説明

固体撮像装置

【課題】撮像用画素及び焦点検出用画素を有し、S/Nの良い信号を得ることができる固体撮像装置を提供することを課題とする。
【解決手段】固体撮像装置は、光電変換により信号を生成する複数の画素と、前記複数の画素の信号を増幅する増幅部(300)とを有し、前記複数の画素は、撮像用画素及び焦点検出用画素を有し、前記増幅部は、前記撮像用画素の信号を第1の増幅率で増幅し、前記焦点検出用画素の信号を前記第1の増幅率とは異なる第2の増幅率で増幅することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CCD型やCMOS型の固体撮像装置は、多くのデジタルスチルカメラやデジタルカムコーダーに用いられている。近年、デジタル一眼レフカメラにおいても、動画撮影機能の性能向上が求められている。その中で、特に、オートフォーカス(AF)機能は重要な項目である。撮像を行う画素の一部をオートフォーカス専用の画素として構造設計することで、撮像面に対し、右方向から入射する光と左方向から入射する光を別々に受光する技術が知られている。右からの信号と左からの信号のずれ量を計測することで、「位相差AF」を行う方式である。
【0003】
特許文献1は、固体撮像素子内に配置されたオートフォーカス用画素の信号出力に基づいて位相差方式のオートフォーカスを行うアルゴリズムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−14788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている読み出しモードでは、撮像用画素からの信号を読み出す際に、焦点検出用画素の信号を同時に読み出す。この構成では、焦点検出用画素は他の撮像用画素と比較して開口率が低いため、同じ読み出し回路で読み出すと信号出力は小さくなる。通常、画像撮影時の撮影条件である露光時間及び感度設定などは、カメラを操作する者が恣意的に決定するので、焦点検出のために最適な条件が整っている保証はない。上記の場合、コントラストの小さい画像において、焦点検出用画素の信号を読み出すためには充分に高いS/Nが得られないという課題が生じる。焦点検出用画素の信号を増幅するために、焦点検出用画素の信号が固体撮像装置から出力された後に画像処理用のプロセッサーや、ソフトウエアで増幅するという方法もあるが、この場合も固体撮像装置で決定される以上のS/Nを得ることは難しい。撮影画像のS/Nを向上させるためには固体撮像装置から出力される信号のS/Nを向上させるのが有効である、ということは周知の事実である。
【0006】
焦点検出用画素の感度を向上させるために、焦点検出用画素上には色フィルタを配置せず、透明な樹脂だけで被覆することが容易に考えられる。この方法により、焦点検出用画素の感度は色フィルタを有する場合の2〜3倍に増大する。しかしながら、この場合は感度が上がりすぎて、強い光信号が入った場合に光電変換のためのフォトダイオードが飽和してしまうという別の課題を生じる場合がある。また上述したように、カメラを操作する者が恣意的に決める撮影条件下で、信号が飽和しないという保証はない。以上により、撮影条件に左右されずに、焦点検出用画素の信号を読み出すために適した条件を設定できるようにするという課題は、撮像面上の信号を用いるオートフォーカス技術には重要な課題である。
【0007】
本発明の目的は、撮像用画素及び焦点検出用画素を有し、S/Nの良い信号を得ることができる固体撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の固体撮像装置は、光電変換により信号を生成する複数の画素と、前記複数の画素の信号を増幅する増幅部とを有し、前記複数の画素は、撮像用画素及び焦点検出用画素を有し、前記増幅部は、前記撮像用画素の信号を第1の増幅率で増幅し、前記焦点検出用画素の信号を前記第1の増幅率とは異なる第2の増幅率で増幅することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
撮像用画素の信号と焦点検出用画素の信号とを異なる増幅率で増幅することができるので、S/Nの良い信号を得ることができ、様々な撮影条件に左右されにくいオートフォーカス動作が可能な固体撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態における固体撮像装置の画素ユニットの回路図である。
【図2】第1の実施形態の固体撮像装置の画素信号の読み出し回路を示す図である。
【図3】第1の実施形態の固体撮像装置の回路配置図である。
【図4】図3における領域201の画素配置例を示す図である。
【図5】図4の焦点検出用画素を含んでいる列の読み出し回路を示す図である。
【図6】図4の撮像用画素だけを有する列の読み出し回路を示す図である。
【図7】第1の実施形態における読み出し回路の出力信号波形を示す図である。
【図8】第1の実施形態における読み出し回路の駆動タイミングチャートである。
【図9】撮像用画素だけを有する列の読み出し回路を示す図である。
【図10】第2の実施形態における読み出し回路の駆動タイミングチャートである。
【図11】第3の実施形態における読み出し回路を示す図である。
【図12】第4の実施形態における画素ユニットの回路図である。
【図13】第5の実施形態における画素ユニットの回路図である。
【図14】第6の実施形態における画素ユニットの回路図である。
【図15】第7の実施形態における画素ユニットの回路図である。
【図16】第8の実施形態における読み出し回路の構成図である。
【図17】第8の実施形態におけるカウンタ回路の駆動タイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の固体撮像装置の画素ユニット107の一例を示す回路図である。以下、信号電荷が電子である場合を説明する。本実施形態では、画素の開口率を向上させるために、複数の画素でトランジスタの一部を共有する「アンプ共有型」画素を典型例として記述する。図1において、画素ユニット107は、2つの画素を有し、光電変換素子である2つのフォトダイオード100a及び100bと、転送MOSトランジスタ101a及び101bとを有する。そして、リセットMOSトランジスタ102と、増幅MOSトランジスタ103と、選択MOSトランジスタ105とを有する。つまり、2つの画素、即ち2つのフォトダイオード100a,100bがリセットMOSトランジスタ102と、増幅MOSトランジスタ103と、選択MOSトランジスタ105とを共有化している。複数のフォトダイオード(画素)100a及び100bは、光電変換により信号を生成する。それぞれの転送MOSトランジスタ101a及び101bは、それぞれの光電変換素子100a及び100bにて生じた信号電荷を浮遊拡散部104へ転送する。浮遊拡散部104は、光電変換素子100a及び100bの光電変換により生成された電荷を電圧に変換する。増幅MOSトランジスタ103は、浮遊拡散部104の電圧に応じた出力を、選択MOSトランジスタ105を介して垂直出力線106へ出力する。増幅MOSトランジスタ103は、ソースフォロワ回路の一部であり、そのゲート電極は浮遊拡散部104と接続されている。リセットMOSトランジスタ102は、増幅MOSトランジスタ103のゲート電極のノード、すなわち浮遊拡散部104を規定の電位(リセット電位)にリセットする。転送MOSトランジスタ101aのゲート電極には転送制御信号TX1が、転送MOSトランジスタ101bのゲート電極には転送制御信号TX2が供給される。リセットMOSトランジスタ102のゲート電極にはリセット制御信号RESが、選択MOSトランジスタ105のゲート電極には選択制御信号SELが供給される。各制御信号によって、上述の信号電荷の読み出しが制御される。固体撮像装置は、1次元状又は2次元行列状に配列された複数の画素ユニット107により構成された撮像領域を有する。なお、画素ユニット107は、画素を2つ以上有していてもよく、任意のトランジスタ構成が適用可能である。
【0012】
図2は、図1の複数の画素ユニット107を有する固体撮像装置の構成例を示す図である。図1において、画素ユニット107を駆動する信号であるTX1、TX2、RES、SELは、図2の垂直走査回路108によって制御されている。垂直走査回路108は、行毎に画素を走査し、画素ユニット107の信号を垂直出力線106に転送する。定電流源109は、垂直出力線106に接続される。複数の画素ユニット107は、2次元行列状に配列される。複数の読み出し回路110は、複数の画素ユニット107の列毎に設けられる。画素ユニット107から各列の垂直出力線106に転送された信号は、各列に配された読み出し回路110により読み出される。その後、読み出し回路110の信号は、水平走査回路111によって各列から順次、水平転送線112に転送され、出力アンプ113により増幅された信号が固体撮像装置から出力される。
【0013】
図3は、本実施形態の固体撮像装置の回路配置図である。固体撮像装置は、2次元画素アレイ200の他、垂直走査回路108、水平走査回路111、及びその他周辺回路が配置されている。画素アレイ200は、図2の複数の画素ユニット107を有する。画素アレイ200の中央部201の領域には、焦点検出用画素が配されている。
【0014】
図4は、図3の領域201を拡大した図であり、撮像用画素と焦点検出用画素の配置を示した図である。行方向は、j行目からj+4行目まで、列方向は、i列目からi+7列目を記載している。「STD」と記された画素は撮像用画素であり、「AF」と記された画素が焦点検出(オートフォーカス)用画素である。焦点検出用画素は、あらかじめ決められた場所に配置されている。この例は、領域201内に4行4列周期で配置されている例である。本実施形態では、焦点検出用画素を含んで配置されている列と、撮像用画素だけが配置されている列とで異なる読み出し回路が配置されている。焦点検出用画素が配置される位置は、設計時に決定される。ここで示す読み出し回路は、図2の読み出し回路110に相当する。
【0015】
図5は、図4の焦点検出用画素を含んでいる列の読み出し回路110を示す図である。また、図6は、図4の撮像用画素だけを有する列の読み出し回路110を示す図である。300は列毎に配された列アンプ、304は読み出し回路110の入力端子、301及び302はそれぞれ入力容量、303は帰還容量である。305は、列アンプ300の出力端子である。図5では、MOSトランジスタ311のゲート電極は端子pAFに接続されている。図6では、MOSトランジスタ311のゲート電極がグランド電位ノードに接続され、MOSトランジスタ311はオフ状態になっている。ここで、入力容量301の容量値をC1、入力容量302の容量値をC2、帰還容量303の容量値をC3とする。図6の構成では、入力端子304に振幅ΔVの信号が入力されたとき、出力端子305における出力信号の振幅は、ΔV×C1/C3となる。つまり、列アンプ(増幅部)300は、C1/C3の第1の増幅率で、撮像用画素の信号を増幅する。
【0016】
図7は、焦点検出用画素を含む列に用いられる図5の読み出し回路110の動作を示す図である。図5及び図6の読み出し回路110は、同じタイミングで動作する。焦点検出用画素を含む行の信号を読み出すタイミングに、読み出し回路110の端子pAFにハイレベル信号が入力される。図6の読み出し回路110では、MOSトランジスタ311のゲート電極がグランド電位ノードに接続されるため、端子pAFの信号レベルとは無関係に信号が(C1/C3)倍される。一方、図5の回路では、端子pAFにハイレベル信号が入力されると、入力容量302によって、出力端子305の信号の振幅は、ΔV×(C1+C2)/C3となる。つまり、列アンプ(増幅部)300は、(C1+C2)/C3の第2の増幅率で、焦点検出量画素の信号を増幅する。また、図5の回路では、端子pAFにローレベル信号が入力されると、出力端子305の信号の振幅は、ΔV×C1/C3となる。つまり、列アンプ(増幅部)300は、(C1/C3)の第1の増幅率で、撮像用画素の信号を増幅する。第2の増幅率は、第1の増幅率とは異なる。
【0017】
以上のように、端子pAFに入力される信号の制御により、撮像用画素だけが配された列と焦点検出用画素が配された列とで増幅率を変えることが可能となる。この場合は、撮像用画素の信号の第1の増幅率よりも焦点検出用画素の信号の第2の増幅率の方が大きくなる。読み出し回路110の端子pAFに入力される信号を焦点検出用画素が存在する列だけハイレベルとする駆動は、以下のようなカウンタ回路の構成でも実現可能である。例として、焦点検出用画素が、図3の領域201に配置されていて、図4と同じ4行4列周期で配置している場合を説明する。焦点検出用画素のある行でi+2列目、i+6列目に図6の列読み出し回路110が配置されているとする。
【0018】
図8は、カウンタ回路から端子pAFの信号が出力される際の駆動タイミングチャートである。外部信号pAF1は、垂直走査回路108が焦点検出用画素を含む領域201を走査している期間だけハイレベルになる外部入力パルスである。また、信号PHSTは、水平走査回路111のスタートパルスで、毎行入力されるパルスである。カウンタ回路は、外部信号pAF1がハイレベルの期間において、パルスPHSTをカウントして、4行おきに端子pAFにハイレベルを出力する(j行目、j+4行目、・・・)。これにより、焦点検出用画素と撮像用画素とで、異なる増幅率で読み出すことが可能となる。なお、本実施形態では水平走査回路111のスタートパルスでカウントを行っているが、毎行入るパルスであれば、これに限定されない。また、上記の説明では、nMOSスイッチとCMOSスイッチを用いているが、これに限定されるものではない。
【0019】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、焦点検出用画素が特定の波長光のフィルタとはなっていない「ホワイト」画素で構成されることで、撮像用画素より高い感度を有する場合の実施形態である。撮像用画素は色フィルタを有し、焦点検出用画素は色フィルタを有さない。この場合、焦点検出用画素の出力信号が大きくなりすぎて、焦点検出用画素の出力信号が飽和し、充分なダイナミックレンジが確保できないという課題を解決することが可能となる。そのために、焦点検出用画素を含む列の読み出し回路110の増幅率を、撮像用画素だけを有する列の読み出し回路110の増幅率より小さく設定する。焦点検出用画素を含む列の読み出し回路は、図5と同じ回路である。
【0020】
図9は、撮像用画素だけが配置されている列の読み出し回路110の構成例を示す図である。以下、図9の読み出し回路110が図6の読み出し回路110と異なる点を説明する。図9では、MOSトランジスタ311のゲート電極が、常時、固定電源電圧ノードに接続されていることにより、MOSトランジスタ311がオンしている。これにより、入力容量302が、常時、容量として付加される。出力端子305の信号の振幅は、ΔV×(C1+C2)/C3となる。つまり、列アンプ(増幅部)300は、(C1+C2)/C3の第1の増幅率で、撮像用画素の信号を増幅する。図5の読み出し回路110内の列アンプ(増幅部)300は、(C1+C2)/C3の第1の増幅率で撮像用画素の信号を増幅し、(C1/C3)の第2の増幅率で、焦点検出用画素の信号を増幅する。第2の増幅率は、第1の増幅率より小さい。
【0021】
図10は、図9の読み出し回路110の駆動タイミングチャートである。焦点検出用画素を含む列の読み出し回路110では、焦点検出用画素を含む行を読み出すタイミングで、図5の端子pAFにローレベル信号が入力され、焦点検出用画素は、撮像用画素より小さい増幅率で読み出される。カウンタ回路は、外部信号pAF1のハイレベル期間において、パルスPHSTをカウントすることにより、端子pAFの信号を生成することができる。焦点検出用画素がホワイト画素の場合、焦点検出用画素の信号の第2の増幅率を撮像用画素の信号の第1の増幅率より小さくすることにより、焦点検出用画素の出力信号の飽和を防止し、充分なダイナミックレンジを確保することができる。
【0022】
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態の固体撮像装置の列毎の読み出し回路110の構成例を示す図である。図11は、焦点検出用画素の信号を読み出す際の増幅率と撮像用画素の信号を読み出す際の増幅率を切り替えるために、帰還容量306と帰還容量306用のスイッチ307を用いる構成を示している。帰還容量306のスイッチ307は、これまでの実施形態と同様に、カウンタ回路で生成された端子pAFの信号で制御される。増幅率は、入力容量301と帰還容量303,306の比で決まる。スイッチ307を制御することにより、焦点検出用画素の信号の増幅率と撮像用画素の信号の増幅率を変えることができる。本実施形態によれば、第1の実施形態で入力容量を切り替える方法と比較して、より面積の小さい帰還容量306を追加することで、増幅率の切り替えが実現できる。
【0023】
(第4の実施形態)
図12は、本発明の第4の実施形態の固体撮像装置の画素ユニットの構成例を示す図である。400a及び400bは、各々の画素ユニットを示している。以下、図12の回路が図1の回路と異なる点を説明する。図1と異なり、1つの増幅MOSトランジスタ103に対して、光電変換素子100が1つ使用されている。また、図12では、2つの画素ユニット400aと400bの間に、両画素ユニット400a及び400bの各々の浮遊拡散部104を接続するための接続スイッチ401が存在する。画素ユニット400aの画素信号を読み出すときに、接続スイッチ401を導通されることによって、画素ユニット400aと400bの浮遊拡散部104が接続される。そのため、浮遊拡散部104の寄生容量が大きくなるため、画素ユニット400aの光電変換素子100の信号電荷による電圧振幅が小さくなる。その電圧振幅が、増幅MOSトランジスタ103によって読み出されるため、結果として読み出し時の増幅率が小さくなる。増幅MOSトランジスタ(増幅部)103は、接続スイッチ401を非導通にすることにより、増幅率が大きい第1の増幅率で撮像用画素の信号を増幅し、接続スイッチ401を導通させることにより、増幅率が小さい第2の増幅率で撮像用画素の信号を増幅する。第2の増幅率は、第1の増幅率より小さい。増幅MOSトランジスタ(増幅部)103は、接続スイッチ401により浮遊拡散部104の容量を変えることにより、第1の増幅率及び第2の増幅率を相互に異ならせる。
【0024】
本実施形態によれば、焦点検出用画素からの信号が飽和しにくいように、焦点検出用画素を読み出す際の信号の第2の増幅率を、撮像用画素を読み出す際の信号の第1の増幅率より小さくするために、接続スイッチ401を導通させること増幅率を下げる。逆に、焦点検出用画素の感度を向上させるために、増幅率を上げることも可能である。他の実施形態と比較して、より前段で増幅することができるため、S/Nの高い信号を得ることができる。
【0025】
ここでは、画素ユニット400a及び400bの浮遊拡散部104の間をスイッチ401で接続することにより、増幅率を変えているが、別途、容量を設けるなどで寄生容量を変化させることも可能である。また、本実施形態では、1つの光電変換素子100に対して1つの増幅MOSトランジスタ103が対応しているが、接続スイッチ401を制御することで、複数の光電変換素子100で増幅MOSトランジスタ103を共有してもよい。
【0026】
(第5の実施形態)
図13は、本発明の第5の実施形態の固体撮像装置の画素ユニットの構成例を示す図である。本実施形態では、画素ユニット500a及び500bの浮遊拡散部104の寄生容量を変えることで、撮像用画素と焦点検出用画素の読み出しの増幅率を変化させている。本実施形態が第4の実施形態と異なる点は、回路の増幅率ではなく、レイアウト段階で寄生容量を異なるように設計した点である。図13において、500aと500bは、それぞれ画素ユニットを表す。画素ユニット500a及び500bのどちらの浮遊拡散部104も、転送MOSトランジスタ101、リセットMOSトランジスタ102、増幅MOSトランジスタ103と接続されている。これらのMOSトランジスタのソース、ドレインの不純物拡散部領域の面積をパターンレイアウトで異なるようすることにより、画素ユニット500aと500bの浮遊拡散部104の寄生容量に違いを作ることができる。好ましくは、転送MOSトランジスタ101、リセットMOSトランジスタ102の拡散部のレイアウトで行うのがよい。これにより、画素ユニット内に追加で回路素子を必要としないため、レイアウトスペースを有効活用することが可能となる。
【0027】
(第6の実施形態)
図14は、本発明の第6の実施形態の固体撮像装置の読み出し回路110を示す図である。以下、図14の読み出し回路110が図11の読み出し回路110と異なる点を説明する。複数の保持容量602〜605は、複数の画素の各列の信号を保持する。第6の実施形態では、各列が持つ読み出し回路110の保持容量602〜605から水平転送線112(図2)へ信号を送る際のゲインを、撮像用画素と焦点検出用画素とで変えている。図14は、図2の読み出し回路110を本実施形態に沿って示している。600及び601は、接続スイッチであり、それぞれ、ゲイン変更用容量602及び603の接続を制御する。604は光信号を保持するための容量で、605はノイズ信号を保持するための容量である。保持容量604と605の容量値をともにC4とする。また、ゲイン変更用容量602と603の容量値を、それぞれC5とする。水平転送線112の寄生容量C6とする。通常、接続スイッチ600及び601をオフし、保持容量604及び605の信号を容量分割で水平転送線112に転送すると、C4/(C4+C6)のゲインがかかる。このゲインで、信号振幅が小さくなる。
【0028】
接続スイッチ600及び601をオンし、ゲイン変更用容量602及び603を接続することで、容量分割時のゲインは、(C4+C5)/(C4+C5+C6)となる。これにより、図8で示したカウンタ回路などによって、接続スイッチ600、601を撮像用画素と焦点検出用画素とで、異なる制御をすることで、水平転送線112へ信号を送る際に個別にゲインを変えることが可能となる。ゲインを変えるということは、信号の増幅率を変えることと同じである。容量分割による増幅部は、第1の増幅率で撮像用画素の信号を増幅し、第2の増幅率で焦点検出用画素の信号を増幅する。水平転送線112は、保持容量602〜605の信号を容量分割で出力アンプ113に順次転送する。増幅部は、接続スイッチ600及び601により保持容量602〜605の容量値を変えることにより、第1の増幅率及び第2の増幅率を相互に異ならせる。
【0029】
ここでは、水平転送線112への容量分割を説明したが、水平転送線112への容量分割に限定されるものではなく、別途設けた容量との容量分割などでもよい。
【0030】
図1のリセットMOSトランジスタ102のオンにより浮遊拡散部104をリセットした状態で、選択MOSトランジスタ105をオンし、画素ユニット107が垂直出力線106に出力したときの列アンプ300の出力信号がノイズ信号である。そのノイズ信号は保持容量603及び/又は605に保持される。また、図1のリセットMOSトランジスタ102のオフ状態で、転送MOSトランジスタ101aのオンにより、光電変換素子100aの電荷を浮遊拡散部104に転送する。その状態で、選択MOSトランジスタ105をオンし、画素ユニット107が垂直出力線106に出力したときの列アンプ300の出力信号が光信号である。その光信号は保持容量602及び/又は604に保持される。保持容量603及び/又は605のノイズ信号は、図2の一方の水平転送線112に転送される。保持容量602及び/又は604の光信号は、図2の他方の水平転送線112に転送される。出力アンプ113は、2本の水平転送線112の光信号及びノイズ信号の差分を出力する。
【0031】
(第7の実施形態)
図15は、本発明の第7の実施形態の固体撮像装置の読み出し回路110の構成例を示す図である。以下、図15の読み出し回路110が図11及び図14の読み出し回路110と異なる点を説明する。第7の実施形態では、動画用読み出し等のために水平方向にある周期で間引きや平均を行って出力する場合に、撮像用画素と焦点検出用画素で増幅率を変えることを可能にする。本実施形態では、同色の信号を3列周期で出力し、その他の列は出力しない場合を説明する。図15は、3列分の読み出し回路110を示している。読み出し回路110は、保持容量605が隣の列の保持容量605と接続スイッチ701で接続されている。702は、垂直出力線106(図2)と入力容量301との接続スイッチである。例えば、焦点検出用画素のゲインを撮像用画素のゲインより大きくしたい場合は、接続スイッチ701を導通されることで、隣接の保持容量605を使用する。一方で、撮像用画素の信号を出力する列に関しては、接続スイッチ701を非導通とする。これにより、水平転送線112(図2)への容量分割時のゲインを撮像用画素と焦点検出用画素とで変えることができる。本実施形態の場合は、スイッチ702を使い、不使用列については、ゲインを変えるための容量より前で経路を遮断する必要がある。容量分割による増幅部は、接続スイッチ701により、隣接する複数の列の保持容量604,605を相互に接続することにより、撮像用画素の第1の増幅率及び焦点検出用画素の第2の増幅率を相互に異ならせる。また、本実施形態では、保持容量605と水平転送線112との間でゲインを変えたが、別途設けた容量との間の容量分割でもよい。さらには、隣接の列アンプ300の入力容量301を利用して列アンプ300自体のゲインを上げても良い。
【0032】
(第8の実施形態)
図16は、本発明の第8の実施形態の固体撮像装置の全体構成を示す図である。第8の実施形態では、出力アンプ113は、撮像用画素と焦点検出用画素とで、異なる増幅率で、水平転送線112の信号を増幅する。図16の水平走査回路111には、水平走査パルスPHが入力される。カウンタ回路800は、水平走査パルスPHをカウントして出力アンプ113に信号を出力する。また、信号pAF2は、図8と同じタイミングで垂直方向のカウンタ回路から送られる信号である。
【0033】
図17は、カウンタ回路800の出力を示す図である。画素配置は、図4と同じとする。焦点検出用画素が存在するj行目では、信号pAF2がハイレベルとなる。このとき、カウンタ回路800は、水平走査パルスPHをカウントし、i+2列目とi+6列目のときに出力アンプ113へハイレベルパルスを出力する。撮像用画素だけを有するj+1行目では、信号pAF2がローレベルになり、カウンタ回路800は、i+2列目とi+6列目のときも出力アンプ113へハイレベルパルスを出力しない。出力アンプ(増幅部)113は、カウンタ回路800の出力に応じて、撮像用画素と焦点検出用画素とで増幅率を変えることができる。出力アンプ113は、水平転送線112の信号を撮像用画素の第1の増幅率又は焦点検出用画素の第2の増幅率で増幅する。
【0034】
焦点検出用画素が撮像用画素と比較して開口率が低い場合、焦点検出用画素の信号は撮像用画素の信号より小さくなる。その場合、焦点検出用画素の信号の増幅率を撮像用画素の信号の増幅率より大きくすればよい。これにより、コントラストの小さい画像であっても、焦点検出用画素の信号において高いS/Nを得ることができる。
【0035】
また、焦点検出用画素の感度を向上させるために、焦点検出用画素上には色フィルタを配置せず、透明な樹脂だけで被覆することが考えられる。この方法により、焦点検出用画素の感度は色フィルタを有する場合の2〜3倍に増大する。しかしながら、この場合は感度が上がりすぎて、強い光信号が入った場合に光電変換のためのフォトダイオードが飽和してしまうという課題を生じる。その場合、焦点検出用画素の信号の増幅率を撮像用画素の信号の増幅率より小さくすればよい。これにより、焦点検出用画素の信号の飽和を防止することができる。
【0036】
撮像用画素の信号と焦点検出用画素の信号とを異なる増幅率で増幅することができるので、S/Nの良い信号を得ることができ、様々な撮影条件に左右されにくいオートフォーカス動作が可能な固体撮像装置を提供することができる。
【0037】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
100a,100b 光電変換素子、101a,101b 転送MOSトランジスタ、102 リセットMOSトランジスタ、103 増幅MOSトランジスタ、104 浮遊拡散部、105 選択MOSトランジスタ、106 垂直出力線、107 画素ユニット、110 読み出し回路、300 列アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換により信号を生成する複数の画素と、
前記複数の画素の信号を増幅する増幅部とを有し、
前記複数の画素は、撮像用画素及び焦点検出用画素を有し、
前記増幅部は、前記撮像用画素の信号を第1の増幅率で増幅し、前記焦点検出用画素の信号を前記第1の増幅率とは異なる第2の増幅率で増幅することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記第2の増幅率は、前記第1の増幅率より大きいことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記撮像用画素は色フィルタを有し、
前記焦点検出用画素は色フィルタを有さず、
前記第2の増幅率は、前記第1の増幅率より小さいことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記複数の画素は、行列状に配列され、
前記増幅部は、前記複数の画素の列毎に設けられる増幅部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記複数の画素は、それぞれ、光電変換により生成された電荷を電圧に変換するための浮遊拡散部を有し、
前記増幅部は、前記浮遊拡散部の容量を変えることにより、前記第1の増幅率及び前記第2の増幅率を相互に異ならせることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記複数の画素は、行列状に配列され、
さらに、前記複数の画素の各列の信号を保持する複数の保持容量と、
前記複数の保持容量の信号を容量分割で順次転送する転送線とを有し、
前記増幅部は、前記保持容量の容量値を変えることにより、前記第1の増幅率及び前記第2の増幅率を相互に異ならせることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記増幅部は、複数の列の前記保持容量を相互に接続することにより、前記第1の増幅率及び前記第2の増幅率を相互に異ならせることを特徴とする請求項6記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記複数の画素は、行列状に配列され、
さらに、前記複数の画素の各列の信号を保持する複数の保持容量と、
前記複数の保持容量の信号を容量分割で順次転送する転送線とを有し、
前記増幅部は、前記転送線の信号を前記第1の増幅率又は前記第2の増幅率で増幅することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−102383(P2013−102383A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245716(P2011−245716)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】