説明

回路基板、回路基板の製造方法および半導体装置

【課題】ビアホール加工性に優れた回路基板、回路基板の製造方法および半導体装置を提供すること。
【解決手段】絶縁層21と、絶縁層21の一方の面側に第一金属層11と、他方の面側には第二金属層12および支持部材13とがこの順に積層されてなる支持部材付き金属層7とが設けられた積層板10を用意し、第一金属層11を選択的に除去した後、選択的に除去した部分にレーザを照射することにより絶縁層21に第二金属層12の表面に達する貫通孔を形成する工程と、無電解めっきにより第一金属層11表面および貫通孔19表面にめっきを形成する工程と、支持部材13を第二金属層12から剥離する工程と、を含むことを特徴とする回路基板の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板、回路基板の製造方法および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板へ導体回路を形成する方法には、大別してサブトラクティブ法とセミアディティブ法が知られている。セミアディティブ法では、導体回路の精細度を決定する要因が、フォトリソグラフィ法で用いるめっきマスク(フォトマスク)の精度に依存するために、セミアディティブ法で形成する導体回路の精度は、サブトラクティブ法においてエッチング法で形成する導体回路の精度に比べると、回路幅精度に優れた工法である。従って、高精細な導体回路を形成する手法としては、セミアディティブ法が有利である(例えば特許文献1)。
【0003】
しかしながら、例えば、セミアディティブ法で導体回路を形成する手法では、シード層といわれる電気めっきの給電層を導体回路形成後に除去が必要となる。シード層は、薄さ、厚み分布の均一性が求められる。この要求を満たすためには金属箔の厚さの薄い金属箔積層板(極薄金属箔積層板とも言う)を使用する必要がある。しかしながら、両面極薄金属箔積層板を用いてブラインドビアホールを形成する場合、通常の銅箔積層板と同様のビア加工を行うとブラインドビア底部の金属箔にダメージが起こりやすくブラインドビアの加工が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−37137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ビアホール加工性に優れた回路基板、回路基板の製造方法および半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、絶縁層と、前記絶縁層の一方の面側に第一金属層と、他方の面側には第二金属層および支持部材とがこの順に積層されてなる支持部材付き金属層が設けられた積層板を用意する工程と、前記第一金属層を選択的に除去した後、選択的に除去した部分にレーザを照射することにより前記絶縁層に前記第二金属層の表面に達する貫通孔を形成する工程と、無電解めっきにより前記貫通孔の周辺にめっきを形成する工程と、前記支持部材を第二金属層から剥離する工程と、を含むことを特徴とする回路基板の製造方法を提供することができる。
【0007】
また、前記支持部材付き金属層は、前記第二金属層と、前記支持部材との間に剥離層をさらに有し、前記支持部材を前記第二金属層から剥離する工程において、前記剥離層で前記支持部材を剥離する構成であってもよい。
【0008】
この回路基板の製造方法においては、レーザを照射する反対側の面に第二金属層と剥離可能な支持部材(キャリア箔)とで構成される支持部材(キャリア箔)付き金属層が設けられた積層板を用いる。これにより、照射されたレーザのエネルギーは、キャリア箔で分散され第二金属層がレーザのエネルギーにより加工されるのを防ぐことが可能となり第一金属層側に開口部が形成されたビアホールとする回路基板の製造方法とすることができる。
【0009】
また、支持部材を第二金属層から剥離する前記工程の後、前記第一および第二金属層の表面に開口部を設けたレジスト層を形成する工程と、前記第一および第二金属層の前記開口部にめっきにより導体部を形成する工程と、前記レジスト層を除去する工程と、をさらに含む回路基板の製造方法としてもよい。これにより、セミアディティブ法による回路形成が可能となるので配線が高密度化された回路基板の製造方法を提供できる。
【0010】
また、前記第一金属層の厚さは、0.05μm以上、12μm以下であってもよい。
【0011】
また、前記支持部材の熱伝導率は、10W・m−1・K−1以上であってもよい。
【0012】
また、前記支持部材は、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、チタン、ジルコニウム、鉄、パラジウム、白金、モリブデン、コバルト、タングステン、マンガン、ニオブ、タンタル、ケイ素、炭素から選ばれた少なくとも1種を含む材料であってもよい。
【0013】
また、前記レーザは、炭酸ガスレーザであってもよい。
【0014】
上述に記載の回路基板の製造方法により得られる回路基板を提供することができる。
【0015】
また、上述に記載の回路基板に半導体素子を搭載してなる半導体装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ビアホール加工性に優れた回路基板、回路基板の製造方法および半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態にかかる回路基板の断面図である。
【図2】回路基板の製造工程を示す断面図である。
【図3】回路基板の製造工程を示す断面図である。
【図4】回路基板の製造工程を示す断面図である。
【図5】回路基板の製造工程を示す断面図である。
【図6】回路基板上に半導体チップを搭載する工程を示す図である。
【図7】半導体装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、両面に回路層が形成された両面の回路基板1を例にあげて好適な製造方法について以下に説明する。
なお、本発明はこれから説明するものに限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
また、本発明は第一金属層11を選択的に除去し、残された領域をレーザマスクとして用いるコンフォーマルマスク工法を例に説明しているが、第一金属層11を除去することなく直接レーザを用いて加工するダイレクトレーザ加工法においても適宜適応可能である。
【0019】
はじめに、本実施形態で説明する製造方法で得られた回路基板1について説明する。図1に示すように、回路基板1は、導電体20が貫通する絶縁層21と、絶縁層21の一方の面側(図中上面)に設けられ、導電体20に接続された第一回路パターン22と、この第一回路パターン22を被覆するとともに、第一回路パターン22の一部上に開口が形成された第一被覆層(第一ソルダーレジスト層ともいう)23と、絶縁層21の他方の面側(図中下面)に設けられ、導電体20に接続された第二回路パターン24と、第二回路パターン24を被覆する第二被覆層(第二ソルダーレジスト層ともいう)25と、第一被覆層23の開口内に設けられた半田層26と、第二被覆層25の開口内に設けられた半田ボール29を備える。以下、図中上面を上面、図中下面を下面ともいう。第一被覆層23は、第一回路パターン層22を被覆するとともに、第一回路パターン層22の一部の上方に位置する部分に開口が形成されている。さらにこの開口内には、第一回路パターン層22に接続された金属層27と、この金属層27上に設けられた半田層26とが配置されている。金属層27は、たとえば銅層271、ニッケル層272等の積層構造である。
【0020】
次に、回路基板1の好適な製造方法について説明する。
はじめに、絶縁層21の上面に第一金属層11が、下面に第二金属層12と剥離層17を介して支持部材13が設けられた金属張り積層板10を用意する(図2(a))。
【0021】
次に、本実施形態の回路基板1について詳細に説明する。
(絶縁層21)
絶縁層21としては、プリント配線板の絶縁材料として汎用的に用いられる樹脂複合材料を用いることができる。例えば、樹脂組成物を繊維基材に含浸または塗工したプリプレグを加熱硬化させた樹脂基材や、樹脂フィルムを用いることができる。
【0022】
絶縁層を構成する樹脂組成物としては、例えば、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂などを単独あるいは複数組み合わせて用いることができる。樹脂組成物には低熱膨張性向上の為に、無機充填材を含んでいてもよい。
【0023】
繊維基材を構成する基材としては、例えば、ガラス繊布、ガラス不繊布等のガラス繊維基材、あるいはガラス以外の無機化合物を成分とする繊布又は不繊布等の無機繊維基材があげられる。これらのなかでも、プリント配線基板としたときの剛性の面からガラス織布繊維基材が好ましい。
【0024】
プリプレグを用いる場合は、前記熱硬化性樹脂に無機充填材、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤を調整した樹脂ワニスを、ガラス織布繊維基材等の基材に含浸し、乾燥させることで絶縁層21が得られる。
【0025】
プリプレグの表裏面に金属層を重ね加熱加圧成形することによって、金属張り積層板10を得ることができる。また、絶縁層21にめっき処理を直接施すことでも金属張り積層板10を得ることができる。ただし、積層板を得る方法は上記限定されるものではなく、適宜選択することができる。
【0026】
樹脂フィルムを使用する場合は、樹脂フィルムとしては、例えばポリイミド樹脂フィルム、ポリエーテルイミド樹脂フィルム、ポリアミドイミド樹脂フィルム等のポリイミド樹脂系樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム等のポリアミド樹脂系フィルム、ポリエステル樹脂フィルム等のポリエステル樹脂系フィルムが挙げられる。これら中でも主としてポリイミド樹脂系フィルムが好ましい。これにより、弾性率と耐熱性を特に向上することができる。
【0027】
樹脂フィルムを用いる場合、金属層にベースとなる樹脂を塗布し加熱乾燥して積層板としたもの、金属箔に接着剤樹脂を塗布し、樹脂フィルムを加熱加圧成形した積層板としたもの、樹脂フィルムに直接スパッタリングやめっきにより金属層を形成し積層板としたものを使用することができる。ただし、積層板を得る方法は上記限定されるものではなく、適宜選択することができる。
【0028】
絶縁層21の厚みは、回路基板1の仕様に決定されるものであり、特に限定されるものではないが、20μm〜300μmが好ましく、より好ましくは40μm〜100μmである。
【0029】
次に第一金属層11について説明する。第一金属層11の金属種はニッケル、クロム、コバルト、モリブデン、バナジウム、タングステンまたは銅などの単一金属か、またはそれらの合金薄膜が好適である。また、極薄金属層を用いる場合は、金属種としては、ステンレス、ニッケル、アルミ、鉄、銅などがもちいられ、エッチング性などから銅がより好適に用いられる。
【0030】
第一金属層11の厚みは0.05μm以上、12μm以下である。第一金属層11が12μmよりも厚い場合は、セミアディティブプロセスにおける電解めっきの給電を取るための第一金属層11および導体層を回路パターン形成後に除去することが困難となり、微細回路形成が困難となる。また、第一金属層11が0.05μmよりも薄い場合は、回路形成における工程中において銅がエッチングを受け、下地の絶縁層21が露出する可能性がある。
【0031】
第二金属層12としては、第一金属層11と金属の種類、金属の厚さは異なっていてもよいし、同じであってもよい。第二金属層12側においても第一金属層11側と同じ回路パターンの微細化と精度要求あるのであれば、第一金属層11と同種であることが好ましい。
【0032】
次に、支持部材13について説明する。レーザ加工工程において、前記支持部材13を保持してレーザ加工することにより、貫通孔19の底部にある第二金属層12のダメージ、貫通、ピンホールを防ぐことができる。支持部材13を保持せずレーザ加工を行う場合においては、レーザ加工の条件が狭い範囲となり、第二金属層12のダメージ、貫通、ピンホールを生じずに加工することが困難である。また、レーザ加工機性能に依存するロットや日毎の変動を受け、絶縁層21における加工エリア内において、貫通孔19の形状バラツキや、しいては、一部エリアにおける第二金属層12のダメージ、貫通、ピンホールの不具合が生じることとなる。
【0033】
支持部材13の素材としては、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、チタン、ジルコニウム、鉄、パラジウム、白金、モリブデン、コバルト、タングステン、ニオブ、タンタル、ケイ素から選ばれた少なくとも1種を含む材料である。この中でも銅、アルミニウム、銀、金からなる材料がより好ましい。
【0034】
次に、支持部材13の熱伝導率は10W・m−1・K−1以上であることが好ましい。10W・m−1・K−1より小さい場合においては、レーザ加工における熱容量が小さく放熱がなされにくい為に熱蓄積が起こる。そのため、貫通孔底部周辺の第二金属層12下面にある絶縁層21の樹脂が熱により劣化する。第一金属層12と絶縁層21の密着が劣化し、信頼性が低下する。
【0035】
また、支持部材13の厚さについては特に規定されるものではないが、10μm以上、50μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上、25μm以下で、後の工程において剥離除去しやすいものとなる。
【0036】
次に剥離層17について説明する。剥離層17には、クロム、クロメート、モリブデン、タンタル、バナジウム、マンガン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛から選ばれた少なくとも1種を含む表面処理や、シランカップリング剤等の有機被膜を形成する方法で適宜形成される。
【0037】
支持部材13と剥離層17および第二金属層12は、レーザ加工品質や回路基板の信頼性、生産性の点から、キャリア箔付きピーラブル極薄銅箔やアルミニウム箔に銅を電着させたエッチャブル極薄銅箔などが特に好適に用いられる。
【0038】
次に、レジスト形成、マスク露光、現像、エッチング除去、剥離により第一金属層の貫通孔の形成部分を選択的に除去する。
【0039】
第一金属層11を選択的に除去した部分に第一金属層11面側からレーザを照射する。レーザを照射することにより絶縁層21に貫通孔19を形成する(図2(c))。レーザをとしては、例えば、炭酸ガスレーザ加工機、UVレーザ加工機、エキシマレーザ加工機などがあり、好ましくは、炭酸ガスレーザ加工機である。炭酸ガスレーザ加工機がより好ましい。炭酸ガスレーザ加工機が、無機基材の加工が比較的容易な発振波長領域である点が挙げられる。
レーザの加工条件としては特に限定はされないが、例えば、絶縁層21の厚みが40μmで第一金属層11および第二金属層12の厚みが3μmでかつ炭酸ガスレーザ加工機を用いる場合は、好ましくはビーム径100〜180μm、パルス幅1〜100μm、基準エネルギー0.5〜9.0mJであり、より好ましくはビーム径110〜130μm、パルス幅1〜20μm、基準エネルギー1.0〜3.0mJである。
例えば、絶縁層21の厚みが60μmで第一金属層11および第二金属層12の厚みが3μmでかつ炭酸ガスレーザ加工機を用いる場合は、好ましくはビーム径100〜180μm、パルス幅1〜100μm、基準エネルギー0.5〜9.0mJであり、より好ましくはビーム径110〜130μm、パルス幅20〜40μm、基準エネルギー5.0〜7.0mJである。
また、レーザ加工後の貫通孔19内の炭化物残渣を過マンガン酸デスミア処理やプラズマ洗浄等で適宜洗浄除去することが好ましい。
これにより、第二金属層12のダメージ、貫通、ピンホールの不具合の無い貫通孔19を形成することができる。
【0040】
次に、第一および第二金属層11、12上および、絶縁層21の貫通孔19内壁面に導体層15を付与する(図3(a))。導体層15の厚さとしては、例えば、0.05μm以上、2.0μm以下が好ましい。導体層15の形成方法としては、スパッタリング法、蒸着法、無電解めっき法が好ましい。その中では無電解めっき法が好ましい。また、導体層15としてはニッケル、クロム、コバルト、モリブデン、バナジウム、タングステンまたは銅などの単一金属か、またはそれらの合金が好適である。特に、貫通孔19内の絶縁層21内壁部分との導体密着性、および、セミアディディププロセスの給電層となる第一および第二金属層11、12および導体層15の除去性を鑑みると、銅がより好適である。
【0041】
次に、第二金属層12が剥離層17を介して接している支持部材13を剥離する。剥離の方法については特に規定されず、適宜、好適な方法を用いればよい。
【0042】
支持部材13の剥離は導体層15の付与後になされる。支持部材13を導体層15の付与工程前に実施する場合は、導体層15の付与工程において、工程による第二金属層12のダメージ、貫通、ピンホールの不具合が生じることとなる。特に、銅を用いた無電解めっきを実施する場合においては、前処理として表面酸化銅除去のエッチング工程が含まれることとなり、容易にダメージ、貫通、ピンホールの不具合が生じることとなる。
【0043】
その後、図3(b))に示すように、回路パターンを形成しない部分にレジストマスクMを配置する。レジストマスクMとしてはフィルム状のネガ型感光性レジストを用いることができる。
レジストマスクMの形成方法としては、ネガ型感光性レジストを例えば真空ラミネータなどを用いて導体層上に形成する。次に、回路パターンを形成する部分をマスクしたフォトマスクを用いて、紫外線照射を行う。次に、現像を行う。現像液としては炭酸ナトリウム溶液を用いることができる。
【0044】
次に、導体層15上にめっきを施す(図3(c))。めっきの方法としては硫酸銅めっきを用いることができる。めっきの厚みは回路パターン部分において1μm以上、50μm以下が好ましく、5μm以上、40μm以下がより好ましい。これにより、ビアとなる導電体20を形成するとともに、金属膜42を形成する(金属膜42は、導体層15と導体層15上のめっき膜を示す)。
【0045】
次に、レジストマスクを剥離液によって剥離する。剥離液としては、例えば、アルカリ水溶性の液体を用いることができる。
【0046】
次に、レジストマスクが形成されていた部分の第一および第二金属層11、12および導体層15を除去する。除去方法としては、過酸化水素‐硫酸エッチング液と高圧スプレー方式が好ましい。また、第一および第二金属層11、12は導体層15の形成前に薄膜化されている為、速やかにエッチング除去が可能となる。さらには電解めっきによって形成された第一および第二回路パターン22、24を長い時間エッチング等にさらすことがないので回路精度に優れ、かつ、高密度配線に適した回路基板とすることが出来る。
【0047】
その後、図4(a)に示すように第一および第二回路パターン22、24上に、第一および第二ソルダーレジスト層23、25を形成する。第一および第二ソルダーレジスト層23、25は感光性タイプや非感光性タイプのものが上げられる。また、シート状や液状のものが上げられる。これらは適宜選択すればよい。
次に、図4(b))に示すように、第一および第二ソルダーレジスト層23、25が感光性タイプの場合は、たとえば、マスク露光、現像工程を経て開口部を形成することができる。
また、非感光タイプの場合は、たとえば、レーザ光を照射し開口部を形成することができる。
以上の工程により、回路基板1が完成する。
【0048】
次に、この回路基板1を使用した半導体装置6の製造方法について説明する。
なお、本発明はこれから説明するものに限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0049】
(半導体実装)
第一ソルダーレジスト層23の開口部に接続端子26を形成する。接続端子26の形成方法は特に限定はされず、回路基板1および半導体素子6の仕様により適宜決めることができるが、めっき法、ペースト印刷法、ボール搭載法が好ましい。また、必要に応じて開口部の回路パターン部を保護する表面処理を行うことが好ましい。表面処理としては、無電解ニッケルめっきを施したあと、置換金めっきを用いることができる(図5)。
【0050】
次に、半導体素子5を回路基板1に実装する。
具体的な方法は回路基板1および半導体素子5の仕様により適宜決めることができるが、フラックス活性を有する接着剤3を介して半導体素子の電極と回路基板の接続端子を加熱加圧により接続する方法や、半導体素子の電極と回路基板の接続端子を加熱加圧により接続した後、液状アンダーフィル3を接続部分に注入する方法により実装することができる(図6)。
【0051】
(樹脂封止)
次に、半導体素子5を設置した回路基板1を、エポキシ樹脂組成物と金型を用いて圧縮成形し半導体素子を回路基板上に封止する。これにより、得られた半導体装置6の信頼性を確保することができる。
【0052】
(半田ボール搭載)
さらに、第二ソルダーレジスト層25の開口部に半田ボール29を形成する。これにより、他の基板等への2次実装が容易となる。半田ボール29を付与する方法としては、例えばめっき法、ペースト印刷法、ボール搭載法が挙げられる。必要に応じて開口部の回路パターン部を保護する表面処理28を行うことが好ましい。
【0053】
(ダイシング)
次に、図7に示すように、回路基板を分割し、一つの半導体素子と、分割された一つの回路基板とで構成される複数の半導体装置6を得る。
【実施例】
【0054】
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
【0055】
実施形態と同様の方法で回路基板を製造した。
以下のようにして絶縁層を作製した。ガラス繊維基材にエポキシ樹脂組成物を含浸し厚さ40μmのプリプレグを作製した。次に、プリプレグの両面に第一金属層および第二金属層として、剥離層を介して支持部材である18μmピーラブル銅箔が付いた3μmの銅箔、加圧加熱成形して厚みが82μmの金属張り積層板を作成した。
【0056】
次に、第一金属層側の18μmピーラブル銅箔を剥した後に、レジスト形成、マスク露光、現像、エッチング除去、剥離により第一金属層の貫通孔の形成部分を選択的に除去するしコンフォーマルマスクを形成した。コンフォーマルマスクの開口径は75μmであった。
【0057】
次に、コンフォーマルマスクを形成した第一金属層面側から炭酸ガスレーザ加工機を用いて、パルス幅3μm、基準エネルギー1.3mJ、ビーム径120μmを照射し、プラズマ洗浄を行うことでφ75μmの貫通孔を得た。
【0058】
次に、第一金属層上および絶縁層の貫通孔内部に無電解銅めっきを行い厚さ1μmの導体層を付与した。
【0059】
次に、第二金属層側の18μmピーラブル銅箔を剥した。
【0060】
次に、フィルム状のネガ型感光性レジストUFG−255(旭化成イーマテリアルズ製)を第一金属層および第二金属層にラミネートし、フォトマスクを利用して紫外線照射し、現像を行った後、回路パターン用のレジストマスクが得られた。
【0061】
次に、液温25℃0.5A/dmの条件で回路パターン部分で硫酸銅めっきを厚み15μm行い、レジストマスクを剥離液によって剥離し、過酸化水素‐硫酸エッチング液を用いて高圧スプレー方式により、回路パターン部以外の第一および第二の金属層および導体層を除去することで、最小ピッチ60μmの回路パターンを形成した。
【0062】
次に、シート状感光性ソルダーレジストPFR−800 AUS410(太陽インキ製)を用いて、第一および第二回路パターン上にラミネートし、フォトマスクを利用して紫外線照射し、ポストキュアし、現像を行った後、第一および第二ソルダーレジスト層が得られた。
【0063】
次に、第一および第二ソルダーレジスト層の開口部から露出した、第一および第二回路パターンを無電解ニッケルめっき2.0μm、置換金めっき0.1μmで表面処理を施し回路基板を得た。
【0064】
得られた回路基板の第一ソルダーレジスト層の開口部にボール搭載を行い、シート状フラックス活性機能付き接着剤をラミネートし、半導体素子(TEGチップ、サイズ15mm×15mm、厚み0.8mm)を加熱加圧により実装した。
【0065】
次に、半導体素子を設置した回路基板を、エポキシ樹脂組成物を用いて圧縮成形し半導体素子を回路基板上に封止し、ダイシングにより回路基板を分割し、半導体素子と分割された一つの回路基板とで構成される複数の半導体装置を得た。
【0066】
(実施例2)
ガラス繊維基材にエポキシ樹脂組成物を含浸し厚さ60μmのプリプレグを作成した。次に、プリプレグの両面に第一金属層および第二金属層として、剥離層を介して支持部材である18μmピーラブル銅箔が付いた3μmの銅箔、加圧加熱成形して厚みが102μmの金属張り積層板を作製し、炭酸ガスレーザ条件を、パルス幅30μm、基準エネルギー7.0mJ、ビーム径135μmを照射し、φ75μmの貫通孔を得た以外は実施例1と同等にして、半導体素子と分割された一つの回路基板1とで構成される複数の半導体装置を得た。
【0067】
(実施例3)
ガラス繊維基材にエポキシ樹脂組成物を含浸し厚さ100μmのプリプレグを作成した。次に、プリプレグの両面に第一金属層および第二金属層として、剥離層を介して支持部材である18μmピーラブル銅箔が付いた3μmの銅箔、加圧加熱成形して厚みが142μmの金属張り積層板を作製し、炭酸ガスレーザ条件を、パルス幅40μm、基準エネルギー7.0mJ、ビーム径160μmを照射し、φ75μmの貫通孔を得た以外は実施例1と同等にして、半導体素子と分割された一つの回路基板1とで構成される複数の半導体装置を得た。
【0068】
以上、実施例1〜3いずれにおいても貫通孔の形状精度がよく、貫通孔底部の金属箔のダメージや貫通、ピンホールの不具合の無い、貫通孔を得ることができ、微細回路が最小ピッチ60μmの回路基板および半導体装置を得ることができた。
【符号の説明】
【0069】
1 回路基板
2 基板
3 樹脂層
5 半導体素子
6 半導体装置
10 積層板
11 第一金属層
12 第二金属層
13 剥離層
15 導体層
17 支持部材
19 貫通孔
20 導電体
21 絶縁層
22 第一回路パターン層
23 第一被覆層(第一ソルダーレジスト層)
24 第二回路パターン層
25 第二被覆層(第二ソルダーレジスト層)
26 半田層
27 金属層
28 金属層
29 半田ボール
41 金属膜
42 金属膜
271 銅層
272 ニッケル層
M マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、前記絶縁層の一方の面側に第一金属層が設けられ、
他方の面側には第二金属層および支持部材とがこの順に積層されてなる支持部材付き金属層とが設けられた積層板を用意する工程と、
前記第一金属層を選択的に除去した後、選択的に除去した部分にレーザを照射することにより前記絶縁層に前記第二金属層の表面に達する貫通孔を形成する工程と、
無電解めっきにより前記第一金属層表面および前記貫通孔表面にめっきを形成する工程と、
前記支持部材を第二金属層から剥離する工程と、を含むことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記支持部材付き金属層は、前記第二金属層と、前記支持部材との間に剥離層をさらに有し、前記支持部材を前記第二金属層から剥離する工程において、前記剥離層で前記支持部材を剥離するものである請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項3】
支持部材を第二金属層から剥離する前記工程の後、前記第一および第二金属層の表面に開口部を設けたレジスト層を形成する工程と、
前記第一および第二金属層の前記開口部にめっきにより導体部を形成する工程と、
前記レジスト層を除去する工程と、をさらに含む請求項1または2に記載の回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記第一金属層の厚さは、0.05μm以上、12μm以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記支持部材の熱伝導率は、10W・m−1・K−1以上である請求項1ないし4のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記支持部材は、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、チタン、ジルコニウム、鉄、パラジウム、白金、モリブデン、コバルト、タングステン、マンガン、ニオブ、タンタル、ケイ素、炭素から選ばれた少なくとも1種を含む材料である請求項1ないし5のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記レーザは、炭酸ガスレーザである請求項1ないし6のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁層は、無機基材に絶縁性の樹脂を含浸させて得られたものである請求項1ないし7のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の回路基板の製造方法により得られる回路基板。
【請求項10】
請求項9に記載の回路基板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−79759(P2012−79759A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220915(P2010−220915)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】