説明

回転型センサ

【課題】出力相互誤差が小さく、出力精度の良い2出力回転型センサを提供するものである。
【解決手段】回転型センサは、抵抗体パターンと導電体パターンとが設けられた絶縁基板と、摺動子と、摺動子を保持し回転可能に配置された回転基板とを有し、回転基板の回転角に応じた出力電圧を出力する2出力回転型センサにおいて、抵抗体パターンおよび導電体パターンは、2つの同心円の円弧に沿って絶縁基板に形成され、内側の同心円の一方側の半円上に形成された第1の抵抗体パターンと外側の同心円の一方側半円上に形成された第2の抵抗体パターンと内側の同心円の他方側の半円上に形成された第1の導電体パターンと外側の同心円の一方側の半円半円上に形成された第2の導電体パターンとを備え、第1の抵抗体パターンの一方端は第1の入力端子に接続され、第2の抵抗体パターンの一方端は第2の入力端子に接続され、第1の抵抗体パターンの他方端と第2の抵抗体パターンの他方端とはグランド端子に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2出力回転型センサにおいて、特に、2出力の相対誤差を小さくすることができる回転型センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車やバイクなどでは、昨今、対環境性能の向上が課題となっている。特に内燃機関(エンジン)を動力として用いる自動車やバイクでは、燃費性能の向上や窒素酸化物排出量削減などが課題として挙げられる。燃費性能の向上や窒素酸化物排出量削減などの手段の一つとして、エンジンの吸気バルブや排気バルブ等の開閉角度は走行状態に合せた細かな制御がおこなわれる様になってきている。回転型センサはこのような開閉角度や回転角度を検出する為に用いられている。
【0003】
昨今、対環境性能がさらに求められている自動車やバイクでは、各種バルブ類をより詳細に制御する必要があるため、より出力精度の良い回転型センサが求められている。
【0004】
回転型センサとしては、下記の特許文献1に記載の回転型センサが知られている。以下、特許文献1に記載の回転型センサについて図7を用いて説明する。図7は特許文献1に記載の回転型センサに備えられた第1ブラシB1、第2ブラシB2、第1抵抗体R1および第2抵抗体R2の位置関係を示す図である。
【0005】
特許文献1に記載の回転型センサは、図7に示すような第1ブラシB1と、第2ブラシB2と、第1抵抗体R1、第2抵抗体R2、第1導電体L1および第2導電体L2を備えたベースBSと、を有し、第1ブラシB1と第1抵抗体R1の相対接触位置および第2ブラシB2と第2抵抗体R2の相対接触位置での抵抗値レベルにより回転角に応じて変化する出力電圧を出力する回転型センサである。
【0006】
第1ブラシB1の一端は第1抵抗体R1上を摺動し、他端は第1導電体L1上を摺動する。また、第2ブラシB2の一端は第2抵抗体R2上を摺動し、他端は第2導電体L2上を摺動する。
【0007】
第1抵抗体R1の一端は入力端子Ti1に接続され、入力電圧V0が印加され、他端はアース端子Te1に接続されグランドに接地されている。また、第1導電体L1は第1出力端子To1に接続され、出力電圧v1を出力する。
【0008】
第2抵抗体R2の一端は入力端子Ti2に接続され、入力電圧V0が印加され、他端はアース端子Te2に接続されグランドに接地されている。また、第2導電体L2は第2出力端子To2に接続され、出力電圧v2を出力する。
【0009】
出力電圧v1と出力電圧v2とは同相の出力電圧であり、同相の出力電圧を同時にセンシングする事で回転角度などの位置検出を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−107013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、実際には構成部品寸法のばらつきや製品組立時の組込み精度のバラツキなどにより、少なからず理想位置からのズレが発生する。このとき、出力電圧v1と出力電圧v2は理想の値からズレるため、実際の位置と回転型センサによって検出された位置に誤差が発生する。この誤差がより小さい回転型センサが求められている。
【0012】
理想の位置からのズレが無い場合、出力電圧v1および出力電圧v2は同じ値であることが理想である。すなわち、出力電圧v1と出力電圧v2の出力相互誤差(v1とv2の差)が0(V)であることが理想である。
【0013】
以下に、位置ズレによって発生する出力電圧v1と出力電圧v2の出力相互誤差について説明する。説明に当たっては、図7に示すように、仮に第1ブラシB1と第1抵抗体R1との相対位置および第2ブラシB2と第2抵抗体R2との相対位置が理想の位置から矢印Y方向に距離X分それぞれズレ、その位置ズレにより出力電圧v1および出力電圧v2がそれぞれZ(V)だけズレた場合を想定して説明する。
【0014】
ここで、図7に示す位置での出力電圧v1の理想の値をv1e、出力電圧v2の理想の値をv2eとし、実際の出力電圧v1の値をv1z、実際の出力電圧v2の値をv2zとする。
【0015】
位置ズレによって出力電圧v1および出力電圧v2はそれぞれZ(V)ズレるとしたが、第1ブラシB1は入力電圧V0が印加される入力端子Ti1に近づく方向にズレるため、実際の出力電圧v1の値v1zは出力電圧v1の理想の値v1eよりもZ(V)高くなる。
【0016】
第2ブラシB2は入力電圧V0が印加される入力端子Ti1から遠ざかる方向にズレるため、実際の出力電圧v2の値v2zは出力電圧v2の理想の値v2eよりもZ(V)低くなる。
【0017】
すなわち、実際の出力電圧v1の値v1zおよび実際の出力電圧v2の値v2zは以下の様に表わせる。
【0018】
v1z=v1e+Z (V)
【0019】
v2z=v2e―Z (V)
【0020】
したがって、図7に示す位置での出力電圧v1と出力電圧v2の出力相互誤差Dvは以下の様に表わせる。
【0021】
Dv=v1z−v2z=(v1e+Z)−(v2e―Z)=v1e−v2e+2Z (V)
【0022】
ここで、理想の位置からのズレが無い場合、出力電圧v1および出力電圧v2は同じ値であることが理想であることから、出力電圧v1の理想の値v1eと出力電圧v2の理想の値v2eとはv1e=v2eであり、図7に示す位置での出力電圧v1と出力電圧v2の出力相互誤差Dvは以下の様に表わせる。
【0023】
Dv=2Z (V)
【0024】
すなわち、図7に示す位置での出力電圧v1と出力電圧v2の出力相互誤差Dvは位置ズレによって出力電圧v1および出力電圧v2が変動した電圧値の和分となって表れ、実際に回転型センサを使って位置検出を行なった時には、実際の位置と回転型センサによって検出された位置の誤差となって表れる。
【0025】
なお、矢印Y方向に直交する方向にずれた場合には、出力電圧v1および出力電圧v2は変化しない。
【0026】
本発明は、上述した課題を解決して、出力相互誤差が小さく、出力精度の良い2出力回転型センサを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
請求項1に記載の回転型センサは、2つの抵抗体パターンと2つの導電体パターンとが設けられた絶縁基板と、前記抵抗体パターンと前記導電体パターンとを対として対ごとに電気的に導通させる2つの摺動子と、前記摺動子を保持し回転可能に配置された回転基板とを少なくとも有し、前記回転基板の回転に連動して前記摺動子が前記抵抗体パターン上および前記導電体パターン上を摺動し、前記回転基板の回転角に応じて変化する出力電圧を出力する2出力回転型センサにおいて、前記抵抗体パターンおよび前記導電体パターンは、仮想の2つの同心円の円弧に沿って前記絶縁基板のパターン面に形成され、前記抵抗体パターンは内側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第1の抵抗体パターンと外側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第2の抵抗体パターンとを備え、前記第1の抵抗体パターンと前記第2の抵抗体パターンとは前記2つの同心円の一方側に並列に配置され、前記導電体パターンは内側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第1の導電体パターンと外側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第2の導電体パターンとを備え、前記第1の導電体パターンと前記第2の導電体パターンとは前記2つの同心円の他方側に並列に配置され、前記第1の抵抗体パターンの一方端は電圧が印加される第1の入力端子に接続され、前記第2の抵抗体パターンの一方端は電圧が印加される第2の入力端子に接続され、前記第1の抵抗体パターンの他方端および前記第2の抵抗体パターンの他方端はグランドに接地されるグランド端子に接続され、前記第1の導電体パターンの一端は第2の出力電圧が出力される第2の出力端子に接続され、前記第2の導電体パターンの一端は第1の出力電圧が出力される第1の出力端子に接続されている、という特徴を有する。
【0028】
請求項2に記載の回転型センサは、前記摺動子は第1の摺動子と第2の摺動子とからなり、前記回転基板は摺動子保持面に前記摺動子を保持し、前記摺動子保持面と前記パターン面とが対向し、前記抵抗体パターンと前記導電体パターンにより形成される同心円の中心を回転中心として回転可能に配置され、前記回転基板の回転に連動して前記第1の摺動子が前記第1の抵抗体パターンおよび前記第2の導電体パターンの上を摺動するとともに、前記第2の摺動子が前記第2の抵抗体パターンおよび前記第1の導電体パターンの上を摺動する、という特徴を有する。
【0029】
請求項3に記載の回転型センサは、前記摺動子は前記抵抗体パターンおよび前記導電体パターンと当接し摺動する摺動端と、前記回転基板に前記摺動子を配置する際の基準位置となる基準穴と、前記回転基板に前記摺動子を配置後に前記摺動子が回転するのを防止する切り欠き部と、をそれぞれ有し、前記回転基板は前記摺動子保持面に前記摺動子を配置する際の基準位置となる位置決めピンと、前記摺動子を配置後に前記摺動子が回転するのを防止するストッパ部を有し、前記基準穴に前記位置決めピンを圧入し、前記切り欠き部を前記ストッパ部に係合した状態で前記摺動子は前記摺動子保持面に保持され、このとき、前記回転基板の回転中心、位置決めピン、前記ストッパ部、前記切り欠き部、前記基準穴および前記摺動端が同一直線上に配置されている、という特徴を有する。
【0030】
請求項4に記載の回転型センサは、前記抵抗体パターンの幅寸法および前記導電体パターンの幅寸法は、前記摺動子の前記摺動端の幅寸法よりも大きい、という特徴を有する。
【0031】
請求項5に記載の回転型センサは、前記摺動子は保持用穴を有し、前記回転基板は前記摺動子保持面に保持用ピンを有し、前記保持用ピンを前記保持用穴に挿通させ、前記保持用ピンをかしめて前記摺動子を前記回転基板に保持する、という特徴を有する。
【発明の効果】
【0032】
請求項1の発明によれば、第1の抵抗体パターンと第2の抵抗体パターンとを一方側に並列に配置し、第1の導電体パターンと第2の導電体パターンとを他方側に並列に配置するとともに、第1の抵抗体パターンおよび前記第2の抵抗体パターンの同一方向の一端にはそれぞれ所定の電圧が印加され、他端はグランド端子に接続されグランドに接地する構造としたことで、仮に製品組立において組込みズレが発生し、正規の配置位置からずれた場合などでも、第1の出力電圧と第2の出力電圧が同等の出力ズレを発生する方向にずれるため、2出力間の出力相互誤差を低減することができ、回転型センサの出力精度を向上させる、という効果を奏する。
【0033】
請求項2の発明によれば、前記第1の摺動子が前記第1の抵抗体パターンおよび前記第2の導電体パターンの上を摺動するとともに、前記第2の摺動子が前記第2の抵抗体パターンおよび前記第1の導電体パターンの上を摺動する構造としたことで、前記第1の摺動子と前記第2の摺動子とに同じ部品を使うことができ、部品の種類を少なくすることで生産コストを削減することができる、という効果を奏する。
【0034】
請求項3の発明によれば、前記回転基板の回転中心、位置決めピン、前記ストッパ部、前記切り欠き部、前記基準穴および前記摺動端を同一直線上に配置することで、回転基板に対する摺動子の取り付け位置のズレを抑えるとともに抵抗体パターンおよび導電体パターンと摺動端との当接位置のズレを抑えることが可能となり、より2出力間の出力相互誤差を低減することができ、回転型センサの出力精度を向上させる、という効果を奏する。
【0035】
請求項4の発明によれば、前記抵抗体パターンの幅寸法および前記導電体パターンの幅寸法を前記摺動子の前記摺動端の幅寸法よりも大きくすることで、仮に前記摺動端の幅方向に取り付け位置ズレが発生した場合でも前記抵抗体パターン上および前記導電体パターン上から前記摺動端が脱落することなく摺動することができ、より安定した出力が得られる、という効果を奏する。
【0036】
請求項5の発明によれば、前記位置決めピンおよび前記基準穴とはべつに前記保持用穴と前記保持用ピンとを設け、前記保持用ピンを前記保持用穴に挿通させ、前記保持用ピンをかしめて前記摺動子を前記回転基板に保持する構造としたことで、前記摺動子を前記回転基板に固定保持する際に位置決めの基準がずれることなく固定することが可能となり、より出力精度が安定する、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】回転型センサ1の構成を示す模式図である。
【図2】摺動子14を示す図である。
【図3】回転基板15を示す図である。
【図4】摺動子14を回転基板15に配置した状態を示す図である。
【図5】第1の抵抗体パターン121、第2の導電体パターン132および第1の摺動子141の位置関係を示した図である。
【図6】従来の回転型センサを示す図である。
【図7】別の従来の回転型センサを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[第1実施形態]
以下に第1実施形態における回転型センサ1について説明する。
【0039】
まず始めに本実施形態における回転型センサ1の構成について図1ないし図3を用いて説明する。図1は回転型センサ1の構成を示す模式図である。図2は摺動子14を示す図で、図2(a)は摺動子14を示す斜視図であり、図2(b)はベース部14aを示す斜視図であり、図2(c)は腕部14bを示す斜視図である。図3は回転基板15を示す図で、図3(a)は回転基板15を示す斜視図であり、図3(b)は位置決めピン152を示す斜視図である。
【0040】
回転型センサ1は、図1に示すように、2つの抵抗体パターン12と2つの導電体パターン13とが設けられた絶縁基板11と、抵抗体パターン12と導電体パターン13とを対として対ごとに電気的に導通させる2つの摺動子14と、摺動子14を保持し回転可能に配置された回転基板15とを少なくとも有し、回転基板15の回転に連動して摺動子14が抵抗体パターン12上および導電体パターン13上を摺動し、回転基板の回転角に応じて変化する出力電圧を出力する。
【0041】
絶縁基板11は、絶縁性を有した合成樹脂材からなり板状に形成されており、一方側の面には抵抗体パターン12と導電体パターン13とが配置されるパターン面111を有する。
【0042】
抵抗体パターン12はカーボンを含有した抵抗インクを固化し、導電体パターン13は導電性を有するペーストを固化して絶縁基板11のパターン面111上に形成されている。なお、抵抗体パターン12上の任意の区間において単位長さ辺りの抵抗値は同じである。
【0043】
抵抗体パターン12および導電体パターン13は、図1に示すように、仮想の2つの同心円の円弧に沿って形成されおり、抵抗体パターン12は内側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第1の抵抗体パターン121と外側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第2の抵抗体パターン122とを備え、第1の抵抗体パターン121と第2の抵抗体パターン122とは2つの同心円の一方側に並列に配置され、導電体パターンは内側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第1の導電体パターン131と外側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第2の導電体パターン132とを備え、第1の導電体パターン131と第2の導電体パターン132とは2つの同心円の他方側に並列に配置されている。
【0044】
なお、抵抗体パターン12の幅寸法および導電体パターン13の幅寸法は、摺動子14が抵抗体パターン12および導電体パターン13とに当接する箇所(後述する摺動端14e)の幅寸法よりも大きい。
【0045】
第1の抵抗体パターン121の一方端は電圧が印加される第1の入力端子171に接続され、第2の抵抗体パターン122の一方端は電圧が印加される第2の入力端子172に接続され、第1の抵抗体パターン121の他方端および第2の抵抗体パターン122の他方端はグランドに接地されるグランド端子16に接続されている。
【0046】
第1の導電体パターン131の一端は第2の出力電圧V2が出力される第2の出力端子182に接続され、第2の導電体パターン132の一端は第1の出力電圧V1が出力される第1の出力端子181に接続されている。
【0047】
摺動子14は、図2(a)に示すように、金属板を加工したベース部14aと貴金属板を加工した腕部14bとを有している。ベース部14aは、図2(b)に示すように、長方形状をしており、ベース部14aの右側端から左側へ寄った位置には手前側に突出した右側突出部14cが形成され、ベース部14aの左側端から右側へ寄った位置には手前側に突出した左側突出部14dが形成されている。
【0048】
また、ベース部14aの左右方向の中央付近には摺動子14を配置する際の保持に用いる保持用穴14hが左右方向に沿って2つ形成され、ベース部14aの左右の両端下面側には腕部14bを係止する係止部14jが形成されている。
【0049】
右側突出部14cの先端付近には摺動子14を配置する際に取付位置の基準になる基準穴14fが設けられている。基準穴14fはバーリング加工にて、下側面から下方向に向かって突出し円筒状に形成されている。
【0050】
左側突出部14dの右側端部には矩形状に切り欠かれた切り欠き部14gが形成されている。
【0051】
なお、基準穴14fの中心と切り欠き部14gの中央を通る直線は、2つの保持用穴14hの中心を通る直線と平行になる。
【0052】
腕部14bは、図2(c)に示すように、長方形状に形成されており、手前側の端には抵抗体パターン12上または導電体パターン13上を摺動する摺動端14eが設けられ、奥側の端にはベース部14aに係止される固定端部14iが設けられている。摺動端14eは先端部が左右方向に3つに分割されるとともに、分割された先端はそれぞれ下方向へ曲げ加工されており、固定端部14iは下方向へ曲げ加工されている。
【0053】
図2(a)に示すように、腕部14bが固定端部14iをベース部14aの係止部14jに係止されることで、摺動子14が形成される。このとき、摺動端14eはその先端が下側を向くようにして手前側に突出するように配置される。
【0054】
また、摺動子14は同一形状の第1の摺動子141と第2の摺動子142とがある。
【0055】
回転基板15は、図3(a)に示すように、合成樹脂材からなり略円盤状に形成されている。回転基板15は一方の面に摺動子14を保持する摺動子保持面151を有し、摺動子保持面151には摺動子14を配置する際の基準位置となる位置決めピン152と、摺動子14を配置する際に摺動子14が回転するのを防止するストッパ部153と、摺動子14を摺動子保持面151に保持する保持用ピン154と、回転基板15が回転する際の回転中心となる支点部(回転中心)155と、が設けられている。
【0056】
支点部155は摺動子保持面151に対して垂直に突出した円筒状に形成され摺動子保持面151の中心に配置されている。
【0057】
位置決めピン152は、支点部155を基準として基準穴14fと切り欠き部14gとの距離よりも離れた位置に配置され、摺動子保持面151に対して垂直に突出した円柱形状に形成されている。位置決めピン152の側面には、図3(b)に示すように、突出方向に沿って等間隔に3本のリブ部152aが設けられ、3本のリブ部152aに同時に接する円の半径は基準穴14fの半径よりも大きい。
【0058】
ストッパ部153は、位置決めピン152の中心点と支点部155の中心点とを結ぶ直線上の、位置決めピン152を基準として基準穴14fと切り欠き部14gとの間隔と同じ距離だけ離れた位置に配置され、摺動子保持面151に対して垂直に突出した略直方体形状に形成されている。
【0059】
保持用ピン154は、位置決めピン152の中心点と支点部155の中心点とを結ぶ直線に平行な直線上に配置され、摺動子保持面151に対して垂直に突出した円柱状に形成されている。
【0060】
このとき、位置決めピン152とストッパ部153と保持用ピン154との位置関係は、位置決めピン152は基準穴14fに対応し、ストッパ部153は切り欠き部14gと対応し、保持用ピン154は保持用穴14hに対応する位置に配置されている。
【0061】
つぎに、本実施形態の回転型センサの構造について図1および図4を用いて説明する。図4は摺動子14を回転基板15に配置した状態を示す図である。
【0062】
回転基板15は、図4に示すように、摺動子保持面151に第1の摺動子141と第2の摺動子142とを保持する。第1の摺動子141および第2の摺動子142は、それぞれ基準穴14fに位置決めピン152を圧入し、切り欠き部14gをストッパ部153に係合し、保持用ピン154を保持用穴14hに挿通し、保持用ピン154をそれぞれかしめることで摺動子保持面151に保持される。
【0063】
第1の摺動子141は、支持部155が腕部14bと腕部14bとの間にあるとともに、いずれか一方の腕部14bに寄った位置に来るように配置され、第2の摺動子142は支持部155を対称点として第1の摺動子141と点対象となる位置に配置される。
【0064】
このとき、位置決めピン152、ストッパ部153、支点部155、切り欠き部14g、基準穴14fおよび摺動端14eの先端が同一直線上に配置されている。
【0065】
このように摺動子14が保持された回転基板15は、図1に示すように、摺動子保持面151に保持された摺動子14と絶縁基板11のパターン面111とが対向し、抵抗体パターン12と導電体パターン13により形成される同心円の中心を回転中心として回転可能に配置される。
【0066】
このとき、図1に示すように、第1の摺動子141は第1の抵抗体パターン121および第2の導電体パターン132と当接し、第2の摺動子142は第2の抵抗体パターン122および第1の導電体パターン131と当接する。これにより、第1の抵抗体パターン121と第2の導電体パターン132とは第1の摺動子141により電気的に接続され、第2の抵抗体パターン122と第1の導電体パターン131とは第2の摺動子142により電気的に接続される。
【0067】
また、第1の抵抗体パターン121の一方端は電圧が印加される第1の入力端子171に接続され、第2の抵抗体パターンの一方端は電圧が印加される第2の入力端子172に接続され、第1の抵抗体パターン121の他方端および第2の抵抗体パターン122の他方端はグランドに接地されるグランド端子16に接続され、第1の導電体パターン131の一端は第2の出力電圧V2が出力される第2の出力端子182に接続され、第2の導電体パターン132の一端は第1の出力電圧V1が出力される第1の出力端子181に接続されている。
【0068】
つぎに、本実施形態の回転型センサの動作について図5を用いて説明する。図5は第1の抵抗体パターン121、第2の導電体パターン132および第1の摺動子141の位置関係を示した図で、図5(a)は第1の摺動子141が位置1aにあるときを示す図であり、図5(b)は第1の摺動子141が位置1cにあるときを示す図である。
【0069】
支持部155を中心として回転可能に配置されている回転基板15を回転させると、回転基板15に保持されるとともに、抵抗体パターン12および導電体パターン13と当接している摺動子14は、第1の摺動子141が第1の抵抗体パターン121上および第2の導電体パターン132上を摺動し、第2の摺動子142が第2の抵抗体パターン122上および第1の導電体パターン131上を摺動する。
【0070】
また、第1の入力端子171および第2の入力端子172には同じ値の電圧が印加されており、第1の出力端子181からは第1の出力電圧V1が出力され、第2の出力端子182からは第2の出力電圧V2が出力され、それぞれオームの法則に則り、回転基板15の回転角度に比例して出力電圧値が変化する。
【0071】
以下に第1の出力電圧V1を例にして具体的に説明する。なお、図5(a)および図5(b)においては、簡略的に説明する為に第1の抵抗体パターン121および第2の導電体パターン132は直線形状で表わしているが、円形状になった場合も同じ事が言える。
【0072】
ここで、第1の入力端子171には入力電圧として常時10(V)の入力電圧が印加されているものとする。このとき、第1の抵抗体パターン121の第1の入力端子171側末端(位置1a)における電圧は10(V)で、グランド端子16側末端(位置1b)における電圧は0(V)となる。
【0073】
ある状態において、第1の抵抗体パターン121、第2の導電体パターン132および第1の摺動子141は図5(a)に示すような位置関係で第1の摺動子141は位置1aにあるとする。
【0074】
ある状態における第1の出力端子181から出力される第1の出力電圧をV1aとすると、第1の摺動子141は位置1aに位置しているので、第1の出力電圧V1aは第1の抵抗体パターン121の位置1aにおける電圧と同じ値となる。したがって、第1の出力電圧V1aは10(V)の電圧を出力する。
【0075】
次に、回転基板15を操作することで第1の摺動子141が第1の抵抗体パターン121上を摺動し、図5(b)に示すように、第1の入力端子171側末端とグランド端子16側末端との中点位置(位置1c)まで移動したものとする。(以下、操作後状態と呼ぶ。)
【0076】
操作後状態における第1の出力端子181から出力される第1の出力電圧をV1cとすると、第1の摺動子141は位置1cに位置しているので、第1の出力電圧V1cは第1の抵抗体パターン121の位置1cにおける電圧と同じ値となる。
【0077】
ここで、第1の抵抗体パターン121の全抵抗値をR(Ω)、第1の抵抗体パターン121を流れる電流をI(A)とすると、第1の入力端子171には常時10(V)の入力電圧が印加されているので、第1の抵抗体パターン121には、オームの法則:V(電圧)=I(電流)×R(抵抗値)に則り、以下の電流Iが常時流れている。
【0078】
I=10/R (A)
【0079】
また、グランド端子16側末端である位置1bは抵抗値の基準位置(0(Ω)位置)となるので、位置1aと位置1bの中点位置である位置1cにおける第1の抵抗体パターン121の抵抗値RcはRc=R/2(Ω)と表わすことができる。
【0080】
したがって、位置1cにおける第1の出力電圧V1cは以下の通りである。
【0081】
V1c=I×Rc=(10/R)×(R/2)=10/2=5(V)
【0082】
同様に、第1の摺動子141が位置1bと位置1cとの中点位置である位置1dにある場合には、位置1dにおける第1の出力電圧V1dは2.5(V)となり、第1の出力電圧V1は第1の摺動子141の移動量(位置1bからの距離)に比例して変化する。これは本実施形態に置き換えると第1の出力電圧V1は回転基板15の回転角度に比例して変化するということである。また、第2の出力電圧V2も同様の原理で回転基板15の回転角度に比例して変化する。
【0083】
このように出力電圧を見ることで何度回転したかが分かり、各種開閉角度や回転角度などを検出することができる。
【0084】
また、製品状態になった具体例は図6に示すような形態になり、レバーLを回動させることで内部に収納された回転基板15(図1参照)が連動して回動する。
【0085】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0086】
本実施形態の回転型センサ1では、抵抗体パターン12は内側の同心円の略半円の円弧に沿って形成された第1の抵抗体パターン121と外側の同心円の円弧に沿って形成された第2の抵抗体パターン122とを備え、第1の抵抗体パターン121と第2の抵抗体パターン122とは2つの同心円の一方側に並列に配置され、導電体パターン13は内側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第1の導電体パターン131と外側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第2の導電体パターン132とを備え、第1の導電体パターン131と第2の導電体パターン132とは前記2つの同心円の他方側に並列に配置され、第1の抵抗体パターン121の一方端は電圧が印加される第1の入力端子171に接続され、第2の抵抗体パターン122の一方端は電圧が印加される第2の入力端子172に接続され、第1の抵抗体パターン121の他方端および第2の抵抗体パターン122の他方端はグランドに接地されるグランド端子16に接続され、第1の導電体パターン131の一端は第2の出力電圧V2が出力される第2の出力端子182に接続され、第2の導電体パターン132の一端は第1の出力電圧V1が出力される第1の出力端子181に接続されている構造とした。
【0087】
これにより、第1の抵抗体パターンと第2の抵抗体パターンとを一方側に並列に配置し、第1の導電体パターンと第2の導電体パターンとを他方側に並列に配置するとともに、第1の抵抗体パターンおよび前記第2の抵抗体パターンの同一方向の一端にはそれぞれ所定の電圧が印加され、他端はグランド端子に接続されグランドに接地する構造としたことで、仮に製品組立において組込みズレが発生し、正規の配置位置からずれた場合などでも、第1の出力電圧と第2の出力電圧が同等の出力ズレを発生する方向にずれるため、2出力間の出力相互誤差を低減することができ、回転型センサの出力精度を向上させる、という効果を奏する。
【0088】
以下に、位置ズレによって発生する第1の出力電圧V1と第2の出力電圧V2の出力相互誤差を低減できる理由について説明する。説明に当たっては、図1に示すように、仮に第1の摺動子141と第1の抵抗体パターン121との相対位置および第2の摺動子142と第2の抵抗体パターン122との相対位置が理想の位置から矢印S方向に距離T分それぞれズレ、その位置ズレにより第1の出力電圧V1および第2の出力電圧V2がそれぞれU(V)だけズレた場合を想定して説明する。
【0089】
ここで、図1に示す位置での第1の出力電圧V1の理想の値をV1e、第2の出力電圧V2の理想の値をV2eとし、実際の第1の出力電圧V1の値をV1z、実際の第2の出力電圧V2の値をV2zとする。
【0090】
位置ズレによって第1の出力電圧V1および第2の出力電圧V2はそれぞれU(V)ズレるとしたが、第1の摺動子141は入力電圧V0が印加される第1の入力端子171に近づく方向にズレるため、実際の第1の出力電圧V1の値V1zは第1の出力電圧V1の理想の値V1eよりもU(V)高くなる。
【0091】
第2の摺動子142も入力電圧V0が印加される第2の入力端子172に近づく方向にズレるため、実際の第2の出力電圧V2の値V2zは第2の出力電圧V2の理想の値V2eよりもU(V)高くなる。
【0092】
すなわち、実際の第1の出力電圧V1の値V1zおよび実際の第2の出力電圧V2の値V2zは以下の様に表わせる。
【0093】
V1z=V1e+U (V)
【0094】
V2z=V2e+U (V)
【0095】
したがって、図1に示す位置での第1の出力電圧V1と第2の出力電圧V2の出力相互誤差Dvは以下の様に表わせる。
【0096】
Dv=V1z−V2z=(V1e+U)−(V2e+U)=V1e−V2e (V)
【0097】
ここで、理想の位置からのズレが無い場合、第1の出力電圧V1および第2の出力電圧V2は同じ値であることが理想であることから、第1の出力電圧V1の理想の値V1eと第2の出力電圧V2の理想の値V2eとはV1e=V2eであり、図1に示す位置での第1の出力電圧V1と第2の出力電圧V2の出力相互誤差Dvは以下の様に表わせる。
【0098】
Dv=0 (V)
【0099】
すなわち、位置ズレによって第1の出力電圧V1および第2の出力電圧V2がそれぞれU(V)変動した場合に、従来例では位置ズレにより出力相互誤差Dvが2U(V)大きくなるのに対して、本実施形態では第1の出力電圧V1と第2の出力電圧V2の出力相互誤差Dvは変化しないと言える。
【0100】
なお、矢印Y方向に直交する方向にずれた場合には、第1の出力電圧V1および第2の出力電圧V2は変化しない。
【0101】
また、本実施形態の回転型センサ1では、摺動子14は第1の摺動子141と第2の摺動子142とからなり、回転基板15は摺動子保持面151に摺動子14を保持し、摺動子保持面151とパターン面111とが対向し、抵抗体パターン12と導電体パターン13により形成される同心円の中心を回転中心として回転可能に配置され、回転基板15の回転に連動して第1の摺動子141が第1の抵抗体パターン121および第2の導電体パターン132の上を摺動するとともに、第2の摺動子142が第2の抵抗体パターン122および第1の導電体パターン131の上を摺動する構造とした。
【0102】
これにより、第1の摺動子141が第1の抵抗体パターン121および第2の導電体パターン132の上を摺動するとともに、第2の摺動子142が第2の抵抗体パターン122および第1の導電体パターン131の上を摺動する構造としたことで、第1の摺動子141と第2の摺動子142とに同じ部品を使うことができ、部品の種類を少なくすることで生産コストを削減することができるという効果を奏する。
【0103】
さらに、抵抗体パターン12と導電体パターン13とを2つの同心円状に配置することができるため、従来例では4つの同心円状に配置されていた場合と比較して絶縁基板を小さくすることが可能となり、製品をより小型にすることができるという効果を奏する。
【0104】
また、本実施形態の回転型センサ1では、摺動子14は抵抗体パターン12および導電体パターン13と当接し摺動する摺動端14eと、回転基板15に摺動子14を配置する際の基準位置となる基準穴14fと、回転基板15に摺動子14を配置後に摺動子14が回転するのを防止する切り欠き部14gと、をそれぞれ有し、回転基板15は摺動子保持面151に摺動子14を配置する際の基準位置となる位置決めピン152と、摺動子14を配置後に摺動子14が回転するのを防止するストッパ部153を有し、基準穴14fに位置決めピン152を圧入し、切り欠き部14gをストッパ部153に係合した状態で摺動子14は摺動子保持面151に保持され、このとき、回転基板15の回転中心、位置決めピン152、ストッパ部153、切り欠き部14g、基準穴14fおよび摺動端14eが同一直線上に配置されている構造とした。
【0105】
これにより、回転基板15の回転中心、位置決めピン152、ストッパ部153、切り欠き部14g、基準穴14fおよび摺動端14eを同一直線上に配置することで、回転基板15に対する摺動子14の取り付け位置のズレを抑えるとともに抵抗体パターン12および導電体パターン13と摺動端14eとの当接位置のズレを抑えることが可能となり、より2出力間の出力相互誤差を低減することができ、回転型センサ1の出力精度を向上させるという効果を奏する。
【0106】
また、本実施形態の回転型センサ1では、抵抗体パターン12の幅寸法および導電体パターン13の幅寸法は、摺動子14の摺動端14eの幅寸法よりも大きい構造とした。
【0107】
これにより、抵抗体パターン12の幅寸法および導電体パターン13の幅寸法を摺動子14の摺動端14eの幅寸法よりも大きくすることで、仮に摺動端14eの幅方向に取り付け位置ズレが発生した場合でも抵抗体パターン12上および導電体パターン13上から摺動端14eが脱落することなく摺動することができ、より安定した出力が得られる、という効果を奏する。
【0108】
また、本実施形態の回転型センサ1では、摺動子14は保持用穴14hを有し、回転基板15は摺動子保持面151に保持用ピン154を有し、保持用ピン154を保持用穴14hに挿通させ、保持用ピン154をかしめて摺動子14を回転基板15に保持する構造とした。
【0109】
これにより、位置決めピン152および基準穴14fとはべつに保持用穴14hと保持用ピン154とを設け、保持用ピン154を保持用穴14hに挿通させ、保持用ピン154をかしめて摺動子14を回転基板15に保持する構造としたことで、位置決めピン152をかしめる必要がなく、摺動子14を回転基板15に固定保持する際に位置決めの基準がずれることなく固定することが可能となり、より出力精度が安定するという効果を奏する。
【0110】
また、本実施形態の回転型センサ1では、位置決めピン152の側面に3本のリブ部152aを設け、3本のリブ部152aに同時に接する円の直径は基準穴14fよりも大きい。
【0111】
これにより、位置決めピン152を基準穴14fに挿入するとリブ部152aが潰されながら圧入することで、位置決めピン152と基準穴14fとの間にガタがなくなり、基準のずれがなくなるとともに、圧入する際に潰されたリブ部152aはリブ部152aどうしの空間に逃げる為、リブ部152aがない場合に比べて容易に圧入を行なうことができる。
【0112】
また、本実施形態の回転型センサ1では、摺動端14eの先端が3本に分割されている構造とした。
【0113】
先端が分割されていない場合、仮に摺動端14eの摺動軌道上に異物などがあると摺動端全体が異物に乗り上げてしまい瞬間的に電気的な導通が途切れやすいが、先端を分割し少なくともいずれか一本が接触することで電気的な導通をより確実に得ることができる。また、3本に分割することで適度な摺動圧力にすることができ、抵抗体パターン12および摺動子14の摺動磨耗を軽減する効果を奏する。
【0114】
以上のように、本発明の実施形態に係る回転型センサを具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0115】
(1)本実施形態において、絶縁基板11は絶縁性を有した合成樹脂材からなり板状に形成され、抵抗体パターン12はカーボンを含有した抵抗インクを固化し、導電体パターン13は導電性を有するペーストを固化して絶縁基板11のパターン面111上としたが、これに限定するものではなく、例えば絶縁基板はベーク基板でもよく、導電体パターンは導電性ペーストではなく金属シートで形成しても良い。
【0116】
(2)本実施形態において、摺動子14はベース部14aと腕部14bとから形成されているが、同一の材料で一体に成形してもよい。これにより部品点数を削減するとともに工程費を削減することができる。
【符号の説明】
【0117】
1 回転型センサ
11 絶縁基板
111 パターン面
12 抵抗体パターン
121 第1の抵抗体パターン
122 第2の抵抗体パターン
13 導電体パターン
131 第1の導電体パターン
132 第2の導電体パターン
14 摺動子
141 第1の摺動子
142 第2の摺動子
14a ベース部
14b 腕部
14c 右側突出部
14d 左側突出部
14e 摺動端
14f 基準穴
14g 切り欠き部
14h 保持用穴
14i 固定端部
14j 係止部
15 回転基板
151 摺動子保持面
152 位置決めピン
152a リブ部
153 ストッパ部
154 保持用ピン
155 支持部
16 グランド端子
171 第1の入力端子
172 第2の入力端子
181 第1の出力端子
182 第2の出力端子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの抵抗体パターンと2つの導電体パターンとが設けられた絶縁基板と、前記抵抗体パターンと前記導電体パターンとを対として対ごとに電気的に導通させる2つの摺動子と、前記摺動子を保持し回転可能に配置された回転基板とを少なくとも有し、前記回転基板の回転に連動して前記摺動子が前記抵抗体パターン上および前記導電体パターン上を摺動し、前記回転基板の回転角に応じて変化する出力電圧を出力する2出力回転型センサにおいて、
前記抵抗体パターンおよび前記導電体パターンは、仮想の2つの同心円の円弧に沿って前記絶縁基板のパターン面に形成され、
前記抵抗体パターンは内側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第1の抵抗体パターンと外側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第2の抵抗体パターンとを備え、前記第1の抵抗体パターンと前記第2の抵抗体パターンとは前記2つの同心円の一方側に並列に配置され、
前記導電体パターンは内側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第1の導電体パターンと外側の前記同心円の略半円の円弧に沿って形成された第2の導電体パターンとを備え、前記第1の導電体パターンと前記第2の導電体パターンとは前記2つの同心円の他方側に並列に配置され、
前記第1の抵抗体パターンの一方端は電圧が印加される第1の入力端子に接続され、
前記第2の抵抗体パターンの一方端は電圧が印加される第2の入力端子に接続され、
前記第1の抵抗体パターンの他方端および前記第2の抵抗体パターンの他方端はグランドに接地されるグランド端子に接続され、
前記第1の導電体パターンの一端は第2の出力電圧が出力される第2の出力端子に接続され、
前記第2の導電体パターンの一端は第1の出力電圧が出力される第1の出力端子に接続されている、
ことを特徴とする2出力回転型センサ。
【請求項2】
前記摺動子は第1の摺動子と第2の摺動子とからなり、
前記回転基板は摺動子保持面に前記摺動子を保持し、前記摺動子保持面と前記パターン面とが対向し、前記抵抗体パターンと前記導電体パターンにより形成される同心円の中心を回転中心として回転可能に配置され、
前記回転基板の回転に連動して前記第1の摺動子が前記第1の抵抗体パターンおよび前記第2の導電体パターンの上を摺動するとともに、前記第2の摺動子が前記第2の抵抗体パターンおよび前記第1の導電体パターンの上を摺動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の2出力回転型センサ。
【請求項3】
前記摺動子は前記抵抗体パターンおよび前記導電体パターンと当接し摺動する摺動端と、前記回転基板に前記摺動子を配置する際の基準位置となる基準穴と、前記回転基板に前記摺動子を配置後に前記摺動子が回転するのを防止する切り欠き部と、をそれぞれ有し、
前記回転基板は前記摺動子保持面に前記摺動子を配置する際の基準位置となる位置決めピンと、前記摺動子を配置後に前記摺動子が回転するのを防止するストッパ部を有し、
前記基準穴に前記位置決めピンを圧入し、前記切り欠き部を前記ストッパ部に係合した状態で前記摺動子は前記摺動子保持面に保持され、
このとき、前記回転基板の回転中心、前記位置決めピン、前記ストッパ部、前記切り欠き部、前記基準穴および前記摺動端が同一直線上に配置されている、
ことを特徴とする請求項1および請求項2に記載の2出力回転型センサ。
【請求項4】
前記抵抗体パターンの幅寸法および前記導電体パターンの幅寸法は、前記摺動子の前記摺動端の幅寸法よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の2出力回転型センサ。
【請求項5】
前記摺動子は保持用穴を有し、
前記回転基板は前記摺動子保持面に保持用ピンを有し、
前記保持用ピンを前記保持用穴に挿通させ、前記保持用ピンをかしめて前記摺動子を前記回転基板に保持する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載の2出力回転型センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−3064(P2013−3064A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136821(P2011−136821)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】