説明

固体又は半固体担体中にペプチド薬剤を含む自然に分散可能なプレコンセントレイト

本発明は、固体又は半固体担体にペプチド薬剤を含む薬学的組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体又は半固体担体中にペプチド薬剤を含む薬学的組成物、例えばマイクロエマルジョンプレコンセントレイトに関する。
【背景技術】
【0002】
経口経路は、薬剤投与のための最も広く使用されている経路であり、患者に、特に慢性治療法に対して、一般に非常によく受け入れられている。しかしながら、治療用ペプチド又はタンパク質の投与は、胃腸(GI)管中での酵素による分解、薬物排出ポンプ、腸粘膜からの不十分で変動する吸収のような幾つかの障壁並びに肝臓中での初回通過代謝のために好ましい経口投与よりもむしろ非経口経路に限られることが多い。ヒトインスリンは、胃(ペプシン)、腸管腔(キモトリプシン、トリプシン、エラスターゼ、カルボキシペプチダーゼ等)及びGI管の粘膜表面(アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、エンテロペプチダーゼ、ジペプチジルペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ等)に見出される様々な消化酵素によって分解される。
【0003】
これは、多くのペプチド及び多くのタンパク質が臨床的に効能があることが証明されており、受容者に投与が容易で許容可能であればより広く使用されるであろうから不幸なことである。
(真性)糖尿病は、グルコース利用能が部分的に又は完全に失われ、例えばインスリンで治療できる代謝疾患である。
インスリンデリバリーのようなペプチド及びタンパク質デリバリーのための一般的アプローチは、侵襲的で不便な非経口投与である。従って、タンパク質ベースの医薬の経口デリバリーのような非侵襲的経路が益々研究されている。経口タンパク質/ペプチドデリバリーのための最近の製剤設計は、プロテアーゼ阻害剤、透過促進剤、ポリマーベースのデリバリーシステム及びインスリンコンジュゲートとの同時製剤を含む。
【0004】
哺乳動物、例えばヒトへの薬剤の経口投与のために特に有用なビヒクルはマイクロエマルジョンプレコンセントレイトの形態である。マイクロエマルジョンプレコンセントレイトは例えば少なくとも一種の油又は他の親油性成分、少なくとも一種の界面活性剤、任意の親水性成分、及び必要に応じて他の薬剤又は賦形剤を含む。系の成分が水性媒体、例えば水に接触すると、少しの撹拌又は撹拌なしで例えば水中油マイクロエマルジョンのようなマイクロエマルジョンが自然に形成される。得られるマイクロエマルジョンは、界面活性剤の存在のために一方の液体が他の液体中に細かく分配されている二種の非混和性液体を含む熱力学的に安定な系である。形成されるマイクロエマルジョンは、分散した相が小さい粒径であるため、例えば透明又は半透明、僅かに不透明、乳白色、不透明又は実質的に不透明である。
【0005】
特に興味深いバイオアベイラビリティ特性、改善された安定性及び例えば薬学的に許容可能なカプセル中への充填の容易さのような改善された加工性を有するインスリンのような治療的に活性な水溶性ポリペプチドを含む経口投与に特に適した組成物を、本発明に係る薬学的組成物を使用して得ることができることが意外にも見出された。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、固体又は半固体担体中にペプチド薬剤を含む薬学的組成物、例えばマイクロエマルジョンプレコンセントレイトに関する。該系は、水性媒体、例えば水又は胃腸管の胃液に接触させられるとエマルジョン、例えばマイクロエマルジョンを形成する。
本発明の一態様では、ポリペプチド(a)、ポリペプチドのための少なくとも一種の極性有機溶媒(b)、少なくとも一種の界面活性剤(c)、少なくとも一種の親油性成分(d)、及び場合によっては少なくとも一種の固体親水性成分(e)を含有する固体又は半固体薬学的組成物であって、自然に分散可能な薬学的組成物が提供される。
本発明の更なる態様では、水溶性ポリペプチド(a)、ポリペプチドのための少なくとも一種の極性有機溶媒(b)、少なくとも一種の界面活性剤(c)、少なくとも一種の親油性成分(d)、及び場合によっては少なくとも一種の固体親水性成分(e)を含有する固体又は半固体薬学的組成物であって、自然に分散可能な薬学的組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】インスリンアスパルトを含有する本発明に係る薬学的組成物の経口投与による非糖尿病のイヌにおける血糖値の減少。
【図2】インスリンアナログを含有する本発明に係る薬学的組成物の経口投与による非糖尿病のイヌにおける血糖値の減少。
【図3】インスリンアスパルトを含有する本発明に係る薬学的組成物の経口投与による非糖尿病のラットにおける血糖値の減少。
【図4】インスリンアナログを含有する本発明に係る薬学的組成物の経口投与による非糖尿病のラットにおける血糖値の減少。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、ポリペプチド(a)、ポリペプチドのための少なくとも一種の極性有機溶媒(b)、少なくとも一種の界面活性剤(c)、少なくとも一種の親油性成分(d)、及び場合によっては少なくとも一種の固体親水性成分(e)を含有する固体又は半固体薬学的組成物であって、自然に分散可能である薬学的組成物に関する。
一態様では、本発明は、水溶性ポリペプチド(a)、ポリペプチドのための極性有機溶媒(b)、界面活性剤(c)、親油性成分(d)、及び場合によっては固体親水性成分(e)を含有する固体又は半固体薬学的組成物であって、自然に分散可能である薬学的組成物を提供する。
【0009】
インスリンのような治療的に活性な水溶性ポリペプチドと親水性成分を含む経口投与に特に適した固体又は半固体組成物を、本発明に係る薬学的組成物を使用して得ることができることが意外にも見出された。
本発明に係る組成物はよって意外にも経口的に投与されるペプチドの摂取効率を向上させることが見出された。
また、本発明に係る組成物中のポリペプチドは、遊離のポリペプチド、つまり組成物中に処方されていないポリペプチドに対して改善された安定性を有していることが見出された。
【0010】
本発明は、親油性成分、界面活性剤及び極性有機溶媒及び場合によっては固体親水性成分(e)を含有する担体中に治療的に活性な水溶性ポリペプチドを含む薬学的組成物、つまり自然に分散可能なプレコンセントレイトに関する。存在する固体親水性成分がない態様では、親油性成分及び界面活性剤からなる群から選択される成分の少なくとも一が固体又は半固体である。存在する固体親水性成分(e)がある態様では、親油性成分と界面活性剤の双方が液体であってもよい。一態様では、界面活性剤は固体である。一態様では、固体親水性成分が存在している。
【0011】
ここで使用される場合、「担体」なる用語は、生体膜を越えて又は生体液内で治療的に活性な水溶性ポリペプチドを輸送する薬学的に許容可能なビヒクルを意味する。本発明の担体は、親油性成分、極性有機溶媒及び界面活性剤、及び場合によっては固体親水性成分を含有する。本発明の担体は、水性媒体、例えば水、水を含む流体、又は哺乳動物中のインビボ媒体、例えば胃腸管の胃液に接触させられ、分散せしめられ、又はそれで希釈されるときに、マイクロエマルジョン又はコロイド状構造を自然につくることができる。コロイド状構造は、ドメイン、液滴、ミセル及びナノ粒子を含む固体又は液体粒子であり得る。
【0012】
薬学的組成物が水性媒体に接触させられると、エマルジョン、特にマイクロエマルジョンが自然に形成される。特に、エマルジョン、又はマイクロエマルジョンは、本発明のデリバリーシステムが経口的に消化されると哺乳動物の消化管中で形成される。上述の成分に加えて、自然に分散可能なプレコンセントレイトは、場合によっては他の賦形剤、例えばバッファー、pH調節剤、安定剤及びかかる薬学的用途に対して適切であると当業者が認識する他のアジュバントを含みうる。
【0013】
本発明の一態様では、薬学的組成物は非水性である。ここで使用される「非水性」なる用語は、20%w/w未満の水を含む組成物を意味する。より好ましい実施態様では、本発明に係る組成物は、10%w/w未満の水を含む。より好ましい実施態様では、本発明に係る組成物は、8%w/w未満の水を含み、より好ましい実施態様では5%w/w未満の水、より好ましい実施態様では、3%w/w未満の水、更により好ましい実施態様では2%w/w未満の水を含む。
【0014】
ここで使用される場合、「マイクロエマルジョンプレコンセントレイト」なる用語は、水性媒体、例えば水又は経口投与後に胃腸液中でマイクロエマルジョン、例えば水中油マイクロエマルジョンを自然に形成する組成物を意味する。組成物は、例えば1:5、1:10、1:50、1:100又はそれ以上の希釈で水性媒体中に希釈されるときに自己乳化する。
【0015】
本発明に係る自然に分散可能なプレコンセントレイトは、親油性成分、界面活性剤、及び有機極性成分を含有する。ドラッグデリバリーシステム中において極性成分と界面活性剤は一緒にして担体の組成の95重量%まで、例えば80%を構成しうる。更なる態様では、ドラッグデリバリーシステム中において極性成分と界面活性剤は一緒にして担体の組成の5重量%から90重量%を構成する。また更なる態様では、ドラッグデリバリーシステム中において極性成分と界面活性剤は一緒にして担体の組成の20重量%から50重量%を構成する。
【0016】
自然に分散可能なプレコンセントレイトは固体でも半固体でもよい。ここで使用される場合、「固体」なる用語は、室温(「RT」)で固体状態であり、例えば40℃以上、例えば約65℃までの融点を有する成分又は組成物を意味する。ここで使用される場合、室温(RT)はおよそ20−25℃を意味する。
【0017】
ここで使用される場合、「半固体」なる用語は、例えば室温と約40℃の間の融点を有する室温で液体ではない成分又は組成物に関する。半固体は物質の固体及び液体状態の双方の性質及び/又は属性を有しうる。ここで使用される場合、「固化させる」なる用語は固体又は半固体にすることを意味する。
【0018】
ここで使用される場合、「マイクロエマルジョン」なる用語は、その成分が水性媒体に接触させられるときに自然に又は実質的に自然に形成される透明又は半透明、僅かに不透明、乳白色、不透明又は実質的に不透明なコロイド状分散体を意味する。
マイクロエマルジョンは熱力学的に安定であり、例えば固体又は液体状態(例えば液体脂質粒子又は液滴)の、例えばMALVERN ZETASIZER Nano ZSを使用する標準的な光散乱技術によって測定して、約500nm未満、例えば約400nm未満又は300nm未満、200nm未満、100nm未満で約2−4nmより大きい平均径の均一に分散した粒子又はドメインを含む。マイクロエマルジョン中の固体粒子は、例えば300nmより大きい粒径を有しうる性質が非晶質又は結晶性でありうる。マイクロエマルジョンは、例えば少なくとも15分間、又は4時間又は更には24時間又はそれ以上の間、例えば熱力学的に安定である。ここで使用される「ドメインサイズ」なる用語は、反復散乱単位を意味し、例えば小角X線によって測定することができる。本発明の一態様では、ドメインサイズは400nmより小さく、より好ましくは300nmより小さく、最も好ましくは200nmより小さい。
【0019】
ここで使用される場合、プレコンセントレイトを指すときの「自然に分散可能な」という用語は、例えば短い時間、例えば10秒間、単に手で振揺することによって、本発明の組成物の成分を水性媒体と接触させた場合に水性媒体で希釈されると、マイクロエマルジョン、エマルジョン及び他のコロイド状系のようなコロイド状構造をつくることができる組成物を意味する。一態様では、本発明に係る自然に分散可能な濃縮物はマイクロエマルジョンプレコンセントレイトである。
【0020】
マイクロエマルジョンは自然の形成のために調製の容易さ、熱力学的安定性及び洗練された美観を提供しうる。マイクロエマルジョンは、伝統的な粗いエマルジョンと比較すると、薬剤負荷を増大させ、浸透を向上させ、粒径を減少させ、粒径不均一性を改善し、溶解速度を増加させ、バイオアベイラビリティを増大させ、薬物動態における互いの及び内部の個々の変動を増大させるので、ポリペプチドのデリバリーを改善する。
【0021】
ここで使用される場合、「親油性成分」は、水よりも油とより相溶性がある物質、材料又は成分を意味する。親油性を有する材料は水に不溶性であるか殆ど不溶性であるが、油又は他の非極性溶媒には容易に可溶性である。「親油性成分」なる用語は、一又は複数の親油性物質を含みうる。複数の親油性成分は、自然に分散可能なプレコンセントレイトの親油性相を構成し得、例えば水中油マイクロエマルジョンにおける油性側面を形成する。室温では、自然に分散可能なプレコンセントレイトの親油性成分及び親油性相は、固体、半固体又は液体でありうる。例えば、固体親油性成分は、ペースト、顆粒形態、粉末又はフレークとして存在しうる。一を超える賦形剤が親油性成分を含む場合、親油性成分は、液体、固体、又は双方の混合物でありうる。
【0022】
例えば、親油性成分は、組成物の約5重量%から約85重量%、例えば約10%から約85%、例えば約15%から約60%、例えば約20%から約40%を含む。
【0023】
固体親油性成分、すなわち、室温で固体又は半固体である親油性成分の例は、限定されるものではないが、次のものを含む:
1. モノ−、ジ−及びトリグリセリドの混合物、例えばSasol Germany(Witten,Germany)からWITEPSOL HI5として市販されている水素化ココ−グリセリド(約33.5℃から約37℃の融点(m.p.)];脂肪酸トリグリセリド、例えばC10−C22脂肪酸トリグリセリドの例は、天然及び水素化油、例えば植物油を含む;
2. エステル、例えばGattefosse社(Paramus,NJ)からMONOSTEOL(約33℃から約36℃の融点)として市販されているプロピレングリコール(PG)ステアラート;Gattefosse社からHYDRINE(約44.5℃から約48.5℃の融点)として市販されているジエチレングリコールパルミトステアラート;
3. ポリグリコシル化飽和グリセリド、例えばGattefosse社からLABRAFIL M2130 CSとして市販されている水素化パーム/パーム核油PEG−6エステル(約30.5℃から約38℃の融点)、又はGelucire33/01;
4. 脂肪アルコール、例えばCognis社(Cincinnati,OH)からLANETTE14として市販されているミリスチルアルコール(約39℃の融点);脂肪酸と脂肪アルコールのエステル、例えばパルミチン酸セチル(約50℃の融点);例えば約43℃の融点を有する、Uniqema(New Castle,Delaware)からARLAMOL ISMLの商品名で市販されているイソソルビドモノラウラート;
5. PEG−脂肪アルコールエーテル、例えば約33℃の融点を有するUniqemaからBRlJ 52として市販されているポリオキシエチレン(2)セチルエーテル;
6. ソルビタンエステル、例えばソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノパルミタート又はソルビタンモノステアラート、例えば約43℃から48℃又は約53℃から57℃及び41℃から54℃の融点をそれぞれ有するUniqemからSPAN40又はSPAN60として市販されているもの;
7. グリセリルモノ−C−C14−脂肪酸エステル。これらは、グリセロールを植物油でエステル化した後分子蒸留によって得られる。モノグリセリドは、限定されるものではないが、対称(つまり、β−モノグリセリド)並びに非対称モノグリセリド(α−モノグリセリド)の双方を含む。それらはまた一様のグリセリド(脂肪酸成分が主として単一の脂肪酸から構成される)並びに混合グリセリド(つまり、脂肪酸構成成分が様々な脂肪酸から構成される)を含む。脂肪酸構成成分は、例えばC−C14の鎖長を有する飽和及び不飽和脂肪酸の双方を含みうる。特に適しているものは、例えばグリセリルモノラウラートで、例えばSasol North America(Houston,TX)からIMWITOR312(約56℃−60℃の融点)として市販されているもの;グリセリルモノジココアートで、SasolからIMWITOR928(約33℃−37℃の融点)として市販されているもの;モノグリセリルシトラートで、IMWITOR370(約59から約63℃の融点)として市販されているもの;又はグリセリルモノステアラートで、例えばSasolからIMWITOR900(約56℃−61℃の融点)として市販されているもの;又は自己乳化グリセロールモノステアラートで、例えばSasolからIMWITOR960(約56℃−61℃の融点)として市販されているもの。
【0024】
液体親油性化合物、つまり室温で液体である親油性成分は、限定されるものではないが、次のものを含む:
1. モノ−、ジ−及びトリグリセリドの混合物、例えば中鎖モノ−及びジグリセリド、グリセリルカプリラート/カプラートで、Abitec社(Columbus,OH)からCAPMUL MCMとして市販されているもの;
2. グリセリルモノ−又はジ脂肪酸エステル、例えばC−C18、例えばC−C16、例えばC−C10、例えばCの脂肪酸のもの、又はそのアセチル化誘導体、例えばEastman Chemicals(Kingsport,TN)からMYVACET9−45又は9−08として、又はSasolからIMWITOR308又は312として市販されているもの;
3. プロピレングリコールモノ−又はジ−脂肪酸エステル、例えばC−C20、例えばC−C12の脂肪酸のもの、例えばAbitec社からLAUROGLYCOL90、SEFSOL218、又はCAPRYOL90又はCAPMUL PG−8として市販されているもの;
4. 油、例えばベニバナ油、アーモンド油、ピーナッツ油、パーム油、小麦胚種油、コーン油、ヒマシ油、ココナッツ油、綿実油、大豆油、オリーブ油及び鉱油;
5. 脂肪酸又はアルコール、例えばC−C20の飽和又はモノ−又はジ−不飽和、例えばオレイン酸、オレイルアルコール、リノール酸、カプリン酸、カプリル酸、カプロン酸、テトラデカノール、度デカノール、デカノール;
6. 中鎖脂肪酸トリグリセリド、例えばC−C12のもの、例えばMIGLYOL812、又は長鎖脂肪酸トリグリセリド、例えば植物油;
7. エステル転移植物油、例えばGattefosse社からLABRAFIL M2125CSとして市販されているもの;
8. 脂肪酸及び第1級アルコール、例えばC−C20脂肪酸とC−Cアルコールのエステル化化合物、例えばリノール酸エチル、例えばNikko Chemicals(Tokyo,Japan)からNIKKOL VF−Eとして市販されているもの、酪酸エチル、エチルカプリラートオレイン酸、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及びカプリル酸イソプロピル;
9. 精油、又は植物にその特徴的な香りを与える任意のクラスの植物油、例えばスペアミント油、チョウジ油、レモン油及びペパーミント油;
10. 精油の画分又は構成物質、例えばメントール、カルバクロール及びチモール;
11. 合成油、例えばトリアセチン、トリブチリン;
12. クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル;
13. ポリグリセロール脂肪酸エステル、例えばジグリセリルモノオレアート、例えばNikko ChemicalsからのDGMO−C、DGMO−90、DGDO;及び
14. ソルビタンエステル、例えばソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノオレアート、例えばUniqemaからSPAN20として市販されているもの。
15. リン脂質、例えばアルキル−O−リン脂質、ジアシルホスファチジン酸、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ジアシルホスファチジルグリセロール、ジ−O−アルキルホスファチジン酸、L−α−リゾホスファチジルコリン(LPC)、L−α−リゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)、L−α−リゾホスファチジルグリセロール(LPG)、L−α−リゾホスファチジルイノシトール(LPI)、L−α−ホスファチジン酸(PA)、L−α−ホスファチジルコリン(PC)、L−α−ホスファチジルエタノールアミン(PE)、L−α−ホスファチジルグリセロール(PG)、カルジオリピン(CL)、L−α−ホスファチジルイノシトール(PI)、L−α−ホスファチジルセリン(PS)、リゾ−ホスファチジルコリン、リゾ−ホスファチジルグリセロール、LARODANから市販されているsn−グリセロホスホリルコリン、又はLipoid社から市販されている大豆リン脂質(Lipoid S100)。
【0025】
本発明の一態様では、親油性成分は、モノ−、ジ−、及びトリグリセリドからなる群から選択される一又は複数である。更なる態様では、親油性成分は、モノ−及びジグリセリドからなる群から選択される一又は複数である。また更なる態様では、親油性成分はCapmul MCMである。
【0026】
「極性溶媒」なる用語は、ここでの一態様では、O−H又はN−H結合、又はその混合物を含む親水性の水混和性炭素含有溶媒である「極性プロトン性有機溶媒」を意味する。極性は溶媒の誘電率又は双極子モーメントに反映される。溶媒の極性は、どのようなタイプの化合物をそれが混和性であるどのような他の溶媒又は液体化合物で溶解することができるかを決定する。典型的には、極性溶媒は極性化合物を最もよく溶解させ、非極性溶媒は非極性化合物を最もよく溶解させる:「似たものは似たものを溶かす」。無機塩(例えば塩化ナトリウム)のような強い極性の化合物は非常に極性の溶媒にのみ溶解する。
本発明の更なる態様では、極性溶媒は、20以上、好ましくは20−50の範囲の誘電率を有している溶媒である。異なった極性溶媒の例を、水を参照として表1に列挙する。
【0027】

【0028】
本文脈において、1,2-プロパンジオールとプロピレングリコールは交換可能に使用される。本文脈において、プロパントリオールとグリセロールは交換可能に使用される。本文脈において、エタンジオールとエチレングリコールは交換可能に使用される。
本発明の一態様では、溶媒は、ポリオール類からなる群から選択される。ここで使用される「ポリオール」なる用語は、複数のヒドロキシル基を有する化学的化合物を意味する。
本発明の更なる態様では、溶媒は、ジオール類及びトリオール類からなる群から選択される。ここで使用される「ジオール」なる用語は、2つのヒドロキシル基を有する化学的化合物を意味する。ここで使用される「トリオール」なる用語は、3つのヒドロキシル基を有する化学的化合物を意味する。
【0029】
本発明の更なる態様では、溶媒は、グリセロール(プロパントリオール)、エタンジオール(エチレングリコール)、1,3-プロパンジオール、メタノール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、エタノール、及びイソプロパノール、又はそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の更なる態様では、溶媒はプロピレングリコール及びグリセロールからなる群から選択される。本発明の好ましい態様では、溶媒はグリセロールである。この溶媒は高用量であっても生体融合性があり、例えばインスリンペプチド及びGLP−1化合物に対して高い溶媒キャパシティを有する。本発明の他の好ましい態様では、溶媒はプロピレングリコール及びエチレングリコールからなる群から選択される。これらの溶媒は低粘度であり、中程度の用量で生体融合性があり、例えばインスリンペプチド及びGLP−1化合物に対して非常に高い溶媒キャパシティを有する。
【0030】
溶媒は、好ましくは、例えばメイラード反応による溶解したポリペプチドの化学的劣化を最小にするために、例えばアルデヒド類、ケトン類及び他の還元不純物が低含有量の高純度のものでなければならない。ポリペプチドの劣化を低下させるために、ポリオール等の半極性のプロトン性有機溶媒を含有する製剤にグリシルグリシン及びエチレンジアミン等のスカベンジャー分子を添加することができる一方、更なる還元不純物の形成率を低下させるために酸化防止剤を添加することもできる。
【0031】
本発明の一態様では、有機極性溶媒は薬学的組成物中に5−80%w/wの量で存在する。本発明の更なる態様では、有機極性溶媒は、10−70%w/wの量で存在する。本発明の更なる態様では、有機極性溶媒は、20−60%w/wの量で存在する。本発明の更なる態様では、有機極性溶媒は、30−50%w/wの量で存在する。本発明の更なる態様では、有機極性溶媒は、35−45%w/wの量で存在する。
本発明の一態様では、有機極性溶媒は、グリセロール、プロピレングリコール及びそれらの混合物からなる群から選択される。更なる態様では、有機極性溶媒はグリセロールである。更なる態様では、有機極性溶媒はグリセロールとプロピレングリコールの混合物である。また更なる態様では、有機極性溶媒はプロピレングリコールである。
【0032】
自然に分散可能なプレコンセントレイトを室温で固体又は半固体にするか又はそれを補助するために固体親水性成分を自然に分散可能なプレコンセントレイトに加えることができる。親水性成分は、一を超える賦形剤を含みうる。一を超える賦形剤が親水性成分を含む場合には、親水性成分は、液体、固体、又は双方の混合物であり得る。
親水性成分は、存在する場合、組成物の約0重量%から約70重量%、例えば約10%から約50%、例えば約10%から約40%、例えば約10%から約30%を含みうる。
親水性成分の例は、一般に式H(OCHCHOH(ここで、nはポリマーの平均分子量に相関する)に一致するエチレンオキシドのポリマーであるPEGである。
本発明において有用なPEGのタイプは、その物質の状態によって、つまり、物質が室温及び圧力下で固体又は液体形態で存在するかによって分類しうる。ここで使用される場合、「固体PEG」は、物質が室温及び圧力下で固体状態にあるような分子量を有するPEGを意味する。例えば、1000から10000の範囲の分子量を有するPEGは固体である。かかるPEGは、限定されるものではないが、PEG1000、PEG1550、PEG2000、PEG3000、PEG3350、PEG4000又はPEG8000を含む。特に有用な固体PEGは、1450から8000の分子量を有するものである。固体PEGとして特に有用なものは、PEG1450、PEG3350、PEG4000、PEG8000、それらの誘導体及びそれらの混合物である。様々な分子量のPEGは、Dow Chemicals(Danbury,CT)からCARBOWAX SENTRYシリーズとして市販されている。更に、固体PEGは結晶構造、又はポリマーマトリックスを有しており、これは、本発明において特に有用な属性であり、鎖長及び末端基を除いてPEGと同一の構造を有するポリエチレンオキシド(「PEO」)もまた本発明における使用に適している。様々なグレードのPEOがDow ChemicalsからPOLYOXとして市販されている。PEOは、例えば約100000から7000000の範囲の分子量を有している。本発明における親水性成分は、PEG、PEO、及び上記の任意の組合せを含みうる。
【0033】
本発明の親水性成分は、場合によっては、低級アルカノール、例えばエタノールを含みうる。エタノールの使用は必須ではないが、エタノールは、担体におけるポリペプチドの溶解度を改善し、貯蔵特性を改善し、及び/又は薬剤沈降のリスクを低減しうる。
他の例示的な実施態様では、担体の親水性成分は、単一の親水性成分、例えば固体PEG、例えばPEG1450、PEG3350、PEG4000及びPEG8000からなる。この例示的な実施態様では、マイクロエマルジョン成分の親水性相は、単一の親水性物質からなる。例えば、担がPEG3350を含んでいれば、担体は、他の親水性物質、例えば低級アルカノール(低級はC−Cである)、例えばエタノール;又は水は含まないであろう。
【0034】
更に他の代替の例示的な実施態様では、担体の親水性成分は、固体PEGの混合物からなる。例えば、親水性成分は、PEG1450、PEG3350、PEG4000、PEG8000、それらの誘導体及びそれらの任意の組合せ及び混合物を含む。
【0035】
担体はまた一又は複数の界面活性剤、つまり場合によっては界面活性剤の混合物;あるいは界面張力を減じる界面活性な薬剤を含む。界面活性剤は、例えば、非イオン性、イオン性又は両性である。界面活性剤は、その調製に含まれる未反応出発物又は副産物を含む複合混合物であり得、例えばポリオキシエチル化によって作製される界面活性剤は例えばPEGのような他の副産物を含みうる。界面活性剤又は界面活性剤群は、医薬分野で有用である任意のHLBを有しうる。例えば、界面活性剤は、8−30、例えば15−30の平均HLBを有する親水性−疎水性バランス(HLB)を有しうる。界面活性剤はまた性質が液体でも固体でもありうる。
【0036】
ここで使用される「界面活性剤」なる用語は、空気に対する液体、液体に対する液体、容器に対する液体又は任意の固体に対する液体のように表面及び界面で吸着しうる任意の物質、特に洗浄剤を意味する。界面活性剤は、洗浄剤、例えばエトキシル化ヒマシ油、ポリグリコール化グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、例えばポリソルベート−20、ポロキサマー、例えばポロキサマー188及び407、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体、例えばアルキル化及びアルコキシル化誘導体(トゥイーン類、例えばTween-20、又はTween-80)、モノグリセリド類又はそのエトキシル化誘導体、ジグリセリド類又はそのポリオキシエチレン誘導体、グリセロール、コール酸又はその誘導体、レシチン、アルコール及びリン脂質、グリセロリン脂質(レシチン、セファリン、ホスファチジルセリン)、グリセロ糖脂質(ガラクトピラノシド)、スフィンゴリン脂質(スフィンゴミエリン)、及びスフィンゴ糖脂質(セラミド類、ガングリオシド類)、DSS(ドキュセート・ナトリウム、CAS登録番号[577-11-7])、ドキュセート・カルシウム、CAS登録番号[128-49-4])、ドキュセート・カリウム、CAS登録番号[7491-09-0])、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウム)、ジパルミトイルホスファチジン酸、カプリル酸ナトリウム、胆汁酸及びその塩及びグリシンもしくはタウリンコンジュゲート、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート、アニオン性(アルキル-アリール-スルホナート)一価界面活性剤、パルミトイルリゾホスファチジル-L-セリン、リゾリン脂質(例えばエタノールアミン、コリン、セリンもしくはスレオニンの1-アシル-sn-グリセロ-3-ホスファートエステル)、リゾホスファチジル及びホスファチジルコリンのアルキル、アルコキシル(アルキルエステル)、アルコキシ(アルキルエーテル)誘導体、例えばリゾホスファチジルコリンのラウロイル及びミリストイル誘導体、ジパルミトイルホスファチジルコリン、及び極性頭部基、つまり、コリン類、エタノールアミン類、ホスファチジン酸、セリン類、スレオニン類、グリセロール、イノシトール、及び正荷電DODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リゾホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルスレオニンの修飾体、両性イオン性界面活性剤(例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホナート類、3-コールアミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホナート、ドデシルホスホコリン、ミリストイルホスファチジルコリン、ニワトリ卵白リゾレシチン)、カチオン性界面活性剤(第4級アンモニウム塩基)(例えば臭化セチル-トリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム)、非イオン性界面活性剤(例えばアルキルグルコシド、例えばドデシルβ-D-グルコピラノシド、ドデシルβ-D-マルトシド、テトラデシルβ-D-グルコピラノシド、デシルβ-D-マルトシド、ドデシルβ-D-マルトシド、テトラデシルβ-D-マルトシド、ヘキサデシルβ-D-マルトシド、デシルβ-D-マルトトリオシド、ドデシルβ-D-マルトトリオシド、テトラデシルβ-D-マルトトリオシド、ヘキサデシルβ-D-マルトトリオシド、n-ドデシル-スクロース、n-デシル-スクロース、脂肪アルコールエトキシラート(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばオクタエチレングリコールモノトリデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノテトラデシルエーテル)、ブロックコポリマー、例えばポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー(プルロニックス(Pluronics)/テトロニクス(Tetronics)、トリトンX-100)、エトキシル化ソルビタンアルカノアート界面活性剤(Tween−40、Tween−80、Brij−35)、フシジン酸誘導体(例えばタウロ-ジヒドロフシジン酸ナトリウム等々)、C8−C20長鎖脂肪酸及びその塩(例えばオレイン酸及びカプリル酸)、アシルカルニチン類及び誘導体、リジン、アルギニン又はヒスチジンのNα-アシル化誘導体、又はリジン又はアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リジン、アルギニン又はヒスチジンと中性又は酸性アミノ酸の任意の組合せを含むジペプチドのNα-アシル化誘導体、中性アミノ酸と二つの荷電アミノ酸の任意の組合せを含むトリペプチドのNα--アシル化誘導体から選択され得、あるいは界面活性剤はイミダゾリン誘導体又はその混合物の群から選択されうる。
【0037】
固体界面活性剤の例は、限定するものではないが、次を含む:
1. 天然の又は水素化ヒマシ油及びエチレンオキシドの反応産物。天然の又は水素化ヒマシ油を、約1:35から約1:60のモル比でエチレンオキシドと反応させ得、生成物から場合によってはPEG成分が除去される。様々なかかる界面活性剤は市販されており、例えば、BASF社(Mt.Olive,NJ)からのCREMOPHORシリーズ、例えばCREMOPHOR RH40で、これは、約50−から60の鹸化値、約1未満の酸価、約2%未満の水含量、つまり、Fischer、約1.453−1.457のn60及び約14−16のHLBを有しているPEG40水素化ヒマシ油である。
2. ポリオキシエチレンステアリン酸エステルを含むポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えばUniqemaのMYRJシリーズ、例えば約47℃の融点を有するMYRJ53。
MYRJシリーズの特定の化合物は、例えば約47℃の融点を有するMYRJ53及びMYRJ52として入手可能なPEG−40−ステアラートである。
3. UniqemaからのTWEENシリーズを含むソルビタン誘導体、例えばTWEEN60;
4. ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー及びブロックコポリマー又はポロキサマー、例えばBASFからのプルロニックF127、プルロニックF68;
5. ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばC12−C18アルコールのポリオキシエチレングリコールエーテル、例えばポリオキシル10−又は20−セチルエーテル又はポリオキシル23−ラウリルエーテル、又は20−オレイルエーテル、又はポリオキシル10−、20−又は100−ステアリルエーテル、UniqemaからBRlJシリーズとして市販され知られているもの。BRIJシリーズの特に有用な製品はBRIJ58;BRIJ76;BRIJ78;BRIJ35、つまり、ポリオキシル23ラウリルエーテル;及びBRIJ98、つまりポリオキシル20オレイルエーテルである。これらの製品は約32℃から約43℃の融点を有している。
6. Eastman Chemical社から入手可能な約36℃の融点の水溶性トコフェリルPEGコハク酸エステル、例えばTPGS、例えばビタミンE TPGS。
7. 例えば5−35の[CH−CH,−O]単位、例えば20−30単位を有するPEGステロールエーテル、例えばChemron(Paso Robles,CA)からのSOLULAN C24(Choleth−24及びCetheth−24);また使用できる類似の製品は、既知で、Nikko ChemicalsからNIKKOL BPS−30(ポリエトキシル化30フィトステロール)及びNIKKOL BPSH−25(ポリエトキシル化25フィトステロール)として市販されているものである;
8. ポリグリセロール脂肪酸エステル、例えば4−10の範囲のグリセロール単位、又は4、6又は10のグリセロール単位を有するもの。例えば、特に適しているものは、デカ−/ヘキサ−/テトラグリセリルモノステアラート、例えばNikko ChemicalsからのDECAGLYN、HEXAGLYN及びTETRAGLYNである;
9. アルキレンポリオールエーテル又はエステル、例えばそれぞれGELUCIRE44/14及びGELUCIRE50/13であるラウロイルマクロゴール−32グリセリド及び/又はステアロイルマクロゴール−32グリセリド;
10. 飽和C10からC22、例えばC18の置換されたヒドロキシ脂肪酸のポリオキシエチレンモノエステル; 例えば12ヒドロキシステアリン酸PEGエステル、例えばPEGおよそ600−900、例えば660ダルトンMW、例えばBASF(Ludwigshafen,20Germany)のSOLUTOL HS15。BASFテクニカルパンフレットMEF151E(1986)によれば、SOLUTOL HS15は、約70重量%のポリエトキシル化12−ヒドロキシステアラートと約30重量%の未エステル化ポリエチレングリコール成分を含む。それは、90から110の水素化価(hydrogenation value)、53から63の?化価、最大1の酸価、0.5重量%の最大含水量を有している;
11. ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−アルキルエーテル、例えばCI2からCI8アルコールのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−エーテル、例えばNikko ChemicalsからNIKKOL PBC34として市販されているポリオキシエチレン−20−ポリオキシプロピレン−4−セチルエーテル;
12. ポリエトキシル化ジステアラート、例えばUniqemaから商品名ATLAS G1821で、Nikko ChemicalsからNIKKOCDS−6000Pで市販されているもの;及び
13. レシチン、例えば大豆リン脂質、例えばLipoid社(Ludwigshafen,Germany)からLIPOID S75として、又はNattermann Phospholipid(Cologne,Germany)からPHOSPHOLIPON90として市販されているもの。
【0038】
液体界面活性剤の例は、限定されるものではないが、ソルビタン誘導体、例えばTWEEN20、TWEEN40及びTWEEN80、SYNPERONIC L44、及びポリオキシル10−オレイルエーテル(全てUniqemaから入手可能)、及びポリオキシエチレン含有界面活性剤、例えばPEG−8カプリル/カプリン酸グリセリド(例えばGattefosseから入手可能なLabrasol)を含む。
【0039】
界面活性剤は、本発明の組成物の約5重量%から約90重量%、例えば約15重量%から約85重量%、例えば約20重量%から約60重量%、例えば約35重量%から約55重量%を含みうる。
本発明の一態様では、界面活性剤は、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー及びブロックコポリマー又はポロキサマー、例えばBASFからのプルロニックF127、プルロニックF68である。
本発明の一態様では、界面活性剤はポロキサマーである。更なる態様では、界面活性剤は、ポロキサマー188、ポロキサマー407及びポロキサマー407とポロキサマー188の混合物からなる群から選択される。
【0040】
本発明のある実施態様では、薬学的組成物は、薬学的組成物に通常見出される更なる賦形剤を含有し得、かかる賦形剤の例は、限定されるものではないが、抗酸化剤、抗菌剤、酵素阻害剤、安定剤、保存料、香味料、甘味料及び出典明示によりここに援用されるHandbook of Pharmaceutical Excipients, Rowe等編, 4版, Pharmaceutical Press (2003)に記載された他の成分を含む。
これらの更なる賦形剤は、全薬学的組成物の約0.05−5重量%の量でありうる。抗酸化剤、抗菌剤、酵素阻害剤、安定剤又は保存料は、典型的には全薬学的組成物の約0.05−1重量%までである。甘味料又は香味料は典型的には全薬学的組成物の約2.5重量%又は5重量%までである。
抗酸化剤の例は、限定されるものではないが、アスコルビン酸とその誘導体、トコフェロールとその誘導体、ブチルヒドロキシアニソール及びブチルヒドロキシトルエンを含む。
【0041】
本発明の一態様では、組成物はバッファーを含む。ここで使用される「バッファー」なる用語は、化学反応のために生じるような組成物のpHが経時的に変化する傾向を低減させる薬学的組成物中の化学的化合物を意味する。バッファーには、化学物質、例えばリン酸ナトリウム、トリス、グリシン、及びクエン酸ナトリウムが含まれる。
ここで使用される「保存料」なる用語は、微生物の活性(増殖及び代謝)を防止又は遅延化させるために薬学的組成物に添加される化学的化合物を意味する。薬学的に許容可能な保存料の例は、フェノール、m-クレゾール、及びフェノールとm-クレゾールの混合物である。
ここで使用される「安定剤」なる用語は、ペプチドを安定させるために、すなわちこのような組成物の保存期間及び/又は使用中期間を増加させるために、ペプチド含有薬学的組成物に添加される化学物質を意味する。薬学的製剤に使用される安定剤の例は、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、グリシルグリシン、エチレンジアミン、シトラート、EDTA、亜鉛、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、及び界面活性剤及び酸化防止剤、例えばα-トコフェロール及びl-アスコルビン酸である。
【0042】
各単位投薬形態は、好適には、0.1mgから1000mgのポリペプチド、例えば0.1mg、1mg、5mg、10mg、15mg、25mg、50mg、100mg、200mg、250mg、300mg、400mg又は500mg、例えば5mgと500mgの間のポリペプチドを含む。 本発明の一態様では、各単位投薬形態は10mgから500mgのポリペプチドを含む。更なる態様では、単位投薬形態は10mgから100mgのポリペプチドを含む。本発明のまた更なる態様では、単位投薬形態は20mgから500mgのポリペプチドを含む。本発明のまた更なる態様では、単位投薬形態は20mgから100mgのポリペプチドを含む。かかる単位投薬形態は、治療の特定の目的に応じて、一日1−5回の投与に適している。
【0043】
本発明の更なる態様では、ポリペプチドを含む自然に分散可能な薬学的組成物を調製するための方法は、薬剤と、極性有機溶媒、親油性成分、界面活性剤及び場合によっては親水性成分を含有する担体を密な混合物にする工程を含む。例えば、ポリペプチドと担体を、例えば約30℃から約80℃に加熱した後、室温まで冷却することによって固化させて、液化することができる。
担体は、ポリペプチドと密な混合物とする前に別個に調製することができる。あるいは、担体の成分の一、二又はそれ以上をポリペプチドと混合することができる。
【0044】
また更なる態様では、本発明は、ポリペプチドを含むマイクロエマルジョンを調製するための方法であって、
(a)ポリペプチドと親油性成分、界面活性剤及び極性有機溶媒及び場合によっては固体親水性成分を含有する自然に分散可能なプレコンセントレイトを密な混合物にして、自然に分散可能な薬学的組成物を形成し;及び
(b)水性媒体中に自然に分散可能な薬学的組成物を希釈してマイクロエマルジョンを形成する
工程を含む方法を提供する。
【0045】
また更なる態様では、本発明は、ポリペプチドを含む(カプセル、例えば腸溶コーティングカプセルに充填できる)プレコンセントレイトを調製する方法であって、
(a)極性有機溶媒にポリペプチドを溶解させ、
(b)親油性成分、界面活性剤及び場合によっては親水性成分と混合する
工程を含む方法を提供する。
【0046】
ここで使用される「治療的に活性なポリペプチド」又は「治療用ポリペプチド」なる用語は、与えられた疾患又はその合併症の臨床症状を治癒し、軽減し又は部分的に停止させることができるポリペプチドを意味する。
本発明の更なる態様では、ここで使用される「治療的に活性なポリペプチド」又は「治療用ポリペプチド」なる用語は、治療用途用に開発中の、又は治療用途用に開発されたポリペプチドを意味する。
これを達成するのに十分な量が、「治療的有効量」として定義される。
それぞれの目的に対する有効な量は、疾患又は損傷の重症度、並びに被験者の体重及び一般的状態に依存するであろう。適切な用量を決定するには、全て熟練した医師又は獣医の通常の技量の範囲内である、値のマトリックスを構築し、マトリックスにおける種々の点を試験することにより、常套的な実験を使用して達成することができることが理解されるであろう。
【0047】
治療的に活性なポリペプチドは、組成物の約60重量%まで、例えば約40重量%まで、又は約0.01%から、例えば約0.1%からの量で存在しうる。本発明の一態様では、治療的に活性なポリペプチドは、組成物の約0.01重量%から約20重量%、更なる態様では約1重量%から20重量%又は約1重量%から10重量%の量で存在しうる。しかしながら、ポリペプチドの特定のレベルの選択は、極性有機溶媒又は任意の親水性成分又は使用される界面活性剤、又はその混合物におけるポリペプチドの溶解度、投与様式及びサイズ及び患者の状態を含む医薬分野でよく知られた因子に従ってなされる。
【0048】
ここで使用される「薬学的に許容可能な」なる用語は、通常の製薬学的な応用に適した手段、つまり患者等に有害事象のような重大な副作用を生じない手段を意味する。
ここで使用される「疾患の治療」なる用語は、疾患、病状又は障害を発症した患者の管理及び世話(ケア)を意味する。治療の目的は、疾患、症状又は障害と闘うことである。治療には、疾患、症状又は障害を排除し又は制御するため、並びに疾患、症状又は障害に伴う徴候又は合併症を緩和するための、及び疾患、症状又は障害の予防のたの、活性な化合物の投与を含む。
ここで使用される「疾患の予防」なる用語は、疾患の臨床的発症より前に疾患の発病の危険性について個人を管理及びケアすることとして定義される。予防の目的は疾患、病気又は障害の発病と闘うことであり、疾患、病気又は障害の発病を予防又は遅らせるために、又は症状又は合併症の発症を予防又は遅らせるために治療的に活性な化合物を投与することを含む。
本発明の一態様では、薬学的製剤は0.1%w/wから50%w/wの濃度で治療的に活性なポリペプチドを含有する。
【0049】
「ポリペプチド」又は「ペプチド」なる用語は、ここでは交換可能に使用され、ペプチド結合により連結した少なくとも5の構成アミノ酸からなる化合物を意味する。該構成アミノ酸は、遺伝暗号によりコードされるアミノ酸の群からものであってよく、またそれらは遺伝暗号によりコードされない天然アミノ酸、並びに合成アミノ酸であってもよい。遺伝暗号によりコードされない天然アミノ酸は、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、オルニチン、ホスホセリン、D-アラニン及びD-グルタミンである。合成アミノ酸は、化学合成により製造されるアミノ酸、すなわち遺伝暗号によりコードされるアミノ酸のD-異性体、例えばD-アラニン及びD-ロイシン、Aib(a-アミノイソ酪酸)、Abu(a-アミノ酪酸)、Tle(tert-ブチルグリシン)、β-アラニン、3-アミノメチル安息香酸、及びアントラニル酸を含む。
【0050】
ポリペプチド及びペプチドの生産は当該分野でよく知られている。ポリペプチド又はペプチドは、例えば古典的なペプチド合成法、例えばt−Boc又はFmocケミストリー又は他の良く確立された技術を使用する固相ペプチド合成法によって製造することができ、例えばGreene及びWuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley & Sons, 1999を参照のこと。ポリペプチド又はペプチドはまた(ポリ)ペプチドをコードするDNA配列を含み適切な栄養培地中で(ポリ)ペプチドを発現することができる宿主細胞を該ペプチドの発現を許容する条件下で培養することを含む方法によって生産することもできる。非天然アミノ酸残基を含む(ポリ)ペプチドでは、組換え細胞を、例えばtRNA変異体の使用によって非天然アミノ酸が(ポリ)ペプチドに導入されるように修飾されなければならない。
【0051】
本発明の一態様では、本発明に係る治療的に活性なポリペプチドは水溶性である。ここで使用される場合、水溶性ポリペプチドなる用語は、脱塩水中にその等電点から少なくとも2pH単位離れたpHで少なくとも10%の濃度でRTにて溶解させることができるポリペプチドを意味する。
本発明の一態様では、水溶解度は少なくとも100mg/mlである。更なる態様では、水溶解度は少なくとも120mg/mlである。また更なる態様では、水溶解度は少なくとも140mg/mlである。また更なる態様では、水溶解度は少なくとも160mg/mlである。また更なる態様では、水溶解度は少なくとも180mg/mlである。また更なる態様では、水溶解度は少なくとも200mg/mlである。また更なる態様では、水溶解度は少なくとも250mg/mlである。また更なる態様では、水溶解度は少なくとも300mg/mlである。
【0052】
ここで使用される「等電点」なる用語は、ペプチドのような高分子の全体の正味の電荷がゼロであるpH値を意味する。ペプチドには、幾つかの荷電基が存在し得、等電点では、これら電荷の全ての合計がゼロである。等電点を超えるpHでは、ペプチドの全体の正味の電荷は負である一方、等電点より低いpH値ではペプチドの全体の正味の電荷は正である。
【0053】
ここで使用されるペプチドについて言及する「アナログ」なる用語は、ペプチドの一又は複数のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基で置換されているか及び/又は一又は複数のアミノ酸残基がペプチドから欠失しているか及び/又は一又は複数のアミノ酸残基がペプチドに付加されている改変されたペプチドを意味する。そうようなアミノ酸残基の付加又は欠失はペプチドのN末端及び/又はペプチドのC末端で起こりうる。一実施態様では、アナログは天然ペプチドに比べて8より少ない修飾(置換、欠失、付加)を含む。一実施態様では、アナログは天然ペプチドに比べて7より少ない修飾(置換、欠失、付加)を含む。一実施態様では、アナログは天然ペプチドに比べて6より少ない修飾(置換、欠失、付加)を含む。他の実施態様では、アナログは天然ペプチドに比べて5より少ない修飾(置換、欠失、付加)を含む。他の実施態様では、アナログは天然ペプチドに比べて4より少ない修飾(置換、欠失、付加)を含む。他の実施態様では、アナログは天然ペプチドに比べて3より少ない修飾(置換、欠失、付加)を含む。他の実施態様では、アナログは天然ペプチドに比べて2より少ない修飾(置換、欠失、付加)を含む。他の実施態様では、アナログは天然ペプチドに比べて、一つだけ修飾(置換、欠失、付加)を含む。付加された及び/又は交換されたアミノ酸残基は、コード化可能なアミノ酸残基又は他の天然に生じる残基又は純粋に合成のアミノ酸残基の何れかでありうる。
【0054】
親ポリペプチドに関連してここで使用される「誘導体」なる用語は、少なくとも一の置換基が親タンパク質又はそのアナログには存在していない化学的に修飾された親タンパク質又はそのアナログを意味し、つまり共有結合的に修飾された親タンパク質である。典型的な修飾はアミド、炭水化物、アルキル基、アシル基、エステル、ペグ化等である。
【0055】
ここで使用される「GLP-1ペプチド」という用語は、GLP-1(7−37)(配列番号1)、そのインスリン分泌性アナログ及びそのインスリン分泌性誘導体を意味する。GLP−1アナログの非限定的例は、GLP−1(7−36)アミド、Arg34−GLP−1(7−37)、Gly−GLP−1(7−37)、Val−GLP−1(7−36)−アミド及びValAsp22−GLP−1(7−37)である。GLP−1誘導体の非限定的な例は、デスアミノ−His,Arg26,Lys34(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)、デスアミノ−His,Arg26,Lys34(Nε−オクタノイル)−GLP−1(7−37)、Arg26,34,Lys38(Nε−(ω−カルボキシペンタデカノイル))−GLP−1(7−38)、Arg26,34,Lys36(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−36)及びArg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37);N−ε26−−(17−カルボキシヘプタデカノイル)−[Aib8,Arg34]GLP−1−(7−37)−ペプチド;N−ε26−(19−カルボキシノナデカノイル)−[Aib8,Arg34]GLP−1−(7−37)−ペプチド;N−ε26−(4−{[N−(2−カルボキシエチル)−N−(15−カルボキシペンタデカノイル)アミノ]メチル}ベンゾイル)[Arg34]GLP−1−(7−37);N−ε26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシ−ヘプタデカノイルアミノ)−4(S)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチド;N−ε37{2−[2−(2−{2−[2−((R)−3−カルボキシ−3−{[1−(19−カルボキシノナデカノイル)ピペリジン−4−カルボニル]アミノ}プロピオニルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル[デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1(7−37)アミド;N−ε37{2−[2−(2−{2−[2−((S)−3−カルボキシ−3−{[1−(19−カルボキシノナデカノイル)ピペリジン−4−カルボニル]アミノ}プロピオニルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルAib8,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド;N−ε37−[2−(2−[2−(2−[2−(2−((R)−3−[1−(17−カルボキシヘプタデカノイル)ピペリジン−4−イルカルボニル−アミノ]3−カルボキシプロピオニルアミノ)エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)アセチル][デスアミノHis7,Glu22Arg26,Arg34,Phe(m−CF3)28]GLP−1−(7−37)アミド;N−ε30{2−[2−(2−{2−[2−((S)−3−カルボキシ−3−{[1−(19−カルボキシノナデカノイル)ピペリジン−4−カルボニル]アミノ}プロピオニルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル[Aib8,Glu22,Arg26,Lys30]GLP−1−(7−37);N−ε31{2−[2−(2−{2−[2−((S)−3−カルボキシ−3−{[1−(19−カルボキシノナ−デカノイル)ピペリジン−4−カルボニル]アミノ}プロピオニルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル[Aib8,Glu22,Arg26,Lys31]GLP−1−(7−37);N−ε31−(2−{2−[2−(2−{2−[2−((S)−3−カルボキシ−3−{[1−(19−カルボキシ−ノナデカノイル)ピペリジン−4−カルボニル]アミノ}プロピオニルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}アセチル)[Aib8,Glu22,Arg26,Lys31,Arg34]GLP−1−(7−37);N−ε37−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−({トランス−4−[(19−カルボキシ−ノナデカノイル−アミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド;N−ε37−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−({トランス−4−[(19−カルボキシ−ノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド;N−ε37−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−({トランス−4−[(19−カルボキシ−ノナデカノイル−アミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37);N−ε37−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−({トランス−4−[(19−カルボキシ−ノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Glu30,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37);N−ε20−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−((S)−4−カルボキシ−4−{12−[4−(16−(1H−テトラゾール−5−イル)ヘキサデカノイル−スルファモイル)ブチリルアミノ]ドデカノイルアミノ}ブチリルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Lys20,Glu22,Arg26,Glu30,Pro37]GLP−1−(7−37)アミド;N−ε37−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−((S)−4−カルボキシ−4−{12−[4−(16−(1H−テトラゾール−5−イル)ヘキサデカノイルスルファモイル)ブチリルアミノ]ドデカノイルアミノ}ブチリルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド;N−ε37−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−((S)−4−カルボキシ−4−{12−[4−(16−(1H−テトラゾール−5−イル)ヘキサデカノイルスルファモイル)ブチリルアミノ]ドデカノイルアミノ}ブチリルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド;[Aib8,Glu22,Arg26,Glu30,Pro37]GLP−1−(7−37)Lys[2−(2−{2−[4−カルボキシ−4−(4−カルボキシ−4−{4−[4−(16−1H−テトラゾール−5−イル−ヘキサデカノイルスルファモイル)ブチリルアミノ]ブチリルアミノ}ブチリルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル];N−ε37(ポリエチレングリコール2000)[デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1(7−37)アミド;N−ε37(3−((2−(2−(2−(2−(2−ヘキサデシルオキシ−エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ))プロピオニル)[デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1(7−37)−アミド;N−ε37−{2−(2−(2−(2−[2−(2−(4−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−カルボキシブチリルアミノ)エトキシ)エトキシ]アセチル)エトキシ)エトキシ)アセチル)}−[デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Glu30,Arg34,Lys37](GLP−1−(7−37)アミド;N−ε37−{2−(2−(2−(2−[2−(2−(4−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−カルボキシブチリルアミノ)エトキシ)エトキシ]アセチル)エトキシ)エトキシ)アセチル)}−[デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37](GLP−1−(7−37)アミド;N−ε37−(2−(2−(2−(2−(2−(2−(2−(2−(2−オクタデカノイルアミノ)エトキシ)エトキシ)アセチルアミノ)エトキシ)エトキシ)アセチルアミノ)エトキシ)エトキシ)アセチル)[デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1(7−37)アミド;N−ε36−(2−(2−(2−((2−[2−(2−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ)エトキシ)アセチル)[Aib8,Glu22,Arg26,Glu30,Lys36]GLP−1−(7−37)Glu−アミド;N−ε37−[4−(16−(1H−テトラゾール−5−イル)ヘキサデカノイルスルファモイル)ブチリル][デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37)アミド;N−ε37−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−(19−カルボキシ−ノナデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP−1−(7−37);及びN−ε31−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[4−カルボキシ−4−(17−カルボキシ−ヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Glu22,Arg26,Lys31]GLP−1−(7−37)である。
【0056】
ここで使用される「ジペプチジルアミノペプチダーゼIV保護」なる用語は、天然化合物、例えばGLP−1(7−37)よりもジペプチジルアミノペプチダーゼIV(DPP−IV)に対してより耐性がある化合物、例えばGLP−1アナログを意味する。ジペプチジルアミノペプチダーゼIVによる分解に対するGLP−1化合物の耐性は次の分解アッセイによって決定される:
GLP−1化合物のアリコート(5nmol)を、100μLの0.1Mトリエチルアミン−HClバッファー,pH7.4中で10−180分間、5mUの酵素活性に対応する1μLの精製ジペプチジルアミノペプチダーゼIVと共に37℃でインキュベートする。酵素反応を、5μLの10%トリフルオロ酢酸の添加によって終了させ、ペプチド分解産物を分離し、HPLC分析を使用して定量する。この分析を実施するための一方法は次の通りである:Siegel等, Regul. Pept. 1999;79:93-102及びMentlein等 Eur. J. Biochem. 1993;214:829-35に従って、混合物をVydac C18ワイドポア(30nm細孔,5μm粒子)250×4.6mmカラムに加え、0.1%トリフルオロ酢酸の中のアセトニトリルの線形段階的勾配(0%アセトニトリルを3分間、10−24%アセトニトリルを17分間、24−48%アセトニトリルを1分間)を用いて1ml/分の流量で溶離させる。ペプチド及びその分解産物は220nm(ペプチド結合)又は280nm(芳香族アミノ酸)でのその吸光度によってモニターすることができ、標準のものに関連したそのピーク面積の積分によって定量する。ジペプチジルアミノペプチダーゼIVによるGLP−1化合物の加水分解速度はインキュベーション時間で推定され、加水分解されるGLP−1化合物の10%未満になる。
【0057】
ペプチド又は化合物に言及してここで使用される「インスリン分泌性」なる用語は増加した血糖値に応答して、インスリンの分泌を刺激する能力を意味する。インスリン分泌性ペプチド及び化合物はGLP−1レセプターのアゴニストである。化合物のインスリン分泌特性は、当該分野で知られているインビトロ又はインビボアッセイによって決定することができる。次のインビトロアッセイを使用して、ペプチドのような化合物のインスリン分泌性を決定することができる。好ましくは、インスリン分泌性化合物は5nM未満の以下のアッセイでのEC50値を、更により好ましくは500pM未満のEC50値を示す。
【0058】
クローン化ヒトGLP−1レセプター(BHK467−12A)を発現するベビーハムスター腎臓(BHK)細胞を、100IU/mLのペニシリン、100μL/mLのストレプトマイシン、10%の仔ウシ血清及び1mg/mLのジェネテシンG−418(Life Technologies)を添加したDMEM培地中で増殖させる。細胞膜をバッファー(10mMトリス−HCl、30 mMのNaCl及び1mMのジチオスレイトール,pH7.4で、また5mg/mLのロイペプチン(Sigma)、5mg/Lのペプスタチン(Sigma)、100mg/Lのバシトラシン(Sigma)、及び16mg/Lのアプロチニン(Calbiochem−Novabiochem,La Jolla,CA)を含むもの)中でのホモジナイズによって調製する。ホモジネートを41%W7vスクロースの層の上で遠心分離した。2層間の白色の帯状部をバッファーに希釈し、遠心分離した。細胞膜を使用するまで−80℃で保存した。
【0059】
機能レセプターアッセイは、インスリン分泌性ペプチド又はインスリン分泌性化合物による刺激に対する応答としてcAMPを測定することによって実施される。インキュベーションは、96−ウェルマイクロタイタープレート中で140mLの全容量と次の最終濃度で実施される:50mMのトリス−HCl、1mMのEGTA、1.5mMのMgSO、1.7mMのATP、20mMのGTP、2mMの3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)、0.01%w/vのTween−20,pH7.4。化合物をバッファー中に溶解させ、希釈する。GTPを各実験のために新たに調製する:2.5μgの膜を各ウェルに加え、混合物を振揺しながら暗所で室温にて90分間インキュベートする。反応を、25mLの0.5MのHClを添加して停止させる。形成されたcAMPをシンチレーション近接アッセイ(RPA542,Amersham,UK)によって測定する。用量応答曲線を化合物に対してプロットし、GraphPad Prismソフトウェアを使用してEC50値を計算する。
【0060】
ここで使用される「インスリン分泌性化合物のプロドラッグ」なる用語は、患者への投与後にインスリン分泌性化合物に転化される化学的に修飾された化合物を意味する。かかるプロドラッグは典型的にはインスリン分泌性化合物のアミノ酸拡張型又はエステルである。
【0061】
ここで使用される「エキセンディン−4化合物」なる用語は、エキセンディン−4(1−39)(配列番号2)、そのインスリン分泌性断片、そのインスリン分泌性アナログ及びそのインスリン分泌性誘導体として定義される。エキセンディン−4のインスリン分泌性は、配列全体がエキセンディン−4(配列番号2)の配列に見出すことができ、少なくとも一の末端アミノ酸が欠失しているインスリン分泌性ペプチドである。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性断片の例はエキセンディン−4(1−38)及びエキセンディン−4(1−31)である。化合物のインスリン分泌特性は、当該分野でよく知られているインビボ又はインビトロアッセイによって決定されうる。例えば、化合物が動物に投与され、経時的にインスリン濃度がモニターされうる。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性アナログは、アミノ酸残基の一又は複数が他のアミノ酸残基と交換され、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基が欠失され、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基が付加され、但し、上記アナログの何れもインスリン分泌性であるか又は インスリン分泌性化合物のプロドラッグである各分子を意味する。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性アナログの例は、2及び3位のアミノ酸残基がセリン及びアスパラギン酸でそれぞれ置き換えられているSerAsp−エキセンディン−4(1−39)である(この特定のアナログは当該分野でまたエキセンディン−3としても知られている)。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性誘導体及びそのアナログは、当業者がこれらのペプチドの誘導体である、すなわち親ペプチドには存在していない少なくとも一置換基を有しているが、但し該誘導体はインスリン分泌性であるか又はインスリン分泌性化合物のプロドラッグであると考えるものである。置換基の例は、アミド、炭水化物、アルキル基、エステル及び親油性置換基である。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性誘導体及びそのアナログの例は、Tyr31−エキセンディン−4(1−31)−アミドである。
【0062】
ここで使用される「安定なエキセンディン−4化合物」なる用語は、化学的に修飾されたエキセンディン−4(1−39)、つまり一般的な方法によって定量して、ヒトにおいて少なくとも10時間のインビボ血漿排出半減期を示すアナログ又は誘導体を意味する。
ここで使用される「ジペプチジルアミノペプチダーゼIV保護エキセンディン−4化合物」なる用語は、ジペプチジルアミノペプチダーゼIV保護GLP−1化合物の定義の箇所で記載したアッセイによって決定して、エキセンディン−4(配列番号2)よりも血漿ペプチダーゼジペプチジルアミノペプチダーゼIV(DPP−IV)に対してより耐性があるエキセンディン−4化合物を意味する。
【0063】
ヒトインスリンは、それぞれ21及び30のアミノ酸残基を含むA及びB鎖の2つのポリペプチド鎖からなる。A及びB鎖は二つのジスルフィド架橋によって相互接続されている。殆どの他の種からのインスリンは類似しているが、ある位置にアミノ酸置換を含みうる。
【0064】
ここで使用される「インスリンペプチド」は、CysA7とCysB7の間、及びCysA20とCysB19の間にジスルフィド架橋を、CysA6とCysA11の間に内部ジスルフィド架橋を有するヒトインスリン、ブタインスリン又はウシインスリン又はそのインスリンアナログ又は誘導体を意味する。
ここで使用されるインスリンアナログは、天然のインスリンに生じる少なくとも一のアミノ酸残基を欠失及び/又は置換することにより、及び/又は少なくとも一のアミノ酸残基を付加することにより、天然に生じるインスリンの構造から、例えばヒトインスリンの構造から、形式的に誘導されうる分子構造を有しているポリペプチドである。
【0065】
一態様では、本発明に係るインスリンアナログはヒトインスリンに対して8未満の修飾(置換、欠失、付加)を含む。一態様では、インスリンアナログはヒトインスリンに対して7未満の修飾(置換、欠失、付加)を含む。一態様では、インスリンアナログはヒトインスリンに対して6未満の修飾(置換、欠失、付加)を含む。他の態様では、インスリンアナログはヒトインスリンに対して5未満の修飾(置換、欠失、付加)を含む。他の態様では、インスリンアナログはヒトインスリンに対して4未満の修飾(置換、欠失、付加)を含む。他の態様では、インスリンアナログはヒトインスリンに対して3未満の修飾(置換、欠失、付加)を含む。他の態様では、インスリンアナログはヒトインスリンに対して2未満の修飾(置換、欠失、付加)を含む。
【0066】
インスリンアナログは、例えば速効性、持続性及び/又はプロテアーゼに対する安定性は得られるようなものでありうる。
一態様では、インスリンアナログは、速効性が得られる、つまり、インスリンアナログの作用の発現が投与後4時間以内、あるいは3時間、2時間、1時間又は1/2時間以内であるものである。他の態様では、インスリンアナログは、持続性が得られる、つまり、インスリンアナログの作用が投与後4時間を越えて、あるいは6時間、8時間、12時間、18時間又は24時間を越えて継続するものである。
【0067】
インスリンアナログは、B鎖の28位が、天然Pro残基から、Asp、Lys、Leu、Val、Ala又はIleの一つに修飾され得るものでありうる。他の態様では、インスリンのB29位のLysは、Pro又はGluに修飾されている。一態様では、本発明に係るインスリンアナログは、インスリンのB28位のアミノ酸残基がPro、Asp、Lys、Leu、Val、又はAlaであり、B29位のアミノ酸残基がLys又はProであり、場合によってはB30位のアミノ酸残基が欠失されているものである。また、A21位のAsnは、Ala、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Met、Ser、Thr、Trp、Tyr又はVal、特にGly、Ala、Ser、又はThr、好ましくはGlyに修飾されうる。更に、B3位のAsnはLys、Thr、Ser、Gln、Glu又はAspに修飾されうる。インスリンアナログの更なる例は、des(B30)ヒトインスリン;des(B30)ヒトインスリンアナログ;PheB1が欠失されているインスリンアナログ;A鎖及び/又はB鎖がN末端伸長を有しているインスリンアナログ、及びA鎖及び/又はB鎖がC末端伸長を有しているインスリンアナログである。よって、1又は2のArgが、B1位に付加されうる。他の態様では、本発明に係るインスリンアナログは、des(B28−B30)ヒトインスリン、des(B27)ヒトインスリン又はdes(B30)ヒトインスリンである。更に他の態様では、本発明に係るインスリンアナログは、B3位のアミノ酸残基がLysであり、B29位のアミノ酸残基がGlu又はAspであるインスリンアナログである。
【0068】
他の態様では、本発明に係るインスリンアナログはdes(B28−B30)ヒトインスリン、des(B27)ヒトインスリン又はdes(B30)ヒトインスリンである。更に他の態様では、本発明に係るインスリンアナログは、B3位のアミノ酸残基がLysであり、B29位のアミノ酸残基がGlu又はAspであるインスリンアナログである。
他の態様では、インスリンペプチドは、AspB28ヒトインスリン;LysB28ProB29ヒトインスリン;LysB3GluB29ヒトインスリン及びA14GluB25HisdesB30ヒトインスリンからなる群から選択されるインスリンアナログである。
本発明に係るインスリンアナログは、例えば国際公開第2008/034881号 (Novo Nordisk)に記載されているように、プロテアーゼによる分解に対して保護することができる。
一態様では、本発明に係るインスリンアナログはプロテアーゼ保護されたインスリンアナログである。
【0069】
本発明の一態様では、プロテアーゼ保護インスリンアナログは、A14位のアミノ酸がGlu又はHisであり、B25位のアミノ酸がHisであり、更に一又は複数の変異を含むインスリンアナログ;
・A8位のアミノ酸がHisであり、及び/又はA12位のアミノ酸がGlu又はAspであり、及び/又はA13位のアミノ酸がHis、Asn、Glu又はAspであり、及び/又はA14位のアミノ酸がAsn、Gln、Glu、Arg、Asp、Gly又はHisであり、及び/又は A15位のアミノ酸がGlu又はAspであり;及び
・B1位のアミノ酸がGluであり、及び/又はB16位のアミノ酸がGlu又はHisであり及び又はB25位のアミノ酸がHisであり、及び/又はB26位のアミノ酸がHis、Gly、Asp又はThrであり、及び/又は B27位のアミノ酸がHis、Glu、Lys、Gly又はArgであり、及び/又はB28位のアミノ酸がHis、Gly又はAspであり;
場合によっては一又は複数の更なる変異を更に含むインスリンアナログ;あるいは
A14位のアミノ酸が、Lys、Glu、Arg、Asp、Pro及びHisからなる群から選択され;インスリンアナログのB鎖が親インスリンに対して少なくとも二の変異を含み、二又はそれ以上の変異がB27、B28、B29及びB30位のアミノ酸の欠失の形態であり、又はB30位のアミノ酸の欠失と、B25位をHisへ、B26位をGly又はGluへ、B27位をGly又はLysへ、及びB28位をAsp、His、Gly、Lys又はGluへのアミノ酸置換から選択されるアミノ酸の置換との組合せであるインスリンアナログである。
【0070】
また更なる態様では、本発明のインスリンは、ヒトインスリン;DesB30ヒトインスリン;AspB28ヒトインスリン;AspB28,DesB30ヒトインスリン;LysB3,GluB29ヒトインスリン;LysB28,ProB29ヒトインスリン;GluA14,HisB25ヒトインスリン;HisA14,HisB25ヒトインスリン;GluA14,HisB25,DesB30ヒトインスリン;HisA14,HisB25,DesB30ヒトインスリン;GluA14,HisB25,desB27,desB28,desB29,desB30ヒトインスリン;GluA14,HisB25,GluB27,desB30ヒトインスリン;GluA14,HisB16,HisB25,desB30ヒトインスリン;HisA14,HisB16,HisB25,desB30ヒトインスリン;HisA8,GluA14,HisB25,GluB27,desB30ヒトインスリン;HisA8,GluA14,GluB1,GluB16,HisB25,GluB27,desB30ヒトインスリン;及びHisA8,GluA14,GluB16,HisB25,desB30ヒトインスリンからなる群から選択される。
【0071】
GLP−1アナログは、GLP−1(7−37)の34位の天然に生じるLysがArgで置換されたものでありうる。
光学異性体が述べられていないアミノ酸は全てL−異性体を意味するものと理解されなければならない。
本発明の態様では、最大17アミノ酸が修飾される。本発明の態様では、最大15アミノ酸が修飾される。本発明の態様では、最大10アミノ酸が修飾される。本発明の態様では、最大8アミノ酸が修飾される。本発明の態様では、最大7アミノ酸が修飾される。本発明の態様では、最大6アミノ酸が修飾される。本発明の態様では、最大5アミノ酸が修飾される。本発明の態様では、最大4アミノ酸が修飾される。本発明の態様では、最大3アミノ酸が修飾される。本発明の態様では、最大2アミノ酸が修飾される。本発明の態様では、1アミノ酸が修飾されている。
「desB30インスリン」、「desB30ヒトインスリン」は、B30アミノ酸残基を欠くインスリン又はそのアナログである。
「親インスリン」は天然に生じるインスリン、例えばヒトインスリン又はブタインスリンを意味する。あるいは、親インスリンはインスリンアナログでありうる。
【0072】
本発明の一態様では、治療的に活性なポリペプチドはインスリンペプチドである。
本発明の一態様では、インスリンペプチドはヒトインスリン、ヒトインスリンのアナログ、ヒトインスリンの誘導体又はヒトインスリンアナログの誘導体である。
本発明の一態様では、インスリンペプチドはヒトインスリンである。
本発明の一態様では、インスリンペプチドはインスリン誘導体である。本発明の更なる態様では、インスリン誘導体は、B29−Nε−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン、B29−Nε−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン、B29−Nε−ミリストイルヒトインスリン、B29−Nε−パルミトイルヒトインスリン、B28−Nε−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン、B28−Nε−パルミトイルLysB28ProB29ヒトインスリン、B30−Nε−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン、B30−Nε−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン、B29−Nε−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン、B29−Nε−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン、B29−Nε−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン及びB29−Nε−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンからなる群から選択される。
本発明の他の態様では、インスリン誘導体はB29−Nε−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリンである。
【0073】
本発明の更なる態様では、インスリンペプチドは酸安定化インスリンである。
酸安定化インスリンは、次のアミノ酸残基置換の一つを有するヒトインスリンのアナログから選択されうる:
A21G
A21G,B28K,B29P
A21G,B28D
A21G,B28E
A21G,B3K,B29E
A21G,desB27
A21G,B9E
A21G,B9D
A21G,B10E。
【0074】
本発明の更なる態様では、インスリンペプチドはインスリンアナログである。インスリンアナログは、B28位がAsp、Lys、Leu、Val、又はAlaであり、B29位がLys又はProであるアナログ;及びdes(B28−B30)、des(B27)又はdes(B30)ヒトインスリンからなる群から選択されうる。
本発明の他の態様では、インスリンアナログは、B28位がAsp又はLysであり、B29位がLys又はProであるヒトインスリンのアナログである。
本発明の他の態様では、インスリンアナログはdes(B30)ヒトインスリンである。
本発明の他の態様では、インスリンアナログは、B28位がAspであるヒトインスリンのアナログである。
本発明の他の態様では、インスリンアナログは、B3位がLysであり、B29位がGlu又はAspであるアナログである。
【0075】
本発明の他の態様では、インスリンアナログ及び誘導体は、欧州特許出願公開第0792290号(Novo Nordisk A/S)、欧州特許出願公開第0214826号及び欧州特許出願公開第0705275(Novo Nordisk A/S)、米国特許第5504188号(EliLilly)、欧州特許出願公開第0368187号(Aventis)、米国特許第5750497号及び同第6011007号、欧州特許出願公開第375437号及び欧州特許出願公開第383472号に開示されたものから選択され、かかるインスリンには、限定されるものではないが、インスリングルリジン(Apidra(登録商標)としても知られ、B3位のアミノ酸アスパラギンがリジンによって置き換えられ、B29位のリジンがグルタミン酸によって置き換えられている点でヒトインスリンとは異なる)、LysB28ProB29ヒトインスリン(Humalog(登録商標))、及びAspB28ヒトインスリン(インスリンアスパルト(Novolog(登録商標)))が含まれうる。
本発明の一態様では、上記ヒトインスリンアナログはAspB28−ヒトインスリンである。本発明の他の態様では、上記ヒトインスリンアナログはLysB28,ProB29−ヒトインスリンである。本発明の他の態様では、上記ヒトインスリンアナログは、LysB3,GluB29−ヒトインスリン(インスリングルリジン)である。本発明の他の態様では、上記ヒトインスリンアナログはdes(B30)ヒトインスリンである。
【0076】
また、前駆体又は中間体の誘導体が本発明によってカバーされる。かかる誘導体の例は、ヒトインスリン又は連結ペプチドによって連結されたそのアナログ又は誘導体のB鎖及びA鎖を含む単鎖インスリンである。
本発明に係るインスリン誘導体は、天然に生じるインスリン又は例えばインスリン骨格の一又は複数の位置に側鎖を導入することによって又はインスリン中のアミノ酸残基の基を酸化又は還元することによって、又は遊離カルボキシル基をエステル基に又はアミド基に転換することによって化学的に修飾されたインスリンアナログである。他の誘導体は、例えばヒトインスリン又はdesB30ヒトインスリンのB29位において、遊離アミノ基又はヒドロキシ基をアシル化することによって得られる。アシル化ポリペプチドの非限定的な例は、例えば出典明示によりここに援用される国際公開第95/07931号に見出されうる。
【0077】
本発明の一態様では、治療的に活性なポリペプチドは、単鎖インスリン(例えば国際公開第2005/054291号に記載されたもの)、インスリン分泌性ペプチド、GLP−1(7−37)又はそのアナログ又は誘導体、インスリン模倣体(例えば国際公開第2006/018450号に記載されたもの)、エキセンディン又はそのアナログ又は誘導体、GLP−2又はそのアナログ又は誘導体、MC4レセプターに結合するポリペプチド、ヒト成長ホルモン又はそのアナログ、第VII因子又はそのアナログ、副甲状腺ホルモン又はそのアナログ、ヒト卵胞刺激ホルモン又はそのアナログ、増殖因子、例えば血小板由来増殖因子(PDGF)、オベスタチン、トランスフォーミング増殖因子α(TGF-α)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)、上皮細胞増殖因子(EGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、ソマトメジン、例えばインスリン増殖因子I(IGF-I)、インスリン増殖因子II(IFG-II)、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)又はアンジオポエチン、インターフェロン、プロ-ウロキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤2、フォンウィルブランド因子、サイトカイン、例えば、インターロイキン(IL)1、IL-1Ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-20又はIL-21のようなインターロイキン、GM-CSFのようなコロニー刺激因子(CFS)、幹細胞因子、腫瘍壊死因子、例えばTNF-α、リンホトキシン-α、リンホトキシン-β、CD40L、又はCD30L、プロテアーゼ阻害剤、例えばアプロチニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、リボヌクレアーゼ、カタラーゼ、ウリカーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、トリプシン、パパイン、アルカリホスファターゼ、β-グルクロニダーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ又はバトロキソビンのような酵素、オピオイド、例えばエンドルフィン、エンケファリン又は非天然オピオイド、ホルモン又はニューロペプチド、例えばカルシトニン、グルカゴン、ガストリン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、コレシストキニン、黄体化ホルモン、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン、絨毛性性腺刺激、コルチコトロピン放出因子、バソプレッシン、オキシトシン、抗利尿ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、リラキシン、プロラクチン、ペプチドYY、ニューロペプチドY、膵臓(pancreastic)ポリペプチド、レプチン、CART(コカイン及びアンフェタミン調節転写物)、CART関連ペプチド、ペリリピン(perilipin)、α-MSH又はACTHのようなメラノコルチンレセプター、メラニン濃縮ホルモン、ナトリウム利尿ペプチド、アドレノメデュリン、エンドセリン、セクレチン、アミリン、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、下垂体(pituary)アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、ボンベシン、ボンベシン様ペプチド、チモシン、ヘパリン結合タンパク質、可溶性CD4、視床下部放出因子、メラノトニン(melanotonins)及びそのアナログからなる群から選択される。
【0078】
立体構造安定なタンパク質ベースの薬剤は、生物学的活性を維持し、変性及びフィブリル化による不可逆的な構造の喪失を最小にするために重要である。特に大きなポリペプチド及びタンパク質は、複雑な再折り畳みパターンによる立体構造変化に関して不安定である。また、既知のフィブリル化の経緯を持つポリペプチド、例えばグルカゴン、GLP−1、インスリン及びアミリンは、三次構造の不安定化(つまり、溶融球状状態の形成)に対して特に感受性である。
【0079】
本発明の一態様では、治療的に活性なポリペプチドは100kDa未満、50kDa未満、又は10kDa未満の分子量を有する。
本発明の他の態様では、治療的に活性なポリペプチドは、100未満のアミノ酸、又は90未満のアミノ酸、又は60未満のアミノ酸を含む。本発明の他の態様では、治療的に活性なポリペプチドは、少なくとも10のアミノ酸、少なくとも15のアミノ酸、又は少なくとも20のアミノ酸を含む。本発明の更なる態様では、治療的に活性なポリペプチドは、10−100のアミノ酸、更なる態様では、15−90のアミノ酸、更なる態様では、20−80のアミノ酸、更なる態様では20−70のアミノ酸、更なる態様では25−70のアミノ酸、また更なる態様では25−65のアミノ酸、また更なる態様では25−60のアミノ酸又は25−55のアミノ酸を含む。また更なる態様では、治療的に活性なポリペプチドは30−70のアミノ酸、30−65のアミノ酸、30−60のアミノ酸又は30−55のアミノ酸を含む。
【0080】
薬学的組成物の保存(棚)安定性を増加させるために固化させることが有利であることが見出された。増加した保存安定性は、固化された薬学的組成物中においてポリペプチドがフィブリル化する傾向が少なくなるためであると思われる。
【0081】
ここで使用される「保存安定な薬学的組成物」なる用語は、少なくとも規制機関が治療用タンパク質に関連して要求する期間の間安定である薬学的組成物を意味する。好ましくは、保存安定な薬学的組成物は、5℃で少なくとも1年間安定である。保存安定性は化学的安定性並びに物理的安定性を含む。化学的安定性は、共有結合の分解、例えば加水分解、ラセミ化、酸化又は架橋を含む。製剤の化学的安定性は、逆相(RP−HPLC)及びサイズ排除クロマトグラフィー(SE−HPLC)によって評価される。本発明の一態様では、有効期間中のペプチド関連不純物の形成は全ペプチド顔料の20%未満である。本発明の更なる態様では、有効期間中のペプチド関連不純物の形成は10%未満である。本発明の更なる態様では、有効期間中のペプチド関連不純物の形成は5%未満である。RP-HPLC分析は典型的には水−アセトニトリル又は水−エタノール混合物中で実施される。一実施態様では、RP−HPLC工程における溶媒は、塩、例えばNaSO、(NHSO、NaCI、KCI、及びバッファー系、例えばリン酸塩、及びクエン酸塩及びマレイン酸を含む。溶媒中における塩の必要濃度は、約0.1Mから約1M、好ましくは0.2Mから0.5M、最も好ましくは0.3から0.4Mでありうる。塩濃度の増加は、適切な時間内にカラムからの溶離を達成するために有機溶媒の濃度の増加を必要とする。物理的不安定性は天然構造に対して立体構造変化を含み、それは高次構造の喪失、凝集、フィブリル化、沈降又は表面への吸着を含む。ペプチド、例えばインスリンペプチド、GLP−1化合物及びアミリン化合物は、フィブリル化により不安定になる傾向があることが知られている。製剤の物理的安定性は、異なった温度での様々な時間の間の製剤の貯蔵後に例えば視覚検査、比濁法及びチオフラビンTアッセイのような一般的な手段によって評価することができる。立体構造安定性は、例えばHudson及びAndersen, Peptide Science, vol 76 (4), pp. 298-308 (2004)に記載されているように、円二色性及びNMRによって評価することができる。
【0082】
ポリペプチド又はポリペプチド誘導体の生物学的活性は、例えば国際公開第2005/012347号に記載されたような当業者に知られたアッセイで測定することができる。
【0083】
本発明の一実施態様では、本発明に係る薬学的組成物は、6週を越える使用と3年を越える保存の間、安定している。
本発明の他の実施態様では、本発明に係る薬学的組成物は、4週を越える使用と3年を越える保存の間、安定している。
本発明の更なる実施態様では、本発明に係る薬学的組成物は、4週を越える使用と2年を越える保存の間、安定している。
本発明のまた更なる実施態様では、本発明に係る薬学的組成物は、2週を越える使用と2年を越える保存の間、安定している。
本発明のまた更なる実施態様では、本発明に係る薬学的組成物は、1週を越える使用と1年を越える保存の間、安定している。
【0084】
一実施態様では、本発明に係る薬学的組成物は、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常, 1型糖尿病、肥満症、高血圧、シンドロームX、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中、冠状動脈性心臓病、及び他の循環器疾患、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための医薬の調製に使用される。
他の実施態様では、本発明に係る薬学的組成物は、2型糖尿病の疾患進行を遅延させ又は防止するための医薬として使用される。
他の実施態様では、本発明に係る薬学的組成物は、食物摂取を減少させ、β細胞アポトーシスを減少させ、β細胞機能及びβ細胞量を増加させ、及び/又はβ細胞に対するグルコース感受性を回復させるための医薬として使用される。
【0085】
本発明の一実施態様では、本発明に係る薬学的組成物は、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満症、高血圧、シンドロームX、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病及び他の循環器疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための、又は2型糖尿病における疾患進行を遅延させ又は防止するための、又は食物摂取を減少させ、β細胞アポトーシスを減少させ、β細胞機能及びβ細胞量を増加させ、及び/又はβ細胞に対するグルコース感受性を回復させるための医薬としての使用のためのものである。
【0086】
本発明の更なる実施態様は、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満症、高血圧、シンドロームX、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病及び他の循環器疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための、又は2型糖尿病における疾患進行を遅延させ又は防止するための、又は食物摂取を減少させ、β細胞アポトーシスを減少させ、β細胞機能及びβ細胞量を増加させ、及び/又はβ細胞に対するグルコース感受性を回復させるための方法であり、該方法は、かかる治療を必要とする患者に本発明に係る薬学的組成物の治療有効量を投与することを含む。
【0087】
本発明に係る薬学的組成物を用いた治療は、例えば抗糖尿病薬、抗肥満薬、食欲調節剤、降圧薬、糖尿病から生じる又は糖尿病と関連する合併症及び疾患の治療及び/又は予防のための薬剤、及び/又は肥満症と関連する合併症及び疾患の治療及び/又は予防のための薬剤から選択される第二又はそれ以上の薬理学的に活性な物質での治療とまた併用されうる。これらの薬理学的に活性な物質の例は、GLP-1及びGLP-1誘導体及びアナログ、GLP-2及びGLP-2誘導体及びアナログ、エキセンディン-4及びエキセンディン-4誘導体及びアナログ、アミリン及びアミリン誘導体及びアナログ、スルホニル尿素、ビグアニド類、メグリチニド類、グルコシダーゼインヒビター、グルカゴンアンタゴニスト、DPP-IV(ジペプチジルペプチダーゼ-IV)インヒビター、グルコース新生及び/又はグリコーゲン分解の刺激に関与する肝酵素インヒビター、グルコース取込調節剤、脂質代謝を調節する化合物、例えば抗脂質異常症薬、例えばHMG CoAインヒビター(スタチン類)、食糧摂取量を低下させる化合物、RXRアゴニスト、及びβ細胞のATP依存性カリウムチャンネルに作用する薬剤;コレスチラミン、コレスチポール、クロフィブラート、ゲンフィブロジル(gemfibrozil)、ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、プロブコール、デキストロサイロキシン、ネテグリニド(neteglinide)、レパグリニド類;β-ブロッカー、例えばアルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロール及びメトプロロール、ACE(アンジオテンシン変換酵素)インヒビター、例えばベナゼプリル(benazepril)、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル(fosinopril)、リシノプリル、アラトリオプリル(alatriopril)、キナプリル及びラミプリル、カルシウムチャンネルブロッカー、例えばニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼム及びベパラミル、及びα-ブロッカー、例えばドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシン及びテラゾシン;CART(コカインアンフェタミン調節転写)アゴニスト、NPY(神経ペプチドY)アンタゴニスト、MC4(メラノコルチン4)アゴニスト、オレキシン(orexin)アンタゴニスト、TNF(腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF(コルチコトロピン放出因子)アゴニスト、CRF BP(コルチコトロピン放出因子結合タンパク質)アンタゴニスト、ウロコルチンアゴニスト、β3アゴニスト、MSH(メラノサイト刺激ホルモン)アゴニスト、MCH(メラノサイト集中ホルモン)アンタゴニスト、CCK(コレシストキニン)アゴニスト、セロトニン再摂取インヒビター、セロトニン及びノルアドレナリン再摂取インヒビター、混合セロトニン及びノルアドレナリン性化合物、5HT(セロトニン)アゴニスト、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、成長ホルモン放出化合物、TRH(チレオトロピン(thyreotropin)放出ホルモン)アゴニスト、UCP2又は3(脱共役タンパク質2又は3)モジュレーター、レプチンアゴニスト、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン(doprexin))、リパーゼ/アミラーゼインヒビター、RXR(レチノイドXレセプター)モジュレーター、TRβアゴニスト;ヒスタミンH3アンタゴニスト、ガストリン及びガストリンアナログ及び誘導体である。
【0088】
本発明に係る薬学的組成物中の治療的に活性なポリペプチドと場合によっては一又は複数の更なる薬理学的に活性な物質の任意の適切な組合せが本発明の範囲内であると考えられることが理解されなければならない。
【0089】
本発明に係る更なる実施態様
1.水溶性ポリペプチド(a)、該ポリペプチドのための少なくとも一種の極性有機溶媒(b)、少なくとも一種の界面活性剤(c)、少なくとも一種の親油性成分(d)、及び場合によっては少なくとも一種の固体親水性成分(e)を含有する固体又は半固体薬学的組成物であって、自然に分散可能な薬学的組成物。
2.10%w/w未満の水を含む実施態様1に記載の薬学的組成物。
3.5%w/w未満の水を含む実施態様1−2の何れか一に記載の薬学的組成物。
4.2%w/w未満の水を含む実施態様1−3の何れか一に記載の薬学的組成物。
5.極性有機溶媒がポリオールからなる群から選択される実施態様1−4の何れか一に記載の薬学的組成物。
6.極性有機溶媒がジオール及びトリオールからなる群から選択される実施態様1−5の何れか一に記載の薬学的組成物。
7.極性有機溶媒がプロピレングリコール、グリセロール及びそれらの混合物からなる群から選択される実施態様1−6の何れか一に記載の薬学的組成物。
8.極性有機溶媒がプロピレングリコールである実施態様7に記載の薬学的組成物。
9.極性有機溶媒がグリセロールである実施態様7に記載の薬学的組成物。
10.ポリペプチドが、インスリンペプチド、インスリン分泌性化合物、アミリン、アミリンアナログ、アミリン誘導体、α-MSH、α-MSHアナログ、α-MSH誘導体、及び/又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される実施態様1−9の何れか一に記載の薬学的組成物。
11.インスリン分泌性化合物がインスリン分泌性ペプチド又はアナログである実施態様1−10の何れか一に記載の薬学的組成物。
12.インスリン分泌性化合物が、DPP−IV保護ペプチドであるインスリン分泌性ペプチドである実施態様1−11の何れか一に記載の薬学的組成物。
13.上記インスリン分泌性ペプチドが、CH(CHCO−(該式中、nは4から38である)及びHOOC(CHCO−(該式中、mは4から38である)からなる群から選択される親油性置換基を含む実施態様1−12の何れか一に記載の薬学的組成物。
14.上記インスリン分泌性ペプチドがアシル化GLP−1又はアシル化GLP−1アナログである実施態様1−13の何れか一に記載の薬学的組成物。
15.上記GLP−1アナログが、Arg34−GLP−1(7−37)、Gly−GLP−1(7−36)−アミド、Gly−GLP−1(7−37)、Val−GLP−1(7−36)−アミド、Val−GLP−1(7−37)、Aib−GLP−1(7−36)−アミド、Aib−GLP−1(7−37)、ValAsp22−GLP−1(7−36)−アミド、ValAsp22−GLP−1(7−37)、ValGlu22−GLP−1(7−36)−アミド、ValGlu22−GLP−1(7−37)、ValLys22−GLP−1(7−36)−アミド、ValLys22−GLP−1(7−37)、ValArg22−GLP−1(7−36)−アミド、ValArg22−GLP−1(7−37)、ValHis22−GLP−1(7−36)−アミド、ValHis22−GLP−1(7−37)、ValTrp19Glu22−GLP−1(7−37)、ValGlu22Val25−GLP−1(7−37)、ValTyr16Glu22−GLP−1(7−37)、ValTrp16Glu22−GLP−1(7−37)、ValLeu16Glu22−GLP−1(7−37)、ValTyr18Glu22−GLP−1(7−37)、ValGlu22His37−GLP−1(7−37)、ValGlu22Ile33−GLP−1(7−37)、ValTrp16Glu22Val25Ile33−GLP−1(7−37)、ValTrp16Glu22Ile33−GLP−1(7−37)、ValGlu22Val25Ile33−GLP−1(7−37)、ValTrp16Glu22Val25−GLP−1(7−37)、及びそれらのアナログからなる群から選択される実施態様14に記載の薬学的組成物。
16.上記インスリン分泌性ペプチドが、Arg34,Lys26(Ne−(g−Glu(Na−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)である実施態様15に記載の薬学的組成物。
17.上記ンスリン分泌性ペプチドがエキセンディン−4又はZP−10、つまりHGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPSKKKKKK−NH2である実施態様11に記載の薬学的組成物。
18.上記インスリン分泌性ペプチドがアシル化エキセンディン−4又はアシル化エキセンディン−4アナログである実施態様11に記載の薬学的組成物。
19.上記インスリン分泌性ペプチドが、
[N−ε(17−カルボキシヘプタデカン酸)Lys20エキセンディン−4(1−39)−アミド[配列番号3]

又は
[N−ε32−(17−カルボキシ−ヘプタデカノイル)[Lys32]エキセンディン−4(1−39)−アミド[配列番号4]

である実施態様11に記載の薬学的組成物。
20.インスリンペプチドがインスリンアナログである実施態様1−11の何れか一に記載の薬学的組成物。
21.インスリンペプチドが、AspB28ヒトインスリン;LysB28ProB29ヒトインスリン;LysB3GluB29ヒトインスリン及びA14GluB25HisdesB30ヒトインスリンからなる群から選択されるインスリンアナログである実施態様請求項1−11の何れか一に記載の薬学的組成物。
22.極性有機溶媒がポリオールである実施態様1−21の何れか一に記載の薬学的組成物。
23.極性有機溶媒がグリセロールとプロピレングリコールの混合物である実施態様1−22の何れか一に記載の薬学的組成物。
24.極性有機溶媒がプロピレングリコールである実施態様1−23の何れか一に記載の薬学的組成物。
25.界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である実施態様1−24の何れか一に記載の薬学的組成物。
26.界面活性剤がポリオキシエチレン含有界面活性剤である実施態様1−25の何れか一に記載の薬学的組成物。
27.界面活性剤が、ポロキサマー及びポロキサマー混合物、例えばプルロニックF−127又はプルロニックF−68からなる群から選択される固体界面活性剤である実施態様1−26の何れか一に記載の薬学的組成物。
28.親油性成分がリン脂質である実施態様1−27の何れか一に記載の薬学的組成物。
29.親油性成分がモノ−ジ−トリグリセリドである実施態様1−28の何れか一に記載の薬学的組成物。
30.親油性成分がモノ−ジ−グリセリドである実施態様1−29の何れか一に記載の薬学的組成物。
31.固体である実施態様1−30の何れか一に記載の薬学的組成物。
32.半固体である実施態様1−31の何れか一に記載の薬学的組成物。
33.室温で固体であり、体温で液体である実施態様1−32の何れか一に記載の薬学的組成物。
34.(c)が固体又は半固体である実施態様1−33の何れか一に記載の薬学的組成物。
35.(d)が固体又は半固体である実施態様1−34の何れか一に記載の薬学的組成物。
36.固体親水性成分(e)を含有する実施態様1−33の何れか一に記載の薬学的組成物。
37.高血糖症の治療における医薬として使用するための実施態様1−36の何れか一に記載の薬学的組成物。
38.医薬として使用するための実施態様1−36の何れか一に記載の薬学的組成物。
39.肥満症の治療における医薬として使用するための実施態様1−36の何れか一に記載の薬学的組成物。
40.過食症又は大食症の治療における医薬として使用するための実施態様1−36の何れか一に記載の薬学的組成物。
41.実施態様1−36の何れか一に記載の薬学的組成物の有効量の経口投与を含む高血糖症の治療方法。
42.実施態様1−36の何れか一に記載の薬学的組成物の有効量の経口投与を含む肥満症の治療方法。
43.実施態様1−36の何れか一に記載の薬学的組成物の有効量の経口投与を含む過食症又は大食症の治療方法。
【0090】
ここで使用される「約」なる用語は、プラス又はマイナス10%のように、述べられた数値の合理的な近傍を意味する。
ここに引用した刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献が個々にかつ特に出典明示により援用され、その全体がここに記載されているのと同じ程度に、出典明示によりここに援用される。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的にのみ使用されており、決して本発明を限定するものとは解してはならない。
その全ての可能な変形例における上述の要素の任意の組合せも、他の記載が示されていないか文脈上はっきりと矛盾していない限りは、本発明に包含される。
発明を記述する文脈で使用される「a」及び「an」及び「the」なる用語と類似の指示対象は、ここで別の記載がなされていないか、文脈上はっきりと矛盾していない限りは、単数形及び複数形の双方をカバーしていると解されるものである。
ここでの値の範囲の記載は、他の記載が示されていない限りは、その範囲に入るそれぞれ別個の値に個々に言及することを省略する方法となるものであることを単に意図しており、それぞれ別個の値は、ここで個々に列挙されているように、明細書に援用される。他の記載がなされない限り、ここで提供される全ての正確な値は、対応する近似値の代表例である(例えば、特定の因子又は測定に対して提供される全ての正確な例示的値は、適切な場合は「約」により修飾される、対応する近似測定値をまた提供すると考えることができる)。
ここで記載される全ての方法は、ここで示され、前後関係ではっきりと矛盾していない限りは、任意の適切な順序で実施することができる。
ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に別段の記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も、明示的に記載していない限り、如何なる要素も本発明の実施に必須であることを示しているものと解してはならない。
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。
他に言及しない又は前後関係ではっきりと矛盾していない限りは、要素又は要素群に関して、「含有する」、「有する」、「含む」又は「含んでいる」等の用語を使用する本発明の任意の態様又は実施態様のここでの記載は、その特定の要素又は要素群「からなる」、「本質的になる」、又は「実質的に含む」本発明の類似した態様又は実施態様をサポートすることを意図したものである(例えば、特定の要素を含むものとしてここに記載されている製剤は、他に言及しない限り又は前後関係ではっきりと矛盾していないならば、その要素からなる製剤をまた記載しているものと理解すべきである)。
本発明は、適用される法律によって許容される最大の範囲で、ここに提示された態様又は特許請求の範囲に記載された主題事項のあらゆる変形例及び均等物を含む。
本発明を次の代表的な実施例で更に例証するが、これは本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。
上記説明及び次の実施例において開示した特徴は、別個にかつその任意の組合せとしても、本発明をその多様な形態で実施するための材料になり得る。
【実施例】
【0091】
実施例1 液滴の調製及び測定
プロピレングリコール、Capmul MCM、ポロキサマー407及びPEG3350を含有する組成物を調製した。600mgのCapmul MCM、200mgのポロキサマー407及び200mgのPEG3350を58℃で溶融させた後、1000mgのプロピレングリコール(37℃)と混合した。水性媒体中への希釈後、37℃でZetasizer NanoZSを用いて液滴サイズを測定した。

【0092】
実施例2 インスリンアスパルトを含有する薬学的組成物の経口投与
インスリンアスパルトを室温(RT)でプロピレングリコールに溶解させ、他の成分(58℃で予め溶融)と混合して透明な相を得、腸溶性コーティングHPMCカプセル剤に満たし、固化させるために冷蔵庫に保存した。
4晩絶食させた非糖尿病のイヌ(体重(BW)17kg)に、69mgのインスリンアスパルト、447mgのプロピレングリコール、200mgのCapmul MCM、66.7mgのプルロニックF127及び66.7mgのPEG3350を含む腸溶性コーティングカプセルを経口的に投与した。血糖値の減少を図1に示す。
【0093】
実施例3 インスリンアナログA14GluB25HisdesB30ヒトインスリンを含有する薬学的組成物の経口投与
該インスリンアナログをRTでプロピレングリコールに溶解させ、他の成分(58℃で予め溶融)と混合して透明な相を得、腸溶性コーティングHPMCカプセル剤に満たし、固化させるために冷蔵庫に保存した。4晩絶食させた非糖尿病のイヌ(BW17kg)に、46mgのA14GluB25HisdesB30ヒトインスリン、431mgのプロピレングリコール、223.8mgのCapmul MCM、74.6mgのプルロニックF127及び74.6mgのPEG3350を含む腸溶性コーティングカプセルを経口的に投与した。血糖値の減少を図2に示す。
【0094】
実施例4 非糖尿病SPRDラットへのインスリンアスパルト又はビヒクルコントロールの経口投与(経管栄養)後の血糖値の減少
非糖尿病ラットにおける血糖値の減少を次の後に調べた:
1)インスリンアスパルトを、プロピレングリコールに溶解させたインスリンアスパルト(全組成の62.5%)を含有し、Capmul MCMC10(全組成物の31.25%)及びポロキサマー407(全組成物の6.25%)と混合した自然に分散可能なプレコンセントレイトドラッグデリバリーシステム(SEDDS)で、9600nmol/kgの濃度で経口的に投与した。
2)インスリンアスパルトを、HO中9800nmol/kgの濃度で経口的に投与した。
3)62.5%のプロピレングリコール、31.25%のCapmul MCMC10及び6.25%のポロキサマー407を含むビヒクルSEDDSを経口的に投与した。SEDDSは投与前に35℃で溶融させた。
(平均±SEM、n=5−6、用量体積=4ml/kg)。達成された血糖値の低下を図3に示す。
【0095】
実施例5 非糖尿病SPRDラットへのA14GluB25HisdesB30ヒトインスリン又はビヒクルの経口投与(経管栄養)後の血糖値の減少
非糖尿病ラットにおける血糖値の減少を次の後に調べた:
1)A14GluB25HisdesB30ヒトインスリンを、プロピレングリコールに溶解させたA14GluB25HisdesB30ヒトインスリン(全組成の62.5%)を含有し、Capmul MCMC10(全組成物の31.25%)及びポロキサマー407(全組成物の6.25%)と混合した自然に分散可能なプレコンセントレイトドラッグデリバリーシステム(SEDDS)で、4800nmol/kgの濃度で経口的に投与した。
2)A14GluB25HisdesB30ヒトインスリンを、HO中4880nmol/kgの濃度で経口的に投与した。
3)62.5%のプロピレングリコール、31.25%のCapmul MCMC10及び6.25%のポロキサマー407を含むビヒクルSEDDSを経口的に投与した。SEDDSは投与前に35℃で溶融させた。
(平均±SEM、n=5−6、用量体積=4ml/kg)。達成された血糖値の低下を図4に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ポリペプチド(a)、該ポリペプチドのための少なくとも一種の極性有機溶媒(b)、少なくとも一種の界面活性剤(c)、少なくとも一種の親油性成分(d)、及び場合によっては少なくとも一種の固体親水性成分(e)を含有する固体又は半固体薬学的組成物であって、自然に分散可能な薬学的組成物。
【請求項2】
10%w/w未満の水を含む請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
有機溶媒がポリオールからなる群から選択される請求項1から3の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
有機溶媒が、プロピレングリコール, グリセロール及びその混合物からなる群から選択される請求項1から3の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
有機溶媒がプロピレングリコールである請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
ポリペプチドが、インスリンペプチド、インスリン分泌性化合物、アミリン、アミリンアナログ、アミリン誘導体、α-MSH、α-MSHアナログ、α-MSH誘導体、及び/又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される請求項1から請求項5の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
インスリン分泌性化合物が、インスリン分泌性ペプチドである請求項1から6の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
インスリンペプチドがインスリンアナログである請求項1から7の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
インスリンペプチドが、AspB28ヒトインスリン;LysB28ProB29ヒトインスリン;LysB3GluB29ヒトインスリン及びA14GluB25HisdesB30ヒトインスリンからなる群から選択されるインスリンアナログである請求項1から8の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
界面活性剤が非イオン性界面活性剤である請求項1から9の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
界面活性剤が、ポロキサマー及びポロキサマー混合物、例えばプルロニックF−127又はプルロニックF−68からなる群から選択される固体界面活性剤である請求項1から10の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
親油性成分がモノ−ジ−グリセリドである請求項1から11の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
固体の親水性成分(e)を含有する請求項1から12の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
高血糖症の治療における医薬として使用するための請求項1から13の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
請求項1から14の何れか一項に記載の薬学的組成物の有効量の経口投与を含む高血糖症の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−504871(P2011−504871A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509832(P2010−509832)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056686
【国際公開番号】WO2008/145728
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】