説明

固体撮像装置

【課題】画質の劣化を抑制しつつ、消費電力を低減することができる固体撮像装置を提供することを課題とする。
【解決手段】固体撮像装置は、光電変換した信号をソースフォロワ回路により出力する複数の画素(11)と、前記複数の画素に接続される出力線(3)と、前記出力線に電流を供給する電流源回路部(5)と、前記画素のリセット状態の前記出力線の信号をクランプ容量にクランプし、その後の前記画素の非リセット状態の前記出力線の信号を増幅する第1の増幅部(7)とを有し、前記電流源回路部は、前記クランプの終了時刻より前に、前記出力線に電流を供給しない状態から前記出力線に電流を供給する状態に変化することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固体撮像装置は、多画素化が進んで消費電力が増加している。特許文献1には、ソースフォロワ読み出し用の定電流源に流す電流を、各画素の読み出しトランジスタの読み出し動作時以外の期間においては制限ないし遮断することで低消費電力化を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−18866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、定電流源に流れる電流を制限ないし遮断した後、読み出し動作に復帰する際、定電流源が所望の電流に至るまでは、ある程度の時間を要する。この動作遅延は定電流源につく寄生容量が主要因である。また、この定電流源は垂直出力線の一端に設けられており、定電流源に近い画素と遠い画素とで垂直出力線の抵抗成分により、読み出される映像信号に差が生じる。特に、上述の定電流源の電流が十分安定した状態で用いないと、読み出された信号に垂直方向のシェーディングを発生させる課題がある。
【0005】
本発明の目的は、画質の劣化を抑制しつつ、消費電力を低減することができる固体撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の固体撮像装置は、光電変換した信号をソースフォロワ回路により出力する複数の画素と、前記複数の画素に接続される出力線と、前記出力線に電流を供給する電流源回路部と、前記画素のリセット状態の前記出力線の信号をクランプ容量にクランプし、その後の前記画素の非リセット状態の前記出力線の信号を増幅する第1の増幅部とを有し、前記電流源回路部は、前記クランプの終了時刻より前に、前記出力線に電流を供給しない状態から前記出力線に電流を供給する状態に変化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
垂直シェーディングを低減することができる。また、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態の固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の詳細な構成例を示す図である。
【図3】第1の実施形態の駆動タイミング図である。
【図4】第2の実施形態の詳細な構成例を示す図である。
【図5】第2の実施形態の駆動タイミング図である。
【図6】第3の実施形態の固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】第4の実施形態の詳細な構成例を示す図である。
【図8】第4の実施形態の駆動タイミング図である。
【図9】第5の実施形態の詳細な回路構成例を示す図である。
【図10】第5の実施形態の固体撮像装置の動作例を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。固体撮像装置は、画素アレイ1、垂直走査回路2、定電流源回路部5、基準電流発生回路6、第1の増幅部7、サンプルホールド回路8、水平走査回路9、及び第2の増幅部10を有する。定電流源回路部5は、垂直出力線3の一端に定電流源制御スイッチ4を介して接続され、垂直出力線3に電流を供給する。基準電流発生回路6は、電流値を決定する。画素アレイ1は、単位画素11が複数行及び複数列を構成するように2次元状に配列されている。複数の単位画素11は、列毎に、垂直出力線3に接続される。画素アレイ1から読み出された信号は、第1の増幅部7にて増幅され、サンプルホールド回路8にて保持される。第1の増幅部7及びサンプルホールド回路8は、1列毎に設けられていても良いし、複数列毎に設けられても良い。垂直走査回路2は、例えばシフトレジスタで構成され、画素アレイ1の行を選択する。水平走査回路9も、例えばシフトレジスタで構成され、サンプルホールド回路8に保持された信号を第2の増幅部10へ順次読み出すためのパルスを与えている。
【0010】
図2は、図1の単位画素11、第1の増幅部7、サンプルホールド回路8、定電流源回路部5、基準電流発生回路6の詳細な構成例を示す図である。単位画素11は、光電変換部12、転送MOSトランジスタ13、ソースフォロワMOSトランジスタ(以下SFMOSトランジスタ)14、リセットMOSトランジスタ15、及び行選択MOSトランジスタ16を有する。光電変換部12は、光電変換により信号を生成する。転送MOSトランジスタ13は、光電変換部12で発生した信号を転送する。SFMOSトランジスタ14は、転送MOSトランジスタ13により転送された信号を増幅する。リセットMOSトランジスタ15は、SFMOSトランジスタ14のゲート電極の入力を所定電位にリセットする。行選択MOSトランジスタ16は、SFMOSトランジスタ14のソース電極と垂直出力線3との間に設けられ、SFMOSトランジスタ14のソース電極と垂直出力線3との導通を制御する。
【0011】
垂直出力線3は、第1の増幅部7に接続されている。第1の増幅部7は、垂直出力線3に出力された信号を増幅する。第1の増幅部7は、クランプ容量(C0)17、反転増幅器18、帰還容量(Cf)19で構成される。また、反転増幅器18の非反転入力端子には、基準電位VC0Rが印加されている。クランプスイッチ20がクランプパルスPC0Rによってオンになると、帰還容量(Cf)19の両端が短絡され、基準電圧VC0Rに対する垂直出力線3の電位がクランプ容量(C0)17に保持される。第1の増幅部7の出力端は、サンプルホールド回路8内において接続を制御する制御MOSトランジスタ21を介して保持容量(Ctn)23に、同じく制御MOSトランジスタ22を介して保持容量(Cts)24に接続される。保持容量(Ctn)23は基準電圧VC0Rに対する反転増幅器18のオフセット電圧であるN信号(略VC0R)を保持し、保持容量(Cts)24はN信号に光信号を重畳した画素信号を保持する。さらに保持容量(Ctn)23と保持容量(Cts)24に一時保持された信号は、水平走査回路9によって順次読み出され、第2の増幅部10によって例えば差動増幅されて外部に光信号として出力される。定電流源回路部5は、基準電流発生回路6と併せて、NMOSトランジスタによるカスコード・カレントミラーで構成されている。また、定電流源回路部5は、定電流源制御スイッチ4によって垂直出力線3を経て、選択された行選択MOSトランジスタ16とSFMOSトランジスタ14から成るソースフォロワ回路に所望の電流を供給し、画素信号の読み出し動作を有効とさせている。定電流源回路部5は列毎に配置され、基準電流発生回路6によって設定された電流を供給する。行選択MOSトランジスタ16を選択しなくても垂直出力線3に接続された他の回路(図は省略)から垂直出力線3に定電流を供給しても良い。
【0012】
図3は、図1及び図2に示す固体撮像装置の動作例を示すタイミング図である。加えて水平走査回路9にて制御される水平走査列数と垂直出力線3の電位の変化と垂直出力線3に流れる電流の変化も併せて示す。VDは垂直同期信号であり、1フレーム分の画像信号を得るための単位区間を規定する。HDは水平同期信号であり、1水平ラインを示す単位区間を規定する。ここでは初めに共に時刻t1にて各信号が入力される。信号PRESがハイレベルになり、リセットMOSトランジスタ15がオンし、単位画素11がリセット状態になる。また、クランプパルスPC0Rがハイレベルになり、クランプスイッチ20がオンになることによって、反転増幅器18が電圧フォロワ状態となり、クランプ容量(C0)17の反転増幅器18側の電極が略VC0R電圧となる。これにより、第1の増幅部7は、単位画素11のリセット状態の垂直出力線3の信号(電位)をクランプ容量17にクランプする動作が開始する。信号PTNがハイレベルになり、制御MOSトランジスタ21がオンすることで、保持容量23に略VC0R電圧を書き込む。また、信号PTSがハイレベルになり、制御MOSトランジスタ22がオンすることで、保持容量24に略VC0R電圧を書き込む。
【0013】
まず、時刻t2にて、信号PRESがハイレベルからローレベルになり、リセットMOSトランジスタ15がオンからオフになり、SFMOSトランジスタ14のゲート電極のリセットが解除され、単位画素11は非リセット状態になる。この時、SFMOSトランジスタ14のゲート電極には暗時に対応する電位が固定される。そして、時刻t3で、クランプパルスPC0Rがハイレベルからローレベルになり、クランプスイッチ20がオンからオフになる。これにより、第1の増幅部7は、単位画素11のリセット状態の垂直出力線3の信号(電位)をクランプ容量17にクランプする動作が終了する。クランプ動作では、信号PSELがハイレベルであり、行選択MOSトランジスタ16がオンであるので、画素11の暗時出力が垂直出力線3に現れており、クランプ容量(C0)17にクランプされる。クランプ動作の終了後、第1の増幅部7は、垂直出力線3の信号を増幅する。
【0014】
続いて、時刻t5にて、信号PTNがハイレベルになり、制御MOSトランジスタ21がオンすることで、保持容量23は反転増幅器18の出力電圧であるN信号を保持する。続いて、時刻t6で、信号PTXがハイレベルになり、転送MOSトランジスタ13がオンとなり、光電変換部12に蓄積された光電荷がSFMOSトランジスタ14のゲート電極に転送される。
【0015】
その後、時刻t7で、信号PTSがハイレベルになり、制御MOSトランジスタ22がオンすることで、保持容量24はN信号に光信号を重畳した画素S信号を保持する。また、定電流源制御スイッチ4は、信号PVLONにより、クランプの終了時刻t3より前の時刻t1でオンになり、垂直出力線3に電流を供給する。すなわち、定電流源回路部5は、クランプの終了時刻t3より前の時刻t1に、定電流源制御スイッチ4により、垂直出力線3に電流を供給しない状態から垂直出力線3に電流を供給する状態に変化する。本実施形態では、前行の水平走査期間中である時刻t9(=t1)にて定電流源制御スイッチ4をオンしている。これにより、画素のSFMOSトランジスタ14は、クランプ容量17にて、垂直出力線3の電位をクランプする時刻t3までに十分安定する状態になっている。定電流源制御スイッチ4をオンとするタイミングは、定電流源回路部5につく寄生容量や画素数によって適宜決定される。また、定電流源制御スイッチ4をオンとするタイミングは、タイミングジェネレータからのパルスに同期させる方法にこだわらず、例えば水平走査回路9からのパルスをカウントして利用してもよい。
【0016】
これにより、定電流源回路部5の電流供給動作と同時に垂直出力線3の電位が急激に変化するものの、上述のクランプ動作や光信号を保持するまでに十分垂直出力線3の電位が安定するので、垂直シェーディング等の問題を防止することができる。なお、この時、定電流源回路部5の安定時間は、水平画素数と定電流源回路部5のトランジスタサイズ等に依存するが、大よそ1μ秒以上を目安として、時刻t3より前に定電流源スイッチ4をオンすることが妥当である。すなわち、定電流源回路部5は、クランプの終了時刻t3より少なくとも1μ秒前に、垂直出力線3に電流を供給しない状態から垂直出力線3に電流を供給する状態に変化することが好ましい。
【0017】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態の固体撮像装置の構成は、第1の実施形態で説明した図1と同じであるため、説明を省略する。図4は、第2の実施形態による基準電流発生回路6の構成例を示す図であり、図2の第1の実施形態に対し基準電流発生回路6に電流値セレクタ回路25を設けている部分が異なる。これにより、各画素列の定電流の値を段階的に制御することが可能となる。電流値セレクタ回路25は、抵抗分割で定電流を可変にすることで制御しても良いし、電源自体を切り替えても良い。図4に電流値セレクタ回路25の回路例を示す。ここでは、信号isel1,isel2,isel3で選ばれる電流値を適宜設定することができる。
【0018】
図5は、図4に示す固体撮像装置の動作例を示すタイミング図である。第1の実施形態である図3と異なる箇所は、時刻t9及びt10のタイミングで、信号isel1及びisel2により、垂直出力線3に流れる電流値を2段階で切り替えている点である。これにより、定電流源回路部5の動作復帰が段階的に設けられることで、垂直出力線3の電位を緩やかに変化させ、変動を抑えている。すなわち、定電流源回路部5は、垂直出力線3に電流を供給しない状態から垂直出力線3に電流を供給する状態に変化する際に、複数段階(2段階以上)で電流を増加させる。これにより、1段で切り替えた場合のキックバック電流による縦スジ等を防ぐことができ、かつ段階的に切り替える時間を制御することで消費電流の増加を最小限に留めることができる。また、サンプリングするまでに十分、垂直出力線3の電位が安定するので、垂直シェーディング等の問題を防止することができる。
【0019】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態の固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態は、第1の実施形態(図1)に対して、画素信号のAD変換部(アナログデジタル変換部)27及びデジタルメモリ部29を設けた点が異なる。垂直出力線3の画素信号は、列信号転送スイッチ26の導通により、AD変換部27に転送される。AD変換部27は、内部に不図示のアナログメモリ部を有し、画素信号をホールドする。ここでは、3ビットのAD変換部27を例示しているが、本実施形態は3ビットのAD変換部27に限定されるものではなく、一般化してnビットのAD変換部であっても良い。AD変換部27は、垂直出力線3の画素信号をアナログからデジタルに変換する。変換された信号は、転送スイッチ駆動端子28からのパルスのスイッチ制御により、デジタルメモリ29に転送される。ここでは、3ビットのAD変換部27を例示しているので、各AD変換部27からの出力は3つのデジタルメモリ29に転送される。水平走査回路9によっては、デジタルメモリ29から信号出力線への出力タイミングを制御する。水平走査回路9によって選択されたスイッチに接続されたデジタルメモリ29に保持されたデジタル信号が出力される。
【0020】
なお、AD変換部27がnビットの分解能であれば、固体撮像装置はデジタルメモリ29をそれぞれn個有する構成となる。なお、画素アレイ1から読み出された画素信号は、列信号転送スイッチ26をオンとすることで、アナログメモリによるサンプリングが行われる。続いて、列信号転送スイッチ26をオフとすることで、画素信号がアナログメモリにホールドされる。ホールドされた画素信号は、AD変換部27でアナログ信号からデジタル信号に変換され、その変換結果がデジタルメモリ29に転送される。
【0021】
本実施形態では、水平同期信号HDが入力される時刻t1より前に、定電流源回路部5の遮断又は低減を解除するよう制御する。すなわち、定電流源回路部5は、水平同期信号HDの入力より前に、垂直出力線3に電流を供給しない状態から垂直出力線3に電流を供給する状態に変化する。その他の駆動方法は、第1の実施形態や第2の実施形態と同様のため省略する。このように、高速撮像が要求されるデジタル出力の固体撮像装置では、特に垂直出力線3の変動を早めに抑えなくてはならない。本実施形態によれば、サンプリングするまでに十分、垂直出力線3の電位が安定するので、垂直シェーディング等の問題を防止することができる。
【0022】
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態の固体撮像装置の構成例を示す図である。第1の実施形態である図2と異なる箇所は、単位画素11内においてSFMOSトランジスタ14のソース電極と垂直出力線3との導通を制御するため、行選択MOSトランジスタ16ではなく、画素選択回路部30を用いることにある。画素選択回路部30は、電位VRESHかVRESLを出力するインバータとなっており、パルスPVDSELをローレベルにすることにより電位VRESHが、パルスPVDSELをハイレベルにすることにより電位VRESLを出力する。そして、画素選択回路部30は、1列毎に1ブロック配置され、画素選択回路部30の出力端は複数のリセットMOSトランジスタ15のドレイン側に共通して接続されている。図7では、代表的な1画素のみ記載している。
【0023】
図8は、図7に示す固体撮像装置の動作例を示すタイミング図である。VDは垂直同期信号であり、1フレーム分の画素を示す信号を得るための単位区間を規定する。HDは水平同期信号であり、1水平ラインを示す単位区間を規定する。ここでは、初めに共に時刻t1にて各信号が入力される。
【0024】
まず、時刻t2にて信号PVDSEL及びPRESがハイレベルになることで、SFMOSトランジスタ14のゲート電極が略VRESLにリセットされる。この時、垂直出力線3に接続されている同列の他のSFMOSトランジスタ14のゲート電極も略VRESLにリセットされている。さらに、この時、垂直出力線3に流れる電流は、クリップ回路(不図示)のSFMOSトランジスタが導通状態となることで、アクティブになっている。これにより、SFMOSトランジスタ14のソース電極と垂直出力線3とを非導通状態としている。次に、時刻t3において、信号PVDSELがローレベルとなることで、SFMOSトランジスタ14のゲート電極が略VRESHにリセットされる。これにより、SFMOSトランジスタ14のソース電極と垂直出力線3とが導通状態となるため、選択状態とすることができる。さらに、時刻t4にて、リセットMOSトランジスタ15がハイレベルからローレベルになり、SFMOSトランジスタ14のゲート電極のリセットが解除される。この時、SFMOSトランジスタ14のゲート電極には、暗時に対応する電位が固定される。第1の増幅器7以降の動作は、図3のタイミングと同じなので説明は省略する。以上のように、画素選択回路部30は、SFMOSトランジスタ14のゲートリセット電圧を制御することにより画素を選択する。画素選択回路30は、SFMOSトランジスタ14のゲート電極にリセット電圧VRESLを供給することにより画素非選択状態にし、SFMOSトランジスタ14のゲート電極にリセット電圧VRESHを供給することにより画素選択状態にすることができる。
【0025】
以上、本実施形態は、画素のソースフォロワMOSトランジスタ14から画素信号を出力する前に、選択された画素行の全画素のソースフォロワMOSトランジスタ14が安定状態になるように定電流を供給することにある。この結果、垂直シェーディングを低減する。
【0026】
本実施形態では、前行の水平走査期間中である時刻t11にて定電流源制御スイッチ4をオンしている。この時、垂直出力線3に接続されている全てのSFMOSトランジスタ14は非導通状態となっているが、クリップ回路(不図示)は導通状態にあるため、垂直出力線3には図8に示す電流が流れる。これにより、クランプ容量17にて、垂直出力線3の電位がクランプするまでに十分安定するレベルをとることができる。定電流源制御スイッチ4をオンとするタイミングは、定電流源5につく寄生容量や画素数によって適宜決定される。また、定電流源制御スイッチ4をオンとするタイミングは、タイミングジェネレータからの信号に同期させるにこだわらず、例えば水平走査回路9からの信号をカウンタとして利用してもよい。これにより、定電流の復帰と同時に垂直出力線3の電位が急激に変化するものの、サンプリングするまでに十分、垂直出力線3の電位が安定するので、垂直シェーディング等の問題を防止することができる。
【0027】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態の固体撮像装置の構成は、第1の実施形態で説明した図1と同じであるため、その説明を省略する。また、本実施形態の詳細な回路構成例を図9に示す。第2の実施形態で説明した図2と異なる点は、単位画素11が2つの光電変換部12、2つの転送MOSトランジスタ13、1つのSFMOSトランジスタ14、1つのリセットMOSトランジスタ15、1つの行選択MOSトランジスタ16を有する点である。複数の光電変換部12は、光電変換により信号を生成する。SFMOSトランジスタ14は、複数の光電変換部12により光電変換された信号を増幅する。複数の転送MOSトランジスタ13は、複数の光電変換部12により生成された信号をそれぞれSFMOSトランジスタ14に転送する。
【0028】
図10は、本実施形態の固体撮像装置の動作例を示すタイミング図である。第1の実施形態である図3と異なる箇所は、時刻t1にて入力される水平同期信号HDが、2行毎を単位区間として規定されているところである。2行目の動作に入る前の時刻t8にて、再度、定電流源回路部5を遮断状態とする。定電流源回路部5は、複数の光電変換部12の各々から信号を読み出す毎に、クランプの終了時刻t3より前に、垂直出力線3に電流を供給しない状態から垂直出力線3に電流を供給する状態に変化する。これにより、定電流源回路部5の遮断状態からの動作復帰が行毎に設けられることで、2行毎を単位区間として水平走査される場合であっても、垂直出力線3の電位変動を全ての行において同一にさせることができる。このため、行毎に垂直出力線3の安定状態が異なることで起こる段差等の発生を防止することができる。
【0029】
1行目の時刻t6で、信号PTX1がハイレベルになり、信号PTX1に対応する転送MOSトランジスタ13がオンし、光電変換部12の信号がSFMOSトランジスタ14のゲート電極に転送される。その後、2行目では、信号PTX2がハイレベルになり、信号PTX2に対応する転送MOSトランジスタ13がオンし、光電変換部12の信号がSFMOSトランジスタ14のゲート電極に転送される。以上のように、信号PTX1により1行目の画素の信号が読み出され、信号PTX2により2行目の画素の信号が読み出される。
【0030】
以上のように、第1〜第5の実施形態によれば、垂直出力線3への電流が十分安定した状態で単位画素11から信号を読み出すことにより、垂直シェーディングを低減することができる。また、垂直出力線3に電流を供給しない状態にすることにより、消費電力を低減することができる。
【0031】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0032】
上記の各実施形態においては、画素のソースフォロワ回路に電流を供給する定電流源回路部5に着目して説明を行った。しかし、本発明は上記の定電流源回路部5以外でも同様の効果が得られる。例えば、垂直出力線3に設けられた第1の増幅部を駆動する電流源回路についても、定電流源回路部5と同様の思想で制御を行うことで、同様の効果が得られる。また、サンプルホールド回路8が増幅部を含むものである場合には、その増幅部を駆動する電流源についても同様である。すなわち、電流源回路部は、垂直出力線3の信号を増幅するための電流源回路部であってもよく、垂直出力線3に設けられた電流源回路部については同様の効果が得られるものである。
【符号の説明】
【0033】
3 垂直出力線、5 定電流源回路部、7 第1の増幅部、11 単位画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換した信号をソースフォロワ回路により出力する複数の画素と、
前記複数の画素に接続される出力線と、
前記出力線に電流を供給する電流源回路部と、
前記画素のリセット状態の前記出力線の信号をクランプ容量にクランプし、その後の前記画素の非リセット状態の前記出力線の信号を増幅する第1の増幅部とを有し、
前記電流源回路部は、前記クランプの終了時刻より前に、前記出力線に電流を供給しない状態から前記出力線に電流を供給する状態に変化することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記電流源回路部は、前記クランプの終了時刻より少なくとも1μ秒前に、前記出力線に電流を供給しない状態から前記出力線に電流を供給する状態に変化することを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記電流源回路部は、前記出力線に電流を供給しない状態から前記出力線に電流を供給する状態に変化する際に、複数段階で電流を増加させることを特徴とする請求項1又は2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記画素は、
光電変換により信号を生成する光電変換部と、
前記光電変換された信号を増幅するソースフォロワMOSトランジスタと、
前記ソースフォロワMOSトランジスタ及び前記出力線の間に設けられる選択MOSトランジスタとを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記画素は、
光電変換により信号を生成する光電変換部と、
前記光電変換された信号を増幅するソースフォロワMOSトランジスタとを有し、
さらに、前記ソースフォロワMOSトランジスタのゲートリセット電圧を制御することにより画素を選択する画素選択回路部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記画素は、
光電変換により信号を生成する複数の光電変換部と、
前記複数の光電変換部により光電変換された信号を増幅するソースフォロワMOSトランジスタと、
前記複数の光電変換部により生成された信号をそれぞれ前記ソースフォロワMOSトランジスタに転送する複数の転送MOSトランジスタとを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記電流源回路部は、前記複数の光電変換部の各々から信号を読み出す毎に、前記クランプの終了時刻より前に、前記出力線に電流を供給しない状態から前記出力線に電流を供給する状態に変化することを特徴とする請求項6記載の固体撮像装置。
【請求項8】
光電変換した信号をソースフォロワ回路により出力する複数の画素と、
前記複数の画素に接続される出力線と、
前記出力線に電流を供給する電流源回路部とを有し、
前記電流源回路部は、水平同期信号の入力より前に、前記出力線に電流を供給しない状態から前記出力線に電流を供給する状態に変化することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項9】
さらに、前記出力線の信号をアナログからデジタルに変換するアナログデジタル変換部を有することを特徴とする請求項8記載の固体撮像装置。
【請求項10】
光電変換した信号を出力する複数の画素と、
前記複数の画素に接続される出力線と、
前記画素のリセット状態の前記出力線の信号をクランプ容量にクランプし、その後の前記画素の非リセット状態の前記出力線の信号を増幅する第1の増幅部と、
前記出力線の信号を増幅するための電流源回路部とを有し、
前記電流源回路部は、前記クランプの終了時刻より前に、電流を供給しない状態から電流を供給する状態に変化することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項11】
光電変換した信号を出力する複数の画素と、
前記複数の画素に接続される出力線と、
前記出力線の信号を増幅するための電流源回路部とを有し、
前記電流源回路部は、水平同期信号の入力より前に、電流を供給しない状態から電流を供給する状態に変化することを特徴とする固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−106206(P2013−106206A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249004(P2011−249004)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】