説明

固体撮像素子テスト装置

【課題】固体撮像素子の駆動回路信号出力で光源を制御し、固体撮像素子に依存することなく、光電変換出力から駆動回路と点灯時間の特性を確認する。
【解決手段】ゲート電極にパルス信号を印加してフォトダイオード出力を選択する駆動回路部は、垂直,水平駆動回路部12,13のレジスタ14を直列接続したシフトレジスタで構成する。駆動回路部のデジタル出力信号8(シフトレジスタの出力パルス信号)を光源制御部10で受けて光源3の制御を行う。デジタル出力信号8は、固体撮像素子1の垂直,水平駆動回路最終段出力端子16,18、垂直,水平駆動回路途中段出力端子19,20からの駆動回路信号出力であり、これを用いて光源3を制御する場合、固体撮像素子1の駆動に同期した光源3の点灯制御ができる。また、垂直,水平の駆動回路部出力を用いて、固体撮像素子1のアナログ出力信号6を検査し、固体撮像素子1の駆動回路部の動作を確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子のテスト装置に係り、特にテスト装置の光源を固体撮像素子の出力を用いて制御する検査方法を行う固体撮像素子テスト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の固体撮像素子の検査は、検査対象の固体撮像素子に光を照射し、その光をフォトダイオードにより光電変換し信号電荷に変換させて、この固体撮像素子からの信号出力をモニタすることで駆動回路系の故障及び光電変換系の故障のスクリーニングを行う。この検査を効率良く行うために、固体撮像素子の内部状態を外部から制御するなどして検査を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下に、従来の方法により固体撮像素子を検査するテスト装置の構成について説明する。図5に示すように、駆動制御部5とアナログ信号処理部7と光源制御部10を有するテスト装置2、及びテスト装置2からの光源制御信号9を受けて点灯する光源3からなる。テスト装置2から駆動制御信号4を受けて固体撮像素子1を駆動させ、固体撮像素子1のアナログ出力信号6をテスト装置2のアナログ信号処理部7で処理する。そして、アナログ信号処理部7で得た信号の特性を基にしてスクリーニングを行う。固体撮像素子1のアナログ出力レベルは、光源3の光量により異なるため、固体撮像素子1の特性を検査するためにはテスト装置2から光源3の輝度を制御している。
【特許文献1】特開2001−8237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成のテスト装置では、駆動回路の動作不良を固体撮像素子からの光電変換出力から判断しており、回路の駆動状態を確認するためには、光源の光量を変化させたときの固体撮像素子の光電変換出力を用いるなどにより行っていたため、検査時間の増加、及び検査精度の低下を招いていた。また、光源の点灯においては、光量の制御が主流であり、個々の固体撮像素子に応じて、駆動タイミングに同期して点灯時間を制御するためには、テスト装置の構成を変更する必要があることから、検査コスト増加にもつながるという問題があった。
【0005】
本発明は、前記従来技術の問題を解決することに指向するものであり、固体撮像素子の駆動回路信号出力を用いて光源を制御することにより、固体撮像素子に依存することなく、光電変換出力から駆動回路確認、点灯時間に対する特性確認を行うために有効な固体撮像素子テスト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明に係る固体撮像素子テスト装置は、半導体基板上に、入射光を光電変換して信号電荷を蓄積する複数のフォトダイオードと、フォトダイオードに隣接して形成されたゲート電極に信号電荷を読み出すためにパルス信号を印加する駆動回路部とを有する固体撮像素子と、固体撮像素子に入射光を照射する光源と、駆動回路部を駆動するタイミングを制御する駆動制御部と、少なくとも駆動回路部からの出力により光源の点灯及び消灯を制御する光源制御部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、駆動回路部は、垂直駆動回路部及び水平駆動回路部を備えたこと、また、垂直駆動回路部あるいは水平駆動回路部をシフトレジスタで構成し、光源の点灯及び消灯のタイミングを、シフトレジスタからの出力パルス信号により制御すること、また、シフトレジスタの最終段からの出力パルス信号により制御すること、また、シフトレジスタの出力パルス信号周期のn(nは整数)倍の周期をカウントすることにより、光源制御部において、光源の点灯時間を制御することを特徴とする。
【0008】
さらに、光源を複数の光源から構成し、各光源は固体撮像素子に対して空間的に異なる位置に設置したことを特徴とする。
【0009】
前記構成によれば、固体撮像素子内部における駆動回路部の動作の確認と、光源点灯時間に依存した固体撮像素子の光電変換特性を同時に検査することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、固体撮像素子内部における駆動回路動作の確認、及び光源点灯時間に依存した固体撮像素子の光電変換特性を同時に検査して検査時間を短縮し、かつ固体撮像素子の型式等に依存することなく、光電変換出力から駆動回路確認や点灯時間に対する特性確認ができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の形態における固体撮像素子を検査するための固体撮像素子テスト装置の概略構成を示す図である。ここで、前記従来例を示す図5において説明した構成部材に対応し実質的に同等の機能を有するものには同一の符号を付して示す。
【0013】
図1に示すように、固体撮像素子1はテスト装置2の駆動制御部5から出力する駆動制御信号4を受けて駆動回路部(図示せず)が動作し、ゲート電極(図示せず)にパルス信号を印加することで各フォトダイオード(図示せず)の信号電荷を読み出す。光電変換出力はアナログ出力信号6としてアナログ信号処理部7に入力して検査を行う。
【0014】
また、図2は本実施の形態におけるテスト装置の検査に用いる固体撮像素子の概略構成を示す図である。図2に示すように、撮像エリア11には、入射光を光電変換して信号電荷を蓄積する複数のフォトダイオード(図示せず)を形成し、各フォトダイオードに隣接して形成されたゲート電極(図示せず)を有しており、このゲート電極にパルス信号を印加することで信号電荷を読み出す。垂直駆動回路部12と水平駆動回路部13からなる駆動回路部により、ゲート電極にパルス信号を印加することでフォトダイオードの出力を選択する構成となっている。垂直駆動回路部12及び水平駆動回路部13はレジスタ14を直列に接続したシフトレジスタで構成する。
【0015】
ここで、垂直駆動回路部12の垂直駆動回路最終段出力信号15を垂直駆動回路最終段出力端子16として、固体撮像素子1の外部からモニタ可能なように構成する。また水平駆動回路部13も同様に、水平駆動回路最終段出力信号17を水平駆動回路最終段出力端子18として、固体撮像素子1の外部からモニタ可能なように構成する。また、垂直駆動回路部12のシフトレジスタの途中の出力を垂直駆動回路途中段出力端子19として、同様に水平駆動回路部13のシフトレジスタの途中の出力を水平駆動回路途中段出力端子20として、複数構成するものであってもかまわない。
【0016】
垂直駆動回路部12と水平駆動回路部13からなる駆動回路部のデジタル出力信号8、具体的にはシフトレジスタの出力パルス信号(垂直駆動回路最終段出力端子16あるいは水平駆動回路最終段出力端子18)を光源制御部10で受けて、これを基にして光源3の点灯及び消灯の制御を行う。
【0017】
デジタル出力信号8は、固体撮像素子1の垂直駆動回路最終段出力端子16、垂直駆動回路途中段出力端子19、水平駆動回路最終段出力端子18または水平駆動回路途中段出力端子20からの駆動回路信号出力である。デジタル出力信号8を用いて光源3を制御する場合は、従来の光源制御部10を用いて制御する場合と異なり、固体撮像素子1の駆動に同期した光源3の点灯が可能となる。また、垂直及び水平の駆動回路部の出力を用いて、固体撮像素子1のアナログ出力信号6を検査することにより、固体撮像素子1の駆動回路部の動作不良を確認することが可能となる。
【0018】
なお、前述の実施の形態においてデジタル出力信号8を、いったん、光源制御部10で受けて適正なタイミングで光源3の点灯及び消灯を制御したが、デジタル出力信号8により光源3の点灯及び消灯を直接制御してもかまわない。
【0019】
図3(a)は本実施の形態における固体撮像素子の出力により、取付け位置の異なる光源を制御する構成を示した図である。固体撮像素子1の駆動回路部の信号出力により、上部光源21、下部光源22、左部光源23、右部光源24を点灯させる。各光源の点灯方法は、特定光源を1つ点灯、複数の光源を同時に点灯、あるいは1つの光源を順次点灯させることが可能であり、固体撮像素子1の出力を受けて外部より制御する。
【0020】
図3(b)〜(e)は、各光源を点灯させた場合の撮像エリア11の出力をフレームに構成した撮像エリアイメージ25であり、上部光源21を点灯した場合は図3(b)に示すように上が明るく、下が暗い撮像エリアイメージ25となる。下部光源22を点灯させた場合は図3(c)に示すように下が明るく、上が暗い撮像エリアイメージ25になる。左部光源23が点灯した場合は図3(d)に示すように左が明るく、右が暗い撮像エリアイメージ25となる。右部光源24を点灯させた場合は図3(e)に示すように右が明るく、左が暗い撮像エリアイメージ25の出力となる。
【0021】
このように、テスト装置2のアナログ信号処理部7に取り込んだ撮像エリアイメージ25を検査することにより、どの方向の光源が点灯したかがわかる。そのため、固体撮像素子1の垂直及び水平駆動回路部の各信号出力による駆動回路動作確認を光源3の位置から判断することが可能となる。
【0022】
図4は本実施の形態における固体撮像素子の出力により、光源の点灯時間を制御する構成の一例を示した図である。まず、垂直駆動回路最終段出力信号15を用いた光源3の点灯時間制御について説明する。垂直カウンタ部29の垂直ベースカウンタ30にカウントする値を設定し、その設定値を垂直カウンタ31に転送する。固体撮像素子1の垂直駆動回路最終段出力端子16からの信号を受けて、垂直カウンタ31はダウンカウントを行い、結果を光源コントロール部32に渡して光源3の点灯及び消灯を制御させる。
【0023】
つまり、垂直駆動回路最終段出力信号15は固体撮像素子1の全画素出力(1フレーム分の出力)時間に1回の周期で出力パルス信号を出力することから、n(nは整数)フレーム時間光源3を点灯させるときは垂直ベースカウンタ30にn(nは整数)をセットし、セットしたn(nは整数)倍のフレーム時間で光源3を点灯させることができる。
【0024】
次に、水平駆動回路最終段出力信号17を用いた光源3の点灯時間制御について説明する。水平カウンタ部26の水平ベースカウンタ27にカウントする値を設定し、その設定値を水平カウンタ28に転送する。固体撮像素子1の水平駆動回路最終段出力端子18からの信号を受けて、水平カウンタ28はダウンカウントを行い、結果を光源コントロール部32に渡して光源3の点灯及び消灯を制御させる。
【0025】
垂直駆動回路最終段出力信号15を用いた点灯時間制御と同様に、水平駆動回路最終段出力信号17は1水平行出力時間に1回の周期で出力パルス信号を出力することから、m(mは整数)行時間光源3を点灯させるときは水平ベースカウンタ27にm(mは整数)をセットし、セットしたm(mは整数)倍行の時間光源3を点灯させることができる。
【0026】
また、光源3の点灯時間制御はフレーム周期で出力制御する垂直カウンタ部29と水平行周期で出力制御する水平カウンタ部26の出力を組み合わせて使用して制御することも可能であり、この場合、nフレーム+m行の時間で光源3を点灯させる制御ができる。
【0027】
以上のことから、固体撮像素子1における垂直,水平駆動回路部12,13の動作の確認と、光源3の点灯時間に依存した固体撮像素子1の光電変換特性を同時に検査することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る固体撮像素子テスト装置は、固体撮像素子内部における駆動回路部の動作確認、及び光源点灯時間に依存した固体撮像素子の光電変換特性を同時に検査して検査時間を短縮し、かつ固体撮像素子の型式等に依存することなく、光電変換出力から駆動回路確認、点灯時間に対する特性確認等を行うことができ、テスト装置の光源を固体撮像素子の出力を用いて制御する検査方法を行うテスト装置に用いて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態における固体撮像素子を検査するためのテスト装置の概略構成を示す図
【図2】本実施の形態におけるテスト装置の検査に用いる固体撮像素子の概略構成を示す図
【図3】本実施の形態における固体撮像素子の取付け位置の異なる光源の配置構成(a)と、上部光源(b)、下部光源(c)、左部光源(d)、右部光源(e)によるフレーム構成の撮像エリアイメージを示す図
【図4】本実施の形態における固体撮像素子の出力により、光源の点灯時間を制御する構成の一例を示した図
【図5】従来の固体撮像素子を検査するためのテスト装置の概略構成を示す図
【符号の説明】
【0030】
1 固体撮像素子
2 テスト装置
3 光源
4 駆動制御信号
5 駆動制御部
6 アナログ出力信号
7 アナログ信号処理部
8 デジタル出力信号
9 光源制御信号
10 光源制御部
11 撮像エリア
12 垂直駆動回路部
13 水平駆動回路部
14 レジスタ
15 垂直駆動回路最終段出力信号
16 垂直駆動回路最終段出力端子
17 水平駆動回路最終段出力信号
18 水平駆動回路最終段出力端子
19 垂直駆動回路途中段出力端子
20 水平駆動回路途中段出力端子
21 上部光源
22 下部光源
23 左部光源
24 右部光源
25 撮像エリアイメージ
26 水平カウンタ部
27 水平ベースカウンタ
28 水平カウンタ
29 垂直カウンタ部
30 垂直ベースカウンタ
31 垂直カウンタ
32 光源コントロール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に、入射光を光電変換して信号電荷を蓄積する複数のフォトダイオードと、前記フォトダイオードに隣接して形成されたゲート電極に前記信号電荷を読み出すためにパルス信号を印加する駆動回路部とを有する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子に前記入射光を照射する光源と、
前記駆動回路部を駆動するタイミングを制御する駆動制御部と、
少なくとも前記駆動回路部からの出力により光源の点灯及び消灯を制御する光源制御部とを備えたことを特徴とする固体撮像素子テスト装置。
【請求項2】
前記駆動回路部に、垂直駆動回路部及び水平駆動回路部を備えたことを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子テスト装置。
【請求項3】
前記垂直駆動回路部あるいは前記水平駆動回路部をシフトレジスタで構成し、光源の点灯及び消灯のタイミングを、前記シフトレジスタからの出力パルス信号により制御することを特徴とする請求項2記載の固体撮像素子テスト装置。
【請求項4】
前記光源の点灯及び消灯のタイミングを、シフトレジスタの最終段からの出力パルス信号により制御することを特徴とする請求項3記載の固体撮像素子テスト装置。
【請求項5】
前記シフトレジスタの出力パルス信号周期のn(nは整数)倍の周期をカウントすることにより、光源の点灯時間を制御することを特徴とする請求項3または4記載の固体撮像素子テスト装置。
【請求項6】
前記光源を複数の光源から構成し、前記各光源を固体撮像素子に対して空間的に異なる位置に設置したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体撮像素子テスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−108971(P2006−108971A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291201(P2004−291201)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】