説明

回路基板収納ケース、シートベルトリトラクタ装置、及びシートベルト装置

【課題】スナップフィット構造における嵌合状態の判定を容易に行えるとともに、嵌合が外れるのを抑制する。
【解決手段】回路基板収納ケース1は、回路基板4が納められる本体ケース2と、本体ケースに組み付けられるカバー3とを備える。カバー3には、係止面21を有した爪部18が設けられ、本体ケースには開口部17が設けられる。本体ケースへのカバーの組付けは、爪部18の開口部17への嵌合により係止面21が開口部17に係止することにより行われ、係止面21には突条24が設けられている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板を収納する回路基板収納ケース、これを備えたシートベルトリトラクタ装置及びシートベルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には各種のECU(電子制御ユニット)が搭載される。そしてそれらのECUの回路基板は、収納ケースに納めた形で用いられる場合がある。この車両用の回路基板収納ケースについて、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
この回路基板収納ケースは、合成樹脂製の本体ケース(ケース部材)とカバー(カバー部材)とを備えている。そして、カバーの突片に設けられた被嵌合部(凹部)に対し本体ケースの爪部(凸部)を嵌合した後、突片の弾性を利用して押圧し固定する構造(いわゆるスナップフィット構造)によって、カバーが本体ケースへ組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−291738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなスナップフィット構造では、爪部と被嵌合部とを正しい姿勢で確実に嵌合させる必要がある。そのためには、組立作業時において、作業者が目視で容易に嵌合状態を判定できることが望まれる。さらに、組み立てた後は、経年劣化等が生じた場合であっても、爪部と被嵌合部との嵌合が外れるのを抑制することが望まれる。
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、これらの点に特に配慮されておらず、目視による嵌合状態の判定は必ずしも容易ではなく、また爪部と被嵌合部とが外れるのを抑制するのも困難であった。
【0007】
本発明の目的は、スナップフィット構造における嵌合状態の判定を容易に行えるとともに、嵌合が外れるのを抑制することができる回路基板収納ケース、シートベルトリトラクタ装置、及びシートベルト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願第1発明は、 回路基板を内部に収納した本体ケースと、前記本体ケースに組み付けられるカバーと、を有する回路基板収納ケースであって、前記カバー及び前記本体ケースのうち、一方の部材は、所定の向き及び角度で傾斜した係止面を備えた爪部を有し、前記カバー及び前記本体ケースのうち、他方の部材は、前記一方の部材の組み付けの際に前記爪部を受け入れ、前記係止面を係止させる開口部を有し、前記一方の部材は、さらに、前記係止面から突出して設けられ、前記開口部の外縁部に沿って延在する突条を有することを特徴とする。
第2発明は、上記第1発明において、前記一方の部材は前記カバーであり、
前記他方の部材は前記本体ケースであることを特徴とする。
【0009】
本願第1発明及び第2発明においては、係止面において、開口部の外縁部に沿うように突条が設けられている。したがって、例えば、開口部に対する爪部の嵌合が不十分であれば外縁部と突条との距離が小さくなる一方、開口部に対し爪部が十分に嵌合されれば外縁部と突条との距離が大きくなる等により、突条部を、爪部の開口部への嵌合状態の指標とすることができる。これにより、スナップフィット構造における嵌合状態の判定を容易に行うことができる。
【0010】
また、経年劣化等による本体ケースとカバーとの相対位置の変化により、開口部に対して爪部が十分に嵌合した状態(正規位置)から、嵌合が不十分な状態(非正規位置)に変化したとすると、上述したように突条と開口部の外縁部との距離が短くなる。このとき、上記のように突条は開口部の外縁部に沿って延設されていることから、上記のようにして突条と開口部との距離が短くなって近接する方向は、突条の先端部の方向と略直交する方向となる。したがって、上記のように正規位置から非正規位置へ爪部が移動するとき、係止面から突出して設けられた突条に至ると突出した突条がストッパとなり、それ以上の移動を抑制するできることができる。この結果、嵌合が外れるのを抑制することができる。
【0011】
第3発明は、上記第2発明において、前記突条は、前記延在方向にそれぞれ沿う、前記開口部の外縁部から遠い側の第1の面と前記開口部の外縁部に近い側の第2の面とを備えた、横断面が略三角形の形状を備えることを特徴とする。
【0012】
突条が略三角形の横断面形状を備えることにより、横断面略三角形の斜面のうち、開口部の外縁部に近い側の第2の面を、なるべく面接触に近い形で外縁部に接触させることが可能となり、良好なストッパとして機能させることができる。その一方、横断面略三角形の斜面のうち、開口部の外縁部から遠い反対側の第1の面を、開口部の外縁部との遠近に対応して嵌合の良否を良好に表示可能な、広幅の視覚的指標として機能させることができる。
【0013】
第4発明は、上記第3発明において、前記第1の面は、所定の基準面に対する前記係止面の傾斜角度と略同じ角度で、前記係止面と交差するように、前記突条に設けられていることを特徴とする。
【0014】
これにより、本体ケースをカバーに取り付けるために爪部を開口部と嵌合させたとき、突条部のうち開口部の外縁部に近い側の第2の面を開口部の外縁部とほぼ面平行とし、面接触で外縁部に接触させることができる。これにより、第2の面のストッパとしての機能をさらに高めることができる。また、第1の面の係止面との交差角度が、係止面の傾斜角度と略同じ角度であることにより、第1の面を、係止面の傾斜の基準面(例えばカバーの本体の外周面)と平行にすることができる。これにより、第1の面の、嵌合状態を表す指標としての機能を、さらに高めることができる。
【0015】
第5発明は、上記第1発明乃至第4発明のいずれかの回路基板収納ケースを備えたモータ制御部と、乗員を拘束するシートベルトを巻き取るスプールと、前記モータ制御部により制御され、前記スプールを回転させるモータと、を有することを特徴とする。
【0016】
第6発明は、上記第5発明のシートベルトリトラクタ装置と、前記シートベルトリトラクタ装置により引き出し可能に巻き取られ、乗員を拘束するためのシートベルトと、固定側部材に接続されたバックルと、前記シートベルトに設けられ、前記バックルと係合するタングとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スナップフィット構造における嵌合状態の判定を容易に行え、嵌合が外れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の適用対象であるシートベルトリトラクタ装置を備えたシートベルト装置を表す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態による回路基板収納ケースを適用したシートベルトリトラクタの外観を示す図である。
【図3】回路基板収納ケースを分解斜視状態にして示す図である。
【図4】回路基板収納ケースの全体外観斜視図である。
【図5】図4中のD−D線に沿った断面を拡大して示す図である。
【図6】図5中のE方向から見た状態を表す矢視図である。
【図7】突条のストッパ機能に関する参考例を示す図である。
【図8】第2の面の係止面に対する交差角度と係止面の傾斜角度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を、車両用ECUの1つであるシートベルトリトラクタ装置のモータ制御用ECUに適用した場合の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1に、本実施形態の適用対象であるシートベルトリトラクタ装置を備えたシートベルト装置を模式的に示す。図1において、シートベルト装置100は、先端のベルトアンカー112aが車体の床またはシート106に固定されるシートベルト112と、このシートベルト112の巻き取りを行うシートベルトリトラクタ装置Sと、このシートベルトリトラクタ装置Sから引き出されたシートベルト112を乗員のショルダーの方へガイドするガイドアンカー107と、このガイドアンカー107からガイドされてきたシートベルト112に摺動自在に支持されたタング108と、車体の床またはシート106に固定され、タング108が係脱可能に挿入されるバックル109とを有している。
【0021】
シートベルトリトラクタ装置Sは、シートベルト112を巻き取るスプール113と、このスプール113を回転させるモータ114とを少なくとも備えている。スプール113を回転させるモータ114の駆動力は、動力伝達機構を介してスプール113に伝達される。また、このモータ114を駆動するドライバ(図示せず)を有する回路基板4(後述の図3参照)が、電子制御ユニット(ECU)102(後述の図2参照)内に設けられている。
【0022】
図2に、上記シートベルトリトラクタ装置Sの外観を示す。シートベルトリトラクタ装置Sは、車体へ取り付けるためのフレームFを備えている。このフレームFに対し、ECU102や上記モータ114が取り付けられている。このとき、ECU102の外郭を構成する回路基板収納ケース1が、金属ブラケットKを介してフレームFに固定されている。なお、モータ114と上記ECU102に備えられた回路基板4(後述の図3参照)とは、ハーネス119により接続されている。
【0023】
図3に、回路基板収納ケース1を分解斜視状態にして示す。回路基板収納ケース1は、いずれも合成樹脂製の本体ケース2(各請求項記載の他方の部材に相当)とカバー3(各請求項記載の一方の部材に相当)で構成され、回路基板4を収納する。
【0024】
本体ケース2は、上部と前部とが開放された函形に形成され、内部に回路基板4を固定して収納する。そのために、回路基板4を載せて固定できる固定台5が内部に設けられている。固定台5には、2個のビス受け孔6が設けられるとともに、2個の係合ボス7が設けられている。この固定台5の構造に対応して、回路基板4には、2個のビス通し孔8と2個のボス係合孔9とが設けられている。
【0025】
回路基板4の固定台5への固定は、2個の係合ボス7のボス係合孔9への係合と、2個のビス受け孔6のそれぞれに通す2個のビス11によるビス止めによって行われる。なお、回路基板4には配線ボックス12が組み付けられており、この配線ボックス12を介して回路基板4と上記モータ114との間のハーネス119を引き出すことができる。
【0026】
また、本体ケース2には、カバー3を組み付けるために外周壁13と内周壁14とによる二重壁構造が設けられる。外周壁13は、上部及び前部が開放される函形である本体ケース2の外周を形成している。内周壁14は、外周壁13の内側に一定幅の嵌合間隙15が形成されるようにして設けられる。一方、カバー3は、周壁16を有した下部開放の函形として形成されている。
【0027】
図4に、回路基板収納ケース1の全体外観斜視図を示し、図5に、図4中のD−D線に沿った断面を拡大して示す。図5(a)は、後述の正規嵌合状態(正規位置当接状態)を示し、図5(b)は、上記正規嵌合状態に至る前の嵌合状態、若しくは、後述の非正規嵌合状態(非正規位置当接状態)を示している。また、図6に、図5中のE方向から見た矢視図を示す。図6(a)は図5(a)に対応しており、図6(b)は図5(b)に対応している。
【0028】
図4〜図6に示すように、カバー3の本体ケース2への組付けは、カバー3の周壁16を本体ケース2の嵌合間隙15に嵌合させることにより行われる。そのために、スナップフィット係合用の構造が本体ケース2とカバー3のそれぞれに設けられている。
【0029】
すなわち、本体ケース2には、外周壁13の下端部に、被嵌合部としての方形の開口部17が設けられている。開口部17は、左右の外周壁13のそれぞれついて2個ずつ設けられている。2個の開口部17は、本体ケース2の前方側(手前側。図3中の矢印表示参照)に偏らせた位置と後方側(奥側。図3中の矢印表示参照)に偏らせた位置に分けて設けられており、後述の爪部18をそれぞれ受け入れて嵌合を行う。
【0030】
一方、カバー3には、スナップフィット用の爪部18が周壁16の先端部に設けられており、周壁16がスナップフィット構造におけるスナップフィットビームとして機能し、その外周面16a(図5参照)が後述の傾斜に関する基準面となる。爪部18は、台形状の断面を有して周壁16からテーパ状に隆起する状態で形成されている。爪部18は、上記基準面である周壁16の外周面16aに対しその先端側に向けて所定の角度で傾斜する係止面21と、周壁16に対し概ね平行となる頂面22と、係止面21とは逆向きに所定の角度で傾斜する嵌合ガイド面23と、を有している。
【0031】
係止面21は、図5及び図6に示すように、係止面21に突条24が設けられている。突条24は、係止面21の幅方向に、言い換えれば上記開口部17の外縁部17aに沿って、延在している。また突条24は、横断面形状が三角形となる三角突条となっており、上記延在方向に沿う第1の面25と第2の面26とを有している。第1の面25は、上記開口部17の外縁部17aから遠い側に位置し、上記係止面21の傾斜角度と同じ角度で係止面21と交差するように形成されている。一方、第2の面26は、上記開口部17の外縁部17aに近い側に位置し、第1の面25と直交するように形成されている。つまり突条24は、直角三角形の三角突条となっている。
【0032】
カバー3の本体ケース2への組付けの際には、周壁16が、嵌合ガイド面23でガイドされつつ撓みを生じながら嵌合間隙15に入り込む。そして爪部18が開口部17に到達すると、周壁16の撓みによる弾性力で爪部18が開口部17に受け入れられて嵌合するとともに、開口部17の端縁が周壁16の弾性力を受けた状態で係止面21に当接する。この結果、係止面21が開口部17の外縁部17aに係止し、スナップフィット係合が完了する。
【0033】
ここで、爪部18の係止面21に設けた突条24には2つの機能がある。1つは、爪部18の開口部17への嵌合状態の判定を容易に行えるようにするための指標となる機能である。上述のようなスナップフィット係合については、図5(a)に示すように、爪部18が開口部17へ十分に入り込み確実に嵌合した正規嵌合状態(正規位置当接状態)となる必要がある。したがって、カバー3の本体ケース2への組付け作業の際には、正規嵌合となっているかを組立作業者が目視で判定する。
【0034】
この組立作業者の目視による嵌合状態の判定は、開口部17を通して見える「図柄」によって行われる。本実施形態では、前述のように係止面21に突条24が設けられていることから、突条24の第1の面25を用いて、正規嵌合状態と非正規嵌合状態で視覚的な「図柄」を異ならせることができる。すなわち、図6(a)に示す上記正規嵌合状態では、爪部18が開口部17へ十分に入り込んでいることから、外縁部17aと突条24との距離が大きくなり、係止面21と、第1の面25と、頂面22と、嵌合ガイド面23との各面が見える「図柄」となる。
【0035】
これに対し、図6(b)に示す上記非正規嵌合状態では、爪部18が開口部17へ十分に入り込んでいない結果、外縁部17aと突条24との距離が小さくなって係止面21が見えなくなり、第1の面25、頂面22、及び嵌合ガイド面23の各面だけが見える「図柄」となる。このような「図柄」の相違により、目視による嵌合状態の判定を容易化することができるので、組立作業時に作業者が嵌合状態の判定を容易に行える。なお、図5〜図6の例では特に、第1の面25に、模様(この例では格子模様)や彩色を付して特に目立つようにした例を示している。これにより、さらに視覚的な判定を容易に行うことができる。但し、上記模様や上記彩色は必ずしも必要ではなく、それらがなくても視覚的に判定することは可能である。
【0036】
突条24の2つの機能の他の1つは、爪部18の開口部17への嵌合が外れるのを抑制するためのストッパとしての機能である。上記のような判定に基づき爪部18を開口部17へ正しく嵌合させた場合であっても、例えば本体ケース2の経年劣化等により、係止面21に対する開口部17の当接位置が係止面21に沿って正規位置から非正規位置の側へ移動し、突条24と開口部17の外縁部17aとの距離が短くなる可能性がある。このとき、上記のように突条24は開口部17の外縁部17aに沿って延設されていることから、上記のようにして突条24と開口部17との距離が短くなって近接する方向は、突条24の先端部24a(図3、図6(a)等参照)の方向と略直交する方向となる。また、突条24は、前述のように係止面21から隆起するように設けられている。これらの結果、上記のような移動が生じても、突条24の位置まで当接位置が至ると、突条24が上記当接位置の移動に対するストッパとして機能し、それ以上の移動を抑制できることができる。これにより、上記嵌合が外れるのを抑制することができる。
【0037】
ところで、上記のような突条24の嵌合が外れるのを防止する機能の程度については、第2の面26の係止面21に対する交差角度が影響する。すなわち、上記図5に示した、交差角度若しくはこの交差角度より小さい交差角度であれば、第2の面26が係止面21と逆向きの傾斜を持つことになり、ストッパ機能を十分に発揮することができる。これに対して、図7に示す別の例のような交差角度であると、第2の面26が係止面21と同じ向きの傾斜を持つことになり、ストッパ機能がやや弱くなる。
【0038】
このような第2の面26の係止面21に対する交差角度は、図8に示すように、係止面21の傾斜角度との関係で規定することができる。すなわち、第2の面26の係止面21に対する交差角度βが、係止面21の傾斜角度、つまり(係止面21の傾斜に関する基準面となる)上記周壁16の外周面16aに対する係止面21の傾斜角度αに対し、β≧90°−αである場合に、第2の面26が係止面21と逆向きの傾斜を持ち、ストッパ機能を十分に発揮することができる。なお、図5の例は、第1の面25と第2の面26が直交しており、β=90°−αの場合である。
【0039】
以上説明したように、本実施形態においては、係止面21において、開口部17の外縁部17aに沿うように突条24が設けられている。したがって、開口部17に対する爪部18の嵌合が十分であるか不十分であるかにより外縁部17aと突条24との距離が変化し、突条24を爪部18の開口部17への嵌合状態の指標とすることができる。これにより、スナップフィット構造における嵌合状態の判定を容易に行うことができる。
【0040】
また、経年劣化等による本体ケース2とカバー3との相対位置の変化により、開口部17に対して爪部18が十分に嵌合した状態から嵌合が不十分な状態に変化し、爪部18が移動するとき、係止面21から突出して設けられた突条24がストッパとなり、それ以上の移動を抑制するできることができる。この結果、嵌合が外れるのを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では特に、突条24の第1の面25が、周壁16に対する係止面21の傾斜角度αと略同じ角度βで係止面21と交差するように、突条24に設けられている。これにより、上記嵌合時に、第2の面26を開口部17の外縁部17aとほぼ面平行とし、面接触で外縁部17aに接触させることができる(図5(a)(b)参照)。これにより、第2の面26のストッパとしての機能をさらに高めることができる。また、第1の面25の係止面21との交差角度βが、係止面21の傾斜角度αと略同じであることにより、第1の面25を、係止面21の傾斜の基準面(周壁16の外周面16a)と略平行にし視覚的に広幅とすることができる。これにより、第1の面25の、嵌合状態を表す指標としての機能を、さらに高めることができる(図6(a)(b)参照)。
【0042】
なお、以上においては、カバー3の爪部18を本体ケース2の開口部17に契合させるスナップフィット構造を前提として、爪部18の係止面21に、開口部17の外縁部17aに沿うような突条24を設けたが、これに限られない。すなわち、スナップフィット構造を、上記とは逆に、本体ケース2側に(爪部18と同等の)爪部を設け、カバー3側に(開口部17と同等の)開口部を設けることで、実現してもよい。この場合も、上記同様、本体ケース2側の爪部18の係止面21に、カバー3側の開口部17の外縁部に沿うような突条(突条24と同等のもの)を設けることで、当該突条を爪部の開口部への嵌合状態の指標とすることができ、スナップフィット構造における嵌合状態の判定を容易に行うことができる。
【0043】
以上はシートベルトリトラクタにおけるモータ制御用ECUの回路基板を収納対象とする場合の例であったが、これに限られず、様々な回路基板を収納対象とする場合に適用でき、これらの場合も同様の効果を得る。
【0044】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0045】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0046】
2 本体ケース(他方の部材)
3 カバー(一方の部材)
4 回路基板
17 開口部
18 爪部
21 係止面
24 突条
25 第1の面
26 第2の面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を内部に収納した本体ケースと、
前記本体ケースに組み付けられるカバーと、
を有する回路基板収納ケースであって、
前記カバー及び前記本体ケースのうち、一方の部材は、
所定の向き及び角度で傾斜した係止面を備えた爪部を有し、
前記カバー及び前記本体ケースのうち、他方の部材は、
前記一方の部材の組み付けの際に前記爪部を受け入れ、前記係止面を係止させる開口部を有し、
前記一方の部材は、さらに、
前記係止面から突出して設けられ、前記開口部の外縁部に沿って延在する突条を有する
ことを特徴とする回路基板収納ケース。
【請求項2】
請求項1記載の回路基板収納ケースにおいて、
前記一方の部材は前記カバーであり、
前記他方の部材は前記本体ケースである
ことを特徴とする回路基板収納ケース。
【請求項3】
請求項2記載の回路基板収納ケースにおいて、
前記突条は、
前記延在方向にそれぞれ沿う、前記開口部の外縁部から遠い側の第1の面と前記開口部の外縁部に近い側の第2の面とを備えた、横断面が略三角形の形状を備える
ことを特徴とする回路基板収納ケース。
【請求項4】
請求項3記載の回路基板収納ケースにおいて、
前記第1の面は、
所定の基準面に対する前記係止面の傾斜角度と略同じ角度で、前記係止面と交差するように、前記突条に設けられている
ことを特徴とする回路基板収納ケース。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の回路基板収納ケースを備えたモータ制御部と、
乗員を拘束するシートベルトを巻き取るスプールと、
前記モータ制御部により制御され、前記スプールを回転させるモータと、
を有することを特徴とするシートベルトリトラクタ装置。
【請求項6】
請求項5記載のシートベルトリトラクタ装置と、
前記シートベルトリトラクタ装置により引き出し可能に巻き取られ、乗員を拘束するためのシートベルトと、
固定側部材に接続されたバックルと、
前記シートベルトに設けられ、前記バックルと係合するタングと
を有する
ことを特徴とするシートベルト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−26480(P2013−26480A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160389(P2011−160389)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(306009581)タカタ株式会社 (812)
【Fターム(参考)】