説明

回路モジュール

【課題】 回路基板のサイズや回路基板上に搭載される電子部品の配置の変更に合わせて、所望の形状の導電性仕切りを有する回路モジュールを提供する。
【解決手段】 導電性仕切り33は、部品搭載面32に個片の導電性チップ34が複数個搭載されることにより、構成されている。回路基板31のサイズや第1、第2のブロック内の電子部品の配置に合わせて、導電性チップ34の搭載位置と、搭載個数を変えて、導電性仕切り33の形状を自由に変更できる。このような導電性仕切り33により、部品搭載面32は、第1のブロック35と、第2のブロック36とに分離され、ブロック間の電磁干渉が阻止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路モジュールに関し、詳しくは、回路基板上に導電性仕切りが形成された回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板上の電子部品を所望のブロックに分離する導電性仕切りが形成された回路モジュールが提案されている。このような従来の回路モジュールとしては、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示の回路モジュールを図7に示す。
【0003】
図7(A)に示すように、回路モジュール10は、内部に電極パターンを含む回路基板11と、回路基板11の部品搭載面12に搭載された電子部品13〜17及び導電性仕切り18と、前記電子部品13〜17を覆って、導電性仕切り18の一部を表面に露出させるように回路基板11上に形成された絶縁樹脂層19とで構成されている。
【0004】
図7(B)に示すように、部品搭載面12に搭載された導電性仕切り18は、部品搭載面12の一方の辺から他方の辺に渡って延在する一つの連続した導電性部材で構成されている。このような導電性仕切り18により、電子部品13〜17(図示せず)は、各々が異なる二つのブロック20、21のどちらかに内包されるように分離されている。
【0005】
ブロック20内の電子部品と、ブロック21内の電子部品は、それぞれ異なる機能回路を構成して、動作する。導電性仕切り18で分離されることにより、ブロック20内の電子部品とブロック21内の電子部品間の電磁干渉が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−317935
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の回路モジュール10にあっては、導電性仕切り18は、連続した一つの導電性部材で構成されているため、汎用性が低いという問題があった。
【0008】
すなわち、回路基板のサイズや回路基板上に実装される電子部品の配置を変更した場合、それに合わせて、L字状やT字状などに導電性仕切り18の形状を変えなければならなかった。これは回路モジュール11を製造する際のコストアップの要因となっていた。
【0009】
また、導電性仕切り18は連続した一つの導電性部材で構成されるため、回路基板11上に絶縁樹脂層19を形成する際、ブロック間(例えば、図7(B)に示すブロック20とブロック21の間)での樹脂の流動性が悪く、部品搭載面12の全面に渡って樹脂が形成されるまでに時間を要するという問題点もあった。
【0010】
本発明は、上述した問題点を鑑みてなされたものであり、回路基板のサイズおよび回路基板上に実装される電子部品の配置変化に対応可能な、汎用性の高い導電性仕切りを有し、さらに、回路基板上に形成される絶縁樹脂層の流動性も高い、回路モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る回路モジュールは、複数の電子部品が搭載された回路基板と、複数の電子部品とともに回路基板上に搭載され、複数の電子部品を所望のブロックに分離する導電性仕切りとを有する回路モジュールにおいて、導電性仕切りは複数の導電性チップが配置されることにより形成されている。
【0012】
この場合、導電性仕切りは連続した一つの導電性部材ではなく、個片の複数の導電性チップが回路基板上に並べて搭載されることで構成される。このため、回路基板上での導電性チップの搭載位置と、搭載される導電性チップの個数を変えることで、導電性仕切りの形状を自由に変更できる。従って、回路基板のサイズや回路基板上に搭載される電子部品の配置の変更に合わせて、所望の形状の導電性仕切りを有する回路モジュールを提供できる。
【0013】
さらに、回路基板は、面内配線電極が形成された複数の絶縁体層と、前記絶縁体層を貫通して形成されるビア電極とを含み、導電性チップは面内配線電極およびビア電極を介して、グランド電極に接続されていることが好ましい。
【0014】
この場合、導電性チップがグランド電極に接続されるため、導電性仕切りのシールド効果が向上する。
【0015】
さらに、複数の電子部品を覆うように、回路基板上に絶縁樹脂層が形成され、絶縁樹脂層を覆うようにシールド導電層が形成され、導電性チップはその一部が絶縁樹脂層から露呈し、シールド導電層と接続されていることが好ましい。
【0016】
この場合、グランド電極に接続されたシールド導電層によって回路基板上の電子部品が覆われるため、外部からの電磁波ノイズによって、電子部品が影響を受けることを阻止することができる。加えて、シールド導電層は導電性チップによって、複数箇所でグランド電極に接続されるので、シールド導電層のシールド効果はより確実である。
【0017】
さらに、電子部品を覆うように、回路基板上にシールドケースが形成され、導電性チップがシールドケースと接続されていることが好ましい。
【0018】
この場合、グランド電極に接続されたシールドケースによって回路基板上の電子部品が覆われるため、外部からの電磁波ノイズによって、電子部品が影響を受けることを阻止することができる。加えて、シールドケースは導電性チップによって、複数箇所でグランド電極に接続されるので、シールドケースのシールド効果はより確実である。
【0019】
さらに、複数の絶縁体層の内、少なくとも一層はほぼ全面に面内グランド電極が形成され、前記面内グランド電極は面内配線電極とビア電極を介して、グランド電極と接続されていることが好ましい。
【0020】
この場合、回路基板側から侵入する電磁波ノイズによって、電子部品が影響を受けることを阻止することができる。
【0021】
さらに、シールド導電層、シールドケースと面内グランド電極とが回路基板の側面で接続されていることが好ましい。
【0022】
この場合、回路基板側から侵入する電磁波ノイズによって、電子部品が影響を受けることをより確実に阻止することができる。
【0023】
さらに、複数の導電性チップが隙間を空けて配置されることにより導電性仕切りが形成され、隙間の距離が、回路モジュールの動作信号の4分の1の波長以下であることが好ましい。
【0024】
この場合、電子部品から発せられる電磁波ノイズが導電性仕切りを通過することを確実に阻止することができる上に、隙間を介して樹脂が流動できるため、流動性を良好に保ちながら絶縁樹脂層を形成できる
さらに、導電性チップは、樹脂で成形された成形体の表面に導電性材料が形成されてなることが好ましい。
【0025】
この場合、導電性チップは主に樹脂で構成されるため、回路モジュールの製造が容易になる。
【0026】
さらに、複数の導電性チップは、回路基板の部品搭載面と垂直な方向に延びる基体と、基体を部品搭載面と平行な方向に貫通する貫通部と、基体から部品搭載面と平行方向に延びて、少なくとも一部で回路基板と接して、基体を回路基板上に固定する支持部と、基体の回路基板とは反対側に位置する面に設けられ、基体が吸着されるための吸着部とを備えていることが好ましい。
【0027】
この場合、支持部により、導電性チップを倒れることなく回路基板の部品搭載面に配置できる。また、吸着部が形成されているため、他の電子部品と同様、電子部品実装機器を用いて、導電性チップを吸着して部品搭載面に搭載することができる。このため、回路基板への導電性チップの配置が簡易になる。さらに、導電性チップが貫通部を有するため、絶縁樹脂層を構成する樹脂材料の流動性がより向上する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、回路基板のサイズや回路基板上に搭載される電子部品の配置の変更に合わせて、所望の形状の導電性仕切りを有する回路モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る回路モジュールの絶縁樹脂層とシールド導電層を除いた平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる回路モジュールの断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る回路モジュールの絶縁樹脂層を除いた断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る回路モジュールに用いる導電性チップの外観斜視図と側面図と平面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る回路モジュールの断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る回路モジュールの断面図と面内グランド電極が形成されている誘電体層の平面図である。
【図7】従来の回路モジュールの断面図と外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る回路モジュール30の構成について図1、図2、図3、図4(A)〜(C)、図5に示す。
【0031】
図1は、回路モジュール30の部品搭載面32を平面視した平面図である。
【0032】
図1に示すように、回路モジュール30は、回路基板31と、回路基板の部品搭載面32に搭載される電子部品と、導電性仕切り33によって構成されている。
【0033】
回路基板31としては、例えば、30mm×20mm×1.6mmの直方体となるように、主としてセラミック材料からなるセラミック多層基板、または、主として樹脂材料からなる樹脂多層基板などを用いて形成されている。多層基板は面内配線電極が形成された基板を積み重ねて構成されており、前記基板を貫通するビア電極によって面内配線電極は電気的に接続されている。
【0034】
導電性仕切り33は、部品搭載面32に個片の導電性チップ34が複数個搭載されることにより、構成されている。なお、導電性チップ34の詳細な構成については後述する。
【0035】
このような導電性仕切り33により、部品搭載面32は、図1中に示す第1のブロック35と、第2のブロック36とに分離されている。第1のブロック35に搭載される電子部品と、第2のブロック36に搭載される電子部品は、それぞれ異なる機能回路を構成している。
【0036】
例えば、回路モジュール30がBluetoothR回路とFMチューナー回路を一つのモジュール部品に集積したモジュール部品である場合、第1のブロック35に搭載される電子部品はBluetooth回路を構成し、第2のブロックに搭載される電子部品はFMチューナー回路を構成する。
【0037】
上記の構成の回路モジュール30においては、第1のブロック35と第2のブロック36の間に導電性仕切り33が形成されているため、第1のブロックに搭載される電子部品と第2のブロックに搭載される電子部品間での電磁干渉を防ぐことができる。
【0038】
さらに、導電性仕切り33は複数の個片の導電性チップ34で構成されている。このため、回路基板31のサイズや第1、第2のブロック内の電子部品の配置に合わせて、導電性チップの搭載位置と、搭載個数を変えて、導電性仕切り33の形状を自由に変更できる。
【0039】
なお、本実施例では第1のブロックと第2のブロックを有する回路モジュールについてのみ示したが、回路モジュールの機能に応じて、本発明に係る、複数の個片の導電性チップで構成された導電性仕切りを適用して、回路基板の部品搭載面を3つ以上のブロックに分離することも可能である。
【0040】
つづいて、図2、図3を参照しながら、本発明に係る回路モジュール30の構成についてさらに詳細に説明する。
【0041】
図2は、図1におけるX−X´線に沿って、回路モジュールを切断した断面図である。図3は、図1におけるY−Y´線に沿って、回路モジュールを切断し、絶縁樹脂層を除いた断面図である。
【0042】
図3に示すように、導電性チップ34は隣接する導電性チップとの間に隙間をあけて、部品搭載面32に搭載されて、導電性仕切り33が構成されている。この隙間の距離は回路モジュール30の動作信号の4分の1波長以下であることが好ましい。
【0043】
部品搭載面32に搭載された電子部品を覆って、導電性チップ34の一部が表面に露出するように、回路基板31に絶縁樹脂層39が形成されている。
【0044】
絶縁樹脂層39としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることが好適であり、強度、誘電率、温度特性、粘性などをコントロールすることを目的として、その材料中にセラミックなどのフィラー成分を含有させたものを用いてもよい。
【0045】
絶縁樹脂層39により、部品搭載面32に搭載された電子部品および導電性仕切り33の回路基板31への接続が強固になされるとともに、前記電子部品および導電性チップ34が外部環境から保護される。
【0046】
さらに、絶縁樹脂層の表面を覆うようにシールド導電層40が形成され、導電性チップ34と接続されている。
【0047】
導電性チップとシールド導電層40とが接続されるために、絶縁樹脂層39は、その天面から導電性チップ34の一部が露呈するように形成されている。例えば、導体チップ34の一部が露呈するまで絶縁樹脂層39の天面を研削して、絶縁樹脂層39を形成することができる。また、あらかじめ、導電性チップ34の一部分が露呈するように、絶縁樹脂層39の高さを導電性チップ34の高さより低く形成してもよい。
【0048】
シールド導電層40には、例えば、導電性成分を含む導電性樹脂が用いられる。導電体樹脂に含まれる導電体成分(フィラー)は、例えばAg、Cu、Niなどであり、導電性成分を包含する合成樹脂(バインダー)は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などである。
【0049】
一方で、回路基板31の裏面にはグランド電極37を含む外部接続用電極が形成され、回路基板31の内部には面内配線電極とビア電極で構成される配線パターン38が形成されている。
【0050】
導電性チップ34とグランド電極37とは、配線パターン38を介して、電気的に接続されている。また、シールド導電層40は、導電性チップ34と、配線パターン38とを介して、グランド電極37に電気的に接続されている。
【0051】
以上に述べたように、導電性チップ34がグランド電極に接続されるため、導電性仕切り33のシールド効果がより確実になる。
【0052】
このように、導電性チップ34により、シールド導電層40は複数箇所でグランド電極に接続され、回路基板上の電子部品が覆われる。このため、外部からの電磁波ノイズが回路モジュール全体に影響を与えることを防ぐことができる。
【0053】
また、個々の導電性チップ34は一定の隙間を空けて回路基板上に搭載されている。従って、この隙間を介して、絶縁樹脂層39を構成する樹脂材料が流動できる。このため、流動性を良好に保ちつつ絶縁樹脂層39を回路基板の部品搭載面に形成できる。さらに、この隙間の距離を回路モジュールの動作信号の4分の1波長以下にすることで、絶縁樹脂層の流動性を保ちながらより確実に第1と第1のブロック間の電磁干渉を防ぐことができる。
【0054】
なお、本実施形態では回路基板31の裏面にのみグランド電極を形成したが、外部への接続方法に応じて、グランド電極を形成する場所を変えることができる。例えば、回路基板31の側面、または、側面と裏面の双方にグランド電極を形成してもよい。
【0055】
つづいて、図4(A)〜(C)を参照しながら、導電性チップ34の構成について詳細に説明する。
【0056】
図4(A)〜(C)は、それぞれ本発明に係る回路モジュールに用いる導電性チップ34の外観斜視図、平面図と側面図である。
【0057】
図4(A)〜(C)に示すように、導電性チップ34は、基体51と、支持部52と、吸着部53とによって構成されている。
【0058】
基体51は、第1の構成部51aと、第2の構成部51bと、第3の構成部51cが互いに連結して、構成されている。第1の構成部51aは、第2の構成部51bの主面56とほぼ垂直に第1の方向に延びるように第2の構成部51bの一辺57と繋がって形成され、第3の構成部51cは第2の構成部51bの主面56とほぼ垂直に、前記第1の方向とは反対の第2の方向に延びるように、第2の構成部51bの一辺57と対向する辺58と繋がって形成されている。図4(B)に示すように、基体51を平面視したとき、その形状はクランク形状となっている。
【0059】
このような、基体51は、部品搭載面32と垂直な方向に延在するように部品搭載面32に搭載され、電磁波ノイズをシールドする効果を果たす。
【0060】
支持部52は基体51とほぼ垂直に、基体51の底面の両端部に形成されている。導電性チップ34が回路基板31上に搭載される際、基体51を支持できるように、支持部52は部品搭載面32と平行方向に所定の面積をもって形成されている。さらに、支持部52には開口部55が形成されている。
【0061】
このように導電性チップ34は支持部52により、倒れにくく、安定して回路基板32上に搭載される。
【0062】
また、開口部55が形成されているため、はんだなどにより支持部52を回路基板上に接続するのにあたって、支持部52の部品搭載面32と接する面以外の面にもはんだが形成され、導電性チップ34をより強固に回路基板上に接続することができる。
【0063】
図3に示すように、このような支持部52を介して、基体51が部品搭載面32に搭載されている。部品搭載面32に搭載された基体51には、部品搭載面32と平行方向に該基体を貫通するように貫通部54が形成されている。この貫通部の最大開口長は、回路モジュールの動作信号の4分の1波長以下であることが好ましい。
【0064】
このように、基体51に貫通部54を形成することで、絶縁樹脂層39を構成する樹脂材料が貫通部54を介してブロック間を流動できるため、流動性を良好に保ちつつ絶縁樹脂層39を回路基板上に形成できる。
【0065】
吸着部53は基体51とほぼ垂直に、基体51の天面に形成されている。吸着部53は、例えば、チップマウンターなどの電子部品実装機器の吸着ノズルが吸着できるように、支持部52と平行方向に、すなわち、部品搭載面32と平行方向に所定の面積をもって形成されている。
【0066】
このように、導電性チップ34に吸着部53が形成されているため、電子部品実装機器を用いて、他の電子部品と同様に簡単に回路基板上に搭載することができる。このため、回路基板への導電性チップ34の搭載が簡易である。
【0067】
以上のような構成の導電性チップ34は、導電性材料を含んで形成されている。例えば、Al合金の金属板に折り曲げ加工を施して、導電性チップ34を形成することができる。
【0068】
なお、樹脂材料を所定の形状に成形した成形体の表面に、導電性材料を形成して、導電性チップ34を構成してもよい。この場合、導電性チップ34は主に樹脂材料によって構成される。これにより、例えば、低背化のために絶縁樹脂層39と導電性チップ34を研削して回路モジュールを製造する場合、加工を簡単に行うことができる。
【0069】
また、樹脂材料を所定の形状に成形した成形体の内部に導電性材料を形成して、樹脂材料が露呈する導電性チップ54を構成してもよい。
【0070】
この場合、導電性チップの表面に樹脂材料が露呈するため、導電性チップと絶縁樹脂層の密着性が向上する。
【0071】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。例えば、導電性チップ34を部品搭載面32に搭載する際に、隣接する導電性チップが接するように配置してもよく、このように構成された導電性仕切り33は確実に電磁場ノイズを阻止できる。
【0072】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る回路モジュールの断面図を図5に示す。回路モジュール60は、シールド導電層がシールドケース61で構成されている。その他の構成は、本発明の第1の実施形態と同じであるため、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0073】
図6に示すように、シールドケース61は部品搭載面32に搭載された電子部品と導電性チップ34を覆うように、回路基板上に形成されている。このシールドケース61は導電性を有し、例えば、Al合金の金属板を折り曲げ加工して形成されている。
【0074】
シールドケース61は、導電性チップ34に接続され、導電性チップ34と配線パターン38を介して、グランド電極37に電気的に接続されている。
【0075】
シールドケース61と導電性チップ34の接続方法として、例えば、導電性チップ34の天面に導電性ペーストを塗布し、シールドケース61を回路基板上に形成する際に、前記導電性ペーストを介して、シールドケース61と導電性チップ34とが接続されるようにすることができる。
【0076】
また、シールドケース61上の所定の位置に開口部を設け、導電性チップ34の一部を前記開口部に挿入し、シールドケース61と接触させて、シールドケース61と導電性チップ34とが接続されるようにすることもできる。
【0077】
以上のような構成の回路モジュール60によれば、グランド電極に接続されたシールドケース61により、回路基板上の電子部品が覆われるので、外部からの電磁波ノイズが回路モジュールに影響を与えることを防ぐことができる。
【0078】
また、シールドケース61が金属板により構成される場合、回路モジュール60の外部からの衝撃への耐性が向上する。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る回路モジュールの断面図を図6(a)に示す。回路モジュール70は本発明の第1の実施形態と比較して、回路基板内に面内グランド電極71が形成されている点で異なる。その他の構成は本発明の第1の実施形態と同じであるため、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0079】
図6(a)に示すように、面内グランド電極71は回路基板31の側面から露出するように形成され、前記側面を覆うシールド導電層40と電気的に接続されている。また、面内グランド電極71は回路基板31の内部で配線パターン38と接続され、これを介してグランド電極37と電気的に接続されている。
【0080】
図6(b)は面内グランド電極71が形成されている誘電体層の平面図である。図6(b)に示すように、面内グランド電極71は誘電体層のほぼ全面に広がる矩形状に形成されている。この矩形状の面内グランド電極71の周囲はシールド導電層40によって囲まれている。従って、シールド導電層40と面内グランド電極71とでシールドされた閉じた空間が構成される。部品搭載面32の上に搭載される電子部品は、この空間内に配置されている。
【0081】
このように、面内グランド電極71を設けることにより、回路基板側を通過して、部品搭載面32に搭載される電子部品に影響する電磁ノイズを阻止することができる。さらに、面内グランド電極71とシールド導電層40を回路基板の側面で電気的に接続させることで、シールドされた閉じた空間に電子部品を配置することができ、確実に外部からの電磁波ノイズの影響を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0082】
10、30、60、70 回路モジュール
11、31 回路基板
13〜17 電子部品
18、33 導電性仕切り
19,39 絶縁樹脂層
20、21、35、36 ブロック
32 部品搭載面
34 導電性チップ
37 グランド電極
38 配線パターン
40 シールド導電層
51 基体
51a〜c 第1、第2、第3の構成部
52 支持部
53 吸着部
54 貫通部
55 開口部
56 主面
57、58 辺
61 シールドケース
71 面内グランド電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品が搭載された回路基板と、前記複数の電子部品とともに前記回路基板上に搭載され、前記複数の電子部品を所望のブロックに分離する導電性仕切りとを有する回路モジュールにおいて、
前記導電性仕切りは複数の導電性チップが配置されることにより形成されることを特徴とする回路モジュール。
【請求項2】
前記回路基板は、面内配線電極が形成された複数の絶縁体層と、前記絶縁体層を貫通して形成されるビア電極とを含み、
前記導電性チップは前記面内配線電極および前記ビア電極を介して、グランド電極に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の回路モジュール。
【請求項3】
前記電子部品を覆うように、前記回路基板上に絶縁樹脂層が形成され、前記絶縁樹脂層を覆うようにシールド導電層が形成され、
前記導電性チップはその一部分が前記絶縁樹脂層から露呈し、前記シールド導電層と接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2のうちいずれか一項に記載の回路モジュール。
【請求項4】
前記電子部品を覆うように、前記回路基板上にシールドケースが形成され、前記導電性チップが前記シールドケースと接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の回路モジュール
【請求項5】
前記複数の絶縁体層の内、少なくとも一層はほぼ全面に面内グランド電極が形成され、前記面内グランド電極は前記面内配線パターンおよび前記ビア電極を介して、グランド電極と接続されていることを特徴とする請求項2から請求項4のうちいずれか一項に記載の回路モジュール。
【請求項6】
前記シールド導電層、前記シールドケースと前記面内グランド電極とが前記回路基板の側面で接続されていることを特徴とする請求項5に記載の回路モジュール。
【請求項7】
前記複数の導電性チップが隙間を空けて配置されることにより前記導電性仕切りが形成され、前記隙間の距離が、前記回路モジュールの動作信号の4分の1の波長以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の回路モジュール。
【請求項8】
前記導電性チップは、樹脂で成形された成形体の表面に導電性材料が形成されてなることを特徴とする請求項1〜7いずれか一項に記載の回路モジュール。
【請求項9】
前記複数の導電性チップは、前記回路基板の部品搭載面と垂直な方向に延びる基体と、前記基体を前記部品搭載面と平行な方向に貫通する貫通部と、
前記基体から前記部品搭載面と平行方向に延びて、少なくとも一部分で前記回路基板と接して、前記基体を前記回路基板上に固定する支持部と、
前記基体の前記回路基板とは反対側に位置する面に設けられ、前記基体が吸着されるための吸着部と、
を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項8いずれか一項に記載の回路モジュール

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−A】
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【図4−B】
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【図4−C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−258886(P2011−258886A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134250(P2010−134250)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】