説明

回転ステージ

【課題】 剛性が高く、且つ小型で安価な回転ステージを提供すること。
【解決手段】 回転テーブル11がベース12に対し回転する回転ステージ10において、回転テーブルにアリ14が、ベースに上記アリに嵌合するアリ溝15が形成されると共に、回転テーブルの回転軸Oが当該回転テーブルのテーブル面13内に設定され、アリ及びアリ溝の互いに接触する斜面(アリ斜面18、アリ溝斜面19及び20)が、上記回転テーブルの回転軸を囲む位置に湾曲して延びる円錐面形状に構成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転テーブルがベースに対し、回転軸を中心に回転する回転ステージに関する。
【背景技術】
【0002】
光学機器や精密加工機器、レーザー機器などには、回転テーブルが微小角度回転可能な回転ステージが設置されたものがある。上記回転ステージの回転テーブルに試料や光学系の部品が載置されて、これらの試料などが微小角度回転される。
【0003】
従来の回転ステージは、一般に、回転テーブルとベースとの間にリング形状のベアリングが介在され、このベアリングを介して回転テーブルがベースに対し回転する構成となっている。
【0004】
一方、アリとアリ溝の嵌合によって2つの部材を結合させる技術としては、例えば特許文献1及び2に記載のように、アリを介してアリ溝の延在方向に両部材を相対移動(スライド)させるものがほとんどである。
【特許文献1】特開平8‐304004号公報
【特許文献2】特開2002‐6230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ベアリングを用いた従来の回転ステージでは、剛性が高く回転テーブルを安定して回転させることができるものの、回転テーブルとベースとの間にベアリングが介在される分だけ厚さが増して大型化してしまい、更に高価な構造となっている。
【0006】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、剛性が高く、且つ小型で安価な回転ステージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、回転テーブルがベースに対し、回転軸を中心に回転する回転ステージにおいて、上記回転テーブルと上記ベースの一方にアリが、他方に上記アリに嵌合するアリ溝が形成され、これらのアリ及びアリ溝の互いに接触する斜面が、上記回転軸を囲む位置に湾曲して延びる円錐面形状に構成されることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記回転テーブルの回転軸が、当該回転テーブルのテーブル面内に設定されたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記回転テーブルと上記ベースの一方に形成されるアリと、他方に形成されるアリ溝との互いに接触する斜面が、上記回転テーブルの回転軸を挟む対向位置に分離して配置されたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、上記アリ溝における斜面の少なくとも一部が、回転テーブルの回転軸方向に移動可能なスラスト調整部材に形成され、このスラスト調整部材が、上記アリ溝が形成されるベースまたは回転テーブルに一体に取り付けられたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、上記ベースには回転テーブルを支持する支持面が、当該回転テーブルの回転軸に垂直に設けられ、この支持面は、アリ及びアリ溝の斜面が延びる湾曲形状と略平行な円弧面形状に形成されたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、上記アリの円錐面形状の斜面は、当該アリが形成される回転テーブルまたはベースの、それぞれテーブル面、ベース面の方向に先細り状に設定されたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、上記回転テーブルと上記ベースの一方に送りねじが、他方に上記送りねじに螺合するナットがそれぞれ配設され、これらの送りねじ及びナットを有する送りねじ機構によって、上記回転テーブルが上記ベースに対し正転または逆転し得るよう構成されたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、上記回転テーブルと上記ベースの一方に送りねじが、他方に上記送りねじに当接する当接部がそれぞれ設けられた送りねじ機構と、上記回転テーブルと上記ベースとの間に配設された弾性部材とによって、上記回転テーブルが上記ベースに対し正転または逆転し得るよう構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、2、6、7または8に記載の発明によれば、回転テーブルとベースの一方にアリが、他方に上記アリに嵌合するアリ溝が形成され、これらのアリ及びアリ溝の互いに接触する斜面が、上記回転テーブルの回転軸を囲む位置に湾曲して延びる円錐面形状に構成されることから、回転テーブルに作用する荷重がアリとアリ溝の互いに接触する斜面によって支持されて、当該回転テーブルにおける回転軸の振れが抑制されるので、この回転テーブルのベースに対する剛性を高めることができる。
【0016】
また、回転テーブルとベースとの間にベアリング等の他部材が介在されず、これらの回転テーブルとベースの一方にアリが、他方にアリ溝が形成されただけなので、回転ステージを薄肉化して小型化でき、安価な構成とすることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、アリとアリ溝の互いに接触する斜面が、回転テーブルの回転軸を挟む対向位置に分離して配置されたことから、回転テーブルをベースに対して所定角度回転させることで、アリの斜面とアリ溝の斜面との接触状態を解除して、アリとアリ溝との嵌合を外すことができるので、回転テーブルとベースとの組付け性を向上させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、アリ溝の斜面の少なくとも一部が、回転テーブルの回転軸方向に移動可能なスラスト調整部材に形成されたことから、このスラスト調整部材の上記移動によって、アリとアリ溝の両斜面の隙間を適正に調整することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、ベースに設けられた回転テーブルを支持する支持面が、アリ及びアリ溝の斜面が延びる湾曲形状と略平行な円弧面形状に形成されたことから、回転テーブルの回転時に生ずる、当該回転テーブルと上記支持面との接触抵抗(負荷)を一定にできるので、回転テーブルを回転させるための回転トルクを一定トルクに設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。
〔A〕第1の実施の形態(図1〜図7)
図1は、本発明に係る回転ステージの第1の実施の形態を示し、(A)が回転テーブルを省略した平面図、(B)が回転テーブルを装着した平面図、(C)が図1(A)において回転テーブルを装着した状態のC矢視図である。図2は図1の回転ステージを示し、(D)、(E)、(F)が図1(A)のそれぞれIID矢視図、IIE矢視図、IIF‐IIF線に沿う断面図である。
【0021】
図1及び図2に示す回転ステージ10は、光学機器や精密加工機器、レーザー機器などに設置されて、微小角度回転可能な回転ステージであり、回転テーブル11がベース12に対し微小角度回転可能に設けられる。上記ベース12のテーブル面13に、例えば試料や光学系の部材が載置される。回転テーブル11の回転軸Oは、回転テーブル11のテーブル面13の面内、本実施の形態ではテーブル面13の中央位置に設置されている。
【0022】
図2(E)及び(F)に示すように、回転テーブル11には、テーブル面13と反対の面にアリ14が形成され、またベース12には、上記アリ14に嵌合するアリ溝15が、ベース12の裏面であるベース面16と反対の面に形成される。このアリ溝15の一部は、ベース12に一体に取り付けられるスラスト調整部材17に形成される。
【0023】
アリ14のアリ斜面18と、ベース12に形成されるアリ溝15のアリ溝斜面19、及びスラスト調整部材17に形成されるアリ溝15のアリ溝斜面20とは、それぞれ図3(A)及び(E)、図4(C)及び(E)に示すように、回転テーブル11の回転軸Oを囲む位置に湾曲して延びる円錐面形状に構成される。このとき、アリ斜面18とアリ溝斜面19及び20とは、それぞれ回転テーブル11のテーブル面13の方向に先細り状に設定される。従って、これらのアリ斜面18とアリ溝斜面19及び20とは、アリ14とアリ溝15とを嵌合させた状態で、互いに面接触するよう構成される。
【0024】
更に、アリ斜面18とアリ溝斜面19及び20とは、それぞれ上記回転軸Oを挟む対向位置に分離して配置される。このアリ斜面18とアリ溝斜面19及び20とのそれぞれの分離配置により、回転テーブル11をベース12に対し所定角度(例えば約90度)回転させたとき、回転テーブル11のアリ斜面18とベース12のアリ斜面19及びスラスト調整部材17のアリ溝斜面20との接触状態が解除されて、回転テーブル11のアリ14とベース12及びスラスト調整部材17のアリ溝15との嵌合が外れ、回転テーブル11がベース12及びスラスト調整部材17から離脱し得るよう構成される。これにより、回転テーブル11、ベース12及びスラスト調整部材17の組付け性が確保される。
【0025】
ここで、回転テーブル11に形成されるアリ斜面18、ベース12に形成されるアリ溝斜面19、及びスラスト調整部材17に形成されるアリ溝斜面20は、同一の斜面研削用カッターを用いて加工されて、アリ斜面18、アリ溝斜面19及び20が同一精度の斜面に形成される。
【0026】
前記スラスト調整部材17は、図1(A)、図2(F)及び図5に示すように略3日月形状を有し、内側の湾曲面に前記アリ溝斜面20が形成される。このアリ溝斜面20と反対の外側の面に押え面21が形成される。ベース12には、図3に示すように、スラスト調整部材17が配置される側の側壁24に複数のネジ穴22が形成され、各ネジ穴22にアジャストねじ23が、図1(A)に示すように螺合される。
【0027】
これらのアジャストねじ23をネジ穴22にねじ込むことによって、各アジャストねじ23の先端がスラスト調整部材17の押え面21を押圧し、このスラスト調整部材17は、回転テーブル11の回転軸O方向に移動可能とされる。アジャストねじ23のねじ込み量の調整により、ベース12の固定状態のアリ溝斜面19とスラスト調整部材17のアリ溝斜面20との幅方向距離が変更されて、スラスト調整部材17のアリ溝斜面20及びベース12のアリ溝斜面19と回転テーブル11のアリ斜面18との隙間が適正に調整される。
【0028】
この状態で、アリ14のアリ斜面18とアリ溝15のアリ溝斜面19及び20との面接触が最適化され、回転テーブル11のテーブル面13に荷重が作用した場合にも、この荷重がアリ斜面18とアリ溝斜面19及び20によって支持されるので、回転中の回転テーブル11における回転軸Oの振れ(図2(F)の矢印Pで示す)が抑制され、回転ステージ10の剛性が高められる。また、アリ溝15のアリ溝斜面19及び20とアリ14のアリ斜面18との隙間が適正に調整された状態で、アリ溝斜面20を備えるスラスト調整部材17は、回転テーブル11のアリ14とベース12の側壁24との間に挟持され、ベース12に一体に取り付けられる。
【0029】
図1(A)、図3(A)、(C)及び(E)に示すように、ベース12のアリ溝15と側壁24においては、ベース面16と反対側の面に、支持面25、26がそれぞれ形成される。これらの支持面25及び26は、回転テーブル11の回転軸Oに対し垂直に形成されて回転テーブル11に接触し、この回転テーブル11の荷重を支持する。更に、この支持面25及び26は、アリ14のアリ斜面18とアリ溝15のアリ溝斜面19及び20とのそれぞれが延在する湾曲形状とほぼ平行な円弧面に形成される。支持面25及び26が上記円弧面に形成されたことで、回転時の回転テーブル11と支持面25及び26との間に発生する接触抵抗(負荷)がほぼ一定となり、従って、回転テーブル11を回転させるためのトルクを一定に設定することが可能となる。
【0030】
また、図1(A)及び図3(A)に示すように、ベース12には、ベース面16と反対の面であって、アリ溝15のアリ溝斜面19における仮想延長位置にストッパ用ねじ穴27が、また、ベース12に配置されるスラスト調整部材17のアリ溝斜面20における仮想延長位置にストッパ用ねじ穴28がそれぞれ形成される。これらのストッパ用ねじ穴27、28のそれぞれにストッパ29、30がネジ止めされる。ベース12及びスラスト調整部材17に形成されたアリ溝15に回転テーブル11のアリ14が嵌合した状態で、回転テーブル11がベース12及びスラスト調整部材17に対し回転したとき、アリ14がストッパ30に当接することで回転テーブル11の正転が位置規制され、アリ14がストッパ29に当接することで回転テーブル11の逆転が位置規制される。
【0031】
これらのストッパ30、29は回転テーブル11の正転、逆転をそれぞれ位置規制可能な位置に設けられていれば足り、ストッパ29は、ベース12において、スラスト調整部材17のアリ溝斜面20における仮想延長位置で、ストッパ30と反対側の位置に設けられてもよい。
【0032】
回転テーブル11をベース12及びスラスト調整部材17に対し正転または逆転させる送りねじ機構31は、図1及び図2に示すように、回転テーブル11とベース12との間に配置され、送りねじ32及びナット33を有して構成される。送りねじ32がねじ受け台34を介してベース12に設置され、ナット33がナット軸35を介して回転テーブル11に枢支される。
【0033】
つまり、ねじ受け台34は、図6にも示すように、挿通溝36、ビス穴37及び取付ボルト穴38を有する。挿通溝36に、送りねじ32の胴部39(図1(A))が回転(自転)自在に挿通される。また、取付ボルト穴38に取付ボルト40(図2(D))が螺装されて、ねじ受け台34がベース12に取り付けられる。また、ビス穴37には押え調整ビス41が螺装され(図1(A)及び(C))、この押え調整ビス41の先端のテーパ部により、送りねじ32の胴部39が挿通溝36内の適正位置に押圧して保持される。
【0034】
また、図2及び図7に示すナット軸35は、回転テーブル11の長穴42に回転(自転)可能に挿通され、このナット軸35にナット33が回転一体に固定される。上記長穴42の長手方向は、図1(A)及び(B)に示すように、送りねじ32の軸方向に直交し、回転テーブル11の回転軸Oから離反する方向に延びる。そして、ナット33の雌ネジ43に送りねじ32が螺合される。
【0035】
従って、送りねじ32の軸回りの回転(自転)により、ナット33及びナット軸35を介して回転テーブル11がベース12に対し回転軸Oを中心に回転し、例えば送りねじ32の正転により回転テーブル11がベース12に対し正転し、送りねじ32の逆転により回転テーブル11がベース12に対し逆転する。このとき、送りねじ32は、ナット軸35と共に、長穴42内で自転し、且つ、この長穴42の長手方向に移動して、回転テーブル11のベース12に対する回転が円滑に実施される。
【0036】
以上のように構成されたことから、上記第1の実施の形態によれば、次の効果(1)〜(5)を奏する。
(1)回転テーブル11にアリ14が、ベース12及びこのベース12に一体化されるスラスト調整部材17に上記アリ14に嵌合するアリ溝15が形成されると共に、回転テーブル11の回転軸Oが当該回転テーブル11のテーブル面13内に設定され、上記アリ14のアリ斜面18とアリ溝15のアリ溝斜面19及び20とが互いに接触し、これらのアリ斜面18とアリ溝斜面19及び20とのそれぞれが回転軸Oを囲む位置に湾曲して延びる円錐面形状に構成されたことから、回転テーブル11に作用する荷重が、互いに接触するアリ14のアリ斜面18とアリ溝15のアリ溝斜面19及び20によって支持されて、当該回転テーブル11における回転軸Oの振れ(図2(F)のP方向)が抑制されるので、この回転テーブル11のベース12に対する剛性を高めることができる。
【0037】
(2)回転テーブル11とベース12との間にベアリング等の他部材が介在されず、これらの回転テーブル11にアリ14が、ベース12及びこのベース12に一体化されるスラスト調整部材17にアリ溝15が形成されただけなので、回転ステージ10を薄肉化して小型化でき、安価な構成とすることができる。
【0038】
(3)互いに接触するアリ14のアリ斜面18とアリ溝15のアリ溝斜面19及び20が、回転テーブル11の回転軸Oを挟む対向位置に分離して配置されたことから、回転テーブル11をベース12に対し所定角度回転させることで、アリ14のアリ斜面18とアリ溝15のアリ溝斜面19及び20との接触状態を解除して、アリ14とアリ溝15との嵌合を外すことができるので、回転テーブル11とベース12との着脱性が高まり、これら回転テーブル11とベース12との組付け性を向上させることができる。
【0039】
(4)アリ溝15のアリ溝斜面19及び20のうちのアリ溝斜面20が、回転テーブル11の回転軸O方向に移動可能なスラスト調整部材17に形成されたことから、このスラスト調整部材17の上記移動によって、アリ14のアリ斜面18とアリ溝15のアリ溝斜面19及び20との隙間を適正に調整することができる。
【0040】
(5)ベース12に設けられて回転テーブル11を支持する支持面25及び26が、アリ14のアリ斜面18及びアリ溝15のアリ溝斜面19及び20が延びる湾曲形状とほぼ平行な円弧面形状に形成されたことから、回転テーブル11の回転時に生ずる、当該回転テーブル11と上記支持面25及び26との接触抵抗(負荷)を一定にできるので、回転テーブルを回転させるための回転トルクを一定トルクに設定することができる。
【0041】
[B]第2の実施の形態
図8は、本発明に係る回転ステージの第2の実施の形態を示し、(A)が回転テーブルを省略した平面図、(B)が回転テーブルを装着した平面図、(C)が図8(A)において回転テーブルを装着した状態のC矢視図である。図9は図8の回転ステージを示し、(D)、(E)、(F)が図8(A)において回転テーブルを装着した状態のそれぞれIXD矢視図、IXE矢視図、IXF‐IXF線に沿う断面図である。この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0042】
この第2の実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる点は、回転テーブル11とベース12との間に送りねじ機構50と、弾性部材としての駆動ばね51とを有することである。つまり、送りねじ機構50は、送りねじ52を螺装するブラケット53が、ベース12にねじ固定されて取り付けられ、また、この送りねじ52の先端部52Aが当接する当接部54が、回転テーブル11にねじ固定されて取り付けられたものである。
【0043】
送りねじ52が回転されてその先端部52Aが当接部54を押圧することにより、回転テーブル11がベース12に対し回転する。上記駆動ばね51は回転テーブル11とベース12との間に介在されて、上記送りねじ機構50による回転テーブル11の回転時に伸長し、回転テーブル11を当該回転方向αと反対の方向βに付勢するばね力を当該回転テーブル11に付与する。従って、送りねじ52及び当接部53を有する送りねじ機構50と上記駆動ばね51とにより、回転テーブル11がベース12に対し正転または逆転可能に構成される。
【0044】
上記第2の実施の形態においても、前記第1の実施の形態の効果(1)〜(5)と同様な効果を奏する。
【0045】
[C]第3の実施の形態(図10、図11)
図10は、本発明に係る回転ステージの第3の実施の形態を示し、(A)が回転テーブルを省略した平面図、(B)が回転テーブルを装着した平面図、(C)、(D)が図10(A)において回転テーブルを装着した状態のC矢視図、D矢視図である。図11は、図10の回転ステージを示し、(E)、(F)、(G)が図10(A)において回転テーブルを装着した状態のそれぞれXIE矢視図、XIF矢視図、XIG‐XIG線に沿う断面図である。この第3の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0046】
この第3の実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる点は、ナット33のうちのナット軸35が回転テーブル11の長穴に挿通されず、回転テーブル11の真円形状の挿通穴60に回転(自転)自在に挿通されると共に、ベース12にビス固定されたねじ受け台62の挿通溝61に送りねじ32が挿通され、更に、回転テーブル11とベース12との間に弾性部材としての駆動ねじ63が設けられたことである。
【0047】
ねじ受け台62の挿通溝61の長手方向は、図10(C)に示すように、回転テーブル11の回転軸Oに対し直交し、且つベース12の内側へ向かって延在して形成される。従って、送りねじ32を回転しナット33及びナット軸35を介して回転テーブル11をベース12に対し回転させるとき、送りねじ32の胴部39がねじ受け台62の挿通溝61内を当該挿通溝61の長手方向γへ移動し、回転テーブル11の上記回転が円滑に実施される。
【0048】
また、上記駆動ばね63は、送りねじ32及びナット33による回転テーブル11のベース12に対する回転軸O回りの回転一方向(例えばα方向)の回転時に伸長し、回転テーブル11における上記一方向と反対方向(例えばβ方向)の回転時に収縮して、付勢力により当該方向(β方向)の回転をアシストする。
【0049】
従って、この第3の実施の形態においても、前記第1の実施の形態の効果(1)〜(5)と同様な効果を奏する。
【0050】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記第1〜第3の各実施の形態では、アリ14が回転テーブル11に形成され、アリ溝15がベース12及びこのベース12に一体化されるスラスト調整部材17に形成されるものを述べたが、図12に示すように、アリ14がベース12に形成され、アリ溝15が回転テーブル11及びこの回転テーブル11に一体化されるスラスト調整部材17に形成されて、これらのアリ14とアリ溝15とが互いに嵌合するものでもよい。この場合には、ベース12におけるアリ14のアリ斜面18は、ベース12のベース面16の方向に先細り状に設定される。
【0051】
また、上記第1〜第3の各実施の形態では、回転テーブル11の回転軸Oを挟む対向位置に設けられたアリ溝15のうちの、一方の側のアリ溝斜面20がスラスト調整部材17に形成され、このスラスト調整部材17の上記回転軸O方向への移動によりアリ溝15のアリ溝斜面19と上記アリ溝斜面20との幅方向距離が変更されて、アリ14のアリ斜面18とアリ溝15のアリ溝斜面19及び20との隙間が調整されるものを述べたが、アリ溝15の対向する両斜面19及び20は、共に、スラスト調整部材17と同様に回転テーブル11の回転軸O方向へ移動可能なスラスト調整部材に形成されて、回転テーブル11の回転軸O方向に互いに接近または離反するよう構成されてもよい。
【0052】
更に、上記第1〜第3の各実施の形態では、回転テーブル11の回転軸Oを挟む対向位置に、円錐面形状のアリ斜面18を備えるアリ14が分離して設けられ、更に、回転テーブル11の回転軸Oを挟む対向位置に、円錐面形状のアリ溝斜面19及び20を備えるアリ溝15が分離して設けられるものを述べたが、アリ14のアリ斜面18とアリ溝15のアリ溝斜面19及び20との少なくとも一方が回転テーブル11の回転軸Oを囲むほぼ全周に延びるよう構成されてもよい。
【0053】
また、上記第1及び第3の実施の形態では、送りねじ32がベース12に、ナット33が回転テーブル11に設けられるものを述べたが、送りねじ32が回転テーブル11に、ナット33がベース12にそれぞれ設けられてもよい。更に、上記第2の実施の形態においても、送りねじ52が回転テーブル11に、当接部54がベース12に設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る回転ステージの第1の実施の形態を示し、(A)が回転テーブルを省略した平面図、(B)が回転テーブルを装着した平面図、(C)が図1(A)において回転テーブルを装着した状態のC矢視図である。
【図2】図1の回転ステージを示し、(D)、(E)、(F)が図1(A)のそれぞれIID矢視図、IIE矢視図、IIF‐IIF線に沿う断面図である。
【図3】図1のベースを示し、(A)が平面図、(D)が裏面図、(B)、(C)、(E)が図3(A)のそれぞれB矢視図、C矢視図、E‐E線に沿う断面図である。
【図4】図1の回転テーブルを示し、(A)が平面図、(C)が裏面図、(B)、(F)が図4(A)のそれぞれB‐B線に沿う断面図、F部拡大図、(D)、(E)が図4(C)のそれぞれD矢視図、E‐E線に沿う断面図である。
【図5】図1のスラスト調整部材を示し、(A)が平面図、(D)が裏面図、(B)、(C)、(E)が図5(A)のそれぞれB矢視図、C矢視図、E‐E線に沿う断面図である。
【図6】図1のねじ受け台を示し、(A)が平面図、(B)、(C)が図6(A)のそれぞれB矢視図、C矢視図である。
【図7】図1のナット軸を示す正面図である。
【図8】本発明に係る回転ステージの第2の実施の形態を示し、(A)が回転テーブルを省略した平面図、(B)が回転テーブルを装着した平面図、(C)が図8(A)において回転テーブルを装着した状態のC矢視図である。
【図9】図8の回転ステージを示し、(D)、(E)、(F)が図8(A)において回転テーブルを装着した状態のそれぞれIXD矢視図、IXE矢視図、IXF‐IXF線に沿う断面図である。
【図10】本発明に係る回転ステージの第3の実施の形態を示し、(A)が回転テーブルを省略した平面図、(B)が回転テーブルを装着した平面図、(C)、(D)が図10(A)において回転テーブルを装着した状態のC矢視図、D矢視図である。
【図11】図10の回転ステージを示し、(E)、(F)、(G)が図10(A)において回転テーブルを装着した状態のそれぞれXIE矢視図、XIF矢視図、XIG‐XIG線に沿う断面図である。
【図12】本発明に係る回転ステージの変形例を示す断面図である
【符号の説明】
【0055】
10 回転ステージ
11 回転テーブル
12 ベース
13 テーブル面
14 アリ
15 アリ溝
16 ベース面
17 スラスト調整部材
18 アリ斜面
19、20 アリ溝斜面
23 アジャストねじ
25、26 支持面
31 送りねじ機構
32 送りねじ
33 ナット
50 送りねじ機構
51 駆動ばね
52 送りねじ
54 当接部
O 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブルがベースに対し、回転軸を中心に回転する回転ステージにおいて、
上記回転テーブルと上記ベースの一方にアリが、他方に上記アリに嵌合するアリ溝が形成され、これらのアリ及びアリ溝の互いに接触する斜面が、上記回転軸を囲む位置に湾曲して延びる円錐面形状に構成されることを特徴とする回転ステージ。
【請求項2】
上記回転テーブルの回転軸が、当該回転テーブルのテーブル面内に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の回転ステージ。
【請求項3】
上記回転テーブルと上記ベースの一方に形成されるアリと、他方に形成されるアリ溝との互いに接触する斜面が、上記回転テーブルの回転軸を挟む対向位置に分離して配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の回転ステージ。
【請求項4】
上記アリ溝における斜面の少なくとも一部が、回転テーブルの回転軸方向に移動可能なスラスト調整部材に形成され、このスラスト調整部材が、上記アリ溝が形成されるベースまたは回転テーブルに一体に取り付けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の回転ステージ。
【請求項5】
上記ベースには回転テーブルを支持する支持面が、当該回転テーブルの回転軸に垂直に設けられ、この支持面は、アリ及びアリ溝の斜面が延びる湾曲形状と略平行な円弧面形状に形成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の回転ステージ。
【請求項6】
上記アリの円錐面形状の斜面は、当該アリが形成される回転テーブルまたはベースの、それぞれテーブル面、ベース面の方向に先細り状に設定されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の回転ステージ。
【請求項7】
上記回転テーブルと上記ベースの一方に送りねじが、他方に上記送りねじに螺合するナットがそれぞれ配設され、これらの送りねじ及びナットを有する送りねじ機構によって、上記回転テーブルが上記ベースに対し正転または逆転し得るよう構成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の回転ステージ。
【請求項8】
上記回転テーブルと上記ベースの一方に送りねじが、他方に上記送りねじに当接する当接部がそれぞれ設けられた送りねじ機構と、上記回転テーブルと上記ベースとの間に配設された弾性部材とによって、上記回転テーブルが上記ベースに対し正転または逆転し得るよう構成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の回転ステージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−21283(P2006−21283A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201992(P2004−201992)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(592253736)シグマ光機株式会社 (46)
【Fターム(参考)】