説明

回転部材劣化判定装置、定着装置及び画像形成装置

【課題】定着装置に備えられた、画像を担持した記録媒体を回転により搬送しながら画像を記録媒体に定着させる回転部材の劣化を、記録媒体の端部の通過位置を考慮して判定する劣化判定装置、この劣化判定装置による回転部材の劣化判定に基づいて所定の動作を行う定着装置、かかる劣化判定装置、かかる定着装置を備えた画像形成装置の提供。
【解決手段】回転部材92の幅方向における記録媒体Sの端部の通過位置を検知する端部位置検知手段64と、前記通過位置における回転部材92の劣化度を、同通過位置を通過した記録媒体Sの数によって累積して算出する劣化度算出手段64と、前記劣化度の、前記幅方向における全幅での和の平均値を算出する平均値算出手段64と、前記劣化度と、前記平均値との差分の絶対値を、所定の閾値と比較することで、回転部材92の劣化を判断する劣化度判断手段64とを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる定着装置に備えられた回転部材、すなわち、画像を担持した記録媒体を回転により搬送しながら画像をかかる記録媒体に定着させる回転部材の劣化を判定する回転部材劣化判定装置、この回転部材劣化判定装置による回転部材の劣化判定に基づいて所定の動作を行う定着装置、かかる回転部材劣化判定装置、かかる定着装置を備えたかかる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置であって、いわゆる電子写真プロセス方式を採用した画像形成装置は、たとえば感光ドラムユニット、現像装置、転写装置、定着装置等を備えている。これらのユニットあるいは装置は、画像形成装置の種類によっては、経時的に交換され得ることを前提とした言わば消耗品として設計されていることから、長期にわたって安定して高品位なプリント画像をユーザに提供するには、このように設計された構成の寿命を適切に設定し、ユーザ等に対して寿命予告を行うことや交換を促すことが重要である。
【0003】
ところで、定着装置は、これを構成する部品の寿命を超えて使用し続けると、その部品の劣化によって定着不良さらには画像不良が発生する。
たとえば、定着装置は一般に、画像を担持した用紙等の記録媒体を回転により搬送しながら、画像をかかる記録媒体に定着させる定着ベルト等の回転部材を備えている(たとえば、〔特許文献1〕〜〔特許文献3〕参照)が、この回転部材は、記録媒体を搬送する際に記録媒体のエッジ部分の当接によって劣化し、この劣化によって定着性が低下して画像の劣化を発生させてしまう場合がある。
すなわち、かかる回転部材には加圧ローラ等の対向部材が圧接され、定着の際には回転部材と対向部材との間に画像を担持した記録媒体を通過させるが、このとき、記録媒体のエッジ部分ではせん断力が発生し、回転部材表面を磨耗させる。記録媒体が厚紙である場合など、厚みのある記録媒体ではせん断力が発生し、磨耗の度合いも大きくなる。回転部材の寿命は、かかるせん断力に起因する、回転部材の幅方向における部分的磨耗によるところが大きい。そして、回転部材の表面が磨耗すると、その磨耗部分における定着性が低下し、画像の劣化が発生してしまうのである。
この問題を解決し得る技術として、記録媒体の厚みにより定着ベルトの走行制御を変更し、厚みが所定よりも厚い場合は記録媒体の通過中に定着ベルトの走行をスイングさせる技術が提案されている(たとえば、〔特許文献2〕参照)が、この技術を実現するには定着ベルトの走行を正確にスイングさせるために構造が複雑化、大型化、高価格化すると考えられる。
【0004】
よって、構造の複雑化、高価格化を回避しつつ、かかる問題を未然に防止するには、定着装置の劣化や寿命を正確に検知あるいは判定し、上述したように、ユーザ等に対して予告等することが重要である。定着装置の劣化や寿命を検知する方法としては、記録媒体の通紙枚数や通紙時間をモニターする方法が一般的で容易であり、またこのような方法では、所定の通紙枚数若しくは通紙時間を超えた時点で、寿命予告や定着装置交換等のメッセージが画像形成装置本体や接続しているPC側に示されるようになっている。
【0005】
しかしながら、記録媒体のサイズや種類が異なる複数の通紙モードを有する画像形成装置においては、通紙モードによって定着装置に与える熱的ダメージの度合いが異なるため、通紙モードによって定着装置の寿命枚数が異なる場合がある。ところが、このような場合があるにもかかわらず、実際の市場において使用される通紙モードの種類とその使用比率はユーザによって異なるため、定着装置の寿命枚数は大きくばらついてしまうこととなる。よって、定着装置の寿命検知として単純に通紙枚数をモニターするだけでは、正確に定着装置の寿命を検知できないという問題があった。
【0006】
このような問題を回避する方策として、定着装置の寿命枚数を最も厳しい通紙条件での最短寿命枚数に設定することが挙げられるが、全てのユーザがこのような厳しい条件で使用することは稀である。従って、このような方策では普通に使用しているユーザに対して非常に早い寿命予告を示す場合があり、定着装置が寿命寸前まで有効に使用されなくなるという問題があった。
【0007】
そこで、従来、通紙モード、通紙状態により定着装置の寿命枚数に差が生じることに着目して、通紙モード及び通紙状態に応じて重み付けをした通紙枚数を積算していくことにより寿命を判断する技術が提案されている(たとえば、〔特許文献1〕参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、かかる技術においては、上述の事情、すなわち回転部材が記録媒体のエッジ部分の当接によって劣化し、この劣化によって定着性が低下して画像の劣化を発生させてしまう場合があるという事情が考慮されていない。よって、かかる技術では、回転部材の寿命を正確に検知することができるとは言い難い。
【0009】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる定着装置に備えられた、画像を担持した記録媒体を回転により搬送しながら画像をかかる記録媒体に定着させる回転部材の劣化を、記録媒体の端部の通過位置を考慮して判定する回転部材劣化判定装置、この回転部材劣化判定装置による回転部材の劣化判定に基づいて所定の動作を行う定着装置、かかる回転部材劣化判定装置、かかる定着装置を備えたかかる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、画像を担持した記録媒体を回転により搬送しながら画像を同記録媒体に定着させる回転部材の幅方向における同記録媒体の端部の通過位置を検知する端部位置検知手段と、前記端部位置検知手段によって検知された前記通過位置における前記回転部材の劣化度を、同通過位置を通過した記録媒体の数によって累積して算出する劣化度算出手段と、この劣化度算出手段によって算出された前記劣化度の、前記回転部材の前記幅方向における全幅での和の同全幅における平均値を算出する平均値算出手段と、前記劣化度算出手段によって算出された前記劣化度と、前記平均値算出手段によって算出された前記平均値との差分の絶対値を、所定の閾値と比較することにより、前記回転部材の劣化を判断する劣化度判断手段とを有する回転部材劣化判定装置にある。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の回転部材劣化判定装置において、前記劣化度算出手段は、前記端部位置検知手段によって検知された前記通過位置をその端部が通過する記録媒体の大きさを、同記録媒体の厚みと種類とに応じて重み付けすることにより、前記劣化度を算出することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の回転部材劣化判定装置において、前記劣化度算出手段は、前記厚みを示す数値としてメートル坪量を用いることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の回転部材劣化判定装置において、前記劣化度算出手段は、記録媒体の材料に応じて定められた数値を前記種類を示す数値として用いることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の回転部材劣化判定装置において、前記劣化度判断手段は、所定の閾値として、前記回転部材の劣化が回復不能の程度であるか否かの基準となる第1の閾値を用いて同劣化を判断することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の回転部材劣化判定装置において、前記劣化度判断手段は、所定の閾値として、前記回転部材の劣化が回復可能の程度であるか否かの基準となる第2の閾値を用いて同劣化を判断することを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、前記回転部材と、前記幅方向において記録媒体の通過領域を含む幅で前記回転部材に摩擦抵抗を与える摩擦抵抗付与部材とを有し、請求項6記載の前記回転部材劣化判定装置により前記回転部材が回復可能の程度で劣化したと判定されたとき、前記摩擦抵抗付与手段によって前記回転部材に摩擦抵抗を与える定着装置にある。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の定着装置において、画像を担持した記録媒体に同画像を定着させるときに前記回転部材との間で同記録媒体に圧力を印加する圧力印加部材を有し、前記摩擦抵抗付与部材が、前記圧力印加部材であることを特徴とする。
【0018】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の回転部材劣化判定装置、および/または、請求項7または8記載の定着装置を有する画像形成装置にある。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、画像を担持した記録媒体を回転により搬送しながら画像を同記録媒体に定着させる回転部材の幅方向における同記録媒体の端部の通過位置を検知する端部位置検知手段と、前記端部位置検知手段によって検知された前記通過位置における前記回転部材の劣化度を、同通過位置を通過した記録媒体の数によって累積して算出する劣化度算出手段と、この劣化度算出手段によって算出された前記劣化度の、前記回転部材の前記幅方向における全幅での和の同全幅における平均値を算出する平均値算出手段と、前記劣化度算出手段によって算出された前記劣化度と、前記平均値算出手段によって算出された前記平均値との差分の絶対値を、所定の閾値と比較することにより、前記回転部材の劣化を判断する劣化度判断手段とを有する回転部材劣化判定装置にあるので、回転部材の劣化を、記録媒体の端部の通過位置を考慮して高い精度で判定することが可能であり、構造の複雑化、大型化、高価格化を防止ないし抑制しつつ、回転部材の劣化、回転部材を交換すべきことを適切なタイミングで知らせることに寄与可能であるとともに、定着を良好に行うこと、高品位の画像形成を安定して行うことに寄与可能な回転部材劣化判定装置を提供することができる。
【0020】
前記劣化度算出手段は、前記端部位置検知手段によって検知された前記通過位置をその端部が通過する記録媒体の大きさを、同記録媒体の厚みと種類とに応じて重み付けすることにより、前記劣化度を算出することとすれば、回転部材の劣化を、記録媒体の端部の通過位置を考慮することおよびかかる劣化の度合いを左右する記録媒体の厚みと種類とによって劣化度を重み付けすることで高い精度で判定することが可能であり、構造の複雑化、大型化、高価格化を防止ないし抑制しつつ、回転部材の劣化、回転部材を交換すべきことを適切なタイミングで知らせることに寄与可能であるとともに、定着を良好に行うこと、高品位の画像形成を安定して行うことに寄与可能な回転部材劣化判定装置を提供することができる。
【0021】
前記劣化度算出手段は、前記厚みを示す数値としてメートル坪量を用いることとすれば、回転部材の劣化を、記録媒体の端部の通過位置を考慮することおよびかかる劣化の度合いを左右する記録媒体の厚みを示すメートル坪量と記録媒体の種類とによって劣化度を重み付けすることで高い精度で判定することが可能であり、構造の複雑化、大型化、高価格化を防止ないし抑制しつつ、回転部材の劣化、回転部材を交換すべきことを適切なタイミングで知らせることに寄与可能であるとともに、定着を良好に行うこと、高品位の画像形成を安定して行うことに寄与可能な回転部材劣化判定装置を提供することができる。
【0022】
前記劣化度算出手段は、記録媒体の材料に応じて定められた数値を前記種類を示す数値として用いることとすれば、回転部材の劣化を、記録媒体の端部の通過位置を考慮することおよびかかる劣化の度合いを左右する記録媒体の厚みと記録媒体の材料に応じて定められた記録媒体の種類を示す数値とによって劣化度を重み付けすることで高い精度で判定することが可能であり、構造の複雑化、大型化、高価格化を防止ないし抑制しつつ、回転部材の劣化、回転部材を交換すべきことを適切なタイミングで知らせることに寄与可能であるとともに、定着を良好に行うこと、高品位の画像形成を安定して行うことに寄与可能な回転部材劣化判定装置を提供することができる。
【0023】
前記劣化度判断手段は、所定の閾値として、前記回転部材の劣化が回復不能の程度であるか否かの基準となる第1の閾値を用いて同劣化を判断することとすれば、回転部材の劣化を判断する劣化度判断手段とを有する回転部材劣化判定装置にあるので、回転部材の劣化を、第1の閾値を用いて、記録媒体の端部の通過位置を考慮して高い精度で判定することが可能であり、構造の複雑化、大型化、高価格化を防止ないし抑制しつつ、回転部材の劣化、回転部材を交換すべきことのうちとくに後者を適切なタイミングで知らせることに寄与可能であるとともに、定着を良好に行うこと、高品位の画像形成を安定して行うことに寄与可能な回転部材劣化判定装置を提供することができる。
【0024】
前記劣化度判断手段は、所定の閾値として、前記回転部材の劣化が回復可能の程度であるか否かの基準となる第2の閾値を用いて同劣化を判断することとすれば、回転部材の劣化を、第2の閾値を用いて、記録媒体の端部の通過位置を考慮して高い精度で判定することが可能であり、構造の複雑化、大型化、高価格化を防止ないし抑制しつつ、回転部材の劣化、回転部材を交換すべきことのうちとくに前者を適切なタイミングで知らせることに寄与可能であるとともに、定着を良好に行うこと、高品位の画像形成を安定して行うことに寄与可能な回転部材劣化判定装置を提供することができる。
【0025】
本発明は、前記回転部材と、前記幅方向において記録媒体の通過領域を含む幅で前記回転部材に摩擦抵抗を与える摩擦抵抗付与部材とを有し、かかる前記回転部材劣化判定装置により前記回転部材が回復可能の程度で劣化したと判定されたとき、前記摩擦抵抗付与手段によって前記回転部材に摩擦抵抗を与える定着装置にあるので、記録媒体の端部の通過位置を考慮して高い精度で判定された回転部材の劣化に基づいて、適切なタイミングで定着性を向上させることが可能であり、これによって定着を良好に行うことが可能となるとともに、高品位の画像形成を安定して行うことに寄与可能な定着装置を提供することができる。
【0026】
画像を担持した記録媒体に同画像を定着させるときに前記回転部材との間で同記録媒体に圧力を印加する圧力印加部材を有し、前記摩擦抵抗付与部材が、前記圧力印加部材であることとすれば、記録媒体の端部の通過位置を考慮して高い精度で判定された回転部材の劣化に基づいて、適切なタイミングで、圧力印加部材を利用した、複雑化、大型化、高価格化が防止ないし抑制された構造によって、定着性を向上させることが可能であり、これによって定着を良好に行うことが可能となるとともに、高品位の画像形成を安定して行うことに寄与可能な定着装置を提供することができる。
【0027】
本発明は、かかる回転部材劣化判定装置、および/または、かかる定着装置を有する画像形成装置にあるので、記録媒体の端部の通過位置を考慮して高い精度で回転部材の劣化が判定されることを利用して、適切なタイミングで定着性を向上させることが可能であり、これによって定着を良好に行うことが可能となるとともに、高品位の画像形成を安定して行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略正面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に備えられた定着装置の概略正断面図である。
【図3】図2に示した定着装置の一部の概略正面図である。
【図4】図2に示した定着装置の他の一部を含む制御ブロック図である。
【図5】図1に示した画像形成装置の概略的な制御ブロック図である。
【図6】図2に示した定着装置に備えられた回転部材の幅方向における位置を表す定着ベルト領域を示した概念図である。
【図7】図6に示した定着ベルト領域と、記録媒体の厚みを示す用紙連量とによって表される要素によって形成される2次元状の記録領域である定着ベルト寿命アレイおよび定着ベルト領域ごとの要素の値の合計値を示した概念図である。
【図8】図1に示した画像形成装置における制御を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、カラーレーザプリンタであるが、他のタイプのプリンタ、ファクシミリ、複写機、複写機とプリンタとの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状部材であるシート状の記録媒体として画像形成を行なうことが可能である。
【0030】
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な第1の像担持体としての潜像担持体である感光体たる感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを平行配設したタンデム構造、言い換えるとタンデム方式を採用している。
【0031】
表面移動部材たる感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、画像形成装置100の本体99の図示しないフレームに回転自在に支持され、第2の像担持体としての中間転写体である転写ベルト11の移動方向であって図1において時計回り方向であるA1方向の上流側からこの順で並んでいる。各符号の数字の後に付されたY、M、C、BKは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している。
【0032】
各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像としての有色トナー像であるトナー像を形成するための有色トナー像形成手段としての画像形成部である画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
【0033】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、本体99の内部のほぼ中央部に配設された無端のベルトとして構成された転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に位置している。
【0034】
転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対峙しながら矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、記録媒体であるシートとしての転写紙Sに一括転写されるようになっている。よって画像形成装置100はタンデム型のプリンタであって中間転写方式の画像形成装置となっている。
【0035】
転写ベルト11は、その上側の部分が各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向しており、この対向した部分が、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上のトナー像を転写ベルト11に転写する1次転写部58を形成している。
【0036】
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に表面移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向する位置に配設された1次転写手段である1次転写装置としての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
【0037】
転写ベルト11は、ベース層を伸びの少ない材質で構成し、ベース層の表面を平滑性の良い材質によって覆ったコート層とし、ベース層にコート層を重ねて形成した多層構造となっている。ベース層の材質としては、たとえばフッ素樹脂、PVDシート、ポリイミド系樹脂が挙げられる。コート層の材質としては、たとえばフッ素系樹脂等が挙げられる。
【0038】
転写ベルト11は、その縁部にそれぞれ、寄り止め部材としての図示しない寄り止めガイドを有している。寄り止めガイドは、転写ベルト11がA1方向に回転するときに、図1における紙面と垂直な何れかの方向に偏倚することを防止するために配設されている。寄り止めガイドは、ウレタンゴム製であるが、その他、シリコンゴムなど各種ゴム材料により構成することができる。
【0039】
画像形成装置100は、本体99内に、4つの画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKと、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの下方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた中間転写ユニットとしての転写ベルトユニット10と、図1における転写ベルト11の下側において転写ベルト11に対向して配設された2次転写装置5とを有している。
【0040】
画像形成装置100はまた、本体99内に、転写ベルト11と2次転写装置5との間の2次転写部57に向けて搬送される転写紙Sを多数枚積載可能な給紙カセットとしてのシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録紙Sを、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、2次転写部57に向けて繰り出すレジストローラ対4と、転写紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
【0041】
画像形成装置100はまた、本体99内に、トナー像を転写された転写紙Sに同トナー像を定着させるためのベルト定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、2次転写部57を経た記録紙Sを定着装置6に搬送するベルト搬送装置87と、定着済みの転写紙Sを本体99の外部に排出する排出ローラである排紙ローラ対としての排紙ローラ7と、本排出ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙Sを積載する排紙部としての排紙トレイ17と、本体99の上部に配設され、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9M、9C、9BKとを有している。
【0042】
画像形成装置100はまた、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを回転駆動する図示しない駆動装置と、画像形成装置100の動作全般を制御する制御部としての制御手段64と、画像形成装置100の操作、画像形成装置100への各種入力等を行う操作部としての操作パネル65とを有している。
【0043】
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、1次転写バイアスローラとしての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、転写ベルト11を巻き掛けられ張架した、駆動部材である張架ローラとしての駆動ローラ72および張架ローラとしてのクリーニング対向ローラ74と、駆動ローラ72及びクリーニング対向ローラ74とともに転写ベルト11を張架した支持ローラとしての張架ローラ33、66、67、75と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11表面をクリーニングするクリーニング手段としての中間転写体クリーニング装置である中間転写ベルトクリーナたるクリーニング装置13とを有している。
【0044】
転写ベルトユニット10はまた、A1方向において1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKよりも下流側において転写ベルト11に対向して配置され、転写ベルト11状に転写されたトナー像のトナー付着量を検出するトナー付着量検出手段としての画像検出手段90と、駆動ローラ72を回転駆動する図示しない駆動系と、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKに1次転写バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段としての電源及びバイアス制御手段とを有している。
【0045】
クリーニング対向ローラ74、張架ローラ33、66、67、75は、駆動ローラ72によって回転駆動される転写ベルト11に連れ回りする従動ローラとなっている。1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKは、転写ベルト11をその裏面から感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに向けて押圧してそれぞれ1次転写ニップを形成する。この1次転写ニップは、転写ベルト11の、張架ローラ75相互間に張り渡した部分において形成されている。張架ローラ75は、1次転写ニップを安定化する機能を有する。
【0046】
各1次転写ニップには、1次転写バイアスの影響により、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKとの間に1次転写電界が形成される。感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に形成された各色のトナー像は、この1次転写電界やニップ圧の影響によって転写ベルト11上に1次転写される。
【0047】
張架ローラ33は、A1方向において画像検出手段90の下流側で転写ベルト11を張架し、転写ベルト11を介して2次転写装置5を当接されており、2次転写部57を形成している。なお、張架ローラ33も2次転写装置5の一部を構成する部材として把握可能である。
張架ローラ66は、転写ベルト11に、転写に適した所定の張力を与える加圧部材としてのテンションローラたる機能を有している。
【0048】
クリーニング装置13は、A1方向において張架ローラ33の下流側で転写ベルト11に対向配置されている。クリーニング装置13は、クリーニング対向ローラ74に対向する位置で転写ベルト11に当接するように配設されたクリーニングブレード76と、A1方向においてクリーニングブレード76より上流側においてクリーニング対向ローラ74に対向する転写ベルト11に対向して配設されたブラシローラ68と、クリーニングブレード76及びブラシローラ68をその内部に収容したケース77とを有している。
【0049】
クリーニング装置13は、転写ベルト11上の転写残トナー言い換えると残留トナー等の異物をブラシローラ68及びクリーニングブレード76で掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングする。
【0050】
シート給送装置61は、転写紙Sを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容するものであり、本体99の下部において多段で配設されている。多段のシート給送装置61により、本体99の底部にペーパーバンク31が形成されている。
【0051】
各シート給送装置61は、最上位の転写紙Sの上面に押圧される給紙ローラとしての給送ローラ3を有しており、給送ローラ3が所定のタイミングで反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。各シート給送装置61は、中央基準で転写紙Sを給送することを基準状態としている。各シート給送装置61は、端部基準で転写紙Sを給送することも可能であるが、以下の説明では、この基準状態で転写紙Sの給送が行われるものとする。
シート給送装置61から送り出された転写紙Sは、給紙路32を経てレジストローラ対4に至り、レジストローラ対4のローラ間に挟まれる。
【0052】
2次転写装置5は、張架ローラ33に対向して配置されている。2次転写装置5は、張架ローラ33に対向する位置で転写ベルト11に当接し、張架ローラ33との間で転写ベルト11を挟むように配設された当接部材としての2次転写ローラ69と、2次転写ローラを駆動する図示しない駆動装置と、2次転写ローラ69に2次転写を行うための電圧を印加し転写ベルト11との間に所定の転写電流を流す図示しない電源とを有している。
【0053】
2次転写装置5は、2次転写ローラ69を転写ベルト11に当接させることによって、2次転写部57であるニップ部を形成するようになっており、このニップ部である2次転写部57に転写紙Sを通し、2次転写ローラ69による転写ニップ圧と転写電流とにより、転写ベルト11上のトナー像を転写紙Sに転写するようになっている。
【0054】
トナーボトル9Y、9M、9C、9BK内のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーは、重合トナーであって、図示しない搬送経路を経て、所定の補給量だけ、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKに備えられた現像装置71Y、71M、71C、71BKに補給される。
【0055】
図1または図2に示すように、定着装置6は、画像であるトナー像を担持した転写紙Sを回転により搬送しながらトナー像を転写紙Sに定着させる第1の回転部材たる回転部材である定着部材としての無端ベルトである定着ベルト92と、定着ベルト92を巻き掛け懸架した回転部材であるベルト懸架手段としての、加熱回転部材としての加熱ローラ91、定着ローラ93および補助ローラ95と、トナー像を担持した転写紙Sにそのトナー像を定着させるときに定着ローラ93との間で定着ベルト92に圧力を印加するニップ部Nを形成した圧力印加部材としての第2の回転部材たる回転部材である加圧部材としての加圧ローラ94とを有している。
【0056】
定着装置6はまた、図2に示すように、加圧ローラ94の回転方向におけるニップ部Nの下流側すなわち転写紙Sの排出側に配設され、先端が加圧ローラ94に当接してニップ部Nを通過した転写紙Sを加圧ローラ94から剥離し加圧ローラ94への転写紙Sの巻き付を防止するための分離爪96と、定着ベルト92の回転方向におけるニップ部Nの下流側すなわち転写紙Sの排出側に配設され、先端が定着ベルト92に近接してニップ部Nを通過した転写紙Sの転写ベルト92への巻き付を防止するための分離爪97とを有している。
【0057】
定着装置6はまた、定着ベルト92のクリーニングを行うために定着ベルト92に押し付けられたクリーニングウェブ98aを有するクリーニング機構98と、定着ベルト92の走行方向に直交する幅方向における定着ベルト92の走行位置を検出するベルト位置検出部59と、ニップ部Nに転写紙Sを案内するガイド部材51と、加圧ローラ94の温度を検知する温度検知手段としてのセンサ52と、ニップ部Nを通過した転写紙Sを定着装置6外に排出する排出ローラ対53と、加圧ローラ94を定着ベルト92に接離させ、加圧脱圧を行う加圧脱圧手段としての図3に示す接離手段41とを有している。
【0058】
定着装置6はまた、図4に示すように、定着ローラ93の駆動源である定着部材回転手段たる第1の駆動機構としての定着ベルト駆動機構55と、加圧ローラ94の駆動源である加圧部材回転手段たる第2の駆動機構としての加圧ローラ駆動機構56と、以上述べた各構成を囲繞した筐体としてのフレームである図2に示す定着カバー54とを有している。
【0059】
図2に示すように、加熱ローラ91は、外形40mmで厚み1mm以下のアルミ製の中空円筒すなわち中空ローラ91aと、中空ローラ91aの内部に内蔵された熱源であるハロゲンヒータであるヒータ91bと、定着ベルト92の幅方向に一致する、加熱ローラ91の長手方向である図2にける紙面に垂直な方向に沿って、中空ローラ91aの肉厚部分に中空ローラ91aの円周方向に均等に埋め込まれた複数のヒートパイプ91cとを有している。
【0060】
加熱ローラ91は、ヒートパイプ91cを有することにより、ヒータ91bからの熱の、中空ローラ91a表面への熱伝達が向上し、定着ベルト92の速く均一な加熱に寄与している。中空ローラ91aは鉄製であっても良い。熱源はハロゲンヒータに限らず、誘導加熱機構いわゆるIHを用いたものであっても良い。
【0061】
定着ベルト92は、無端ベルトであり、内径80mmの基体と、この基体の表層に形成されたシリコンゴム製の弾性層とを有する断面構造の2層構造となっている。基層の材質は、ニッケル、ステンレス、ポリイミド等から選択される。弾性層に換えてPFAチューブによって形成された離型僧を有していても良い。
【0062】
定着ローラ93は、金属製の芯金と、芯金上に備えられたシリコンゴムと、回転中心をなす図4に示す軸部93aと、軸部93aの先端部に配設され定着ベルト駆動機構55に噛合し回転駆動されることで定着ローラ93全体を回転駆動し定着ベルト92を回転駆動する定着ローラギアとしてのギア93bとを有している。シリコンゴムとしては、ウォームアップ時間の短縮のため、定着ベルト92の熱を吸収しにくい発泡のシリコンゴムを用いても良い。
【0063】
加圧ローラ94は、アルミ製の図示しない円筒形状の芯金と、芯金の内部に内蔵された熱源であるハロゲンヒータである図2に示すヒータ94aと、芯金を覆ったシリコンゴム製の図示しない弾性層と、回転中心をなす図4に示す軸部94bと、軸部94bの先端部に配設され加圧ローラ駆動機構56に噛合し回転駆動されることで加圧ローラ94全体を回転駆動する加圧ローラギアとしてのギア94cとを有している。加圧ローラ94は、定着の際など必要なときに、ヒータ94aの発熱により、センサ52による検知温度に基づいて、所定の温度まで加熱される。芯金は鉄製であっても良い。
【0064】
加圧ローラ94は、定着ベルト92の下側から定着ベルト92に対し回動可能に圧接する部材であり、定着ベルト92に圧接した状態において定着ベルト92を介して定着ローラ93に対して4mm食い込み、ニップ部Nをその回転方向に沿っておよそ16mmのニップ幅で形成している。
【0065】
補助ローラ95は、定着ベルト92の内側から定着ベルト92に当接して定着ベルト92に張力を付与することで定着ベルト92のテンションを一定に保つテンションローラとして機能するとともに、定着ベルト92の幅方向における走行位置を補正する補正ローラとして機能するものである。
【0066】
定着ベルト駆動機構55、加圧ローラ駆動機構56はそれぞれ、制御手段64による制御のもとにおいて、定着ローラ93、加圧ローラ94を互いに独立して駆動するようになっている。すなわち、定着ローラ93と加圧ローラ94とはそれぞれ別の定着ベルト駆動機構55、加圧ローラ駆動機構56によって速度制御されている。 よって、定着ローラ93と加圧ローラ94とはそれぞれ互いに異なる線速で回転することが可能となっている。
【0067】
接離手段41は、定着装置6の外側の本体99側から駆動源である図示しないモータを含む図5に示す接離駆動源48によって入力される駆動力によって回転する図3に示す加圧カム42と、加圧カム42に上方から当接した第1加圧アーム43と、第1加圧アーム43を回転自在に支持した、定着カバー54に固定された支持軸44と、第1加圧アーム43とともに支持軸44によって回転自在に支持された第2加圧アーム45(同図中着色部)と、第1加圧アーム43の、支持軸44によって支持された側と反対側の端部に固定された弾性部材46と、第2加圧アーム45の、支持軸44によって支持された側と反対側の端部に固定され、弾性部材46の上面に当接した弾性部材47とを有している。
【0068】
第1加圧アーム43は、加圧カム42に上方から当接した回転自在のコマ43aを有している。
第2加圧アーム45は、支持軸44に支持された部分と弾性部材47を固定された部分との間の中間部分に配設され加圧ローラ94の軸部94bに下方から当接する加圧部45aを有している。
【0069】
このような構成の接離手段41は、加圧ローラ94が定着ベルト92に圧接した加圧状態である第1の状態を形成する加圧動作と、加圧ローラ94が定着ベルト92から離間した離間状態言い換えると脱圧状態である第2の状態を形成する脱圧動作とを行うことが可能となっている。これにより、加圧ローラ94は、定着ベルト92に当接した加圧状態と、定着ベルト92から離間した脱圧状態との切替えが行われる。このような動作は、接離駆動源48が制御手段64によって駆動制御されることによって行われる。この点、制御手段64は、接離制御手段として機能する。
【0070】
接離制御手段として機能する制御手段64は、画像形成装置100において画像形成動作が行われ定着装置6において定着動作が行われる動作時に第1の状態が形成された状態となるように定着動作に先立って加圧動作を行い、画像形成装置100において画像形成動作が停止され定着装置6において定着動作が停止される待機時に脱圧動作を行って第2の状態を形成する。
【0071】
以下、加圧動作、脱圧動作のそれぞれについて説明する。
なお、分離爪96は、第1の状態においては加圧ローラ94に当接し、第2の状態においては加圧ローラ94から離間するようになっている。
【0072】
(加圧動作)
接離制御手段として機能する制御手段64によって接離駆動源48が駆動され、加圧カム42が図中矢印方向に一定の回転角だけ回転されると、加圧カム42がコマ43aを押し上げる。すると、第1加圧アーム43は支持軸44を中心軸として図3における反時計回り方向に回転し、またこれにともなって弾性部材46が上方に変位し、弾性部材46が一定の圧力で弾性部材47を介して第2加圧アーム45の端部を押し上げる。
第2加圧アーム45は、弾性部材47側の端部が押し上げられると、支持軸44を中心軸として回転する同図における反時計回り方向に回転し、加圧部45aが加圧ローラ94の軸94bに当接し、下方から押し上げて、加圧ローラ94を定着ローラ93、定着ベルト92方向に押すように作用する。
これにより、加圧ローラ94が定着ベルト92に当接して押圧するとともに、定着ベルト92を介して定着ローラ93を押圧し、弾性部材46、47の弾性力に基づいた一定の圧力で加圧する状態となりニップ部Nを形成する。
このようにして、定着装置6が駆動するときすなわち定着を行うときには、接離手段41により加圧ローラ94が定着ベルト92の方向へ押されることで、加圧ローラ94の定着ベルト92への押し当てが一定の圧力で行われる。
【0073】
(脱圧動作)
接離制御手段として機能する制御手段64によって接離駆動源48が駆動され、加圧カム42が第1の状態のときの角度位置からさらに一定の回転角だけ回転されると、加圧カム42がコマ43aを押し上げることが解除される。すると、ニップ部N、加圧部54a、弾性部材47、弾性部材46の順で経由した反発力により、第1加圧アーム43は支持軸44を中心軸として加圧の場合とは反対方向の、同図における時計回り方向に回転する。
この回転により、弾性部材46、さらには弾性部材47が加圧の場合と反対方向に引張られる作用を受け、これによって、第2加圧アーム45は、支持軸44を中心軸として加圧の場合とは反対方向である同図における時計回り方向に回転する。
これにより、加圧部54aが加圧の場合とは反対方向である下方に変位して加圧ローラ94の軸94bから離れる方向に移動するため、加圧ローラ94は、下方から押圧される作用が解除され、定着ローラ93、定着ベルト92から離間する方向に移動し、定着ニップ部Nの形成は解消されて脱圧状態となる。
このようにして、定着装置6の駆動が停止されるときすなわち定着が停止されるときには、接離手段41により加圧ローラ94の定着ベルト92への押し当てが解除されて、加圧ローラ94は定着ベルト92から離間する。
【0074】
以上のような構成の定着装置6においては、第1の状態において、定着ベルト92、加圧ローラ94が回転駆動され、ヒータ91b、ヒータ94aの駆動によって定着ベルト92、加圧ローラ94の表面が所定の温度まで加熱された状態で、図2における右方からガイド部材51によって案内されてきた、未定着トナー像を担持した転写紙Sが、ニップ部Nすなわち定着ベルト92と加圧ローラ94との圧接部である定着部に通され、未定着トナー像とともにニップ部Nにおいて加熱および加熱されることで、この熱と圧力との作用により、担持した未定着トナー像がその表面に熱融着されて定着されるようになっている。
【0075】
定着装置6のその余については後述する。
なお、圧力印加部材は、加圧ローラ94のようなローラ状でなく、たとえば複数のローラ等に架け渡された、無端ベルト状であっても良い。
【0076】
操作パネル65は、図示しない液晶タッチパネル、ボタン等の入力手段を備えており、制御手段64に接続され、ユーザ等の画像形成装置100の使用者によって入力手段から入力された、諸条件等に対応した各種データを制御手段64に入力するとともに、制御手段64から入力された各種情報を、出力手段としても機能する液晶タッチパネルに表示する。
【0077】
入力手段によって入力する情報としては、たとえば、画像形成に使用する転写紙Sの種類、大きさ、厚み等が挙げられる。なお、転写紙Sの大きさには、通紙方向が含まれるものとする。
出力手段によって表示する情報としては、定着装置6が回復可能な程度に劣化したこと、定着装置6が回復不能の程度に劣化したこと、定着装置6のメンテナンスを行うべきこと、定着装置6の交換を行うべきこと等が挙げられる。
なお、画像形成装置100は、PC等の外部入力装置、あるいはこれに加えてPC等に接続されたモニタ等の外部出力装置を接続されるようになっている。外部入力装置から入力される情報は、入力手段によって入力する上述の情報並びに形成すべき画像の情報である画像情報および画像を形成する回数である。外部出力装置によって表示する情報は、出力手段によって表示する上述の情報と同様である。
【0078】
図5に示すように、制御手段64は、演算装置であるCPU64a、データの読み出し、保存を行うRAM64b、固定データを保存しておくROM64cとを有している。RAM64bには、後述する定着ベルト寿命アレイのデータを保存する領域が確保されている。制御手段64は、接離駆動源48、定着ベルト駆動機構55、加圧ローラ駆動機構56と接続されている。制御手段64は、定着ベルト寿命アレイに保存される値から算出される結果を参照しながら、定着ベルト駆動機構55、加圧ローラ駆動機構56の駆動を制御する。
【0079】
また、制御手段64は、各シート給送装置61に積載されている転写紙Sの大きさを認識しているとともに、入力手段、外部入力装置によって入力された情報に応じて、各シート給送装置61のうちのいずれから転写紙Sを給送して画像形成に使用するかを判断する。よって、制御手段64は、画像形成に使用する転写紙Sの大きさを認識する。その他、制御手段64は、画像形成に使用する転写紙Sの種類、厚み等も認識する。
【0080】
画像形成ユニット60BK、60Y、60M、60Cについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像形成ユニット60Yの構成を代表して構成を説明する。なお、他の画像形成ユニットの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、画像形成ユニット60BKの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像形成ユニットの構成に付し、また詳細な説明については適宜省略することとし、符号の末尾にBK、Y、M、Cが付されたものはそれぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの画像形成を行うための構成であることを示すこととする。
【0081】
画像形成ユニット60Yは、感光体ドラム20Yの周囲に、図1中時計方向であるその回転方向B1に沿って、1次転写ローラ12Yと、クリーニング手段としてのクリーニング装置80Yと、除電手段としての除電装置78Yと、帯電手段としての帯電装置79Yと、露光手段としての書込装置8Yと、電位検知手段としての電位センサ73Yと、2成分現像剤により現像を行う現像手段としての現像装置71Yとを有している。
【0082】
感光体ドラム20Yは、駆動装置によって駆動されB1方向に所定の周速度で回転する。
クリーニング装置80Yは感光体ドラム20Yに当接した図示しないクリーニングブレードを備えており、1次転写ローラ12Yによる1次転写後に感光体ドラム20Y上に残留している転写残トナー等をクリーニングブレードによって感光体ドラム20Yから掻き落として除去し感光体ドラム20Yをクリーニングすることで感光体クリーナとして機能する。
【0083】
除電装置78Yは、感光体ドラム20Y表面に一様に除電光を照射することでクリーニング装置80Yによりクリーニングされた感光体ドラム20Y表面に残留している電荷を除去し、非静電潜像部分を除去することにより感光体ドラム20Yの表面電位を初期化する除電ランプを備えたイレーズである。
【0084】
帯電装置79Yは、スコロトロンチャージャからなる非接触式帯電器であり、スコロトロンチャージャのグリット電圧Vgを、所定のマイナス電位とされた目標帯電電位に設定し、帯電バイアスを印加することで、除電装置78Yによって除電された感光体ドラム20Y表面の電位をかかる目標帯電電位で一様に帯電するものである。なお、帯電装置79Yは、他の非接触式帯電器や、接触式帯電器であっても良い。
【0085】
書込装置8Yは、光源としてLDすなわちレーザーダイオードを用い、画像形成装置100の外部から入力される画像情報に従って断続的な書き込み光、すなわち繰り返しパルス状の書き込み光LYを感光体ドラム20Y表面に照射することで、感光体ドラム20Y表面上に1ドットごとの静電潜像である1ドット静電潜像を形成する。これにより、書込装置8Yは、潜像形成手段としての光書込みユニット光である露光装置として機能する。
【0086】
書込装置8Yは、1ドット静電潜像を形成する際の露光時間すなわち単位露光時間を変更することで、1ドット静電潜像に付着するトナー付着量を制御して階調制御を行うことが可能となっている。具体的には、最大単位露光時間を15分割し、それぞれの単位露光時間を露光デューティとしたとき、露光デューティを、露光しない場合の0から、最大単位露光時間の15までの間の16段階で用いることで、16階調の階調制御が可能となっている。
【0087】
なお、画像形成装置100が複写機である場合には、その複写機に備えられた原稿読取装置におけるコンタクトガラス上にセット等された原稿が、コピースイッチの押下などをトリガーとして、光学的に読み取られ、これによって生成された画像情報に従って、書込装置8Yは、書き込み光LYを感光体ドラム20Yに照射し、静電潜像を形成する。
【0088】
現像装置71Yは、感光体ドラム20Yに対向配置された現像剤担持体としての現像ローラを備えており、所定の帯電極性具体的にはマイナス極性に帯電したトナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を現像ローラ上に担持させて、感光体ドラム20Y表面にトナーを供給する。現像ローラには、絶対値が露光部電位VLよりも十分に大きくかつ帯電電位Vdよりも十分に小さい現像バイアスVbを印加されている。これにより感光体ドラム20Y表面と現像ローラとが対向する現像領域において、書込装置8Yによる露光部である感光体ドラム20Y表面の静電潜像に向けてトナーを移動させ、かつ、書込装置8Yによる非露光部である感光体ドラム20Y表面の非静電潜像にはトナーが移動しないような電界を形成する。この電界により静電潜像にトナーを付着し、静電潜像がトナーで現像され、感光体ドラム20Y表面にトナー像が形成される。
【0089】
このような構成の画像形成装置100において、カラー画像を形成すべき旨の信号が入力されると、駆動ローラ72が駆動され、転写ベルト11、クリーニング対向ローラ74、張架ローラ33、66、67、75が従動回転するとともに、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKがB1方向に回転駆動される。
【0090】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、B1方向への回転に伴い、帯電装置79Y、79M、79C、79BKにより表面を一様に帯電され、書込装置8Y、8M、8C、8BKからの書き込み光LY、LM、LC、LBKの露光により、帯電装置79Y、79M、79C、79BKによって帯電された感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK表面の露光部の電位の絶対値が下がることによってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置71Y、71M、71C、71BKによりイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーにより現像され、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像によって構成された単色画像が形成される。この現像においては、具体的には、現像ローラに対し、上述した現像バイアスVbを印加することで、マイナス極性に帯電したトナーが静電的に感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK表面の静電潜像に付着させる。
【0091】
現像により得られたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像は、順次、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによって、A1方向に回転している転写ベルト11上の同じ位置に転写され、転写ベルト11上には合成カラー画像が形成される。
【0092】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、転写後に、転写ベルト11に転写されずに残留した転写残トナーをクリーニング装置80Y、80M、80C、80BKにより除去されて回収され、除電装置78Y、78M、78C、78BKによって除電され、帯電装置79Y、79M、79C、79BKによる次の帯電に供される。
【0093】
一方、カラー画像を形成すべき旨の信号の入力、あるいは画像形成装置100が複写機である場合にはコピースイッチの押下等に伴い、ペーパーバンク31に備えられたシート給送装置61のいずれかが選択され、選択されたシート給送装置61に備えられた給送ローラ3が回転して転写紙Sを繰り出すとともに1枚ずつ分離して給紙路32に送り込み、給紙路32に送り込まれた転写紙Sは図示しない搬送ローラでさらに搬送されレジストローラ対4に突き当てられた状態で停止する。
【0094】
転写ベルト11上に重ね合わされた合成カラー画像が転写ベルト11のA1方向の回転に伴って2次転写部57まで移動するタイミングに合わせて、レジストローラ対4が回転し、2次転写部57では、合成カラー画像が、2次転写部57に送り込まれた転写紙Sに密着し、ニップ圧及び電源によって形成されたバイアスの作用によって転写紙Sに2次転写され、記録される。
【0095】
2次転写を終えた2次転写部57通過後の転写ベルト11は、クリーニング装置13に備えられたクリーニングブレード76によって、転写後に残留している転写残トナーが回収されること等によってその表面をクリーニングされ、次の転写に備える。
【0096】
2次転写によってトナー像を転写され担持した転写紙Sはベルト搬送装置87によって定着装置6に送り込まれ、定着装置6において定着ベルト92と加圧ローラ94との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像すなわち合成カラー画像を定着される。このとき、制御手段64は、定着ベルト92と加圧ローラ94とが同じ速度で回転するように、定着ベルト駆動機構55、加圧ローラ駆動機構56の駆動を制御している。
【0097】
定着装置6を通過した、合成カラー画像を定着済みの転写紙Sは、排紙ローラ7を経て本体99外に排出され、本体99の上部の排紙トレイ17上にスタックされる。これにより、一連のプロセスが終了する。
【0098】
このような画像形成を繰り返し行うと、定着装置6においては、定着ベルト92が劣化し、定着性が低下して画質が劣化する。これを回避するには、定着ベルト92が劣化した場合にこれを交換することが適しているが、そのためには、定着ベルト92の劣化を精度よく検出することを要する。そして、定着ベルト92の劣化が、転写紙Sの端部との当接によるせん断力が作用することで進行しやすいという上述の事情に鑑みれば、定着ベルト92の劣化を精度よく検出するには、転写紙Sの端部位置を考慮して、定着ベルト92の劣化を検出する必要がある。またその際には、かかるせん断力が、転写紙Sの厚みによって変化することをも考慮することが望ましい。
【0099】
そこで、画像形成装置100においては、制御手段64において認識している転写紙Sの大きさに基づいて、制御手段64により、ニップ部Nを通過する転写紙Sの端部の、定着ベルト92の幅方向における通過位置を検知するようになっている。この点、制御手段は、端部位置検知手段として機能する。
【0100】
端部位置検知手段として機能する制御手段64は、具体的には、図6に示すように、定着ベルト92の幅方向における一方の端縁を92a、他方の端縁を92bとしたとき、端縁92aから端縁92bまでの長さを等分して形成される各領域の何れを、ニップNを通過する転写紙Sの端縁が通過するかを判断し認識する。同図に示している場合においては、端縁92aから端縁92bまでの長さが360mmであり、これを幅方向に1.0mmの長さ360等分して、言い換えると1.0mm単位で区分して、幅方向において1mmの領域を360個形成している。各領域に、端縁92a側から端縁92b側に向けて1から順に番号を振ると、端縁92aに最も近い領域は領域1となり、端縁92bに最も近い領域は領域360となる。またたとえば、端縁92aから14.0mm〜15.0mmの領域は領域15となる。これら領域1から360までの各領域のうち、ニップNを通過する転写紙Sの端縁が通過する領域を、定着ベルト領域とすると、端部位置検知手段として機能する制御手段64は、制御手段64において認識している転写紙Sの大きさに基づいて、定着ベルト領域を検知する。
【0101】
よって、ニップ部Nを通過する転写紙SがA4横サイズであるとすると、転写紙Sが中央基準で搬送されるため、ニップ部Nを通過する転写紙Sの端部は、幅方向の中心位置から対称の位置を通過することとなり、転写ベルト92の幅方向に沿った転写紙Sの長辺の長さが297mmであることから、転写紙Sの各端部は、端縁92aからの距離に換算すると31.5mm、328.5mmの位置をそれぞれ通過することとなるため、端部位置検知手段として機能する制御手段64は、定着ベルト領域を、領域32、領域329と検知する。
【0102】
なお、画像形成装置100において、ニップ部Nを通過する転写紙Sの最大幅は、13インチすなわち約330mmとなっている。また、加圧ローラ94は、定着ベルト92の幅方向における定着ベルト92の幅よりも長く、定着ベルト92の幅方向において定着ベル92の全体に当接するように配設されており、最大幅の転写紙Sがニップ部Nを通過するときの、定着ベルト92の幅方向における転写紙Sの通過領域を含むように配設されている。定着ローラ93も同様である。また、端部位置検知手段として機能する制御手段64は、転写紙Sが端部基準で搬送されるときは、これに応じて、転写紙Sの各端部の通過位置を定着ベルト領域として検知するようになっている。
【0103】
制御手段64は、すでに述べたように、転写紙Sの厚み言い換えると用紙厚も認識している。具体的には、制御手段64は、転写紙Sの厚みを、区分1(用紙連量80gsm以下)、区分2(81〜127gsm)、区分3(128〜157gsm)、区分4(158〜220gsm)、区分5(221〜256gsm)、区分6(257gsm以上)という6個の区分で認識している。この点、制御手段64は、用紙厚検知手段として機能する。転写紙Sの厚みと各区分との対応関係は、用紙連量、すなわちメートル坪量相当での値を用いて、用紙厚検知手段として機能する制御手段64によって形成される。また、用紙厚検知手段として機能する制御手段64は、各区分に対応するように、転写紙Sの厚みを表す数値である用紙連量係数を決定する。具体的には、用紙厚検知手段として機能する制御手段64は、区分1:1〜1.2、区分2:1.1〜1.5、区分3:1.2〜1.7、区分4:1.5〜2.0、区分5:1.8〜3.0、区分6:2.5〜3.0の範囲で設定された値で用紙連量係数を決定する。したがって、用紙厚検知手段として機能する制御手段64は、転写紙Sの厚みを表す数値である用紙連量係数を、液晶表示パネル、外部入力装置によって入力された転写紙Sの厚みに基づき、メートル坪量相当での値に基づいて決定し、これを転写紙Sの厚みとして検知するようになっている。
【0104】
かかる区分の番号をi、定着ベルト領域の番号をjとし、これを2次元配列状に表したとき、ニップ部Nを通過する転写紙Sの用紙厚とこの転写紙Sの端部の通過する領域とを示す2次元配列を定着ベルト寿命アレイと定義付ければ、この定着ベルト寿命アレイの各要素Pは、図7に示すように、P(i,j)(i=1、2、・・・、6の行要素,j=1、2、・・・360の列要素)で表される。これら各要素Pには、後述するようにして算出される区分劣化度が記憶される。区分劣化度の初期値は、各要素Pにおいて0とされている。
【0105】
制御手段64はまた、すでに述べたように、転写紙Sの種類言い換えると紙種も認識している。具体的には、制御手段64は、転写紙Sの種類を、普通紙:1〜1.1、コート紙1:0.7〜0.8、コート紙2:0.9〜1.0、マット紙1:0.9〜1.2、マット紙2:1.2〜1.4、特殊紙1:0.6〜0.9、特殊紙2:1.5〜2.0の範囲で設定された値で表される紙種係数で認識している。この点、制御手段64は、紙種検知手段として機能する。転写紙Sの種類を表す数値としては、かかる紙種係数、すなわち転写紙Sの種類に応じて定められた数値が用いられ、紙種検知手段として機能する検知手段64は、液晶表示パネル、外部入力装置によって入力された転写紙Sの種類に基づき、紙種係数を決定し、これを転写紙Sの種類として検知するようになっている。
【0106】
制御手段64はまた、制御手段64において認識している転写紙Sの大きさに基づいて、上述した定着ベルト領域を通過する転写紙Sの長さを認識する。具体的には、制御手段64は、かかる長さを、A4横で通紙するときに定着ベルト92の回転方向に沿って定着ベルト領域を通過する転写紙Sの長さを基準とした長さ係数で認識している。この点、制御手段64は、長さ検知手段として機能する。長さ係数は、実際にニップ部Nを通過する転写紙Sの、定着ベルト92の回転方向に沿った1枚あたりの長さを、A4サイズの短辺の長さで除した値として、長さ検知手段として機能する制御手段64によって算出され、これによって検知されるようになっている。
【0107】
各要素Pに記憶される区分劣化度は、次に説明する加算値Tを各要素Pに累積して加算することによって算出される。加算値Tは、以上述べたようにして検知された用紙連量係数と、紙種係数と、長さ係数と、ニップ部Nに通される転写紙Sの枚数との積によって、制御手段64によって算出される。この点、制御手段64は、加算値算出手段として機能する。
【0108】
区分劣化度は、画像形成ジョブの終了後に、加算値算出手段として機能する制御手段によって算出された当該画像形成ジョブにおける加算値Tを、各要素Pにすでに記憶されている区分劣化度に加算することによって算出される。この動作は制御手段64によって行われる。この点、制御手段64は、区分劣化度算出手段として機能する。
【0109】
区分劣化度算出手段として機能する制御手段64によって算出された区分劣化度は、各要素Pの具体値として、RAM64bに、定着ベルト寿命アレイのデータとして記憶される。この点、RAM64bは、区分劣化度記憶手段として機能する。
【0110】
各定着ベルト領域における定着ベルト92の劣化度は、制御手段64により、各定着ベルト領域のそれぞれにおいて、区分劣化度を、各定着ベルト領域を通過した転写紙Sの数によって累積することで算出される。この点、制御手段64は、劣化度算出手段として機能する。具体的には、劣化度算出手段として機能する制御手段64は、要素Pを、定着ベルト領域ごとに加算した、図7に示す合計値S(i)を、各定着ベルト領域における劣化度として算出する。よって、劣化度は、下式(1)によって与えられる。
【0111】
【数1】

【0112】
このように、劣化度算出手段として機能する制御手段64は、各定着ベルト領域をその端部が通過する各転写紙Sの大きさすなわち定着ベルト92の回転方向に沿った長さを、この転写紙Sの厚みと種類とに応じて重み付けして求められる特性値、すなわち転写紙Sの1枚毎の区分劣化度を、各定着ベルト領域をその端部が通過する転写紙Sの数によって累積することすなわち各定着ベルト領域をその端部が通過するすべての転写紙Sについて累積することで、劣化度を算出する。
【0113】
言い換えると、劣化度算出手段として機能する制御手段64は、用紙連量係数と紙種係数との積算によって算出される特性値である、定着ベルト92の回転方向に沿った転写紙Sの長さを除く劣化特性値を実質的に算出する、劣化特性値算出手段として機能するとともに、この劣化特性値算出手段によって算出された劣化特性値に、転写紙Sのかかる長さに関する値を、積算、累積することで、劣化度を算出するようになっている。
【0114】
このようにして劣化度算出手段として機能する制御手段64によって算出される劣化度は、当該定着ベルト領域における定着ベルト62の磨耗の度合いすなわち磨耗度を示している。
【0115】
ところで、定着ベルト92の劣化による画質の劣化は、ある特定の定着ベルト領域の磨耗度が、他の領域の磨耗度よりも所定程度大きくなった場合、すなわち定着ベルト92の幅方向において定着ベルト92の磨耗の偏在が生じた場合に現れることが、本発明者の知見によって得られた。そこで、各定着ベルト領域における劣化度を定着ベルト領域の全領域にわたって加算した値を劣化度積算値とし、この劣化度積算値を定着ベルト領域の全領域数で除算した値である平均値すなわち定着ベルト92の幅方向における全幅での劣化度の和のこの全幅における平均値を劣化度平均値とすると、劣化度積算値tot_S、劣化度平均値ave_Sはそれぞれ次の式(2)、(3)で与えられるとともに、定着ベルト92の劣化の進行度すなわち劣化進行度prg_Sは、劣化度と劣化度平均値との差分の絶対値により、各定着ベルト領域について、次の式(4)で与えられる。なお、式(3)において、jmaxは、上述した列要素の最大値、言い換えると端縁92aから端縁92bまでの長さを等分した値である。
【0116】
【数2】

【0117】
【数3】

【0118】
【数4】

【0119】
これら劣化度積算値、劣化度平均値、劣化進行度の算出は、制御手段64によって行われる。この点、制御手段64gは、劣化度積算値算出手段としての積算値算出手段、劣化度平均値算出手段としての平均値算出手段、劣化進行度算出手段としての進行度算出手段として機能する。
【0120】
このようにして算出された劣化進行度は、定着ベルト92の劣化の進行度を表すものであり、この値が大きいほど画質の劣化が生じるため、劣化進行度の大きさによって、定着ベルト92の劣化の判断を行う。
【0121】
具体的には、劣化進行度と、所定の閾値とを比較することにより、定着ベルト92の劣化を判断する。所定の閾値としては、定着ベルト92の劣化が回復不能の程度であるか否かに関する基準となる指標である第1の閾値αと、定着ベルト92の劣化が回復可能の程度であるか否かに関する基準となる指標である、閾値αよりも小さい第2の閾値βとを用いる。そして、劣化進行度が、閾値βを超えている場合には定着ベルト92の劣化が回復可能の程度であると判断するとともに、閾値β以下である場合には定着ベルト92の劣化は生じていないと判断し、また、閾値αを超えている場合には定着ベルト92の劣化が回復不能の程度であると判断する。
【0122】
これら判断は、制御手段64によって行われる。この点、制御手段64は、劣化度判断手段として機能する。ここで、閾値α、βはそれぞれ、定着ベルト92、定着装置6ないし画像形成装置100に固有の値であって、予め求められた定着ベルト寿命判定値、定着ベルト劣化判定値である。
【0123】
なお、この判断によれば、劣化進行度が閾値αを超え、定着ベルト92の劣化が回復不能の程度であると判断されるべき場合であっても、劣化進行度と閾値βとの比較のみが行われた場合には、定着ベルト92の劣化が回復可能の程度で発生していると判断されることとなるが、後述するように、実際の制御においては、閾値αと比較される劣化進行度の値と閾値βと比較される劣化進行度の値とは異なる値とされるため、かかる判断による不都合は生じないようになっている。
【0124】
そして、以上述べた各手段のうち、少なくとも、端部位置検知手段として機能する制御手段64、劣化度算出手段として機能する制御手段64、平均値算出手段として機能する制御手段64、劣化度判断手段として機能する制御手段64とにより、定着ベルト92の劣化が生じているか否かの判定を行う回転部材劣化判定装置が構成されている。
【0125】
用紙連量係数、紙種係数について補足する。以上述べた事項から判るように、これらの係数は、画像形成枚数等との積等により、劣化度積算値を決定するものであり、また、劣化度積算値が大きいほど劣化進行度が大きくなる傾向にあるため、これら係数は、大きいほど、定着ベルト92の劣化を進行させる傾向にあることを意味する。
【0126】
この点、用紙連量係数は、転写紙Sの厚みに関する指標であり、この厚みは、厚いほど定着ベルト92にかかるせん断力を増大させ、同じ回数の画像形成を行ったとしても、定着ベルト92の劣化をより進行させるものであるため、転写紙Sの厚みが厚いほど、すなわち区分の番号が大きいほど、対応する用紙連量係数は大きくなっている。
【0127】
また、紙種係数は、転写紙Sの種類に対応した指標であり、転写紙Sの密度が大きいほど、小さな値をとるようになっている。これは、転写紙Sの密度が大きければ、用紙連量言い換えるとメートル坪量が同じである場合、転写紙Sの厚さは薄くなり、定着ベルト92にかかるせん断力が減少し、同じ回数の画像形成を行ったとしても、定着ベルト92の劣化をより生じにくくするものであるためである。よって、紙種係数は、転写紙Sの紙種が、密度が大きいものであるほど、小さくなるように設定されている。
【0128】
画像形成装置100においては、回転部材劣化判定装置として機能する制御手段64により、定着ベルト92の劣化が回復不能の程度であるとの判定が行われたときは、制御手段64は、操作パネル、外部出力装置に、間もなく定着ベルト92が寿命となる旨の定着ベルト寿命予告の表示を行わせ、ユーザ等に、定着装置6の交換を促す。なお、かかる表示は、すでに定着ベルト92が寿命である旨の定着ベルト寿命の表示であっても良い。このように、回転部材劣化判定装置として機能する制御手段64は、定着ベルト92の劣化が回復不能の程度であるか否かの判定、すなわち定着ベルト92が寿命であるか否かの判断を行うようになっている。
【0129】
また、回転部材劣化判定装置として機能する制御手段64により、定着ベルト92の劣化が回復可能の程度であるとの判定が行われたときは、制御手段64は、定着ベルト92の幅方向における定着ベルト92の磨耗の偏在を緩和する動作である磨耗跡低減動作を、定着ベルト駆動機構55、加圧ローラ駆動機構56の駆動を制御することで開始する。
【0130】
具体的には、定着ベルト92の回転速度よりも、加圧ローラ94の回転速度が小さくなるように、定着ベルト駆動機構55の駆動による定着ベルト92の回転速度を定着時の回転速度と同速に維持するように制御するとともに、加圧ローラ駆動機構56の駆動による定着ベルト92の回転速度を定着時の回転速度より低下する態様で変更するように制御することで、これらの回転速度に速度差を生じさせ、定着ベルト92をその幅方向全幅にわたって加圧ローラ94で擦り、摩擦抵抗を与えて磨耗させることにより、幅方向における定着ベルト92の磨耗の偏在を緩和する。この点、加圧ローラ94は、定着ベルト92の幅方向において定着ベルト92の全体を含み転写紙Sの通過領域の全体を含む幅で、ニップ部Nにて定着ベルト92に摩擦抵抗を与える摩擦抵抗付与部材として機能する。このように、回転部材劣化判定装置として機能する制御手段64は、定着ベルト92の劣化が回復可能の程度であるか否かの判定、すなわち磨耗跡低減動作をおこうか否かの判断を行うようになっている。
【0131】
磨耗跡低減動作は、後述するように定着ベルト92が寿命であるか否かの判断に先立って行われるようになっている。磨耗跡低減動作が行われると、定着ベルト92が磨耗し、劣化するため、区分劣化度算出手段として機能する制御手段64は、定着ベルト寿命アレイの各要素P(i,j)のうち、加算値Tを加算しなかった要素Pに、磨耗跡低減動作による劣化に対応した所定値Rを加算し、区分劣化度記憶手段として機能するRAM64bにすでに記憶されている区分劣化度の値を更新する。したがって、定着ベルト92が寿命であるか否かの判断に用いられる劣化進行度の値は、磨耗跡低減動作を行うか否かの判断に用いられる劣化進行度の値と異なっており、この劣化進行度の値よりも大きくなっている。
【0132】
以上述べた、回転部材劣化検出装置として機能する制御手段64による定着ベルト92の劣化の判定に関する、かかる制御手段64等の動作、制御、および、この判定の結果に基づく画像形成装置100の動作について、図8を参照して説明する。
【0133】
画像形成の条件としては、転写紙SとしてA4横サイズで坪量80g/mの普通紙を用い、この転写紙S100枚に画像形成を行うものとする。なお坪量80g/mは区分1に相当する。本形態における区分1の用紙連量係数は1.2であるものとし、普通紙の紙種係数は1.0であるものとする。
【0134】
操作パネルあるいは外部入力装置により、プリント要求すなわち画像形成ジョブの入力がなされると、制御手段64はこれを受信して、画像形成に用いる転写紙Sのサイズ、厚さ、種類、画像形成枚数に関するデータを取得し、認識する(S1)。
【0135】
次いで、制御手段64は、加算値算出手段として機能し、かかるデータに基づいて、用紙連量係数と、紙種係数と、長さ係数とをそれぞれ1.2、1.0、1.0の各数値として取得し、これらと画像形成枚数である100との積によって、加算値Tを1.2と算出する(S3)。
【0136】
制御手段64は、区分劣化度算出手段として機能するのに先立ち、加算値算出手段として機能する制御手段64によって算出された加算値Tを、定着ベルト寿命アレイの各要素P(i,j)の何れに加算するかを判断するにあたり、端部位置検知手段として機能する。端部位置検知手段として機能する制御手段64は、定着ベルト領域を、領域32、領域329と検知するため、区分劣化度算出手段として機能する制御手段64によって加算値Tである120が加算される、定着ベルト寿命アレイの要素は、P(1、32)、(1、329)となる(S3)。
【0137】
このようにして加算値Tを加算する定着ベルト寿命アレイが端部位置検知手段として機能する制御手段64によって判断されると、画像形成が行われる(S4)。よって、画像形成動作は、どの定着ベルト領域にどの程度磨耗するかの予測がなされた状態で行われることとなる。
【0138】
画像形成動作が終了すると、制御手段64が区分劣化度算出手段として機能し、定着ベルト寿命アレイの要素P(1、32)、(1、329)の、区分劣化度記憶手段として機能するRAM64bにすでに記憶されている区分劣化度の値に、加算値Tである120を加算し(S5)、かかるRAM64bに記憶されている区分劣化度の値を更新する。制御手段64が区分劣化度算出手段として機能するタイミングが画像形成動作終了後であるのは、かりに画像形成動作開始前に区分劣化度を更新すると、たとえばジャム、用紙切れ等の何らかの原因によって、入力された画像形成ジョブが中断ないし行われなかった場合に、区分劣化度を元に戻す手間がかかるためである。なお、定着ベルト寿命アレイの他の要素Pには加算が行われず、区分劣化度の値は維持される。
【0139】
次いで、制御手段64は、順次、劣化度算出手段、積算値算出手段、平均値算出手段、進行度算出手段として機能し、進行度算出手段として機能する制御手段64によって算出された劣化進行度は、劣化度判断手段として機能する制御手段64により、閾値βと比較されることで、磨耗跡低減動作の動作判定が行われる。
【0140】
かかる劣化進行度が閾値βを超えているときは、磨耗跡低減動作条件を満たす、すなわち磨耗跡低減動作を要すると判断されて、磨耗跡低減動作が行われ(S7)、すでに述べたように、制御手段64が区分劣化度算出手段として機能し、定着ベルト寿命アレイの各要素P(i,j)のうち、加算値Tを加算しなかった要素Pに、磨耗跡低減動作による劣化に対応した所定値Rを加算し、区分劣化度記憶手段として機能するRAM64bにすでに記憶されている区分劣化度の値を更新して(S8)、定着ベルト92が寿命であるか否かの判断が行われる(S9)。
【0141】
かかる劣化進行度が閾値β以下であるときは、磨耗跡低減動作条件を満たさない、すなわち磨耗跡低減動作が不要であると判断されて、定着ベルト92が寿命であるか否かの判断を行う(S9)。
【0142】
定着ベルト92が寿命であるか否かの判断を行うにあたっては、制御手段64は再度、順次、劣化度算出手段、積算値算出手段、平均値算出手段、進行度算出手段として機能し、進行度算出手段として機能する制御手段64によって算出された劣化進行度が、劣化度判断手段として機能する制御手段64により、閾値αと比較される。
【0143】
かかる劣化進行度が閾値αを超えているときは、定着ベルト92が寿命であると判断されて、制御手段64は、操作パネル、外部出力装置に、定着ベルト寿命予告の表示を行わせ(S10)、動作を終了する。かかる劣化進行度が閾値α以下であるときは、制御手段64はそのまま動作を終了する。
【0144】
以上述べた判断、判定、動作、制御は、各プリント要求について行われる。これにより、定着ベルト92の劣化、寿命が、転写紙Sの端部の、定着ベルト92の幅方向における通過位置、転写紙Sの厚み等に応じて精度良く判断され、適切な時期にユーザに定着ベルト92の寿命が知らされ、定着装置6の交換が促され、またこれによってダウンタイムの低減に対する貢献がなされる。
【0145】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0146】
たとえば、回転部材劣化検出装置は、回転部材の劣化を判断するのに必要な情報が得られるのであれば、画像形成装置に備えられた構成に限らず、画像形成装置にネットワーク等を通じて接続された、独立したあるいはPC等の一機能として実現される装置であって、かかるネットワーク等を通じてかかる情報を取得する装置であっても良い。
【0147】
回転部材劣化検出装置は、定着装置の構成として備えられたものであっても良い。
劣化度を算出するにあたって、紙種係数は必須ではない。
長さ係数も、使用される記録媒体の大きさが不変であれば不要である。
摩擦抵抗付与部材は、圧力印加部材であれば他の部材を用いなくても済むが、圧力印加部材と異なり、必要に応じて回転部材に摩擦抵抗を与えることが可能に形成された部材であっても良い。
【0148】
また、以上述べた形態においては、2成分現像剤を用いているが、現像剤は、1成分現像剤であってもよい。また、本発明は、画像形成装置100のようないわゆるタンデム方式の画像形成装置ではなく、1つの感光体ドラム上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも同様に適用することができ、また、カラー画像形成装置でなく、モノクロ画像形成装置にも適用することができる。いずれのタイプの画像形成装置でも、中間転写体を用いず、各色のトナー像を転写紙等に直接転写しても良い。
【0149】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0150】
6 定着装置
64 端部位置検知手段、劣化度算出手段、平均値算出手段、劣化度判断手段、回転部材劣化検出装置
92 回転部材
94 摩擦抵抗付与部材、圧力印加部材
100 画像形成装置
S 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0151】
【特許文献1】特開2000−131978号公報
【特許文献2】特開2009−300911号公報
【特許文献3】特開2007−226009号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を担持した記録媒体を回転により搬送しながら画像を同記録媒体に定着させる回転部材の幅方向における同記録媒体の端部の通過位置を検知する端部位置検知手段と、
前記端部位置検知手段によって検知された前記通過位置における前記回転部材の劣化度を、同通過位置を通過した記録媒体の数によって累積して算出する劣化度算出手段と、
この劣化度算出手段によって算出された前記劣化度の、前記回転部材の前記幅方向における全幅での和の同全幅における平均値を算出する平均値算出手段と、
前記劣化度算出手段によって算出された前記劣化度と、前記平均値算出手段によって算出された前記平均値との差分の絶対値を、所定の閾値と比較することにより、前記回転部材の劣化を判断する劣化度判断手段とを有する回転部材劣化判定装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転部材劣化判定装置において、
前記劣化度算出手段は、前記端部位置検知手段によって検知された前記通過位置をその端部が通過する記録媒体の大きさを、同記録媒体の厚みと種類とに応じて重み付けすることにより、前記劣化度を算出することを特徴とする回転部材劣化判定装置。
【請求項3】
請求項2記載の回転部材劣化判定装置において、
前記劣化度算出手段は、前記厚みを示す数値としてメートル坪量を用いることを特徴とする回転部材劣化判定装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の回転部材劣化判定装置において、
前記劣化度算出手段は、記録媒体の材料に応じて定められた数値を前記種類を示す数値として用いることを特徴とする回転部材劣化判定装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の回転部材劣化判定装置において、
前記劣化度判断手段は、所定の閾値として、前記回転部材の劣化が回復不能の程度であるか否かの基準となる第1の閾値を用いて同劣化を判断することを特徴とする回転部材劣化判定装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の回転部材劣化判定装置において、
前記劣化度判断手段は、所定の閾値として、前記回転部材の劣化が回復可能の程度であるか否かの基準となる第2の閾値を用いて同劣化を判断することを特徴とする回転部材劣化判定装置。
【請求項7】
前記回転部材と、
前記幅方向において記録媒体の通過領域を含む幅で前記回転部材に摩擦抵抗を与える摩擦抵抗付与部材とを有し、
請求項6記載の前記回転部材劣化判定装置により前記回転部材が回復可能の程度で劣化したと判定されたとき、前記摩擦抵抗付与手段によって前記回転部材に摩擦抵抗を与える定着装置。
【請求項8】
請求項7記載の定着装置において、
画像を担持した記録媒体に同画像を定着させるときに前記回転部材との間で同記録媒体に圧力を印加する圧力印加部材を有し、
前記摩擦抵抗付与部材が、前記圧力印加部材であることを特徴とする定着装置。
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の回転部材劣化判定装置、および/または、請求項7または8記載の定着装置を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−189688(P2012−189688A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51611(P2011−51611)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】