説明

回転体冷却治具及び氷結層生成装置

【課題】車輪やブレーキディスク等の回転体を所望の氷点下温度まで低コストで安全かつ容易に冷却することが可能な回転体冷却治具及び回転体への氷結層生成装置を提供する。
【解決手段】軸線O1を略水平方向に一致させて回転可能に支持された鉄道用車輪100を冷却する回転体冷却治具10であって、開口が鉄道用車輪100の外周面101に臨むように支持されて、内部に冷却材が導入される冷却材収容部17を設け、冷却材として、ビーズ状をなすドライアイスCを使用し、該ドライアイスCが外周面上100に保持されるように、開口の開口縁部17aを前記外周面に沿った形状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道車両における車輪やブレーキディスクのブレーキ試験の際に使用される、これら車輪やブレーキディスク等の回転体の冷却装置及び該回転体への氷結層生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両には、車輪がモータやエンジンで駆動される動力台車のみの動力車両と、この動力車両に推進又は牽引されて自身では駆動を有しない付随車両とがあり、これら車両のいずれにもブレーキ装置が装備されている。
この鉄道車両用のブレーキ装置としては、例えば、車輪の前後両側から踏面に制輪子を押し付ける方式の踏面ブレーキや、特殊鋳鉄製の円盤からなるブレーキディスクの両側を合成樹脂や焼結合金製の制輪子で挟んで制動するディスクブレーキが知られている。
【0003】
ところで、従来、上記踏面ブレーキを装備した鉄道車両を寒冷地で走行させた場合、ブレーキ距離が延伸してしまうという問題があった。この延伸現象は、鉄道車両の走行中に車輪及び制輪子に氷結層が付着及び介在することにより、摩擦係数が著しく低下することに起因する。
【0004】
これに対し、氷結層を除去可能として寒冷地に適したブレーキ装置が、例えば特許文献1に開示されている。
このブレーキ装置においては、車輪と制輪子とが氷結している場合に、電磁弁を作動させてブレーキシリンダ内の空気を急速に放出する。そして、この放出の際に生じる衝撃力により、車輪と制輪子が引き離し、これら車輪と制輪子との間に凝固した氷結が除去される。
【0005】
ここで、上記のような氷結層に対応した踏面ブレーキあるいはディスクブレーキの研究開発に当たっては、実際の寒冷地における現車ブレーキ試験の前段階として、車輪、制輪子又はブレーキディスクのみを用いた室内でのブレーキ試験を行うことが通常である。そのため、従来は、擬似的な氷結層として、液体窒素、低温水及び圧縮空気を混合した人工雪を生成し、これを車輪、制輪子、ブレーキディスクに吹き付けることで寒冷地におけるブレーキ状態を作り出し、ブレーキ試験を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−255429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような人工雪を吹き付けた状態でブレーキ試験を行った場合、人工雪では付着せず氷点下に達しないため、氷結層とではその性質が異なり、実際の現車において氷結層が付着した状態とは条件が異なってしまい、寒冷地におけるブレーキ状態を正確に再現することができない。
そこで、本発明者らが氷結層の生成メカニズムを究明してその生成方法を検討したところ、氷結層の付着対象である車輪、制輪子あるいはブレーキディスクを例えば−30℃以下の氷点下温度まで十分に冷却し、その後これらの表面に水分を噴霧することで、寒冷地における現車と寸分違わぬ氷結層を生成可能であることがわかった。
【0008】
ここで、上記車輪、制輪子あるいはブレーキディスクを冷却するに当たっては、繰り返し行われるブレーキ試験の性質上短時間で冷却可能であるとともに低コストで経済的な負担が少ないことが望まれる。ところが、特に鉄道用車輪及びブレーキディスクを冷却する場合には、それ自身のサイズが大きいことから、短時間かつ低コストでの冷却を実現することは難しい。
例えば、冷媒として液体窒素を用いた場合、熱容量が小さいため冷却効果が小さく、所望の氷点下温度まで冷却することは困難である。したがって、コスト高につながり、また、当該液体窒素は極低温冷媒のため安全性の面からも好ましくない。
一方、大型の冷凍機を用いて車輪及びブレーキディスク全体を冷却する方法も考えられるが、設備投資が必要な上、冷却毎のコストも高くなり、やはりブレーキ試験の際に使用するには不向きである。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、車輪やブレーキディスク等の回転体を所望の氷点下温度まで低コストで安全かつ容易に冷却することが可能な回転体冷却治具、並びに、回転体への氷結層生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る回転体冷却治具は、回転可能に支持された回転体を冷却する回転体冷却治具であって、開口が前記回転体の外周面に臨むように支持されて、該開口の上方に冷却材が導入される冷却材収容部を備え、前記冷却材として、ビーズ状をなす昇華性の固体冷却材が使用され、該固体冷却材が前記外周面上に保持されるように、前記開口の開口縁部を前記外周面に沿った形状としたことを特徴とする。
【0011】
このような特徴の回転体冷却治具によれば、冷却材収容部の開口が回転体の外周面に臨むことから、該冷却材収容部に導入された固体冷却材を回転体の外周面の一部に直接的に接触させることができる。また、冷却材収容部の開口縁部は、固体冷却材が回転体の外周面上に保持されるように該外周面に沿った形状をしているため、固体冷却材が外周面から落下してしまうことはなく、さらに回転体が回転した際であっても固体冷却材を該回転体の外周面上に接触させた状態を維持することができる。したがって、回転体を回転させると、冷却材収容部内の固体冷却材が回転体の外周面に順次接触することになるため、小量の固体冷却材でもって外周面全体を効率的に冷却することができる。
また、該固体冷却材がビーズ上に形成されており曲面上をなす回転体の外周面との接触面積を大きく確保することができるため、回転体の外周面を効率的に冷却することができ、高い冷却効果を得ることが可能となる。さらに、昇華して直接的に気体となる固体冷却材を使用しているため、回転体自体を水分を含まないドライな状態で冷却することができ、このように冷却された回転体に水を供給することにより寒冷地における氷結層と同等のものを生成することができる。
なお、冷却材収容部の開口縁部は、回転体の外周面に接触して該回転体が回転した際に外周面に摺接する構成であってもよいし、回転体の外周面と僅かなクリアランスを介して対向した構成であってもよい。また、ビーズ状とは、粒径5〜10mm程の粒形状をいう。
【0012】
また、本発明に係る回転体冷却治具においては、前記回転体の外周面に向かって前記固体冷却材を押し付ける加圧手段が設けられたことを特徴としている。
【0013】
このような特徴の回転体冷却治具によれば、固体冷却材を回転体の外周面に向かって押し付けることにより、該外周面と固体冷却材とを密着させてこれらの接触面積を増大させることができる。これによって、回転体をより効率的に冷却することができる。
また、固体冷却材は回転体の外周面のみならず外部の熱を吸収してしまい徐々に昇華してしまうが、上記のように回転体の外周面に向かって押圧すれば、該外周面に対する冷却への寄与を大きくすることができる。
【0014】
さらに、本発明に係る回転体冷却治具は、前記加圧手段が、前記固体冷却材を上方から押圧する押圧部材であって、前記押圧部材に断熱材が備えられていることを特徴とする。
【0015】
これにより、冷却材収容部内に収容される固体冷却材と外部との断熱性を向上させることができるため、回転体の外周面からの熱吸収の寄与を大きくして、より効果的に回転体を冷却することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る回転体冷却治具においては、前記回転体が鉄道用車輪であって、前記冷却材収容部の前記開口縁部が、前記鉄道用車輪の外周面にあたる踏面及びフランジ部の形状に沿って形成されていることを特徴としている。
【0017】
このような特徴の回転体冷却治具によれば、鉄道車輪を回転させると該鉄道車輪の踏面及びフランジ部が冷却材収容部内の固体冷却材に順次接触することになるため、小量の固体冷却材でもって踏面及びフランジ部全体を効率的に冷却することができる。そして、このように冷却された踏面及びフランジ部に水を噴霧すれば、寒冷地における氷結層と同様の氷結層を生成することができ、現車に即したブレーキ試験を行うことが可能となる。
【0018】
さらに、本発明に係る回転体冷却治具においては、筒状をなして前記鉄道用車輪を上方から覆う筐体を備え、前記冷却材収容部が前記筐体の内側に設けられていることを特徴としている。
【0019】
このような特徴の回転体冷却治具によれば、筐体の内側に冷却材収容部を設けることで、該冷却材収容部の開口縁部が回転体の外周面に望むように冷却材収容部を適切に配置することができる。また、冷却材収容部内に収容される固体冷却材と外部との断熱性を向上させることが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る回転体冷却治具においては、前記回転体が、その内部に径方向に沿って延びる放熱用のフィンを複数備えるとともにこれらフィン間に前記回転体の外周面と内周面とを連通する連通路が形成された鉄道用ブレーキディスクであって、前記回転体の外周面全域を覆う外周カバーと、前記回転体の内周面全域を覆う内周カバーとが設けられ、前記外周カバーは、回転不能に固定されて、前記回転体が回転する際に該回転体の外周面と摺接し、前記冷却材収容部の前記開口縁部が前記外周カバーに形成された切抜部に接続されていることを特徴とする。
【0021】
このような特徴の回転体冷却治具によれば、冷却材収容部に導入された固体冷却材は、冷却材収容部の開口及び外周カバーの切抜部を介して鉄道用ブレーキディスクの外周面及び内部のフィン間の連通路に接触する。そして、この固体冷却材が、回転体の回転に伴って該回転体の外周面全域及び連通路内に漸次接触していくことになるので、小量の固体冷却材でもってブレーキディスクの外周面を効率的に冷却することができる。
そして、外周面が冷却されたブレーキディスクは自身の熱伝導によって、該ブレーキディスクの軸方向両端面であるディスク面も冷却される。このように冷却されたディスク面に水を噴霧すれば、寒冷地における氷結層と同様の氷結層を生成することができ、現車に即したブレーキ試験を行うことが可能となる。
なお、当該鉄道用ブレーキディスクには外周面と内周面とを連通する連通孔が形成されていることから、当該連通孔に固体冷却材が入り込むが、外周面を覆う外周カバー及び内周面を覆う内周カバーによって該固体冷却材が鉄道用ブレーキディスク外に落下してしまうことはないため、固体冷却材を有効に活用してブレーキディスクを効率的に冷却することが可能となる。
【0022】
また、本発明に係る回転体冷却治具においては、前記固体冷却材がドライアイスであることを特徴としている。
【0023】
固体冷却材として、安全で安価かつ容易に入手可能なドライアイスを使用することで、冷却コストをさらに低減させることができる。また、ドライアイスは、液体窒素等の他の冷却材に比べて冷却効果が高いため、効率よく回転体の冷却を行うことが可能となる。
【0024】
本発明に係る氷結層生成装置は、前記回転体の表面に氷結層を生成する氷結層生成装置であって、上記いずれかの回転体冷却治具と、前記冷却材により冷却された前記回転体の表面に水を噴霧する水分供給手段が設けられたことを特徴としている。
【0025】
このような特徴の氷結層生成装置によれば、上記回転冷却治具を用いて回転体を氷点下温度まで冷却して、回転体の表面に水を噴霧することによって、短時間かつ容易に回転体表面に寒冷地の氷結層を生成することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の回転体冷却治具及び氷結層生成装置によれば、ビーズ状の固体冷却材を回転体の外周面に接触させて、この接触状態が該回転体を回転させた場合であっても保持されるように構成したことで、鉄道用車輪やブレーキディスク等の回転体を所望の氷点下温度まで容易かつ低コストに冷却することができる。言い換えれば、ビーズ状をなす固体冷却材を使用すること、回転体の外周面に固体冷却材を接触可能であること、固体冷却材を回転体の外周面に保持した状態で該回転体を回転可能であることの3つの条件が満たされることによって初めて、回転体の外周面を容易かつ低コストに、寒冷地の氷結層を生成可能な状態まで冷却することができるのである。
そして、このように冷却された回転体に水を噴霧することで、寒冷地で発生する氷結層と変わらない氷結層を容易に生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る回転体冷却治具及び氷結層生成装置の模式縦断面図である。
【図2】鉄道用車輪の(a)正面図及び(b)側面図である。
【図3】第1実施形態の回転体冷却治具の透過斜視図である。
【図4】回転体冷却治具を鉄道用車輪上に配設した状態における、筐体本体の上方からの筐体本体内部の矢視図である。
【図5】第2実施形態に係る回転体冷却治具の側面図である。
【図6】第2実施形態に係る回転体冷却治具の模式縦断面図である。
【図7】鉄道用ブレーキディスクの(a)斜視図及び(b)一部の透過側面図である。
【図8】第2実施形態の回転体冷却治具の分解斜視図である。
【図9】第1実施形態の変形例に係る回転体冷却治具及び氷結層生成装置の模式縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る回転体冷却治具及び氷結層生成装置の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は実施形態に係る回転体冷却治具及び氷結層生成装置の模式縦断面図である。本実施形態の氷結層生成装置1は、回転体冷却治具10によって氷点下温度まで冷却した鉄道用車輪100に水分供給手段30により水を噴霧することで鉄道用車輪100表面に氷結層を生成する装置である。このように氷結層が生成された鉄道用車輪100は、寒冷地を想定したブレーキ試験に供される。
【0029】
鉄道用車輪100は、図2に示すように、軸線O1回りに回転する略円盤状をなしており、鉄道用レールと回転接触して該レール上を転動する鉄道用部材である。この鉄道用車輪100の外周面101は、レールの頭頂面と接触して摩擦抵抗を受ける踏面102と、該踏面102よりも径が大きく形成されたフランジ部103とから構成されている。上記、踏面102は、鉄道用車輪100の一方側の端面に向かうにしたがって僅かに縮径するテーパ状をなしており、フランジ部103は、この踏面102に連続するように湾曲して他方側の端面に至るように形成されている。
【0030】
そして、鉄道車両が直線部を通過する際には外周面101のうち踏面102がレールの頭頂面に接触して摩擦抵抗を受け、また、曲線部を通過する際にはフランジ部103及び該フランジ部103と踏面102との遷移領域が外軌側のレールの頭側面と接触して摩擦抵抗を受けるようになっている。
なお、踏面ブレーキの場合には、上記踏面102に図示しない制輪子を当接させて制動を行なう。したがって、ブレーキ試験を行うに当たっては、鉄道用車輪100の外周面のうち主に踏面102に氷結層を生成して試験を行うことになる。また、鉄道用車輪100に氷結層が生成された場合のレールとの粘着性を確認する試験に当たっては、鉄道用車輪100の外周面101全体に氷結層を生成して試験を行う。
【0031】
氷結層生成装置1により氷結層を生成する際には、図1に示すように、鉄道用車輪100をその軸線O1が略水平方向に一致するように回転可能に支持する。なお、図1においては、鉄道用車輪100の支持構成について図示を省略しているが、例えば、鉄道用車輪100を軸線O1に沿って延びる輪軸に固定し、該輪軸の両端を軸受装置で支持すればよい。
【0032】
回転体冷却治具10は、上記鉄道用車輪100を例えば−30度以下の氷点下温度まで冷却するために用いられ、詳しくは図3に示すように、筐体11と、該筐体11内に設置された一対の傾斜板15,15及び湾曲板16とから構成されており、筐体11の内部に冷却材が収容される冷却材収容部17が設けられている。
【0033】
筐体11は、上記のように回転可能に支持された鉄道用車輪100の上部を覆うためのものであり、筐体本体12と、一対の支持バー13と、蓋部材14とから構成されている。
【0034】
筐体本体12は、4つの側壁20から形成された上端及び下端が開口する矩形筒状をなしている。これら4つの側壁20のうち水平断面視長方形の長辺を構成する一対の側壁20a,20bの水平方向の長さは、鉄道用車輪100の最大直径(フランジ部103の最大外径)よりも僅かに短い程度とされており、短辺を構成する一対の側壁20c,20dの水平方向の長さは、図4に示すように、鉄道用車輪100の軸線O1方向の厚みよりも長く形成されている。
なお、以下、該筐体本体12の水平断面視における長方形の長辺が延びる方向を長手方向、短辺が延びる方向を短手方向と称する。
【0035】
筐体支持バー13は、上記筐体本体12の下部において短手方向に沿った側壁20c,20dにそれぞれ固定されたバー状の部材であって、筐体本体12を支持するために設けられている。即ち、この筐体支持バー13は、その両端側が図示しない台座等に載置され、これにより、筐体本体12が、回転可能に支持された鉄道用車輪100の上部を覆うように配置されることとなる。
【0036】
蓋部材14は、上記筐体本体12の上端側の開口を覆う部材であって、その上面には、冷却材を筐体11内、即ち冷却材収容部17内に導入するための導入部14aが設けられている。
【0037】
傾斜板15,15は、図3及び図4に示すように、筐体本体12内側の長手方向両端側において、該長手方向に沿った一対の側壁20a,20bに亙って配置された略矩形板状をなす部材であって、それぞれ短手方向に沿った側板20c,20dから長手方向に沿って互いに近接するに従って漸次下方に傾斜するように延びている。
また、これら傾斜板15,15の傾斜の下端側に位置して、長手方向に沿った一対の側板20a、20b間に亙る先端縁部21は、それぞれ上記鉄道用車輪100の外周面101に沿った形状をなしている。即ち、この先端縁部21は、踏面102に沿って直線的に延びる直線部21aと、該直線部21aに連続してフランジ部103に沿って湾曲した曲線部21bとから構成されている。なお、上記直線部21aは、長手方向に沿った一対の側壁20a,20bのうち一方側の側壁20a側に位置し、上記曲線部21bは、他方側の側壁20b側に位置している。
【0038】
湾曲板16は、図3及び図4に示すように、一定幅で円弧状に湾曲して延びる板状の部材であって、板面が上下方向を向くようにして、長手方向に沿った一対の側壁20a,20bのうち上記一方側の側壁20aに固定されており、この湾曲板16の両端部は、上記一対の傾斜板15,15における先端縁部21の直線部21aに接続されている。
また、この湾曲板16の曲率は、鉄道用車輪100の踏面102の曲率と等しくされており、さらに、湾曲板16と長手方向に沿った他方側の側壁20bとの間隔、即ち湾曲板16の湾曲縁部16aと側壁20bとの水平方向距離は、鉄道用車輪100の軸線O1方向の厚みと略同一か僅かに小さい程度となるように設定されている。
【0039】
このような一対の傾斜板15,15と湾曲板16及び筐体本体12の内壁面とによって、筐体本体12内の上部に冷却材収容部17が区画形成されている。即ち、筐体本体12内における一対の傾斜板15,15及び湾曲板16を境界とした上側の部分が、冷却材が収容される冷却材収容部17とされているのである。
【0040】
そして、一対の傾斜板15,15の先端縁部21,21と湾曲板16の湾曲縁部16aとを開口縁部17aとして、冷却材収容部17の下端側に開口が形成されている。よって、この下端側の開口は下方を向くことになり、即ち、鉄道用車輪100の外周面101を臨むことになる。
【0041】
このような冷却材収容部17に収容される冷却材としては、ビーズ状をなし昇華性のある固体冷却材が用いられ、本実施形態ではこの条件を満たす固体冷却材として粒径5〜10mmのドライアイスCが用いられている。なお、この固体冷却材としては、低温かつ昇華性を有するビーズ状の形状をなすものであれば、例えば固体ネオン等の他のものであっても採用することが可能である。
【0042】
ここで、筐体11によって鉄道用車輪100を上方から覆う際には、図4に示すように、筐体本体12の短手方向を鉄道用車輪100の軸線O1方向に一致させ、該筐体本体12の長手方向が鉄道用車輪100の直径方向となるように、かつ、鉄道用車輪100のフランジ部103側の端面が筐体本体12の長手方向に沿った他方側の側壁20bに当接するように、筐体11を鉄道用車輪100に被せる。
【0043】
この状態で筐体11を降下させていくと、一対の傾斜板15がそれぞれ外周面101に沿った形状、即ち、踏面102に沿った直線部21aとフランジ部103に沿った曲線部21bとから構成されているため、図4に示すように、傾斜板15の先端縁部21は鉄道用車輪100の外周面101に沿って配置されることになる。なお、この際、傾斜板15,15の先端縁部21と鉄道用車輪100とが接触する構成であってもよいし、これらが僅かなクリアランスを介して対向する構成であってもよい。
そして、これと同時に、湾曲板16は鉄道用車輪100の踏面102と同様の曲率にて円弧状に屈曲しているため、当該湾曲板16が鉄道用車輪100の踏面102の端面側の縁部に沿って配置される。この場合においても、湾曲板16と鉄道用車輪100の踏面102が接触してもよいし、僅かなクリアランスを介して対向してもよい。
【0044】
このようにして、上記傾斜板15,15の先端縁部21と湾曲板16の湾曲縁部16aとからなる冷却材収容部17の開口縁部17aは、鉄道用車輪100の外周面101に沿って配置されている。したがって、冷却材収容部17にドライアイスCが収容された際には、該ドライアイスCが鉄道用車輪100の外周面101上に保持されることになる。
【0045】
水分供給手段30は、本実施形態においては、図1に示すように、回転体冷却治具10の下部において鉄道用車輪100の外周面101に水分をノズルによって噴霧する構成とされている。なお、この水分供給手段30は、回転体冷却治具10から見て鉄道用車輪100の回転方向前方側に配置されていることが好ましい。
さらに、水分供給手段30としては、外周面101のみならず、鉄道用車輪100の端面等の外周面101以外の部分にも水分を供給できる構成であってもよい。
【0046】
次に、以上のような構成の氷結層生成装置1によって回転体としての鉄道用車輪100を冷却して氷結層を生成する方法について図1を用いて説明する。
まず、上述したように、鉄道用車輪100をその軸線O1を水平方向に略一致させて回転可能に支持した後に、該鉄道用車輪100の上方から筐体11を被せるようにして回転体冷却治具10を設置する。そして、筐体11の蓋部材14における導入部14aからドライアイスCを筐体本体12内部に導入する。
【0047】
筐体本体12内部に導入されたドライアイスCは、冷却材収容部17に収容される。この際、冷却材収容部17の開口縁部17aが鉄道用車輪100の外周面101に沿った形状をなしており、該下端開口を鉄道用車輪100の外周面101が閉塞した状態とされていることから、ドライアイスCが冷却材収容部17から落下することはない。したがって、冷却材収容部17内に収容されたドライアイスCは鉄道用車輪100の外周面101上、即ち、踏面102及びフランジ部103上に保持される。
【0048】
この状態においては、鉄道用車輪100の外周面101における冷却材収容部17内に臨む部分がビーズ状のドライアイスCに接触して冷却される。また、このドライアイスCは昇華し、液体になることはないため、外周面101を水分を含むことなくドライな状態で冷却することができる。なお、ドライアイスCによる冷却の際には、例えば、筐体11の導入部14aから棒状の部材を挿入して、ドライアイスCを攪拌することが好ましい。これによって、ドライアイスCによる上記外周面101の冷却が促され、効率的な冷却を行うことができる。また、上記棒状の部材でドライアイスCを外周面101に向かって押圧してもよく、これにより一層効率的に冷却を行うことができる。
【0049】
このような鉄道用車輪100の外周面101の冷却は、鉄道用車輪100を例えば3rpm程度の回転速度で回転させながら行なわれる。これにより、鉄道用車輪100の外周面101全体が順次冷却される。また、冷却材収容部17の開口縁部17aが鉄道用車輪100の外周面101に沿った形状をなしているため、該鉄道用車輪100を回転させようとも開口縁部17aに当該回転が妨げられることはない。
【0050】
そして、鉄道用車輪100の外周面101がドライアイスCによって冷却された後、水分供給手段30によって外周面101に水が噴霧される。これにより、鉄道用車輪100の外周面101表面にて水が冷却されて凝固し、該外周面101に氷結層が生成される。このように氷結層が生成された鉄道用車輪100が、寒冷地を想定したブレーキ試験又はその他の試験に供される。
【0051】
ここで、本実施形態の氷結層生成装置1の回転体冷却治具10においては、冷却材収容部17の開口が鉄道用車輪100の外周面101に臨むように配置されることから、該冷却材収容部17に導入されたドライアイスCを鉄道用車輪100の外周面101に直接的に接触させることができ、冷却効果を高く確保することが可能となる。
【0052】
また、冷却材収容部17の開口縁部17aは、ドライアイスCが外周面101上に保持されるように該外周面101に沿った形状をしているため、ドライアイスCが外周面101から落下してしまうことはない。さらに、鉄道用車輪100が回転した際であってもドライアイスCを該鉄道用車輪100の外周面101上に接触させた状態を維持することができる。したがって、鉄道用車輪100を回転させると、冷却材収容部17内のドライアイスCを鉄道用車輪100の外周面101に順次接触させることができるため、小量のドライアイスCでもって外周面101全体を効率的に冷却することができる。
【0053】
また、冷却材として液体・気体に比べて冷却効果の高いドライアイスCが用いられ、さらに、該ドライアイスCがビーズ状に形成されており曲面上をなす鉄道用車輪100の外周面101との接触面積を大きく確保することができるため、高い冷却効果を得ることが可能となる。さらに、ドライアイスCは、溶融して液体になるのではなく、昇華して直接的に気体となるため、鉄道用車輪100自体を水分を含まないドライな状態で冷却することができる。また、ドライアイスCは安全で安価で容易に入手することができるため、鉄道用車輪100を−30℃以下の氷点下まで低コストで確実に冷却することができる。
【0054】
なお、本実施形態においては、傾斜板15,15が傾斜していることから、冷却材収容部17内に収容された多数のドライアイスCの自重は鉄道用車輪100の外周面101に集中し易くなる。これによっても、ドライアイスCによる冷却効果を向上させることができる。
【0055】
そして、このように冷却された鉄道用車輪100に水分供給手段30により水を噴霧することで、鉄道用車輪100の表面、特に外周面101に、寒冷地におけるのと同様の氷結層を生成することができる。
【0056】
以上のように、本実施形態の氷結層生成装置1及び回転体冷却治具10によれば、ビーズ状のドライアイスCを鉄道用車輪100の外周面101の一部に直接的に接触させて、この接触状態が鉄道用車輪100を回転させた場合であっても外周面101上に保持されるように構成されているため、鉄道用車輪100の外周面全体を所望の氷点下温度まで容易かつ低コストに冷却することができる。また、寒冷地で発生する氷結層と変わらない氷結層を確実に生成することができため、寒冷地における現車に即したブレーキ試験を行うことが可能となる。
【0057】
また、特に本実施形態においては、筐体本体12の内側に冷却材収容部17が設けられているため、該冷却材収容部17の開口縁部17aを鉄道用車輪100の外周面101に臨むように冷却材収容部17を適切に配置することができる。また、冷却材収容部17内に収容されるドライアイスCと外部との断熱性を向上させることができるため、ドライアイスCによる冷却効果をより一層高めることができる。
【0058】
次に第2実施形態の回転体冷却治具40について、図面を参照して説明する。
図5は第2実施形態に係る回転体冷却治具の模式側面図、図6は第2実施形態に係る回転体冷却治具の模式縦断面図である。本実施形態の回転体冷却治具40は、寒冷地を想定したブレーキ試験に供される鉄道用ブレーキディスク110を冷却するために使用される。
【0059】
鉄道用ブレーキディスク110は、図7に示すように、軸線O2回りに回転する略円盤状をなしており、鉄道用車輪100が取り付けられた輪軸に固定され、両側端面がディスク面111,111とされている。
この鉄道用ブレーキディスク110は、両ディスク面111,111に軸線O2を中心とした環状凹部112が形成されており、該環状凹部112の径方向内側を向く内周面113と鉄道用ブレーキディスク110の外周面114とが連通状態となるように、放射状に複数の連通路115が形成されている。これにより、鉄道用ブレーキディスク110の内部には、放熱用のフィン116が複数放射状に配置されることになる。
換言すれば、この鉄道用ブレーキディスク110は、その内部に径方向に沿って延びるフィン116を複数備え、これらフィン116間に外周面114と内周面113とを連通する連通路115が形成されているのである。
【0060】
このような鉄道用ブレーキディスク110は、ブレーキの際にディスク面111,111を制輪子で挟むことにより制動が行われる。したがって、ブレーキ試験を行うに当たっては、鉄道用ブレーキディスク110の外周面114のうち主にディスク面111,111に氷結層を生成して試験を行うことになる。よって、本実施形態の回転体冷却治具40により、特に両ディスク面111,111を冷却する必要がある。
【0061】
本実施形態の回転体冷却治具40は、軸線O2を略水平方向に一致させて回転可能に支持された鉄道用ブレーキディスク110を例えば−30度以下の氷点下温度まで冷却するために用いられ、詳しくは図8に示すように、外周カバー50と、一対の内周カバー60と、開口を備えた冷却材収容部70とから構成されている。
【0062】
外周カバー50は、鉄道用ブレーキディスク110の外周面114の全域を覆う部材であって、該鉄道用ブレーキディスク110の外周面114の軸線O2方向の厚みと略同一幅の帯状をなして、外周面114に沿って湾曲して該外周面114の上半分を覆う上部カバー51と、同じく外周面114に沿って湾曲して該外周面114の下半分を覆う下部カバー52との2つの部材から構成されている。
【0063】
上記上部カバー51は、その頂部に冷却材収容部70の開口が接続される切抜部53が形成されており、また、側部には外周側に向かって延びる固定用取っ手54が設けられている。
【0064】
また、上部カバー51及び下部カバー52のそれぞれには、幅方向両端側から湾曲の内側に向かって、即ち、鉄道用ブレーキディスク110の径方向内側に向かって延びる固定リブ55が複数設けられている。これら固定リブ55が鉄道用ブレーキディスク110の両ディスク面111,111に当接して軸線O2方向から支持することにより、これら上部カバー51及び下部カバー52と鉄道用ブレーキディスク110とが固定一体化される。
なお、これら上部カバー51及び下部カバー52における鉄道用ブレーキディスク110の外周面114との接触面は、該外周面114との摺接し易くなるように平滑な湾曲面とされていることが好ましい。
【0065】
内周カバー60は、鉄道用ブレーキディスク110の両ディスク面111,111に形成された環状凹部112の内周面113の全域をそれぞれ覆う部材であって、環状凹部112の深さと略同一寸法の幅を有する2つの帯状部材61,61が連結部材62にて連結されることにより構成されている。
【0066】
そして、これら外周カバー50及び一対の内周カバー60を鉄道用ブレーキディスク110に取り付けることによって、該鉄道用ブレーキディスク110の外周面114及び内周面113が覆われ、これら外周面114と内周面113とを連通する連通路115の両端が閉塞される。
【0067】
冷却材収容部70は、本実施形態においては、上下方向が貫通する筒型状をなしており、より詳細には、下方に向かって外形寸法が小さくなる略ホッパー形状をなしている。そして、その開口の開口縁部71は鉄道用ブレーキディスク110の外周面114に沿った形状をなしており、該開口縁部71が上記外周カバー50における上部カバー51の切抜部53に接続されるようにして、冷却材収容部70が外周カバー50に固定されている。また、これによって、冷却材収容部70の開口縁部71が鉄道用ブレーキディスク110の外周面に臨むことになる。
さらに、このような冷却材収容部70に導入される冷却材としては、第1実施形態と同様に昇華性を備えたビーズ状の例えばドライアイスCが用いられる。また、第1実施形態と同様に、固体ネオン等の他の固体冷却材を用いてもよい。
【0068】
以上のような構成の第2実施形態の回転体冷却治具40において鉄道用ブレーキディスク110を冷却するには、図1に示すように、冷却材収容部70にドライアイスCを導入する。これにより、該ドライアイスCが鉄道用ブレーキディスク110の外周面114に接触する。この際、冷却材収容部70の開口縁部71が上記外周面114に沿った形状をなしているため、ドライアイスCは外周面114上に保持される。また、このドライアイスCの一部は外周面114と内周面とを連通する連通路115内に入り込む。
【0069】
次に、外周カバー50に設けられた固定用取っ手54を把持した状態で鉄道用ブレーキディスク110を回転させる。すると、外周カバー50と鉄道用ブレーキディスク110とが摺接しながら該鉄道用ブレーキディスク110と内周カバー60とが一体的に回転する。この際、上記冷却材収容部70の開口の開口縁部71が外周面114に沿った形状をなしているため、当該鉄道用ブレーキディスク110の回転が冷却材収容部70によって妨げられることはない。したがって、この鉄道用ブレーキディスク110の回転によって、鉄道用ブレーキディスク110の外周面114全体がドライアイスCによって順次氷点下温度まで冷却される。さらに、連通路115内に入りこんだドライアイスCにより、鉄道用ブレーキディスク110はその内部からも冷却される。
【0070】
また、このように外周面114が氷点下温度まで冷却されることにより、鉄道用ブレーキディスク110の自身の熱伝導によってそのディスク面111,111も氷点下温度まで冷却される。そして、このディスク面111,111に例えば第1実施形態と同様の水分供給手段30により水を噴霧することにより、ディスク面111,111上に氷結層が生成され、寒冷地を想定したブレーキ試験に供することができる。
【0071】
ここで、本実施形態の回転体冷却治具40においては、冷却材収容部70の開口縁部71が鉄道用ブレーキディスク110の外周面114に臨むように配置されることから、該冷却材収容部70に導入されたドライアイスCを上記外周面114に直接的に接触させて冷却効果を高く確保することができる。また、このドライアイスCを外周面114に保持しながら回転させることができるため、外周面114全域を効率よく冷却することができる。さらにまた、ビーズ状をなす昇華性のドライアイスCを用いたことにより、ドライな状態を維持しながらディスク面111,111所望の氷点下温度まで冷却することができ、このようなディスク面111,111に水を噴霧することにより、寒冷地におけるのと同様の氷結層を生成することができる。
【0072】
また、連通路115内に入り込んだドライアイスCは、外周面114を覆う外周カバー50及び内周面113を覆う内周カバー60によって連通路115内に保持されるため、該ドライアイスCが落下してしまうことはない。よって、ドライアイスCを有効に活用して鉄道用ブレーキディスク110の内部から効率的に冷却することが可能となる。
【0073】
また、冷却材収容部70が上記ホッパー形状をなしているため、冷却材収容部70内に収容された多数のドライアイスCの自重が鉄道用ブレーキディスク110の外周面114に集中し易くなり、ドライアイスCによる冷却効果を向上させることができる。
【0074】
さらに、第2実施形態の回転体冷却治具40においても、第1実施形態と同様に、冷却材収容部70内のドライアイスCを攪拌することが好ましい。これによって、ドライアイスCによる上記外周面114の冷却が促され、より効率的な冷却を行うことができる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0076】
例えば、第1実施形態の変形例として、図9に示すように、冷却材収容部17内に収容された多数のドライアイスCを鉄道用車輪100の外周面101に向かって押し付ける重石部材(加圧手段)80が設けられていてもよい。
この重石部材80によってドライアイスCを押圧することにより、鉄道用車輪100の外周面101とドライアイスCとを密着させて、これらの接触面積を増大されることができるこれによって、ドライアイスCによる冷却効果を向上させてより効率的に冷却することができる。これにより、短時間で確実に所望の氷点下温度まで冷却することが可能となる。
【0077】
また、この重石部材80には、特にドライアイスCと接触する部分に断熱材81が備えられていることが好ましい。これにより、冷却材収容部17内に収容されるドライアイスCと外部との断熱性を向上させることができるため、鉄道用車輪100の外周面101からの熱吸収の寄与を大きくして、より効果的に鉄道用車輪100を冷却することが可能となる。
【0078】
また、ドライアイスCを鉄道用車輪100の外周面101に向かって押圧する加圧手段としては上記重石部材80に限られず、他の構成であってもよく、例えば、所望の荷重を加えることができるプレス装置を用いてもよい。
また、このような加圧手段を第2実施形態の回転体冷却治具40に適用してもよい。これによって、鉄道用ブレーキディスク110をより効率的に冷却することができる。
【0079】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態においては、それぞれ鉄道用車輪100及び鉄道用ブレーキディスク110を冷却する構成としたが、冷却対象としてはこれらに限定されず、他の円盤状をなす回転体であってもよい。例として、寒冷地で用いられる風力発電機や自動車のブレーキローター等の回転体が挙げられる。
【符号の説明】
【0080】
1 氷結層生成装置
10 回転体冷却治具
11 筐体
12 筐体本体
13 支持バー
14 蓋部材
14a 導入部
15 傾斜板
16 湾曲板
16a 湾曲縁部
17 冷却材収容部
17a 開口縁部
20 側壁
20a 側壁
20b 側壁
20c 側壁
20d 側壁
21 先端縁部
21a 直線部
21b 曲線部
30 水分供給手段
40 回転体冷却治具
50 外周カバー
51 上部カバー
52 下部カバー
53 切抜部
54 固定用取っ手
55 固定リブ
60 内周カバー
61 帯状部材
62 連結部材
70 冷却材収容部
71 開口縁部
80 重石部材(加圧手段)
81 断熱材
100 鉄道用車輪
101 外周面
102 踏面
103 フランジ部
110 鉄道用ブレーキディスク
111 ディスク面
112 環状凹部
113 内周面
114 外周面
115 連通路
116 フィン
C ドライアイス
O1 軸線
O2 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持された回転体を冷却する回転体冷却治具であって、
開口が前記回転体の外周面に臨むように支持されて、該開口の上方に冷却材が導入される冷却材収容部を備え、
前記冷却材として、ビーズ状をなす昇華性の固体冷却材が使用され、
該固体冷却材が前記外周面上に保持されるように、前記開口の開口縁部を前記外周面に沿った形状としたことを特徴とする回転体冷却治具。
【請求項2】
前記回転体の外周面に向かって前記固体冷却材を押し付ける加圧手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の回転体冷却治具。
【請求項3】
前記加圧手段が、前記固体冷却材を上方から押圧する押圧部材であって、
前記押圧部材に断熱材が備えられていることを特徴とする請求項2に記載の回転体冷却治具。
【請求項4】
前記回転体が鉄道用車輪であって、
前記冷却材収容部の前記開口縁部が、前記鉄道用車輪の外周面にあたる踏面及びフランジ部の形状に沿って形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回転体冷却治具。
【請求項5】
筒状をなして前記鉄道用車輪を上方から覆う筐体を備え、
前記冷却材収容部が前記筐体の内側に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の回転体冷却治具。
【請求項6】
前記回転体が、その内部に径方向に沿って延びる放熱用のフィンを複数備えるとともにこれらフィン間に前記回転体の外周面と内周面とを連通する連通路が形成された鉄道用ブレーキディスクであって、
前記回転体の外周面全域を覆う外周カバーと、
前記回転体の内周面全域を覆う内周カバーとが設けられ、
前記外周カバーは、回転不能に固定されて、前記回転体が回転する際に該回転体の外周面と摺接し、
前記冷却材収容部の前記開口縁部が前記外周カバーに形成された切抜部に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回転体冷却治具。
【請求項7】
前記固体冷却材が、ドライアイスであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の回転体冷却治具。
【請求項8】
前記回転体の表面に氷結層を生成する氷結層生成装置であって、
請求項1から7のいずれか一項に記載の回転体冷却治具と、
前記冷却材により冷却された前記回転体の表面に水を噴霧する水分供給手段が設けられたことを特徴とする氷結層生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−7527(P2011−7527A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149102(P2009−149102)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】