図書保管管理システム
【課題】コンテナとタグリーダとの相対移動速度に係わりなくタグリーダによる無線タグからの識別情報の読み取りを正確に行うことができる図書保管管理システムを提供すること。
【解決手段】直線偏波を用いて無線タグの識別情報を読取可能な第1タグリーダ15と、円偏波を用いて無線タグの識別情報を読取可能な第2タグリーダ16と、を備え、コンテナ6と、第1及び第2タグリーダ15,16と、を互いに相対移動させることで、第1及び第2タグリーダ15,16によって識別情報を順次読み取る。
【解決手段】直線偏波を用いて無線タグの識別情報を読取可能な第1タグリーダ15と、円偏波を用いて無線タグの識別情報を読取可能な第2タグリーダ16と、を備え、コンテナ6と、第1及び第2タグリーダ15,16と、を互いに相対移動させることで、第1及び第2タグリーダ15,16によって識別情報を順次読み取る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書庫に収容されている複数のコンテナの中から、目的の図書が含まれているコンテナを取り出してステーションに搬送するとともに、図書の貸し出しまたは返却作業後にステーションより書庫にコンテナを搬送する図書保管管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の図書保管管理システムにおいては、各図書に図書コード(識別情報)が記憶された無線タグが取り付けられているとともに、各図書は、搬送方向である左右方向に向けて搬送されるコンテナ内で、互いに背表紙を外側に向けるようにして、厚み方向(前後方向)に2列に並んで収容されるようになっている。更に、コンテナをステーションまで搬送する搬送コンベアの片側には、無線タグと無線通信を行うためのタグリーダ/ライタ(タグリーダ)が搬送方向に沿って並設されており、これらタグリーダ/ライタによってコンテナ内の各図書の無線タグから図書コードを読み取っているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3990173号公報(第16頁、第24図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の図書保管管理システムにあっては、搬送コンベアの搬送速度を遅くするように制御しなければ、タグリーダ/ライタ(タグリーダ)が無線タグから図書コード(識別情報)を読み取ることができず、コンテナの通常の搬送速度(相対移動速度)を維持した状態や搬送速度を速めた状態では、タグリーダ/ライタが無線タグから図書コードをうまく読み取れなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、コンテナとタグリーダとの相対移動速度に係わりなくタグリーダによる無線タグからの識別情報の読み取りを正確に行うことができる図書保管管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の図書保管管理システムは、
複数の図書が複数のコンテナ内に収容された状態で書庫に収容され、該複数の図書には、各図書を識別可能な識別情報が記憶されている無線タグが取り付けられ、管理装置の指令に基づき、書庫に収容されている複数の前記コンテナの中から、目的の図書が含まれているコンテナを取り出してステーションに搬送するとともに、図書の貸し出しまたは返却作業後にステーションより前記書庫に前記コンテナを搬送する図書保管管理システムであって、
直線偏波を用いて前記無線タグの前記識別情報を読取可能な第1タグリーダと、円偏波を用いて前記無線タグの前記識別情報を読取可能な第2タグリーダと、を備え、前記コンテナと、前記第1及び第2タグリーダと、を互いに相対移動させることで、前記第1及び第2タグリーダによって前記識別情報を順次読み取ることを特徴としている。
この特徴によれば、性質の異なる直線偏波と円偏波とを併用してタグリーダに用いることで、一方の偏波によって無線タグから識別情報を読み損ねても、他方の偏波によって無線タグから識別情報を読み取ることができるようになり、コンテナと第1及び第2タグリーダとの相対移動速度に係わりなく、第1及び第2タグリーダとによって無線タグからの識別情報の順次読取を正確に行うことができる。
尚、円偏波は、タグリーダから無線タグまでの距離が遠い場合や、図書がコンテナ内で横倒しとなった状態で収容されている場合であっても、無線タグから識別情報を読取可能であり、直線偏波は、タグリーダから無線タグまでの距離に多少のずれがある場合であっても、無線タグから識別情報を読取可能であり、これらのタグリーダを併用すれば、コンテナ内に図書が乱雑に収容されている場合であっても、円偏波と直線偏波とによって無線タグから識別情報を正確に読み取ることができる。
【0007】
本発明の図書保管管理システムは、
前記コンテナが水平移動されることで、前記第1及び第2タグリーダによって前記無線タグの前記識別情報が順次読み取られることを特徴としている。
この特徴によれば、コンテナを書庫からステーションに向けて搬送する際と、返却作業後にステーションから書庫に向けて搬送する際と、の双方でコンテナの搬送を停止させることなく第1及び第2タグリーダによって無線タグから識別情報を読み取ることができるので、コンテナの搬送効率を向上させることができる。
【0008】
本発明の図書保管管理システムは、
前記第1及び第2タグリーダが水平移動されることで、前記第1及び第2タグリーダによって前記無線タグの前記識別情報が順次読み取られることを特徴としている。
この特徴によれば、コンテナの搬送速度に係わりなく、コンテナと第1及び第2タグリーダとの互いの相対移動速度を自由に変化させることができるようになる。例えば、コンテナの搬送に並走して第1及び第2タグリーダを水平移動させたり、搬送速度が低下若しくは停止しているコンテナであっても、第1及び第2タグリーダを水平移動させることで、コンテナ内の全ての図書の無線タグから識別情報を順次読み取ることができる。
【0009】
本発明の図書保管管理システムは、
前記第1タグリーダは、前記第2タグリーダよりも前記コンテナに近接して前記識別情報を読み取ることを特徴としている。
この特徴によれば、直線偏波を用いた第1タグリーダは、円偏波を用いた第2タグリーダよりも無線タグの識別情報を読み取り可能な距離が短いため、直線偏波を用いた第1タグリーダの読取精度を向上させつつ、第1及び第2タグリーダの互いの配置位置を前後にずらすことができる。
【0010】
本発明の図書保管管理システムは、
前記複数の図書は、その背表紙に前記無線タグが取り付けられており、該複数の図書は、その背表紙を外側に向けた状態、かつ前記タグリーダの読取方向に沿って並べられた状態で前記コンテナに収容されていることを特徴としている。
この特徴によれば、タグリーダと無線タグとが対向配置されるようになり、タグリーダが無線タグから識別情報を読み取り易くなるとともに、利用者が目的の図書をコンテナ内から探し出す際に、背表紙を視認して目的の図書を確認し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における自動書庫及びステーションを示す平面図である。
【図2】自動書庫を示す一部側面図である。
【図3】ステーションを示す斜視図である。
【図4】ステーションを示す横断平面図である。
【図5】図書を示す斜視図である。
【図6】コンテナを示す平面図である。
【図7】コンテナを示す正面図である。
【図8】コンテナを示す縦断側面図である。
【図9】ディスプレイに表示されるコンテナ内に収容された図書の配置位置を示す図である。
【図10】変形例におけるステーションを示す横断平面図である。
【図11】実施例2におけるステーションを示す横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る図書保管管理システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1に係る図書保管管理システムにつき、図1から図10を参照して説明する。以下、図4及び図10の紙面下側をステーションの正面側(前方側)とし、図4及び図10の紙面左側をステーションの左方側とし、図6の紙面下側と図7の紙面手前側と図8の紙面左側をコンテナの正面側(前方側)として説明する。
【0014】
図1の符号1は、本発明の適用された図書保管管理システムである。この図書保管管理システム1は、図1に示すように、例えば、図書館にて書棚が利用者に公開されている利用者室2と、書棚が利用者に公開されていない閉架書庫3と、の間に亘って設置されており、閉架書庫3に収容されている図書4(図3参照)を利用者の要求に応じて利用者室2まで搬送するシステムである。
【0015】
閉架書庫3には、図書4を収容するための複数(本実施例では8基)の書棚5が配置されている。図2に示すように、これら書棚5には、複数の図書4が立てた状態で収容された複数のコンテナ6が収容されている。尚、本発明における図書保管管理システム1は、コンテナ6毎に図書4を文学、スポーツ、評論等の分野毎に収容する固定ロケーション方式を採用している。
【0016】
図5に示すように、コンテナ6に収容されている図書4の背表紙4aには、各図書4毎に固有の識別情報が記憶されている本発明における無線タグとしてのRFIDタグ7が貼り付けられている。そして、このRFIDタグ7の識別情報を、後述する第1及び第2タグリーダ15,16と貸出用タグリーダ20とによって読み取り可能となっている。この識別情報とは、例えば、各図書4のタイトル、著者、出版社、ページ数等である。
【0017】
また、本実施例でのRFIDタグ7は、内蔵したICチップを非接触方式(無線方式)にて、第1及び第2タグリーダ15,16と貸出用タグリーダ20とで読み取らせる公知のパッシブ型のRFIDタグである。
【0018】
図1に示すように、図書保管管理システム1は、閉架書庫3にて書棚5から図書4が収容されたコンテナ6を取り出すための複数基(本実施例では4基)のスタッカークレーン8と、スタッカークレーン8によって書棚5から取り出されたコンテナ6を受け取るコンベア9と、を備えている。
【0019】
図3に示すように、これらスタッカークレーン8は、後述するステーション11にて設定された指令に基づき、各書棚5におけるコンテナ6の収容位置まで前後並びに上下方向に自動走行して、コンテナ6の出し入れを行う移動台10を備えている。
【0020】
また、利用者室2には、閉架書庫3からコンテナ6を搬送可能であって、利用者が目的の図書4の貸し出し若しくは返却を行うことができるステーション11が設けられている。図3及び図4に示すように、ステーション11の上部は、その内部が中空である中空部12に形成されている。
【0021】
この中空部12内に書棚5側から連続したコンベア9が延設されている(図1参照)。このコンベア9には、駆動ローラが並設されており、このコンベア9によって、コンテナ6は、その左右方向をコンベア9の搬送方向に向けた状態で中空部12内の中央まで水平に搬送されるようになっている。
【0022】
図4に示すように、ステーション11の中空部12内の中央には、コンベア9に連続して設けられた本発明における回転手段としてのターンテーブル13が配設されている。ステーション11に搬送されたコンテナ6は、このターンテーブル13上に載置されるようになっている。尚、ターンテーブル13にも、駆動ローラが設けられており、ターンテーブル13上からコンベア9にコンテナ6を移動させることもできる。
【0023】
ステーション11の利用者は、ステーション11の外面に設けられているコンテナ回転ボタン11aを押圧操作することで、ターンテーブル13を回転させてコンテナ6を水平回転させることができる(図3参照)。そのためコンテナ6は、その正面側及び背面側のいずれの側も利用者側に向けることができる。
【0024】
図3に示すように、ステーション11の上部における正面側には、左右方向に中空部12を開閉自在なスライド扉14が取り付けられており、このスライド扉14を開放することによって、利用者は、中空部12に搬送されてきたコンテナ6から図書4を取り出せるようになっている。
【0025】
図4に示すように、ステーション11の中空部12内の右部には、コンベア9の正面側と背面側の両側に、コンテナ6内に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取るための第1及び第2タグリーダ15,16が、それぞれ一対となって設けられている。尚、それぞれの第1及び第2タグリーダ15,16は、移動不能に固定配置されている。
【0026】
更に、図4及び図8に示すように、第1タグリーダ15は、第2タグリーダ16よりも右側(上流側)に配置されている。また、第1タグリーダ15は、第2タグリーダ16よりもコンテナ6に近接するように配置されている。
【0027】
図3に示すように、ステーション11の正面側には、利用者がコンテナ6から取り出した図書4を載置するための天板17が設けられている。この天板17の左部には、ステーション11を使用する利用者に対して、図書4の貸し出し及び返却作業の指示を行うための本発明における報知手段としての表示装置18が設けられている。
【0028】
この表示装置18は、利用者が直接指等を接触させて操作可能なタッチパネル19を備える。更に、天板17には、図書4の背表紙4aに貼り付けられているRFIDタグ7から識別情報を読み取るための貸出用タグリーダ20が埋設されている。
【0029】
尚、ステーション11内には、特に図示しないが、これら表示装置18とタッチパネル19と貸出用タグリーダ20と第1及び第2タグリーダ15,16とコンベア9とスタッカークレーン8とに接続されている制御コンピュータが内蔵されている。
【0030】
この制御コンピュータは、利用者がタッチパネルから図書4の貸し出しまたは返却作業の操作を行うことに伴い、表示装置18と貸出用タグリーダ20と第1及び第2タグリーダ15,16とコンベア9とスタッカークレーン8とを適宜操作可能となっている。つまり、ステーション11は、本発明における管理装置を構成している。
【0031】
次に、図書4が収容されるコンテナ6について説明する。図6〜図8に示すように、このコンテナ6は、ポリプロピレン等の樹脂材によって構成されている。コンテナ6は、底板6aと、底板6aの左右端部から上方に向かって延設されている第1側壁6bと、底板6aの前後端部から上方に向かって延設されている第2側壁6cと、によって構成されており、上方に向かって開口する略箱体に形成されている。
【0032】
また、第1側壁6bは、第2側壁6cよりも上下方向に長くなるように形成されている。これら第1側壁6bと第2側壁6cとによって囲まれたコンテナ6の内部は、複数の図書4を収容するための収容空間21となっている。
【0033】
図8に示すように、底板6aは、底板6aの前後に設けられている第2側壁6cから、コンテナ6の前後方向の中央に向かって上方に角度θの傾斜をなす傾斜面6dに形成されている。図6に示すように、底板6aの前後方向の中央は、底板6aの左右にそれぞれ設けられている第1側壁6b間で平面視で長方形状の水平面6eに形成されており、前後の傾斜面6dは、水平面6eの前後端縁に連設されている。
【0034】
また、第2側壁6cの上端部の外側端縁部は、第2側壁6cの外側面よりもコンテナ6の内側に向けて凹設された切欠6fに形成されており、第2側壁6cの内側面6gは、下端部から上方に向けてコンテナ6の前後方向の外側方に向けて傾斜面6dと同一傾斜角である角度θの傾斜をなして形成されている。そのため第2側壁6cの内側面6gと底板6aの傾斜面6dとのなす角が直角になり、図書4の角部を保持することができる。
【0035】
尚、本実施例では、これら傾斜面6dと内側面6gの角度θは、約2度に形成されているが、コンテナ6内に収容されている図書4が収容空間21から脱落する角度でなければ角度θは特に限定されない。
【0036】
更に、コンテナ6内には、前後の第2側壁6c間で底板6aの左右方向の略中央から上方に向かって隔壁6hが立設されており、この隔壁6hによって収容空間21は、左右に仕切られる。
【0037】
更に、第1側壁6bの前後方向の略中央部には、コンテナ6の上方及びの内側に向かって開口するスリット6iが形成されている。それぞれのスリット6iは、両第1側壁6b間で左右に対向して前後方向に複数条(本実施例では5条)設けられている。
【0038】
これら5組の左右方向に対向する2対のスリット6i間には、隔壁6hを跨いで収容空間21を正面側と背面側とに仕切る本発明における仕切部としての2枚の磁性板22を上方から挿通可能となっている。
【0039】
尚、これら2枚の磁性板22は、スチール材や鉄材等の金属製材料、すなわち磁性部材によって構成されている。尚、この磁性板22に、フェライトシート等の磁性シートを貼り付けるようにしてもよく、フェライトシートが貼り付けられていれば、磁性板22にRFIDタグ7が接触している状態であっても、RFIDタグ7の識別情報を第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取ることができる。
【0040】
更に尚、磁性板22の下端部には、左右方向を向く複数の図示しない嵌合片が下方に向かって延設されている。これら嵌合片は、磁性板22の左右端部をスリット6iに挿通される際に、水平面9に左右方向を向いて複数条設けられた長孔6kに嵌合可能となっている。そのため2枚の磁性板22は、左右端部をスリット6iに上方から挿通させながら嵌合片を長孔6kに嵌合させることで固定させることができる。
【0041】
これら磁性板22によって、コンテナ6の正面側と背面側とに分割された収容空間21にて、コンテナ6に収容される図書4は、背表紙4aをコンテナ6の前後方向の外側に向けた状態で、図書4の厚み方向である左右方向に並べられた状態で収容されるようになっている。
【0042】
このように構成されて図書4を収容するコンテナ6は、前述したように、利用者が図書4の貸し出しや返却処理を行う際にタッチパネル19を操作することに伴い、ステーション11からの指令に基づいて閉架書庫3の書棚5からスタッカークレーン8とコンベア9を介してステーション11内の中空部12の中央まで搬送される(図1参照)。
【0043】
図4に示すように、コンテナ6をステーション11内の中空部12の中央まで搬送する際に、コンテナ6がコンベア9の正面側と背面側とに設けられた第1及び第2タグリーダ15,16間を通過することで、コンテナ6内の図書4のRFIDタグ7の識別情報が、第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取られる。
【0044】
具体的には、コンベア9がステーション11内の中空部12に右方からコンテナ6を搬送してくると、第1及び第2タグリーダ15,16が、コンテナ6の搬送方向の左端部(先端部)側に収容されている図書4からコンテナ6の搬送方向の右端部(終端部)側に収容されている図書4まで、その図書4のRFIDタグ7から識別情報を順次読み取る。
【0045】
尚、このように本発明における図書4は、背表紙4aをコンテナ6正面側と背面側とに向けた状態で、第1及び第2タグリーダ15,16がRFIDタグ7を読み取る読取方向に沿って並べられてコンテナ6の収容空間21収容されている。
【0046】
第1タグリーダ15は、RFIDタグ7から識別情報を読み取る電磁波として、磁界と電界とが互いに直交した状態で振動方向が一定である直線偏波を用いる。そのため、第1タグリーダ15は、図6に示すように、コンテナ6内に収容されている図書4の背表紙4aが面一に揃って収容されていないことによって、隣り合う図書4のRFIDタグ7の第1タグリーダ15からの距離に多少のずれがあっても、各RFIDタグ7から識別情報を読み取ることができる。
【0047】
尚、直線偏波は、電界の振動方向が地面に対して水平な水平偏波と、電界の振動方向が地面に対して垂直な垂直偏波と、に区分されるが、本実施例ではRFIDタグ7から識別情報を読み取ることができればどちらを用いてもよい。
【0048】
一方、第2タグリーダ16は、RFIDタグ7から識別情報を読み取る電磁波として、前述した水平偏波と垂直偏波とを位相を1/2πずらして合成し、磁界と電界とが経時とともに回転する円偏波を用いる。この円偏波は、水平偏波及び垂直偏波だけでなく、電界が斜め方向を向く偏波であっても全て受けることができるため、RFIDタグ7の向きに依存せずにRFIDタグ7から識別情報を読取可能となっている。
【0049】
そのため、図6及び図7に示すように、第2タグリーダ16は、コンテナ6内で略横倒しとなった状態で収容されている図書4のRFIDタグ7からも識別情報を読み取ることができる。
【0050】
尚、ステーション11は、第1タグリーダ15と第2タグリーダ16とで読み取った識別情報を比較し、一方のタグリーダで読み取れていない識別情報を他方のタグリーダで読み取れている場合には、それぞれのタグリーダで読み取れている前後の識別情報から一方のタグリーダで読み取れていない識別情報の読み取り順を把握し、第1タグリーダ15と第2タグリーダ16とで読み取った識別情報を補完する。更に尚、第2タグリーダ16よりも第1タグリーダ15で読み取った識別情報を優先して把握するようにしてもよい。
【0051】
また、本実施例では、前述したように、第1タグリーダ15は、第2タグリーダ16よりもコンテナ6に近接するように配置されているとともに、図8に示すように、第1タグリーダ15の下部が、第2側壁6cの切欠6fに配置されるようになっているため、第1タグリーダ15と各図書4のRFIDタグ7との直線距離は、直線偏波を用いても、識別情報を充分に読み取り可能な距離に設定される。
【0052】
更に、コンテナ6の収容空間21は、2枚の磁性部材によって構成された磁性板22によって正面側と背面側とに分割されているので、コンベア9の正面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16は、収容空間21の正面側に収容されている図書4のRFIDタグ7に限定して、その識別情報を読取可能となっている。同様に、コンベア9の背面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16は、収容空間21の背面側に収容されている図書4のRFIDタグ7に限定して、その識別情報を読取可能となっている。
【0053】
尚、本実施例では、前述したように、第1及び第2タグリーダ15,16によってコンテナ6内に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を順次読み取ることによって、ステーション11は、利用者の目的とする図書4がコンテナ6の収容空間21にいずれの収容位置に配置されているかを推定できるようになっている。
【0054】
具体的には、先ず、利用者はタッチパネル19を操作することで、目的とする図書4のタイトルや著者等の識別情報を入力し、目的とする図書4が収容されているコンテナ6を搬送するように操作指示を行う。
【0055】
ステーション11は、この搬送指示に基づいてスタッカークレーン8とコンベア9とに対して、利用者の目的とする図書4が収容されているコンテナ6を、閉架書庫3の書棚5からステーション11内の中空部12の中央まで搬送させる制御を行う。
【0056】
そして、コンテナ6がステーション11内の中空部12の中央に向けて搬送される際に、コンベア9の正面側と背面側とに設けられた第1及び第2タグリーダ15,16によってコンテナ6の正面側と背面側との収容空間21内に収容されている図書4のRFIDタグ7の識別情報を順次読み取るようになっている。
【0057】
図9に示すように、順次読み取った識別情報に基づいて、ステーション11は、表示装置18に識別情報としての図書4のタイトルを表示させる。具体的には、コンベア9の正面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取った図書4の識別情報は、コンテナ6の収容空間21のカウンター側(正面側)に収容されている図書4のタイトルとして表示装置18に表示させる。同様に、コンベア9の背面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取った図書4の識別情報は、コンテナ6の収容空間21の奥側(背面側)に収容されている図書4のタイトルとして表示装置18に表示させる。
【0058】
更に、ステーション11は、コンベア9の正面側と背面側との第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取られた識別情報を、利用者が目的とする図書4の識別情報と照合し、表示装置18に表示されている図書4のタイトルの中から利用者が目的とする図書4のタイトルを点灯表示させる。
【0059】
このように表示装置18にコンテナ6の収容空間21内に収容されている図書4のタイトルを、第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取った順に表示させることで、利用者はコンテナ6の収容空間21内における目的とする図書4の収容位置を把握することができるようになっている。つまり、本発明におけるステーション11は、本発明における推定手段を構成している。また、本発明における表示装置18は、本発明における報知手段を構成している。
【0060】
尚、図9に示すように、利用者が目的とする図書4が、コンテナ6の収容空間21の背面側に収容されている場合には、利用者がコンテナ回転ボタン11aを押圧操作することでターンテーブル13を回転させて、コンテナ6の向きを回転変更させることで、目的とする図書4を容易にコンテナ6から取り出すことができる。
【0061】
そして、コンテナ6の収容空間21から取り出した図書4は、貸出用タグリーダ20によってRFIDタグ7から識別情報を読み取らせることによって貸出処理を行うことができる。
【0062】
そして、利用者の図書4の貸し出しが終了した後、利用者が再びタッチパネル19を操作することで、ステーション11内から閉架書庫3の書棚5にコンテナ6を返却する操作指示を行う。ステーション11は、この操作指示に基づいてスタッカークレーン8とコンベア9とに対して、コンテナ6を書棚5に返却させる制御を行う。
【0063】
更に、コンベア9の正面側と背面側とに設けられた第1及び第2タグリーダ15,16によって、閉架書庫3に向けて搬送されるコンテナ6の正面側と背面側との収容空間21内に収容されている図書4のRFIDタグ7から再び識別情報を読み取る。このようにすることで、ステーション11から閉架書庫3に向けて搬送されるコンテナ6の収容空間21に収容されている図書4から読み取った識別情報と、閉架書庫3の書棚5からステーション11に向けて搬送されるコンテナ6の収容空間21に収容されている図書4から読み取った識別情報とを比較し、利用者に貸し出しが行われた図書4以外にコンテナ6から持ち出された図書4の有無を管理することができる。
【0064】
本実施例では、閉架書庫3の書棚5からステーション11にコンテナ6を搬送する場合と、ステーション11から閉架書庫3の書棚5にコンテナ6を搬送する場合と、で同一のコンベア9を使用しているが、その他の変形例のステーション11であってもよい。
【0065】
変形例のステーション11について説明すると、図10に示すように、変形例のステーション11では、前述したコンベア9の他に、ステーション11の中空部12のターンテーブル13の左方から閉架書庫3の書棚5に向けて返却用コンベア9’が延設されている。
【0066】
ステーション11から閉架書庫3の書棚5にコンテナ6を返却搬送する場合には、コンベア9’によってコンテナ6を搬送するようになっている。この変形例のステーション11には、返却用コンベア9’の正面側と背面側とにも、各一対の第1及び第2タグリーダ15,16が設けられており、返却中のコンテナ6内に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取ることができる。
【0067】
以上、本実施例における図書保管管理システム1にあっては、直線偏波を用いてRFIDタグ7の識別情報を読取可能な第1タグリーダ15と、円偏波を用いてRFIDタグ7の識別情報を読取可能な第2タグリーダ16と、を備え、コンテナ6と、第1及び第2タグリーダ15,16と、を互いに相対移動させることで、第1及び第2タグリーダ15,16によって識別情報を順次読み取るようになっており、性質の異なる直線偏波と円偏波とを併用して第1及び第2タグリーダ15,16に用いることで、一方の偏波によってRFIDタグ7から識別情報を読み損ねても、他方の偏波によってRFIDタグ7から識別情報を読み取ることができるようになり、コンテナ6と第1及び第2タグリーダ15,16との相対移動速度に係わりなく、第1及び第2タグリーダ15,16とによってRFIDタグ7からの識別情報の順次読取を正確に行うことができる。
【0068】
尚、円偏波は、第2タグリーダ16からRFIDタグ7までの距離が遠い場合や、図書4がコンテナ6内で横倒しとなった状態で収容されている場合であっても、RFIDタグ7から識別情報を読取可能であり、直線偏波は、第1タグリーダ15からRFIDタグ7までの距離に多少のずれがある場合であっても、RFIDタグ7から識別情報を読取可能であり、これらの第1及び第2タグリーダ15,16を併用すれば、コンテナ6内に図書4が乱雑に収容されている場合であっても、円偏波と直線偏波とによってRFIDタグ7から識別情報を正確に読み取ることができる。
【0069】
また、コンテナ6が水平移動されることで、第1及び第2タグリーダ15,16によってRFIDタグ7の識別情報が順次読み取られるので、コンテナ6を閉架書庫3からステーション11に向けて搬送する際と、返却作業後にステーション11から閉架書庫3に向けて搬送する際と、の双方でコンテナの搬送を停止させることなく第1及び第2タグリーダ15,16によってRFIDタグ7から識別情報を読み取ることができるので、コンテナ6の搬送効率を向上させることができる。
【0070】
また、第1タグリーダ15は、第2タグリーダ16よりもコンテナ6に近接して識別情報を読み取るので、直線偏波を用いた第1タグリーダ15は、円偏波を用いた第2タグリーダ16よりもRFIDタグ7の識別情報を読み取り可能な距離が短いため、直線偏波を用いた第1タグリーダの読取精度を向上させつつ、第1及び第2タグリーダ15,16の互いの配置位置を前後にずらすことができる。
【0071】
また、複数の図書4は、その背表紙4aにRFIDタグ7が取り付けられており、複数の図書4は、その背表紙4aを外側に向けた状態、かつ第1及び第2タグリーダ15,16の読取方向に沿って並べられた状態でコンテナ6に収容されているので、第1及び第2タグリーダ15,16とRFIDタグ7とが対向配置されるようになり、第1及び第2タグリーダ15,16がRFIDタグ7から識別情報を読み取り易くなるとともに、利用者が目的の図書4をコンテナ6内から探し出す際に、背表紙4aを視認して目的の図書4を確認し易くすることができる。
【実施例2】
【0072】
次に、実施例2に係る図書保管管理システムにつき、図11を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。以下、図11の紙面下側をステーションとコンテナの正面側(前方側)として説明する。
【0073】
実施例2におけるコンベア9の正面側と背面側とに設けられたそれぞれ一対の第1及び第2タグリーダ15,16は、コンテナ6の搬送方向に沿って水平にスライド移動可能となっている。具体的には、コンベア9の正面側及び背面側には、コンベア9の長手方向(左右方向)を向くスリット23が形成されており、これらスリット23内に各第1及び第2タグリーダ15,16の下端部が挿通されている。
【0074】
そして、各第1及び第2タグリーダ15,16の下端部は、これらスリット23内でコンベア9の長手方向を向いて配設された図示しないタグリーダ駆動手段等に接続されており、これらタグリーダ駆動手段が駆動することで、第1及び第2タグリーダ15,16はコンベア9の長手方向に沿って水平にスライド移動される。
【0075】
このように構成した第1及び第2タグリーダ15,16によってコンテナ6の収容空間21に収容した図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取る際には、先ず、コンテナ6をステーション11に向けて搬送する際に、コンベア9の駆動を停止し、コンテナ6の搬送をステーション11内の中空部12の左部にて一旦停止させる。
【0076】
そして、第1及び第2タグリーダ15,16にコンテナ6の搬送方向とは、逆方向である右方にスライド移動させながらコンテナ6の収容空間21に収容した図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取らせる。そして、識別情報の読み取りが完了後、再びコンベア9を駆動させることでコンテナ6の搬送を再開させる。
【0077】
また、ステーション11は、第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取られた識別情報と、利用者がタッチパネル19から入力した、利用者の目的とする図書4の識別情報を照会する。このとき、ステーション11は、コンベア9の背面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取られた識別情報の中から利用者の目的とする図書4の識別情報が読み取られたと判定すると、ステーション11は、コンテナ6がステーション11の中空部12の中央でターンテーブル13に載置された後、ターンテーブル13を回転させてコンテナ6の背面側を正面側に向けるようにする。
【0078】
そして、この場合には、コンテナ6の背面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取った識別情報を、コンテナ6の収容空間21のカウンター側(正面側)に収容されている図書4のタイトルとして表示装置18に表示させる(実施例1の図9参照)。このようにすることで、利用者は常にコンテナ6の正面側のみから目的とする図書4を探し出すことができる。尚、実施例2では、目的とする図書4が常に利用者が視認で切る正面側に配置されるため、図書4のタイトルを表示装置18に表示することを省略してもよい。
【0079】
尚、実施例2では、前述したように、コンテナ6の搬送を停止し、第1及び第2タグリーダ15,16をコンテナ6の搬送方向とは反対側である右方に向けてスライド移動させながらコンテナ6の収容空間21に収容した図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取っているが、ステーション11内の中空部12の左部にて、コンテナ6の搬送を停止させずに、第1及び第2タグリーダ15,16をコンテナ6の搬送方向にスライド移動させることで、第1及び第2タグリーダ15,16をコンテナ6と並走させつつ、コンテナ6の収容空間21に収容した図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取るようにしてもよい。
【0080】
そして、この場合は、第1及び第2タグリーダ15,16の移動速度をコンテナ6よりも低速に設定する。このようにすることで、第1及び第2タグリーダ15,16は、搬送速度を落とす必要がなくなるばかりか、かつ識別情報を読み取るために必要な読取時間を充分に得ることができる。
【0081】
以上、実施例2における図書保管管理システム1にあっては、第1及び第2タグリーダ15,16が水平移動されることで、第1及び第2タグリーダ15,16によってRFIDタグ7の識別情報が順次読み取られるので、コンテナ6の搬送速度に係わりなく、コンテナ6と第1及び第2タグリーダ15,16との互いの相対移動速度を自由に変化させることができるようになる。前述したように、コンテナ6の搬送に並走して第1及び第2タグリーダ15,16を水平移動させたり、搬送速度が低下若しくは停止しているコンテナ6であっても、第1及び第2タグリーダ15,16を水平移動させることで、コンテナ6内の全ての図書4のRFIDタグ7から識別情報を順次読み取ることができる。
【0082】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0083】
例えば、前記実施例では、図書保管管理システム1を、コンテナ6毎に図書4を分野毎に収容する固定ロケーション方式として説明したが、コンテナ6内に図書4を分野を問わずに収容し、図書4の保管効率を向上させたフリーロケーション方式としてもよい。
【0084】
また、前記実施例では、図書4の背表紙4aにRFIDタグ7を貼り付けたが、第1及び第2タグリーダ15,16によって読取可能であれば、RFIDタグ7が貼り付けられる位置は図書4の表紙の裏面等であってもよい。
【0085】
また、前記実施例では、コンテナ6の収容空間21内に図書4を背表紙4aをコンテナの外側である正面側と背面側とに向けて立てた状態で収容したが、第1及び第2タグリーダ15,16によってRFIDタグ7から識別情報が読取可能であるならば、背表紙4aを上方や収容空間21の前後方向の中央に向けて立てた状態で収容してもよいし、複数の図書4を収容空間21内で平積みして収容するようにしてもよい。
【0086】
また、前記実施例では、コンテナ6の底板6aを、底板6aの前後に設けられている第2側壁6cから、コンテナ6の前後方向の中央に向かって上方に角度θの傾斜をなす傾斜面6dに形成したが、コンテナ6の底板6aは傾斜を有さない平坦面に形成してもよい。
【0087】
また、前記実施例では、第1及び第2タグリーダ15,16の双方でコンテナ6の収容空間21に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取ることで、識別情報を正確に読み取るようにしたが、第1及び第2タグリーダ15,16の双方でコンテナ6の収容空間21内に収容されている全ての図書4のRFIDタグ7から識別情報が読み取れない場合には、一旦、コンベア9の駆動を反転させて逆送させて、その後、再び第1及び第2タグリーダ15,16によってコンテナ6の収容空間21内に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取るようにしてもよい。
【0088】
また、前記実施例では、コンテナ6の収容空間21内を2枚の磁性板22によって正面側と背面側とに分割したが、例えば、コンテナ6の右側の第1側壁6bの背面側端部から左側の第1側壁6bの正面側端部にかけて磁性板22を収容空間21内に対角線上に配置することで、収容空間21内を正面側と背面側とに分割してもよい。
【0089】
また、前記実施例では、コンテナ6の収容空間21内を2枚の磁性板22によって正面側と背面側とに分割したが、例えば、磁性板22の左右幅寸法を中央の隔壁6hから第1側壁6bまでに形成し、この磁性板22を収容空間21における中央の隔壁6hの右側と左側とで異なる前後位置に配置して、収容空間21を左右で異なる前後幅寸法で正面側と背面側とに分割するようにしてもよい。
【0090】
また、前記実施例では、第1及び第2タグリーダ15,16がそれぞれ一対となって設けられ、これら一対のタグリーダ15,16による複数の図書4のRFIDタグ7を読み取るようにしているが、複数の図書4の順番を正確に読み取る読取特性は、直線偏波を用いた第1タグリーダ15の方が優れているため、第2タグリーダ16を設けずに、第1タグリーダ15のみを設けるようにしてもよい。
【0091】
また、前記実施例では、コンベア9の正面側と背面側とに第1及び第2タグリーダ15,16を設け、これら第1及び第2タグリーダ15,16によって搬送されるコンテナ6に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取るようにしているが、第1及び第2タグリーダ15,16は、コンベア9の正面側と背面側の一方のみに設けられていてもよい。特に第1及び第2タグリーダ15,16がコンベア9の背面側のみに設けられている場合には、表示装置18にコンテナ6の背面側に収容されている図書4のタイトルのみを表示するようにし、コンテナ6の収容空間21の正面側に収容されている図書4は、利用者が直接確認するようにしてもよい。
【0092】
また、前記実施例では、ステーション11の中空部12の右部にて第1タグリーダ15を第2タグリーダ16よりも右側に配置し、第1タグリーダ15が第2タグリーダ16よりも先にコンテナ6の収容空間21内に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取れるようにしたが、第1及び第2タグリーダ15,16を上下方向に連設し、コンテナ6の収容空間21内に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を同時に読み取るようにしてもよい。
【0093】
また、前記実施例では、コンベア9の正面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16は、コンテナ6の正面側からコンテナ6の収容空間21の正面側に収容された図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取り、コンベア9の背面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16は、コンテナ6の背面側からコンテナ6の収容空間21の背面側に収容された図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取っているが、第2タグリーダ16をコンベア9の直上に設け、第1タグリーダ15と第2タグリーダ16がそれぞれ異なる方向から図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 図書保管管理システム
4 図書
4a 背表紙
5 書棚
6 コンテナ
7 RFIDタグ(無線タグ)
9,9’ コンベア
10 移動台
11 ステーション(管理装置)
11a コンテナ回転ボタン
13 ターンテーブル(回転手段)
15 第1タグリーダ
16 第2タグリーダ
18 表示装置(報知手段)
22 磁性板(仕切部)
23 スリット
【技術分野】
【0001】
本発明は、書庫に収容されている複数のコンテナの中から、目的の図書が含まれているコンテナを取り出してステーションに搬送するとともに、図書の貸し出しまたは返却作業後にステーションより書庫にコンテナを搬送する図書保管管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の図書保管管理システムにおいては、各図書に図書コード(識別情報)が記憶された無線タグが取り付けられているとともに、各図書は、搬送方向である左右方向に向けて搬送されるコンテナ内で、互いに背表紙を外側に向けるようにして、厚み方向(前後方向)に2列に並んで収容されるようになっている。更に、コンテナをステーションまで搬送する搬送コンベアの片側には、無線タグと無線通信を行うためのタグリーダ/ライタ(タグリーダ)が搬送方向に沿って並設されており、これらタグリーダ/ライタによってコンテナ内の各図書の無線タグから図書コードを読み取っているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3990173号公報(第16頁、第24図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の図書保管管理システムにあっては、搬送コンベアの搬送速度を遅くするように制御しなければ、タグリーダ/ライタ(タグリーダ)が無線タグから図書コード(識別情報)を読み取ることができず、コンテナの通常の搬送速度(相対移動速度)を維持した状態や搬送速度を速めた状態では、タグリーダ/ライタが無線タグから図書コードをうまく読み取れなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、コンテナとタグリーダとの相対移動速度に係わりなくタグリーダによる無線タグからの識別情報の読み取りを正確に行うことができる図書保管管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の図書保管管理システムは、
複数の図書が複数のコンテナ内に収容された状態で書庫に収容され、該複数の図書には、各図書を識別可能な識別情報が記憶されている無線タグが取り付けられ、管理装置の指令に基づき、書庫に収容されている複数の前記コンテナの中から、目的の図書が含まれているコンテナを取り出してステーションに搬送するとともに、図書の貸し出しまたは返却作業後にステーションより前記書庫に前記コンテナを搬送する図書保管管理システムであって、
直線偏波を用いて前記無線タグの前記識別情報を読取可能な第1タグリーダと、円偏波を用いて前記無線タグの前記識別情報を読取可能な第2タグリーダと、を備え、前記コンテナと、前記第1及び第2タグリーダと、を互いに相対移動させることで、前記第1及び第2タグリーダによって前記識別情報を順次読み取ることを特徴としている。
この特徴によれば、性質の異なる直線偏波と円偏波とを併用してタグリーダに用いることで、一方の偏波によって無線タグから識別情報を読み損ねても、他方の偏波によって無線タグから識別情報を読み取ることができるようになり、コンテナと第1及び第2タグリーダとの相対移動速度に係わりなく、第1及び第2タグリーダとによって無線タグからの識別情報の順次読取を正確に行うことができる。
尚、円偏波は、タグリーダから無線タグまでの距離が遠い場合や、図書がコンテナ内で横倒しとなった状態で収容されている場合であっても、無線タグから識別情報を読取可能であり、直線偏波は、タグリーダから無線タグまでの距離に多少のずれがある場合であっても、無線タグから識別情報を読取可能であり、これらのタグリーダを併用すれば、コンテナ内に図書が乱雑に収容されている場合であっても、円偏波と直線偏波とによって無線タグから識別情報を正確に読み取ることができる。
【0007】
本発明の図書保管管理システムは、
前記コンテナが水平移動されることで、前記第1及び第2タグリーダによって前記無線タグの前記識別情報が順次読み取られることを特徴としている。
この特徴によれば、コンテナを書庫からステーションに向けて搬送する際と、返却作業後にステーションから書庫に向けて搬送する際と、の双方でコンテナの搬送を停止させることなく第1及び第2タグリーダによって無線タグから識別情報を読み取ることができるので、コンテナの搬送効率を向上させることができる。
【0008】
本発明の図書保管管理システムは、
前記第1及び第2タグリーダが水平移動されることで、前記第1及び第2タグリーダによって前記無線タグの前記識別情報が順次読み取られることを特徴としている。
この特徴によれば、コンテナの搬送速度に係わりなく、コンテナと第1及び第2タグリーダとの互いの相対移動速度を自由に変化させることができるようになる。例えば、コンテナの搬送に並走して第1及び第2タグリーダを水平移動させたり、搬送速度が低下若しくは停止しているコンテナであっても、第1及び第2タグリーダを水平移動させることで、コンテナ内の全ての図書の無線タグから識別情報を順次読み取ることができる。
【0009】
本発明の図書保管管理システムは、
前記第1タグリーダは、前記第2タグリーダよりも前記コンテナに近接して前記識別情報を読み取ることを特徴としている。
この特徴によれば、直線偏波を用いた第1タグリーダは、円偏波を用いた第2タグリーダよりも無線タグの識別情報を読み取り可能な距離が短いため、直線偏波を用いた第1タグリーダの読取精度を向上させつつ、第1及び第2タグリーダの互いの配置位置を前後にずらすことができる。
【0010】
本発明の図書保管管理システムは、
前記複数の図書は、その背表紙に前記無線タグが取り付けられており、該複数の図書は、その背表紙を外側に向けた状態、かつ前記タグリーダの読取方向に沿って並べられた状態で前記コンテナに収容されていることを特徴としている。
この特徴によれば、タグリーダと無線タグとが対向配置されるようになり、タグリーダが無線タグから識別情報を読み取り易くなるとともに、利用者が目的の図書をコンテナ内から探し出す際に、背表紙を視認して目的の図書を確認し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における自動書庫及びステーションを示す平面図である。
【図2】自動書庫を示す一部側面図である。
【図3】ステーションを示す斜視図である。
【図4】ステーションを示す横断平面図である。
【図5】図書を示す斜視図である。
【図6】コンテナを示す平面図である。
【図7】コンテナを示す正面図である。
【図8】コンテナを示す縦断側面図である。
【図9】ディスプレイに表示されるコンテナ内に収容された図書の配置位置を示す図である。
【図10】変形例におけるステーションを示す横断平面図である。
【図11】実施例2におけるステーションを示す横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る図書保管管理システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1に係る図書保管管理システムにつき、図1から図10を参照して説明する。以下、図4及び図10の紙面下側をステーションの正面側(前方側)とし、図4及び図10の紙面左側をステーションの左方側とし、図6の紙面下側と図7の紙面手前側と図8の紙面左側をコンテナの正面側(前方側)として説明する。
【0014】
図1の符号1は、本発明の適用された図書保管管理システムである。この図書保管管理システム1は、図1に示すように、例えば、図書館にて書棚が利用者に公開されている利用者室2と、書棚が利用者に公開されていない閉架書庫3と、の間に亘って設置されており、閉架書庫3に収容されている図書4(図3参照)を利用者の要求に応じて利用者室2まで搬送するシステムである。
【0015】
閉架書庫3には、図書4を収容するための複数(本実施例では8基)の書棚5が配置されている。図2に示すように、これら書棚5には、複数の図書4が立てた状態で収容された複数のコンテナ6が収容されている。尚、本発明における図書保管管理システム1は、コンテナ6毎に図書4を文学、スポーツ、評論等の分野毎に収容する固定ロケーション方式を採用している。
【0016】
図5に示すように、コンテナ6に収容されている図書4の背表紙4aには、各図書4毎に固有の識別情報が記憶されている本発明における無線タグとしてのRFIDタグ7が貼り付けられている。そして、このRFIDタグ7の識別情報を、後述する第1及び第2タグリーダ15,16と貸出用タグリーダ20とによって読み取り可能となっている。この識別情報とは、例えば、各図書4のタイトル、著者、出版社、ページ数等である。
【0017】
また、本実施例でのRFIDタグ7は、内蔵したICチップを非接触方式(無線方式)にて、第1及び第2タグリーダ15,16と貸出用タグリーダ20とで読み取らせる公知のパッシブ型のRFIDタグである。
【0018】
図1に示すように、図書保管管理システム1は、閉架書庫3にて書棚5から図書4が収容されたコンテナ6を取り出すための複数基(本実施例では4基)のスタッカークレーン8と、スタッカークレーン8によって書棚5から取り出されたコンテナ6を受け取るコンベア9と、を備えている。
【0019】
図3に示すように、これらスタッカークレーン8は、後述するステーション11にて設定された指令に基づき、各書棚5におけるコンテナ6の収容位置まで前後並びに上下方向に自動走行して、コンテナ6の出し入れを行う移動台10を備えている。
【0020】
また、利用者室2には、閉架書庫3からコンテナ6を搬送可能であって、利用者が目的の図書4の貸し出し若しくは返却を行うことができるステーション11が設けられている。図3及び図4に示すように、ステーション11の上部は、その内部が中空である中空部12に形成されている。
【0021】
この中空部12内に書棚5側から連続したコンベア9が延設されている(図1参照)。このコンベア9には、駆動ローラが並設されており、このコンベア9によって、コンテナ6は、その左右方向をコンベア9の搬送方向に向けた状態で中空部12内の中央まで水平に搬送されるようになっている。
【0022】
図4に示すように、ステーション11の中空部12内の中央には、コンベア9に連続して設けられた本発明における回転手段としてのターンテーブル13が配設されている。ステーション11に搬送されたコンテナ6は、このターンテーブル13上に載置されるようになっている。尚、ターンテーブル13にも、駆動ローラが設けられており、ターンテーブル13上からコンベア9にコンテナ6を移動させることもできる。
【0023】
ステーション11の利用者は、ステーション11の外面に設けられているコンテナ回転ボタン11aを押圧操作することで、ターンテーブル13を回転させてコンテナ6を水平回転させることができる(図3参照)。そのためコンテナ6は、その正面側及び背面側のいずれの側も利用者側に向けることができる。
【0024】
図3に示すように、ステーション11の上部における正面側には、左右方向に中空部12を開閉自在なスライド扉14が取り付けられており、このスライド扉14を開放することによって、利用者は、中空部12に搬送されてきたコンテナ6から図書4を取り出せるようになっている。
【0025】
図4に示すように、ステーション11の中空部12内の右部には、コンベア9の正面側と背面側の両側に、コンテナ6内に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取るための第1及び第2タグリーダ15,16が、それぞれ一対となって設けられている。尚、それぞれの第1及び第2タグリーダ15,16は、移動不能に固定配置されている。
【0026】
更に、図4及び図8に示すように、第1タグリーダ15は、第2タグリーダ16よりも右側(上流側)に配置されている。また、第1タグリーダ15は、第2タグリーダ16よりもコンテナ6に近接するように配置されている。
【0027】
図3に示すように、ステーション11の正面側には、利用者がコンテナ6から取り出した図書4を載置するための天板17が設けられている。この天板17の左部には、ステーション11を使用する利用者に対して、図書4の貸し出し及び返却作業の指示を行うための本発明における報知手段としての表示装置18が設けられている。
【0028】
この表示装置18は、利用者が直接指等を接触させて操作可能なタッチパネル19を備える。更に、天板17には、図書4の背表紙4aに貼り付けられているRFIDタグ7から識別情報を読み取るための貸出用タグリーダ20が埋設されている。
【0029】
尚、ステーション11内には、特に図示しないが、これら表示装置18とタッチパネル19と貸出用タグリーダ20と第1及び第2タグリーダ15,16とコンベア9とスタッカークレーン8とに接続されている制御コンピュータが内蔵されている。
【0030】
この制御コンピュータは、利用者がタッチパネルから図書4の貸し出しまたは返却作業の操作を行うことに伴い、表示装置18と貸出用タグリーダ20と第1及び第2タグリーダ15,16とコンベア9とスタッカークレーン8とを適宜操作可能となっている。つまり、ステーション11は、本発明における管理装置を構成している。
【0031】
次に、図書4が収容されるコンテナ6について説明する。図6〜図8に示すように、このコンテナ6は、ポリプロピレン等の樹脂材によって構成されている。コンテナ6は、底板6aと、底板6aの左右端部から上方に向かって延設されている第1側壁6bと、底板6aの前後端部から上方に向かって延設されている第2側壁6cと、によって構成されており、上方に向かって開口する略箱体に形成されている。
【0032】
また、第1側壁6bは、第2側壁6cよりも上下方向に長くなるように形成されている。これら第1側壁6bと第2側壁6cとによって囲まれたコンテナ6の内部は、複数の図書4を収容するための収容空間21となっている。
【0033】
図8に示すように、底板6aは、底板6aの前後に設けられている第2側壁6cから、コンテナ6の前後方向の中央に向かって上方に角度θの傾斜をなす傾斜面6dに形成されている。図6に示すように、底板6aの前後方向の中央は、底板6aの左右にそれぞれ設けられている第1側壁6b間で平面視で長方形状の水平面6eに形成されており、前後の傾斜面6dは、水平面6eの前後端縁に連設されている。
【0034】
また、第2側壁6cの上端部の外側端縁部は、第2側壁6cの外側面よりもコンテナ6の内側に向けて凹設された切欠6fに形成されており、第2側壁6cの内側面6gは、下端部から上方に向けてコンテナ6の前後方向の外側方に向けて傾斜面6dと同一傾斜角である角度θの傾斜をなして形成されている。そのため第2側壁6cの内側面6gと底板6aの傾斜面6dとのなす角が直角になり、図書4の角部を保持することができる。
【0035】
尚、本実施例では、これら傾斜面6dと内側面6gの角度θは、約2度に形成されているが、コンテナ6内に収容されている図書4が収容空間21から脱落する角度でなければ角度θは特に限定されない。
【0036】
更に、コンテナ6内には、前後の第2側壁6c間で底板6aの左右方向の略中央から上方に向かって隔壁6hが立設されており、この隔壁6hによって収容空間21は、左右に仕切られる。
【0037】
更に、第1側壁6bの前後方向の略中央部には、コンテナ6の上方及びの内側に向かって開口するスリット6iが形成されている。それぞれのスリット6iは、両第1側壁6b間で左右に対向して前後方向に複数条(本実施例では5条)設けられている。
【0038】
これら5組の左右方向に対向する2対のスリット6i間には、隔壁6hを跨いで収容空間21を正面側と背面側とに仕切る本発明における仕切部としての2枚の磁性板22を上方から挿通可能となっている。
【0039】
尚、これら2枚の磁性板22は、スチール材や鉄材等の金属製材料、すなわち磁性部材によって構成されている。尚、この磁性板22に、フェライトシート等の磁性シートを貼り付けるようにしてもよく、フェライトシートが貼り付けられていれば、磁性板22にRFIDタグ7が接触している状態であっても、RFIDタグ7の識別情報を第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取ることができる。
【0040】
更に尚、磁性板22の下端部には、左右方向を向く複数の図示しない嵌合片が下方に向かって延設されている。これら嵌合片は、磁性板22の左右端部をスリット6iに挿通される際に、水平面9に左右方向を向いて複数条設けられた長孔6kに嵌合可能となっている。そのため2枚の磁性板22は、左右端部をスリット6iに上方から挿通させながら嵌合片を長孔6kに嵌合させることで固定させることができる。
【0041】
これら磁性板22によって、コンテナ6の正面側と背面側とに分割された収容空間21にて、コンテナ6に収容される図書4は、背表紙4aをコンテナ6の前後方向の外側に向けた状態で、図書4の厚み方向である左右方向に並べられた状態で収容されるようになっている。
【0042】
このように構成されて図書4を収容するコンテナ6は、前述したように、利用者が図書4の貸し出しや返却処理を行う際にタッチパネル19を操作することに伴い、ステーション11からの指令に基づいて閉架書庫3の書棚5からスタッカークレーン8とコンベア9を介してステーション11内の中空部12の中央まで搬送される(図1参照)。
【0043】
図4に示すように、コンテナ6をステーション11内の中空部12の中央まで搬送する際に、コンテナ6がコンベア9の正面側と背面側とに設けられた第1及び第2タグリーダ15,16間を通過することで、コンテナ6内の図書4のRFIDタグ7の識別情報が、第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取られる。
【0044】
具体的には、コンベア9がステーション11内の中空部12に右方からコンテナ6を搬送してくると、第1及び第2タグリーダ15,16が、コンテナ6の搬送方向の左端部(先端部)側に収容されている図書4からコンテナ6の搬送方向の右端部(終端部)側に収容されている図書4まで、その図書4のRFIDタグ7から識別情報を順次読み取る。
【0045】
尚、このように本発明における図書4は、背表紙4aをコンテナ6正面側と背面側とに向けた状態で、第1及び第2タグリーダ15,16がRFIDタグ7を読み取る読取方向に沿って並べられてコンテナ6の収容空間21収容されている。
【0046】
第1タグリーダ15は、RFIDタグ7から識別情報を読み取る電磁波として、磁界と電界とが互いに直交した状態で振動方向が一定である直線偏波を用いる。そのため、第1タグリーダ15は、図6に示すように、コンテナ6内に収容されている図書4の背表紙4aが面一に揃って収容されていないことによって、隣り合う図書4のRFIDタグ7の第1タグリーダ15からの距離に多少のずれがあっても、各RFIDタグ7から識別情報を読み取ることができる。
【0047】
尚、直線偏波は、電界の振動方向が地面に対して水平な水平偏波と、電界の振動方向が地面に対して垂直な垂直偏波と、に区分されるが、本実施例ではRFIDタグ7から識別情報を読み取ることができればどちらを用いてもよい。
【0048】
一方、第2タグリーダ16は、RFIDタグ7から識別情報を読み取る電磁波として、前述した水平偏波と垂直偏波とを位相を1/2πずらして合成し、磁界と電界とが経時とともに回転する円偏波を用いる。この円偏波は、水平偏波及び垂直偏波だけでなく、電界が斜め方向を向く偏波であっても全て受けることができるため、RFIDタグ7の向きに依存せずにRFIDタグ7から識別情報を読取可能となっている。
【0049】
そのため、図6及び図7に示すように、第2タグリーダ16は、コンテナ6内で略横倒しとなった状態で収容されている図書4のRFIDタグ7からも識別情報を読み取ることができる。
【0050】
尚、ステーション11は、第1タグリーダ15と第2タグリーダ16とで読み取った識別情報を比較し、一方のタグリーダで読み取れていない識別情報を他方のタグリーダで読み取れている場合には、それぞれのタグリーダで読み取れている前後の識別情報から一方のタグリーダで読み取れていない識別情報の読み取り順を把握し、第1タグリーダ15と第2タグリーダ16とで読み取った識別情報を補完する。更に尚、第2タグリーダ16よりも第1タグリーダ15で読み取った識別情報を優先して把握するようにしてもよい。
【0051】
また、本実施例では、前述したように、第1タグリーダ15は、第2タグリーダ16よりもコンテナ6に近接するように配置されているとともに、図8に示すように、第1タグリーダ15の下部が、第2側壁6cの切欠6fに配置されるようになっているため、第1タグリーダ15と各図書4のRFIDタグ7との直線距離は、直線偏波を用いても、識別情報を充分に読み取り可能な距離に設定される。
【0052】
更に、コンテナ6の収容空間21は、2枚の磁性部材によって構成された磁性板22によって正面側と背面側とに分割されているので、コンベア9の正面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16は、収容空間21の正面側に収容されている図書4のRFIDタグ7に限定して、その識別情報を読取可能となっている。同様に、コンベア9の背面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16は、収容空間21の背面側に収容されている図書4のRFIDタグ7に限定して、その識別情報を読取可能となっている。
【0053】
尚、本実施例では、前述したように、第1及び第2タグリーダ15,16によってコンテナ6内に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を順次読み取ることによって、ステーション11は、利用者の目的とする図書4がコンテナ6の収容空間21にいずれの収容位置に配置されているかを推定できるようになっている。
【0054】
具体的には、先ず、利用者はタッチパネル19を操作することで、目的とする図書4のタイトルや著者等の識別情報を入力し、目的とする図書4が収容されているコンテナ6を搬送するように操作指示を行う。
【0055】
ステーション11は、この搬送指示に基づいてスタッカークレーン8とコンベア9とに対して、利用者の目的とする図書4が収容されているコンテナ6を、閉架書庫3の書棚5からステーション11内の中空部12の中央まで搬送させる制御を行う。
【0056】
そして、コンテナ6がステーション11内の中空部12の中央に向けて搬送される際に、コンベア9の正面側と背面側とに設けられた第1及び第2タグリーダ15,16によってコンテナ6の正面側と背面側との収容空間21内に収容されている図書4のRFIDタグ7の識別情報を順次読み取るようになっている。
【0057】
図9に示すように、順次読み取った識別情報に基づいて、ステーション11は、表示装置18に識別情報としての図書4のタイトルを表示させる。具体的には、コンベア9の正面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取った図書4の識別情報は、コンテナ6の収容空間21のカウンター側(正面側)に収容されている図書4のタイトルとして表示装置18に表示させる。同様に、コンベア9の背面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取った図書4の識別情報は、コンテナ6の収容空間21の奥側(背面側)に収容されている図書4のタイトルとして表示装置18に表示させる。
【0058】
更に、ステーション11は、コンベア9の正面側と背面側との第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取られた識別情報を、利用者が目的とする図書4の識別情報と照合し、表示装置18に表示されている図書4のタイトルの中から利用者が目的とする図書4のタイトルを点灯表示させる。
【0059】
このように表示装置18にコンテナ6の収容空間21内に収容されている図書4のタイトルを、第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取った順に表示させることで、利用者はコンテナ6の収容空間21内における目的とする図書4の収容位置を把握することができるようになっている。つまり、本発明におけるステーション11は、本発明における推定手段を構成している。また、本発明における表示装置18は、本発明における報知手段を構成している。
【0060】
尚、図9に示すように、利用者が目的とする図書4が、コンテナ6の収容空間21の背面側に収容されている場合には、利用者がコンテナ回転ボタン11aを押圧操作することでターンテーブル13を回転させて、コンテナ6の向きを回転変更させることで、目的とする図書4を容易にコンテナ6から取り出すことができる。
【0061】
そして、コンテナ6の収容空間21から取り出した図書4は、貸出用タグリーダ20によってRFIDタグ7から識別情報を読み取らせることによって貸出処理を行うことができる。
【0062】
そして、利用者の図書4の貸し出しが終了した後、利用者が再びタッチパネル19を操作することで、ステーション11内から閉架書庫3の書棚5にコンテナ6を返却する操作指示を行う。ステーション11は、この操作指示に基づいてスタッカークレーン8とコンベア9とに対して、コンテナ6を書棚5に返却させる制御を行う。
【0063】
更に、コンベア9の正面側と背面側とに設けられた第1及び第2タグリーダ15,16によって、閉架書庫3に向けて搬送されるコンテナ6の正面側と背面側との収容空間21内に収容されている図書4のRFIDタグ7から再び識別情報を読み取る。このようにすることで、ステーション11から閉架書庫3に向けて搬送されるコンテナ6の収容空間21に収容されている図書4から読み取った識別情報と、閉架書庫3の書棚5からステーション11に向けて搬送されるコンテナ6の収容空間21に収容されている図書4から読み取った識別情報とを比較し、利用者に貸し出しが行われた図書4以外にコンテナ6から持ち出された図書4の有無を管理することができる。
【0064】
本実施例では、閉架書庫3の書棚5からステーション11にコンテナ6を搬送する場合と、ステーション11から閉架書庫3の書棚5にコンテナ6を搬送する場合と、で同一のコンベア9を使用しているが、その他の変形例のステーション11であってもよい。
【0065】
変形例のステーション11について説明すると、図10に示すように、変形例のステーション11では、前述したコンベア9の他に、ステーション11の中空部12のターンテーブル13の左方から閉架書庫3の書棚5に向けて返却用コンベア9’が延設されている。
【0066】
ステーション11から閉架書庫3の書棚5にコンテナ6を返却搬送する場合には、コンベア9’によってコンテナ6を搬送するようになっている。この変形例のステーション11には、返却用コンベア9’の正面側と背面側とにも、各一対の第1及び第2タグリーダ15,16が設けられており、返却中のコンテナ6内に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取ることができる。
【0067】
以上、本実施例における図書保管管理システム1にあっては、直線偏波を用いてRFIDタグ7の識別情報を読取可能な第1タグリーダ15と、円偏波を用いてRFIDタグ7の識別情報を読取可能な第2タグリーダ16と、を備え、コンテナ6と、第1及び第2タグリーダ15,16と、を互いに相対移動させることで、第1及び第2タグリーダ15,16によって識別情報を順次読み取るようになっており、性質の異なる直線偏波と円偏波とを併用して第1及び第2タグリーダ15,16に用いることで、一方の偏波によってRFIDタグ7から識別情報を読み損ねても、他方の偏波によってRFIDタグ7から識別情報を読み取ることができるようになり、コンテナ6と第1及び第2タグリーダ15,16との相対移動速度に係わりなく、第1及び第2タグリーダ15,16とによってRFIDタグ7からの識別情報の順次読取を正確に行うことができる。
【0068】
尚、円偏波は、第2タグリーダ16からRFIDタグ7までの距離が遠い場合や、図書4がコンテナ6内で横倒しとなった状態で収容されている場合であっても、RFIDタグ7から識別情報を読取可能であり、直線偏波は、第1タグリーダ15からRFIDタグ7までの距離に多少のずれがある場合であっても、RFIDタグ7から識別情報を読取可能であり、これらの第1及び第2タグリーダ15,16を併用すれば、コンテナ6内に図書4が乱雑に収容されている場合であっても、円偏波と直線偏波とによってRFIDタグ7から識別情報を正確に読み取ることができる。
【0069】
また、コンテナ6が水平移動されることで、第1及び第2タグリーダ15,16によってRFIDタグ7の識別情報が順次読み取られるので、コンテナ6を閉架書庫3からステーション11に向けて搬送する際と、返却作業後にステーション11から閉架書庫3に向けて搬送する際と、の双方でコンテナの搬送を停止させることなく第1及び第2タグリーダ15,16によってRFIDタグ7から識別情報を読み取ることができるので、コンテナ6の搬送効率を向上させることができる。
【0070】
また、第1タグリーダ15は、第2タグリーダ16よりもコンテナ6に近接して識別情報を読み取るので、直線偏波を用いた第1タグリーダ15は、円偏波を用いた第2タグリーダ16よりもRFIDタグ7の識別情報を読み取り可能な距離が短いため、直線偏波を用いた第1タグリーダの読取精度を向上させつつ、第1及び第2タグリーダ15,16の互いの配置位置を前後にずらすことができる。
【0071】
また、複数の図書4は、その背表紙4aにRFIDタグ7が取り付けられており、複数の図書4は、その背表紙4aを外側に向けた状態、かつ第1及び第2タグリーダ15,16の読取方向に沿って並べられた状態でコンテナ6に収容されているので、第1及び第2タグリーダ15,16とRFIDタグ7とが対向配置されるようになり、第1及び第2タグリーダ15,16がRFIDタグ7から識別情報を読み取り易くなるとともに、利用者が目的の図書4をコンテナ6内から探し出す際に、背表紙4aを視認して目的の図書4を確認し易くすることができる。
【実施例2】
【0072】
次に、実施例2に係る図書保管管理システムにつき、図11を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。以下、図11の紙面下側をステーションとコンテナの正面側(前方側)として説明する。
【0073】
実施例2におけるコンベア9の正面側と背面側とに設けられたそれぞれ一対の第1及び第2タグリーダ15,16は、コンテナ6の搬送方向に沿って水平にスライド移動可能となっている。具体的には、コンベア9の正面側及び背面側には、コンベア9の長手方向(左右方向)を向くスリット23が形成されており、これらスリット23内に各第1及び第2タグリーダ15,16の下端部が挿通されている。
【0074】
そして、各第1及び第2タグリーダ15,16の下端部は、これらスリット23内でコンベア9の長手方向を向いて配設された図示しないタグリーダ駆動手段等に接続されており、これらタグリーダ駆動手段が駆動することで、第1及び第2タグリーダ15,16はコンベア9の長手方向に沿って水平にスライド移動される。
【0075】
このように構成した第1及び第2タグリーダ15,16によってコンテナ6の収容空間21に収容した図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取る際には、先ず、コンテナ6をステーション11に向けて搬送する際に、コンベア9の駆動を停止し、コンテナ6の搬送をステーション11内の中空部12の左部にて一旦停止させる。
【0076】
そして、第1及び第2タグリーダ15,16にコンテナ6の搬送方向とは、逆方向である右方にスライド移動させながらコンテナ6の収容空間21に収容した図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取らせる。そして、識別情報の読み取りが完了後、再びコンベア9を駆動させることでコンテナ6の搬送を再開させる。
【0077】
また、ステーション11は、第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取られた識別情報と、利用者がタッチパネル19から入力した、利用者の目的とする図書4の識別情報を照会する。このとき、ステーション11は、コンベア9の背面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取られた識別情報の中から利用者の目的とする図書4の識別情報が読み取られたと判定すると、ステーション11は、コンテナ6がステーション11の中空部12の中央でターンテーブル13に載置された後、ターンテーブル13を回転させてコンテナ6の背面側を正面側に向けるようにする。
【0078】
そして、この場合には、コンテナ6の背面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16によって読み取った識別情報を、コンテナ6の収容空間21のカウンター側(正面側)に収容されている図書4のタイトルとして表示装置18に表示させる(実施例1の図9参照)。このようにすることで、利用者は常にコンテナ6の正面側のみから目的とする図書4を探し出すことができる。尚、実施例2では、目的とする図書4が常に利用者が視認で切る正面側に配置されるため、図書4のタイトルを表示装置18に表示することを省略してもよい。
【0079】
尚、実施例2では、前述したように、コンテナ6の搬送を停止し、第1及び第2タグリーダ15,16をコンテナ6の搬送方向とは反対側である右方に向けてスライド移動させながらコンテナ6の収容空間21に収容した図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取っているが、ステーション11内の中空部12の左部にて、コンテナ6の搬送を停止させずに、第1及び第2タグリーダ15,16をコンテナ6の搬送方向にスライド移動させることで、第1及び第2タグリーダ15,16をコンテナ6と並走させつつ、コンテナ6の収容空間21に収容した図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取るようにしてもよい。
【0080】
そして、この場合は、第1及び第2タグリーダ15,16の移動速度をコンテナ6よりも低速に設定する。このようにすることで、第1及び第2タグリーダ15,16は、搬送速度を落とす必要がなくなるばかりか、かつ識別情報を読み取るために必要な読取時間を充分に得ることができる。
【0081】
以上、実施例2における図書保管管理システム1にあっては、第1及び第2タグリーダ15,16が水平移動されることで、第1及び第2タグリーダ15,16によってRFIDタグ7の識別情報が順次読み取られるので、コンテナ6の搬送速度に係わりなく、コンテナ6と第1及び第2タグリーダ15,16との互いの相対移動速度を自由に変化させることができるようになる。前述したように、コンテナ6の搬送に並走して第1及び第2タグリーダ15,16を水平移動させたり、搬送速度が低下若しくは停止しているコンテナ6であっても、第1及び第2タグリーダ15,16を水平移動させることで、コンテナ6内の全ての図書4のRFIDタグ7から識別情報を順次読み取ることができる。
【0082】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0083】
例えば、前記実施例では、図書保管管理システム1を、コンテナ6毎に図書4を分野毎に収容する固定ロケーション方式として説明したが、コンテナ6内に図書4を分野を問わずに収容し、図書4の保管効率を向上させたフリーロケーション方式としてもよい。
【0084】
また、前記実施例では、図書4の背表紙4aにRFIDタグ7を貼り付けたが、第1及び第2タグリーダ15,16によって読取可能であれば、RFIDタグ7が貼り付けられる位置は図書4の表紙の裏面等であってもよい。
【0085】
また、前記実施例では、コンテナ6の収容空間21内に図書4を背表紙4aをコンテナの外側である正面側と背面側とに向けて立てた状態で収容したが、第1及び第2タグリーダ15,16によってRFIDタグ7から識別情報が読取可能であるならば、背表紙4aを上方や収容空間21の前後方向の中央に向けて立てた状態で収容してもよいし、複数の図書4を収容空間21内で平積みして収容するようにしてもよい。
【0086】
また、前記実施例では、コンテナ6の底板6aを、底板6aの前後に設けられている第2側壁6cから、コンテナ6の前後方向の中央に向かって上方に角度θの傾斜をなす傾斜面6dに形成したが、コンテナ6の底板6aは傾斜を有さない平坦面に形成してもよい。
【0087】
また、前記実施例では、第1及び第2タグリーダ15,16の双方でコンテナ6の収容空間21に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取ることで、識別情報を正確に読み取るようにしたが、第1及び第2タグリーダ15,16の双方でコンテナ6の収容空間21内に収容されている全ての図書4のRFIDタグ7から識別情報が読み取れない場合には、一旦、コンベア9の駆動を反転させて逆送させて、その後、再び第1及び第2タグリーダ15,16によってコンテナ6の収容空間21内に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取るようにしてもよい。
【0088】
また、前記実施例では、コンテナ6の収容空間21内を2枚の磁性板22によって正面側と背面側とに分割したが、例えば、コンテナ6の右側の第1側壁6bの背面側端部から左側の第1側壁6bの正面側端部にかけて磁性板22を収容空間21内に対角線上に配置することで、収容空間21内を正面側と背面側とに分割してもよい。
【0089】
また、前記実施例では、コンテナ6の収容空間21内を2枚の磁性板22によって正面側と背面側とに分割したが、例えば、磁性板22の左右幅寸法を中央の隔壁6hから第1側壁6bまでに形成し、この磁性板22を収容空間21における中央の隔壁6hの右側と左側とで異なる前後位置に配置して、収容空間21を左右で異なる前後幅寸法で正面側と背面側とに分割するようにしてもよい。
【0090】
また、前記実施例では、第1及び第2タグリーダ15,16がそれぞれ一対となって設けられ、これら一対のタグリーダ15,16による複数の図書4のRFIDタグ7を読み取るようにしているが、複数の図書4の順番を正確に読み取る読取特性は、直線偏波を用いた第1タグリーダ15の方が優れているため、第2タグリーダ16を設けずに、第1タグリーダ15のみを設けるようにしてもよい。
【0091】
また、前記実施例では、コンベア9の正面側と背面側とに第1及び第2タグリーダ15,16を設け、これら第1及び第2タグリーダ15,16によって搬送されるコンテナ6に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取るようにしているが、第1及び第2タグリーダ15,16は、コンベア9の正面側と背面側の一方のみに設けられていてもよい。特に第1及び第2タグリーダ15,16がコンベア9の背面側のみに設けられている場合には、表示装置18にコンテナ6の背面側に収容されている図書4のタイトルのみを表示するようにし、コンテナ6の収容空間21の正面側に収容されている図書4は、利用者が直接確認するようにしてもよい。
【0092】
また、前記実施例では、ステーション11の中空部12の右部にて第1タグリーダ15を第2タグリーダ16よりも右側に配置し、第1タグリーダ15が第2タグリーダ16よりも先にコンテナ6の収容空間21内に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取れるようにしたが、第1及び第2タグリーダ15,16を上下方向に連設し、コンテナ6の収容空間21内に収容されている図書4のRFIDタグ7から識別情報を同時に読み取るようにしてもよい。
【0093】
また、前記実施例では、コンベア9の正面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16は、コンテナ6の正面側からコンテナ6の収容空間21の正面側に収容された図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取り、コンベア9の背面側に設けられた第1及び第2タグリーダ15,16は、コンテナ6の背面側からコンテナ6の収容空間21の背面側に収容された図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取っているが、第2タグリーダ16をコンベア9の直上に設け、第1タグリーダ15と第2タグリーダ16がそれぞれ異なる方向から図書4のRFIDタグ7から識別情報を読み取るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 図書保管管理システム
4 図書
4a 背表紙
5 書棚
6 コンテナ
7 RFIDタグ(無線タグ)
9,9’ コンベア
10 移動台
11 ステーション(管理装置)
11a コンテナ回転ボタン
13 ターンテーブル(回転手段)
15 第1タグリーダ
16 第2タグリーダ
18 表示装置(報知手段)
22 磁性板(仕切部)
23 スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図書が複数のコンテナ内に収容された状態で書庫に収容され、該複数の図書には、各図書を識別可能な識別情報が記憶されている無線タグが取り付けられ、管理装置の指令に基づき、書庫に収容されている複数の前記コンテナの中から、目的の図書が含まれているコンテナを取り出してステーションに搬送するとともに、図書の貸し出しまたは返却作業後にステーションより前記書庫に前記コンテナを搬送する図書保管管理システムであって、
直線偏波を用いて前記無線タグの前記識別情報を読取可能な第1タグリーダと、円偏波を用いて前記無線タグの前記識別情報を読取可能な第2タグリーダと、を備え、前記コンテナと、前記第1及び第2タグリーダと、を互いに相対移動させることで、前記第1及び第2タグリーダによって前記識別情報を順次読み取ることを特徴とする図書保管管理システム。
【請求項2】
前記コンテナが水平移動されることで、前記第1及び第2タグリーダによって前記無線タグの前記識別情報が順次読み取られることを特徴とする請求項1に記載の図書保管管理システム。
【請求項3】
前記第1及び第2タグリーダが水平移動されることで、前記第1及び第2タグリーダによって前記無線タグの前記識別情報が順次読み取られることを特徴とする請求項1または2に記載の図書保管管理システム。
【請求項4】
前記第1タグリーダは、前記第2タグリーダよりも前記コンテナに近接して前記識別情報を読み取ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の図書保管管理システム。
【請求項5】
前記複数の図書は、その背表紙に前記無線タグが取り付けられており、該複数の図書は、その背表紙を外側に向けた状態、かつ前記タグリーダの読取方向に沿って並べられた状態で前記コンテナに収容されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の図書保管管理システム。
【請求項1】
複数の図書が複数のコンテナ内に収容された状態で書庫に収容され、該複数の図書には、各図書を識別可能な識別情報が記憶されている無線タグが取り付けられ、管理装置の指令に基づき、書庫に収容されている複数の前記コンテナの中から、目的の図書が含まれているコンテナを取り出してステーションに搬送するとともに、図書の貸し出しまたは返却作業後にステーションより前記書庫に前記コンテナを搬送する図書保管管理システムであって、
直線偏波を用いて前記無線タグの前記識別情報を読取可能な第1タグリーダと、円偏波を用いて前記無線タグの前記識別情報を読取可能な第2タグリーダと、を備え、前記コンテナと、前記第1及び第2タグリーダと、を互いに相対移動させることで、前記第1及び第2タグリーダによって前記識別情報を順次読み取ることを特徴とする図書保管管理システム。
【請求項2】
前記コンテナが水平移動されることで、前記第1及び第2タグリーダによって前記無線タグの前記識別情報が順次読み取られることを特徴とする請求項1に記載の図書保管管理システム。
【請求項3】
前記第1及び第2タグリーダが水平移動されることで、前記第1及び第2タグリーダによって前記無線タグの前記識別情報が順次読み取られることを特徴とする請求項1または2に記載の図書保管管理システム。
【請求項4】
前記第1タグリーダは、前記第2タグリーダよりも前記コンテナに近接して前記識別情報を読み取ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の図書保管管理システム。
【請求項5】
前記複数の図書は、その背表紙に前記無線タグが取り付けられており、該複数の図書は、その背表紙を外側に向けた状態、かつ前記タグリーダの読取方向に沿って並べられた状態で前記コンテナに収容されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の図書保管管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−6233(P2011−6233A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153280(P2009−153280)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】
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