説明

回路基板の製造方法及び回路基板

【課題】回路基板において、柔軟な多品種少量生産への対応及び機械的ストレスに対する耐久性向上を図ること。
【解決手段】保護シート2を有する半硬化樹脂シート1の貫通穴16に電子部品3、4、6の端子15、5、7を位置決め配置した後、貫通穴16に接続材料を埋め込んでヴィア8を形成し、貫通穴16がプリント配線基板10の配線パターン11に対向するように樹脂シート1をプリント配線基板10に貼り付けて熱加工することにより、電子部品3、4、6の端子15、5、7と配線パターン11とを電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品をプリント配線基板に実装する回路基板の製造方法及び回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機やデジタル家電などにおいて、1つの装置の中で数枚のプリント配線基板が使用されており(例えば、特許文献1〜3参照)、それぞれで最適となる仕様にて設計されているのが一般的であり、板厚、層数、外形サイズや回路密度は様々である。
プリント配線基板に電子部品を実装する製造方法は、パッドにはんだを供給したプリント配線基板に、搭載する電子部品を位置決めし、リフロー装置にて熱をかけることで、はんだを介してプリント配線基板のパッドと電子部品の端子を接続する方法が一般的である。
【0003】
プリント配線基板に部品を搭載する際は、各プリント配線基板や部品の様々な仕様に合わせて生産設備を調整する必要があり、段取り替えなどのロス時間が発生するという問題がある。
また、携帯端末などに使われる実装後のプリント配線基板においては、製品の性格上、落下耐久性など機械的ストレスに対する耐久性が必要となるため、はんだ接続箇所が壊れないように、部品を搭載した後の部品周囲に樹脂を塗布することで補強しているケースが多い。
【0004】
補強樹脂を形成する方法としては、ディスペンサなどにより、搭載部品周囲に樹脂を塗布し、熱硬化する際の粘度低下により各部品の隙間に浸透し、はんだ接続箇所を補強している。この樹脂を塗布する工程においては、周囲温度、樹脂塗布量などコントロールする項目が多く、またCSP(Chip Size Package)などの下面電極部品では、塗布方法により、エアーボイドの発生やフィレット形状のバラツキにより品質および信頼性への影響が大きいという問題がある。また、樹脂を塗布する工程が追加で必要となるという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開平1−302732号公報
【特許文献2】特開2002−110714号公報
【特許文献3】特開2002−252451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、回路基板において、柔軟な多品種少量生産への対応及び機械的ストレスに対する耐久性向上を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、半硬化の樹脂シートの第1貫通穴に電子部品の端子を位置決め配置する工程と、前記第1貫通穴がプリント配線基板の配線パターンに対向するように前記樹脂シートを前記プリント配線基板に貼り付けて熱加工することにより、前記電子部品の端子と前記配線パターンとを電気的に接続する工程とを備えて成ることを特徴とする回路基板の製造方法が提供される。
【0008】
半硬化の樹脂シートの第1貫通穴に電子部品の端子を位置決め配置した後、前記第1貫通穴がプリント配線基板の配線パターンに対向するように前記樹脂シートを前記プリント配線基板に貼り付けて熱加工することにより、前記電子部品の端子と前記配線パターンとを電気的に接続する。
【0009】
ここで、前記電子部品の端子に接触するように前記第1貫通穴に接続材料を埋め込んでヴィアを形成する工程と、前記第1貫通穴がプリント配線基板の配線パターンに対向するように前記樹脂シートを前記プリント配線基板に貼り付けて熱加工することにより、前記ヴィアと前記配線パターンとを接続して前記電子部品と前記配線パターンとを電気的に接続する工程とを備えて成るように構成してもよい。
【0010】
また、前記電子部品に対応する位置に第2貫通穴を有する半硬化の樹脂シートを配置する工程を有し、前記電子部品に前記第2貫通穴が対応するように前記半硬化の樹脂シートを配置した後に熱加工することにより、前記ヴィアと前記配線パターンとを接続して前記電子部品と前記配線パターンとを電気的に接続すると共に、前記樹脂シートによって前記電子部品の端子と配線パターンとの接続を補強するように構成してもよい。
また、前記接続材料は、はんだ材料又は導電粒子入りペースト材料であってもよい。
【0011】
また、本発明によれば、電子部品と、配線パターンを有するプリント配線基板と、前記電子部品の端子と前記配線パターンとを接続するヴィアと、前記電子部品の端子と前記配線パターンとを前記ヴィアによって接続した状態で、前記電子部品、ヴィア及びプリント配線基板を一体に固着する樹脂部材とを備えて成ることを特徴とする回路基板が提供される。
ここで、前記ヴィアの材料は、はんだ材料又は導電粒子入りペースト材料であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る回路基板の製造方法によれば、柔軟な多品種少量生産への対応が可能で、機械的ストレスに対する耐久性が向上した回路基板を製造することが可能になる。
また、本発明の回路基板によれば、柔軟な多品種少量生産への対応が可能で、機械的ストレスに対する耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に実施の形態に係る回路基板の製造方法、及び、前記製造方法によって好適に製造可能な回路基板について説明する。尚、各図において、同一部分には同一符号を付している。
図1は、本発明の実施の形態に係る回路基板の製造方法によって製造した回路基板の側断面図である。
【0014】
図1において、回路基板は、端子14を持つチップ部品3、リード端子5を持つQFP(Quad Flat Package)4、ボール端子7を持つCSP(Chip Size Package)6など様々な部品形状の電子部品の実装に対応できるものである。絶縁性材料から成る補強樹脂12の内部に、電子部品の端子とプリント配線基板10の配線パターンの一部である実装用パッド11を接続する接続用ヴィア8を埋設するように備えている。補強樹脂12は、例えば、熱硬化性の樹脂によって構成される。
【0015】
本実施の形態の概要を説明すると、図1において、Bステージ状(半硬化)の樹脂シート1に部品3、4、6を位置決め配置し、あらかじめ加工された印刷用ホールである第1貫通穴に接合材料8を埋め込み、その後、プリント配線基板10に貼り付け、熱加工することで接合を確保する製造方法により、回路基板の仕様にとらわれない製造が可能となり、携帯電話機等の電子機器には複数仕様の回路基板を同時に搭載が出来るようになる。また、Bステージ状(半硬化)樹脂シート1は接合時の熱加工と同時に溶融し、部品を補強する役目を果たすことになる。これにより、従来と比べて、柔軟な多品種少量生産への対応、および機械的耐久性の向上が簡素な工程にて実現できる。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態に係る回路基板の製造方法を示す側断面図で、図1の回路基板が製造完了するまでの工程を示している。
図2において、回路基板を製造する場合、まず、保護シート2を片面に持ったBステージ(半硬化)樹脂シート(第1樹脂シート)1を用意する(図2(a))。樹脂シート1は熱硬化性樹脂である。保護シート2は、アクリル樹脂、PET樹脂、エポキシ樹脂などを主成分とした材料とする。樹脂シート1と保護シート2とは粘着材にて張り付いた状態とする。また、保護シート2は樹脂シート1から剥離可能に粘着剤にて張り付いた状態とする。
【0017】
次に、各電子部品3、4、7の端子位置および端子大きさにあわせて第1貫通穴16を開け、部品3、4、7を所定の位置に配置する(図2(b)、(c))。各端子部分の貫通穴16の大きさは搭載装置の精度に対応すべく+50〜100μm拡大している。また、部品を搭載する際は、Bステージ(半硬化)樹脂シート1を樹脂自体の溶融開始温度以下で温めていることで、樹脂シート1が若干軟化し部品のタッキング力が発生する。
【0018】
その後、保護シート2の面より貫通穴16に接続材料を埋め込み、ヴィア8を形成する(図2(d))。この際はスキージによる印刷法が望ましい。また、接続材料は、はんだ材料(例えば鉛フリーはんだ材料)、導電粒子(例えば銅もしくは金めっき付きニッケル粒子)を入りのペースト材料を用いることができる。
【0019】
さらに、Bステージ(半硬化)樹脂シート1と同一の材質を使って、各電子部品3、4、7が配置される箇所をくり抜いて第2貫通穴15を形成したBステージ(半硬化)樹脂シート(第2樹脂シート)9を覆い被せる。これにより、電子部品3、4、7は露出するが、端子5、7、14の一部(樹脂シート1側の部分)は樹脂シートによって覆い被される。同時に、保護シート2を樹脂シート1から剥離して除去する(図2(e))。
【0020】
プリント配線基板10に、前述の部品が搭載された樹脂シートを搭載する際には、プリント配線基板10の外形サイズに合わせて前記部品が搭載された樹脂シートをカットし、位置あわせを行いながら前記部品が搭載された樹脂シートをプリント配線基板10に貼り付ける(図2(f))。
【0021】
次に、この状態で、前記部品が搭載された樹脂シートを貼り付けたプリント配線基板10を、所定温度の熱によって加熱する。これにより、樹脂シート1、2は一体化した状態で硬化し、補強用樹脂12となる。補強用樹脂12によって、回路基板が補強され又、電子部品の端子と配線パターンとの接続が補強されて、機械的ストレスに対する耐久性が向上する。
以上の工程により、ヴィア8とプリント配線基板10およびヴィア8と各部品3、4、6との接続が確保される。
【0022】
図3及び図4は、電子部品が搭載されたBステージ(半硬化)樹脂シート13をカットし、プリント配線基板10と張り合わせる際の組み合わせの例を示す。
図3は、樹脂シート13から、別々のプリント配線基板用の樹脂シートA〜Dを同時に作成している例である。
【0023】
また、図4は、作成した樹脂シートE、Fをプリント配線基板10の表裏の搭載を同時に行う例である。このような形で、プリント配線基板の板厚や外形サイズなどにとらわれず一律に樹脂シート13の外形サイズX、Yで搭載できるため、柔軟な多品種少量生産への対応が可能となり、生産効率が向上することとなる。
【0024】
以上、述べたように本実施の形態に係る回路基板の製造方法によれば、保護シート2を有する半硬化の樹脂シート1の貫通穴16に電子部品3、4、6の端子15、5、7を位置決め配置した後、貫通穴16に接続材料を埋め込んでヴィア8を形成し、貫通穴16がプリント配線基板10の配線パターン11に対向するように樹脂シート1をプリント配線基板10に貼り付けて熱加工することにより、電子部品3、4、6の端子15、5、7と配線パターン11とを電気的に接続するようにしている。
したがって、柔軟な多品種少量生産への対応(少ない設備で最大限の効率を実現できる)が可能になる。また、機械的ストレスへの耐久性が向上した回路基板を製造することができるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
携帯電話機やデジタル家電を初めとして、各種電子機器に使用する回路基板に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る回路基板の側断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る回路基板の製造方法を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る回路基板の製造方法を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る回路基板の製造方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1、9・・・Bステージ状(半硬化)の樹脂シート
2・・・保護シート
3・・・チップ部品
4・・・QFP部品
5・・・QFP部品リード端子
6・・・CSP部品
7・・・CSP部品ボール端子
8・・・接続用ヴィア
10・・・プリント配線基板
11・・・プリント配線基板の実装用パッド
12・・・補強樹脂
13・・・部品が搭載された状態の樹脂シート
14・・・端子
15、16・・・貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半硬化の樹脂シートの第1貫通穴に電子部品の端子を位置決め配置する工程と、前記第1貫通穴がプリント配線基板の配線パターンに対向するように前記樹脂シートを前記プリント配線基板に貼り付けて熱加工することにより、前記電子部品の端子と前記配線パターンとを電気的に接続する工程とを備えて成ることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記電子部品の端子に接触するように前記第1貫通穴に接続材料を埋め込んでヴィアを形成する工程と、前記第1貫通穴がプリント配線基板の配線パターンに対向するように前記樹脂シートを前記プリント配線基板に貼り付けて熱加工することにより、前記ヴィアと前記配線パターンとを接続して前記電子部品と前記配線パターンとを電気的に接続する工程とを備えて成ることを特徴とする請求項1記載の回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記電子部品に対応する位置に第2貫通穴を有する半硬化の樹脂シートを配置する工程を有し、
前記電子部品に前記第2貫通穴が対応するように前記半硬化の樹脂シートを配置した後に熱加工することにより、前記ヴィアと前記配線パターンとを接続して前記電子部品と前記配線パターンとを電気的に接続すると共に、前記樹脂シートによって前記電子部品の端子と配線パターンとの接続を補強することを特徴とする請求項2記載の回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記接続材料は、はんだ材料又は導電粒子入りペースト材料であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の回路基板の製造方法。
【請求項5】
電子部品と、配線パターンを有するプリント配線基板と、前記電子部品の端子と前記配線パターンとを接続するヴィアと、前記電子部品の端子と前記配線パターンとを前記ヴィアによって接続した状態で、前記電子部品、ヴィア及びプリント配線基板を一体に固着する樹脂部材とを備えて成ることを特徴とする回路基板。
【請求項6】
前記ヴィアの材料は、はんだ材料又は導電粒子入りペースト材料であることを特徴とする請求項5記載の回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−218385(P2009−218385A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60702(P2008−60702)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】