う。
信号処理部210には、制御回線の末端である送信端子211aと、受信端子211bが設けられている。
送信端子211aから発されるデータフレームは、主にCPU装置に対する応答である。
受信端子211bに送られるデータフレームは、主にCPU装置から発される命令である。
【0029】
送信端子211aには、主系CPU装置103と同様に、二つのバッファアンプ212a及び212bが接続されている。
一方のバッファアンプ212aは、スヌープ回線118を構成する第一制御回線213aに接続される。
もう一方のバッファアンプ212bは、スヌープ回線118を構成する第二制御回線213bに接続される。
受信端子211bにも、主系CPU装置103と同様に、受信切替スイッチ214を介して、二つのバッファアンプ215a及び215bが接続されている。
一方のバッファアンプ215aは、第一制御回線213aに接続される。
もう一方のバッファアンプ215bは、第二制御回線213bに接続される。
つまり、送信端子211aから発されるデータフレームは、第一制御回線213a及び第二制御回線213bに同時に送信されるが、受信端子211bが受け取るデータフレームは、受信切替スイッチ214によって、第一制御回線213aと第二制御回線213bのうちのどちらか片方だけが選択される。
【0030】
光ケーブルである制御回線107は、第一制御回線216a及び第二制御回線216bよりなる。
第一制御回線216aの一方は第一系統スイッチ部207aに接続される。第一制御回線216aのもう一方は主系第一回線中継装置110の第一中継部217aに接続される。
第二制御回線216bの一方は第二系統スイッチ部207bに接続される。第二制御回線216bのもう一方は主系第一回線中継装置110の第二中継部217bに接続される。
【0031】
これ以降、説明の便宜のために、二重化されている制御回線の構成要素を、「第一回線系統」と「第二回線系統」という呼び名で区別する。
上述の第一制御回線204a、第一制御回線216a、第一制御回線213a等は第一回線系統に属する制御回線である。そして、バッファアンプ203a、206a、212a及び215a、第一系統スイッチ部207a及び第一中継部217aは、第一回線系統に属する回路ブロックである。
一方、上述の第一制御回線204b、第一制御回線216b、第一制御回線213b等は第二回線系統に属する制御回線である。そして、バッファアンプ203b、206b、212b及び215b、第一系統スイッチ部207b及び第一中継部217bは、第二回線系統に属する回路ブロックである。
【0032】
図3は、シリアルID対応表を示す図である。
本実施形態のプラント制御システム101は、CPU装置から送信されるデータフレームに、IDが付与される。IDは、回線切替装置を選択する番号である。回線切替装置は、自らに付与されているIDと、受信するデータフレームに付与されているIDとを比較し、一致したデータフレームのみを通過させる。
シリアルID対応表302及び303は、回線切替装置のシリアルナンバーと、回線切替装置に付与するIDとを紐付けるテーブルである。
シリアルID対応表302は、主系CPU装置103に接続される回線切替装置に対応する。図1及び図2では、主系第一回線切替装置108及び主系第二回線切替装置109である。
同様に、シリアルID対応表303は、従系CPU装置123に接続される回線切替装置に対応する。図1及び図2では、従系第一回線切替装置126及び従系第二回線切替装置127である。
シリアルID対応表302及び303は、指令装置129の不揮発性ストレージ130内にファイルとして格納されており、プラント制御システム101の起動時に、指令装置129が指令通信路128を通じて主系CPU装置103及び従系CPU装置123にそれぞれ送信する。
【0033】
指令装置129は、主系CPU装置103にシリアルID対応表303を送信する。主系CPU装置103は、主系通信路122或は制御回線106を通じて、主系第一回線切替装置108及び主系第二回線切替装置109にシリアルID対応表303を送信する。主系第一回線切替装置108及び主系第二回線切替装置109は、受信したシリアルID対応表303のうち、自らのシリアルナンバーと一致するIDを記憶する。
なお、従系CPU装置123における動作も同様である。
【0034】
図4は、データフレームの構成を示す図である。
データフレームは、その先頭から、マーカービット列、ID、REQ/ACK、データサイズ、そしてCRCとDATA1、CRCとDATA2、…CRCとDATAnと、項目が続く。
マーカービット列は、データフレームの先頭を識別するための、予め定められたビット列である。これは、CRCとDATAの組み合わせ等、他のデータフレームの構成要素とは異なるビット列が用いられる。
IDは、前述の通り、回線切替装置がデータフレームを通過させるか否か識別する番号である。データフレームを通過させたい回線切替装置を指定する番号ともいえる。
REQ/ACKは、当該データフレームが「要求(REQuest)」を示す内容であるか、「応答(ACKnowladge)」を示す内容であるかを示すフラグ領域である。
データサイズは、データフレーム全体のバイト数或はデータ量を示す領域である。
DATA1〜nは、データそのものである。これらデータは、固定長のセクタである。固定長のセクタ毎に、データの正当性を担保するためのCRCが付されている。
【0035】
従来のプラント制御システム101では、回線切替装置がなかったので、データフレームにIDは設けられていなかった。
本実施形態のプラント制御システム101では、制御回線の経路の途中に回線切替装置を設けている。そして、CPU装置のプログラムは、回線切替装置に対応するために、データフレームにIDを付するように変更されている。更に、入出力装置のプログラムは、受信したデータフレームに対して応答するデータフレームを生成する際、直前に受信したデータフレームに付されていたIDを当該データフレームに付して、送信するように変更されている。
【0036】
《回線切替装置》
図5及び図6を用いて、回線切替装置の構成を説明する。
図5は、回線切替装置の全体ブロック図である。図5では主系第一回線切替装置108を例示する。前述の説明で判るように、主系第一回線切替装置108、主系第二回線切替装置109、従系第一回線切替装置126及び従系第二回線切替装置127の内部構成は全て同一である。
第一制御回線204aには、第一往路スイッチ部502の入力側と、第一復路スイッチ部503の出力側が接続されている。
第二制御回線204bにも、第二往路スイッチ部504の入力側と、第二復路スイッチ部505の出力側が接続されている。
第一往路スイッチ部502、第一復路スイッチ部503、第二往路スイッチ部504及び第二復路スイッチ部505は、全て全く同一の構成である。これら四つのスイッチ部の内部構成は図6で後述する。
四つのスイッチ部には、ROMよりなるシリアルナンバー記憶部506と、RAMよりなるID記憶部507が接続されている。
更に、四つのスイッチ部には、上流回線制御部208と、下流回線制御部209が接続されている。
【0037】
上流回線制御部208は前述の通り、主系通信路122或は従系通信路125に接続される。
下流回線制御部209には、第一回線プローブ508と第二回線プローブ509が接続されている。
第一回線プローブ508は、第一往路スイッチ部502の出力側と、第一復路スイッチ部503の入力側と、第一制御回線216aとの間に設けられている。
第二回線プローブ509は、第二往路スイッチ部504の出力側と、第二復路スイッチ部505の入力側と、第二制御回線216bとの間に設けられている。
下流回線制御部209は、第一回線プローブ508及び第二回線プローブ509を通じて第一制御回線216a及び第二制御回線216bの夫々の信号レベルの変化をモニタしており、一定時間を超えて信号の変化がない場合、異常であると判定する。
【0038】
ここで、改めて図2と図5を比較する。
図2の第一系統スイッチ部207aは、第一往路スイッチ部502と第一復路スイッチ部503が該当する。
図2の第二系統スイッチ部207bは、第二往路スイッチ部504と第二復路スイッチ部505が該当する。
図2では、紙面の都合上、シリアルナンバー記憶部506、ID記憶部507、第一回線プローブ508及び第二回線プローブ509は記載を省略している。
【0039】
図6は、スイッチ部のブロック図である。図6では第一往路スイッチ部502を例示する。
第一制御回線204aから送られるシリアルデータは、周知のリングバッファ602によって記録され続ける。リングバッファ602は、前述のデータフレームのうち、少なくともマーカービット列とIDの組み合わせのバイト数以上を記憶可能な記憶容量を備えると共に、CRCとDATA1〜nの組み合わせのバイト数以上を記憶可能な記憶容量を備えるRAMである。
例えば、マーカービット列が128ビット(16バイト)で、IDが8ビット(1バイト)であるならば、リングバッファ602は最低7バイトは記憶可能でなければならない。しかし、DATAの1セクタが512バイトであり、CRCが3バイトである場合、リングバッファ602は最低515バイトは記憶可能でなければならない。
【0040】
また、リングバッファ602は、第一復路スイッチ部503から読み出し禁止信号を受け取ると、データの記録を実行しない。
【0041】
ヘッダ識別部603は、図示しないROMに記憶されているマーカービット列と、リングバッファ602内のデータを照合して、リングバッファ602にマーカービット列が入っているか否かを検出する。ヘッダ識別部603は、マーカービット列の存在を検出すると、ID照合部604に論理の「真」の信号を出力する。この、論理の「真」を出力する期間は、マーカービット列を識別した時点から、データフレームのマーカービット列からデータサイズ迄がリングバッファ602に読み込まれる迄の時間に相当する。この期間は、後述するORゲート605を通じて読み出し禁止信号となって、第一復路スイッチ部503内の読み出し制御部606に送信される。
ID照合部604は、ID記憶部507に格納されているIDと、リングバッファ602に含まれているIDとを照合して、IDが一致しているか否かを検出する。ID照合部604は、IDの一致を検出すると、読み出し制御部606に論理の「真」を出力する。
【0042】
読み出し制御部606は、リングバッファ602の所定のアドレスからデータの読み出しを開始し、所定のバイト数まで読み出しを継続する機能を備える。読み出し制御部606には図示しないカウンタが内蔵されており、データフレーム中のデータサイズを読み取り、データサイズに記載されているデータ量から、マーカービット列、ID、REQ/ACK及びデータサイズの、各項目の総量に当たるバイト数を引いた値をカウンタに設定して、データの読み出しを継続する。つまり、データフレームの先頭からデータサイズまでの、データ本体を除く部分のデータ量を、データフレームに記載されているバイト数から引いて、データ本体のみのサイズを、カウンタの最大値に設定する。
【0043】
読み出し制御部606には、ORゲート607が接続されている。ORゲート607の入力には、上流回線制御部208及び下流回線制御部209から回線異常を示す信号が入力される。いずれかの信号が真になると、読み出し制御部606はリングバッファ602からデータを読み出す動作を即座に中止する。
【0044】
読み出し制御部606は、データの読み出しを実行する間、データ読み出しを実行中であることを示す信号を出力する。この信号は、前述のヘッダ識別部603の信号と共に、ORゲート605に入力される。ORゲート605から出力される信号は、読み出し禁止信号として、第一復路スイッチ部503内のリングバッファ602に出力される。
【0045】
ORゲート605が出力すると共に、リングバッファ602で受信する読み出し禁止信号を通じて、第一往路スイッチ部502と第一復路スイッチ部503は排他的に動作する。片方のスイッチ部がデータフレームの読み出しを実行している時は、もう片方のスイッチ部はデータフレームの読み出しを行わない。このように二つのスイッチ部を互い違いに接続し、読み出し禁止信号を互いに入出力させることで、データフレームの回り込みを防いでいる。
以上の説明より判るように、回線切替装置は、制御回線における双方向の半二重通信を担保しながら、データフレームに付されているIDを識別して、IDが一致したデータフレームは通過を許容し、一致しないデータフレームは通過を禁止する。
【0046】
ここで、改めて図2と図5と図6を比較する。
図2で、上流回線制御部208が第一系統スイッチ部207aをオン制御する、という動作は、図5で上流回線制御部208が第一往路スイッチ部502と第一復路スイッチ部503に、接続許可信号を出力する、という動作になる。この接続許可信号とは、図6のORゲート607に、論理の偽を示す信号を出力することと等しい。上流回線制御部208が第二系統スイッチ部207bをオン制御する、という動作も、同様である。
また、図2で、下流回線制御部209が第一系統スイッチ部207aをオン制御するという動作、及び第二系統スイッチ部207bをオン制御するという動作も、前述と同様、図5で下流回線制御部209が第一往路スイッチ部502と第一復路スイッチ部503に、及び第二往路スイッチ部504と第二復路スイッチ部505に、接続許可信号を出力する、という動作になる。
【0047】
《回線切替装置の動作》
図7乃至図12を用いて、回線切替装置の動作を説明する。
図7は、スイッチ部の全体動作を示すフローチャートである。図6に示した、第一往路スイッチ部502、第一復路スイッチ部503、第二往路スイッチ部504及び第二復路スイッチ部505の、メインルーチンに該当する。
処理を開始すると(S701)、リングバッファ602は、もう一方のスイッチ部の読み出し制御部606から読み出し禁止信号が発され、データを記憶する動作を禁じられていないか否か、確認する(S702)。もし、読み出し禁止信号が来ていて、データ記憶動作が禁じられている場合は(S702のNO)、処理を終了する(S707)。なお、一連の処理は再度繰り返される(S701)。
【0048】
ステップS702で、もし、読み出し禁止信号が来ておらず、データ記憶動作が禁じられていない場合は(S702のYES)、次にヘッダ識別部603はリングバッファ602内にマーカービット列が来たか否かを確認する(S703)。もし、マーカービット列が来ていない場合は(S703のNO)、処理を終了し(S707)、再度処理を繰り返す(S701)。
ステップS703で、もし、マーカービット列が来ている場合は(S703のYES)、ヘッダ識別部603は識別信号を出力する。この信号は、ORゲート605を通じて、もう一方のスイッチ部のリングバッファ602に対する読み出し禁止信号となる(S704)。この読み出し禁止信号によって、読み出し制御部606から出力されるデータがもう一方のスイッチ制御部に回りこんでしまうことを防止する。
【0049】
次に、ID照合部604はID識別処理を実行する(S705)。ID識別処理を実行した後は、ヘッダ識別部603或は読み出し制御部606からORゲート605を通じて出力されていた読み出し禁止信号が出力されなくなり(S706)、一連の処理を終了する(S707)。
前述のように、このメインルーチンは、常時実行し続けるので、処理の終了後(S707)、再び処理を開始する(S701)。
【0050】
図8は、スイッチ部のID識別処理の動作を示すフローチャートである。図7のステップS705を示すサブルーチンに該当する。
処理を開始すると(S801)、ID照合部604はIDがリングバッファ602に入力されるまで待つ(S802のNO)。IDがリングバッファ602に記憶されたら(S802のYES)、ID照合部604はID記憶部507に格納されているIDと照合し、回線切替装置自身のIDと一致するか否か、判定する(S803)。
もし、IDが一致していなければ(S803のNO)、ID照合部604は何もせず、処理を終了する(S809)。つまり、読み出し制御部606はリングバッファ602からデータの読み出しを行わない。
【0051】
ステップS803で、もし、IDが一致していれば(S803のYES)、ID照合部604は読み出し制御部606に読み出し指示信号を出力する。読み出し制御部606は、読み出し指示信号に呼応して、リングバッファ602に格納されているマーカービット列からデータの読み出しを開始する。また、読み出し制御部606はリングバッファ602からデータの読み出しを実行している間は、ORゲート605に対してデータの読み出し中であることを示す信号を出力する。この信号はORゲート605を通じて読み出し禁止信号となり、対に接続されているもう一方のスイッチ部に対し、データ読み出しを禁止させ続ける(S804)。
【0052】
次に、読み出し制御部606はデータサイズがリングバッファ602に入力されるまで待つ(S805のNO)。データサイズがリングバッファ602に記憶されたら(S805のYES)、読み出し制御部606は内部のカウンタに「データサイズに記載されているデータ量−(マーカービット列+ID+REQ/ACK+データサイズ)」を最大値として設定する。つまり、データフレームの先頭からデータサイズまでの、データ本体を除く部分のデータ量を、データフレームに記載されているバイト数から引いて、データ本体のみのサイズを、カウンタの最大値に設定し、リングバッファ602からデータの読み出しを開始する(S806)。
【0053】
読み出し制御部606はリングバッファ602から1バイトずつデータを読み出すと共に、カウンタをインクリメントする。その際、読み出し制御部606はカウンタの値が先のステップS806で設定した最大値に至ったか否かを確認する(S807)。カウンタが最大値に至っていない限り、読み出し制御部606はリングバッファ602からデータの読み出しを継続する(S807のNO)。
カウンタが最大値に至ったら(S807のYES)、読み出し制御部606はデータの読み出しを終了する。これに呼応して、カウンタは係数を停止し、ORゲート605に出力されていた、データの読み出し中を示す信号の出力が停止する。そして、読み出し制御部606はカウンタをリセットして(S808)、一連の処理を終了する(S809)。
【0054】
これより、以上に述べた回線切替装置が、プラント制御システム101の中でどのように動作するのかを説明する。
図9は、プラント制御システム101上のデータフレームの流れを示すブロック図である。図1の全体ブロック図を簡略化した図である。
主系CPU装置103が、主系第一入出力装置112に対して「要求(REQ)」のデータフレーム(以下「REQフレーム」)を送信する(S901)。REQフレームのID項目には、主系第一入出力装置112に到達するために、「1」が記述されている。
REQフレームは主系第一回線切替装置108及び主系第二回線切替装置109に到達する。
記憶されているIDが「1」である主系第一回線切替装置108は、ID項目に「1」が記述されているREQフレームを、自分と同じIDが付されているREQフレームであると認識して、主系第一回線中継装置110へ通過させる(S902)。
一方、記憶されているIDが「2」である主系第二回線切替装置109は、ID項目に「1」が記述されているREQフレームを、自分と同じIDが付されていないREQフレームであると認識して、通過させない(S903)。
主系第一回線切替装置108を通過したREQフレームは主系第一回線中継装置110を介して(S904)、主系第一入出力装置112に到達する(S905)。
【0055】
一方、主系第一回線中継装置110を通過したREQフレームは、スヌープ回線118を通じて(S906)、従系第一回線中継装置116を通過し(S907)、従系第一回線切替装置126に到達する(S908)。
記憶されているIDが「1」である従系第一回線切替装置126は、ID項目に「1」が記述されているREQフレームを、自分と同じIDが付されているREQフレームであると認識して、通過させる(S909)。こうして、従系第一回線切替装置126を通過したREQフレームは、従系CPU装置123に到達する(S910)。従系CPU装置123は、主系CPU装置103が送信したREQフレームを受信することで、主系の動作をトレースすることができる。
【0056】
一方、従系第一回線切替装置126を通過したREQフレームは、従系第二回線切替装置127にも到達する。しかし、記憶されているIDが「2」である従系第二回線切替装置127は、ID項目に「1」が記述されているREQフレームを、自分と同じIDが付されていないREQフレームであると認識して、通過させない(S911)。
【0057】
図10は、プラント制御システム101上のデータフレームの流れを示すタイムチャート図である。
範囲A1002は、図9で説明したREQフレームの流れを示すタイムチャート図である。前述の図9で流れは説明したので、説明は割愛する。
範囲A1003は、主系第一入出力装置112から主系CPU装置103に対して「応答(ACK)」のデータフレーム(以下「ACKフレーム」)が送信された時の、ACKフレームの流れを示すタイムチャート図である。
【0058】
主系第一入出力装置112は、先に主系CPU装置103から受信したREQフレームのデータ項目に記述されていた動作命令を実行すると、その実行結果を主系CPU装置103に返すため、実行結果をデータ項目に記載したACKフレームを作成する。その際、先のREQフレームのID項目に記述されていたIDを、ACKフレームのID項目に転記する。
主系第一入出力装置112は、作成したACKフレームを、主系CPU装置103へ送信する。前述の通り、ACKフレームのID項目には、主系CPU装置103に到達するために、「1」が記述されている。
【0059】
ACKフレームはスヌープ回線118を介して主系第一回線中継装置110を通過し(S1002)、制御回線107を介して主系第一回線切替装置108に到達する(S1003)。
記憶されているIDが「1」である主系第一回線切替装置108は、ID項目に「1」が記述されているACKフレームを、自分と同じIDが付されているREQフレームであると認識して、主系CPU装置103へ通過させる(S1004)。こうして、主系第一回線切替装置108を通過したACKフレームは、制御回線106を介して主系CPU装置103に到達する(S1005)。
【0060】
一方、主系第一回線切替装置108を通過したACKフレームは、主系第二回線切替装置109にも到達する(S1006)。しかし、記憶されているIDが「2」である主系第二回線切替装置109は、ID項目に「1」が記述されているACKフレームを、自分と同じIDが付されていないACKフレームであると認識して、通過させない(S1007)。
【0061】
主系第一入出力装置112が送信したACKフレームは、スヌープ回線118を通じて、従系第一回線中継装置116を通過し、従系第一回線切替装置126に到達する(S1008)。
記憶されているIDが「1」である従系第一回線切替装置126は、ID項目に「1」が記述されているACKフレームを、自分と同じIDが付されているACKフレームであると認識して、通過させる(S1009)。こうして、従系第一回線切替装置126を通過したACKフレームは、従系CPU装置123に到達する(S1010)。従系CPU装置123は、主系第一入出力装置112が送信したACKフレームを受信することで、主系の動作をトレースすることができる。
【0062】
一方、従系第一回線切替装置126を通過したACKフレームは、従系第二回線切替装置127にも到達する(S1011)。しかし、記憶されているIDが「2」である従系第二回線切替装置127は、ID項目に「1」が記述されているACKフレームを、自分と同じIDが付されていないACKフレームであると認識して、通過させない(S1012)。
【0063】
本実施形態の回線切替装置の機能は、以上に説明したデータの流れから、回線切替装置がない場合を想定して考えると、より明確に判るようになる。
図11は、回線切替装置がない場合を想定した、プラント制御システム101上のデータフレームの流れを示すブロック図である。図9の、回線切替装置がない場合の図である。
図12は、回線切替装置がない場合を想定した、プラント制御システム101上のデータフレームの流れを示すタイムチャート図である。図10の、回線切替装置がない場合の図である。
【0064】
図11を参照して、データフレームの流れを説明する。
主系CPU装置103から出力されたREQフレームは、主系第一回線中継装置110を介して(S1101)主系第一入出力装置112に到達する(S1102)。そして、スヌープ回線118を通じて(S1103)、REQフレームは従系第一回線中継装置116を通過して(S1104)、従系CPU装置123の手前にも到達する(S1105)。
一方、主系CPU装置103から出力されたREQフレームは、主系第二回線中継装置111を介して(S1106)、スヌープ回線119を経由し(S1107)、従系第二回線中継装置117を通過し(S1108)、従系CPU装置123の手前にも到達する(S1109)。
つまり、主系CPU装置103から出力されたREQフレームは、主系第一回線中継装置110を経由する経路と、主系第二回線中継装置111を経由する経路との二手に分かれて、夫々従系CPU装置123に到達する。このため、従系CPU装置123のところで、データフレーム同士が衝突してしまう(S1110)。これが、データフレームの回り込みによって生じる「データフレームの衝突」である。
【0065】
以上より、データフレームにIDを埋め込み、自分のIDと一致したデータフレームだけを通過させる回線切替装置を設けることで、単一のCPU装置が複数の入出力装置に対する制御を実行できるだけでなく、二重化システムを構築する際に生じる、データフレームの衝突を排除することができる。
【0066】
《プラント制御システム101の異常状態の動作》
図13及び図14は、回線切替装置の初期動作及び異常検出動作を示すタイムチャート図である。
図13中、範囲A1301で回線切替装置の起動シーケンスを、範囲A1302で回線切替装置が起動した後の応答シーケンスを、説明する。
指令装置129から指令通信路128を介して主系CPU装置103及び従系CPU装置123に起動命令が発行されると、主系CPU装置103は、主系通信路122を通じて主系第一回線切替装置108及び主系第二回線切替装置109に起動命令を発行する(S1301)。
主系第一回線切替装置108及び主系第二回線切替装置109は、起動命令を受けて動作を開始する。これ以降、IDが一致したデータフレームのみ通過させる動作を実行する。
図13では、主系第一回線切替装置108の内部動作を詳述している。起動命令を受信した上流回線制御部208は、第一系統スイッチ部207a及び207bをオン制御する(S1302、S1304)。起動命令は、上流回線制御部208から下流回線制御部209にも転送される。下流回線制御部209は、第一系統スイッチ部207a及び207bをオン制御する(S1303、S1305)。
実際には、上流回線制御部208及び下流回線制御部209は、第一往路スイッチ部502、第一復路スイッチ部503、第二往路スイッチ部504および第二復路スイッチ部505の内部のORゲート607に論理の「偽」の信号を出力する。
【0067】
同様に、従系CPU装置123は、従系通信路125を通じて従系第一回線切替装置126及び従系第二回線切替装置127に起動命令を発行する(S1306)。
従系第一回線切替装置126及び従系第二回線切替装置127は、起動命令を受けて動作を開始する。これ以降、IDが一致したデータフレームのみ通過させる動作を実行する。
図13では、従系第一回線切替装置126の内部動作を詳述している。起動命令を受信した上流回線制御部208は、第一系統スイッチ部207a及び207bをオン制御する(S1307、S1309)。起動命令は、上流回線制御部208から下流回線制御部209にも転送される。下流回線制御部209は、第一系統スイッチ部207a及び207bをオン制御する(S1308、S1310)。
【0068】
動作を開始した主系第一回線切替装置108及び主系第二回線切替装置109の上流回線制御部208は、主系通信路122を通じて、主系CPU装置103に対して正常動作を報告する応答動作を実行する(S1311)。
同様に、動作を開始した従系第一回線切替装置126及び従系第二回線切替装置127の上流回線制御部208は、従系通信路125を通じて、従系CPU装置123に対して正常動作を報告する応答動作を実行する(S1312)。
以上が、正常状態の回線切替装置の動作である。
【0069】
次に、回線切替装置が制御回線及び入出力装置の異常を検出した際の、回線切替装置の動作について説明する。
図13中、範囲A1303で下流回線制御部209が回線異常を検出した時の動作シーケンスを、説明する。
前述のように回線切替装置は上流回線制御部208と下流回線制御部209の二つを有しているため、異常を検出する箇所により回線遮断の動作が異なる。
主系第一回線切替装置108の下流回線制御部209は、主系第一入出力装置112から受信したデータが異常であると判断した場合、受信した異常データを他の制御回線へ流さないよう、下流回線制御部209が第一系統スイッチ部207a及び207bを制御して、一時的にデータ転送を遮断する(S1313、S1314)。下流回線制御部209は、異常データを遮断した後、自動的に接続復旧する。このとき、主系第一回線切替装置108は、異常データが発生した旨の情報を、主系通信路122を通じて主系CPU装置103に報告する。
以上の動作は、従系第一回線切替装置126でも同様の動作を実行する。
【0070】
図14中、範囲A1404で回線が異常状態の時のCPU装置の動作シーケンスを、説明する。
主系CPU装置103が主系第一入出力装置112にREQフレームを送信した後、所定時間を越えても第一制御回線204a及び第二制御回線204bのいずれからも主系第一入出力装置112からACKフレームが来ない、タイムアウトを何度も検出したとする。つまり、制御回線または入出力装置に何らかの異常が発生したと判断できる。このような場合は、主系CPU装置103から主系通信路122を経由し、主系第一回線切替装置108内の上流回線制御部208に、回線遮断要求を送信する(S1417)。回線遮断要求を受信した上流回線制御部208は、第一系統スイッチ部207a及び207bを制御して、データ転送を遮断する(S1418、S1419)。なお、この動作は主系第二回線切替装置109でも同様である。
【0071】
主系CPU装置103は、ステップS1417で主系第一回線切替装置108内の上流回線制御部208に回線遮断要求を送信した後、従系側に誤ったデータが伝搬することを回避するため、指令通信路128を介して従系CPU装置123に対し、従系第一回線切替装置126の上流回線制御部208に、回線遮断要求を送信する(S1420)。回線遮断要求を受信した上流回線制御部208は、第一系統スイッチ部207a及び207bを制御して、データ転送を遮断する(S1421、S1422)。なお、この動作は従系第二回線切替装置127でも同様である。
【0072】
図14中、範囲A1405で回線が異常状態の時の回線切替装置の応答シーケンスを、説明する。
回線遮断要求を受信した上流回線制御部208は、ステップS1418及びS1419で第一系統スイッチ部207a及び207bを制御して、データ転送を遮断した後、主系CPU装置103に、主系通信路122を通じて回線を遮断した旨の応答を送信する(S1423)。
なお、この動作は主系第二回線切替装置109、従系第一回線切替装置126及び従系第二回線切替装置127でも同様である(S1424)。
【0073】
図14中、範囲A1406で回線が異常状態から復旧した時の回線切替装置及びCPU装置の動作シーケンスを、説明する。
主系CPU装置103が主系第一回線切替装置108に制御回線を遮断させた後、制御回線及び主系第一入出力装置112が復旧した場合には、システムの可用性を向上させるため、制御回線の再接続を行う。主系CPU装置103と主系第一入出力装置112との間の制御回線の接続は遮断されているので、主系CPU装置103が制御回線106を介して、直接回線を監視することは不可能である。そこで、主系CPU装置103は主系通信路122を介し、主系第一回線切替装置108を通じて制御回線の情報を収集する。制御回線及び主系第一入出力装置112が正常に復旧したことを確認すると、主系第一回線切替装置108に対して回線接続要求を送信する(S1425)。
【0074】
主系CPU装置103は、主系第一回線切替装置108から主系通信路122を介して回線を接続した旨の応答を受信すると(S1426)、指令通信路128を介して従系側の復旧状態を確認する。従系CPU装置123から復旧した旨の報告を確認した後、主系CPU装置103は、従系CPU装置123に対して従系第一回線切替装置126へ回線を接続する要求を送信する。従系CPU装置123は、主系CPU装置103と同様に、従系通信路125を通じて従系第一回線切替装置126を制御し(S1427)、回線接続を復旧する。
従系CPU装置123も、主系CPU装置103と同様に、従系第一回線切替装置126から従系通信路125を介して回線を接続した旨の応答を受信する。すると、従系CPU装置123は、指令通信路128を介して主系CPU装置103に回線を接続した旨の報告をする(S1428)。
【0075】
次に、本実施形態のプラント制御システム101において、制御回線及び入出力装置に何らかの理由で異常が発生した場合の動作について、図15、図16、図17及び図18のタイムチャートに基づいて説明する。
回線異常は、回線ショート、回線オープン(断線)、異常データの発生、異常応答等が想定されるが、本実施例では他系統へ影響を与える可能性が大きい、回線系統にショート(回線固着)故障が発生した場合の処理動作について説明する。
【0076】
図15は、プラント制御システム101の異常状態における動作を示すタイムチャート図である。一例として、制御回線107の第一制御回線216aに片系回線ショート故障が発生した際の、主系CPU装置103、及び第一回線切替装置の処理に関する動作を説明する。
主系CPU装置103から主系第一入出力装置112へREQフレームを送信すると(S1501)、第二制御回線216bから始まる第二回線系統では、先に図9及び図10で示した経路にて正常にデータフレームの送受信が行われ(S1502、S1503)、従系側のスヌープも正常に動作する(S1504、S1505)。
【0077】
これに対し、第一制御回線216aから始まる第一回線系統では、主系側の通信経路がホット側、或はグランド側のどちらかの信号レベルに固着し、データの送受信が不可能となる(S1506)。すると、従系側のスヌープ動作において、従系第一回線切替装置126の下流回線制御部209が、第二回線系統に属する第二系統スイッチ部207bにはデータフレームが来ているのに、第一回線系統に属する第一系統スイッチ部207aにはデータフレームが来ていないことを検出する。本来、データフレームは、第一回線系統及び第二回線系統に同時に来るべきであるので、この時点で従系第一回線切替装置126の下流回線制御部209は第一回線系統の異常を検出する(S1507)。従系第一回線切替装置126は、他系統への異常データの伝搬を回避するため、第一回線系統に属する第一系統スイッチ部207aをオフ制御し、回線接続を遮断する。
【0078】
従系第一回線切替装置126が第一回線系統を遮断したことにより、従系CPU装置123も、本来第一回線系統及び第二回線系統に同時に来るべきであるデータフレームが第二回線系統からしか来ていない事実に基づいて、第一回線系統又は第二回線系統のいずれかが異常を来たしたこと(以下「片系異常」)を検出する(S1505)。
【0079】
図16は、プラント制御システム101の異常状態における動作を示すタイムチャート図である。図15の続きである。
前述のような状況下で、主系第一入出力装置112が主系CPU装置103に対してACKフレームを送信すると(S1608)、前記と同様に第二回線系統では正常に主系CPU装置103にACKフレームが到達するのに対し、第一回線系統では第一回線系統に属するどこかの回線のショート故障により、データの送受信が不可能となる。
【0080】
主系第一回線切替装置108は、図15のステップS1507の従系第一回線切替装置126の動作と同様に、第二回線系統に属する第二系統スイッチ部207bにはデータフレームが来ているのに、第一回線系統に属する第一系統スイッチ部207aにはデータフレームが来ていないことを検出する。本来、データフレームは、第一回線系統及び第二回線系統に同時に来るべきであるので、この時点で主系第一回線切替装置108の下流回線制御部209は第一回線系統の異常を検出する(S1609)。そこで、回線異常の影響を他系統に伝搬させないように、主系第一回線切替装置108は、第一回線系統に属する第一系統スイッチ部207aをオフ制御し、第一回線系統の接続を遮断する(S1610)。
【0081】
主系第一回線切替装置108が第一回線系統を遮断したことにより、主系CPU装置103も、本来第一回線系統及び第二回線系統に同時に来るべきであるデータフレームが第二回線系統からしか来ていない事実に基づいて、第一回線系統又は第二回線系統のいずれかが異常を来たしたことを検出する(S1611)。
一方、従系側のスヌープ動作は、従系第一回線中継装置116により回線ショート故障が影響しないスヌープ回線118を介しているため、第一回線系統及び第二回線制毛糸の両系において正常に動作する(S1612)。
【0082】
図17及び図18は、プラント制御システム101の異常状態における動作を示すタイムチャート図である。主系と従系の共通回線であるスヌープ回線118において、第一回線系統及び第二回線系統の両系の回線にショートによる故障が発生した際の、主系CPU装置103、従系CPU装置123、及び四つの回線切替装置の処理を説明する。
主系CPU装置103からREQフレームを送信すると(S1701)、主系第一回線中継装置110までのデータの送信は、第一回線系統及び第二回線系統の両系とも正常に動作する(S1702)。ところが、スヌープ回線118がショート故障しているので、主系第一回線中継装置110から、スヌープ回線118に接続されている従系第一回線中継装置116、主系第一入出力装置112及び従系第一入出力装置114に対するデータの送受信が不可能となる(S1703)。このため、主系第一入出力装置112は正常なREQフレームを受信することができない(S1704)。当然、REQフレームを受信できていないのだから、主系第一入出力装置112は、REQフレームの応答であるACKフレームも、主系CPU装置103に対して送信できなくなる(図18のS1805)。
主系CPU装置103は、所定時間を経過しても主系第一入出力装置112からACKフレームが帰って来ないことを、第一制御回線及び第二制御回線の両方で確認し、両系タイムアウトを検出する(S1806)。すると、主系CPU装置103は他系統に異常データが伝搬することを防ぐため、主系第一回線切替装置108及び主系第二回線切替装置109の回線遮断処理を行う(S1807、S1808)。
【0083】
本実施形態においては、プラント制御システム及びこれに使用される回線切替装置を開示した。
元々、二重化システム上で複数の入出力装置の制御を想定していなかった仕様の制御回線で、複数の入出力装置を単一のCPU装置で制御するために、一つの入出力装置に対応する回線切替装置を設け、回線切替装置にIDを付与した。そして、CPU装置から送出するデータフレームには、回線切替装置を一意に識別するためのIDを埋め込む。回線切替装置が、IDが一致しているデータフレームのみを通過させることで、制御回線上にデータフレームが不用意に回り込んで生じるデータフレームの衝突を回避できる。これにより、CPU装置の処理能力の向上を有効活用できる、費用対効果の高いプラント制御システムを実現できる。
【0084】
更に、回線切替装置には、制御回線とは別に、CPU装置と通信できる通信路を設け、回線異常を検出したら回線接続を遮断する機能を持たせた。この機能により、回線切替装置がなかった従来のプラント制御システムでは、回線故障がプラント制御システム全体の機能停止を引き起こしていたが、回線切替装置が介在することで、回線故障の範囲を限定し、故障の影響の拡大を回線切替装置が食い止めることができる。したがって、従来と比べて可用性の高いプラント制御システムを実現できる。
【0085】
以上、本発明の実施形態例について説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
【符号の説明】
【0086】
101…プラント制御システム、102…制御対象、103…主系CPU装置、104a、104b、104c、104d…センサ、105a、105b、105c、105d…操作子、106…制御回線、107…制御回線、108…主系第一回線切替装置、109…主系第二回線切替装置、110…主系第一回線中継装置、111…主系第二回線中継装置、112…主系第一入出力装置、113…主系第二入出力装置、114…従系第一入出力装置、115…従系第二入出力装置、116…従系第一回線中継装置、117…従系第二回線中継装置、118…スヌープ回線、119…スヌープ回線、120…第一制御対象部、121…第二制御対象部、122…主系通信路、123…従系CPU装置、124…制御回線、125…従系通信路、126…従系第一回線切替装置、127…従系第二回線切替装置、128…指令通信路、129…指令装置、130…不揮発性ストレージ、202…演算処理部、202a…送信端子、202b…受信端子、203a…バッファアンプ、203b…バッファアンプ、204a…第一制御回線、204b…第二制御回線、205…受信切替スイッチ、206a…バッファアンプ、206b…バッファアンプ、207a…第一系統スイッチ部、207b…第二系統スイッチ部、208…上流回線制御部、209…下流回線制御部、210…信号処理部、211a…送信端子、211b…受信端子、212a…バッファアンプ、212b…バッファアンプ、213a…第一制御回線、213b…第二制御回線、214…受信切替スイッチ、215a…バッファアンプ、215b…バッファアンプ、216a…第一制御回線、216b…第二制御回線、217a…第一中継部、217b…第二中継部、302、303…シリアルID対応表、502…第一往路スイッチ部、503…第一復路スイッチ部、504…第二往路スイッチ部、505…第二復路スイッチ部、506…シリアルナンバー記憶部、507…ID記憶部、508…第一回線プローブ、509…第二回線プローブ、602…リングバッファ、603…ヘッダ識別部、604…ID照合部、605…ORゲート、606…読み出し制御部、607…ORゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されるデータを一時的に記憶するリングバッファと、
前記リングバッファ内に記憶されている前記データからデータフレームの位置を示すマーカービット列を識別するヘッダ識別部と、
IDを記憶するID記憶部と、
前記ヘッダ識別部がヘッダを識別した旨の信号を出力したら前記リングバッファ内に記憶されている前記データから前記IDを読み出して前記ID記憶部内の前記IDと照合するID照合部と、
前記ID照合部が前記IDが一致した旨の信号を出力したら前記リングバッファ内のデータを順次読み出す読み出し制御部と
を備える、回線切替装置。
【請求項2】
IDを記憶するID記憶部と、
入力されるデータを一時的に記憶すると共に外部から第一読み出し禁止信号を受信する間は前記データの記憶を中止する第一リングバッファと、前記第一リングバッファ内に記憶されている前記データからデータフレームの位置を示すマーカービット列を識別する第一ヘッダ識別部と、前記第一ヘッダ識別部がヘッダを識別した旨の信号を出力したら前記第一リングバッファ内に記憶されている前記データから前記IDを読み出して前記ID記憶部内の前記IDと照合する第一ID照合部と、前記第一ID照合部が前記IDが一致した旨の信号を出力したら前記第一リングバッファ内のデータを順次読み出すと共に第二読み出し禁止信号を出力する第一読み出し制御部とよりなる往路スイッチ部と、
前記第一読み出し制御部に接続され、入力される前記データを一時的に記憶すると共に前記第一読み出し制御部から出力される前記第二読み出し禁止信号を受信する間は前記データの記憶を中止する第二リングバッファと、前記第二リングバッファ内に記憶されている前記データからデータフレームの位置を示すマーカービット列を識別する第二ヘッダ識別部と、前記第二ヘッダ識別部がヘッダを識別した旨の信号を出力したら前記第二リングバッファ内に記憶されている前記データから前記IDを読み出して前記ID記憶部内の前記IDと照合する第二ID照合部と、前記第一リングバッファに接続され、前記第二ID照合部が前記IDが一致した旨の信号を出力したら前記第二リングバッファ内のデータを順次読み出すと共に前記第一リングバッファに前記第一読み出し禁止信号を出力する第二読み出し制御部とよりなる復路スイッチ部と
を備える、回線切替装置。
【請求項3】
更に、
回線の異常状態を検出する回線プローブと、
前記回線プローブが前記回線の異常状態を検出したことを受けて、前記第一読み出し制御部及び前記第二読み出し制御部に読み出し動作を中止する信号を出力する回線制御部と
を備える、請求項2記載の回線切替装置。
【請求項4】
IDを記憶するID記憶部と、
第一制御回線から入力されるデータを一時的に記憶すると共に外部から第一読み出し禁止信号を受信する間は前記データの記憶を中止する第一リングバッファと、前記第一リングバッファ内に記憶されている前記データからデータフレームの位置を示すマーカービット列を識別する第一ヘッダ識別部と、前記第一ヘッダ識別部がヘッダを識別した旨の信号を出力したら前記第一リングバッファ内に記憶されている前記データから前記IDを読み出して前記ID記憶部内の前記IDと照合する第一ID照合部と、前記第一ID照合部が前記IDが一致した旨の信号を出力したら前記第一リングバッファ内のデータを順次読み出すと共に第二読み出し禁止信号を出力する第一読み出し制御部とよりなる第一往路スイッチ部と、
前記第一読み出し制御部に接続され、入力される前記データを一時的に記憶すると共に前記第一読み出し制御部から出力される前記第二読み出し禁止信号を受信する間は前記データの記憶を中止する第二リングバッファと、前記第二リングバッファ内に記憶されている前記データからデータフレームの位置を示すマーカービット列を識別する第二ヘッダ識別部と、前記第二ヘッダ識別部がヘッダを識別した旨の信号を出力したら前記第二リングバッファ内に記憶されている前記データから前記IDを読み出して前記ID記憶部内の前記IDと照合する第二ID照合部と、前記第一リングバッファ及び前記第一制御回線に接続され、前記第二ID照合部が前記IDが一致した旨の信号を出力したら前記第二リングバッファ内のデータを順次読み出すと共に前記第一リングバッファに前記第一読み出し禁止信号を出力する第二読み出し制御部とよりなる第一復路スイッチ部と、
第二制御回線に接続され、前記第一往路スイッチ部と同一の構成を備える第二往路スイッチ部と、
第二制御回線に接続され、前記第一復路スイッチ部と同一の構成を備える第二復路スイッチ部と、
を備える、回線切替装置。
【請求項5】
更に、
前記第一往路スイッチ部の前記第一読み出し制御部及び前記第一復路スイッチ部の前記第二リングバッファに接続され、前記第一制御回線の異常状態を検出する第一回線プローブと、
前記第二往路スイッチ部の前記第一読み出し制御部及び前記第二復路スイッチ部の前記第二リングバッファに接続され、前記第二制御回線の異常状態を検出する第二回線プローブと、
前記第一回線プローブが前記第一制御回線の異常状態を検出したことを受けて、前記第一往路スイッチ部の前記第一読み出し制御部及び前記第一復路スイッチ部の前記第二読み出し制御部に読み出し動作を中止する信号を出力すると共に、前記第二回線プローブが前記第二制御回線の異常状態を検出したことを受けて、前記第二往路スイッチ部の前記第一読み出し制御部及び前記第二復路スイッチ部の前記第二読み出し制御部に読み出し動作を中止する信号を出力する下流回線制御部と
を備える、請求項4記載の回線切替装置。
【請求項6】
更に、
上位装置から受ける指示に呼応して、前記第一往路スイッチ部の前記第一読み出し制御部及び前記第一復路スイッチ部の前記第二読み出し制御部に読み出し動作を中止する信号を出力すると共に、前記第二往路スイッチ部の前記第一読み出し制御部及び前記第二復路スイッチ部の前記第二読み出し制御部に読み出し動作を中止する信号を出力すると共に、前記第一回線プローブ或は前記第二回線プローブが検出した回線異常状態を前記下流回線制御部を通じて前記上位装置に報告する上流回線制御部と
を備える、請求項5記載の回線切替装置。
【請求項7】
データフレームの位置を示すマーカービット列と、経路を特定するIDとを備える要求データフレームを生成して、第一制御回線及び第二制御回線に出力する主系CPU装置と、
IDを記憶するID記憶部と、前記第一制御回線に接続され、前記データフレーム中の前記IDと前記ID記憶部のIDが一致した時に前記データフレームを通過させる第一スイッチ部と、前記第二制御回線に接続され、前記データフレーム中の前記IDと前記ID記憶部のIDが一致した時に前記データフレームを通過させる第二スイッチ部とよりなる主系第一回線切替装置と、
前記主系第一回線切替装置の前記第一スイッチ部又は前記主系第一回線切替装置の前記第二スイッチ部から前記データフレームを受信すると共に、前記データフレームから読み取った前記IDを含む応答データフレームを前記第一スイッチ部及び前記第二スイッチ部に出力する主系第一入出力装置と
を備える、プラント制御システム。
【請求項8】
更に、
前記主系CPU装置に接続され、前記主系第一回線切替装置と同一の構成を備えると共に、前記主系第一回線切替装置と異なるIDが記憶されている主系第二回線切替装置と、
前記主系第一入出力装置と同一の構成を備えると共に、前記主系第二回線切替装置に接続される主系第二入出力装置と、
前記主系CPU装置と同一の構成を備える従系CPU装置と、
前記従系CPU装置に接続され、前記主系第一回線切替装置と同一の構成を備えると共に、前記主系第一回線切替装置と同一のIDが記憶されている従系第一回線切替装置と、
前記従系CPU装置に接続され、前記主系第一回線切替装置と同一の構成を備えると共に、前記主系第二回線切替装置と同一のIDが記憶されている従系第二回線切替装置と、
前記主系第一入出力装置と同一の構成を備えると共に、前記従系第一回線切替装置に接続される従系第一入出力装置と、
前記主系第一入出力装置と同一の構成を備えると共に、前記従系第二回線切替装置に接続される従系第二入出力装置と
を備える、請求項7記載のプラント制御システム。
【請求項9】
更に、
前記主系第一回線切替装置及び前記主系第二回線切替装置は、
前記第一スイッチ部又は前記第二スイッチ部に接続されている回線の異常を検出して前記第一スイッチ部又は前記第二スイッチ部の接続を遮断する主系下流回線制御部と、
前記主系CPU装置から回線遮断命令を受けて前記第一スイッチ部又は前記第二スイッチ部の接続を遮断する主系上流回線制御部と
を備え、
前記従系第一回線切替装置及び前記従系第二回線切替装置は、
前記第一スイッチ部又は前記第二スイッチ部に接続されている回線の異常を検出して前記第一スイッチ部又は前記第二スイッチ部の接続を遮断する従系下流回線制御部と、
前記従系CPU装置から回線遮断命令を受けて前記第一スイッチ部又は前記第二スイッチ部の接続を遮断する従系上流回線制御部と
を備える、請求項8記載のプラント制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−200016(P2010−200016A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42938(P2009−42938)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】