説明

回転型電気部品

【課題】 光源体の端子の変形を防止すると共に、接続を確実に行なえ、接続信頼性の高い照光表示付の回転型電気部品を提供する。
【解決手段】 ハウジング1と、ハウジング1に回転可能に保持された回転部材9と、弾性を有する一対の導電板10、11と、一対の導電パターン6a、6bを有する絶縁基板5と、一対の電極13b、13bを一対の側面に有するチップ型発光素子13と、回転部材9の回転を検出する回転検出手段とを備え、一対の導電板10、11には、一端側に立設されて互いに対向して配置された接続片10b、11bと、他端側に一対の導電パターン6a、6bと摺接する摺動子片10c、11cを設け、一対の接続片10b、11bをチップ型発光素子13の一対の電極13b、13bにそれぞれ弾接させると共に、一対の接続片10b、11bでチップ型発光素子13を挟持して回転部材9に保持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等の各種コントロールに使用される回転型電気部品の構造に係り、特に操作つまみの回転角度位置等をLED等の光源の光により表示する照光表示付の回転型電気部品の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転型電気部品の構造としては、光源表示付回転操作式可変抵抗器の抵抗素子基板よりも前側に光源用集電部(摺動接点部)を設け、この摺動接点と電気的に導通した光源用ソケット部を可変抵抗器前面に設けることにより光源体を直接可変抵抗器の前面に取付けるようにした構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、従来の回転型電気部品の構造を図に基づいて説明する。
図12は従来の回転型電気部品を示す断面図、図13は同光源用接点基板の平面図、図14は同光源用回転体の平面図である。
【0004】
図12は光源表示付回転操作式可変抵抗器の実施例を示すものであり、図においてEは表示部、Fは光源用集電部、Gは可変抵抗器部、Hはプッシュ式スイッチ部である。
【0005】
表示部Eは光源体収容孔21およびこれと連続して外周側に設けられ透明樹脂がはめ込まれた表示用前面窓22を有し、中心を操作軸前端部23aに挿入結合されたツマミ24と、合成樹脂等の絶縁材料からなる光源用回転体25の中心から外れた外周側に設けられたソケット孔26に前面側から挿入され、先端発光部がツマミ24の光源体収容孔21内に配置されて露出している光源体27とから成っている。
【0006】
光源用集電部Fは図13に示すように2個の同心円状固定接点28,29およびこれらへの入力端子28a,29aを有する接点基板30と、弾性金属材料から成り、この2個の同心円状固定接点28,29のそれぞれに対して摺動接触する摺動弾性接点部31,32およびこれらから一体に形成され光源用回転体25の孔25′を通ってソケット孔26まで延長されて光源体27の入力端子33,34とそれぞれ弾力性を利用して圧接接続する弾性脚部35a,36aを有する2個の可動接点体35,36と、合成樹脂から成り、前面側に光源用ソケット孔26を有すると共に、後面側に上記2個の可動接点体35,36を抱持し、その中央非円形孔37には図14に示すように同形状外形の操作軸中間部23bを遊嵌合されると共にその中間円筒部25a外径を軸受38により回転可能なように支持された回転体25とから成っている。
【0007】
可変抵抗器部Gは光源用集電部Fの後部に位置し、操作軸中間非円形部23bを遊嵌合された摺動子保持体39と、これに保持され抵抗基板40上の抵抗素子41上を回転摺動する摺動子42および外部接続用の端子43,43′(43′は図示せず)と、これらを収容するケース44とから成り、更に、プッシュ式スイッチ部Hは、操作軸23の後端23cに当接した駆動体45を押すことにより、その外部端子46,47間(47は図示せず)が電気的に開閉する一般のものであり、その内部構造の説明は省略する。
【0008】
この構成においてツマミ24を回転操作すると、操作軸23を経て光源用回転体25および可変抵抗器用摺動子保持体39が回転し、2個の光源用可撓接点体35,36の摺動弾性接点部31,32はそれぞれ同心円状固定接点28,29上を回転摺動していき、弾性脚部35a,36aを経て光源体27の入力端子33,34に電流を供給するので光源体27は常に点灯しながらツマミ24と共に回転する。この時、可変抵抗器部Gの外部接続用端子43,43′間の抵抗値が変化する。
【0009】
また、ツマミ24を押すと、操作軸23は光源用回転体25および可変抵抗器用摺動子保持体39の孔に遊嵌合されているので、これら回転体25,39に関係なく前後方向に動き、その後端23cでプッシュ式スイッチの駆動体45を押し、プッシュ式スイッチ部の外部端子46,47間の開閉をおこなう。
【0010】
【特許文献1】特公平6−40527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来の回転型電気部品においては、光源体27の入力端子(リード端子)33、34と、可動接点体の弾性脚部35a、36aとがそれぞれ圧接接続する構造となっており、弾性脚部35a、36aの弾性力によって入力端子33、34が変形してしまい、互いの接続が不安定になり、接続信頼性が悪くなるという問題があった。
【0012】
したがって、本発明では上述した問題点を解決し、光源体の端子(電極)の変形を防止すると共に、接続を確実に行なえ、接続信頼性の高い照光表示付の回転型電気部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明では第1の解決手段として、ハウジングと、このハウジングに回転可能に保持された回転部材と、この回転部材に取付けられた弾性を有する一対の導電板と、前記ハウジング内に保持され、前記導電板と摺接する円弧状の一対の導電パターンを有する絶縁基板と、前記一対の導電板を介して前記一対の導電パターンと導通する一対の電極を一対の側面に有するチップ型発光素子と、前記回転部材の回転を検出する回転検出手段とを備え、前記一対の導電板には、一端側に立設されて互いに対向して配置された接続片と、他端側に前記一対の導電パターンと摺接する摺動子片を設け、前記一対の接続片を前記チップ型発光素子の一対の電極にそれぞれ弾接させると共に、前記一対の接続片で前記チップ型発光素子を挟持して前記回転部材に保持した構成とした。
【0014】
また、第2の解決手段として、前記回転部材に係合されるホルダーを備え、このホルダーあるいは前記回転部材に、弾性を有するフック状の係合部を設け、この係合部により前記ホルダーを前記回転部材にスナップ止めして取付けると共に、前記ホルダーで前記チップ型発光素子を位置決めした構成とした。
また、第3の解決手段として、前記ホルダーには、導光用の中空部と、この中空部の上下方向に貫通した弾性付与用のスリットを設け、このスリット側を前記回転部材に係合する係合面とした構成とした。
【0015】
また、第4の解決手段として、前記絶縁基板の一面側に前記チップ型発光素子用の一対の導電パターンを設けると共に、前記絶縁基板の他面側には、前記回転検出手段用の回路パターンを形成した構成とした。
また、第5の解決手段として、前記回転部材は、中央に空洞部を有する筒状に形成され、前記一対の接続片は、前記回転部材の周方向に間隔をおいて対向して配置した構成とした。
【発明の効果】
【0016】
上述したように、本発明の回転型電気部品は、ハウジングと、ハウジングに回転可能に保持された回転部材と、回転部材に取付けられた弾性を有する一対の導電板と、ハウジング内に保持され、導電板と摺接する円弧状の一対の導電パターンを有する絶縁基板と、一対の導電板を介して一対の導電パターンと導通する一対の電極を一対の側面に有するチップ型発光素子と、回転部材の回転を検出する回転検出手段とを備え、一対の導電板には、一端側に立設されて互いに対向して配置された接続片と、他端側に一対の導電パターンと摺接する摺動子片を設け、一対の接続片をチップ型発光素子の一対の電極にそれぞれ弾接させると共に、一対の接続片でチップ型発光素子を挟持して回転部材に保持したことから、チップ型発光素子の一対の電極に接続片の弾発力が加わったとしても、一対の電極はそれぞれ反対側の側面に形成されているため、電極が内側に変形することがないので、電極と接続片との接続が確実に行なわれることになり、接続信頼性が向上する。
【0017】
また、回転部材に係合されるホルダーを備え、ホルダーあるいは回転部材に、弾性を有するフック状の係合部を設け、係合部によりホルダーを回転部材にスナップ止めして取付けると共に、ホルダーでチップ型発光素子を位置決めしたことから、ホルダーを回転部材に容易に取付けることが可能となり、組立作業性が向上すると共に、ホルダーによりチップ型発光素子を回転部材に確実に位置決めして取付けることができる。
また、ホルダーには、導光用の中空部と、中空部の上下方向に貫通した弾性付与用のスリットを設け、スリット側を回転部材に係合する係合面としたことから、ホルダーを回転部材に容易にスナップ止めできると共に、ホルダーのスリットからのチップ型発光素子の光モレを防止できる。
【0018】
また、絶縁基板の一面側にチップ型発光素子用の一対の導電パターンを設けると共に、絶縁基板の他面側には、回転検出手段用の回路パターンを形成したことから、構成部品を共用化できるので、部品点数の削減が図れると共に、回転型電気部品の小型化が図れる。
また、回転部材は、中央に空洞部を有する筒状に形成され、一対の接続片は、回転部材の周方向に間隔をおいて対向して配置したことから、外形を大きくせずに中央に所望の空洞部を形成できるので、小型の回転型電気部品を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の回転型電気部品の実施形態を図1乃至図11に示す。図1は本発明の回転型電気部品の分解斜視図、図2は本発明の回転型電気部品の全体斜視図、図3は本発明の回転型電気部品の要部断面図、図4はチップ型発光素子を示す斜視図、図5は同じく平面図、図6はホルダーの斜視図、図7は同じく背面図、図8は導電板の斜視図、図9は同じく平面図、図10は絶縁基板の正面図、図11は絶縁基板の背面図である。
【0020】
図において、ハウジング1は、合成樹脂等の絶縁材からなり、中央に大きな空洞部を有する筒状軸1aが突出して設けられており、この筒状軸1aの基部外周には、円環状の底面部を有する収納部1bが設けられている。また、この収納部1bには外方へ突出する収容凹部1cが設けられており、この収容凹部1cに後述する絶縁基板5が位置決めされて収納部1bに保持されるものとなっている。また、ハウジング1の外側面には、上下方向に沿って複数の係合溝1dが設けられており、この係合溝1dに後述する取付板14の係合脚片14bが係合されて取付けられるものとなっている。
【0021】
また、前記収納部1bには、弾性を有する金属板からなり、円環状をした板ばね2が収納されて固着されており、この板ばね2にはクリック用突起2aが設けられ、後述するクリック板3のクリックカム3bと摺動することで回転時のクリック感触が得られるものとなっている。
【0022】
クリック板3は、合成樹脂等の絶縁材からなり、中央に大きな開口部を有する円環状の基盤部3aを有しており、この基盤部3aの背面(裏面)側には前記板ばね2のクリック用突起2aと摺動して回転時のクリック感触を起生させる連続した凹凸状のクリックカム3bが形成されている。また、前記基盤部3aの上面側の開口部周縁には、環状の突出部3cが設けられ、この突出部3cには後述する回転部材9に係合される複数(本実施例では4個)の係合凹溝3dが設けられている。また、前記基盤部3aの上面側には、後述する絶縁基板5の回路パターン7と摺接する弾性を有する導電性の薄板金属板からなる摺動子4が固着されている。
【0023】
絶縁基板5は、フェノール樹脂等の積層板からなり、同じく中央に大きな開口部を有する略円形の平板状に形成されており、円環状の基板部5aと方形状の基台部5bとを有している。円環状の基板部5aの一面側である上面側には、開口部に沿って円弧状に配設された一対の導電パターン6a、6bが形成されている(図10参照)。この導電パターン6a、6bは、銅箔あるいは銅箔に銀等を被覆した良導電性の材料で互いに等間隔で同心円状に平行して設けられている。また、一対の導電パターン6a、6bの一端側には引出しパターン6c、6dが設けられ、この引出しパターン6c、6dが前記基台部5bに延設されている。
【0024】
また、円環状の基板部5aの他面側である背面側には、開口部に沿って内側に環状に配設されたコモンパターン7aと、このコモンパターン7aの外周に沿って平行して円弧状に配設された抵抗パターン7bが形成されており、このコモンパターン7aと抵抗パターン7bとで回路パターン7を構成している(図11参照)。本実施例では、例えば、コモンパターン7aは、銀パターンあるいは銀パターンにカーボンなどを被覆して印刷形成した良導電性の材料で形成され、抵抗パターン7bは、カーボンなどをコーティング(印刷)して形成されている。この回路パターン7に前記クリック板3の基盤部3aに固着された摺動子4が摺接することで所望の信号を出力するものとなっている。この回路パターン7及び摺動子4で回転検出手段を構成している。
【0025】
また、前記基台部5bには、導電性の金属板で形成され、一端が基台部5bの背面側に固着され、他端がL字状に折り曲げられて基台部5bの背面と直交する方向へ突出された複数の接続端子8(本実施例では5個)が形成されている。この接続端子8の一端側には、基台部5bの表裏へ貫通した状態で固着された固着部8aが設けられている。この固着部8aを介して接続端子8の一つ(中央に位置する接続端子8)と前記コモンパターン7aの引出し部7cが前記基台部5bの背面側で電気的に接続されており、また、前記抵抗パターン7bの両端部が前記固着部8aを介して接続端子8の二つ(中央を挟んで両側に位置する接続端子8)と前記基台部5bの背面側で電気的に接続されている。
【0026】
また、前記基台部5bの上面側で、前記一対の導電パターン6a、6bの引出しパターン6c、6dが前記固着部8aを介して接続端子8の二つ(両端側に位置する接続端子8)と電気的に接続されている。すなわち、前記絶縁基板5の上面側に形成された導電パターン6a、6b及び、背面側に形成された回路パターン7a、7bが、絶縁基板5の一面の背面側に配設された前記接続端子8と、それぞれ電気的に接続されている。
【0027】
このように、前記絶縁基板5の一面側に後述するチップ型発光素子13用の一対の導電パターン6a、6bを設けると共に、この絶縁基板5の他面側には、回転検出手段用の回路パターン7(コモンパターン7a及び抵抗パターン7b)を形成したことから、構成部品を共用化できるので、部品点数の削減が図れると共に、回転型電気部品の小型化が図れるものとなっている。
【0028】
前記絶縁基板5は、前記クリック板3の上面側と後述する回転部材9の円板部9bの下面側に対向して挟持された状態で前記ハウジング1の収納部1bに収容されるものとなっている。また、前記ハウジング1の収納部1b内に収容される際には、前記基台部5bが収納部1bに設けられた前記収容凹部1cに位置決めされることにより保持されるものとなり、前記接続端子8が収容凹部1cの底面部から突出して配設されるものとなっている。
【0029】
回転部材9は、合成樹脂等の絶縁材からなり、中央に大きな空洞部を有する筒状に形成されている。この回転部材9には、前記ハウジング1の筒状軸1aに回転可能に軸支される円筒状の回転軸9aと、前記ハウジング1の収納部1bに収容される円板部9bとが設けられている。
【0030】
また、円板部9bの下面側には、空洞部の周縁に沿って下方へ突出する複数(本実施例では4個)の係合片9cが設けられている。この係合片9cが、前記ハウジング1の収納部1bに収容される前記クリック板3に設けられた複数の係合凹溝3dと係合することにより、回転部材9の回転に伴ってクリック板3が共回り可能となっている。
【0031】
また、円板部9bの下面側には、弾性を有する導電性の薄板金属板からなる、一対の導電板10、11が熱カシメ等により固着されている。これらの導電板10、11は、円板部9bに固着される孔を有する平板状の基部10a、11aと、この基部10a、11aの一端側に立設されて互いに対向して配置された接続片10b、11bと、その他端側に平行して延出された摺動子片10c、11cとを有している(図8参照)。また、前記一対の接続片10b、11bは、前記円板部9bの周方向に沿って間隔をおいて対向して配置されている。
【0032】
前記一対の導電板10、11の摺動子片10c、11cが、前記絶縁基板5の基板部5aに形成された一対の導電パターン6a、6bと摺接するものとなっている。また、前記一対の接続片10b、11bは、前記円板部9bに設けられた通孔9dを通して回転軸9a側へ延設されており、この接続片10b、11bが、回転部材9に保持される後述するチップ型発光素子13の電極13bと弾接するものとなっている。
【0033】
このように、前記回転部材9が、中央に空洞部を有する筒状に形成されていても、前記一対の接続片10b、11bを、前記回転部材9の周方向に間隔をおいて対向して配置するようにすれば、回転部材9の外形を大きくしなくても中央に所望の大きさの空洞部を形成することができるので、容易に照光表示付の小型の回転型電気部品を提供できるものとなっている。
【0034】
また、前記回転部材9の回転軸9aの一側面部には、後述するチップ型発光素子13を保持するホルダー12が係合されるホルダー保持部9eが設けられている。また、このホルダー保持部9eには、ホルダー12の弾性を有するフック状の係合部12dが係合される係合凹部9fが設けられており、これら係合部12d及び係合凹部9fによりホルダー12が前記回転部材9にスナップ止めして取付けられるものとなっている(図3参照)。
【0035】
ホルダー12は、合成樹脂等の絶縁材からなり、略方形の筒状をしており、中央には上下方向に貫通した導光用の中空部12aが設けられている。また、この中空部12aの一側面(底面側)には、上下方向に連続したスリット12bが設けられており、このスリット12bを設けることにより、対向する一対の側面部に弾力性を持たせるようになっている。このホルダー12は、前記回転部材9のホルダー保持部9eに係合されて、照光表示用の光源となるチップ型発光素子13を下端側に位置決めして回転部材9に保持されるようになっている。
【0036】
この場合、前記ホルダー12は、前記スリット12bが設けられた底面側が回転部材9との係合面とされており、照光表示用のチップ型発光素子13からの光は、前記導光用の中空部12aを通して回転部材9の上方側へと導かれるが、前記スリット12bからの光モレは発生しないものとなっている。
【0037】
また、ホルダー12の下端側には、前記チップ型発光素子13の素子部13aをガイドする突状の素子ガイド部12cが設けられており、このホルダー12が前記回転部材9のホルダー保持部9eに係合された際には、この素子ガイド部12cによりチップ型発光素子13が前記回転部材9から外れるのを防止するとともに不所望な光モレを防止している。
【0038】
ここで、前記チップ型発光素子13は、矩形状をした発光ダイオード(LED)からなり、発光面となる素子部13aの上面側の端部が前記ホルダー12の下端側に当接されると共に、前記回転部材9に固着された一対の導電板10、11の接続片10b、11bによって一対の電極13b、13bが挟持されて弾接された状態となっている。すなわち、チップ型発光素子13の対向する一対の側面にそれぞれ設けられた一対の電極13b、13bは、前記回転部材9に固着された一対の導電板10、11を介して前記絶縁基板5の上面側に形成された一対の導電パターン6a、6bと接続され導通するものとなる。
【0039】
また、前記ホルダー12の下端側の対向する一対の側面部には、外方へ突出した弾性を有するフック状の係合部12d、12dが形成されており、このフック状の係合部12d、12dが、前記回転部材9のホルダー保持部9eに形成された前記係合凹部9fにスナップ止めされることにより、ホルダー12が回転部材9に取り付けられるものとなる。
【0040】
このように、前記ホルダー12に、弾性を有するフック状の前記係合部12d、12dを設け、この係合部12d、12dにより前記ホルダー12を前記回転部材9にスナップ止めして取付けると共に、このホルダー12でチップ型発光素子13を位置決めするようにしたので、前記ホルダー12を前記回転部材9に容易に取付けることが可能となり、組立作業性が向上すると共に、ホルダー12によりチップ型発光素子13を回転部材9に確実に位置決めして取付けることができるものとなる。
尚、このフック状の係合部12d、12dは、回転部材9側に形成するようにしても良い。
【0041】
また、前記ホルダー12には、前記導光用の中空部12aと、この中空部12aの上下方向に貫通した弾性付与用の前記スリット12bを設け、このスリット12b側を前記回転部材9に係合する係合面としたので、前記ホルダー12を前記回転部材9に容易にスナップ止めできると共に、前記ホルダー12(スリット12b)からのチップ型発光素子13の光モレを防止できるものとなっている。
【0042】
取付板14は、金属板を打ち抜き、折り曲げて形成されており、円環状の上板部14aと、この上板部14aから直角方向に垂下された複数の係合脚片14b(本実施例では4個)と、一対の枠足14cとを有している。この取付板14は、前記ハウジング1の収納部1bに収容された、前記回転部材9の上方から前記ハウジング1の上面に載置されると共に、前記複数の係合脚片14bが前記ハウジング1の外側面に形成された前記複数の係合溝1dと係合されることにより、前記回転部材9をハウジング1に回転可能に収容して取付けるものとなっている。
尚、図示していないが、ハウジング1には、回転部材9及びクリック板3の回転角度を規制するストッパが設けられており、前記摺動子片10c、11cの摺動領域が導電パターン6a、6bから外れないように構成されている。
【0043】
次に、上記実施例の回転型電気部品の動作について説明すると、前記回転部材9の回転軸9aが回転操作されると、円板部9bの下面側に係合された前記クリック板3が共に回転し、この回転時にクリック板3の背面(裏面)側に設けられた凹凸状のクリックカム3bが、前記ハウジング1の収納部1bに固着された板ばね2のクリック用突起2aと摺動して回転する際のクリック感触を起生する。
【0044】
この時、前記クリック板3の上面側に固着された前記摺動子4が、絶縁基板5の背面側に設けられた前記回路パターン7(コモンパターン7a及び抵抗パターン7b)と摺接することにより、回転角度に則した所望の信号値(抵抗値)が得られるものとなり、接続端子8を介して外部の電子機器等の制御回路へ出力されるものとなる。
【0045】
また、この時、前記回転部材9に取付けられた照光表示用の前記チップ型発光素子13は、一対の電極13b、13bが円板部9bに固着された前記一対の導電板10、11を介して回転操作の間中、常時、絶縁基板5の上面側に設けられた前記一対の導電パターン6a、6bと摺接した状態となっており、接続端子8を介して一対の電極13b、13bに外部の電源が供給されていることから、回転操作中に渡って外部つまみへの照光表示が可能となっている。
【0046】
尚、上記実施例では、回転検出手段である前記回路パターン7をコモンパターン7aと抵抗パターン7bで形成する可変抵抗器回路で構成するようにしたが、本発明はこれに限らず、回路パターン7をコモンパターンとコードパターン、あるいは接点パターン等で形成してエンコーダ回路、あるいはスイッチ回路等を構成するようにしても良い。
【0047】
上記した本発明の実施例によれば、ハウジング1に回転可能に保持された回転部材9と、この回転部材9に固着された弾性を有する一対の導電板10、11と、この導電板10、11と当接する一対の電極13b、13bを一対の側面に有するチップ型発光素子13と、一対の導電パターン6a、6bを有する絶縁基板5とを備え、前記一対の導電板10、11には、一端側に立設されて互いに対向して配置された接続片10b、11bと、他端側に前記一対の導電パターン6a、6bと摺接する摺動子片10c、11cを設け、この一対の接続片10b、11bを前記チップ型発光素子13の一対の電極13b、13bにそれぞれ弾接させると共に、前記一対の接続片10b、11bで前記チップ型発光素子13を挟持して前記回転部材9に保持したことから、前記チップ型発光素子13の一対の電極13b、13bに前記接続片10b、11bの弾発力が加わったとしても、前記一対の電極13b、13bはそれぞれ反対側の側面に形成されているため、これらの電極13b、13bが内側に変形することがないので、前記電極13b、13bと前記接続片10b、11bとの接続が確実に行なわれることになり、接続信頼性が向上するものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の回転型電気部品を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の回転型電気部品を示す全体斜視図である。
【図3】本発明の回転型電気部品を示す要部断面図である。
【図4】本発明のチップ型発光素子を示す斜視図である。
【図5】本発明のチップ型発光素子を示す平面図である。
【図6】本発明のホルダーを示す斜視図である。
【図7】本発明のホルダーを示す背面図である。
【図8】本発明の導電板を示す斜視図である。
【図9】本発明の導電板を示す平面図である。
【図10】本発明の絶縁基板を示す正面図である。
【図11】本発明の絶縁基板を示す背面図である。
【図12】従来の回転型電気部品を示す断面図である。
【図13】従来の同光源用接点基板を示す平面図である。
【図14】従来の同光源用回転体を示す平面図である。
【符号の説明】
【0049】
1:ハウジング
1a:筒状軸
1b:収納部
1c:収容凹部
1d:係合溝
2:板ばね
2a:クリック用突起
3:クリック板
3a:基盤部
3b:クリックカム
3c:突出部
3d:係合凹溝
4:摺動子(回転検出手段)
5:絶縁基板
5a:基板部
5b:基台部
6a:導電パターン
6b:導電パターン
6c:引出しパターン
6d:引出しパターン
7:回路パターン(回転検出手段)
7a:コモンパターン
7b:抵抗パターン
7c:引出し部
8:接続端子
8a:固着部
9:回転部材
9a:回転軸
9b:円板部
9c:係合片
9d:通孔
9e:ホルダー保持部
9f:係合凹部
10:導電板
10a:基部
10b:接続片
10c:摺動子片
11:導電板
11a:基部
11b:接続片
11c:摺動子片
12:ホルダー
12a:中空部
12b:スリット
12c:素子ガイド部
12d:係合部
13:チップ型発光素子
13a:素子部
13b:電極
14:取付板
14a:上板部
14b:係合脚片
14c:枠足

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、このハウジングに回転可能に保持された回転部材と、この回転部材に取付けられた弾性を有する一対の導電板と、前記ハウジング内に保持され、前記導電板と摺接する円弧状の一対の導電パターンを有する絶縁基板と、前記一対の導電板を介して前記一対の導電パターンと導通する一対の電極を一対の側面に有するチップ型発光素子と、前記回転部材の回転を検出する回転検出手段とを備え、前記一対の導電板には、一端側に立設されて互いに対向して配置された接続片と、他端側に前記一対の導電パターンと摺接する摺動子片を設け、前記一対の接続片を前記チップ型発光素子の一対の電極にそれぞれ弾接させると共に、前記一対の接続片で前記チップ型発光素子を挟持して前記回転部材に保持したことを特徴とする回転型電気部品。
【請求項2】
前記回転部材に係合されるホルダーを備え、このホルダーあるいは前記回転部材に、弾性を有するフック状の係合部を設け、この係合部により前記ホルダーを前記回転部材にスナップ止めして取付けると共に、前記ホルダーで前記チップ型発光素子を位置決めしたことを特徴とする請求項1記載の回転型電気部品。
【請求項3】
前記ホルダーには、導光用の中空部と、この中空部の上下方向に貫通した弾性付与用のスリットを設け、このスリット側を前記回転部材に係合する係合面としたことを特徴とする請求項2記載の回転型電気部品。
【請求項4】
前記絶縁基板の一面側に前記チップ型発光素子用の一対の導電パターンを設けると共に、前記絶縁基板の他面側には、前記回転検出手段用の回路パターンを形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の回転型電気部品。
【請求項5】
前記回転部材は、中央に空洞部を有する筒状に形成され、前記一対の接続片は、前記回転部材の周方向に間隔をおいて対向して配置したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の回転型電気部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2006−19337(P2006−19337A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192998(P2004−192998)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】