説明

回転伝達機構及びそれを備えた画像形成装置

【課題】駆動プーリと従動プーリとの間に無端状ベルトを架け渡して回転を伝達する回転伝達機構において、駆動プーリから従動プーリへの回転伝達の応答遅れを生じさせず且つ回転に伴う騒音を抑制する。
【解決手段】駆動プーリ82が回転開始する時は、ソレノイド103に通電せず、押しバネ104の付勢力によってプランジャ102をソレノイド本体から突出した第1位置とし、テンションプーリ101によって無端状ベルト85に所定の張力を与える。そして、駆動プーリ82が所定の速度に達すると、ソレノイド103に通電し、プランジャ102をソレノイド本体に引き込まれた第2位置として、テンションプーリ101を無端状ベルト85から離間させ、テンションプーリ101によって与えられていた張力を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転伝達機構に関し、より詳細には、複写機やプリンタなどの画像形成装置をはじめとする各種の機器に用いられる、無端状ベルトを使用した回転伝達機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、労働環境意識の高まりを受けて各種機器における静音化の要求が強くなっている。静音化の対策の一つとして、無端状ベルトを用いた回転伝達機構が用いられることがある。無端状ベルトで回転を伝達する場合には、駆動プーリ及び従動プーリとの間で不規則な滑りが生じたり、回転伝達の応答遅れが生じたりしないように、無端状ベルトに一定の張力が与えられる。
【0003】
例えば、図8(a)に示す従来の回転伝達機構80aは、駆動プーリ82と従動プーリ84との間に無端状ベルト85が架け渡されてなり、駆動プーリ82のピッチ円と従動プーリ84のピッチ円とに接する仮定線と一致するように、プーリ間に無端状ベルト85が張架されている。ここで、駆動プーリ82と従動プーリ84の軸間距離をD1とし、無端状ベルト85に作用している張力をT1とする。このような回転伝達機構では、回転始動時に駆動プーリ82が回転を始めてから従動プーリ84が回転を開始するまでに遅れは生じない。しかし、駆動プーリ82の回転軸にラジアル方向に荷重がかかり、回転軸に撓みが生じて騒音発生の原因となるおそれがあった。特に、イナーシャーが小さく回転軸にラジアル方向の荷重がかかると回転軸が撓みやすいインナーブラシレスモータを駆動源として用いた場合には騒音が発生しやすい。
【0004】
そこで、図8(b)に示す回転伝達機構80bのように、駆動プーリ82と従動プーリ84の軸間距離をD1よりも少し短いD2とし、無端状ベルト85に作用する張力をT1より小さいT2とすれば、回転軸にかかるラジアル荷重は小さくなり騒音発生は抑制される。しかし、この回転伝達機構80bでは、駆動プーリ82が回転を始めてから従動プーリ84が回転を開始するまでに遅れが生じる。
【0005】
特許文献1には、駆動プーリと従動プーリとの間に無端状ベルトを架け渡し、バネなどの付勢手段で無端状ベルトに回転体を押圧して無端状ベルトに一定の張力を与える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-25128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された回転伝達機構では、回転体の押圧によって無端状ベルトに常に張力が与えられるので、応答遅れは小さくと考えられるが回転軸の撓みに起因する騒音は抑制できないおそれがある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プーリ間に架け渡された無端状ベルトによって回転を伝達する機構において、回転伝達の応答遅れを生じさせず且つ騒音を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成する本発明に係る回転伝達機構は、駆動プーリと従動プーリとの間に無端状ベルトを架け渡して回転を伝達する回転伝達機構であって、前記無端状ベルトの張力を調整する張力調整手段を設け、前記無端状ベルトの張力を回転始動時よりも回転中を低くすることを特徴とする。
【0010】
ここで、前記張力調整手段によって前記無端状ベルトの張力を回転速度によって変化させるようにしてもよい。
【0011】
また、回転停止中は、前記無端状ベルトの張力を回転始動時よりも低くするのが好ましい。
【0012】
そして、前記張力調整手段として、前記無端状ベルトに張力を与えるテンションプーリと、前記テンションプーリを前記無端状ベルトに対して離接させる離接機構とを有するものを用いてもよい。
【0013】
あるいは前記離接機構としてソレノイドを用いるものを用いてもよい。
【0014】
さらには前記離接機構として、ラックとピニオンギアとを用いるものを用いてもよい。
【0015】
そしてまた、前記離接機構として、一方端にテンションプーリを回転自在に軸支し、他方端に駆動プーリ又は従動プーリの一方の側面と接触する球体を回転自在に支持する棒状のレバーと、前記レバーを移動自在に支持する基部と、前記テンションプーリを前記無端状ベルトに接触させる方向に付勢する付勢部材とを備え、前記の駆動プーリ又は従動プーリが回転することによって、前記球体が半径方向外方へ遠心力で移動し、前記テンションプーリが前記無端状ベルトから離れる方向に移動する機構を用いてもよい。
【0016】
また本発明によれば、駆動プーリと従動プーリとの間に無端状ベルトを架け渡して、画像形成部及び用紙搬送部の少なくとも一方に駆動源からの回転を伝達する画像形成装置において、回転伝達機構として、請求項1〜8のいずれかに記載の回転伝達機構を用いたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の回転伝達機構では、無端状ベルトの張力を調整する張力調整手段を設けて、無端状ベルトの張力を回転始動時よりも回転中を低くするようにしたので、駆動プーリから従動プーリへの回転伝達の応答遅れを生じさせず且つ騒音を抑制できる。特に、駆動プーリがインナーブラシレスモータで駆動される場合に本発明の回転伝達機構は好適に適用される。
【0018】
また本発明の画像形成装置では、前記回転伝達機構を用いるので優れた静音化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成例を示す概略説明図。
【図2】本発明に係る回転伝達機構の一実施形態を示す説明図。
【図3】図2に示す回転伝達機構の制御フロー図。
【図4】本発明に係る回転伝達機構の他の実施形態を示す説明図。
【図5】図4の実施例のC−C線断面図。
【図6】本発明に係る回転伝達機構のさらに他の実施形態を示す説明図。
【図7】図6に示す回転伝達機構の制御フロー図。
【図8】従来の回転伝達機構を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0021】
図1に、本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図を示す。画像形成装置1は、主に原稿画像を読み取るイメージリーダ部10と、読み取った画像を印刷するプリンタ部20とから構成される。イメージリーダ部10は、不図示の原稿ガラス板の上に載置された原稿を、スキャナを移動して読み取る公知のものである。原稿画像は、赤(R)・緑(G)・青(B)の三色に色分解されて、不図示のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサにより電気信号に変換され、R・G・Bの画像データが得られる。
【0022】
イメージリーダ部10で得られた各色成分ごとの画像データは、制御部60において各種処理が行われた上、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換される。
【0023】
画像データは、制御部60内の画像メモリ61に各再現色ごとに記憶され、位置ズレ補正のための補正を受けた後、用紙の供給と同期して1走査ラインごとに読み出され、発光ダイオードの駆動信号となる。
【0024】
プリンタ部20は、電子写真方式により画像を形成するもので、中間転写ユニット30には、駆動ローラ31と従動ローラ32との間に中間転写ベルト33が張架され、従動ローラ32が図1の左方向にバネで付勢されることによって中間転写ベルト33に張力が与えられている。駆動ローラ31はモータ62によって図1において反時計回りに回転する。中間転写ベルト33を介して駆動ローラ31に圧接するように2次転写ローラ34がけられている。また、中間転写ベルト33を介して従動ローラ32に圧接するようにクリーニングブレード35が設けられ、中間転写ベルト33に残留したトナーが掻き取り除去される。そして、中間転写ベルト33から掻き取り除去されたトナーは廃トナーボックス38に収納される。
【0025】
中間転写ベルト33の下方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の作像部40Y、40M、40C、40K(以下、「作像部40」と記す総称することがある)が所定間隔で配置されている。色は異なるが同じ構成であるので、図1では作像部40Yの構成要素にのみ符号を付している。作像部40Yでは、感光体ドラム41Yの周囲に帯電チャージャ42Y、露光走査部43Y、現像器44Y、クリーニング部46Yが配置されている。そして、中間転写ベルト33を介して感光体ドラム41Yと対向する位置に1次転写ローラ45Yが設けられている。
【0026】
感光体ドラム41は帯電チャージャ42で表面が一様に帯電される。プリントする画像データは、メモリ61に格納された再現色ごとに位置ズレ補正の処理を受けた後、用紙52の供給と同期して1走査ラインごとに読み出され、露光走査部43の駆動信号となる。この露光を受けて感光体ドラム41の表面に静電潜像が形成される。次いで、静電潜像は現像器44でトナーにより顕像化される。
【0027】
感光体ドラム41Y表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト33が感光体ドラム41Yと1次転写ローラ45Yとの間を通過する時に中間転写ベルト33上に1次転写される。一方、給紙ローラ53によって給紙トレイ51から引き出された用紙52は、破線Aで示す搬送経路を通ってレジストローラ54に至る。次いで、用紙52は、レジストローラ54によって中間転写ベルト33の回転とタイミングを合わせて中間転写ベルト33と2次転写ローラ34とのニップ部に送られる。そして、用紙52が、中間転写ベルト33と2次転写ローラ34とのニップ部を通過する際に、中間転写ベルト33のトナー像が用紙52上に2次転写される。その後、用紙52は定着部56へ搬送され、ここで加熱・加圧されてトナー像が用紙52に定着される。
【0028】
このような画像形成装置1では、駆動ローラ31や2次転写ローラ34、給紙ローラ53、レジストローラ54など多数の回転駆動するローラが画像形成部や用紙搬送部に使われており、これらの回転駆動ローラはそれぞれ駆動源から回転駆動の伝達を受けている。そして、回転伝達手段として無端状ベルトとプーリとを組み合わせた手段が多く使われている。また駆動源としては、インナーブラシレスモータが近年多く使われつつある。インナーブラシレスモータは耐久性に優れるものの、イナーシャーが小さく回転軸にラジアル方向の荷重がかかると軸に撓みが生じ騒音が生じやすい。そこで、本発明に係る回転伝達機構が好適に用いられる。
【0029】
図2に、本発明に係る回転伝達機構の一例を示す概説図を示す。図2の回転伝達機構80では、駆動プーリ82と従動プーリ84との間に無端状ベルト85を架け渡し、駆動プーリ82と従動プーリ84との間の無端状ベルト85の下側に無端状ベルト85の張力を調整する張力調整手段100aが設けられている。
【0030】
張力調整手段100aは、ソレノイド103のプランジャ102の先端部にテンションプーリ101が回転自在に取り付けられてなる。プランジャ102はソレノイド本体から突出した第1位置とソレノイド本体に引き込まれた第2位置とに移動自在であり、プランジャ102に外挿された押しバネ104によって常に突出する方向に付勢されている。ソレノイド103に通電されると、プランジャ102は押しバネ104の付勢力に抗してソレノイド本体内に引き込まれ第2位置となる。プランジャ102が第1位置にあるときは、プランジャ102の先端部に取り付けられたテンションプーリ101が無端状ベルト85を押圧し無端状ベルト85に所定の張力を与える。一方、プランジャ10が第2位置にあるときは、テンションプーリ101は無端状ベルト85から離間し、テンションプーリ101によって与えられていた張力は解除される。
【0031】
このような回転伝達機構100aにおいて、駆動プーリ82が回転開始する時は、図2(a)に示すように、ソレノイド103に通電はされず、押しバネ104の付勢力によってプランジャ102は第1位置とされ、テンションプーリ101によって無端状ベルト85に所定の張力が与えられる。これにより、駆動プーリ82から従動プーリ84への回転伝達に応答遅れは生じない。そして、駆動プーリ82が所定の速度に達するとソレノイド103に通電がなされる。プランジャ102は第2位置となり、テンションプーリ101は無端状ベルト85から離間し、テンションプーリ101によって与えられていた張力は解除される。これにより、回転軸の撓みに起因する騒音が抑制される。なお、無端状ベルト85の張力が、駆動プーリ82が回転開始する時よりも回転中が低くなる限りにおいて、プランジャ102を第2位置としたときに、テンションプーリ101が無端状ベルト85に圧接していてもよい。
【0032】
図3に、以上説明した実施形態の制御フローチャートを示す。ステップS11で印刷開始指示があると、ステップS12で給紙モータが駆動する。このとき、ソレノイド103は無通電状態で、テンションプーリ101によって無端状ベルト85の張力はT1となっている。したがって、駆動プーリ82から従動プーリ84への回転伝達に応答遅れは生じない。そして、ステップS13で所定回転速度になったことが検知されると、ステップS14でソレノイド103に通電されテンションプーリ101が無端状ベルト85から離間し、テンションプーリ101による張力付与が解除され、無端状ベルトの張力はT1よりも低いT2となる。これにより回転軸の撓みに起因する騒音が抑制される。そして、ステップS15において印刷終了であれば、ステップS16でソレノイド103を無通電状態とし、無端状ベルト85の張力をT1にして待機状態とする。
【0033】
なお、待機状態においてソレノイド103に通電し、無端状ベルト85の張力をT2としても構わないが、待機状態が長時間となる場合には、省電力化の観点から待機状態ではソレノイド103を無通電するのが好ましい。
【0034】
本発明で用いる回転伝達機構の他の実施形態を図4及び図5に示す。図4は、回転伝達機構100bの正面図、図5は、図4のC−C線断面図である。棒状のレバー105の一方端にテンションプーリ101が軸109に回転自在に軸支され、もう一方端に球体107(図5に図示)が回転自在に取り付けられている。レバー105の略中央部には長孔105Aが形成され、基部108に形成された軸106に長穴105Aが係合されることによって、レバー105は基部108に揺動可能に取り付けられている。
【0035】
図4から理解されるように、軸109と軸106の間には引きバネ104が介装され、テンションプーリ101は無端状ベルト85を押圧する方向に常に付勢されている。また、球体107は、レバー105に一方端から従動プーリ84の方向に突出した円筒部105Bの凹部105Cに回転自在に保持され、従動プーリ84の側面に接触するように配置されている。そして、円筒部105Bは、基部108に形成されたガイド孔108Aに移動可能に嵌め入れられている。
【0036】
このような構成の回転伝達機構において、回転していないときは、図4(a)及び図5(a)に示すように、引きバネ104の付勢力によって、レバー105の円筒部105Bは、基部108のガイド孔108Aの左端に当接し、テンションプーリ101は無端状ベルト85に押圧し所定の張力が作用した状態が維持される。この状態で回転が始まるので、回転始動時において、駆動プーリ82から従動プーリ84への回転伝達に応答遅れは生じない。
【0037】
そして、従動プーリ84の回転開始すると、球体107に遠心力が働き、球体107は半径方向外方へ移動する。これによってレバー105の円筒部105Bがガイド孔108A内を右方向へ移動し、レバー105は、引きバネ104の付勢力に抗して時計回りに揺動する。ここで、遠心力による球体107の移動がより円滑になるようにするため、従動プーリ84の側面を半径方向外方に向かって傾斜する形状としてもよい(図5を参照)。レバー105が時計回りに揺動することによって、テンションプーリ101が無端状ベルト85から離れ、テンションプーリ101によって与えられていた張力が解除される。これにより、回転軸の撓みに起因する騒音が抑制される。なお、本実施形態の回転伝達機構では、従動プーリ84の回転速度に応じてテンションプーリ101の移動量が連続的に変化し、テンションプーリ101による無端状ベルトの張力も連続的に変化する。また、テンションプーリ101を離接させる機構は、駆動プーリ82側に設けてももちろん構わない。
【0038】
本発明で用いる回転伝達機構のさらに他の実施形態を図6に示す。図6に示す回転伝達機構100cでは、ラック部材111の上部にテンションプーリ101が回転自在に取り付けられ、ラック部材111の側面に形成された歯とピニオンギア114とが噛み合っている。そして、ピニオンギア114はステッピングモータ113で回動される。ステッピングモータ113によってピニオンギア114を正転・逆転させることによって、ラック部材111と共にテンションプーリ101が無端状ベルト85に対して接触・離間する方向移動し、無端状ベルト85に与える張力が調整される。
【0039】
図6(a)は回転開始時の状態であって、テンションプーリ101が無端状ベルト85に所定の張力を与えている。これにより、駆動プーリ82から従動プーリ84への回転伝達に応答遅れは生じない。同図(b)及び同図(c)は、それぞれ回転中の状態図であって、ステッピングモータ113によってピニオンギア114を逆転させてラック部材111を図の下方に移動させて、テンションプーリ101による無端状ベルト85への張力の付与を回転開始時よりも低くしている。同図(b)は、テンションプーリ101が無端状ベルト85をまだ押圧している状態で、同図(c)は、テンションプーリ101が無端状ベルト85から完全に離間した状態である。このように、無端状ベルト85の張力を回転開始時よりも回転中を低くすることにより、回転軸の撓みに起因する騒音が抑制される。
【0040】
図6に示す回転伝達機構では、テンションプーリ101による無端状ベルト85への張力付与の程度を変化させることもできるので、回転速度に応じてテンションプーリ101の移動量を変化させてもよい。例えば、回転速度が速い場合にはテンションプーリ101を無端状ベルト85から完全に離間させる一方、回転速度が遅い場合には図6(b)に示すように、回転開始時よりも低い張力を付与する範囲で、回転速度に対応させてテンションプーリ101による無端状ベルト85の押圧力を変化させるようにしてもよい。また、回転停止中は、テンションプーリ101による無端状ベルト85への張力の付与を回転開始時よりも低い状態とし、回転開始時に、テンションプーリ101による無端状ベルト85への張力の付与を最も高くするようにしてもよい。
【0041】
図7に、図6に示す回転伝達機構100cの制御フローを示す。ステップS21で印刷が指示されると、ステップS22で給紙モータが駆動を開始し、ステップS23で目標回転速度に達すると、ステップS24でテンションプーリ101が無端状ベルト85から離れる方向に移動し無端状ベルト85の張力が下げられる。前述のように、本実施形態の回転伝達機構100cでは、テンションプーリ101の移動量を連続的に変化させることができるので、回転速度に応じてテンションプーリ101を移動させる。なお、回転速度とテンションプーリ101の移動量との好適関係は実験等により予め設定しておく。印刷指示設定に高速印刷や高精細度印刷が混在している場合には、一連の画像形成途中で印刷速度が変化する場合があるので、ステップS25で回転速度の変更があれば、ステップS24に戻ってテンションプーリ101の移動量を変更して無端状ベルト85の張力を変更する。そして、回転速度が変更される度にこの操作を繰り返す。ステップS26で印刷が終了すると、ステップS27で無端状ベルトに最も高い張力T1をかけて待機状態とする。なお、印刷終了後に張力をT1よりも低いT2として待機状態としてももちろん構わない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の回転伝達機構では、無端状ベルトの張力を調整する張力調整手段を設けて、無端状ベルトの張力を回転始動時よりも回転中を低くするようにしたので、駆動プーリから従動プーリへの回転伝達の応答遅れを生じさせず且つ騒音を抑制でき有用である。
【符号の説明】
【0043】
80 回転伝達機構
82 駆動プーリ
84 従動プーリ
85 無端状ベルト
100a,100b,100c 張力調整手段
101 テンションプーリ
102 プランジャ
103 ソレノイド
104 引きバネ(付勢手段)
105 レバー
107 球体
108 基部
111 ラック部材
114 ピニオンギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動プーリと従動プーリとの間に無端状ベルトを架け渡して回転を伝達する回転伝達機構において、
前記無端状ベルトの張力を調整する張力調整手段を設け、前記無端状ベルトの張力を回転始動時よりも回転中を低くすることを特徴とする回転伝達機構。
【請求項2】
前記張力調整手段は、前記無端状ベルトの張力を回転速度によって変化させる手段である請求項1記載の回転伝達機構。
【請求項3】
回転停止中は、前記無端状ベルトの張力を回転始動時よりも低くする請求項1又は2記載の回転伝達機構。
【請求項4】
前記張力調整手段は、前記無端状ベルトに張力を与えるテンションプーリと、前記テンションプーリを前記無端状ベルトに対して離接させる離接機構とを有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の回転伝達機構。
【請求項5】
前記離接機構が、ソレノイドを用いるものである請求項4記載の回転伝達機構。
【請求項6】
前記離接機構が、ラックとピニオンギアとを用いるものである請求項4記載の回転伝達機構。
【請求項7】
前記離接機構が、一方端にテンションプーリを回転自在に軸支し、他方端に駆動プーリ又は従動プーリの一方の側面と接触する球体を回転自在に支持する棒状のレバーと、前記レバーを移動自在に支持する基部と、前記テンションプーリを前記無端状ベルトに接触させる方向に付勢する付勢部材とを備え、
前記の駆動プーリ又は従動プーリが回転することによって、前記球体が半径方向外方へ遠心力で移動し、前記テンションプーリが前記無端状ベルトから離れる方向に移動する機構である請求項4記載の回転伝達機構。
【請求項8】
駆動プーリと従動プーリとの間に無端状ベルトを架け渡して、画像形成部及び用紙搬送部の少なくとも一方に駆動源からの回転を伝達する画像形成装置において、
回転伝達機構として、請求項1〜7のいずれかに記載の回転伝達機構を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−145179(P2012−145179A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4764(P2011−4764)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】