説明

回転式分配装置

【課題】
ガスハイドレートペレット等の壊れやすく、かつ流動性の低い固形物を運搬庫や貯蔵庫等に分配して搬送する分配装置であって、大きな動力を必要とせずに、かつ大型化の実現が可能な回転式分配装置を提供する。
【解決手段】
筐体14の上部に固形の被搬送物を供給する供給口12を配置し、前記筐体14の下部を傾斜面で構成し、前記傾斜面に被搬送物を排出するための複数の排出口13を配置し、前記供給口12と前記排出口13を分配管11が選択的に係合して連通するよう支持し、前記分配管11を回転させるための回転装置20を設置し、前記供給口12に供給した被搬送物が前記排出口13から排出されるよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスハイドレートペレット等の固形物を運搬庫や貯蔵庫等に分配して搬送する分配装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、天然ガス等の安全かつ経済的な輸送・貯蔵手段として、この天然ガスを水和させて固体状態の水和物としたガスハイドレートを用いる方法が注目されている。
【0003】
一般にガスハイドレートとは、原料ガスと原料水を低温・高圧下で反応させることにより生成される、水分子と気体分子からなる氷状の固体結晶であり、水分子が構築する立体構造の籠(ケージ)の内部に気体分子が介在する包接(クラスレート)水和物(ハイドレート)の総称である。
【0004】
天然ガスハイドレートは1mのガスハイドレートの中に天然ガスを約165Nmも包蔵している。このため、天然ガスの輸送及び貯蔵手段としてガスハイドレートを利用する研究開発が盛んに行われている。
【0005】
天然ガスをハイドレート化する利点としては、(a)天然ガスハイドレートは後述する自己保存効果を利用することで、大気圧下の平衡温度−80℃(193K)より高い温度である−20℃(253K)で安定するため、既に、実用化されている液化天然ガス(LNG)の大気圧下における貯蔵及び輸送温度(−163℃(110K))よりも緩やかな温度条件で貯蔵や輸送が可能となること、(b)また、上記のように、天然ガスハイドレートの自己保存効果を利用することで、大気圧下の平衡温度−80℃(193K)より高い温度である−20℃(253K)で貯蔵や輸送が可能なことから、貯蔵や輸送設備の耐久性や断熱性を大幅に簡略化できること等を上げることができる。
【0006】
また、このようにして得られるガスハイドレートは水分を40から60重量%程度含有するスラリ状となる。そのため、脱水や再生成などによりガスハイドレートを約90重量%まで高めて、大気圧下で圧縮成形してアーモンド状、レンズ状、球形状又は不定形状等の成形物やブロック状の大型成形物に加工することにより貯蔵しやすくするということが行われている。
【0007】
さらに、天然ガスハイドレートは、自己保存効果(Self-Preservation)と称する特殊な性能を有するため、平衡条件外でも比較的安定した状態で存在することが知られている。自己保存状態にある天然ガスハイドレートの表面には透明氷膜が形成されており、この氷膜が自己保存性を発現させていることが明らかになりつつある。
【0008】
この自己保存効果によると−20℃(253K)付近における天然ハイドレートの分解量が最も少なく、この現象を利用すれば天然ガスハイドレートを比較的安定した状態で保存することができる。
【0009】
ここで、図8に示すようにガスハイドレートを圧縮成形して球形状等にしたペレット43を、例えばトレーラ42の荷台等の箱状の貯蔵庫や運搬庫に搬送する際、前記ペレット43は粉雪を押し固めたようなものであり流動性が低いため、箱状の運搬庫の上面に設置された1つの搬入口44からペレット43を流し込んでも、運搬庫の隅々までいきわたらないため、ペレット43を運搬庫の複数の搬入口44から分配して搬送する必要がある。
【0010】
その分配をするための分配装置として、図9に示すサークルフィーダ51や、図11に示すダイバータ等の三方弁55が用いられている。
【0011】
図11はダイバータ等の三方弁55を示しており、1つの供給口12より供給されるペレット43を2つの排出口13の任意の一方から排出するよう構成している。排出口13の選択は切替レバー56により行われ、前記切替レバー56に軸58を介して接続されたフラップ板57で排出しない側の排出口13を封鎖することにより、ペレット43を任意の排出口13から排出することを可能としている。
【0012】
図9に示すサークルフィーダ51は供給口12より例えば直径20mmの球形状のペレット43を投入し、前記サークルフィーダ51の底部に設けられた回転羽根52が回転することにより、ペレット43を分配するよう構成している。
【0013】
図10は前記サークルフィーダ51の底部の側面図を示しており、供給口12より供給されたペレット43は回転羽根52上に落下し、駆動装置53で回転する回転羽根52により底部の外周方向に設けられた複数の排出口13に分配されるよう構成されている。図10に示す矢印はペレット43の搬送方向を示しており、分配を行わない排出口13は振り分け板54で封鎖することにより、ペレット43を任意の排出口13から排出可能となっている。
【0014】
ここで前記サークルフィーダ51は供給口12から大量のペレット43を投入可能としているため、ペレット43の自重により圧密が発生し、前記サークルフィーダ51を閉塞してしまう問題があった。
【0015】
上記の問題に対して、サークルフィーダ51の内壁を下方に向かって広がるよう構成することで、被運搬物の内壁への付着や圧密によるサークルフィーダ51の閉塞を防止することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−302374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1に記載のサークルフィーダは第1に被搬送物をガスハイドレートペレット43とした場合、ペレット43はシャーベット状の粉雪のような粉体を圧縮成形したものであるため、内壁への付着が発生しやすいため閉塞を防止することはできない。つまり、サークルフィーダ内に、ペレット43の付着と圧密によりブリッジを形成することで閉塞を引き起こす問題が発生する。
【0017】
第2に図9及び図10に示すようにサークルフィーダ51は回転羽根52を供えており、前記回転羽根52を回転させることでペレット43の分配を行っているため、常に回転羽根52を回転させている必要があり、そのための動力を確保する必要がある。
【0018】
第3にペレット43の処理量を増加させるためにサークルフィーダ51の大型化を考えた際、巨大な回転羽根52を回転させることは困難であり、エネルギ効率も悪化するため大型化の実現は困難となる。
【0019】
第4に回転羽根52で分配を行う際、ペレット43は前記回転羽根52上で滞留するため、サークルフィーダ51にペレット43を供給してから排出されるまでに時間差が生じてしまう。そのため、例えばトレーラ等の運搬庫内へ分配搬送を行う際、運搬庫内の状況を見ながら直接的にペレット43の供給量を制御することは困難となり、トレーラ等へのペレット43積み込み作業を行う現場での作業性の低下が問題となっている。
【0020】
第5にペレット43は壊れやすいため、回転羽根52の回転により破壊されてしまうことも多く、破壊に伴い発生するペレット43の粒体粉が堆積しサークルフィーダ51の閉塞の原因となる。また、ペレット43が破壊されることで前述した自己保存効果を発揮するための水膜も破壊され、ペレット43の保存性が悪化し、前記ペレットの分解が進むため貯蔵又は運搬の効率が大幅に低下する原因となる。
【0021】
一方、ダイバータ等の三方弁55は回転羽根52等の動力を必要としないが、分岐が2つのみとなるため、複数個所へのペレット43の分配をする際は、複数個の三方弁55を多段的に組み合わせて使用する必要があり、非効率的であった。
【0022】
また、ペレット43を分配する処理量を増加するためには大型化が必要となるが、図11に示すように三方弁55は、フラップ板57を軸58で支えているため、フラップ板57が大型となると軸58で支えきれなくなる問題がある。
【0023】
そこで、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、ガスハイドレートペレット等の壊れやすく、かつ流動性の低い固形物を運搬庫や貯蔵庫等に分配して搬送する分配装置であって、大きな動力を必要とせずに、かつ大型化の実現が可能な回転式分配装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係る回転式分配装置10は、筐体14の上部に固形の被搬送物を供給する供給口12を配置し、前記筐体14の下部を傾斜面で構成し、前記傾斜面に被搬送物を排出するための複数の排出口13を配置し、前記供給口12と前記排出口13を分配管11が選択的に係合して連通するよう支持し、前記分配管11を回転させるための回転装置20を設置し、前記供給口12に供給した被搬送物が前記排出口13から排出されるよう構成したことを特徴とする。
【0025】
請求項2に記載の発明に係る回転式分配装置10は、前記分配管11を湾曲した管とし、前記分配管11は前記供給口12と前記複数の排出口13のいずれか1つが連通するように回転可能に支持されていることを特徴とする。
【0026】
請求項3に記載の発明に係る回転式分配装置10は、前記被搬送物がガスハイドレートペレット43であり、前記筐体14に冷却ガスを供給するための冷却ガス管17を設置し、前記分配管11に冷却ガスを分配管内に流入させるためのスリット16を設けたことを特徴とする。
【0027】
請求項4に記載の発明に係る回転式分配装置10は、前記複数の排出口13からペレット43を輸送するための輸送管41を、複数の搬入口44をもつペレット運搬のためのトレーラ42の前記搬入口44にそれぞれ接続し、前記分配管11を回転させることで任意の搬入口44にペレットを搬入していくよう構成したことを特徴とする。
【0028】
請求項5に記載の発明に係る回転式分配装置10は前記分配管11から下方に筐体14を貫通して伸ばした棒状体34を設置し、前記棒状体34に前記分配管11と接続されている排出口13を検知するための位置検知装置30を設けたことを特徴とする。
【0029】
請求項6に記載の発明に係る回転式分配装置10は、前記回転装置20の動力をエアシリンダとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
分配装置における排出口13の位置の切替を、曲管である前記分配管11により行うことで、大きな動力を必要とせずに、かつ大型化の容易な回転式分配装置10を提供することを可能にした。
【0031】
即ち、第1に本発明の回転式分配装置10は、ペレット43の搬送時には、供給口12と複数の排出口13のいずれか1つが分配管11で接続されているため、ペレット43は前記サークルフィーダ51や三方弁55と異なり機械的な部分を通過することがなく、曲管内を搬送されるに過ぎないため、回転式分配装置10内におけるペレット43の付着や圧密によるブリッジの形成がほとんど発生せず、回転式分配装置10の閉塞を抑制することを可能にした。
【0032】
第2に、ペレット43を排出する複数の排出口13の切替時のみ分配管11を回転させればよいため、常に回転羽根52を回転させる必要のあるサークルフィーダ51と比べ少ない動力で分配を行うことを可能にした。
【0033】
第3に、排出口13の切替時のみ分配管11が回転するよう構成しているため、分配装置の大型化も容易であり、大型化に伴うエネルギ効率の低下も抑制することを可能にした。
【0034】
第4に、供給口12と排出口13は、曲管である分配管11で連結されるため、ペレット43の供給に対して排出が即行われ、回転式分配装置10におけるペレット43の滞留等の移動抵抗がないため、ペレット43の供給量を調整することで、ペレット43の分配搬送先である例えばトレーラ等の運搬庫内への運搬状態を制御することが可能となる。
【0035】
第5に、本発明の回転式分配装置10内のペレット43の搬送路は、曲管である分配管11となり、サークルフィーダ51の回転羽根52や三方弁55のフラップ板57等の機械的な部分を通過することがないため、ペレット43の破壊及び分解が抑制され、ハイドレートガス充填率の高い高品質なペレット43を貯蔵、運搬することを可能にした。
【0036】
第6に、回転式分配装置10に冷却ガスを供給する冷却ガス管17を設置したことで、例えば−20℃に冷却されたペレット43の温度を維持し、ペレット43の分解を抑制することを可能とした。
【0037】
第7に、分配管11の回転方向を検知するための位置検知装置30を設置したことで、分配管11と排出口13の接続を確実なものとした。さらに、分配管11を回転させる回転装置20の動力をエアシリンダとすることで、引火性の高い天然ガスハイドレートペレット等を分配する際に、電気モータ等で発生する放電による引火の危険性を排除し、かつオーバーシュートの発生による位置合わせの困難性を排除した。
【0038】
上述のように、ペレット43を貯蔵庫及び運搬庫等に搬送する際に使用する分配器の内部に、湾曲した分配管11を回転可能に設置することで、大きな動力を必要とせず、かつ大型化の実現が容易な回転式分配装置10を実現した。よって、ペレット43を効率的に貯蔵庫及び運搬庫等への分配搬送を実現し、さらに分配器の大型化によってペレット43の処理量の増加が可能となり、大規模なガスハイドレート製造プラントの実現の一助となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明を図に示す実施例を参照して具体的に説明する。
【0040】
図1は本発明の実施例の1つである回転式分配装置10を示しており、筐体14の上部にペレット43を供給する供給口12を配置し、筐体14の下部の傾斜面を円錐面29又は角錐面とし、前記円錐面29又は角錐面にペレット43を排出するための複数の排出口13を配置し、湾曲した分配管11を前記供給口12と前記排出口13の1つと接続するよう支持し、前記分配管11を回転させるための回転装置20を設置し、前記供給口12に供給したペレット43が前記排出口13の任意に選択した1つから排出されるよう構成している。
【0041】
筐体14内にペレット43を冷却するための冷却ガスを供給する冷却ガス管17を設置している。
【0042】
前記分配管11はペレット43の分配する場所に応じて、回転することで供給口12と複数の排出口13の内の1つを接続することで、被搬送物であるペレット43を任意の排出口13から分配して排出することを可能としている。
【0043】
前記分配管11を回転させるための回転装置20は、エアシリンダである可動シリンダ21と固定シリンダ22と切替シリンダ23を具備している。
【0044】
前記分配管11にはどの排出管13と接続されているかの位置を検知するための位置検知装置30が接続されている。前記分配管11から筐体14の外に棒状体34が伸びており、前記棒状体34の先端には位置表示器33が設置されている。前記位置表示器33の方向を目視で確認することで分配管11に接続されている排出管13の位置を知ることが可能となっている。
【0045】
また、前記棒状体34には位置検知カム31が接続されており、前記位置検知カム31はリミットスイッチ32に連結されている。前記リミットスイッチ32は分配管11と排出管13の位置合わせを行うために設置されており、分配管11が排出口13との接続面を行き過ぎて、ずれて接続することを防止する機能を備えている。
【0046】
図2は円錐面29に排出口13を6つ設置した回転式分配装置10の斜視図を示している。1つの供給口12から供給されたペレット12を6つの排出口13のいずれか1つから排出することを可能としている。
【0047】
図3は前記筐体14の下部の円錐面29に、6つの排出口13を接続した部分の分解図を示しており、図4は前記筐体14の下部の円錐面29の斜視図を示している。筐体14下部の中央には小山状の部材を設置しており、分配管11の湾曲部が前記小山状の部材に沿って回転するよう構成している。
【0048】
図5は分配管11と回転装置20の組み立て前の分解図を示している。分配管11には位置検知装置30につながる棒状体34が固定されており、分配管11の湾曲部の上部には分配管11に回転の動力を伝えるため、シリンダ孔15を設けた回転板28を固定している。
【0049】
前記回転板28の上部に筐体14に固定される固定枠25が設置される。前記固定枠25は、前記固定枠25に固定された固定シリンダ22から押し出されるピストンが通過し、前記シリンダ孔15に達するよう固定孔27が設けられている。また、可動シリンダ21から押し出されるピストンが通過し、前記シリンダ孔15に達するための可動孔26が設けられている。
【0050】
前記固定枠25の上部に可動枠24が回転可能に設置され、前記可動枠24に切替シリンダ23のピストン及び可動シリンダ21が固定される。また、前記切替シリンダ23の本体は固定枠25又は筐体14に固定している。
【0051】
図6は回転装置20を組立てた状態の斜視図を示している。
【0052】
以下に回転装置20の動作に関する詳細の説明を行う。
【0053】
ペレット43搬送時は固定枠25に固定された固定シリンダ22のピストンが、固定孔27を貫通して前記シリンダ孔15に嵌入されることにより、分配管11は固定されている。これは分配管11内部をペレット43が移動することで、分配管11が回転して排出口13とずれることを防止するためである。
【0054】
前記分配管11を回転させ、異なる排出口13へ連結する際は、まず可動シリンダ21のピストンを可動孔26に貫通させ、シリンダ孔15に嵌入し、固定シリンダ22のピストンをシリンダ孔15から抜くことで、分配管11の固定を解除する。
【0055】
可動シリンダ21を介して可動枠24と分配管11は連動する状態になっており、可動枠24に接続された切替シリンダ23のピストンを押し出すことで、可動枠24は回転する。
【0056】
切替シリンダ23の押し出しにより、可動枠24及び分配管11を回転させ排出口13と連結した後、固定シリンダ22により分配管11を固定して回転装置20の回転を完了させる。
【0057】
ここで、図3に示す排出口13を6つ備えた回転式分配装置10の場合、前記回転板28のシリンダ孔15は、同一円周上に均等に6つ設けられており、分配管11が排出口11のいずれと連結されている場合も、固定シリンダ22の下方にシリンダ孔15が位置するよう構成されている。
【0058】
前記可動枠24は、連結された切替シリンダ23の摺動により角度が60度の範囲で回転するよう構成されている。即ち、1回の可動枠24の回転により分配管11は60度回転することとなり、1つとなりの排出口13に移動することになる。
【0059】
前記可動枠24の動作範囲である60度に対応するよう、固定枠25の可動孔26は設けられており、前記可動孔26は、可動枠24に固定された可動シリンダ21から押し出されたピストンが60度の範囲で移動可能な大きさとなっている。即ち、可動孔26からは、回転板28の隣り合う2つのシリンダ孔15を望むことができる。
【0060】
上記のように回転装置20を構成することにより、分配管11を左回転させる際には、可動孔26の手前側に見えるシリンダ孔15に可動シリンダ21のピストンを嵌入し、切替シリンダ23を押し出すことで、分配管11を左に60度回転させ、対応する排出口13と接続する。
【0061】
分配管11を右回転させる際には、可動孔26の奥側に見えるシリンダ孔15に可動シリンダ21のピストンを嵌入視、切替シリンダ23を引き込むことで、分配管11を右に60度回転させ、対応する排出口13と接続する。
【0062】
例えば2つ隣の排出口13に分配管11を接続する場合には、上記の作業を2回繰り替えして行う。
【0063】
また、切替シリンダ23のピストンの押し出し量は、図1に示す位置検知装置30から送られる制御信号35により制御され、分配管11と排出口13の位置合わせが正確に行えるよう構成されている。
【0064】
さらに、排出口13が8つの回転式分配装置10の場合には、排出口13は45度ずつ離れて設置されているため、シリンダ孔15は8つとなり、可動孔26は8つのシリンダ孔15の少なくとも2つがのぞけるように構成し、可動枠24は切り替えシリンダ23によって45度の範囲で回転可能に構成する。
【0065】
本発明の回転装置20は動力をエアシリンダとすることで、電気モータを動力とした際に発生するオーバーシュートや放電の可能性を排除している。電気モータを動力とすると、電気モータの特性により、分配管11と排出口13が合う位置よりも手前若しくは回り過ぎるといった現象が発生し、位置決めが正確かつ迅速に行えない問題が発生する。
【0066】
さらに、電気モータを使用することで、放電が発生する可能性があり、本発明の回転式分配装置10の被搬送物を天然ガスハイドレートペレットとした場合、引火や爆発の危険があるため、動力をエアシリンダとすることで、正確かつ安全な回転装置20を提供可能とした。
【0067】
図7は分配管11の拡大図を示しており、分配管11に、シリンダ孔15を少なくとも排出口13の数だけ設けた回転板28を固定している。回転装置20により分配管11が回転する際には、分配管11と回転板28が一体に回転するよう構成されている。
【0068】
分配管11の側面にはスリット16が設けられており、これは被搬送物であるペレット43を冷却するための冷却ガスの通過スリットとなっている。例えば天然ガスハイドレートペレットは−5℃から−30℃で冷却する必要があるため、回転式分配装置10を通過する際に冷却を行うことで、ペレット43の分解を押さえ、ペレット43の品質を維持した状態で、貯蔵庫又は運搬庫等に分配搬送することを可能としている。
【0069】
また、図4に示す円錐面29内で分配管11を回転させる際、分配管11の排出口側の端面と前記円錐面29の内面との接続に隙間等が発生すると、そこからペレット43等が筐体14内にもれ、回転式分配装置10の不具合や故障の原因となり、さらに被搬送物が失われるため、搬送効率の低下につながる。
【0070】
そこで、図7に示すように分配管11の排出口側との接続端面は、管の長手方向に対して垂直に切断したものから、さらにXに示す側方部を前記円錐面29の内面に隙間なく沿うように研磨したものを使用している。
【0071】
図8は本発明の回転式分配装置10によりペレット43を、運搬装置であるトレーラ42の運搬庫に搬送する様子を示している。図8に示す矢印からペレット43が供給されペレット搬送路41を経由して、回転式分配装置10の供給口12に供給され、分配されたペレット43はペレット搬送路41を経由してトレーラ42の搬入口44から運搬庫内に搬送される。前記回転式分配装置10は図示しない櫓等で支持している。
【0072】
ここで、ペレット43等の流動性の低い被搬送物は、例えばトレーラ42の最後尾に位置する搬入口44から搬入すると、運搬庫内で小山状に堆積し、前方まで流れて行かず、運搬庫内に均一に被搬送物を搬送することが困難となる。
【0073】
そこで、本発明の回転式分配装置10を使用することで、2台のトレーラ42の6つの搬入口44に分配しながらペレット43を搬入することで、前記運搬庫内に均一にペレット43を供給することが可能となり、ペレット43の積み込み作業を効率的に行うことを可能とした。
【0074】
上述のように、本発明の回転式分配装置10により、ガスハイドレートペレット等の壊れやすく、かつ流動性の低い固形物を運搬庫や貯蔵庫等に分配して搬送する分配装置であって、大きな動力を必要とせずに、かつ大型化の実現が可能な回転式分配装置10の提供を実現した。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の回転式分配装置の実施例の1つを示した概略の断面図である。
【図2】回転式分配装置の概観図である。
【図3】回転式分配装置の筐体下部を示した平面図である。
【図4】回転式分配装置の筐体下部の斜視図である。
【図5】回転式分配装置の回転装置の分解図である。
【図6】回転式分配装置の回転装置の組立図である。
【図7】回転式分配装置の分配管の拡大図である。
【図8】回転式分配装置の使用状態を示した概略図である。
【図9】サークルフィーダの概略図である。
【図10】サークルフィーダの下部の側面図である。
【図11】ダイバータの概略図である。
【符号の説明】
【0076】
10 回転式分配装置
11 分配管
12 供給口
13 排出口
14 筐体
15 シリンダ孔
16 スリット
17 冷却ガス管
20 回転装置
21 可動シリンダ
22 固定シリンダ
23 切替シリンダ
24 可動枠
25 固定枠
26 可動孔
27 固定孔
28 回転盤
29 円錐面
30 位置検知装置
33 位置表示器
41 ハイドレート搬送路
43 ペレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の上部に固形の被搬送物を供給する供給口を配置し、前記筐体の下部を傾斜面で構成し、前記傾斜面に被搬送物を排出するための複数の排出口を配置し、前記供給口と前記排出口を分配管が選択的に係合して連通するよう支持し、前記分配管を回転させるための回転装置を設置し、前記供給口に供給した被搬送物が前記排出口から排出されるよう構成したことを特徴とする被搬送物を分配するための回転式分配装置。
【請求項2】
前記分配管を湾曲した管とし、前記分配管は前記供給口と前記複数の排出口のいずれか1つが連通するように回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の回転式分配装置。
【請求項3】
前記被搬送物がガスハイドレートペレットであり、前記筐体に冷却ガスを供給するための冷却ガス管を設置し、前記分配管に冷却ガスを分配管内に流入させるためのスリットを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転式分配装置。
【請求項4】
前記複数の排出口からペレットを輸送するための輸送管を、複数の搬入口をもつペレット運搬のためのトレーラの前記搬入口にそれぞれ接続し、前記分配管を回転させることで任意の搬入口にペレットを搬入していくよう構成したことを特徴とする請求項3に記載の回転式分配装置。
【請求項5】
前記分配管から下方に筐体を貫通して伸ばした棒状体を設置し、前記棒状体に前記分配管と接続されている排出口を検知するための位置検知装置を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の回転式分配装置。
【請求項6】
前記回転装置の動力をエアシリンダとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の回転式分配装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−242022(P2009−242022A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88457(P2008−88457)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18〜19年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、高効率天然ガスハイドレート製造利用システム技術実証研究の委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】