説明

固体撮像装置の評価方法

【課題】固体撮像装置の水平電荷転送部起因の不良成分と、画素、垂直電荷転送部内の水平混色成分、スミア成分、逆ブルーミング成分とを分離することを可能とする。
【解決手段】垂直電荷転送部31と、水平電荷転送部41と、画素有効部水平方向の最終列の垂直電荷転送部31Eに対して水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部31Bに信号電荷を列単位で選択的に阻止するホールドゲート部51とを備え、ホールドゲート部51のON、ONにより、垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送した際に、水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に信号電荷が検出されるか判断することで、検出された信号電荷が水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足もしくは転送不良であるか、水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足および転送不良以外の画素部の水平混色、スミア、ブルーミングであると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CCDイメージセンサでは、水平CCDレジスタ内で、取り扱い電荷量の不足、電荷の転送不良が発生した場合、1ないしはそれ以上のオプティカルブラック部のパケットに、電荷がもれこむ現象が発生する。この現象が発生すると、電荷が検出されないはずのオプティカルブラックに電荷が発生しているように見えてしまい、出力信号として誤認識される。
【0003】
また、画素内もしくは垂直CCDレジスタ内で水平方向に混色が発生した場合も同様に、水平方向のオプティカルブラック領域のパケットに信号が発生する可能性がある。このため、両者の信号を分離することが難しかった。また、スミア成分、逆方向のブルーミング成分も同様に、オプティカルブラック領域のパケットに信号が発生する可能性がある。
【0004】
上述の現象が同時に発生してしまうと、それが水平CCDレジスタ起因の現象なのか、それ以外に起因する現象なのか、分離が非常に難しくなる。
【0005】
上記状態を評価する方法として、例えば、図8に示す方法がある。
【0006】
図8に示すように、第1ステップS101の「V転送/H転送」で、垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する。すなわち、垂直電荷転送部と水平電荷転送部とを駆動する。そして、第2ステップS102の「水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックに信号電検出されるか?」で、水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に信号が発生するか否かを判断する。ここで、信号が発生した「Yes」場合には、第3ステップS103の「検出された信号は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足もしくは転送不良によるもの、画素部の水平混色、スミア、ブルーミングによるものが混ざったもの」で、検出された信号は、水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足もしくは転送不良によるものと、または画素部の水平混色成分、スミア、ブルーミング等によるものとが混合したものと判断することができる。一方、信号が発生しない「No」場合には、上記各成分は発生していないと判断することができる。上記各判断結果を得て、測定を終了する。
【0007】
また、従来の固体撮像装置の評価方法として、画像欠陥を引き起こす画素信号のノイズ成分を発生原因別に分離して抽出する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この評価方法は、固体撮像装置の出力信号に基づいて、スミアに関する第1ノイズ成分をブルーミングに関する第2ノイズ成分と分離して抽出し、評価する方法である。
【0008】
【特許文献1】特開2001−285899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、固体撮像装置の評価において、その要因分離が難しかった、水平CCDレジスタ起因の不良成分と、画素、垂直CCDレジスタ内の水平混色成分、スミア成分、逆ブルーミング成分等とを容易に分離することが困難な点である。
【0010】
本発明は、水平電荷転送部(例えば水平CCDレジスタ)起因の不良成分と、画素、垂直電荷転送部(例えば垂直CCDレジスタ)内の水平混色成分、スミア成分、逆ブルーミング成分等とを分離することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る本発明は、水平電荷転送部に起因した不良成分と水平電荷転送部以外に起因した不良成分とを分離して評価する固体撮像装置の評価方法であって、前記固体撮像装置は、入射光を受光して光電変換するセンサ部から読み出された信号電荷が行配列方向に転送される垂直電荷転送部と、前記信号電荷が列配列方向に転送される水平電荷転送部と、画素有効部水平方向の最終列の前記垂直電荷転送部に対して水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に前記信号電荷を列単位で選択的に阻止するホールドゲート部とを備え、前記ホールドゲート部をOFF状態とする工程と、垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する工程と、前記水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの列に信号電荷が検出されるか判断する工程と、前記信号電荷が検出されるか判断する工程において、信号電荷が検出された場合には、検出された信号電荷は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足もしくは転送不良と判断する工程と、前記信号電荷が検出されるか判断する工程において、信号電荷が検出されない場合には、次の工程に進むことを特徴とする。
【0012】
請求項1に係る本発明では、ホールドゲート部をOFF状態として、垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送することから、ホールドゲート部には、水平方向後ろ1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部の信号(画素、垂直電荷転送部内の水平混色成分、スミア成分、逆方向のブルーミング成分(読み出しゲート側ではなくチャネルストップ側のブルーミング)等を含む)がホールドゲート部でせき止められる。その際、有効部水平方向最終列の信号はせき止められずに水平電荷転送部へ転送させる。この状態で水平電荷転送部を駆動し、水平方向後ろ1ビット目に信号が表れれば、画素内混色、スミア等の成分はホールド電極でせき止められているため、水平電荷転送部起因の現象と判断することができる。
【0013】
請求項2に係る本発明は、水平電荷転送部に起因した不良成分と水平電荷転送部以外に起因した不良成分とを分離して評価する固体撮像装置の評価方法であって、前記固体撮像装置は、入射光を受光して光電変換するセンサ部から読み出された信号電荷が行配列方向に転送される垂直電荷転送部と、前記信号電荷が列配列方向に転送される水平電荷転送部と、画素有効部水平方向の最終列の前記垂直電荷転送部に対して水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に前記信号電荷を列単位で選択的に阻止するホールドゲート部とを備え、前記ホールドゲート部をON状態とする工程と、垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する工程と、前記水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックに信号電荷が検出されるか判断する工程と、前記信号電荷が検出されるか判断する工程において、信号電荷が検出された場合には、検出された信号電荷は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足および転送不良以外の画素部の水平混色、スミアもしくはブルーミングの信号と判断する工程と、前記信号電荷が検出されるか判断する工程において、信号電荷が検出されない場合には、次の工程に進むことを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る本発明では、ホールドゲート部をON状態として、垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する。すなわち、垂直電荷転送部と水平電荷転送部とを駆動することから、水平方向後ろ1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に発生する信号は、水平電荷転送部以外に起因するもの(画素内もしくは垂直電荷転送部内での水平混色成分、スミア、逆方向のブルーミング(読み出しゲート側ではなくチャネルストップ側のブルーミング)等の成分)と判断することができる。また、上記信号からスミア、逆方向のブルーミング成分を差し引くことができれば、純粋な水平方向混色量を求めることも可能となる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る本発明によれば、固体撮像装置の評価において、その要因分離が難しかった、水平電荷転送部に起因の不良成分を容易に抽出することが可能となるという利点がある。
【0016】
請求項2に係る本発明によれば、固体撮像装置の評価において、その要因分離が難しかった、水平電荷転送部以外に起因する、画素、垂直電荷転送部内の水平混色成分、スミア成分、逆ブルーミング成分等を容易に抽出することが可能となる。また、この分離を利用することにより、画素、垂直電荷転送部内の純粋な水平混色成分を抽出することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一実施の形態(第1実施例および第2実施例)を、図1のフローチャートおよび、図2〜図4の概略レイアウト図によって説明する。
【0018】
本発明の固体撮像装置の評価方法は、水平電荷転送部41に起因した不良成分と水平電荷転送部41以外に起因した不良成分とを分離して評価する。まず、図2に示すように、固体撮像装置1は、入射光を受光して光電変換するセンサ部21から読み出された信号電荷が行配列方向に転送される垂直電荷転送部31を備えている。また、この信号電荷が列配列方向に転送される水平電荷転送部41を備えている。さらに、画素有効部水平方向の最終列の垂直電荷転送部31(31E)に対して水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部31(31B)に前記信号電荷を列単位で選択的に阻止するホールドゲート部51とを備えている。
【0019】
このような固体撮像装置1において、図1に示すように、第1実施例では以下のように評価を行う。まず、「測定開始」により測定を始める。そして、第1ステップS1の「ホールドゲートをOFF」で、ホールドゲート部51をOFF状態とする工程を行う。
【0020】
次に、第2ステップS2の「V転送/H転送」で、垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する。
【0021】
次に、第3ステップS3の「水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックに信号電検出されるか?」で、水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に信号電荷が検出されるか否かを判断する。
【0022】
上記第3ステップS3の信号電荷が検出されるか否かを判断する工程において、信号電荷が検出された「Yes」場合には、第4ステップS4の「検出された信号は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足もしくは転送不良によるもの」で、検出された信号電荷は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足もしくは転送不良と判断する。また、上記第3ステップS3の信号電荷が検出されるか否かを判断する工程において、信号電荷が検出されない「No」場合には、次の工程(ステップ)に進む。
【0023】
上記第1実施例を、図3のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0024】
図3に示すように、「測定開始」により測定を始める。そして、第1ステップS1の「ホールドゲートをOFF」で、ホールドゲート部51をOFF状態とする工程を行う。
【0025】
次に、第2ステップS2の「V転送/H転送」で、垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する。この第2ステップS2では、まず、ステップS21の「垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送」で、垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する。ここでは、ホールドゲートが無いライン、すなわち、画素有効部の垂直電荷転送部の信号を水平電荷転送部に転送する。またホールドゲートがあるライン、すなわち、画素有効部水平方向最終列の垂直電荷転送部31(31E)の水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部の信号は水平電荷転送部に転送されない。
【0026】
そして、ステップS22の「転送終了」で、上記信号電荷の転送を停止する。
【0027】
次に、ステップS23の「水平転送(出力回路部で信号電荷を検出」で、水平電荷転送部を転送された信号電荷を出力回路部で検出する。ここでは、ホールドゲートがあるライン、すなわち、画素有効部水平方向最終列の垂直電荷転送部31(31E)の水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部の画素部の水平混色、スミア、ブルーミング等の成分が水平電荷転送部に存在しない状態で、信号電荷が水平転送される。
【0028】
そして、ステップS24の「転送終了」で、上記水平方向への信号電荷の転送を停止する。
【0029】
その後、前記図1によって説明したように、第3ステップS3の「水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックに信号電検出されるか?」で、水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に信号電荷が検出されるか否かを判断する。
【0030】
上記第3ステップS3の信号電荷が検出されるか否かを判断する工程において、信号電荷が検出された「Yes」場合には、第4ステップS4の「検出された信号は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足もしくは転送不良によるもの」で、検出された信号電荷は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足もしくは転送不良と判断する。また、上記第3ステップS3の信号電荷が検出されるか否かを判断する工程において、信号電荷が検出されない「No」場合には、「水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足および転送不良は発生せず」と判断して、次の工程(ステップ)に進む。
【0031】
上記第1実施例では、図4に示すように、垂直電荷転送部31を転送されてきた信号電荷のうち、画素有効部水平方向最終列の垂直電荷転送部31(31E)を転送されてきた信号電荷は水平電荷転送部41に転送され、水平電荷転送部41によって出力側に水平転送される。一方、垂直電荷転送部31(31E)の水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部31(31B)を転送されてきた信号電荷はホールドゲート51によってせき止められ、水平電荷転送部41に転送されない。この状態で水平電荷転送部41を駆動し、水平方向後ろ1ビット目に信号が表れれば、画素内混色、スミア等の成分はホールド電極でせき止められているため、水平電荷転送部41起因の現象と判断することができる。
【0032】
次に、第2実施例では以下のように評価を行う。まず、図1に示すように、第5ステップS5の「ホールドゲートをON」で、ホールドゲート部51をON状態とする工程を行う。
【0033】
次に、第6ステップS6の「V転送/H転送」で、垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する。
【0034】
次に、第7ステップS7の「水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックに信号電検出されるか?」で、水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に信号電荷が検出されるか否かを判断する。
【0035】
上記第7ステップS7の信号電荷が検出されるか否かを判断する工程において、信号電荷が検出された「Yes」場合には、第8ステップS8の「検出された信号は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足および転送不良以外の信号(画素部の水平混色、スミアもしくはブルーミング)」で、検出された信号電荷は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足および転送不良ではなく、画素部の水平混色、スミアもしくはブルーミングの信号と判断する。また、上記第7ステップS7の信号電荷が検出されるか否かを判断する工程において、信号電荷が検出されない「No」場合には、「測定終了」に進み、測定を終了する。
【0036】
上記第2実施例を、図5のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0037】
図5に示すように、「測定開始」により測定を始める。そして、第5ステップS5の「ホールドゲートをON」で、ホールドゲート部51をON状態とする工程を行う。
【0038】
次に、第6ステップS6の「V転送/H転送」で、垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する。この第6ステップS6では、まず、ステップS61の「垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送」で、垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する。ここでは、ホールドゲートがあるライン、すなわち、画素有効部水平方向最終列の垂直電荷転送部31(31E)の水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部の信号を水平電荷転送部に転送する。またホールドゲートが無いライン、すなわち、画素有効部の垂直電荷転送部の信号電荷は先に水平電荷転送部に転送済みとなっている。
【0039】
そして、ステップS62の「転送終了」で、上記信号電荷の転送を停止する。
【0040】
次に、ステップS63の「水平転送(出力回路部で信号電荷を検出」で、水平電荷転送部を転送された信号電荷を出力回路部で検出する。ここでは、画素有効部水平方向最終列の垂直電荷転送部31(31E)の水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部の信号には、画素部の水平混色、スミア、ブルーミング等の成分が現れる。
【0041】
そして、ステップS64の「転送終了」で、上記水平方向への信号電荷の転送を停止する。
【0042】
その後、前記図1によって説明したように、第7ステップS7の「水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックに信号電検出されるか?」で、水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に信号電荷が検出されるか否かを判断する。
【0043】
上記第7ステップS7の信号電荷が検出されるか否かを判断する工程において、信号電荷が検出された「Yes」場合には、第8ステップS8の「検出された信号は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足もしくは転送不良によるもの」で、検出された信号電荷は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足もしくは転送不良と判断する。また、上記第7ステップS7の信号電荷が検出されるか否かを判断する工程において、信号電荷が検出されない「No」場合には、「画素部の水平混色、スミア、ブルーミング等は発生せず」と判断して、次の工程(ステップ)に進む。
【0044】
上記第2実施例では、図6に示すように、画素有効部水平方向最終列の垂直電荷転送部31(31E)を転送されてきた信号電荷は水平電荷転送部41に転送され、また水平電荷転送部31(31E)の水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部31(31B)の信号電荷もホールドゲート51によってせき止められず、水平電荷転送部41に転送される。この状態では、水平方向後ろ1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部31Bに発生する信号は、水平電荷転送部41以外に起因するもの(画素内もしくは垂直電荷転送部内での水平混色成分、スミア、逆方向のブルーミング(読み出しゲート側ではなくチャネルストップ側のブルーミング)等の成分)と判断することができる。また、上記信号からスミア、逆方向のブルーミング成分を差し引くことができれば、純粋な水平方向混色量を求めることも可能となる。
【0045】
本発明の固体撮像装置の評価方法では、上記図1によって説明したように、第1実施例の評価を行った後、第2実施例の評価を行うが第2実施例の評価を先に行い、その後に第1実施例の評価を行うことも可能である。すなわち、垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する際、まず画素有効部水平方向最終列の信号電荷をホールドゲートでせき止め、水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの列の信号電荷はせき止めずに、水平電荷転送部へ信号電荷を転送させることも可能である。この場合、まず水平電荷転送部以外に起因する成分(画素、垂直CCDレジスタ内水平混色、スミア、逆ブルーミング等の成分)が検出され、続いて、水平電荷転送部起因の成分が検出される。要するに検出される成分の順番が逆になるだけである。また、第1実施例のみ、第2実施例のみの評価を行うだけでもよい。いずれの場合も、各実施例で得られる効果を有する。
【0046】
次に、上記評価方法を行う際の水平、垂直クロックのタイミングを図7のタイミングチャートによって説明する。
【0047】
図7に示すように、第1期間では、水平クロックはブランキング期間であり、垂直クロックは垂直転送期間であり、垂直電荷転送部のホールドゲートはOFF状態となっている。このとき、垂直電荷転送部のホールドゲートがOff状態となっているため、ホールドゲートのない列の垂直電荷転送部の信号のみが水平電荷転送部に転送される。
【0048】
第2期間では、水平クロックは水平転送期間であり、垂直クロックはOFF状態にあり、垂直電荷転送部のホールドゲートもOFF状態となっている。このとき、ホールドゲートのない列の垂直電荷転送部の信号電荷のみが出力される。(例えば、前記図1では、この期間に水平方向後段1ビットのオプティカルブラックの垂直電荷転送部に信号が検出された場合、水平電荷転送部に起因した不良成分と判断できる。
【0049】
第3期間では、水平クロックはブランキング期間であり、垂直クロックはOFF状態であり、垂直電荷転送部のホールドゲートは垂直転送期間となっている。このとき、垂直電荷転送部のホールドゲートがOn状態としたため、蓄積されたホールドゲートがある列の信号が、水平電荷転送部に転送される。
【0050】
第4期間では、水平クロックは水平転送期間であり、垂直クロックはOFF状態にあり、垂直電荷転送部のホールドゲートもOFF状態となっている。このとき、ホールドゲートのある列の垂直電荷転送部の信号電荷が検出される。(例えば、前記図1では、この期間に水平方向後段1ビットのオプティカルブラックの垂直電荷転送部に信号が検出された場合、水平電荷転送部起因以外の不良成分(水平混色、スミア、ブルーミング成分等)と判断できる。
【0051】
本発明の固体撮像装置の評価方法では、上記ホールドゲートは垂直電荷転送部の各ラインに備えつけられている必要はない。画素有効部の水平方向最終列、もしくは水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの列のどちらかにホールドゲートが備え付けられていれば、各成分の分離は可能である。水平方向の信号加算をするために、ホールドゲートがあるラインとないラインを1ないしはそれ以上の画素毎に設ける、汎用的な固体撮像装置であれば、画素有効部の水平方向最終列、もしくは水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの列のどちらかにホールド電極が備え付けられているような画素配置にしておくだけで、本発明の評価方法を利用できる。
【0052】
また、以上の説明では水平方向後段側について述べたが、水平方向前段側のオプティカルブラックに信号が発生した場合でも、本発明の評価方法を利用することができる。つまり、画素有効部の水平方向最前列、もしくは水平方向前段の最終ビットのオプティカルブラックの列のどちらかにホールドゲートがついていれば、水平方向前最終ビットのオプティカルブラックの列に信号が現れた場合、本発明の評価方法を用いて、信号が水平電荷転送部起因によるものなのか、それ以外なのかを分離することができる。
【0053】
以上説明したように、本発明の評価方法を用いることで、固体撮像装置の評価において、その要因分離が難しかった、水平電荷転送部起因の不良成分と、画素、垂直電荷転送部内の水平混色成分、スミア成分、逆ブルーミング成分等とを容易に分離することが可能となる。また、この評価方法を利用することにより、画素、垂直CCD内の純粋な水平混色成分を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施の形態(第1実施例および第2実施例)を示したフローチャートである。
【図2】固体撮像装置の概略を示した概略レイアウト図である。
【図3】第1実施例の詳細を示したフローチャートである。
【図4】第1実施例の信号電荷の転送状態を模式的に示した概略レイアウト図である。
【図5】第2実施例の詳細を示したフローチャートである。
【図6】第2実施例の信号電荷の転送状態を模式的に示した概略レイアウト図である。
【図7】本発明の評価方法を行う際の水平、垂直クロックのタイミングを示したタイミングチャートである。
【図8】従来の評価方法を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
31…垂直電気転送部、41…水平電荷転送部、51…ホールドゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平電荷転送部に起因した不良成分と水平電荷転送部以外に起因した不良成分とを分離して評価する固体撮像装置の評価方法であって、
前記固体撮像装置は、
入射光を受光して光電変換するセンサ部から読み出された信号電荷が行配列方向に転送される垂直電荷転送部と、
前記信号電荷が列配列方向に転送される水平電荷転送部と、
画素有効部水平方向の最終列の前記垂直電荷転送部に対して水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に前記信号電荷を列単位で選択的に阻止するホールドゲート部とを備え、
前記ホールドゲート部をOFF状態とする工程と、
垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する工程と、
前記水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に信号電荷が検出されるか判断する工程と、
前記信号電荷が検出されるか判断する工程において、信号電荷が検出された場合には、検出された信号電荷は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足もしくは転送不良と判断する工程と、
前記信号電荷が検出されるか判断する工程において、信号電荷が検出されない場合には、次の工程に進む工程と
を備えたことを特徴とする固体撮像装置の評価方法。
【請求項2】
水平電荷転送部に起因した不良成分と水平電荷転送部以外に起因した不良成分とを分離して評価する固体撮像装置の評価方法であって、
前記固体撮像装置は、
入射光を受光して光電変換するセンサ部から読み出された信号電荷が行配列方向に転送される垂直電荷転送部と、
前記信号電荷が列配列方向に転送される水平電荷転送部と、
画素有効部水平方向の最終列の前記垂直電荷転送部に対して水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に前記信号電荷を列単位で選択的に阻止するホールドゲート部とを備え、
前記ホールドゲート部をON状態とする工程と、
垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する工程と、
前記水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に信号電荷が検出されるか判断する工程と、
前記信号電荷が検出されるか判断する工程において、信号電荷が検出された場合には、検出された信号電荷は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足および転送不良以外の画素部の水平混色、スミアもしくはブルーミングの信号と判断する工程と、
前記信号電荷が検出されるか判断する工程において、信号電荷が検出されない場合には、次の工程に進む工程と
を備えたことを特徴とする固体撮像装置の評価方法。
【請求項3】
前記次の工程は、
前記ホールドゲート部をON状態とする工程と、
垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する工程と、
前記水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に信号電荷が検出されるか判断する工程と、
前記信号電荷が検出されるか判断する工程において、信号電荷が検出された場合には、検出された信号電荷は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足および転送不良以外の画素部の水平混色、スミアもしくはブルーミングの信号と判断する工程とからなり、
前記信号電荷が検出されるか判断する工程において、信号電荷が検出されない場合には終了する
ことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置の評価方法。
【請求項4】
前記次の工程は、
前記ホールドゲート部をOFF状態とする工程と、
垂直電荷転送部から水平電荷転送部へ信号電荷を転送する工程と、
前記水平方向後段1ビット目のオプティカルブラックの垂直電荷転送部に信号電荷が検出されるか判断する工程と、
前記信号電荷が検出されるか判断する工程において、信号電荷が検出された場合には、検出された信号電荷は水平電荷転送部の取り扱い電荷量不足および転送不良以外の画素部の水平混色、スミアもしくはブルーミングの信号と判断する工程とからなり、
前記信号電荷が検出されるか判断する工程において、信号電荷が検出されない場合には終了する
ことを特徴とする請求項2記載の固体撮像装置の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−211374(P2008−211374A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44446(P2007−44446)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】