回転角センサ
【課題】使用する永久磁石の構造の単純化や小型化によって、コスト軽減と、軽量化を図ることのできる回転角センサを提供すること。
【解決手段】回転軸23上のヨークの一対の円板部25a,25bに永久磁石27を装備して、一対の円板部25a,25bの外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成し、一対の円板部25a,25bの外周囲のセンサ設置位置に設けたホール素子の出力信号によって回転軸23の回転角を検出する回転角センサにおいて、回転した際にホール素子との間の離間距離が周方向に徐々に変化する傾斜姿勢に一対の円板部25a,25bを固定したことで、永久磁石27を板厚が一定の円板状に形成して、使用する永久磁石27の小型化や構造の単純化を実現することができる。
【解決手段】回転軸23上のヨークの一対の円板部25a,25bに永久磁石27を装備して、一対の円板部25a,25bの外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成し、一対の円板部25a,25bの外周囲のセンサ設置位置に設けたホール素子の出力信号によって回転軸23の回転角を検出する回転角センサにおいて、回転した際にホール素子との間の離間距離が周方向に徐々に変化する傾斜姿勢に一対の円板部25a,25bを固定したことで、永久磁石27を板厚が一定の円板状に形成して、使用する永久磁石27の小型化や構造の単純化を実現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸と一体に回転するヨークの円板部の周方向に徐々に強さが変化する磁界をホール素子によって検出して、前記回転軸の回転角を検出する回転角センサに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、回転軸と一体に回転するヨークの円板部の周方向に徐々に強さが変化する磁界をホール素子によって検出して、前記回転軸の回転角を検出する回転角センサが記載されている。
【0003】
図7及び図8は、下記特許文献1に記載の回転角センサと同様な仕組みで回転軸の回転を検出する回転角センサの構成を示したものである。
図7及び図8に示した回転角センサ1は、センサケース3に回転自在に支持された回転軸5に、高透磁材料製のヨーク7と、該ヨーク7に固定された永久磁石9と、印加される磁界の強さに応じた出力信号を発生するホール素子(ホールIC)11とを備えた構成である。
【0004】
回転軸5は、中心に不図示の駆動軸が嵌合する軸係合孔5aが貫通形成されていて、軸係合孔5aに嵌合した駆動軸と一体に回転する。
【0005】
ヨーク7は、図7及び図10に示すように、回転軸5の軸方向に離間した回転軸5上の2箇所に鍔状に固定装備される一対の円板部7a,7bと、これらの一対の円板部7a,7bを磁気的に結合する連結部7cとを、高透磁材料の金属板のプレス成形で一体形成したものである。
【0006】
一対の円板部7a,7bは、いずれも、回転軸5の軸線方向に直交するように、回転軸5に取り付けられる。円板部7a,7bには、軸係合孔5aと同心に、軸係合孔8が貫通形成されている。
【0007】
永久磁石9は、図9に示すように、一対の円板部7a,7bのそれぞれの対向面に積層状態に設けられた一対の磁石板9a,9bから構成されている。
一対の磁石板9a,9bは、平面視の形状は円板部7a,7bと略同一で、図9及び図11に示すように、中心部には、軸係合孔5aに同心に、軸係合孔10が貫通形成されている。
【0008】
一対の磁石板9a,9bは、側面視の形状では、図11(a)に示すように、周方向に徐々に板厚が変化するテーパ構造になっている。これは、一対の円板部7a,7bの外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成するためである。
【0009】
回転軸5は樹脂製である。一対の円板部7a,7b及び磁石板9a,9bは、インサート成形により回転軸5に一体化され、図9に示す軸組立体15として、センサケース3に組み付けられる。
【0010】
ホール素子11は、一対の円板部7a,7bの外周側で、対向する一対の永久磁石9,9間の隙間の中間に磁界検出部11aが位置するように、センサケース3に固定される。ホール素子11の出力端子は、センサケース3に設けられた外部接続端子17に接続されている。
【0011】
図7及び図8に示した回転角センサ1では、前述のように磁石板9a,9bが一対の円板部7a,7bの周方向に徐々に厚さが変化する構造となっているため、軸組立体15が図8の矢印E方向に回転駆動されると、磁界検出部11aと磁石板9a,9bとの間の隙間(ギャップ)が円板部7a,7bの周方向に徐々に変化し、これにより、磁界検出部11aを横切る磁束密度が変化するため、ホール素子11の出力が軸組立体15の回転角に応じて変化し、回転軸5の回転角が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−028312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、一対の円板部7a,7bの外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成するために、円板部7a,7bに固定する磁石板9a,9bを、図11(a)に示したように板厚が徐々に変化する構造とした従来の回転角センサ1では、磁石板9a,9bの板厚が嵩んで重量化を招くと共に、テーパ面を持つ磁石板9a,9bの加工に手間がかかり、低コスト化が難しいという問題も生じた。
【0014】
本発明の目的は上記課題を解消することに係り、磁界形成のために使用する永久磁石の形状を単純にして加工を容易にすると共に小型化して、コスト軽減と、軽量化を図ることのできる回転角センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)回転軸の軸方向に離間した前記回転軸上の2箇所に鍔状に固定装備される一対の円板部とこれらの一対の円板部を磁気的に結合する連結部とを一体形成した高透磁材料製のヨークと、
前記一対の円板部の対向端面間に装備されて前記一対の円板部の外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成する永久磁石と、
前記一対の円板部の外周囲に固定設定されたセンサ設置位置に固定配置されて前記回転軸の回転時に前記センサ設置位置を通過する前記円板部外周における磁界の強さに応じた出力信号を発生するホール素子と、
を備えた回転角センサであって、
前記センサ設置位置は、前記一対の円板部の外周縁部に挟まれる適宜位置であり、
前記一対の円板部は、前記回転軸の回転時に前記ホール素子に対向する前記一対の円板部の外周縁部表面と前記ホール素子との間の離間距離が前記一対の円板部の回転に伴って前記円板部の周方向に徐々に変化する傾斜姿勢で前記回転軸に固定され、
前記永久磁石は、板厚が一定の円板状に形成されて、前記ホール素子に対向する前記円板部の表面に積層状態に装備されたことを特徴とする回転角センサ。
【0016】
(2)車両のATシフトポジションセンサに用いられることを特徴とする上記(1)に記載の回転角センサ。
【0017】
(3)車両のスロットル位置センサに用いられることを特徴とする上記(1)に記載の回転角センサ。
【0018】
(4)車両の燃料残量センサに用いられることを特徴とする上記(1)に記載の回転角センサ。
【0019】
上記(1)の構成によれば、永久磁石を固定するヨークの一対の円板部自体が回転軸に傾斜姿勢で装備されていて、回転時には、ホール素子と円板部とのギャップが徐々に変化するため、円板部に固定される永久磁石は板厚が一定の円板状であっても、永久磁石とホール素子との間の隙間が円板部の回転と共に徐々に変化して、前記一対の円板部の外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成することができる。
【0020】
即ち、永久磁石は板厚が一定の円板状であっても、回転軸と一体に円板部が回転駆動されると、ホール素子と各永久磁石との間の隙間が円板部の周方向に徐々に変化し、これにより、ホール素子を横切る磁束密度が変化するため、ホール素子の出力が回転軸の回転角に応じて変化し、回転軸の回転角を検出することができる。
【0021】
そして、ヨークの一対の円板部に固定する各永久磁石は、板厚が一定の単純な構造とすることにより、手間のかかる加工が不要になり、加工コストの低減により、低コスト化を図ることができる。
【0022】
また、板厚を一定とした薄肉化により材料の節減による低コスト化や、軽量化を図ることもできる。
【0023】
上記(2)、(3)、(4)の構成によれば、回転角センサが、車両のATシフトポジションセンサ、スロットル位置センサ、燃料残量センサ等に用いられることにより、車両の小型化、軽量化、コスト軽減に貢献できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明による回転角センサによれば、ヨークの円板部に固定する永久磁石は、板厚が一定の単純な円板状にでき、永久磁石の構造の単純化や薄肉化による小型化によって、コスト軽減と、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る回転角センサの一実施形態の縦断面図である。
【図2】図1のF−F断面図である。
【図3】図2に示した回転角センサにおける軸組立体のG−G断面図である。
【図4】(a)は図1に示した回転角センサで使用しているヨークの側面図、(b)は(a)のH矢視図である。
【図5】(a)は図1に示した回転角センサで使用している一対の永久磁石の側面図、(b)は(a)I矢視図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるホール素子と永久磁石との間の隙間の説明図である。
【図7】従来の回転角センサの縦断面図である。
【図8】図7のA−A断面図である。
【図9】図8に示した回転角センサにおける軸組立体のB−B断面図である。
【図10】(a)は図7に示した回転角センサで使用しているヨークの側面図、(b)は(a)のC矢視図である。
【図11】(a)は図7に示した回転角センサで使用している一対の永久磁石の側面図、(b)は(a)D矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る回転角センサの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態の回転角センサ21は、センサケース3に回転自在に支持された回転軸23に、高透磁材料製のヨーク25と、該ヨーク25に固定された永久磁石27と、印加される磁界の強さに応じた出力信号を発生するホール素子(ホールIC)11とを備えた構成である。
【0028】
回転軸23は、中心に不図示の駆動軸が嵌合する軸係合孔23cが貫通形成されていて、軸係合孔23cに嵌合した駆動軸と一体に回転する。
【0029】
ヨーク25は、図1及び図4に示すように、回転軸23の軸方向に離間した回転軸23上の2箇所に鍔状に固定装備される一対の円板部25a,25bと、これらの一対の円板部25a,25bを磁気的に結合する連結部25cとを、高透磁材料の金属板のプレス成形で一体形成したものである。
【0030】
ホール素子11は、回転軸23に固定された一対の円板部25a,25bの外周囲に固定設定されたセンサ設置位置(図1及び図2に示す位置)に位置するように、センサケース3に固定されている。
【0031】
このセンサ設置位置は、回転軸23の軸方向には一対の円板部25a,25bの中間位置で、回転軸23の径方向には一対の円板部25a,25bの外周縁に挟まれる位置である。
【0032】
本実施形態の場合、一対の円板部25a,25bは、図3及び図4に示すように、各円板部25a,25bの外周縁部表面とホール素子11との間の離間距離(ギャップ)が一対の円板部25a,25bの回転に伴って円板部25a,25bの周方向に徐々に変化する傾斜角θの傾斜姿勢で回転軸23に固定される。
また、各円板部25a,25bには、軸係合孔23cと同心に、軸係合孔28が貫通形成されている。
【0033】
永久磁石27は、図3及び図5に示すように、一対の円板部25a,25bのそれぞれの対向面に積層状態に設けられた一対の磁石板27a,27bから構成されている。
一対の磁石板27a,27bは、板厚が一定の円板状に形成されたもので、平面視の形状は円板部25a,25bと略同一である。また、それぞれの磁石板27a,27bの中心部には、軸係合孔23cに同心に、軸係合孔30が貫通形成されている。
【0034】
回転軸23は樹脂製である。一対の円板部25a,25b及び磁石板27a,27bは、インサート成形により回転軸23に一体化され、図3に示す軸組立体33として、センサケース3に組み付けられる。
【0035】
なお、図3に示したように、インサート成形の際に、回転軸23を構成する樹脂材の一部は、一対の円板部25a,25bの外表面に積層されて、円板部25a,25bを保護する保護壁23a,23bとなる。
【0036】
前述したように、ホール素子11は、一対の円板部25a,25bの外周側で、対向する一対の磁石板27a,27b間の隙間の中間に磁界検出部11aが位置するように、センサケース3に固定される。ホール素子11の出力端子は、センサケース3に設けられた外部接続端子17に接続されている。
【0037】
以上に説明した一実施形態の回転角センサ21では、永久磁石27を固定するヨーク25の一対の円板部25a,25b自体が回転軸23に傾斜姿勢で装備されていて、回転時には、ホール素子11と円板部25a,25bとのギャップが徐々に変化するため、円板部25a,25bに固定される磁石板27a,27bは板厚が一定の円板状であっても、図6に示すように、各磁石板27a,27bとホール素子11との間の隙間が円板部25a,25bの回転と共に徐々に変化して、前記一対の円板部25a,25bの外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成することができる。
【0038】
即ち、磁石板27a,27bは板厚が一定の円板状であっても、回転軸23と一体に円板部25a,25bが回転駆動されると、ホール素子11と各磁石板27a,27bとの間の隙間が円板部25a,25bの周方向に徐々に変化し、これにより、ホール素子11を横切る磁束密度が変化するため、ホール素子11の出力が回転軸23の回転角に応じて変化し、回転軸23の回転角を検出することができる。
【0039】
そして、ヨーク25の一対の円板部25a,25bに固定する各磁石板27a,27bは、板厚が一定の単純な構造とすることにより、手間のかかる加工が不要になり、加工コストの低減により、低コスト化を図ることができる。
【0040】
また、板厚を一定とした薄肉化により材料の節減による低コスト化や、軽量化を図ることもできる。
また、上記回転角センサは、車両のATシフトポジションセンサ、スロットル位置センサ、燃料残量センサ、等に用いられることにより、車両の小型化、軽量化、コスト軽減に貢献できる。
【符号の説明】
【0041】
3 センサケース
21 回転角センサ
23 回転軸
23c 軸係合孔
25 ヨーク
25a,25b 円板部
25c 連結部
27 永久磁石
27a,27b 磁石板(永久磁石)
33 軸組立体
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸と一体に回転するヨークの円板部の周方向に徐々に強さが変化する磁界をホール素子によって検出して、前記回転軸の回転角を検出する回転角センサに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、回転軸と一体に回転するヨークの円板部の周方向に徐々に強さが変化する磁界をホール素子によって検出して、前記回転軸の回転角を検出する回転角センサが記載されている。
【0003】
図7及び図8は、下記特許文献1に記載の回転角センサと同様な仕組みで回転軸の回転を検出する回転角センサの構成を示したものである。
図7及び図8に示した回転角センサ1は、センサケース3に回転自在に支持された回転軸5に、高透磁材料製のヨーク7と、該ヨーク7に固定された永久磁石9と、印加される磁界の強さに応じた出力信号を発生するホール素子(ホールIC)11とを備えた構成である。
【0004】
回転軸5は、中心に不図示の駆動軸が嵌合する軸係合孔5aが貫通形成されていて、軸係合孔5aに嵌合した駆動軸と一体に回転する。
【0005】
ヨーク7は、図7及び図10に示すように、回転軸5の軸方向に離間した回転軸5上の2箇所に鍔状に固定装備される一対の円板部7a,7bと、これらの一対の円板部7a,7bを磁気的に結合する連結部7cとを、高透磁材料の金属板のプレス成形で一体形成したものである。
【0006】
一対の円板部7a,7bは、いずれも、回転軸5の軸線方向に直交するように、回転軸5に取り付けられる。円板部7a,7bには、軸係合孔5aと同心に、軸係合孔8が貫通形成されている。
【0007】
永久磁石9は、図9に示すように、一対の円板部7a,7bのそれぞれの対向面に積層状態に設けられた一対の磁石板9a,9bから構成されている。
一対の磁石板9a,9bは、平面視の形状は円板部7a,7bと略同一で、図9及び図11に示すように、中心部には、軸係合孔5aに同心に、軸係合孔10が貫通形成されている。
【0008】
一対の磁石板9a,9bは、側面視の形状では、図11(a)に示すように、周方向に徐々に板厚が変化するテーパ構造になっている。これは、一対の円板部7a,7bの外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成するためである。
【0009】
回転軸5は樹脂製である。一対の円板部7a,7b及び磁石板9a,9bは、インサート成形により回転軸5に一体化され、図9に示す軸組立体15として、センサケース3に組み付けられる。
【0010】
ホール素子11は、一対の円板部7a,7bの外周側で、対向する一対の永久磁石9,9間の隙間の中間に磁界検出部11aが位置するように、センサケース3に固定される。ホール素子11の出力端子は、センサケース3に設けられた外部接続端子17に接続されている。
【0011】
図7及び図8に示した回転角センサ1では、前述のように磁石板9a,9bが一対の円板部7a,7bの周方向に徐々に厚さが変化する構造となっているため、軸組立体15が図8の矢印E方向に回転駆動されると、磁界検出部11aと磁石板9a,9bとの間の隙間(ギャップ)が円板部7a,7bの周方向に徐々に変化し、これにより、磁界検出部11aを横切る磁束密度が変化するため、ホール素子11の出力が軸組立体15の回転角に応じて変化し、回転軸5の回転角が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−028312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、一対の円板部7a,7bの外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成するために、円板部7a,7bに固定する磁石板9a,9bを、図11(a)に示したように板厚が徐々に変化する構造とした従来の回転角センサ1では、磁石板9a,9bの板厚が嵩んで重量化を招くと共に、テーパ面を持つ磁石板9a,9bの加工に手間がかかり、低コスト化が難しいという問題も生じた。
【0014】
本発明の目的は上記課題を解消することに係り、磁界形成のために使用する永久磁石の形状を単純にして加工を容易にすると共に小型化して、コスト軽減と、軽量化を図ることのできる回転角センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)回転軸の軸方向に離間した前記回転軸上の2箇所に鍔状に固定装備される一対の円板部とこれらの一対の円板部を磁気的に結合する連結部とを一体形成した高透磁材料製のヨークと、
前記一対の円板部の対向端面間に装備されて前記一対の円板部の外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成する永久磁石と、
前記一対の円板部の外周囲に固定設定されたセンサ設置位置に固定配置されて前記回転軸の回転時に前記センサ設置位置を通過する前記円板部外周における磁界の強さに応じた出力信号を発生するホール素子と、
を備えた回転角センサであって、
前記センサ設置位置は、前記一対の円板部の外周縁部に挟まれる適宜位置であり、
前記一対の円板部は、前記回転軸の回転時に前記ホール素子に対向する前記一対の円板部の外周縁部表面と前記ホール素子との間の離間距離が前記一対の円板部の回転に伴って前記円板部の周方向に徐々に変化する傾斜姿勢で前記回転軸に固定され、
前記永久磁石は、板厚が一定の円板状に形成されて、前記ホール素子に対向する前記円板部の表面に積層状態に装備されたことを特徴とする回転角センサ。
【0016】
(2)車両のATシフトポジションセンサに用いられることを特徴とする上記(1)に記載の回転角センサ。
【0017】
(3)車両のスロットル位置センサに用いられることを特徴とする上記(1)に記載の回転角センサ。
【0018】
(4)車両の燃料残量センサに用いられることを特徴とする上記(1)に記載の回転角センサ。
【0019】
上記(1)の構成によれば、永久磁石を固定するヨークの一対の円板部自体が回転軸に傾斜姿勢で装備されていて、回転時には、ホール素子と円板部とのギャップが徐々に変化するため、円板部に固定される永久磁石は板厚が一定の円板状であっても、永久磁石とホール素子との間の隙間が円板部の回転と共に徐々に変化して、前記一対の円板部の外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成することができる。
【0020】
即ち、永久磁石は板厚が一定の円板状であっても、回転軸と一体に円板部が回転駆動されると、ホール素子と各永久磁石との間の隙間が円板部の周方向に徐々に変化し、これにより、ホール素子を横切る磁束密度が変化するため、ホール素子の出力が回転軸の回転角に応じて変化し、回転軸の回転角を検出することができる。
【0021】
そして、ヨークの一対の円板部に固定する各永久磁石は、板厚が一定の単純な構造とすることにより、手間のかかる加工が不要になり、加工コストの低減により、低コスト化を図ることができる。
【0022】
また、板厚を一定とした薄肉化により材料の節減による低コスト化や、軽量化を図ることもできる。
【0023】
上記(2)、(3)、(4)の構成によれば、回転角センサが、車両のATシフトポジションセンサ、スロットル位置センサ、燃料残量センサ等に用いられることにより、車両の小型化、軽量化、コスト軽減に貢献できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明による回転角センサによれば、ヨークの円板部に固定する永久磁石は、板厚が一定の単純な円板状にでき、永久磁石の構造の単純化や薄肉化による小型化によって、コスト軽減と、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る回転角センサの一実施形態の縦断面図である。
【図2】図1のF−F断面図である。
【図3】図2に示した回転角センサにおける軸組立体のG−G断面図である。
【図4】(a)は図1に示した回転角センサで使用しているヨークの側面図、(b)は(a)のH矢視図である。
【図5】(a)は図1に示した回転角センサで使用している一対の永久磁石の側面図、(b)は(a)I矢視図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるホール素子と永久磁石との間の隙間の説明図である。
【図7】従来の回転角センサの縦断面図である。
【図8】図7のA−A断面図である。
【図9】図8に示した回転角センサにおける軸組立体のB−B断面図である。
【図10】(a)は図7に示した回転角センサで使用しているヨークの側面図、(b)は(a)のC矢視図である。
【図11】(a)は図7に示した回転角センサで使用している一対の永久磁石の側面図、(b)は(a)D矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る回転角センサの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態の回転角センサ21は、センサケース3に回転自在に支持された回転軸23に、高透磁材料製のヨーク25と、該ヨーク25に固定された永久磁石27と、印加される磁界の強さに応じた出力信号を発生するホール素子(ホールIC)11とを備えた構成である。
【0028】
回転軸23は、中心に不図示の駆動軸が嵌合する軸係合孔23cが貫通形成されていて、軸係合孔23cに嵌合した駆動軸と一体に回転する。
【0029】
ヨーク25は、図1及び図4に示すように、回転軸23の軸方向に離間した回転軸23上の2箇所に鍔状に固定装備される一対の円板部25a,25bと、これらの一対の円板部25a,25bを磁気的に結合する連結部25cとを、高透磁材料の金属板のプレス成形で一体形成したものである。
【0030】
ホール素子11は、回転軸23に固定された一対の円板部25a,25bの外周囲に固定設定されたセンサ設置位置(図1及び図2に示す位置)に位置するように、センサケース3に固定されている。
【0031】
このセンサ設置位置は、回転軸23の軸方向には一対の円板部25a,25bの中間位置で、回転軸23の径方向には一対の円板部25a,25bの外周縁に挟まれる位置である。
【0032】
本実施形態の場合、一対の円板部25a,25bは、図3及び図4に示すように、各円板部25a,25bの外周縁部表面とホール素子11との間の離間距離(ギャップ)が一対の円板部25a,25bの回転に伴って円板部25a,25bの周方向に徐々に変化する傾斜角θの傾斜姿勢で回転軸23に固定される。
また、各円板部25a,25bには、軸係合孔23cと同心に、軸係合孔28が貫通形成されている。
【0033】
永久磁石27は、図3及び図5に示すように、一対の円板部25a,25bのそれぞれの対向面に積層状態に設けられた一対の磁石板27a,27bから構成されている。
一対の磁石板27a,27bは、板厚が一定の円板状に形成されたもので、平面視の形状は円板部25a,25bと略同一である。また、それぞれの磁石板27a,27bの中心部には、軸係合孔23cに同心に、軸係合孔30が貫通形成されている。
【0034】
回転軸23は樹脂製である。一対の円板部25a,25b及び磁石板27a,27bは、インサート成形により回転軸23に一体化され、図3に示す軸組立体33として、センサケース3に組み付けられる。
【0035】
なお、図3に示したように、インサート成形の際に、回転軸23を構成する樹脂材の一部は、一対の円板部25a,25bの外表面に積層されて、円板部25a,25bを保護する保護壁23a,23bとなる。
【0036】
前述したように、ホール素子11は、一対の円板部25a,25bの外周側で、対向する一対の磁石板27a,27b間の隙間の中間に磁界検出部11aが位置するように、センサケース3に固定される。ホール素子11の出力端子は、センサケース3に設けられた外部接続端子17に接続されている。
【0037】
以上に説明した一実施形態の回転角センサ21では、永久磁石27を固定するヨーク25の一対の円板部25a,25b自体が回転軸23に傾斜姿勢で装備されていて、回転時には、ホール素子11と円板部25a,25bとのギャップが徐々に変化するため、円板部25a,25bに固定される磁石板27a,27bは板厚が一定の円板状であっても、図6に示すように、各磁石板27a,27bとホール素子11との間の隙間が円板部25a,25bの回転と共に徐々に変化して、前記一対の円板部25a,25bの外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成することができる。
【0038】
即ち、磁石板27a,27bは板厚が一定の円板状であっても、回転軸23と一体に円板部25a,25bが回転駆動されると、ホール素子11と各磁石板27a,27bとの間の隙間が円板部25a,25bの周方向に徐々に変化し、これにより、ホール素子11を横切る磁束密度が変化するため、ホール素子11の出力が回転軸23の回転角に応じて変化し、回転軸23の回転角を検出することができる。
【0039】
そして、ヨーク25の一対の円板部25a,25bに固定する各磁石板27a,27bは、板厚が一定の単純な構造とすることにより、手間のかかる加工が不要になり、加工コストの低減により、低コスト化を図ることができる。
【0040】
また、板厚を一定とした薄肉化により材料の節減による低コスト化や、軽量化を図ることもできる。
また、上記回転角センサは、車両のATシフトポジションセンサ、スロットル位置センサ、燃料残量センサ、等に用いられることにより、車両の小型化、軽量化、コスト軽減に貢献できる。
【符号の説明】
【0041】
3 センサケース
21 回転角センサ
23 回転軸
23c 軸係合孔
25 ヨーク
25a,25b 円板部
25c 連結部
27 永久磁石
27a,27b 磁石板(永久磁石)
33 軸組立体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の軸方向に離間した前記回転軸上の2箇所に鍔状に固定装備される一対の円板部とこれらの一対の円板部を磁気的に結合する連結部とを一体形成した高透磁材料製のヨークと、
前記一対の円板部の対向端面間に装備されて前記一対の円板部の外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成する永久磁石と、
前記一対の円板部の外周囲に固定設定されたセンサ設置位置に固定配置されて前記回転軸の回転時に前記センサ設置位置を通過する前記円板部外周における磁界の強さに応じた出力信号を発生するホール素子と、
を備えた回転角センサであって、
前記センサ設置位置は、前記一対の円板部の外周縁部に挟まれる適宜位置であり、
前記一対の円板部は、前記回転軸の回転時に前記ホール素子に対向する前記一対の円板部の外周縁部表面と前記ホール素子との間の離間距離が前記一対の円板部の回転に伴って前記円板部の周方向に徐々に変化する傾斜姿勢で前記回転軸に固定され、
前記永久磁石は、板厚が一定の円板状に形成されて、前記ホール素子に対向する前記円板部の表面に積層状態に装備されたことを特徴とする回転角センサ。
【請求項2】
車両のATシフトポジションセンサに用いられることを特徴とする請求項1に記載の回転角センサ。
【請求項3】
車両のスロットル位置センサに用いられることを特徴とする請求項1に記載の回転角センサ。
【請求項4】
車両の燃料残量センサに用いられることを特徴とする請求項1に記載の回転角センサ。
【請求項1】
回転軸の軸方向に離間した前記回転軸上の2箇所に鍔状に固定装備される一対の円板部とこれらの一対の円板部を磁気的に結合する連結部とを一体形成した高透磁材料製のヨークと、
前記一対の円板部の対向端面間に装備されて前記一対の円板部の外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成する永久磁石と、
前記一対の円板部の外周囲に固定設定されたセンサ設置位置に固定配置されて前記回転軸の回転時に前記センサ設置位置を通過する前記円板部外周における磁界の強さに応じた出力信号を発生するホール素子と、
を備えた回転角センサであって、
前記センサ設置位置は、前記一対の円板部の外周縁部に挟まれる適宜位置であり、
前記一対の円板部は、前記回転軸の回転時に前記ホール素子に対向する前記一対の円板部の外周縁部表面と前記ホール素子との間の離間距離が前記一対の円板部の回転に伴って前記円板部の周方向に徐々に変化する傾斜姿勢で前記回転軸に固定され、
前記永久磁石は、板厚が一定の円板状に形成されて、前記ホール素子に対向する前記円板部の表面に積層状態に装備されたことを特徴とする回転角センサ。
【請求項2】
車両のATシフトポジションセンサに用いられることを特徴とする請求項1に記載の回転角センサ。
【請求項3】
車両のスロットル位置センサに用いられることを特徴とする請求項1に記載の回転角センサ。
【請求項4】
車両の燃料残量センサに用いられることを特徴とする請求項1に記載の回転角センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−249670(P2010−249670A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99647(P2009−99647)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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