説明

回転電機およびコイル

【課題】 運転電圧を低下させずに小型化を実現する回転電機を提供すること。
【解決手段】 回転電機には、鉄心2と、鉄心2から延出するコイル1と、鉄心2の外側に設けられ、コイル1の存在する方向に突出する複数の肩部を有する電磁シールド板3とが設けられる。コイル1は、導体を外側から電気絶縁被覆する絶縁体と、前記絶縁体の表面に形成され鉄心2に接触する低抵抗層4と、低抵抗層4に連接して前記絶縁体の表面に形成される複数の電界緩和層5とを備え、低抵抗層4と電界緩和層5との境界が、電磁シールド板3の最も鉄心2に近い側の肩部とコイル1との距離を最短とする当該コイル1の表面上の点(A点)の位置よりも鉄心2から遠ざかる方向(即ち、口出し部6に近づく方向)に離れた位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、固定子コイルから周辺接地構造物に対する放電を防止する構造を有する回転電機および該回転電機に使用されるコイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転電機固定子コイルにおいては鉄心−コイル間に発生するスロット内での放電を防止するためにコイル表面に低抵抗層を設けている。
【0003】
特許文献1によれば低抵抗層端部に電界緩和層を設け、回転電機運転中において低抵抗層端部の沿面方での防ぐ技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2によれば、コイルエンド部の隣接コイル間の対向する位置で生じる放電を防ぐために電界緩和層端部を斜めに配置する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4091402号公報
【特許文献2】特開2001−275293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術ではコイルスロット内、鉄心端部、隣接コイル間の放電は抑制できるものの、電磁シールド板などの周辺接地構造物に対する放電は抑制できない。固定子の軸長を短くするためには、コイルエンド部の曲がりを大きくすることが有効である。このような構造にすると固定子コイルと周辺接地構造物の距離が短くなるため、固定子コイル−周辺接地構造物間に放電が発生する可能性がある。以下に周辺接地構造物の一つである電磁シールド板を例にとって説明する。
【0007】
電磁シールド板は接地されているため、固定子コイルの位置は放電が発生しないよう設計される。すなわち、電磁シールド板に近接する固定子コイルの表面電位から固定子コイル―電磁シールド板の距離を規定し設計される。このためコイルエンド部の曲がりの大きさには制限があり、固定子軸長を短くするのが困難である。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、運転電圧を低下させずに小型化を実現する回転電機および該回転電機に使用されるコイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による回転電機は、鉄心と、前記鉄心から延出するコイルと、前記鉄心の外側に設けられ、前記コイルの存在する方向に突出する複数の肩部を有する電磁シールドとを具備する回転電機において、前記コイルは、導体を外側から電気絶縁被覆する絶縁体と、前記絶縁体の表面に形成され前記鉄心に接触する抵抗層と、前記抵抗層に連接して前記絶縁体の表面に形成される少なくとも1つの電界緩和層とを備え、前記抵抗層と前記電界緩和層との境界が、前記電磁シールドの最も鉄心に近い側の肩部と前記コイルとの距離を最短とする当該コイルの表面上の点の位置よりも前記鉄心から遠ざかる方向に離れた位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様によるコイルは、導体を外側から電気絶縁被覆する絶縁体と、前記絶縁体の表面に形成される抵抗層と、前記抵抗層に連接して前記絶縁体の表面に形成される少なくとも1つの電界緩和層とを備えたコイルであって、前記抵抗層と前記電界緩和層との境界が、当該コイルが電磁シールドを備えた回転電機の鉄心から延出するように取り付けられたときに前記電磁シールドの最も鉄心に近い側の肩部と当該コイルとの距離を最短とする当該コイルの表面上の点の位置よりも前記鉄心から遠ざかる方向に離れた位置に存在するように構成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る回転電機の固定子コイルを固定子中心軸方向に垂直な方向から見たときの構造を示す側面図。
【図2】同実施形態に係る回転電機の固定子コイルを固定子中心軸方向から見たときの構造を示す平面図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る回転電機の固定子コイルを固定子中心軸方向から見たときの構造を示す平面図。
【図4】同実施形態において低抵抗テープの端部を鉄心表面に対して平行に形成する方法の説明図。
【図5】図2に示した第1の実施形態に係る回転電機の固定子コイルの構造を示す平面図の中に等電位線を示した図。
【図6】図3に示した第3の実施形態に係る回転電機の固定子コイルの構造を示す平面図の中に等電位線を示した図。
【図7】図2に示した固定子コイルに対して耐圧試験用に隣接コイル間をバインド材8で固定した状態を示す図。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る回転電機の固定子コイルに対して耐圧試験用に隣接コイル間をバインド材で固定した状態を示す図。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る回転電機の固定子コイルを形成する途中の工程を示す図。
【図10】同実施形態に係る回転電機の固定子コイルを形成する最後の工程を示す図。
【図11】同実施形態に係る回転電機の固定子コイルの絶縁層を絶縁テープにより形成する例を示す図。
【図12】同実施形態における焼損試験の例を示す図。
【図13】図12の焼損試験の結果を示す図。
【図14】図12の焼損試験の結果に示される焼損範囲を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
最初に、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る回転電機の固定子コイルを固定子中心軸方向に垂直な方向から見たときの構造を示す側面図である。また、図2は、同実施形態に係る回転電機の固定子コイルを固定子中心軸方向から見たときの構造を示す平面図である。
【0015】
回転電機には、コイル1、鉄心2、電磁シールド板3などが備えられる。
【0016】
コイル1は、鉄心2から延出する固定子コイルであり、固定子の体格を小さくするために三次元的に曲げられている。
【0017】
鉄心2は、薄鉄板を積層することにより数m〜十数m程度のパイナップル状に形作られ、電気的に接地される。この鉄心2は、コイル1を収納するためのスロットを有し、当該スロットにコイル1を収納する。
【0018】
電磁シールド板3は、鉄心2からの漏れ磁束を遮断するために鉄心2の外側に設けられる周辺接地構造物であり、コイル1の存在する方向に突出する複数の肩部を有して凹凸形状を成している。この電磁シールド板3は、電気的に接地されており、電位が0となっている。
【0019】
なお、図1および図2では、鉄心2には、実際には上下それぞれ2本のコイルが設置されるが、周辺接地構造物との関係を述べる上で簡略化するため、下コイル1のみを図示している。
【0020】
コイル1は、導体を外側から電気絶縁被覆する絶縁体(図示せず)と、この絶縁体の表面に形成され鉄心2に接触する低抵抗層4と、この低抵抗層4に連接して前記絶縁体の表面に形成される少なくとも1つの電界緩和層5(ここでは、複数の電界緩和層5)とを備えている。また、コイル1の最端部には、口出し部6が備えられている。
【0021】
特に、本実施形態のコイル1は、図1に示されるように、低抵抗層4と電界緩和層5との境界が、電磁シールド板3の最も鉄心2に近い側の肩部とコイル1との距離を最短とする当該コイル1の表面上の点(A点)の位置よりも鉄心2から遠ざかる方向(即ち、口出し部6に近づく方向)に離れた位置に設けられている。なお、図1中のB点については、後述する第2の実施形態において説明する。
【0022】
より具体的には、低抵抗層4は、表面抵抗率が10〜1MΩであり、低抵抗層4と電界緩和層5との境界が、コイル1の表面上のA点の位置を基準に鉄心2から遠ざかる方向に(口出し部6が存在する方向に)コイル表面に沿って30mm移動した位置から、口出し部6の位置を基準に鉄心2に近づく方向にコイル表面に沿って100mm移動した位置までの間に設けられている。これにより、A点での放電が発生しない。
【0023】
コイル1の製作においては、例えば、導体上にマイカテープを所定の回数巻回して絶縁し、少なくとも鉄心2と接する箇所に対しては部分放電による絶縁劣化の影響を防止するために低抵抗層4を配置する。また、低抵抗層4の端部から外側には電界集中による沿面放電を防止するために電界緩和層5を1つ以上配置する。低抵抗層4と電界緩和層5との繋ぎ目(境界線)は、A点の位置よりも口出し部6側に離れた位置に設ける。電界緩和層5は、低抵抗層4と連接するように形成する。
【0024】
ここで、コイル1の製作方法の詳細について説明する。
【0025】
まず、絶縁された素線を束ねた導体を作製する。導体を束ねるとき、電流表皮効果による発熱を防ぐため、導体長手方向を回転軸として素線を回転させながら束ねる。
【0026】
束ねた素線が交差する箇所は凹凸が生じるため、体積抵抗率10〜10Ω・cmの半導電性の充填物を詰める。充填物は、エポキシワニスにカーボン及びマイカ粉を配合したものをガラス不織布の両面にコーティングして作製されるプリプレグシートである。
【0027】
次に、その外側に絶縁層内部での部分放電を防止するために表面抵抗率10〜10Ωの内部シールドを配置する。内部シールドは、ポリエステル繊維の不織布基材に、カーボン粒子混入の導電性ワニスを均一に含浸/加熱硬化させたプリプレグ状のテープであり、3mmラップで巻回して形成する。
【0028】
次に、導体と鉄心2とを電気的に絶縁するために絶縁層をハーフラップで数回から十数回巻回して形成する。絶縁層は、ガラスクロスなどの補強材にワニスを接着剤として集成マイカを張り合わせた後、加熱硬化させたプリプレグテープである。
【0029】
次に、運転時における鉄心2とコイル1間での放電を防止するために表面抵抗率が10〜1MΩの低抵抗層4を配置する。配置位置については前述の通りである。低抵抗層4はガラスクロスなどの補強材にポリエステル系ワニスにカーボンを配合したものを均一に塗布し、加熱硬化させたプリプレグテープである。
【0030】
次に、低抵抗層4の端部において表面電位が急変することで起こる沿面放電を防止するために当該低抵抗層4に連接するように電界緩和層5を形成する。電界緩和層5は、ガラスクロスなどの補強材にSiCを配合したエポキシ系ワニスを接着剤として均一にコーティングし、加熱硬化させたプリプレグテープである。このテープは、SiCの配合量を調節することで抵抗値を変化させることができる。これを利用し抵抗値の異なる複数の電界緩和層5を連接させてコイル表面の電位勾配を緩やかにする。本実施形態では、例えば2種類の電界緩和層5を連接させるものとする。
【0031】
コイルは所定の形状に成型できるよう金属板又はFRP板(あて板)をあてがい、熱収縮テープであて板を保持する。
【0032】
こうしてできたコイルはタンクの中で2torr以下の真空状態下に保持しながら、100℃程度まで昇温される。そこでコイルが完全に浸漬されるまで150℃に加熱されたポリエチレンコンパウンドを流し込む。それと同時に不活性ガスを流し込み7kg/cmで加圧する。ポリエチレンコンパウンドの温度を150℃に保ちながら約10時間保持することで熱硬化処理を行う。
【0033】
十分に硬化が進んだところで減圧しながら降温する。
【0034】
最後に、タンクから取り出したコイルにあてがったあて板を取り除き、コイル1が完成する。
【0035】
ここで、本実施形態の回転電機における作用について説明する。
【0036】
コイル1の導体に電圧を印加すると、アース電位にある低抵抗層4の端部からコイルに向かって、電界緩和層5上の表面電位は緩やかに上昇する。鉄心2とコイル1が最も近接するA点において、コイル表面電界が放電開始電界以上になると、一般には、A点において放電が生じるが、本実施形態では、アース電位にある低抵抗層4の端部をA点の位置よりも口出し部6側に離れた位置にまで配置するので、A点で放電が発生しない。
【0037】
このように、第1の実施形態によれば、低抵抗層4と電界緩和層5との繋ぎ目(境界線)は、A点の位置よりも口出し部6側に離れた位置に設けられているので、その位置までの電位が0となり、コイル1と上記肩部との間に電位差が生じないため、放電を抑制することができる。これにより、電磁シールド板3とコイル1を接近させることができるので、回転電機を小型化できる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、図1および図2を再び参照して、第2の実施形態について説明する。
【0039】
この第2の実施形態では、前述の第1の実施形態の構成に加え、次のような構成を更に有する。すなわち、コイル1における低抵抗層4と電界緩和層5との境界(繋ぎ目)、および、隣接する電界緩和層5どうしの境界(繋ぎ目)が、電磁シールド板3の各肩部とコイル1との距離をそれぞれ最短とする当該コイル1の表面上の各点(即ち、A点,B点)に位置しないように構成されている。つまり、電磁シールド板3の各肩部と対向するコイル1表面上の各点(即ち、A点,B点)が、各繋ぎ目と重ならないように配置されている。
【0040】
なお、コイル1の製作方法については、前述の第1の実施形態で示した通りなので省略する。
【0041】
ここで、本実施形態の回転電機における作用について説明する。
【0042】
定格電圧が高い回転電機においては、抵抗値が異なる2種類以上の電界緩和層5を組み合わせて使用する場合がある。また、前述したように、回転電機のコイル1は固定子径の円周方向に湾曲した構造を有しており、曲がり部の外側と内側とでは鉄心2からの距離が異なる。低抵抗層4と電界緩和層5の繋ぎ目や抵抗値の異なる電界緩和層の繋ぎ目では、電位傾斜が異なるため、隣接コイル間の電位差が大きくなる。そのため、隣接コイル間に放電を生じる。このとき、放電によりコイル1表面の電位が大きく変化すること、或いは放電により発生した電離ガスにより、放電が発生している部位での更なる放電が誘発されることが考えられる。ここでもし、電磁シールド板3付近のコイル表面A点,B点に、低抵抗層4と電界緩和層5との繋ぎ目、又は抵抗値の異なる電界緩和層5どうしの繋ぎ目が配置されていると、大きな放電を誘発する可能性を高めることになる。本実施形態ではそのような配置を避けていることから、大きな放電が誘発されることを防止することができる。
【0043】
このように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態で得られる効果に加え、電磁シールド板3の各肩部と対向するコイル1表面上の各点(即ち、A点,B点)が、各繋ぎ目と重ならないように配置しているので、コイル1−電磁シールド板3間の放電をより一層抑制することができる。
【0044】
(第3の実施形態)
次に、図3〜図6を参照して、第3の実施形態について説明する。
【0045】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る回転電機の固定子コイルを固定子中心軸方向から見たときの構造を示す平面図である。なお、前述の図1および図2と共通する要素には同一の符号を付している。
【0046】
この第3の実施形態では、コイル1における低抵抗層4と電界緩和層5との境界線、および、隣接する電界緩和層5どうしの境界線の形態が、前述の第1の実施形態や第2の実施形態と異なる。すなわち、この第3の実施形態では、コイル1における低抵抗層4と電界緩和層5との境界線、および、隣接する電界緩和層5どうしの境界線が、当該コイル1が延出する鉄心表面に対し、平行となるように構成されている。
【0047】
低抵抗層4を形成するためには、一般に、導体上に形成された絶縁上に、低抵抗テープを手巻きで巻回する。このときラップをさせながら巻回すると、湾曲部において鉄心表面に対して平行となるように低抵抗テープ端部を構成することが困難である。そこで、この第3の実施形態では、第1の実施形態で示した低抵抗層4を、第1の実施形態で示した方法と同様の方法で配置した後、第1の実施形態で説明した低抵抗層4と同様の構成のシートやAステージの樹脂に溶剤を含有させカーボンにより表面抵抗率を10〜1MΩの範囲に調整した塗料などを鉄心2表面と平行になるように配置する。また、電界緩和層5も同様に、シートや表面抵抗率を調整した塗料を鉄心2と平行になるように配置する。
【0048】
ここで、コイル1の製作方法の詳細について説明する。
【0049】
導体上に絶縁層を形成するところまでは第1の実施形態で記述した通りである。
【0050】
次に、低抵抗層4を形成する。低抵抗層4は、第1の実施形態で説明した低抵抗テープを用いる。低抵抗テープは、絶縁層上にハーフラップで1回以上巻回する。巻回範囲は第1の実施形態で説明したとおりである。この状態では低抵抗テープの端部は、コイル長手方向に垂直に近い状態となる。
【0051】
次に、低抵抗テープの端部を鉄心表面に対して平行となるように形成するために、図4に示されるように、低抵抗シート7を折り曲げ、低抵抗テープ端部に一層配置する。低抵抗シート7はベルト等によって所定の位置に一時的に固定する。なお、図4中の丸数字1〜3は、配置前の低抵抗シート7の各部と、配置後の低抵抗シート7の各部との対応関係を示している。
【0052】
低抵抗シート7には、表面抵抗率10〜1MΩの範囲にあるガラス或いはポリエステル繊維ないし不織布にバインダー樹脂とカーボンを混抄した塗料を塗布乾燥させて形成されるプリプレグシートを用いる。
【0053】
次に、低抵抗シート7の上部に連接させて電界緩和層5を形成する。電界緩和層5には第1の実施形態で示したSiC高抵抗テープを使用する。高抵抗テープは、絶縁層上にハーフラップで1回以上巻回する。巻回範囲は第1の実施形態で説明したとおりである。高抵抗テープ端部に関してはコイル1の表面電位が上がりきっていない場合は、低抵抗テープの端部と同様に高抵抗シートを作製し、鉄心表面に対して平行となるように形成する。
【0054】
ここで、本実施形態の回転電機における作用について説明する。ここでは、図5および図6を参照して、第1の実施形態と第3の実施形態とを対比させて説明する。
【0055】
図5は、図2に示した第1の実施形態に係る回転電機の固定子コイルの構造を示す平面図の中に等電位線を示した図である。図6は、図3に示した第3の実施形態に係る回転電機の固定子コイルの構造を示す平面図の中に等電位線を示した図である。
【0056】
第1の実施形態では、図5に示されるように、コイル導体に電圧がかかると電界緩和層5にある一定の電位分布ができるが、その分布の仕方は低抵抗層4端部からの距離で決定されるため、鉄心軸方向に対するコイル1表面の電位分布は不均一になる。したがって、隣接間では密な電位傾斜ができるため電界が高くなる。
【0057】
一方、第3の実施形態では、図6に示されるように、鉄心軸からの距離が等しいコイル1表面上のすべての点で、低抵抗層4の端部からの距離が等しくなるため、鉄心軸方向に対するコイル1表面電位分布は均一になる。
【0058】
このように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態や第2の実施形態で得られる効果に加え、鉄心軸方向のコイル1表面電位傾斜を均一にできるので、この部位で発生する放電を抑制することが可能となる。
【0059】
(第4の実施形態)
次に、図7および図8を参照して、第4の実施形態について説明する。
【0060】
ここでは、回転電機の耐圧試験時において、隣接コイル間を固定するバインド材に電流が流れ焼損しまうことを防止する手法について説明する。
【0061】
図7は、図2に示した固定子コイルに対して耐圧試験用に隣接コイル間をバインド材8で固定した状態を示す図である。また、図8は、本発明の第4の実施形態に係る回転電機の固定子コイルに対して耐圧試験用に隣接コイル間をバインド材8で固定した状態を示す図である。
【0062】
図7と図8との対比からわかるように、この第4の実施形態では、前述の第1の実施形態の構成に加え、次のような構成を更に有する。すなわち、図8の場合は、図7の場合と異なり、コイル1における少なくとも電界緩和層5の表面上に、絶縁層9(保護巻)が形成されている。また、絶縁層9は、耐放電性を有する無機フィラー(図示せず)を含んでいる。なお、絶縁層9は、低抵抗層4とオーバーラップするように形成されていてもよい。また、耐圧試験終了後は、絶縁層9やバインド材8は不要となるが、絶縁層9は除去せずにそのまま残した状態で出荷しても構わない。その場合、絶縁層9の除去のためのコストを発生させずに済む。
【0063】
絶縁層9は、電界緩和層5を完全に覆うために電界緩和層5両端部からその外側に例えば20mm余分に形成する。使用する絶縁層9には、例えばマイカテープなどが挙げられる。マイカテープはハーフラップで一層以上巻回して形成する。
【0064】
また、絶縁層9に耐放電性が高い無機フィラーを使用することにより、放電によって穴が開き導通する現象を防止し、安定した性能を引き出すことができる。無機フィラーにはマイカ、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、水和アルミナ、酸化マグネシウムなどが挙げられる。無機フィラーの含有率は、重量百分率で20〜90%であることが望ましい。
【0065】
ここで、耐圧試験に対応するコイル1の製作方法の詳細について説明する。
【0066】
第1の実施形態で記述した通り電界緩和層5まで形成した後、電界緩和層5の上表面全体を覆うように絶縁層9を配置する。絶縁層9は、ガラスクロスなどの補強材にワニスを接着剤として集成マイカを張り合わせた後、加熱硬化させたプリプレグテープなどを使用して形成する。低抵抗層4と電界緩和層5の繋ぎ目より鉄心側に20mmの位置から、電界緩和層5の終端より口出し部6側に20mmまでハーフラップで1層以上巻回する。このとき、絶縁層9は、低抵抗層4とオーバーラップするように形成されてもよい。
【0067】
その後、第1の実施形態で記載した加熱硬化処理を行い、コイル1が完成する。
【0068】
ここで、本実施形態の回転電機における作用について説明する。
【0069】
第2の実施形態で説明したようにコイルエンド部の形状が湾曲していることから、隣接コイル間の対向する部位には電位差が生じる。
【0070】
ところで、コイルエンド部は、運転時の振動から保護するためにガラス繊維を束ねたロープで縛る構成や、コイル間にフェルトなどの詰め物をする構成がとられる。これらの部材は図8中ではバインド材8としている。バインド材8は未硬化の樹脂を含浸し、固定した後に硬化させることで固定力を保持しているが、もし未硬化の状態で電圧が印加されると抵抗が低いため、上述の電位差に応じた電流が流れる。電位差が大きい場合や未硬化状態で抵抗が低い場合には大きな電流が流れ、これらの部材が焼損する可能性がある。これに対し、本実施形態では、電位差を生じる可能性がある電界緩和層5表面に絶縁層9を配置しているため、バインド材8に電流が流れず、焼損が生じない。
【0071】
このように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態や第2の実施形態で得られる効果に加え、絶縁層9により隣接コイル間に流れる電流が遮断されるので、抵抗値の低いバインド材8に電流が流れず、バインド材8の焼損を防ぐことができる。
【0072】
(第5の実施形態)
次に、図9〜図13を参照して、第5の実施形態について説明する。
【0073】
この第5の実施形態では、前述の第4の実施形態の図8に示した構成の変形例について説明する。図8と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。以下では、図8と異なる部分を中心に説明する。
【0074】
前述の第4の実施形態の図8に示した構成では、バインド材8に流れる漏れ電流を遮断しバインド材8の焼損を防ぐために、絶縁層9(保護巻)が電界緩和層5の表面全体を覆うように配置されているため、絶縁層9の材料を必要以上に使用していると考えられる。そこで、この第5の実施形態では、絶縁層9の材料の無駄な使用を避けるため、バインド材8を焼損させずに絶縁層9の材料の使用量を低減することのできる構成の例を示す。
【0075】
この第5の実施形態においては、絶縁層9は、電界緩和層5の表面全体を覆うのではなく、電界緩和層の一部の表面を覆うように配置される。具体的には、絶縁層9は、電界緩和層5の全表面のうち、低抵抗層4と電界緩和層5との連接部を基点とする一定の範囲内の表面上に形成される。
【0076】
また、この第5の実施形態においては、電界緩和層5が抵抗値の異なる二種類の低抵抗電界緩和層5aおよび高抵抗電界緩和層5bで構成される。また、低抵抗電界緩和層5aは複数の層で構成される。これにより、コイル表面の電位勾配をより一層緩やかにすることができる。
【0077】
コイル1の製作においては、前述の第1の実施形態の場合と同様、導体上にマイカテープを所定の回数巻回して、図9に示されるように絶縁層(導体を外側から電気絶縁被覆する絶縁体)10を形成し、少なくとも鉄心2と接する箇所に対しては部分放電による絶縁劣化の影響を防止するために低抵抗層4を配置する。低抵抗層4の端部から外側には電界集中による沿面放電を防止するために、低抵抗電界緩和層5aを複数枚配置し、さらに高抵抗電界緩和層5bを口出し部側へずらして配置する。このとき、低抵抗電界緩和層5aは、低抵抗層4と連接するように形成する。
【0078】
さらに電界緩和層5の一部の表面上、例えば、図10に示されるように低抵抗層4と低抵抗電界緩和層5aとの連接部から高抵抗電界緩和層5bの鉄心側端部までの間にかけての低抵抗電界緩和層5aの表面上に絶縁層9を配置する。但し、絶縁層9を配置する範囲は、上記の例に限定されるものではない。例えば、絶縁層9は、低抵抗層4の一部に掛かっていてもよいし、高抵抗電界緩和層5bの一部に掛かっていてもよい。
【0079】
コイル1の製作方法の詳細については、低抵抗電界緩和層5a、高抵抗電界緩和層5b、および絶縁層9の形成方法を除けば、前述の第1の実施形態で説明した通りである。以下、低抵抗電界緩和層5a、高抵抗電界緩和層5b、および絶縁層9の形成方法に関してより詳細に説明する。
【0080】
低抵抗層4の配置後、低抵抗層4の端部を基点として口出し部側を+としたとき、低抵抗電界緩和層5aを−20〜200mm、次にその外層に低抵抗電界緩和層5aを−30〜400mm、次にその外側に高抵抗電界緩和層5bを150〜640mm配置する。
【0081】
低抵抗電界緩和層5aは、例えばガラステープを基材とし、その両面にエポキシワニスと適度の非線形特性を付加するために選択した炭化珪素(SiC)を配合し、均質に混練りして製造した半導電性ワニスを均一にコーティングし、適度に加熱乾燥した表面抵抗10〜10Ω/原幅のプリプレグガラステープである。
【0082】
高抵抗電界緩和層5bは、例えばガラステープを基材とし、その両面にエポキシワニスと適度の非線形特性を付加するために選択した炭化珪素(SiC)と半導電性を調節するため四三酸化鉄(Fe3O4)を配合し均質に混練りして製造した半導電性ワニスを均一にコーティングした表面抵抗10〜1011Ω/原幅のプリプレグガラステープである。
【0083】
絶縁層9は、電界緩和層5の全表面のうち、低抵抗層4と低抵抗電界緩和層5aとの連接部および10Ω以下の表面抵抗を有する部分(本例では、低抵抗電界緩和層5aの部分)の表面上に配置する。この絶縁層9は、例えばガラスクロスと抄紙したマイカを樹脂で一体化した絶縁テープを用い、図11に示すように巻回して形成される。
【0084】
次に、図12〜図14を参照して、焼損試験に基づく絶縁層9の好適な配置範囲について説明する。
【0085】
焼損試験においては、まず、図12に示されるように、2つのコイル1を12.5mmのギャップをあけて並列に配置したまま、片方のコイル1を長手方向(例えば口出し部側に)に80mmずらし、コイル間に5MΩの抵抗を持つ幅60mmの模擬バインド材8Aを配置した。次に、もう片方のコイル1の低抵抗層4側の面にて当該低抵抗層4からの模擬バインド材8Aの距離を測定した。そして、コイル導体に49kVの交流電圧を印加し、模擬バインド材8Aの焼損を確認することで、効果を検証した。
【0086】
具体的には、低抵抗電界緩和層5aから擬似バインド材8Aまでの距離に応じた擬似バインド材8Aの焼損の有無を、2つのコイル1をそれぞれ流れる電流の位相が互いに「異相」である場合と「同相」である場合とに分け、さらに、絶縁層(保護巻)9が「あり」の場合と「なし」の場合とに分けて調べた。その結果を図13に示す。
【0087】
図13の結果から、絶縁層9(保護巻)が「なし」の場合には低抵抗層4と低抵抗電界緩和層5aとの連接部を基点として40〜140mmの範囲内で焼損が生じてることがわかる。図14は、このときの焼損範囲を視覚的に把握しやすい形で表現した概念図である。
【0088】
これらの結果から、絶縁層9(保護巻)が「なし」の場合に焼損が生じる条件は、バインド材8Aが、コイル1の低抵抗層4と低抵抗電界緩和層5aの連接部に掛かっており、かつ、10Ω以下の表面抵抗を持つ電界緩和層に掛かっている場合であることがわかった。
【0089】
そこで、電界緩和層5の全表面のうち、低抵抗層4と低抵抗電界緩和層5aとの連接部および10Ω以下の表面抵抗を有する部分(本例では、低抵抗電界緩和層5aの部分)の表面上のみに絶縁層9を配置し、効果を検証した結果、焼損を防止することができた。
【0090】
このように、第5の実施形態によれば、第4の実施形態で得られる効果に加え、バインド材を焼損させずに材料の使用量を低減することができる。
【0091】
以上詳述したように、本発明の各実施形態によれば、運転電圧を低下させずに小型化を実現する回転電機および該回転電機に使用されるコイルを提供することができる。
【0092】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…コイル、2…鉄心、3…電磁シールド板、4…低抵抗層、5…電界緩和層、5a…低抵抗電界緩和層、5b…高抵抗電界緩和層、6…口出し部、7…低抵抗シート、8…バインド材、8A…摸擬バインド材、9…絶縁層(漏れ電流を遮断する保護巻)、10…絶縁層(導体を外側から電気絶縁被覆する絶縁体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄心と、
前記鉄心から延出するコイルと、
前記鉄心の外側に設けられ、前記コイルの存在する方向に突出する複数の肩部を有する電磁シールドと、
を具備する回転電機において、
前記コイルは、導体を外側から電気絶縁被覆する絶縁体と、前記絶縁体の表面に形成され前記鉄心に接触する抵抗層と、前記抵抗層に連接して前記絶縁体の表面に形成される少なくとも1つの電界緩和層とを備え、
前記抵抗層と前記電界緩和層との境界が、前記電磁シールドの最も鉄心に近い側の肩部と前記コイルとの距離を最短とする当該コイルの表面上の点の位置よりも前記鉄心から遠ざかる方向に離れた位置に設けられていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記抵抗層は、表面抵抗率が10〜1MΩであり、
前記抵抗層と前記電界緩和層との境界が、前記コイルの表面上の前記点の位置を基準に前記鉄心から遠ざかる方向にコイル表面に沿って30mm移動した位置から前記コイルの口出し部の位置を基準に前記鉄心に近づく方向にコイル表面に沿って100mm移動した位置までの間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記抵抗層と前記電界緩和層との境界、および、隣接する電界緩和層どうしの境界が、前記電磁シールドの各肩部と前記コイルとの距離をそれぞれ最短とする当該コイルの表面上の各点に位置しないように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記抵抗層と前記電界緩和層との境界線、および、隣接する電界緩和層どうしの境界線が、当該コイルが延出する鉄心表面に対して平行となるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項5】
少なくとも前記電界緩和層の表面上に、絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
前記電界緩和層の一部の表面上に、絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項7】
前記絶縁層は、前記電界緩和層の全表面のうち、前記抵抗層と前記電界緩和層との連接部を基点とする一定の範囲内の表面上に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の回転電機。
【請求項8】
前記絶縁層は、前記電界緩和層の全表面のうち、前記抵抗層と前記電界緩和層との連接部および10Ω以下の表面抵抗を有する部分の表面上に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の回転電機。
【請求項9】
前記絶縁層は、ガラスクロスと抄紙したマイカを樹脂で一体化した絶縁テープで構成されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項10】
前記絶縁層は、耐放電性を有する無機フィラーを含んでいることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項11】
導体を外側から電気絶縁被覆する絶縁体と、前記絶縁体の表面に形成される抵抗層と、前記抵抗層に連接して前記絶縁体の表面に形成される少なくとも1つの電界緩和層とを備えたコイルであって、
前記抵抗層と前記電界緩和層との境界が、当該コイルが電磁シールドを備えた回転電機の鉄心から延出するように取り付けられたときに前記電磁シールドの最も鉄心に近い側の肩部と当該コイルとの距離を最短とする当該コイルの表面上の点の位置よりも前記鉄心から遠ざかる方向に離れた位置に存在するように構成されていることを特徴とするコイル。
【請求項12】
前記抵抗層は、表面抵抗率が10〜1MΩであり、
前記抵抗層と前記電界緩和層との境界が、当該コイルが電磁シールドを備えた回転電機の鉄心から延出するように取り付けられたときに当該コイルの表面上の前記点の位置を基準に前記鉄心から遠ざかる方向にコイル表面に沿って30mm移動した位置から当該コイルの口出し部の位置を基準に前記鉄心に近づく方向にコイル表面に沿って100mm移動した位置までの間に存在するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載のコイル。
【請求項13】
前記抵抗層と前記電界緩和層との境界、および、隣接する電界緩和層どうしの境界が、当該コイルが電磁シールドを備えた回転電機の鉄心から延出するように取り付けられたときに前記電磁シールドの各肩部と当該コイルとの距離をそれぞれ最短とする当該コイルの表面上の各点に位置しないように構成されていることを特徴とする請求項11又は12に記載のコイル。
【請求項14】
前記抵抗層と前記電界緩和層との境界線、および、隣接する電界緩和層どうしの境界線が、当該コイルが電磁シールドを備えた回転電機の鉄心から延出するように取り付けられたときに当該コイルが延出する鉄心表面に対して平行となるように構成されていることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載のコイル。
【請求項15】
少なくとも前記電界緩和層の表面上に、絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載のコイル。
【請求項16】
前記電界緩和層の一部の表面上に、絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載のコイル。
【請求項17】
前記絶縁層は、前記電界緩和層の全表面のうち、前記抵抗層と前記電界緩和層との連接部を基点とする一定の範囲内の表面上に形成されていることを特徴とする請求項16に記載のコイル。
【請求項18】
前記絶縁層は、前記電界緩和層の全表面のうち、前記抵抗層と前記電界緩和層との連接部および10Ω以下の表面抵抗を有する部分の表面上に形成されていることを特徴とする請求項16に記載のコイル。
【請求項19】
前記絶縁層は、ガラスクロスと抄紙したマイカを樹脂で一体化した絶縁テープで構成されていることを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1項に記載のコイル。
【請求項20】
前記絶縁層は、耐放電性を有する無機フィラーを含んでいることを特徴とする請求項16乃至19のいずれか1項に記載のコイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−97821(P2011−97821A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168522(P2010−168522)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】