図面作製装置、作図方法およびプログラム
【課題】 指定された領域の鉄道配線略図を自動作製する。
【解決手段】 略図作製者の指示を受けて、まず、制御部110は、記憶部120内に格納されている数値地図とキロ程情報などに基づいて各地点の鉄道配線略図上の座標を求める。次に、隣と近接し、かつ前後の線分の傾きの差が少ない地点を削除する。そして、線路上に設定された地点を、求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングする。線路上に設定されていない地点は、格子と関係なくマッピングする。最後に、マッピングした結果に従って、鉄道配線略図を出力装置14から出力する、
【解決手段】 略図作製者の指示を受けて、まず、制御部110は、記憶部120内に格納されている数値地図とキロ程情報などに基づいて各地点の鉄道配線略図上の座標を求める。次に、隣と近接し、かつ前後の線分の傾きの差が少ない地点を削除する。そして、線路上に設定された地点を、求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングする。線路上に設定されていない地点は、格子と関係なくマッピングする。最後に、マッピングした結果に従って、鉄道配線略図を出力装置14から出力する、
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面作製装置、作図方法およびプログラム装置に関し、特に、実測データに基づいて略図を作製する図面作製装置、作図方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道配線略図(以下、単に略図と称する)の作製は手作業であった。特に、分岐駅やターミナル駅等では、信号機、分岐器、プラットホームなどの設置個所がその駅の規模に応じて増大する。このため、略図を作製するためにかかる工数が駅の規模に応じて増大し問題となっていた。また、略図を作製するための作製基準が図によってまちまちであったため、駅の構内配線が変更された場合などの際に、略図の更新が容易に行えず、再利用も困難であった。このため、一定の基準の下に、鉄道配線略図を作製するシステムの開発が望まれていた。
【0003】
鉄道配線略図に限らず、デフォルメした地図を作製するためのシステムが提案されている。例えば、特許文献1に開示されている図形デフォルメ方法は、地図上の選択された範囲内にある道路ネットワークをデフォルメして出力する。より詳細には、まず、道路ネットワーク上の各ノード(例えば、交差点)を格子点に移動させ、その後、どのノードも格子点上にない格子を構成する線を削除する。また、所定の大きさに収まらない場合には、ノードを移動させ、削除可能な格子を構成する線を作り出す。それでも、所定の大きさに収まらない場合には、ノードを統合して削除可能な格子を構成する線を作り出す。
【0004】
このデフォルメ方法を本件に適用すると、間引かれる格子線は等間隔ではないため、作製した図が作製者の意図する図と異なるという結果を招きやすい。ノードが統合された場合には、意図した図と異なる度合いがさらに大きくなる。
【特許文献1】特開2000−250403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、トポロジーを維持したまま、デフォルメ感を持たせた略図を作製する図面作製装置、作図方法およびプログラム提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる、図面作製装置は、
地理情報に基づいて略図を作製する図面作製装置であって、
複数の地点のキロ程情報と、前記複数の地点の接続関係を示す情報とを格納する記憶手段と、
前記地理情報と、記憶手段に格納されているキロ程情報とに基づいて各地点の略図上での座標を求める手段と、
所定の基準に従って、前記複数の地点のうち、略図上に掲載する地点を抽出する手段と、
前記抽出する手段で抽出した各地点を、前記座標を求める手段で求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングするマッピング手段と、
前記マッピング手段の処理結果と前記記憶手段に格納されている接続関係とを示す情報とに従って、略図を生成し出力する出力手段と、
を具備することを特徴とする。
【0007】
上記図面作製装置において、
前記記憶手段は、さらに、略図を構成する線路の種別を示す情報と、該種別に対応する出力形式を指定する情報とを格納してもよい。
この場合、前記出力手段は、前記線路の種別を示す情報と、前記該種別に対応する出力形式を指定する情報とに基づいて、本線とそれ以外の線路とを異なる態様で出力することができる。
【0008】
上記図面作製装置において、
前記所定の基準は、前記地点に接続する2つの線分の傾きの差が所定の範囲外であるか否かという条件を含む。もしくは、トポロジー的に隣接する2地点間の距離が閾値以上であるか否かという条件を含む。
【0009】
上記図面作製装置において、
前記記憶手段は、さらに、鉄道施設の外形を示す施設情報を格納してもよい。
この場合、前記座標を求める手段は、前記地理情報と、記憶手段に格納されているキロ程情報と、前記施設情報とに基づいて、略図上での座標を求め、
前記マッピング手段は、求めた座標が線路上に設定された地点に対応するものか否かを判別する第1の判別手段を備え、線路上に設定された地点に対応する座標は、格子点にマッピングし、線路上に設定された地点に対応しない座標は、格子点に関係なくマッピングする。
【0010】
上記図面作製装置において、
前記マッピング手段は、鉄道施設を示す図形と線路を示す図形とが交差するか否かを判別する第2の判別手段を備えることが望ましい。
この場合、マッピング手段は、
前記第2の判別手段が鉄道施設を示す図形と線路を示す図形とが交差すると判別した場合には、格子の前記所定の間隔を狭くして、マッピングし直す。
【0011】
本発明の第2の観点にかかる作図方法は、
地理情報と、複数の地点のキロ程情報と、前記複数の地点の接続関係を示した情報とを格納する記憶手段を備えた情報処理装置が、
前記記憶手段に格納されている地理情報とキロ程情報とに基づいて各地点の略図上の座標を求めるステップと、
所定の基準に従って、前記複数の地点のうち、略図上に掲載する地点を抽出するステップと、
前記抽出するステップで抽出した各地点を、前記座標を求めるステップにおいて求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングするマッピングステップと、
前記マッピングステップの処理結果と、前記記憶手段に格納されている接続関係を示した情報とに従って、略図を生成し出力する出力ステップと、
を備える。
【0012】
さらに、本発明の第3の観点にかかるプログラムは、
地理情報と、複数の地点のキロ程情報と、前記複数の地点の接続関係を示した情報とを格納する記憶手段を備えたコンピュータを、
記憶手段に格納されている前記地理情報とキロ程情報とに基づいて各地点の略図上の座標を求め、
所定の基準に従って、前記複数の地点のうち、略図上に掲載する地点を抽出し、
抽出した各地点を、求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングし、
マッピングした結果と記憶手段に格納されている接続関係を示した情報とに従って、略図を生成し出力する
図面作製装置として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、トポロジーを維持したまま、デフォルメ感を持たせた略図を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる図面作製装置とその動作とを説明する。なお、以下、単に「距離」と書いた場合はユークリッド距離を意味するものとする。また、理解を容易にするため、本発明の実施の形態にかかる図面作製装置では鉄道線路網および鉄道施設を平面上の2次元データとして取り扱い、高低差は取り扱わない。
【0015】
この実施の形態にかかる図面作製装置は、鉄道線路(以下、単に線路と称する)および鉄道施設をデフォルメした地図(鉄道配線略図)を作製し出力する。
【0016】
分岐点以外に採用される線路上の地点としては、どのような地点でもよいが、例として、曲線部分と直線部分との境界点、閉塞区間の境界点、饋電(きでん)区間の境界点、駅中心点、等を挙げることができる。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態にかかる図面作製装置100は、CPU(Central Processing Unit)11と、記憶部12と、I/O16とにより構成されている。記憶部12およびI/O16は、内部バスを介してCPU11に接続されている。CPU11は、記憶部12に格納されている動作プログラム等を読み出して、実行することにより、図2に示すような機能構成をとる。I/O16には、入力装置13と出力装置14とが接続される。
【0018】
図2に示すように、本実施の形態にかかる図面作製装置100は、機能的に、制御部110と、記憶部120と、入力制御部130と、出力制御部140と、プログラム格納部150とを備える。そして、入力制御部130に入力装置13が、出力制御部140に出力装置14がそれぞれ接続されている。
【0019】
制御部110は、例えば、中央演算処理装置(CPU、Central Processing Unit)やワークエリアとなる記憶装置(RAM(Random Access Memory)等)などを備える。制御部110は、プログラム格納部150に格納されている動作プログラムを読み出して実行することにより、制御部110は図面作製装置100の各部を制御しつつ、後述する略図作製処理などを実行する。
【0020】
記憶部120は、ハードディスク装置などの記憶装置から構成され、鉄道配線略図を作製するための基礎データなどを格納する。図3は、記憶部120に格納されるデータを説明するための図である。記憶部120は、地図データベース(DB)121と、キロ程データベース(DB)122と、路線データベース(DB)123と、施設データベース(DB)124と、線種データベース(DB)125とを備える。また、地図DB121と、キロ程DB122と、路線DB123と、施設DB124とに格納されるそれぞれのデータは線区ごとに対応付けられている。さらに、キロ程DB122と、路線DB123と、施設DB124と、線種DB125とに格納されるそれぞれのデータは、鉄道配線略図作製前に、あらかじめ作成されインストールされている。
【0021】
地図DB121は、地理情報システム(Geographic Information System、GIS)等から取得した、地理的情報を数値化したデータである地図データ(いわゆる数値地図)や作製した鉄道配線略図などを格納する。
【0022】
キロ程DB122は、線路上に設定されているすべての地点に関し、起点からのキロ数や、その地点の測地系における座標などを示した情報である「地点情報」を格納する。図4に、キロ程DB122に格納される「地点情報」の例を示す。図示するように、キロ程DB122は、「地点情報」をテーブルの形式で格納し、「地点情報」は、「地点ID」、「路線名情報」、「キロ程情報」、「測地系座標情報」等を含む。
【0023】
「地点ID」は、各地点を識別する識別子である。「路線名情報」は、その地点が属している鉄道路線を識別するための情報である。「キロ程情報」は、その地点が「路線名情報」で特定される路線の起点からのキロ数を示す情報である。「測地系座標情報」は、その地点の測地系での所定の基準点からの座標を格納する。なお、線路上の地点は、軌道の中心線部分を採用する。
【0024】
路線DB123は、鉄道配線略図を作製しようとする線区に含まれるすべての軌道に関し、その軌道の種別(例えば、本線、副本線、側線の別や、分岐点か否かの別)、その軌道に対して設定されている地点などの「線路情報」を格納する。図5は、路線DB123に格納される「線路情報」の例を示したものである。図示するように、路線DB123は「線路情報」をテーブルの形式で格納し、「線路情報」は「線路ID」、「路線名情報」、「種別情報」、「地点情報」等を含む。
【0025】
「線路ID」は、各軌道を識別する識別子である。「路線名情報」は、この軌道が属する路線を識別するための情報である。「種別情報」は、この軌道が線区上でいかなる地位を占めているかを示すための情報であり、例えば、本線・副本線などの別、ならびに上り、下りの別などを含む。「地点情報」は、この線路上に設定された地点を示す情報であり、例えば、上記「地点ID」を並べたものを含む。なお、地点IDの並べ方は特に制限されるものではないが、起点に近い側から並べられる。
【0026】
施設DB124は、鉄道配線略図を作製しようとする線区と関連のある施設に関する「施設情報」を格納する。施設DB124に格納される「施設情報」の例を図6に示す。図示するように、施設DB124は「施設情報」をテーブルの形式で格納し、「施設情報」は「施設ID」、「施設種別情報」、「測地系座標情報」等を含む。
【0027】
「施設ID」は、各施設を識別する識別子である。「施設種別情報」は、施設IDにより特定される鉄道施設の種別(例えば、プラットホーム)を識別するための情報である。「測地系座標情報」とは、当該施設の外形を特徴付ける各地点の測地系における座標を示す情報である。なお、座標の並べ方は特に制限されるものではないが、測地系座標情報に格納される各地点の座標は時計回りの順で格納される。
【0028】
線種DB125は、鉄道配線略図に出力する線の形態を「種別情報」ごとに規定する「線種設定情報」である。図7は、線種DB125に格納される線種設定情報の例を示したものである。図示するように、線種DB125は線種設定情報をテーブルの形式で格納し、線種設定情報は「種別情報」、「太さ情報」、「点線間隔情報」などを含む。
【0029】
「太さ情報」は、出力される線の太さの単位を示す情報である。「点線間隔情報」は、出力される点線の間隔を示す情報である。なお、「none」と記されている種別では、出力される線が実線であることを意味する。
【0030】
再び図2に戻り、入力制御部130は、例えば、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置13を接続し、入力装置13から入力された制御部110への指示などを受け付けて制御部110に伝達する。
【0031】
出力制御部140は、例えば、ディスプレイ、プロッタなどの出力装置14を接続し、制御部110の処理結果などを必要に応じて出力装置14に出力する。
【0032】
プログラム格納部150は、ROM(Read Only Memory)等の記憶装置から構成され、制御部110が実行する動作プログラムを格納する。
【0033】
以下、本実施の形態にかかる図面作製装置100の動作について、図8乃至図15を参照して説明する。なお、本実施の形態では、地図の基準点を上り本線上の起点に相当する地点に設定する。ここで、上りとは起点へ向かう方向とする。
【0034】
図8は、本実施の形態にかかる略図作製処理を説明するためのフローチャートである。
まず、制御部110は、出力制御部140を介して、出力装置(ディスプレイ)14に、図9に示すような範囲指定画面を表示させる。図示するように、範囲指定画面は、ファイル選択を行うための、ファイル選択エリアや、作製する範囲を指定するために数値を入力するエリアなどが設けられている。作製者は、鉄道配線略図を生成したい線区をファイル名を用いて選択する。また、作製を開始する地点を起点からのキロ数で指定する。
【0035】
なお、図9に示した範囲指定画面において、本発明の説明に直接関係しない部分は、説明の便宜上、簡略化あるいは省略されている。しかし、この範囲指定画面が図面作製装置100に通常用いられるコンピュータが備えるGUI(Graphical User Interface)を適宜有することは言うまでもない。
【0036】
作製が範囲指定画面上に配置されている「OK」ボタンをクリックすると、入力された内容が入力制御部130を介して、入力装置13から制御部110に送信される。すると、制御部110は、略図作製処理を開始し、作図範囲の指定を受け付ける(ステップS101)。制御部110は、指定されたファイル名と関連づけられているデータを各DBから読み出す(ステップS102)。そして、指定された起点からのキロ数から所定の処理区間内にある、線路および鉄道施設に関するデータをキロ程DB122と、路線DB123と、施設DB124とから抽出する。
【0037】
ステップS103において、制御部110は、抽出した各地点の現実の座標(以下、測地系座標と称する)を、鉄道配線略図上の座標(以下、略図系座標と称する)に変換する。以下、キロ程上にない各地点の座標変換方法について、図10を参照してより詳細に説明する。
【0038】
以下、ステップS301からS307までをキロ程上にない各地点に対して、実行する。なお、図10の説明中、キロ程上にない地点をP、キロ程上の地点をQx(+、−、なしのいずれか)とする。
【0039】
まず、制御部110は、ある地点Pに対し、キロ程上の最も近い地点Qを判別する(ステップS301)。すると、キロ程上に、地点Qの前後の地点Q−と地点Q+とが定まる。
【0040】
次に、測地系上で、地点Pから、地点Q、Q−を通る直線および地点Q、Q+を通る直線へ垂線を下ろし、その交点を求める(ステップS302)。ここで交点は高々2つである。
【0041】
さらに、制御部110は、ステップS302で求めた高々2つの交点のうち、地点Q、Q−を通る線分および地点Q、Q+を通る線分上にある交点の数を判別する(ステップS303)。
【0042】
交点が2つともQを通る線分上にあった場合(ステップS303:2つ)、制御部110は、さらに、測地系において、地点Pと2つの交点との距離をそれぞれ算出し、距離が短い方を判別し(ステップS304)、距離が短い方の交点を地点Pと最も近いキロ程上の地点と判別する。処理はステップS307に移る。
【0043】
交点のうち1つがQを通る線分上にあった場合(ステップS303:1つ)、制御部110は、線分上にある交点を地点Pと最も近いキロ程上の地点と判別する(ステップS305)。処理はステップS307に移る。
【0044】
また、交点のいずれもQを通る線分上になかった場合(ステップS303:0)、制御部110は、それらの交点の代わりに、地点Qを地点Pと最も近いキロ程上の地点と判別する(ステップS306)。処理はステップS307に移る。
【0045】
ステップS307において、制御部110は、ステップS304、S305、S306のうちのいずれかで求められた交点(地点)のキロ程を地点Pの略図系でのX軸の座標とし、地点Pから交点までの測地系での距離を略図系でのY軸の座標と決定する。
【0046】
交点が地点Qとみなされた場合(ステップS303:0)、地点PのX座標は、地点Qのキロ程に等しい。それ以外の場合は、以下のようにして求まる。すなわち、ステップS304、S305、S306のいずれかで求められた交点Pの測地系での座標を(X、Y)、交点Pを通る線分の2つの端点のうち、キロ程の小さい方の端点の測地系座標を(A、B)、キロ程の大きい方の測地系座標を(C、D)、(A、B)に対応する地点のキロ程をU1、(C、D)に対応する地点のキロ程をU2としたとき、
(数1)
Z=[√{(X−A)×(X−A)+(Y−B)×(Y−B)}×(U2−U1)]/√{(C−A)×(C−A)+(D−B)×(D−B)}+U
なる式で求まった値Zが、略図系における地点PのX軸の座標と判別される。
【0047】
ステップS308では、路線DB123あるいは施設DB124に、測地系座標情報が格納されている地点について、上記ステップS301からS307までの処理を実行したか否かを判別する。処理対象となるすべての地点においてステップS301からS307までの処理を実行したと判別すれば(ステップS308:YES)、制御部110は座標変換処理(ステップS103)を終了する。ある地点においてステップS301からS307までの処理を実行していないと判別すれば(ステップS308:NO)、処理をステップS301に戻し、座標変換処理を続行する。
【0048】
図8に戻って、ステップS104では、制御部110は、略図系上に変換された各地点のうち、余分な地点を間引く。以下、ステップS104の処理(以下、間引き処理と称する)について、図11を参照してより詳細に説明する。
【0049】
以下、ステップS401からS407までを、鉄道配線略図に表示される可能性のあるすべて地点に対して、キロ程の小さな順に実行する。
【0050】
まず、ステップS401は、選んだ地点Rが分岐点であるか否かを判別する。分岐点であると判別すれば、制御部110は、以下のステップS402からS407までを分岐先ごとに実行する。ただし、キロ程上戻るような線については、ステップS402からS407までを実行しない。
【0051】
次に、制御部110は、地点Rとつながっている2地点R1、R2の略図系での座標を取得する(ステップS402)。
【0052】
もし、鉄道配線略図の作製範囲内に地点R1とつながっている地点が地点Rしか無く、地点R2の座標の取得に失敗した場合もしくは、地点R1が分岐点のため地点R2が定まらない場合(ステップS403:NO)、制御部110は地点R1を間引きできないと判別し、処理をステップS408へ移す。
【0053】
ステップS402において正常に座標を取得したと判別すれば(ステップS403:YES)、次に、制御部110は、略図系における線分RR1の長さおよび線分R1R2の長さ(距離)を算出し、算出した長さのいずれかが所定の閾値(例えば、50m)以上であるか否かを判別する(ステップS404)。
【0054】
算出した長さのいずれもが所定の閾値未満である場合(ステップS404:NO)、制御部110は、さらに線分RR1およびRR2の傾きの差を略図系で算出する(ステップS405)。
【0055】
ここで、地点R、R1、R2の略図系での座標をそれぞれ(A、B)、(C、D)、(E、F)とおくと、2つの線分の傾きの差G(単位ラジアン)は、
(数2)
G=arctan{(C−A)/(D−B)}×π/180−arctan{(E−A)}/(F−B)}×π/180
で算出できる。なお、数2の分母が0となった場合、制御部110は当該逆正接関数の値を90度または−90度と判別する。この場合、正負の符号は分子の符号と同一とする。
【0056】
次に、制御部110は、算出した傾きの差Gが所定の範囲内(例えば、−π/12ラジアンからπ/12ラジアンの間)であるか否かを判別する(ステップS406)。
【0057】
傾きの差Gが所定の範囲外であると判別した場合(ステップS406:NO)、制御部110は、その地点を間引けないと判別し、処理をステップS408に移す。
【0058】
傾きの差Gが所定の範囲内であると判別した場合(ステップS406:YES)、制御部は、その地点を間引けると判別し、地点R1を鉄道配線略図上から取り除く(ステップS407)。
【0059】
ステップS408では、路線DB123あるいは施設DB124に測地系座標情報が格納されている各地点について、上記ステップS401からS407までの処理を実行したか否かを判別する。処理対象となっているすべての地点においてステップS401からS407までの処理を実行したと判別すれば(ステップS408:YES)、制御部110は間引き処理(ステップS104)を終了する。ある地点においてステップS401からS407までの処理を実行していないと判別すれば(ステップS408:NO)、処理をステップS401に戻し、間引き処理を続行する。
【0060】
再び図8に戻り、制御部110は、残った各地点のうち線路上に設定された地点を格子状に設定されたグリッド上にマッピングし、他の地点はグリッドにこだわらずにマッピングする(ステップS105)。なお、経験上、この処理において最初に設定される格子間隔は、最低軌道中心間隔程度であることが望ましい。この程度の間隔を設定していれば、鉄道配線略図上で線路が重なるという事態が発生しない。より詳細な処理について、図12を参照して説明する。
【0061】
以下、ステップS501からS503までを、鉄道配線略図に表示されるすべての地点に対して実行する。なお、ステップS501から503を実行する順序は特に限定されるものではないが、路線DB123、施設DB124に格納されている順で実行する。同じDBに格納されている場合は、キロ程の小さな順に実行する。
【0062】
まず、制御部110は、その地点Pが、路線DB123あるいは施設DB124のいずれに格納されているかに基づいて、線路上に設定された地点であるか否かを判別する(ステップS501)。
【0063】
地点Pが線路上に設定されている地点であると判別した場合(ステップS501:YES)、制御部110は、その地点Pを距離的に最も近い格子点にマッピングする(ステップS502)。例えば、図13に示した例において、○で囲んだ地点は、最も近い格子点(図14:X2とY1との交点)にマッピングされる。処理はステップS504に移る。
【0064】
図12に戻って、地点Pが線路上に設定されていない地点であると判別した場合(ステップS501:NO)、制御部110は、その地点Pを座標値を変えることなくマッピングする(ステップS503)。処理はステップS504に移る。
【0065】
ステップS504では、キロ程DB122あるいは施設DB124に測地系座標情報が格納されているすべての地点について、上記ステップS501からS503までの処理を実行したか否かを判別する。処理対象となっているすべての地点においてステップS501からS503までの処理を実行したと判別すれば(ステップS504:YES)、制御部110は処理をステップS505に移す。ある地点においてステップS501からS503までの処理を実行していないと判別すれば(ステップS504:NO)、処理をステップS501に戻し、マッピング処理を続行する。
【0066】
ステップS505で、制御部110は、路線DB123および施設DB124に格納されている情報に基づいて、(仮想的に)線を引き、線路と鉄道施設の外形を表す図形とが交差するか否かを判別する。
【0067】
ステップS501からS504までにおいて、線路上に設定された地点が線路上に設定された他の地点と同一の場所にマッピングされたり、鉄道施設の外形を表す線分が線路と交差してしまったりするような場合には(ステップS505:YES)、設定した格子間隔を狭めて(ステップS506)、ステップS501からS504までを最初からやり直す。
【0068】
例えば、図14に示した図では、プラットホームと線路とが交差している。制御部110は、このため格子間隔を狭めて、ステップS501からS504までをやり直す。格子間隔の狭め方は特に制限されないが、以下、格子間隔を半分にした場合を前提として説明する。
【0069】
再び図12に戻って、線路と鉄道施設の外形を表す図形とが交差しないと判別した場合(ステップS505:NO)、マッピング処理を終了する。
【0070】
図8に戻る。最後に、制御部110は、ステップS101からS105までで得られた鉄道配線略図を例えばSVG(Scalable Vector Graphics)形式(ベクタフォーマットの1形式)で地図DB121に出力し(ステップS106)、略図作製処理を終了する。より詳細に説明すると、制御部110は、マッピング結果と、路線DB123に格納されている「線路情報」と、線種DB125に格納されている「線種設定情報」とに従って、線路および鉄道施設の外形を示す線をSVG形式で出力する。
【0071】
図15は、ステップS106で出力される鉄道配線略図の表示例である。図示するように、1面3線の駅で、うち1線は行き止まりとなっている。図14のX0とY0の交点が、図9に示した範囲指定画面で指定された開始位置に対応する。また、図13において、○で囲んだ地点は、図15では同じく○で囲んだ格子点の場所にマッピングされる。
【0072】
本線と他の線とは太さが異なる線で示されている。また、プラットホームの外形を示す線は線路よりもさらに細い線となっている。これは、制御部110が、路線DB123に格納されている「線路情報」に基づいて、略図系での各地点が本線に属するか否かを判別し、それにより、本線を判別する。そして、線種DB125に格納されている「線種設定情報」に従って、本線と判別した線分を他の線より太く表示できるように、鉄道配線略図を作製するためのデータを出力するからである。同様に、施設DB124に格納されている「施設情報」に基づいて、制御部110は、略図系での各地点が施設の外形を構成する地点であるか否かを判別し、2つの地点を結ぶ線分が施設の外形を構成する線分であると判別すれば、線路とは異なる態様で表示できるように、鉄道配線略図を作製するためのデータを出力するからである。
【0073】
以上、説明したように、本発明の実施の形態にかかる図面作製装置100によれば、キロ程、分岐位置、鉄道施設の場所などの情報に基づいて、適度なデフォルメ感を持たせた鉄道配線略図を作製することができる。
【0074】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形および応用が可能である。
例えば、上記実施例では距離としてユークリッド距離を採用した場合を説明したが、マンハッタン距離などでもよい。
【0075】
また、上記実施の形態では、数値地図を利用して鉄道配線略図を作製したが、数値地図の代わりに測量データなどの計測データを利用するようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態では、鉄道配線略図上で、上り本線が直線で表現されるようになっていたが、下り本線など他の線路が直線で表現されるように構成してもよい。
【0077】
また、図面作製装置100は、作製者の指示に従って、縦横の比率を変化させて鉄道配線略図を出力してもよい。この場合、指示された縦横の比率に従って、鉄道配線略図上にプロットされる地点のY座標が変化する。
【0078】
また、ステップS104の間引き処理を、ステップS102とS103との間で行ってもよいし、ステップS102とS103との間およびステップS104の2段階で行ってもよい。ステップS102とS103との間で間引き処理を行う場合は、測地系で計算を行う。
【0079】
また、上記ステップS404において、長さ(距離)算出する線分はRR1とR1R2とで、ステップS405では、傾きの差を算出する線分はRR1とRR2とであった。これを、ステップS404では、線分RR1とRR2とに、ステップS405では、線分RR1とR1R2とに変更することができる。
【0080】
また、上記実施の形態では、高低差を取り扱わないこととしていたが、高低差を取り扱うように構成することができる。この場合、路線DB123に立体交差する線路の上下関係を設定する。そして、制御部110は、鉄道配線略図を出力する際に、線路の上下関係を示す情報に従って、鉄橋などを示す図形を出力する。同様にして、地下線やトンネルを取り扱うように構成することができる。
【0081】
また、上記実施の形態の図面作製装置100では、本線となるべき線を他の線より太く出力していたが、点線、色付け、あるいはこれらを組み合わせたものにより出力してもよい。なお、線種DB125に格納される線種設定情報を不変の情報とするかしないかについては任意である。
【0082】
また、上記実施の形態おいて、図面作製システム100は、SVG形式で鉄道配線略図を出力したが、他の既知のフォーマットで出力してもよい。また、地図DB121に出力する代わりに、出力装置(プロッタ)14に出力してもよい。
【0083】
また、上記図面作製システム100では、最終結果のみをファイルとして出力しているが、利用者の指示を受け付け、図8の各ステップ終了時に中間ファイルを出力するように構成することができる。そして、図面作製システム100を、中間ファイルを受け付け、図8に示した残りのステップを実行するように構成することもできる。
【0084】
また、上記図面作製システムは、道路の略図を作製する場合に適用することができる。この場合、鉄道配線略図においてプラットホームに対応するものは、道路の略図では、建物などである。また、鉄道配線略図において本線に対応するものは、道路の略図では、指定された国道などである。
【0085】
なお、本発明の実施の形態にかかる図面作製装置100を実現するための情報処理装置は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した媒体(CD−ROMなど)から当該プログラムを記憶部150にインストールすることにより、上述の処理を実行する図面作製装置100を構成することができる。
【0086】
また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協動により実現する場合などには、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
【0087】
また、搬送波にプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS、Bulletin Board System)に該プログラムを掲示し、ネットワークを介して該プログラムを配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、オペレーティングシステムの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態にかかる図面作製装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる図面作製装置の機能的構成を示す図である。
【図3】図2に示す記憶部に格納されるデータを説明するための図である。
【図4】図3に示すキロ程データベースに格納される地点情報の例を示す図である。
【図5】図3に示す路線データベースに格納される線路情報の例を示す図である。
【図6】図3に示す施設データベースに格納される施設情報の例を示す図である。
【図7】図3に示す線種データベースに格納される線種設定情報の例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる図面作製装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8に示す作製指示範囲の受け付けのステップにおいて、出力装置に表示される範囲指定画面の表示例を示す図である。
【図10】図8に示す座標変換処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】図8に示す間引き処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】図8に示すマッピング処理を説明するためフローチャートである。
【図13】図8に示すマッピング処理を説明するための図であり、マッピングする前の鉄道配線略図の例を示す。
【図14】図8に示すマッピング処理を説明するための図であり、処理途中の鉄道配線略図の例を示す。
【図15】図8に示すマッピング処理を説明するための図であり、マッピングした後の鉄道配線略図の例を示す。
【符号の説明】
【0089】
100 図面作製装置
11 CPU
12、110 制御部
13 入力装置
14 出力装置
16 I/O
120 記憶部
121 地図データベース
122 キロ程データベース
123 路線データベース
124 施設データベース
130 入力制御部
140 出力制御部
150 プログラム格納部
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面作製装置、作図方法およびプログラム装置に関し、特に、実測データに基づいて略図を作製する図面作製装置、作図方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道配線略図(以下、単に略図と称する)の作製は手作業であった。特に、分岐駅やターミナル駅等では、信号機、分岐器、プラットホームなどの設置個所がその駅の規模に応じて増大する。このため、略図を作製するためにかかる工数が駅の規模に応じて増大し問題となっていた。また、略図を作製するための作製基準が図によってまちまちであったため、駅の構内配線が変更された場合などの際に、略図の更新が容易に行えず、再利用も困難であった。このため、一定の基準の下に、鉄道配線略図を作製するシステムの開発が望まれていた。
【0003】
鉄道配線略図に限らず、デフォルメした地図を作製するためのシステムが提案されている。例えば、特許文献1に開示されている図形デフォルメ方法は、地図上の選択された範囲内にある道路ネットワークをデフォルメして出力する。より詳細には、まず、道路ネットワーク上の各ノード(例えば、交差点)を格子点に移動させ、その後、どのノードも格子点上にない格子を構成する線を削除する。また、所定の大きさに収まらない場合には、ノードを移動させ、削除可能な格子を構成する線を作り出す。それでも、所定の大きさに収まらない場合には、ノードを統合して削除可能な格子を構成する線を作り出す。
【0004】
このデフォルメ方法を本件に適用すると、間引かれる格子線は等間隔ではないため、作製した図が作製者の意図する図と異なるという結果を招きやすい。ノードが統合された場合には、意図した図と異なる度合いがさらに大きくなる。
【特許文献1】特開2000−250403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、トポロジーを維持したまま、デフォルメ感を持たせた略図を作製する図面作製装置、作図方法およびプログラム提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる、図面作製装置は、
地理情報に基づいて略図を作製する図面作製装置であって、
複数の地点のキロ程情報と、前記複数の地点の接続関係を示す情報とを格納する記憶手段と、
前記地理情報と、記憶手段に格納されているキロ程情報とに基づいて各地点の略図上での座標を求める手段と、
所定の基準に従って、前記複数の地点のうち、略図上に掲載する地点を抽出する手段と、
前記抽出する手段で抽出した各地点を、前記座標を求める手段で求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングするマッピング手段と、
前記マッピング手段の処理結果と前記記憶手段に格納されている接続関係とを示す情報とに従って、略図を生成し出力する出力手段と、
を具備することを特徴とする。
【0007】
上記図面作製装置において、
前記記憶手段は、さらに、略図を構成する線路の種別を示す情報と、該種別に対応する出力形式を指定する情報とを格納してもよい。
この場合、前記出力手段は、前記線路の種別を示す情報と、前記該種別に対応する出力形式を指定する情報とに基づいて、本線とそれ以外の線路とを異なる態様で出力することができる。
【0008】
上記図面作製装置において、
前記所定の基準は、前記地点に接続する2つの線分の傾きの差が所定の範囲外であるか否かという条件を含む。もしくは、トポロジー的に隣接する2地点間の距離が閾値以上であるか否かという条件を含む。
【0009】
上記図面作製装置において、
前記記憶手段は、さらに、鉄道施設の外形を示す施設情報を格納してもよい。
この場合、前記座標を求める手段は、前記地理情報と、記憶手段に格納されているキロ程情報と、前記施設情報とに基づいて、略図上での座標を求め、
前記マッピング手段は、求めた座標が線路上に設定された地点に対応するものか否かを判別する第1の判別手段を備え、線路上に設定された地点に対応する座標は、格子点にマッピングし、線路上に設定された地点に対応しない座標は、格子点に関係なくマッピングする。
【0010】
上記図面作製装置において、
前記マッピング手段は、鉄道施設を示す図形と線路を示す図形とが交差するか否かを判別する第2の判別手段を備えることが望ましい。
この場合、マッピング手段は、
前記第2の判別手段が鉄道施設を示す図形と線路を示す図形とが交差すると判別した場合には、格子の前記所定の間隔を狭くして、マッピングし直す。
【0011】
本発明の第2の観点にかかる作図方法は、
地理情報と、複数の地点のキロ程情報と、前記複数の地点の接続関係を示した情報とを格納する記憶手段を備えた情報処理装置が、
前記記憶手段に格納されている地理情報とキロ程情報とに基づいて各地点の略図上の座標を求めるステップと、
所定の基準に従って、前記複数の地点のうち、略図上に掲載する地点を抽出するステップと、
前記抽出するステップで抽出した各地点を、前記座標を求めるステップにおいて求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングするマッピングステップと、
前記マッピングステップの処理結果と、前記記憶手段に格納されている接続関係を示した情報とに従って、略図を生成し出力する出力ステップと、
を備える。
【0012】
さらに、本発明の第3の観点にかかるプログラムは、
地理情報と、複数の地点のキロ程情報と、前記複数の地点の接続関係を示した情報とを格納する記憶手段を備えたコンピュータを、
記憶手段に格納されている前記地理情報とキロ程情報とに基づいて各地点の略図上の座標を求め、
所定の基準に従って、前記複数の地点のうち、略図上に掲載する地点を抽出し、
抽出した各地点を、求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングし、
マッピングした結果と記憶手段に格納されている接続関係を示した情報とに従って、略図を生成し出力する
図面作製装置として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、トポロジーを維持したまま、デフォルメ感を持たせた略図を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる図面作製装置とその動作とを説明する。なお、以下、単に「距離」と書いた場合はユークリッド距離を意味するものとする。また、理解を容易にするため、本発明の実施の形態にかかる図面作製装置では鉄道線路網および鉄道施設を平面上の2次元データとして取り扱い、高低差は取り扱わない。
【0015】
この実施の形態にかかる図面作製装置は、鉄道線路(以下、単に線路と称する)および鉄道施設をデフォルメした地図(鉄道配線略図)を作製し出力する。
【0016】
分岐点以外に採用される線路上の地点としては、どのような地点でもよいが、例として、曲線部分と直線部分との境界点、閉塞区間の境界点、饋電(きでん)区間の境界点、駅中心点、等を挙げることができる。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態にかかる図面作製装置100は、CPU(Central Processing Unit)11と、記憶部12と、I/O16とにより構成されている。記憶部12およびI/O16は、内部バスを介してCPU11に接続されている。CPU11は、記憶部12に格納されている動作プログラム等を読み出して、実行することにより、図2に示すような機能構成をとる。I/O16には、入力装置13と出力装置14とが接続される。
【0018】
図2に示すように、本実施の形態にかかる図面作製装置100は、機能的に、制御部110と、記憶部120と、入力制御部130と、出力制御部140と、プログラム格納部150とを備える。そして、入力制御部130に入力装置13が、出力制御部140に出力装置14がそれぞれ接続されている。
【0019】
制御部110は、例えば、中央演算処理装置(CPU、Central Processing Unit)やワークエリアとなる記憶装置(RAM(Random Access Memory)等)などを備える。制御部110は、プログラム格納部150に格納されている動作プログラムを読み出して実行することにより、制御部110は図面作製装置100の各部を制御しつつ、後述する略図作製処理などを実行する。
【0020】
記憶部120は、ハードディスク装置などの記憶装置から構成され、鉄道配線略図を作製するための基礎データなどを格納する。図3は、記憶部120に格納されるデータを説明するための図である。記憶部120は、地図データベース(DB)121と、キロ程データベース(DB)122と、路線データベース(DB)123と、施設データベース(DB)124と、線種データベース(DB)125とを備える。また、地図DB121と、キロ程DB122と、路線DB123と、施設DB124とに格納されるそれぞれのデータは線区ごとに対応付けられている。さらに、キロ程DB122と、路線DB123と、施設DB124と、線種DB125とに格納されるそれぞれのデータは、鉄道配線略図作製前に、あらかじめ作成されインストールされている。
【0021】
地図DB121は、地理情報システム(Geographic Information System、GIS)等から取得した、地理的情報を数値化したデータである地図データ(いわゆる数値地図)や作製した鉄道配線略図などを格納する。
【0022】
キロ程DB122は、線路上に設定されているすべての地点に関し、起点からのキロ数や、その地点の測地系における座標などを示した情報である「地点情報」を格納する。図4に、キロ程DB122に格納される「地点情報」の例を示す。図示するように、キロ程DB122は、「地点情報」をテーブルの形式で格納し、「地点情報」は、「地点ID」、「路線名情報」、「キロ程情報」、「測地系座標情報」等を含む。
【0023】
「地点ID」は、各地点を識別する識別子である。「路線名情報」は、その地点が属している鉄道路線を識別するための情報である。「キロ程情報」は、その地点が「路線名情報」で特定される路線の起点からのキロ数を示す情報である。「測地系座標情報」は、その地点の測地系での所定の基準点からの座標を格納する。なお、線路上の地点は、軌道の中心線部分を採用する。
【0024】
路線DB123は、鉄道配線略図を作製しようとする線区に含まれるすべての軌道に関し、その軌道の種別(例えば、本線、副本線、側線の別や、分岐点か否かの別)、その軌道に対して設定されている地点などの「線路情報」を格納する。図5は、路線DB123に格納される「線路情報」の例を示したものである。図示するように、路線DB123は「線路情報」をテーブルの形式で格納し、「線路情報」は「線路ID」、「路線名情報」、「種別情報」、「地点情報」等を含む。
【0025】
「線路ID」は、各軌道を識別する識別子である。「路線名情報」は、この軌道が属する路線を識別するための情報である。「種別情報」は、この軌道が線区上でいかなる地位を占めているかを示すための情報であり、例えば、本線・副本線などの別、ならびに上り、下りの別などを含む。「地点情報」は、この線路上に設定された地点を示す情報であり、例えば、上記「地点ID」を並べたものを含む。なお、地点IDの並べ方は特に制限されるものではないが、起点に近い側から並べられる。
【0026】
施設DB124は、鉄道配線略図を作製しようとする線区と関連のある施設に関する「施設情報」を格納する。施設DB124に格納される「施設情報」の例を図6に示す。図示するように、施設DB124は「施設情報」をテーブルの形式で格納し、「施設情報」は「施設ID」、「施設種別情報」、「測地系座標情報」等を含む。
【0027】
「施設ID」は、各施設を識別する識別子である。「施設種別情報」は、施設IDにより特定される鉄道施設の種別(例えば、プラットホーム)を識別するための情報である。「測地系座標情報」とは、当該施設の外形を特徴付ける各地点の測地系における座標を示す情報である。なお、座標の並べ方は特に制限されるものではないが、測地系座標情報に格納される各地点の座標は時計回りの順で格納される。
【0028】
線種DB125は、鉄道配線略図に出力する線の形態を「種別情報」ごとに規定する「線種設定情報」である。図7は、線種DB125に格納される線種設定情報の例を示したものである。図示するように、線種DB125は線種設定情報をテーブルの形式で格納し、線種設定情報は「種別情報」、「太さ情報」、「点線間隔情報」などを含む。
【0029】
「太さ情報」は、出力される線の太さの単位を示す情報である。「点線間隔情報」は、出力される点線の間隔を示す情報である。なお、「none」と記されている種別では、出力される線が実線であることを意味する。
【0030】
再び図2に戻り、入力制御部130は、例えば、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置13を接続し、入力装置13から入力された制御部110への指示などを受け付けて制御部110に伝達する。
【0031】
出力制御部140は、例えば、ディスプレイ、プロッタなどの出力装置14を接続し、制御部110の処理結果などを必要に応じて出力装置14に出力する。
【0032】
プログラム格納部150は、ROM(Read Only Memory)等の記憶装置から構成され、制御部110が実行する動作プログラムを格納する。
【0033】
以下、本実施の形態にかかる図面作製装置100の動作について、図8乃至図15を参照して説明する。なお、本実施の形態では、地図の基準点を上り本線上の起点に相当する地点に設定する。ここで、上りとは起点へ向かう方向とする。
【0034】
図8は、本実施の形態にかかる略図作製処理を説明するためのフローチャートである。
まず、制御部110は、出力制御部140を介して、出力装置(ディスプレイ)14に、図9に示すような範囲指定画面を表示させる。図示するように、範囲指定画面は、ファイル選択を行うための、ファイル選択エリアや、作製する範囲を指定するために数値を入力するエリアなどが設けられている。作製者は、鉄道配線略図を生成したい線区をファイル名を用いて選択する。また、作製を開始する地点を起点からのキロ数で指定する。
【0035】
なお、図9に示した範囲指定画面において、本発明の説明に直接関係しない部分は、説明の便宜上、簡略化あるいは省略されている。しかし、この範囲指定画面が図面作製装置100に通常用いられるコンピュータが備えるGUI(Graphical User Interface)を適宜有することは言うまでもない。
【0036】
作製が範囲指定画面上に配置されている「OK」ボタンをクリックすると、入力された内容が入力制御部130を介して、入力装置13から制御部110に送信される。すると、制御部110は、略図作製処理を開始し、作図範囲の指定を受け付ける(ステップS101)。制御部110は、指定されたファイル名と関連づけられているデータを各DBから読み出す(ステップS102)。そして、指定された起点からのキロ数から所定の処理区間内にある、線路および鉄道施設に関するデータをキロ程DB122と、路線DB123と、施設DB124とから抽出する。
【0037】
ステップS103において、制御部110は、抽出した各地点の現実の座標(以下、測地系座標と称する)を、鉄道配線略図上の座標(以下、略図系座標と称する)に変換する。以下、キロ程上にない各地点の座標変換方法について、図10を参照してより詳細に説明する。
【0038】
以下、ステップS301からS307までをキロ程上にない各地点に対して、実行する。なお、図10の説明中、キロ程上にない地点をP、キロ程上の地点をQx(+、−、なしのいずれか)とする。
【0039】
まず、制御部110は、ある地点Pに対し、キロ程上の最も近い地点Qを判別する(ステップS301)。すると、キロ程上に、地点Qの前後の地点Q−と地点Q+とが定まる。
【0040】
次に、測地系上で、地点Pから、地点Q、Q−を通る直線および地点Q、Q+を通る直線へ垂線を下ろし、その交点を求める(ステップS302)。ここで交点は高々2つである。
【0041】
さらに、制御部110は、ステップS302で求めた高々2つの交点のうち、地点Q、Q−を通る線分および地点Q、Q+を通る線分上にある交点の数を判別する(ステップS303)。
【0042】
交点が2つともQを通る線分上にあった場合(ステップS303:2つ)、制御部110は、さらに、測地系において、地点Pと2つの交点との距離をそれぞれ算出し、距離が短い方を判別し(ステップS304)、距離が短い方の交点を地点Pと最も近いキロ程上の地点と判別する。処理はステップS307に移る。
【0043】
交点のうち1つがQを通る線分上にあった場合(ステップS303:1つ)、制御部110は、線分上にある交点を地点Pと最も近いキロ程上の地点と判別する(ステップS305)。処理はステップS307に移る。
【0044】
また、交点のいずれもQを通る線分上になかった場合(ステップS303:0)、制御部110は、それらの交点の代わりに、地点Qを地点Pと最も近いキロ程上の地点と判別する(ステップS306)。処理はステップS307に移る。
【0045】
ステップS307において、制御部110は、ステップS304、S305、S306のうちのいずれかで求められた交点(地点)のキロ程を地点Pの略図系でのX軸の座標とし、地点Pから交点までの測地系での距離を略図系でのY軸の座標と決定する。
【0046】
交点が地点Qとみなされた場合(ステップS303:0)、地点PのX座標は、地点Qのキロ程に等しい。それ以外の場合は、以下のようにして求まる。すなわち、ステップS304、S305、S306のいずれかで求められた交点Pの測地系での座標を(X、Y)、交点Pを通る線分の2つの端点のうち、キロ程の小さい方の端点の測地系座標を(A、B)、キロ程の大きい方の測地系座標を(C、D)、(A、B)に対応する地点のキロ程をU1、(C、D)に対応する地点のキロ程をU2としたとき、
(数1)
Z=[√{(X−A)×(X−A)+(Y−B)×(Y−B)}×(U2−U1)]/√{(C−A)×(C−A)+(D−B)×(D−B)}+U
なる式で求まった値Zが、略図系における地点PのX軸の座標と判別される。
【0047】
ステップS308では、路線DB123あるいは施設DB124に、測地系座標情報が格納されている地点について、上記ステップS301からS307までの処理を実行したか否かを判別する。処理対象となるすべての地点においてステップS301からS307までの処理を実行したと判別すれば(ステップS308:YES)、制御部110は座標変換処理(ステップS103)を終了する。ある地点においてステップS301からS307までの処理を実行していないと判別すれば(ステップS308:NO)、処理をステップS301に戻し、座標変換処理を続行する。
【0048】
図8に戻って、ステップS104では、制御部110は、略図系上に変換された各地点のうち、余分な地点を間引く。以下、ステップS104の処理(以下、間引き処理と称する)について、図11を参照してより詳細に説明する。
【0049】
以下、ステップS401からS407までを、鉄道配線略図に表示される可能性のあるすべて地点に対して、キロ程の小さな順に実行する。
【0050】
まず、ステップS401は、選んだ地点Rが分岐点であるか否かを判別する。分岐点であると判別すれば、制御部110は、以下のステップS402からS407までを分岐先ごとに実行する。ただし、キロ程上戻るような線については、ステップS402からS407までを実行しない。
【0051】
次に、制御部110は、地点Rとつながっている2地点R1、R2の略図系での座標を取得する(ステップS402)。
【0052】
もし、鉄道配線略図の作製範囲内に地点R1とつながっている地点が地点Rしか無く、地点R2の座標の取得に失敗した場合もしくは、地点R1が分岐点のため地点R2が定まらない場合(ステップS403:NO)、制御部110は地点R1を間引きできないと判別し、処理をステップS408へ移す。
【0053】
ステップS402において正常に座標を取得したと判別すれば(ステップS403:YES)、次に、制御部110は、略図系における線分RR1の長さおよび線分R1R2の長さ(距離)を算出し、算出した長さのいずれかが所定の閾値(例えば、50m)以上であるか否かを判別する(ステップS404)。
【0054】
算出した長さのいずれもが所定の閾値未満である場合(ステップS404:NO)、制御部110は、さらに線分RR1およびRR2の傾きの差を略図系で算出する(ステップS405)。
【0055】
ここで、地点R、R1、R2の略図系での座標をそれぞれ(A、B)、(C、D)、(E、F)とおくと、2つの線分の傾きの差G(単位ラジアン)は、
(数2)
G=arctan{(C−A)/(D−B)}×π/180−arctan{(E−A)}/(F−B)}×π/180
で算出できる。なお、数2の分母が0となった場合、制御部110は当該逆正接関数の値を90度または−90度と判別する。この場合、正負の符号は分子の符号と同一とする。
【0056】
次に、制御部110は、算出した傾きの差Gが所定の範囲内(例えば、−π/12ラジアンからπ/12ラジアンの間)であるか否かを判別する(ステップS406)。
【0057】
傾きの差Gが所定の範囲外であると判別した場合(ステップS406:NO)、制御部110は、その地点を間引けないと判別し、処理をステップS408に移す。
【0058】
傾きの差Gが所定の範囲内であると判別した場合(ステップS406:YES)、制御部は、その地点を間引けると判別し、地点R1を鉄道配線略図上から取り除く(ステップS407)。
【0059】
ステップS408では、路線DB123あるいは施設DB124に測地系座標情報が格納されている各地点について、上記ステップS401からS407までの処理を実行したか否かを判別する。処理対象となっているすべての地点においてステップS401からS407までの処理を実行したと判別すれば(ステップS408:YES)、制御部110は間引き処理(ステップS104)を終了する。ある地点においてステップS401からS407までの処理を実行していないと判別すれば(ステップS408:NO)、処理をステップS401に戻し、間引き処理を続行する。
【0060】
再び図8に戻り、制御部110は、残った各地点のうち線路上に設定された地点を格子状に設定されたグリッド上にマッピングし、他の地点はグリッドにこだわらずにマッピングする(ステップS105)。なお、経験上、この処理において最初に設定される格子間隔は、最低軌道中心間隔程度であることが望ましい。この程度の間隔を設定していれば、鉄道配線略図上で線路が重なるという事態が発生しない。より詳細な処理について、図12を参照して説明する。
【0061】
以下、ステップS501からS503までを、鉄道配線略図に表示されるすべての地点に対して実行する。なお、ステップS501から503を実行する順序は特に限定されるものではないが、路線DB123、施設DB124に格納されている順で実行する。同じDBに格納されている場合は、キロ程の小さな順に実行する。
【0062】
まず、制御部110は、その地点Pが、路線DB123あるいは施設DB124のいずれに格納されているかに基づいて、線路上に設定された地点であるか否かを判別する(ステップS501)。
【0063】
地点Pが線路上に設定されている地点であると判別した場合(ステップS501:YES)、制御部110は、その地点Pを距離的に最も近い格子点にマッピングする(ステップS502)。例えば、図13に示した例において、○で囲んだ地点は、最も近い格子点(図14:X2とY1との交点)にマッピングされる。処理はステップS504に移る。
【0064】
図12に戻って、地点Pが線路上に設定されていない地点であると判別した場合(ステップS501:NO)、制御部110は、その地点Pを座標値を変えることなくマッピングする(ステップS503)。処理はステップS504に移る。
【0065】
ステップS504では、キロ程DB122あるいは施設DB124に測地系座標情報が格納されているすべての地点について、上記ステップS501からS503までの処理を実行したか否かを判別する。処理対象となっているすべての地点においてステップS501からS503までの処理を実行したと判別すれば(ステップS504:YES)、制御部110は処理をステップS505に移す。ある地点においてステップS501からS503までの処理を実行していないと判別すれば(ステップS504:NO)、処理をステップS501に戻し、マッピング処理を続行する。
【0066】
ステップS505で、制御部110は、路線DB123および施設DB124に格納されている情報に基づいて、(仮想的に)線を引き、線路と鉄道施設の外形を表す図形とが交差するか否かを判別する。
【0067】
ステップS501からS504までにおいて、線路上に設定された地点が線路上に設定された他の地点と同一の場所にマッピングされたり、鉄道施設の外形を表す線分が線路と交差してしまったりするような場合には(ステップS505:YES)、設定した格子間隔を狭めて(ステップS506)、ステップS501からS504までを最初からやり直す。
【0068】
例えば、図14に示した図では、プラットホームと線路とが交差している。制御部110は、このため格子間隔を狭めて、ステップS501からS504までをやり直す。格子間隔の狭め方は特に制限されないが、以下、格子間隔を半分にした場合を前提として説明する。
【0069】
再び図12に戻って、線路と鉄道施設の外形を表す図形とが交差しないと判別した場合(ステップS505:NO)、マッピング処理を終了する。
【0070】
図8に戻る。最後に、制御部110は、ステップS101からS105までで得られた鉄道配線略図を例えばSVG(Scalable Vector Graphics)形式(ベクタフォーマットの1形式)で地図DB121に出力し(ステップS106)、略図作製処理を終了する。より詳細に説明すると、制御部110は、マッピング結果と、路線DB123に格納されている「線路情報」と、線種DB125に格納されている「線種設定情報」とに従って、線路および鉄道施設の外形を示す線をSVG形式で出力する。
【0071】
図15は、ステップS106で出力される鉄道配線略図の表示例である。図示するように、1面3線の駅で、うち1線は行き止まりとなっている。図14のX0とY0の交点が、図9に示した範囲指定画面で指定された開始位置に対応する。また、図13において、○で囲んだ地点は、図15では同じく○で囲んだ格子点の場所にマッピングされる。
【0072】
本線と他の線とは太さが異なる線で示されている。また、プラットホームの外形を示す線は線路よりもさらに細い線となっている。これは、制御部110が、路線DB123に格納されている「線路情報」に基づいて、略図系での各地点が本線に属するか否かを判別し、それにより、本線を判別する。そして、線種DB125に格納されている「線種設定情報」に従って、本線と判別した線分を他の線より太く表示できるように、鉄道配線略図を作製するためのデータを出力するからである。同様に、施設DB124に格納されている「施設情報」に基づいて、制御部110は、略図系での各地点が施設の外形を構成する地点であるか否かを判別し、2つの地点を結ぶ線分が施設の外形を構成する線分であると判別すれば、線路とは異なる態様で表示できるように、鉄道配線略図を作製するためのデータを出力するからである。
【0073】
以上、説明したように、本発明の実施の形態にかかる図面作製装置100によれば、キロ程、分岐位置、鉄道施設の場所などの情報に基づいて、適度なデフォルメ感を持たせた鉄道配線略図を作製することができる。
【0074】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形および応用が可能である。
例えば、上記実施例では距離としてユークリッド距離を採用した場合を説明したが、マンハッタン距離などでもよい。
【0075】
また、上記実施の形態では、数値地図を利用して鉄道配線略図を作製したが、数値地図の代わりに測量データなどの計測データを利用するようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態では、鉄道配線略図上で、上り本線が直線で表現されるようになっていたが、下り本線など他の線路が直線で表現されるように構成してもよい。
【0077】
また、図面作製装置100は、作製者の指示に従って、縦横の比率を変化させて鉄道配線略図を出力してもよい。この場合、指示された縦横の比率に従って、鉄道配線略図上にプロットされる地点のY座標が変化する。
【0078】
また、ステップS104の間引き処理を、ステップS102とS103との間で行ってもよいし、ステップS102とS103との間およびステップS104の2段階で行ってもよい。ステップS102とS103との間で間引き処理を行う場合は、測地系で計算を行う。
【0079】
また、上記ステップS404において、長さ(距離)算出する線分はRR1とR1R2とで、ステップS405では、傾きの差を算出する線分はRR1とRR2とであった。これを、ステップS404では、線分RR1とRR2とに、ステップS405では、線分RR1とR1R2とに変更することができる。
【0080】
また、上記実施の形態では、高低差を取り扱わないこととしていたが、高低差を取り扱うように構成することができる。この場合、路線DB123に立体交差する線路の上下関係を設定する。そして、制御部110は、鉄道配線略図を出力する際に、線路の上下関係を示す情報に従って、鉄橋などを示す図形を出力する。同様にして、地下線やトンネルを取り扱うように構成することができる。
【0081】
また、上記実施の形態の図面作製装置100では、本線となるべき線を他の線より太く出力していたが、点線、色付け、あるいはこれらを組み合わせたものにより出力してもよい。なお、線種DB125に格納される線種設定情報を不変の情報とするかしないかについては任意である。
【0082】
また、上記実施の形態おいて、図面作製システム100は、SVG形式で鉄道配線略図を出力したが、他の既知のフォーマットで出力してもよい。また、地図DB121に出力する代わりに、出力装置(プロッタ)14に出力してもよい。
【0083】
また、上記図面作製システム100では、最終結果のみをファイルとして出力しているが、利用者の指示を受け付け、図8の各ステップ終了時に中間ファイルを出力するように構成することができる。そして、図面作製システム100を、中間ファイルを受け付け、図8に示した残りのステップを実行するように構成することもできる。
【0084】
また、上記図面作製システムは、道路の略図を作製する場合に適用することができる。この場合、鉄道配線略図においてプラットホームに対応するものは、道路の略図では、建物などである。また、鉄道配線略図において本線に対応するものは、道路の略図では、指定された国道などである。
【0085】
なお、本発明の実施の形態にかかる図面作製装置100を実現するための情報処理装置は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した媒体(CD−ROMなど)から当該プログラムを記憶部150にインストールすることにより、上述の処理を実行する図面作製装置100を構成することができる。
【0086】
また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協動により実現する場合などには、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
【0087】
また、搬送波にプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS、Bulletin Board System)に該プログラムを掲示し、ネットワークを介して該プログラムを配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、オペレーティングシステムの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態にかかる図面作製装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる図面作製装置の機能的構成を示す図である。
【図3】図2に示す記憶部に格納されるデータを説明するための図である。
【図4】図3に示すキロ程データベースに格納される地点情報の例を示す図である。
【図5】図3に示す路線データベースに格納される線路情報の例を示す図である。
【図6】図3に示す施設データベースに格納される施設情報の例を示す図である。
【図7】図3に示す線種データベースに格納される線種設定情報の例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる図面作製装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8に示す作製指示範囲の受け付けのステップにおいて、出力装置に表示される範囲指定画面の表示例を示す図である。
【図10】図8に示す座標変換処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】図8に示す間引き処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】図8に示すマッピング処理を説明するためフローチャートである。
【図13】図8に示すマッピング処理を説明するための図であり、マッピングする前の鉄道配線略図の例を示す。
【図14】図8に示すマッピング処理を説明するための図であり、処理途中の鉄道配線略図の例を示す。
【図15】図8に示すマッピング処理を説明するための図であり、マッピングした後の鉄道配線略図の例を示す。
【符号の説明】
【0089】
100 図面作製装置
11 CPU
12、110 制御部
13 入力装置
14 出力装置
16 I/O
120 記憶部
121 地図データベース
122 キロ程データベース
123 路線データベース
124 施設データベース
130 入力制御部
140 出力制御部
150 プログラム格納部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地理情報に基づいて略図を作製する図面作製装置であって、
複数の地点のキロ程情報と、前記複数の地点の接続関係を示す情報とを格納する記憶手段と、
前記地理情報と、記憶手段に格納されているキロ程情報とに基づいて各地点の略図上での座標を求める手段と、
所定の基準に従って、前記複数の地点のうち、略図上に掲載する地点を抽出する手段と、
前記抽出する手段で抽出した各地点を、前記座標を求める手段で求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングするマッピング手段と、
前記マッピング手段の処理結果と前記記憶手段に格納されている接続関係を示した情報とに従って、略図を生成し出力する出力手段と、
を具備することを特徴とする図面作製装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、さらに、略図を構成する線路の種別を示す情報と、該種別に対応する出力形式を指定する情報とを格納し、
前記出力手段は、前記線路の種別を示す情報と前記該種別に対応する出力形式を指定する情報とに基づいて、本線とそれ以外の線路とを異なる態様で出力すること、
を特徴とする請求項1に記載の図面作製装置。
【請求項3】
前記所定の基準は、前記地点に接続する2つの線分の傾きの差が所定の範囲外であるか否かという条件を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の図面作製装置。
【請求項4】
前記所定の基準は、トポロジー的に隣接する2地点間の距離が閾値以上であるか否かという条件を含むことを特徴とする請求項1、2または3に記載の図面作製装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、さらに、鉄道施設の外形を示す施設情報を格納し、
前記座標を求める手段は、前記地理情報と、記憶手段に格納されているキロ程情報と、前記施設情報とに基づいて、略図上での座標を求め、
前記マッピング手段は、求めた座標が線路上に設定された地点に対応するものか否かを判別する第1の判別手段を備え、線路上に設定された地点に対応する座標は、格子点にマッピングし、線路上に設定された地点に対応しない座標は、格子点に関係なくマッピングする、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の図面作製装置。
【請求項6】
前記マッピング手段は、鉄道施設を示す図形と線路を示す図形とが交差するか否かを判別する第2の判別手段を備え、
前記第2の判別手段が鉄道施設を示す図形と線路を示す図形とが交差すると判別した場合には、格子の前記所定の間隔を狭くして、マッピングし直す、
ことを特徴とする請求項5に記載の図面作製装置。
【請求項7】
地理情報と、複数の地点のキロ程情報と、前記複数の地点の接続関係を示した情報とを格納する記憶手段を備えた情報処理装置が、
前記記憶手段に格納されている地理情報とキロ程情報とに基づいて各地点の略図上の座標を求めるステップと、
所定の基準に従って、前記複数の地点のうち、略図上に掲載する地点を抽出するステップと、
前記抽出するステップで抽出した各地点を、前記座標を求めるステップにおいて求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングするマッピングステップと、
前記マッピングステップの処理結果と、前記記憶手段に格納されている接続関係を示した情報とに従って、略図を生成し出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする作図方法。
【請求項8】
地理情報と、複数の地点のキロ程情報と、前記複数の地点の接続関係を示した情報とを格納する記憶手段を備えたコンピュータを、
記憶手段に格納されている前記地理情報とキロ程情報とに基づいて各地点の略図上での座標を求め、
所定の基準に従って、前記複数の地点のうち、略図上に掲載する地点を抽出し、
抽出した各地点を、求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングし、
マッピングした結果と記憶手段に格納されている接続関係を示した情報とに従って、略図を生成し出力する、
図面作製装置として機能させるプログラム。
【請求項1】
地理情報に基づいて略図を作製する図面作製装置であって、
複数の地点のキロ程情報と、前記複数の地点の接続関係を示す情報とを格納する記憶手段と、
前記地理情報と、記憶手段に格納されているキロ程情報とに基づいて各地点の略図上での座標を求める手段と、
所定の基準に従って、前記複数の地点のうち、略図上に掲載する地点を抽出する手段と、
前記抽出する手段で抽出した各地点を、前記座標を求める手段で求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングするマッピング手段と、
前記マッピング手段の処理結果と前記記憶手段に格納されている接続関係を示した情報とに従って、略図を生成し出力する出力手段と、
を具備することを特徴とする図面作製装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、さらに、略図を構成する線路の種別を示す情報と、該種別に対応する出力形式を指定する情報とを格納し、
前記出力手段は、前記線路の種別を示す情報と前記該種別に対応する出力形式を指定する情報とに基づいて、本線とそれ以外の線路とを異なる態様で出力すること、
を特徴とする請求項1に記載の図面作製装置。
【請求項3】
前記所定の基準は、前記地点に接続する2つの線分の傾きの差が所定の範囲外であるか否かという条件を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の図面作製装置。
【請求項4】
前記所定の基準は、トポロジー的に隣接する2地点間の距離が閾値以上であるか否かという条件を含むことを特徴とする請求項1、2または3に記載の図面作製装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、さらに、鉄道施設の外形を示す施設情報を格納し、
前記座標を求める手段は、前記地理情報と、記憶手段に格納されているキロ程情報と、前記施設情報とに基づいて、略図上での座標を求め、
前記マッピング手段は、求めた座標が線路上に設定された地点に対応するものか否かを判別する第1の判別手段を備え、線路上に設定された地点に対応する座標は、格子点にマッピングし、線路上に設定された地点に対応しない座標は、格子点に関係なくマッピングする、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の図面作製装置。
【請求項6】
前記マッピング手段は、鉄道施設を示す図形と線路を示す図形とが交差するか否かを判別する第2の判別手段を備え、
前記第2の判別手段が鉄道施設を示す図形と線路を示す図形とが交差すると判別した場合には、格子の前記所定の間隔を狭くして、マッピングし直す、
ことを特徴とする請求項5に記載の図面作製装置。
【請求項7】
地理情報と、複数の地点のキロ程情報と、前記複数の地点の接続関係を示した情報とを格納する記憶手段を備えた情報処理装置が、
前記記憶手段に格納されている地理情報とキロ程情報とに基づいて各地点の略図上の座標を求めるステップと、
所定の基準に従って、前記複数の地点のうち、略図上に掲載する地点を抽出するステップと、
前記抽出するステップで抽出した各地点を、前記座標を求めるステップにおいて求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングするマッピングステップと、
前記マッピングステップの処理結果と、前記記憶手段に格納されている接続関係を示した情報とに従って、略図を生成し出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする作図方法。
【請求項8】
地理情報と、複数の地点のキロ程情報と、前記複数の地点の接続関係を示した情報とを格納する記憶手段を備えたコンピュータを、
記憶手段に格納されている前記地理情報とキロ程情報とに基づいて各地点の略図上での座標を求め、
所定の基準に従って、前記複数の地点のうち、略図上に掲載する地点を抽出し、
抽出した各地点を、求めた座標に従って、所定の間隔で設定された格子上の格子点にマッピングし、
マッピングした結果と記憶手段に格納されている接続関係を示した情報とに従って、略図を生成し出力する、
図面作製装置として機能させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−18118(P2006−18118A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197273(P2004−197273)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(592145268)ジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社 (53)
【出願人】(591280197)株式会社構造計画研究所 (59)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(592145268)ジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社 (53)
【出願人】(591280197)株式会社構造計画研究所 (59)
【Fターム(参考)】
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